JP3774261B2 - 硬貨繰出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬貨を1枚ずつ硬貨処理部へ繰り出す硬貨繰出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の硬貨繰出装置としては、例えば実開平4−76号公報に記載の構成が知られている。
【0003】
この実開平4−76号公報に記載の硬貨繰出装置は、複数枚投入される硬貨を貯留する硬貨貯留部の下面域を構成する回転自在の回転円板を傾斜して備えている。そして、硬貨貯留部の下部に硬貨が硬貨処理部に1枚ずつ通過可能な幅狭の硬貨通路に位置して切取部を切り欠き形成し、この切取部を開閉可能にゲートを硬貨貯留部の下部に回動可能に軸支して、硬貨通路に残留するクリップやゴミ、変形硬貨などの異物や硬貨などをゲートの上方への回動により切取部を開口させて硬貨通路を開放し切取部から取り出す構成が採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記実開平4−76号公報に記載の従来の硬貨繰出装置では、回転円板が垂直面に対して30度〜50度程度傾斜して設けられているため、異物の形状や重量、材質などの条件によっては、回転円板上に載置されたままの状態や回転円板上に引っ掛かった状態となり、ゲートの回動によって切取部を開放しても異物が取り出せずに残留する場合がある。また、異物や硬貨が回転円板と硬貨貯留部を構成するホッパとの間に噛み込んだ場合、噛み込んだ異物や硬貨が切欠部に位置しない場合には、取り出せない問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、硬貨貯留部および硬貨通路に残留する異物などの状態を問わず確実に排出する硬貨繰出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の硬貨繰出装置は、硬貨を1枚ずつ間欠的に硬貨処理部に送る硬貨繰出装置であって、前記硬貨を貯留する硬貨貯留部と、この硬貨貯留部の背部に水平方向に対して傾斜した回転軸を有しこの硬貨貯留部の下面域を構成する回転円板と、前記硬貨貯留部に連通して設けられ前記回転円板の回転に伴ってこの回転円板上の前記硬貨を前記硬貨処理部へ通過させるスリット状の硬貨通路と、前記回転円板を、前記硬貨貯留部の下面域を構成する定常位置とこの定常位置より下方に向けて傾斜して前記硬貨貯留部および硬貨通路の下面側を開放する開放位置との間で回動可能に支持する支持手段とを具備したもので、回転円板が下面域を構成する定常位置に支持手段にて支持された硬貨貯留部に投入されて貯留される硬貨は、回転円板の回転に伴って硬貨通路を通過して硬貨処理部へ移動され、硬貨貯留部および硬貨通路に位置する残留物は、支持手段にて支持された回転円板を定常位置より下方に向けて傾斜させて硬貨貯留部および硬貨通路の下面側を開放する開放位置に回動させることにより、落下排出される。
【0007】
請求項2記載の硬貨繰出装置は、請求項1記載の硬貨繰出装置において、硬貨通路は、硬貨貯留部に設けられ回転円板の回転に伴ってこの回転円板上の硬貨1枚の通過を許容するスリット部と、前記回転円板上に設けられ前記スリット部を通過した硬貨を1層1列状態に規制して硬貨処理部へ送る内部通路とを備えたもので、硬貨貯留部に投入されて貯留される硬貨が、回転円板の回転に伴って回転円板上の硬貨が1枚ずつスリット部を通過して内部通路で1層1列状態に規制されて硬貨処理部へ送られる幅狭の硬貨通路内を移動する噛み込みの生じやすい構成でも、支持手段にて支持された回転円板を硬貨通路の下面側を開放する開放位置に回動させるのみで容易に噛み込みが解除され、残留物が落下排出される。
【0008】
請求項3記載の硬貨繰出装置は、請求項1記載の硬貨繰出装置において、回転円板に硬貨通路内に臨んで突出して設けられ、この回転円板の回転に伴って硬貨貯留部内の硬貨を前記硬貨通路で移動させる硬貨案内部と、前記硬貨案内部にて前記硬貨通路内を移動された前記硬貨を受け取り硬貨処理部へ搬送する搬送手段とを具備したもので、硬貨貯留部に投入されて貯留される硬貨が、回転円板の回転に伴って回転円板上の硬貨が1枚ずつ突設された硬貨案内部にて硬貨通路内で移動し搬送手段にて硬貨処理部へ搬送する残留物が引っ掛かりやすい構成でも、支持手段にて支持された回転円板を硬貨通路の下面側を開放する開放位置に回動させるのみで容易に残留物が落下排出される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の硬貨繰出装置の実施の一形態の構成を図面を参照して説明する。
【0010】
図4において、1は自動販売機、両替機などの操作部の前面パネルで、この前面パネル1には、前面に向けて拡開し背面側に三角凹状の硬貨投入凹部2が設けられている。また、この前面パネル1の背面側の下方に硬貨繰出装置本体3が配設されている。
【0011】
そして、この硬貨繰出装置本体3は、図1ないし図4に示すように、前面パネル1の硬貨投入凹部2に配設され複数枚の硬貨4、例えば積層状態の10枚程度の硬貨4が投入可能な投入口5を硬貨投入凹部2に臨んで前側上方に向けて開口する略筒状の硬貨投入通路6を軸方向を傾斜してシュート状に備えている。さらに、硬貨繰出装置本体3は、平面方向が垂直方向に対して略30度〜50度程度傾斜して硬貨投入通路6の下端部に接続された受皿部8と、この受皿部8の下面側に間隙を介して対向する支持枠部9とを備えている。
【0012】
また、受皿部8は、支持枠部9に対向する一平面および下側に位置する側面の一部を開口する略円形薄型箱状に形成されている。さらに、この受皿部8内には、一縁に略U字状に切り欠かれた切欠部11を有した略円板状の誘導部12が設けられている。また、誘導部12の支持枠部9と対向する面には、一端側が切欠部11に連通し他端側が受皿部8の側面の開口に連通する硬貨4が1枚通過可能な幅寸法、例えば最大直径硬貨の直径より広く最小直径硬貨の直径の2倍より小さい幅寸法の略溝状の溝部13が設けられている。
【0013】
さらに、受皿部8には、フォトカプラなどの硬貨検知手段15が設けられている。この硬貨検知手段15は、一端側が切欠部11内に位置し、他端部側が硬貨検知手段15に進退自在、すなわち例えば遮光および退避可能に位置する検知部16の中間部分が軸部材17にて軸支されている。そして、この検知部16は、切欠部11内に移動された硬貨4が切欠部11内に位置する一端部に当接して硬貨4の自重により軸部材17を中心軸として回動し、この回動により他端部が硬貨検知手段15内に進出して遮光することにより、硬貨4の投入を検知する。
【0014】
一方、支持枠部9は略平板状に形成され、一縁が支持手段であるシャフト20にて軸支されて下端部側が揺動するように回動可能に軸支されている。また、支持枠部9の受皿部8と反対側の面にはモータ21が取り付けられている。そして、このモータ21は、回転軸である出力軸22が回転可能に支持枠部9に略垂直に貫通されて取り付けられている。また、この出力軸22の先端部には、受皿部8に対向して略円板状の回転円板23が回転可能に一体的に設けられている。そして、この支持枠部9が受皿部8に対向した際に出力軸22の軸方向が水平方向に対して例えば略30度程度傾斜した状態となる。さらに、回転円板23の上面には、切欠部11および誘導部12の溝部13に対応して摩擦係数の小さい樹脂などにて形成された滑動面部24が設けられている。
【0015】
そして、支持枠部9は、シャフト20を中心軸として回動して受皿部8に対向した状態である図1に示す定常位置では、切欠部11および溝部13の下面側が略閉塞され、誘導部12にて閉塞されない切欠部11の部分が硬貨貯留部26となる。この硬貨貯留部26は、受皿部8に接続された硬貨投入通路6の投入口5の背部側である下端部に位置し、投入口5から投入され硬貨投入通路6を介して送られた複数枚の硬貨4が貯留可能となっている。また、溝部13の硬貨貯留部26に連通する部分は硬貨4が1枚通過可能な硬貨通路を構成するスリット部27が形成され、溝部13と対向する回転円板23とにて例えば最大厚み硬貨の厚さ寸法より厚く最小厚み硬貨の厚さ寸法の2倍より小さい厚さ寸法の硬貨通路を構成する内部通路28が形成されて硬貨4が1層1列状態に規制されて移動可能となっている。
【0016】
さらに、支持枠部9のシャフト20にて軸支された端部には、モータ21の出力軸22と略同方向に導出する腕部30が一体的に設けられ、この腕部30は支持枠部9のシャフト20を中心軸とした回動に伴ってシャフト20を中心軸として先端部が円弧状に回動する。また、腕部30の先端部には、支持枠部9を受皿部8に向けて回動させる方向に付勢力が働く付勢手段としてのコイルスプリング31が取り付けられている。
【0017】
そして、このコイルスプリング31の収縮しようとする弾性力により、支持枠部9は、受皿部8に対向して回転円板23が硬貨貯留部26の下面域を構成する定常位置となるようになっている。また、図2に示すように、コイルスプリング31の弾性力に抗して支持枠部9が受皿部8から離間する方向である下方に回動し、支持枠部9が略垂直方向となり、硬貨貯留部26および内部通路28の下面が開放された状態が開放位置である。なお、回転円板23が受皿部8に接触しないように支持枠部9および受皿部8が対向する図示しない回動規制部が設けられている。
【0018】
また、腕部30の近傍には、支持枠部9が定常位置の状態を検知するフォトカプラなどの位置検知手段32が設けられている。そして、この位置検知手段32は、支持枠部9が定常位置の状態で腕部30が位置検知手段32に位置して遮光することにより定常位置を検知し、腕部30が位置検知手段32から退避した状態で透光状態となり、支持枠部9が図2に示す開放位置であることを検知する。
【0019】
さらに、支持枠部9には、腕部30と反対側に導出する連結部35が一体的に設けられている。また、この連結部35の先端部には、前面パネル1の前面に突出するつまみ部36が設けられ、連結部35およびつまみ部36にて詰り解除レバー37が構成されている。そして、このつまみ部36を把持して連結部35を移動させると支持枠部9はシャフト20を中心軸としてコイルスプリング31の弾性に抗して受皿部8と離間する方向の下方に硬貨貯留部26および内部通路28の下面を開放して回動する開放位置となる。
【0020】
一方、40は硬貨処理部で、この硬貨処理部40は、硬貨繰出装置本体3の下方に位置して配設されている。そして、この硬貨処理部40は、内部通路28の下端部側の開口に対向して一端が開口する略筒状の受入部41を、軸方向を略上下方向に沿ってシュート状に備えている。そして、この受入部41の下端部には、硬貨繰出装置本体3の内部通路28から1枚ずつ間欠的に繰り出される硬貨4を受入部41を介して受け入れ、この硬貨4を識別し選別して貯留および排出し計数する硬貨処理装置42が設けられている。さらに、この硬貨処理装置42の下部には、硬貨処理装置42から硬貨4を排出する略筒状の払出部43がシュート状に設けられている。
【0021】
また、硬貨繰出装置本体3の下方には、硬貨処理部40と並設された略筒状の硬貨返却通路45がシュート状に設けられている。なお、この硬貨返却通路45は、硬貨4以外の異物であっても通過可能に比較的大きな内断面を有して形成されている。
【0022】
さらに、払出部43および硬貨返却通路45の下方には、上面を開口する略半球状の硬貨返却部46が設けられている。そして、この硬貨返却部46は、一部が前面パネル1の前面に突出して、払出部43および硬貨返却通路45から放出された硬貨4や異物などを利用者に返却する受皿状となっている。
【0023】
次に、上記実施の一形態の動作を説明する。
【0024】
まず、待機状態では、コイルスプリング31の収縮しようとする弾性力により、支持枠部9が受皿部8に対向して回転円板23が硬貨貯留部26の下面域を構成する定常位置にあり、位置検知手段32が遮光状態で定常位置を検知しているとともに、硬貨検知手段15が透光状態で硬貨4が投入されておらず硬貨貯留部26内には硬貨4が残留していないことを検知している。
【0025】
そして、利用者が硬貨4を投入口5から投入すると硬貨投入通路6を通じて硬貨繰出装置本体3の硬貨貯留部26に送り込まれ、硬貨4の一面が回転円板23の表面に沿う状態で貯留する。なお、硬貨4が複数枚一括して投入された場合でも、硬貨投入通路6は硬貨4が立ち上がる程の空間はないので、硬貨4は回転円板23の表面に沿う姿勢で貯留される。また、硬貨4は、同一金種でも、異金種でもよい。
【0026】
次に、硬貨4が硬貨貯留部26に送り込まれることにより、硬貨貯留部26内に位置する検知部16の一端部に当接して硬貨4の自重により検知部16が軸部材17を中心軸として回動し、この回動により検知部16の他端部が硬貨検知手段15内に進出して遮光することにより、硬貨4の投入を検知する。
【0027】
この硬貨検知手段15による硬貨4の検知により、モータ21が駆動して回転円板23が内部通路28に沿う方向である反時計回り方向に回転し、回転円板23の回転と硬貨4の自重により、回転円板23の表面に面接触する硬貨4から順に1枚ずつスリット部27を通じて内部通路28に送り込まれる。なお、回転円板23は、スリット部27や内部通路28内などでの硬貨4の詰まりを防止するため、適当なタイミングおよび時間幅で自動的に逆回転させる。また、回転円板23に一定トルク以上の大きな負荷が掛かった場合には、図示しないトルクリミッタなどの作動にてモータ21から回転円板23への駆動力をスリップさせたり停止させる。
【0028】
さらに、この内部通路28を通過した硬貨4は、硬貨処理部40の受入部41を介して硬貨処理装置42内に受け入れられ、この硬貨処理装置42にて硬貨4の識別、分類、保留、収納および返却などの所定の処理が行われる。
【0029】
そして、硬貨貯留部26内の硬貨4が全て繰り出されると、検知部16の硬貨貯留部26内に位置する端部が開放されて検知部16が軸部材17を中心軸として回動し、検知部16の他端部が硬貨検知手段15から退避して透光状態となり、硬貨4が硬貨貯留部26に残留していないことを検知し、所定時間例えば数秒間程度この硬貨4がない状態が継続することによりモータ21の駆動が停止して回転円板23の回転が停止する。さらに、硬貨処理装置42における処理が完了すると待機状態となる。また、釣り硬貨や返却指令などに基づいて硬貨4を返却する場合には、硬貨4が硬貨処理装置42から払出部43を介して硬貨返却部46に投出されて返却される。
【0030】
一方、クリップやゴミなどの異物や変形硬貨などが投入されて硬貨繰出装置本体3内で閉塞した場合、例えば硬貨貯留部26内で引っ掛かった場合には、硬貨検知手段15が遮光された状態で硬貨4が投入されたことを検知するが、この検知が所定時間、例えば数秒程度継続する場合には、図示しない制御手段にて異物や変形硬貨などが閉塞したものと判断する。この閉塞の判断により、制御手段は図示しない表示手段やブザーなどの報知手段にて利用者に閉塞した旨を報知する。
【0031】
そして、この報知により、利用者は詰り解除レバー37を操作、すなわちつまみ部36を把持して連結部35を下方に向けて移動させる。この詰り解除レバー37の操作により、支持枠部9はシャフト20を中心軸としてコイルスプリング31の弾性に抗して受皿部8と離間する方向の下方に向けて回動して略垂直方向に沿った図2に示す開放位置となり、硬貨貯留部26および内部通路28の下面域を構成する回転円板23が移動して、硬貨貯留部26および内部通路28の下面が開放される。そして、この硬貨貯留部26および内部通路28の下面側の開放により、異物や変形硬貨などは下方に位置する硬貨返却通路45を介して硬貨返却部46に返却される。
【0032】
なお、利用者が詰り解除レバー37から手を離すと、コイルスプリング31の弾性力により支持枠部9は受皿部8に向けて回動して図1に示す定常位置に復帰し、位置検知手段32にて定常位置を所定時間継続して検知して待機状態に戻る。
【0033】
また、一旦異物や変形硬貨などが硬貨貯留部26に送り込まれて硬貨検知手段15にて検知してモータ21を駆動させ、回転円板23の回転と硬貨4の自重によりスリット部27および内部通路28に送られると、硬貨検知手段15が再び硬貨4がないと判断するが、所定時間経過しても硬貨処理装置42にて硬貨4の受け入れが検知されないと、制御手段は異物や変形硬貨などが例えばスリット部27や内部通路28内で引っ掛かって閉塞したものと判断し、報知する。そして、この報知により、同様に利用者が詰り解除レバー37を操作してスリット部27および内部通路28に閉塞する異物や変形硬貨を排出させる。
【0034】
そして、複数枚の硬貨4が投入口5から投入された場合において、硬貨4が硬貨繰出装置本体3内で閉塞した場合には、硬貨貯留部26内に残りの硬貨4が残留する場合には所定時間以上硬貨4が残留していることを硬貨検知手段15にて検知することにより利用者に報知できる。また、最後の1枚の硬貨が閉塞した場合には、上述したように硬貨4を1枚のみ投入した場合と同様に処理される。
【0035】
上記実施の形態によれば、投入された硬貨4を貯留する硬貨貯留部26および内部通路28の下面域を構成する回転円板23を、硬貨貯留部26および内部通路28の下面側を開放可能に回動支持したため、異物や変形硬貨などが引っ掛かったり噛み込んでも簡単な構成で回転円板23を回動させる一動作のみで容易に確実な除去が行える。
【0036】
なお、上記実施の一形態において、回転円板23を回転可能に軸支する支持枠部9に詰り解除レバー37を設け、この詰り解除レバー37の操作により硬貨繰出装置本体3内に残留する残留物を除去して説明したが、硬貨検知手段15および位置検知手段32などを利用して自動的に回転円板23を回動せるなど、硬貨貯留部26および内部通路28の下面を開放させるいずれの構成でもできる。
【0037】
また、硬貨検知手段15および位置検知手段32としては、フォトカプラなどの光学的センサに限らずいずれの構成のものでもできる。硬貨投入通路6は、1枚ずつ通過可能としてもできる。
【0038】
一方、報知手段を設けて閉塞した状況を利用者などに報知して説明したが、報知手段を設けなくてもよい。
【0039】
次に、本発明の他の実施の形態を図5ないし図8を参照して説明する。
【0040】
この図5ないし図8に示す実施の形態は、一括して投入された硬貨4を1枚ずつ拾い上げて送り出すものである。
【0041】
すなわち、図5および図7において、51は硬貨繰出装置本体で、この硬貨繰出装置本体51は、略平板状の支持枠部52を有している。そして、この支持枠部52の一面側の端部には、軸方向が略水平方向に設けられたシャフト20に軸支される軸受部53a ,53b を有し、支持枠部52は下縁部が揺動可能にシャフト20にて回動自在に軸支されている。
【0042】
また、一方の軸受部53a には、図5および図6に示すように、第1の腕部55が支持枠部52の表面に略沿うように一体的に設けられている。さらに、他方の軸受部53b には、図8に示すように、第2の腕部56が支持枠部52に対して略直交するように一体的に設けられている。また、第1の腕部55の下端には駆動手段としてのソレノイド58の進退する作動部59の先端に回動自在に接続されている。そして、ソレノイド58が非磁励時の定常時には、支持枠部52が垂直方向に対して略30度〜50度程度傾斜した図5に示す定常位置となり、ソレノイド58の磁励時には、図6に示す支持枠部52が略垂直方向となる開放位置となる。
【0043】
一方、第2の腕部56の先端には、図1ないし図4に示すコイルスプリング31と同様にコイルスプリング31が接続されている。また、この第2の腕部56の基端部には、一方の軸受部53a に設けられた第1の腕部55と略反対方向に突出する爪部60が突出形成され、この爪部60が例えばフォトカプラなどの位置検知手段32に進退自在、すなわち例えば遮光および退避可能となっている。
【0044】
さらに、支持枠部52には、図1ないし図5に示す実施の形態と同様に、図示しないトルクリミッタなどを有し適宜逆転可能なモータ21にて回転可能な回転円板61を備えている。そして、この回転円板61の表面周縁部には、段差部62を介して処理する最大径硬貨の直径より広い幅寸法の凹部63が形成されている。また、この凹部63には、略等間隔、例えば最大直径硬貨の直径より広く最小直径硬貨の直径の2倍より小さい幅寸法の間隔で、略円柱状の拾い上げ手段となる硬貨案内部としてのピン64,64が突設されている。また、回転円板61の略中央およびその周囲には、円錐台状に突出する攪拌手段65がピン64と同方向に突設されている。
【0045】
また、回転円板61の表面側には、回転円板61の表面側を覆うように離間対向して回転円板61との間に硬貨4を貯留する硬貨貯留部67を形成する受皿状のホッパ68が配設されている。そして、このホッパ68は、支持枠部52が定常位置にある際に、支持枠部52に対して上方に向けて拡開し図示しない硬貨投入通路を介して投入された硬貨4を受け入れ可能に上部に受入口69を開口形成している。また、ホッパ68の下端部は、支持枠部52が定常位置にある際に、回転円板61のピン64が位置する凹部63に例えば最大厚み硬貨の厚さ寸法より広く最小厚み硬貨の厚さ寸法の2倍より狭い間隔で対向するように形成され、この部分が硬貨4を1層1列状態に規制して移動可能な硬貨通路を構成する内部通路70となる。ホッパ68には、硬貨貯留部67内の硬貨4の残留を検知するフォトカプラなどの硬貨検知手段15が設けられている。
【0046】
そして、回転円板61の上部位置から斜め上方に向けて、回転円板61から拾い上げられて1枚ずつ繰り出される硬貨4を受け入れて図示しない硬貨処理部に搬送する搬送手段72がホッパ68の受入口69から導出するように配設されている。この搬送手段72は、硬貨4の下面を案内する通路板73が回転円板61と同じ傾斜状態に配設されているとともに、この通路板73の下縁に沿って硬貨4の下縁部を案内する下縁ガイド74が配設され、さらに、通路板73の上方に沿って硬貨4の上面を支えるとともに搬送力を与える無端状の搬送ベルト75が配設されている。
【0047】
また、搬送手段72には、回転円板61に臨む端部に回転円板61から拾い上げられて1枚ずつ繰り出される硬貨4を受け入れる導入部77が形成され、この導入部77に連続して硬貨4を搬送する搬送部78が形成されている。
【0048】
そして、搬送手段72の導入部77に臨む下縁ガイド74には回転円板61で拾い上げられた硬貨4を搬送手段72に取り込む投出部79が設けられ、この投出部79は、回転円板61の凹部63の表面に硬貨4が通過できない間隙で対向され、ピン64が通過可能な通過溝80が形成されている。
【0049】
さらに、搬送手段72の搬送部78には、搬送される硬貨4の適性、不適性、金種などの識別を行う材質センサ、イメージセンサなどにて形成される識別部81が配設されている。
【0050】
一方、搬送手段72の搬送ベルト75は、通路板73に対向する側に沿って最大径硬貨の直径より広い間隔を開けて複数の突起83,83が設けられており、回転円板61に臨んで配設されたプーリ84とその他の図示しない複数のプーリとに張設されている。そして、搬送ベルト75は、図示しないモータなどの駆動手段からの駆動力がプーリ84に伝達されて図7中に示す矢印方向に回動され、搬送手段72内の硬貨4を搬送する。なお、この搬送ベルト75による硬貨搬送速度は、回転円板61で繰り出される硬貨4の繰出速度と同等または多少速くなっている。
【0051】
そして、導入部77において、搬送ベルト75と回転円板61の表面との間には最大厚み硬貨の厚さ寸法よりやや広い間隙が設けられ、突起83と回転円板61の表面との間には最小厚み硬貨の厚さ寸法より狭い間隙が設けられている。
【0052】
次に、上記図5ないし図8に示す実施の形態の動作を説明する。
【0053】
まず、待機状態では、ソレノイド58は非磁励状態で、コイルスプリング31の収縮しようとする弾性力により、支持枠部52がホッパ68に対向して回転円板61が硬貨貯留部67の下面域を構成する図5に示す定常位置にあり、位置検知手段32が遮光状態で定常位置を検知しているとともに、硬貨検知手段15が透光状態で硬貨4が投入されておらず硬貨貯留部67内には硬貨4が残留していないことを検知している。
【0054】
そして、利用者が硬貨4を図示しない投入口から投入すると硬貨投入通路を通じて硬貨繰出装置本体51の回転円板61およびホッパ68に囲まれた硬貨貯留部67に送り込まれる。この硬貨貯留部67内に硬貨4が送り込まれると、硬貨検知手段15にて硬貨4を検知し、モータ21が駆動して回転円板61が回転して、貯留する硬貨4が攪拌手段65にて攪拌されつつ凹部63内のピン64,64間に位置して内部通路70内に移動して1枚ずつ拾い上げられる。
【0055】
さらに、このピン64にて拾い上げられ内部通路70を通過した硬貨4は、投出部79に沿って移動し、搬送ベルト75の突起83に押されて搬送手段72に繰り出される。なお、硬貨4の受け渡しを終えたピン64は、投出部79に設けられた通過溝80を通過し、次の拾い上げ動作を行う。さらに、搬送手段72に受け入れられた硬貨4は、通路板73と搬送ベルト75によって確実に保持されつつ1枚ずつ搬送され、識別部81によって正確に識別されて硬貨処理部40に繰り出される。
【0056】
そして、硬貨貯留部67内の硬貨4が全て繰り出され、硬貨検知手段15が硬貨貯留部67に硬貨4が残留していないことを所定時間例えば数秒間程度継続して検知することにより、図1ないし図4に示す実施の形態と同様に、モータ21の駆動が停止して回転円板61の回転が停止し、硬貨処理装置における処理が完了すると待機状態となる。
【0057】
一方、クリップやゴミなどの異物や変形硬貨などが投入された場合、これら異物や変形硬貨が内部通路70を構成する回転円板61の凹部63内に侵入せず硬貨貯留部67内に残留したり、内部通路70内に侵入してもピン64にて拾い上げられずに内部通路68内に残留したり、ピン64にて拾い上げられても搬送手段72にて受け入れられずに再び硬貨貯留部67内に落下するなどして硬貨貯留部67内および内部通路70内に残留するなどの際には、硬貨検知手段15が所定時間以上遮光された状態で硬貨4が投入されたことを検知することにより、異物や変形硬貨などが閉塞したものと判断する。
【0058】
そして、この閉塞の判断により、制御手段は図示しない表示手段やブザーなどの報知手段にて利用者に閉塞した旨を報知させるとともに、ソレノイド58が励磁してソレノイド58の作動部59が退没し第1の腕部55がシャフト20を中心軸として回動することにより回転円板61を備えた支持枠部52が略垂直方向となる開放位置に回動し、硬貨貯留部67および内部通路70の下面側が開放された状態となる。そして、この硬貨貯留部67および内部通路70の下面側の開放により、異物や変形硬貨などが排出される。
【0059】
このソレノイド58を所定時間励磁させて支持枠部52を開放位置に保持して異物や変形硬貨などを排出した後、ソレノイド58の励磁を解除させる。このソレノイド58の励磁の解除により、コイルスプリング31の弾性力により支持枠部52はホッパ68に向けて回動して定常位置に復帰し、位置検知手段32にて定常位置を所定時間継続して検知して待機状態に戻る。
【0060】
上記図5ないし図8に示す硬貨4を拾い上げて搬送するピン64や攪拌手段65などの異物や変形硬貨などが引っ掛かりやすい構成でも、異物や変形硬貨などの残留物が落下する方向の下面側を開放する方向に回動させるため、容易に残留物の確実な落下排出ができる。
【0061】
【発明の効果】
請求項1記載の硬貨繰出装置によれば、硬貨貯留部および硬貨通路の下面域を構成する回転円板を、定常位置より下方に向けて傾斜させて硬貨貯留部および硬貨通路の下面側を開放する開放位置に回動させることにより、硬貨貯留部および硬貨通路に位置する残留物を確実に落下排出できる。
【0062】
請求項2記載の硬貨繰出装置によれば、請求項1記載の硬貨繰出装置に加え、硬貨貯留部内の硬貨が、回転円板の回転に伴って回転円板上の硬貨が1枚ずつスリット部を通過して内部通路で1層1列状態に規制されて硬貨処理部へ送られる幅狭の硬貨が噛み込みの生じやすい構成でも、支持手段にて支持された回転円板を硬貨通路の下面側を開放する開放位置に回動させるのみで容易に噛み込みを解除できるとともに、確実な残留物の落下排出が容易にできる。
【0063】
請求項3記載の硬貨繰出装置によれば、請求項1記載の硬貨繰出装置に加え、硬貨貯留部内の硬貨が、回転円板の回転に伴って回転円板上の硬貨が1枚ずつ突設された硬貨案内部にて硬貨通路内で移動し搬送手段にて搬送する残留物が引っ掛かりやすい構成でも、簡単な構成で支持手段にて支持された回転円板を硬貨通路の下面側を開放する開放位置に回動させる一動作のみで、確実な残留物の落下排出が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の硬貨繰出装置の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】同上回転円板の開放位置の状態を示す断面図である。
【図3】同上硬貨の繰出状況を示す説明図である。
【図4】同上硬貨繰出装置本体の配設状態を示す断面図である。
【図5】同上本発明の硬貨繰出装置の他の実施の形態を示す断面図である。
【図6】同上回転円板の開放位置の状態を示す断面図である。
【図7】同上硬貨繰出装置本体の配設状態を示す断面図である。
【図8】同上位置検知手段近傍を示す一部を切り欠いた側面図である。
【符号の説明】
3,51 硬貨繰出装置本体
4 硬貨
20 支持手段であるシャフト
22 回転軸である出力軸
23,61 回転円板
26,67 硬貨貯留部
27 硬貨通路を構成するスリット部
28,70 硬貨通路を構成する内部通路
40 硬貨処理部
64 硬貨案内部であるピン
72 搬送手段
Claims (3)
- 硬貨を1枚ずつ間欠的に硬貨処理部に送る硬貨繰出装置であって、
前記硬貨を貯留する硬貨貯留部と、
この硬貨貯留部の背部に水平方向に対して傾斜した回転軸を有しこの硬貨貯留部の下面域を構成する回転円板と、
前記硬貨貯留部に連通して設けられ前記回転円板の回転に伴ってこの回転円板上の前記硬貨を前記硬貨処理部へ通過させるスリット状の硬貨通路と、
前記回転円板を、前記硬貨貯留部の下面域を構成する定常位置とこの定常位置より下方に向けて傾斜して前記硬貨貯留部および硬貨通路の下面側を開放する開放位置との間で回動可能に支持する支持手段と
を具備したことを特徴とする硬貨繰出装置。 - 硬貨通路は、
硬貨貯留部に設けられ回転円板の回転に伴ってこの回転円板上の硬貨1枚の通過を許容するスリット部と、
前記回転円板上に設けられ前記スリット部を通過した硬貨を1層1列状態に規制して硬貨処理部へ送る内部通路とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の硬貨繰出装置。 - 回転円板に硬貨通路内に臨んで突出して設けられ、この回転円板の回転に伴って硬貨貯留部内の硬貨を前記硬貨通路で移動させる硬貨案内部と、
前記硬貨案内部にて前記硬貨通路内を移動された前記硬貨を受け取り硬貨処理部へ搬送する搬送手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載の硬貨繰出装置。
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- 1996-05-08 JP JP11397996A patent/JP3774261B2/ja not_active Expired - Fee Related
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