JP3774001B2 - 尿中成分測定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、尿検査に用いられる尿中成分測定装置に関し、特に便器に放尿すると、その尿を自動的に採取し、尿中の複数成分を同時に定性・定量測定する機能を備えた、便器と一体となった尿中成分測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
尿検査は、尿検体採取の容易性の点や、尿が体液中に存在する正常成分の変動や異常成分の存在を早期に反映する点から、諸種疾患の判定のみならず、予後や治療法判断の指標としても用いられており、日常的な健康状態の把握の手段として役立っている。
【0003】
個人でも尿検査は可能であるが、操作に実験技術が必要なことなどから、あまり行われていない。個人での尿検査を容易にするためのものとして尿検査試験紙や測定器を備えた便器が開発されている。尿の一部を便器の所定の部分に採取し、そこに試験紙を浸して尿中のグルコースを測定する装置(特公平5−39552号公報参照)、便器内に採尿室を設け、試薬を用いて尿中のグルコースやビリルビンを測定する装置(特開平5−29266号公報参照)、便器から採取した尿に沈殿剤を添加し、沈殿物の質量からタンパク質の定量を行う方法(特開平4−233457号公報参照)、便器に通じる収容器に尿を採取し、バイオセンサー(酵素反応)を用いて糖や尿酸を測定する装置(特公平4−34445号公報参照)などが提案されている。
しかし、上記の装置に共通していることは、尿中成分の測定に試薬や試験紙などの消耗品を必要とし、中間反応を介した間接法で測定していることである。
【0004】
試験紙法での判定法は主に比色法であり、その反応機構は酵素反応や、酸化還元反応などの化学反応が主である。試薬法では、指示薬や酵素・化学反応を介した比色法やタンパク測定に使用される比濁法が主である。また、酵素電極を使用したバイオセンサーもある。
【0005】
しかし、いずれの方法にも媒介反応を介した間接法であるため潜在的な誤差がある。概して比色法で判定を行う方法では、結果の判定に誤差が生じやすく、化学反応を介するものは特異性が低い。また、尿中にはこれらの検査に干渉する物質が多数存在するため、それらの干渉物質が反応を阻害したり、偽陽性反応を起こさせたり、陽性反応とは異なる色調を呈せさせて陽性反応を隠蔽することもある。酵素を使用する系は元来不安定で、化学反応を介する系は共存物質の影響を受けやすい。試験紙法は同時に多項目を測定できるが、半定量しかできない。
【0006】
また、バイオセンサーも酵素反応を介するため、同様のことが起こる。しかも、グルコースや尿酸の測定ではその技術はほぼ確立しているが、未だ測定不可能な物質もあり、感度や精度が問題になる。
さらに、在宅での試験紙法による検査では、目視で比色を行なうため、その判定には個人差があり、厳密な検査とは言い難い。
また、院内での検査では、採尿カップなどの容器に患者自らが採尿し、それを看護婦若しくは検査技師などの院職員に手渡しなどで渡す必要がある。これには、患者に対して羞恥心を抱かせる心配がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、尿検査を行なう際に、試薬や試験紙などの消耗品が不要で、使用前の試薬の保存安定性やバイオハザード物質の廃棄の問題を解消し、共存物質による干渉作用を排除し、尿中に含まれる諸種成分を同時に短時間で定量でき、採尿の必要がなく、放尿した直後に直接これを測定できるので、患者に精神的苦痛を与える心配がない尿検査用の尿中成分測定装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、従来測定手段として使用されている試薬法や試験紙法に代えて、光学的手法を採用する。それにより、試薬や試験紙などの消耗品が不要になり、そのため使用前の試薬の保存安定性やバイオハザード物質などの廃棄の問題も解決され、酵素反応や化学反応などの中間反応を介さないことから共存物質による干渉を受け難く、尿の色調による陽性色の隠蔽もない尿中成分測定装置を発明した。
【0009】
さらに、被測定物質固有のラマン光を利用して測定する。それにより、短時間で同時に多項目の測定が可能であり、通常の手段で便器に放尿し、これを測定検体とすることから、患者に羞恥心を抱かせる心配がない。
しかも、従来の便器の構造を著しく変化させることなく、製造することが可能である。
【0010】
本発明では被測定物質中の各尿中成分から固有のラマンスペクトルを得、そのスペクトルを利用してそのスペクトル強度及びスペクトルパターンから各成分濃度を定量測定するものである。その際、励起光を測定用光束と補正用光束に分割し、補正用光束はその光量を減衰させた上で、測定用光束による尿検体からの測定対象光と減衰された補正用光束とを1個の分光・検出器に同時に取り込み、ラマンスペクトル強度と励起光成分強度をともに測定し、補正用光束を減衰させて得た励起光成分強度を基準にしてラマンスペクトル強度測定値を補正した上で、その補正された値を基にして尿中成分濃度を算出するようにする。本発明で用いる「ラマン」なる語句は、狭い意味でのラマン散乱だけでなく、蛍光が発生している場合にはその蛍光も同時に検出されるので、ラマン散乱及び蛍光を含んだ意味で使用している。
【0011】
測定しようとする各尿中成分について、水溶液測定における濃度とこの固有なラマンスペクトル強度との間の相関係数Rが0.8以上、好ましくは0.9以上のシフト波数をその成分固有の測定シフト波数として選択し、尿検体に対しラマン励起光を照射し、測定しようとする複数の各尿中成分についてそれぞれ前記の条件で選択された測定シフト波数でのラマンスペクトル強度を測定し、予め作成した検量線や多変量回帰分析により複数の尿中成分を同時に定量分析する。相関係数Rは次の式により与えられる。
【数1】
Figure 0003774001
xi:尿中成分の各点の濃度
yi:xiに対するラマンスペクトル強度
X :尿中成分の各点の濃度の平均値
Y :ラマンスペクトル強度の平均値
【0012】
例えば、図25はグルコースについて、そのスペクトルと濃度との相関係数Rを縦軸に、スペクトルの0〜4000cm-1のシフト波数を横軸にとったグラフである。このグラフを利用して縦軸Rが0.8以上、好ましくは0.9以上のシフト波数を測定シフト波数として選択すればよい。
【0013】
ただし尿検体が2成分以上を含んでいる場合、多変量回帰分析のようなデータ処理手法を用いないで定量を行おうとすれば、尿検体に単一波長の励起光を照射してその尿検体からの散乱光を受光して得たラマンスペクトルのうち、各成分に対して上記のように設定された測定シフト波数で、かつ互いに重ならないシフト波数でのスペクトル強度をもとに各成分濃度を算出する。
【0014】
また、多変量回帰分析のようなデータ処理手法を用いることも可能である。多変量回帰分析演算は主成分回帰分析法(PCR法)や部分最小二乗法(PLS法)などの多変量回帰分析法を用いてデータ解析を行なう。多変量回帰分析法では、一度に多くのスペクトル強度を用いて回帰分析することができるので、単回帰分析に比べて高い精度の定量分析が可能である。重回帰分析はもっとも多用されているが、多数の試料が必要であり、各シフト波数でのスペクトル強度同士の相関が高い場合にはその定量分析精度は低くなる。一方、多変量回帰分析法であるPCR法は複数のシフト波数域でのスペクトル強度を互いに無関係な主成分に集約させることができ、さらに不必要なノイズデータを削除することができるので、高い定量分析精度が得られる。またPLS法は主成分の抽出の際に試料濃度のデータも利用することができるので、PCR法と同様に高い定量分析精度を得ることができる。多変量回帰分析に関しては『多変量解析』(中谷和夫著、新曜社)を参考にできる。
【0015】
種々の変動要因により複雑に変動するスペクトルから必要な情報を引き出すには、コンピューターによるデータ処理が大いに役立つ。代表的な処理法は市販の近赤外装置等に装備されている処理用ソフトウェアにも収容されている。また市販のソフトウェアとしてCAMO社のアンスクランバー(Unscramber)などがある。代表的な処理法とは上に挙げた重回帰分析やPLS法、主成分回帰分析等である。
【0016】
多変量回帰分析による定量分析に適用するデータ処理の大きな流れは、(1)キャリブレーションモデル(検量線)の作成、(2)キャリブレーションモデルの評価、(3)未知試料の定量である。
キャリブレーションを行なうには、適当な数の検量線作成用試料を充分な精度で測定する必要がある。得られたスペクトルは必要に応じて前処理を行なう。代表的な前処理としては、スペクトルの平滑化や微分、正規化があり、いずれも一般的な処理である。
【0017】
次に、キャリブレーションは、スペクトルデータと目的特性の分析値との間の数学的関係式、すなわちモデルを構築する処理である。モデルの作成は、検量線作成用試料の分析値とスペクトルデータを用い、統計的手法によって行われる。作成された検量線の未知試料に対する予測の精度正しく評価するため、評価用試料により、未知試料に対する測定誤差が求められる。キャリブレーションモデルの精度が不充分であると判定されたときは、必要に応じて処理法の種類やパラメーターの変更など行い、キャリブレーションモデルの修正を行なう。
精度が充分であると認められた検量線は未知試料の分析に際し、スペクトルデータから目的特性の値を予測する関係式として使用され、未知試料濃度の定量に用いられる。
【0018】
図23に多変量回帰分析の一般的な手順のフローチャートを示した。検量線作成用試料(分析値既知)のラマンスペクトル測定を行い、平滑化や正規化等の前処理を必要に応じて行い、得られたラマンスペクトルデータ(各シフト波数におけるラマンスペクトル強度)から、多変量回帰分析を用いてキャリブレーションを行い、キャリブレーションモデルを作成する。
【0019】
次にこのキャリブレーションモデルを評価するための評価用試料(分析値既知)のラマンスペクトル測定を行い、必要に応じて前処理を行い、得られたラマンスペクトルデータをキャリブレーションモデルに代入し、実測値とキャリブレーションモデルからの計算値とを比較し、キャリブレーションモデルの精度を評価する。精度が不充分である場合は検量線作成用試料のスペクトル測定や前処理、キャリブレーションモデルの作成等の各段階に戻り、再度評価用試料のラマンスペクトルデータによって、評価を繰り返す。充分な精度が得られたと判定されると、未知試料(分析値未知)のラマンスペクトル測定により得られたラマンスペクトルデータをこのキャリブレーションモデルに代入し、濃度を計算する。
【0020】
測定に用いるシフト波数は、前述のように、濃度とラマンスペクトル強度との相関係数Rが0.8以上、好ましくは0.9以上のシフト波数を選択できるが、多変量回帰分析手法を用いる場合は任意の波長範囲で選択することもできる。
【0021】
尿中成分の濃度は尿量によって変動する。一方、クレアチニンは時間当りの排泄量が一定している。そこで、測定する尿中成分としてクレアチニンを含み、測定されたクレアチニン濃度を基準にして他の尿中成分濃度を補正するのが好ましい。それにより、尿量変動分を補正した測定値を得ることができる。
【0022】
使用者が便器内に放尿した尿は便器内の凹型採尿器に採尿される。この尿に例えば励起レーザーからラマン励起光を照射し、ラマン光を得る。得られたラマンスペクトルデータを演算処理することにより、同時に多数の尿中成分の定性・定量測定できる。
【0023】
【実施例】
以下に本発明の幾つかの実施例を図面に基づいて示すが、本発明がこれらによって限定されるものではない。
図1(A)は本発明の一実施例の便器本体の側面断面図を、図2は便器本体の平面断面図を示す。便器本体1の上面には便穴2が形成されており、従来と同様な洋風便器形状を呈するものであり、従来と同様に便器本体1後方上面には洗浄水を貯蔵する洗浄水タンク7が設置されており、便器本体1内上部に洗浄水孔9が設けられられている。洗浄水は洗浄水タンク7から通水路8を通って洗浄水孔9から流れ出し、便鉢3及び採尿器4を洗浄する。
【0024】
便器本体1内の前端部位の下方に凹型の採尿器4が設置されており、便鉢3内で採尿ができる。採尿器4内の前端側にファイバー孔13Lが1個、採尿器4内左側にファイバー孔13Rが1個設置されており、このファイバー孔13L及びファイバー孔13Rの便鉢3側に集光を目的とした集光レンズ15L及び集光レンズ15Rがそれぞれ設置されており、ファイバー孔13L内部には励起光源14(後の図5,6で説明する)からの励起光を運ぶ励起光ファイバー5、ファイバー孔13R内部にはラマン光を受光するラマン光受光ファイバー6が設置されている。
【0025】
ファイバー孔13L、ファイバー孔13Rの内部の詳細は図1(B)に記載の通りである。ファイバー孔13Lの便器本体1外側に挿入された励起光ファイバー5から出射される励起光を集光するためにファイバー孔13Lの便鉢3側に集光レンズ15Lが設置されている。また、ファイバー孔13Rの便鉢3側には、採尿器4内の尿検体からのラマン光を集光するために集光レンズ15Rが設置されており、ここで集光されたラマン光はラマン光受光ファイバー6で受光され、分光・検出器を含む光学系に導かれる。
【0026】
また、採尿器4の底部には排水孔35が設けられ、その排水孔35の孔径は採尿器4に尿検体が少なくとも測定に必要な時間は留まるような流路抵抗をもつ大きさに設定されている。採尿器4の尿は測定中も流れ出すが、測定中になくなることはない。測定後、採尿器4に残った尿はその排水孔35から流れ続け、一定時間後には採尿器4は空になるが、採尿器4に尿が残っている状態で洗浄すれば、残った尿が洗浄水勢により押し流され、採尿器4内は洗浄水に置き換えられる。採尿器4に溜まった洗浄水も排水孔35から流れ出し、一定時間の後には採尿器4は空になる。
【0027】
また、図2に示すように、励起光ファイバー5は便器本体1外部に設置された励起光源14から繋がっており、ラマン光受光ファイバー6は便器本体1外部に設置された分光検出器10に通じている。分光検出器10で、分光・検出したラマン信号をデータ処理部11でデータ処理し、データ出力部12から測定値として出力する。励起光源14、分光検出器10、データ処理部11部及びデータ出力部12の各部は後の図5,6で説明する。
【0028】
図3は本発明の他の実施例の便器本体の側面断面図を、図4はその正面図を示す。
図3において、便器本体1の前面には便穴2が形成されており、従来と同様な男性用小便器形状を呈するものであり、従来と同様に便器本体1内上部に洗浄水孔9が設けられている。便鉢3から採尿器4内に流入した洗浄水は、排水孔35から流れ出て、採尿器4内を洗浄する。
【0029】
本実施例においては、便器本体1の内部下方に凹型の採尿器4が設置されており、便鉢3内で採尿ができる。採尿器4内下端にファイバー孔13Lが1個、採尿器4内奥側にファイバー孔13Rが1個設置されており、このファイバー孔13L及びファイバー孔13Rの便鉢3側に集光を目的とした集光レンズ15L及び集光レンズ15Rがそれぞれ設置されており、ファイバー孔13L内部には励起光源14(後の図5,6で説明する)からの励起光を運ぶ励起光ファイバー5、ファイバー孔13R内部にはラマン光を受光するラマン光受光ファイバー6が設置されている。
【0030】
また、図4に示すように、図2と同様に励起光ファイバー5は便器本体1外部に設置された励起光源14から繋がっており、ラマン光受光ファイバー6は便器本体1外部に設置された分光検出器10に通じている。分光検出器10で、分光・検出したラマン信号をデータ処理部11部でデータ処理し、データ出力部12から測定値として出力する。
【0031】
図5は本発明の実施例における主として光学系を示すブロック図であり、光源部16、測定・受光部17、測定対象光学調整部18、分光検出部19、データ処理及びデータ出力部20、補正光学調整部21からなる。測定・受光部17は便器本体1内に設置されており、光源部16、測定対象光学調整部18、分光検出部19、データ処理部及びデータ出力部20、補正光学調整部21は便器本体1外に設置されている。
【0032】
具体的に示すと、光源部16は、単一波長光を発生する励起光源14と、励起光源14からの励起波長のみを透過し、その他の光は反射するバンドパスフィルター23と、励起光源14からの光束を試料用光束31sと補正用光束31rとに分割するビームスプリッタ24と、測定・受光部17の採尿器4内の尿検体に試料用光束31sを収束させるためにビームスプリッタ24を挟んで設置された光源集光レンズ22及び収束レンズ32とを備えている。励起光源14がレーザ装置である場合には、そのレーザ光からサイドバンドを遮蔽するためのバンドパス・フィルタ23を設けておくのが好ましい。
【0033】
励起光源14としては、例えばレーザ装置が用いられる。レーザ装置としては連続発振をするKrイオンレーザ、He−Neレーザ、又はInGaAsなどのレーザーダイオードやNd:YAGレーザなど、又はパルスレーザなどを用いることができ、近紫外域から近赤外域にわたる広い波長範囲のレーザから選択して利用することができる。レーザ装置以外の光源としてハロゲンランプなどの多波長光を発生する光源を分光器又は分光フィルタと組み合わせて用いることもできる。
【0034】
励起光の波長は800nm以上、すなわち近赤外以上の長波長領域が好ましい。その理由は以下の通りである。生体成分は蛍光が大きく、Arレーザ(514.5nm)やHe−Neレーザ(632.8nm)などの可視光で励起すると蛍光発光効率が高く、スペクトルが蛍光の影響を受けやすいが、近赤外以上の長波長領域の光で励起すると蛍光発光効率が低くなって蛍光の影響を低減でき、さらに、迷光となる蛍光灯などの外光の影響も低減できるからである。
【0035】
測定・受光部17には尿検体が採尿器4に入れて設置される。測定・受光部17は、試料用光束31sを導く励起光ファイバー5と、励起光ファイバー5からの試料用光束31sを集光して採尿器4中の尿検体に照射する集光レンズ15Lと、尿検体を採取し、試料セルとなる採尿器4と、尿検体に試料用光束31sが照射されて発生したラマン光を集光する集光レンズ15Rと、集光レンズ15Rを経て得られたラマン光を受光し、測定対象光学調整部18を経て分光検出部19に導くラマン光受光ファイバー6とを備えている。励起光ファイバー5とラマン光受光ファイバー6はそれぞれ単芯の光ファイバーであってもよく、複数本の光ファイバーが束ねられた光ファイバー束であってもよい。
【0036】
測定対象光学調整部18は、得られたラマン光から励起光と同じ波長成分(レイリー光)を除去して蛍光とラマン散乱光を含んだ測定対象光を取り出すフィルタ26と、ビームを調整する光学系(集光レンズ25及び27)とを備えている。
フィルタ26は、レイリー光波長をノッチ領域に含むホログラフィック・ノッチ・フィルタ、又はレイリー光波長及びそれより短波長側を遮蔽するカットフィルタのいずれかであることが望ましい。ホログラフィック・ノッチ・フィルタは、所望の波長領域のみを遮蔽し、その他の領域の波長光を透過させるものである。その遮蔽される領域(ノッチ領域)に励起光波長が含まれたものを使用することで、励起光成分を除去することができる。ホログラフィック・ノッチ・フィルタは例えばKAISER OPTICAL SYSTEMS. INC.(アメリカ)から入手することができる。
【0037】
測定対象光学調整部18のフィルタ26と集光レンズ27との間には合波手段としてビームスプリッタ28が設置されており、測定対象光はそのビームスプリッタ28を透過し集光レンズ27を経て分光・検出器10の分光器の入口スリットに導かれる。
【0038】
補正光学調整部21は、ビームスプリッタ24により分割された補正用光束31rを合波手段のビームスプリッタ28へ導くためのものであり、補正用光束31rを調整するために、光量を減衰させる減光フィルタ29と、光路を曲げる反射ミラー30を備えている。補正光学調整部21からの補正用光束31rはビームスプリッタ28で反射され、集光レンズ27を経て分光・検出器10の分光器の入口スリットに導かれる。
【0039】
補正用光束31rは励起光源14からの励起光のみを含み、試料を経ていないため、試料には依存せず、光源からの強度変動を忠実に表したものとなる。補正用光束31rは励起光源14からの励起光強度の変動によるスペクトル光強度の変動を補正するものである。
【0040】
分光検出部19は、測定対象光学調整部18から出射した光束と補正光学調整部21から出射した補正用光束31rを、合波手段としてのビームスプリッタ28を介して取り込み分光する分光器、及びその分光器により分光されたスペクトル光を検出する検出器を備えた1個の分光・検出器10を備えている。
【0041】
分光・検出器10はマルチチャンネル光検出器を備え、測定しようとする波長領域を同時に検出するポリクロメータであることが望ましい。分光・検出器10がポリクロメータであるときは、測定しようとする波長領域を同時に検出することができ、所定領域の測定対象光スペクトルと励起光とを同時に検出することができる。その結果、測定対象光の各波長の検出時間と励起光との検出時間に差が生じない。しかし、測定対象光の各波長の検出時間と励起光との検出時間に差が生じても良い場合は、分光検出部19が波長走査型の分光器又は分光フィルタと、シングルチャンネル光検出器をもちいて、測定しようとする波長領域を順次検出するようにしてもよい。
【0042】
データ処理・出力部20は、分光・検出器10の検出器により検出された分光スペクトルのデータ処理を行なうデータ処理部11と、データ処理部11で処理されたデータを出力する出力部12とを備えている。データ処理部11は各部の動作を制御する他、分光・検出器10が検出した信号に対し、多変量解析などのデータ処理を行なうものであり、そのデータ処理中には分光・検出器10により検出された分光スペクトル中の励起光成分の検出強度を基準にして測定対象光の検出強度を補正する機能も含んでおり、光源の変動が補正されたラマン散乱スペクトルを作成したり、測定対象光強度から試料の定性や定量も行なう。出力部12はデータ処理部11で処理されたデータを出力するプリンタやディスプレイなどである。
【0043】
なお、入射光に対して、被測定物質11からの散乱光のなす角をθとすると、本実施例では、θ=90°としているが、これに限るものでなく、0°≦θ<360°であればよい。
【0044】
図6は、θ=180°の場合の装置を示し、図5に示す装置と互いに共通する部分については同一番号を付す。
励起光源部16からの試料用光束31sは、測定対象光学調整部18に配置された中心透過形反射ミラー33を透過し、光ファイバ5aを経て測定・受光部17の尿検体に照射される。測定対象光学調整部18は図5と同様であり、光ファイバ5aを通り、ミラー33で反射されてきた尿検体からのラマン光を分光・検出器10の分光器の入口スリットに収束させるために集光レンズ25、27が設けられており、集光レンズ25と27の間に励起光と同じ波長成分を除去して測定対象光を取り出すフィルタ26として、ノッチ領域に励起光の波長を含むように設定されたホログラフィック・ノッチ・フィルタが配置されている。測定・受光部17以外の構成は図5と同じである。
【0045】
図6の実施例では、光ファイバ5aは励起光ファイバーとラマン光受光ファイバーを兼ねている。この場合も、光ファイバ5aは単芯の光ファイバーであってもよく、複数本の光ファイバーが束ねられた光ファイバー束であってもよい。光ファイバー束の場合は一部を励起光ファイバーとし、残部をラマン光受光ファイバーとするように、区別して使用することもできる。
【0046】
図5、図6の光学系で、ビームスプリッタ24,28,33として、スライドガラスなどの透明板ガラスを使用することができる。透明板ガラスを光路に斜めに配置することにより、1つの入射光を反射光と透過光に分離したり、透過して入射した光と反射して入射した光とを同一光軸上に合一させることができる。ビームスプリッタとしてハーフミラーを使用することもできるが、透明板ガラスを用いると、透過光に関してはハーフミラーのような吸収がないので透過光量を増加させることができる。
【0047】
図7は採尿器4内の尿検体を本発明の尿検査便器により測定する動作を表すフローチャートであり、(A)は全体の流れ、(B)は各部の動作を示したものである。
便器本体1外の電源をONにすると、測定準備状態から装置動作がスタートする。励起光の発振が始まり、測定がスタートする。励起光源14により励起された採尿器4内の尿検体のラマン光がラマン光受光ファイバー6で受光され、所定時間のラマンスペクトル測定後、測定は終了する。得られたラマンスペクトルデータを適当なデータ解析演算を行い処理した結果が、各成分の濃度などとして出力される。データ出力終了後に電源は自動的にOFFになる。
【0048】
データ処理部11では、分光・検出部10で分光されたラマン光の強度若しくはスペクトルパターンをもとにして、多変量回帰分析などの数学的演算処理により測定データが解析されて、各成分濃度が求められる。解析結果は、データ出力部12に出力される。
データ処理部11は、クレアチニンの濃度を基準にして他の成分の濃度を補正する演算も行なうことができる。
【0049】
測定をスタートさせるには、手動でスタートボタンを押す方法の他に、図1Aにおける排水孔35を透明ガラス管で形成しておき、その排水孔35を尿検体が通過したときに自動的に測定をスタートさせるようにしてもよい。
これらの実施例の装置は、既存の便器に、排水孔と励起光源とラマン光受光ファイバー及び集光ファイバーを設置するためのごく小さな穴を空けるだけでよく、便器本体外に設置する分光検出部とデータ処理部及びデータ出力部も極簡易なもので対応できるため、広い場所を必要としない。そのため家庭や病院内のトイレにも既存のスペースに設置可能である。また、比較的安価な検出器等を使用していることもあり、製造・加工に関する費用も安価ですむ。
【0050】
尿中に含まれる幾つかの成分について測定を行なった結果を示す。図8から図22までのデータは、各単成分の水溶液試料について測定した結果である。
図8はクレアチニンのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果であり、重相関係数R2(相関係数Rの二乗)は0.961である。
【0051】
図9から図11は尿中のタンパク質について定量を行った結果である。アルブミンとグロブリンはネフローゼ症候群や腎炎など、ヘモグロビンは尿路系等の炎症や腫瘍などの指標となる。
アルブミンのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図9であり、重相関係数R2は0.999である。
グロブリンのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図10であり、重相関係数R2は0.994である。
ヘモグロビンのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図11であり、重相関係数R2は0.998である。
【0052】
図12から図15は尿中の糖について定量を行った結果である。グルコースは糖尿病、ラクトースは乳児の消化不良、フルクトースは肝障害時の食餌性果糖症、ガラクトースは重症肝障害や乳児栄養障害などの指標となる。
グルコースのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図12であり、重相関係数R2は0.964である。
ラクトースのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図13であり、重相関係数R2は0.999である。
フルクトースのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図14であり、重相関係数R2は0.990である。
ガラクトースのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図15であり、重相関係数R2は0.974である。
【0053】
図16から図18は尿中のケトン体について定量を行なった結果である。アセト酢酸リチウムとβ−ヒドロキシ酪酸及びアセトンはケトアシドーシスなどの指標となる。
アセト酢酸リチウムのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図16であり、重相関係数R2は0.998である。
β−ヒドロキシ酪酸のスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図17であり、重相関係数R2は0.997である。
アセトンのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図18であり、重相関係数R2は0.999である。
【0054】
図19と図20は尿中の胆汁色素について定量を行った結果である。ビリルビンは肝・胆道疾患、ウロビリノーゲンは肝・胆道疾患や溶血性疾患などの指標となる。ビリルビンは水に不溶であるため、本例ではジタウロビリルビンを使用した。また、ウロビリンに関しては、ウロビリノーゲンは不安定であり、空気酸化で容易にウロビリンになるため、ウロビリンで測定を行った。
ジタウロビリルビンのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図19であり、重相関係数R2は0.994である。
ウロビリンのスペクトル強度と濃度との相関関係を調べた結果が図20であり、重相関係数R2は0.995である。
【0055】
図21は尿中の亜硝酸塩について定量を行った結果であり、そのスペクトル強度と濃度との重相関係数R2は0.998である。亜硝酸ナトリウムは尿路系の細菌感染の指標となる。
【0056】
図22は尿中の尿素について定量を行った結果であり、そのスペクトル強度と濃度との重相関係数R2は0.998である。尿中尿素は体内タンパク代謝、肝・腎機能などを知るうえで有用である。これが増加すると体タンパク異化の亢進やキニーネ等の薬物服用が考えられ、減少すると肝実質障害や腎機能不全が考えられる。さらに尿中尿素量は尿比重の指標となることも分かっており(『新訂臨床検査研修ハンドブック3』小酒井望、薬事日報社)、一般的に浸透圧・屈折率・尿比重は相関が良く、三者の判定は比重で代用される(『臨床検査法提要』金井正光、金原出版株式会社)。
【0057】
図23、図24に多変量回帰分析を用いた例を示す。
正常尿に尿素を150mg/dl、300mg/dl、450mg/dl、亜硝酸ナトリウムを600mg/dl、1.2g/dl、1.8g/dl、アセトンを300mg/dl、600mg/dl、900mg/dlそれぞれ任意の組み合わせで添加し、スペクトル測定を行い、多変量回帰分析を用いて濃度の定量を行った。
【0058】
尿中に存在する任意の物質の濃度は次の式で近似することができる。
【数2】
Figure 0003774001
C;尿中に存在する任意の物質の濃度
k(λi);シフト波数icm-1における比例定数
A(λi);シフト波数icm-1におけるラマンスペクトル強度
k(λi)は分析値既知試料の濃度と推定した濃度との相関係数が最も高くなるように、多変量回帰分析の手順の中で決定される。なお、この計算は市販の処理用ソフトウェアに予め組み込まれており、自動的に行われ、濃度を求めたい尿中物質毎にこの式が作成される。
【0059】
スペクトル測定から濃度定量までの手順をフローチャートで示したのが、図23である。本例では、一切の前処理は行わず、処理用ソフトウェアとして、パーキンエルマー社のQUANT+を用いた。処理法としてPCR法を採用した。また、フルクロスバリデーションを行なう際は、キャリブレーションモデルの精度の評価は省くことができる。
【0060】
図24は本例で得られた計算値と実測値(参照値)との相関図であり、重相関係数R2とSEPはそれぞれ尿素が0.986と18.13、亜硝酸ナトリウムが0.992と57.17、アセトンが0.956と69.74であった。
SEPとは、予測標準誤差のことで、以下に示した計算式により算出される。
【数3】
Figure 0003774001
di;キャリブレーションモデルによる計算値と実測値との差
D;diの平均値
n;評価用試料の数
この数値が小さい方が、検量線の精度が高いということを示す。
【0061】
【発明の効果】
本発明の尿中成分測定装置では、採尿器で採取された尿に対し、ラマン励起光を照射し得られたラマン光から測定しようとする複数の体液中成分について、適当なシフト波数位置の強度または全スペクトル強度を得、多変量回帰分析法などの手法を利用することで尿中の複数成分を同時に短時間で定量分析できるようになり、試験紙や試薬などの消耗品が不要となり、また、使用後の廃棄の問題も発生しない。採尿の必要もなく、しかも個人でも容易に尿検査を行なうことができる。さらに、酵素反応や化学反応を介さないので共存物質の影響を受け難く、精度よく測定できる。
そして、分光・検出器により検出された分光スペクトル中の励起光成分の検出強度を基準にして測定対象光の検出強度を補正するので、光源の変動が補正されたラマン散乱スペクトルを作成したり、測定対象光強度から試料の定性や定量を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は一実施例の便器本体の側面断面図、(B)はその便器への光ファイバ取りつけ部を示す斜視図である。
【図2】同実施例の便器本体の平面断面図である。
【図3】他の実施例の便器本体の側面断面図である
【図4】同実施例の便器本体の正面図である。
【図5】一実施例における主として光学系を示すブロック図である。
【図6】他の実施例における主として光学系を示すブロック図である。
【図7】本発明の尿検査便器により測定する動作を表すフローチャート図である。
【図8】クレアチニン濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図9】アルブミン濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図10】グロブリン濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図11】ヘモグロビン濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図12】グルコース濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図13】ラクトース濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図14】フルクトース濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図15】ガラクトース濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図16】アセト酢酸リチウム濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図17】β−ヒドロキシ酪酸濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図18】アセトン濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図19】ジタウロビリルビン濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図20】ウロビリン濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図21】亜硝酸ナトリウム濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図22】尿素濃度とラマン散乱光強度との相関関係を示す図である。
【図23】多変量回帰分析によるスペクトル測定から濃度定量までの手順を示すフローチャート図である。
【図24】尿中の複数成分の多変量回帰分析により算出した計算値と実測値との相関図である。
【図25】グルコースについて、そのスペクトルと濃度との相関係数R2を縦軸に、スペクトルの0〜4000cm-1のシフト波数位置を横軸にとったグラフである。
【符号の説明】
1 便器本体
2 便穴
3 便鉢
4 採尿器
5 励起光ファイバー
6 ラマン光受光ファイバー
10 分光検出器
11 データ処理部
12 データ出力部
13L,13R ファイバー孔
14 励起光源
15L,15R 集光レンズ
35 排水孔

Claims (11)

  1. 便器本体と、
    便器本体内で放尿を受ける位置に設けられた採尿器と、
    可視または近赤外の波長領域の励起光を発生するとともにビームスプリッタを備えてその励起光を測定用光束と補正用光束に分割する励起光源部と、
    励起光源部からの測定用光束を採尿器内の尿検体へ照射するとともに、その測定用光束による励起光照射により尿検体から発生したラマン光を含む測定対象光を受光する測定・受光部と、
    励起光源部からの補正用光束を受け、その光量を減衰させる補正光学調整部と、
    測定・受光部で受光された測定対象光と補正光学調整部で減衰された補正用光束とを同時に取り込み、測定しようとする尿中成分について選択された測定シフト波数でのラマンスペクトル強度、又は任意のシフト波数範囲の各シフト波数におけるラマンスペクトル強度と励起光成分強度をともに測定する1個の分光・検出器を含む光学系と、
    前記光学系で得られたラマンスペクトル強度測定値と励起光成分強度測定値を取り込み、励起光成分強度を基準にしてラマンスペクトル強度測定値を補正した上で、その補正された値を基にして1又は2以上の尿中成分濃度を算出するデータ処理部と、
    前記データ処理部によるデータ解析結果を出力するデータ出力部と、を備えたことを特徴とする尿中成分測定装置。
  2. 測定しようとする尿中成分について選択された測定シフト波数は、その尿中成分の濃度とラマンスペクトル強度との相関が良好なその成分固有のシフト波数であり、
    前記データ処理部は複数の尿中成分についての濃度とそれぞれの測定シフト波数でのラマンスペクトル強度との関係を示す検量線データを保持しており、複数の尿中成分についてのそれぞれの測定シフト波数でのラマンスペクトル強度測定値を取り込み、検量線データを利用して尿中の複数成分を同時に定性・定量分析するものである請求項1に記載の尿中成分測定装置。
  3. 測定しようとする尿中成分について選択された測定シフト波数は、その尿中成分の濃度とラマンスペクトル強度との相関が良好なその成分固有のシフト波数であり、
    前記データ処理部は複数の尿中成分についてのそれぞれの測定シフト波数でのラマンスペクトル強度測定値を取り込み、多変量回帰分析により尿中の複数成分を同時に定性・定量分析するものである請求項1に記載の尿中成分測定装置。
  4. 前記測定シフト波数は、その尿中成分の水溶液試料測定における相関係数Rが0.8以上のシフト波数である請求項2又は3に記載の尿中成分測定装置。
  5. 前記データ処理部は複数の尿中成分について任意の波長範囲の各波長におけるラマンスペクトル強度測定値を取り込み、多変量回帰分析により尿中の複数成分を同時に定性・定量分析するものである請求項1に記載の尿中成分測定装置。
  6. 測定する尿中成分としてクレアチニンを含み、前記データ処理部はクレアチニン濃度を基準にして他の尿中成分濃度を補正するものである請求項1から5のいずれかに記載の尿中成分測定装置。
  7. 前記分光・検出器はマルチチャンネル光検出器を備えて複数のシフト波数でのラマンスペクトル強度を同時に検出するものである請求項1から6のいずれかに記載の尿中成分測定装置。
  8. 前記採尿器の底部には排水孔が設けられ、その排水孔の孔径は採尿器に尿検体が少なくとも測定に必要な時間は留まるような流路抵抗をもつ大きさに設定されている請求項1から7のいずれかに記載の尿中成分測定装置。
  9. 前記励起光源部は波長が800nm以上の光を含む励起光を発生するものである請求項1から8のいずれかに記載の尿中成分測定装置。
  10. 前記励起光源部の励起光源が半導体レーザーである請求項9に記載の尿中成分測定装置。
  11. 前記分光・検出器を含む光学系と前記励起光源部は便器本体の外部に設置され、便器本体内の採尿器と前記光学系及び前記励起光源部の間に光伝送路として光ファイバーが設けられている請求項1から10のいずれかに記載の尿中成分測定装置。
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