JP6212303B2 - 糖尿病マーカーの測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は糖尿病マーカー測定方法に関する。本発明の糖尿病マーカー測定方法は、糖尿病の有無を高感度、高特異性、かつ簡便に検出できるものである。
近年、食生活の欧米化が進み、それに起因すると考えられる肥満,糖尿病,動脈硬化等の生活習慣病が増加している。このうち糖尿病は、知覚麻痺、失明、動脈硬化等との合併症を引き起こすことも多く、日常生活に多大な障害をもたらす病気として特に問題視されている。
糖尿病はインスリンの作用不足による高血糖が引き起こす複合疾患である。糖尿病は1型と2型に分類される。1型糖尿病は、膵臓のランゲルハンス島が炎症を起こした結果、インスリン分泌能が低下又は枯渇してしまい、高血糖に至るものである。一方、2型糖尿病はそれ以外の原因によってインスリンの作用不足が起こり、高血糖に至るものである。この2型糖尿病は日本人の糖尿病の大部分を占めるものであり、特に問題視されている。
2型糖尿病の発病メカニズムはまだ不明の点があるが、主に環境因子が引き金になって発病するとされ、過食や肥満が大きな原因の一つである。例えば、肥満のために膵臓のインスリン分泌量が激増した結果、膵臓が疲労して逆にインスリン分泌量が減少し、結局インスリンの作用不足となり高血糖となる。あるいは、脂肪の増加によってインスリン受容体が減少し、その結果、インスリンの作用不足となり高血糖となる。一方、逆に、インスリンの作用不足から生まれる余剰のグルコースが脂肪となって蓄えられて肥満が進むこともあり、糖尿病はその発症メカニズムにおいて肥満と密接に関係している。また、2型糖尿病は発症初期に自覚症状がないことが多く、発見時にはかなり進行していて治療が困難となることもある。すなわち、2型糖尿病の予備軍は相当に多いと予想される。
現在、糖尿病の検出に用いられている臨床検査項目としては、尿糖、空腹時血糖、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、血中インスリン値、血中・尿中C−ペプチド値(CPR)などがある。その他、グルコースを経口摂取した後の血中グルコース濃度をモニターし、そのクリアランス能力をみる経口グルコース負荷試験(OGTT)も行われている。
また近年、医学領域において、糖化最終産物(Advanced glycation end products;以下、「AGEs」と称する)と呼ばれる物質が注目されており、様々な病気、疾患、老化等との関連性について研究されている。そして、慢性的な高血糖状態では循環血液中や組織でAGEsの生成が促進され、蓄積されることが知られている。AGEsという名称は総称であり、AGEsには種々の化合物が含まれる。代表的なAGEsとして、カルボキシメチルリジン(Nε-(carboxymethyl) lysine)、ペントシジン(Pentosidine)、ピラリン(Pyrraline)、クロスリン(Crossline)などが知られている。
AGEsの測定技術としては、AGEsが発する蛍光(主に、励起波長370nm、発光波長440nm)を指標とする蛍光分析法、褐色変化を利用した吸光度測定法、化学発光法等が、簡易的な方法として知られている(例えば、特許文献1〜3)。その他、HPLCやGC/MSによる精密な測定法も知られている(例えば、非特許文献1、特許文献4)。さらに、特定のAGEsに着目したELISAによる測定法も開発されている(例えば、特許文献5〜7、非特許文献2,3)。
このうち蛍光測定法は、AGEsの多くが蛍光を発することを利用したものである。ただし、蛍光を発しないAGEsも存在するので(例えば、ピラリン)、蛍光分析法は全てのAGEsを網羅したものではない。逆に、AGEs以外の蛍光物質も含めて測定していると考えられる。また、選択する励起波長と発光波長によって、検出できる蛍光物質が異なると考えられる。蛍光分析法は高感度かつ簡便であり、多数の試料を測定する場合に有用である。例えば、健康診断等において複数の尿や血清を測定試料とする場合に有用である。
糖尿病の検出を目的とした尿中AGEsの蛍光分析に関する報告がある(例えば、非特許文献4,5)。ここで、尿検体を蛍光分析に供する場合には、除タンパク等の前処理を行うのが普通である。
例えば、非特許文献4に記載の技術では、前処理として尿検体を限外ろ過に供し、分子量1万以上の物質を除去してから蛍光分析を行っている。また非特許文献5に記載の技術では、前処理として尿検体をトリクロロ酢酸(TCA)による除タンパク処理に供している。
特開2001−099838号公報 特開2001−021549号公報 特開2001−059843号公報 特開平7−098317号公報 特開2004−323515号公報 特開2006−312621号公報 特開2001−021559号公報
上記したように、2型糖尿病は発症初期に自覚症状がないことが多く、発見時にはかなり進行していて治療が困難となることも多い。そのため、糖尿病の検出を目的とした臨床検査においては、糖尿病の罹患の有無のみならず、通常は検出できないような初期段階の糖尿病の有無、糖尿病の将来の発症リスクの有無、いわゆる糖尿病予備軍であるか否か、等も検出したいという要望がある。一方、非糖尿病が偽陽性として検出されないよう、糖尿病に対する高い特異性が維持されていることも求められる。さらに、集団検診に容易に対応できるように、できるだけ簡便な操作で糖尿病の検出を行いたいという要望もある。そこで本発明は、初期段階等の糖尿病も高感度で検出でき、糖尿病に対する特異性が高く、かつ操作も簡便な糖尿病の検出技術を提供することを目的とする。
上記した課題を解決すべく、本発明者らは、尿を検体として用いる糖尿病の高感度、高特異性、かつ簡便な検出技術について研究を進めた。その結果、尿を前処理せずにそのまま蛍光分析に供することによって、上記の課題を解決できることを見出した。すなわち、尿又は尿の希釈物をそのまま蛍光分析に供することによっても糖尿病の検出が可能であること、さらに、尿の前処理を行わないことにより、従来の方法では見逃されていた糖尿病も検出できることを見出した。さらに、前処理を行わない場合でも糖尿病に対する高い特異性は維持されており、糖尿病と非糖尿病の判別を高精度で行えることを見出した。
上記した知見に基づいて提供される1つの発明は、被験者から採取した尿を検体として用いる糖尿病の検出方法であって、前記検体は、精製処理を経ていない尿又は尿由来物であり、励起波長250〜500nmにおいて前記検体に含まれる蛍光物質が発する蛍光の強度を指標として、前記被験者における糖尿病の有無を検出することを特徴とする糖尿病の検出方法である。
この発明の糖尿病の検出方法は、精製処理を経ていない尿又は尿由来物を検体として用い、検体が発する特定の蛍光強度を指標とするものである。この発明によれば、糖尿病に対する高い特異性を維持しつつ、高感度かつ簡便に糖尿病を検出することができる。例えば、従来のような、前処理を経た尿検体を用いた蛍光分析では検出できない糖尿病も検出することができる。
ここで「精製処理」とは、採取した尿が有している含有物の組成を変化させるような処理を指す。例えば、一部の含有物を除去する処理や、一部の含有物を濃縮する処理は、当該精製処理に含まれる。例えば、一定以上の分子量を有する物質の除去(例えば、限外ろ過による濃縮・分画処理)、タンパク質やペプチドの除去(例えば、TCAによる除タンパク処理)、一部の荷電分子の除去(例えば、イオン交換体との接触)、各種クロマトグラフィーによる分画処理は、いずれも当該精製処理に含まれる。
一方、希釈操作は、尿全体を均一に薄めるのみであり、含有物の組成を変化させるものではないので、当該精製処理には含まれない。同様に、尿全体を均一に濃縮する操作も、当該精製処理には含まれない。尿全体に安定化剤等を添加する処理も、含有物の組成を変化させない限り当該精製処理に含まれない。
精製処理を経ていない「尿由来物」とは、尿そのものではないが、尿に由来し、かつ前記した精製処理を経ていない物を指す。当該尿由来物の代表例は、前記した尿の希釈物である。その他、尿の均一濃縮物も当該尿由来物に含まれる。
ここで「糖尿病の有無」とは、糖尿病の罹患の有無だけでなく、通常は検出困難な初期の糖尿病の有無、糖尿病の将来の発症リスクの有無、いわゆる糖尿病予備軍であるか否か、等も含む概念である。糖尿病の将来の発症リスクの有無とは、糖尿病を発症していない時点において、将来、糖尿病に罹患する可能性(危険性)の有無を指す。
なお、この発明で指標とする蛍光は、励起波長250〜500nmにおいて検体に含まれる蛍光物質が発する蛍光である。この励起波長の範囲は、AGEsの蛍光測定で従来から採用されている波長と重複している。ただし、この発明で指標とする当該蛍光はAGEsのみを反映したものではなく、他の蛍光物質、例えば、従来技術では前処理で除去されていた蛍光物質も含めた広い範囲をカバーしている。
好ましくは、前記蛍光の強度は、励起波長よりも10〜250nm大きい波長における蛍光の強度である。
好ましくは、前記検体は、尿そのもの又は尿の希釈物である。
好ましくは、前記蛍光の強度を測定し、得られた測定値を基準値と比較する。
請求項1に記載の発明は、被験者から採取した尿を検体として用いる糖尿病マーカーの測定方法であって、前記検体は、精製処理を経ていない尿又は尿由来物であり、励起波長340〜400nmにおいて前記検体に含まれる蛍光物質が発する、前記励起波長よりも50〜160nm大きい蛍光波長における蛍光の強度をもって前記糖尿病マーカーを測定することを特徴とする糖尿病マーカーの測定方法である。
請求項2に記載の発明は、前記励起波長が370〜400nmであることを特徴とする請求項1に記載の糖尿病マーカーの測定方法である。
請求項3に記載の発明は、前記検体は、尿そのもの又は尿の希釈物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の糖尿病マーカーの測定方法である。
請求項4に記載の発明は、前記蛍光の強度を測定し、得られた測定値を基準値と比較する工程を包含することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の糖尿病マーカーの測定方法である。
本発明によれば、糖尿病に対する高い特異性を維持しつつ、高感度かつ簡便に糖尿病を検出することができる。例えば、従来のような、前処理を経た尿検体を用いた蛍光分析では検出できない糖尿病も検出することができる。
(a)は糖尿病型と非糖尿病型を含む尿検体について蛍光強度を測定した結果を表すグラフ、(b)はドットプロット図である。 尿中アルブミンと蛍光強度との関係を表すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の糖尿病の検出方法は、被験者から採取した尿を検体として用いる糖尿病の検出方法であって、前記検体は、精製処理を経ていない尿又は尿由来物であり、励起波長250〜500nmにおいて前記検体に含まれる蛍光物質が発する蛍光の強度を指標として、前記被験者における糖尿病の有無を検出することを特徴とするものである。例えば、前記検体が発する前記蛍光強度を蛍光分析装置等で測定し、該測定値を基準値と比較し、その比較結果に基づいて糖尿病の有無を検出する。
本発明では、検体として「精製処理を経ていない尿又は尿由来物」を用いる。上述したように、精製処理とは、採取した尿が有している含有物の組成を変化させるような処理を指す。すなわち本発明では、限外ろ過や除タンパク等の前処理を経ていない尿又は尿由来物を用いる。
上述したように、精製処理を経ていない「尿由来物」とは、尿そのものではないが、尿に由来し、かつ前記した精製処理を経ていない物を指す。当該尿由来物の代表例は、尿の希釈物である。
好ましい実施形態では、検体として、尿そのもの又は尿の希釈物を用いる。尿そのものと尿の希釈物の使い分けは、例えば、検体が発する蛍光強度に応じて行うことができる。すなわち、尿の蛍光強度が高すぎる場合には、消光現象を回避するために尿を希釈することが好ましい。
尿の希釈に用いる希釈液としては、蛍光測定に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定はなく、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、各種の緩衝液、等を適宜用いることができる。希釈液のpHとしては、蛍光物質が安定に存在できるものであればよく、例えば、6.0〜8.0の範囲から選択することができる。希釈液におけるイオン種やイオン強度についても、蛍光物質が安定に存在できるものであればよい。例えば、タンパク質が変性しない程度のイオン種やイオン強度を選択すればよい。
また希釈液は、蛍光物質を含まないものであることが好ましい。
本発明では、励起波長250〜500nmにおいて検体に含まれる蛍光物質が発する蛍光の強度を指標とする。上述したように、この励起波長の範囲は、AGEsの蛍光測定で従来から採用されている波長と重複している。前記励起波長の範囲は、好ましくは250〜450nm、より好ましくは280〜420nm、さらに好ましくは280〜400nm、特に好ましくは300〜400nmである。
蛍光強度測定時の蛍光波長(発光波長)としては、蛍光を検出できる波長であれば特に限定はないが、励起波長よりも10〜250nm大きい波長を選択することが好ましい。
具体例を挙げると、励起波長が260nmの場合には、蛍光波長は270〜510nm、好ましくは300〜380nm、より好ましくは320〜370nmの範囲から選択することができる。
励起波長が300nmの場合には、蛍光波長は310〜550nm、好ましくは350〜500nm、より好ましくは360〜480nmの範囲から選択することができる。
励起波長が340nmの場合には、蛍光波長は350〜590nm、好ましくは380〜530nm、より好ましくは390〜520nmの範囲から選択することができる。
励起波長が370nmの場合には、蛍光波長は380〜620nm、好ましくは400〜550nm、より好ましくは420〜530nmの範囲から選択することができる。
励起波長が400nmの場合には、蛍光波長は410〜650nm、好ましくは450〜600nm、より好ましくは460〜580nmの範囲から選択することができる。
励起波長が450nmの場合には、蛍光波長は460〜700nm、好ましくは500〜650nm、より好ましくは510〜630nmの範囲から選択することができる。
励起波長が500nmの場合には、蛍光波長は510〜750nm、好ましくは550〜700nm、より好ましくは560〜680nmの範囲から選択することができる。
さらに、AGEsの蛍光測定で従来から採用されている「励起波長370nm、蛍光波長440nm」の組み合わせを採用してもよい。
本発明では、励起波長250〜500nmにおいて検体に含まれる蛍光物質が発する蛍光の強度を指標とするが、その具体的操作の代表例は、得られた蛍光強度値を基準値と比較することである。例えば、標準物質の蛍光強度を同時に測定し、当該測定値を基準値とすることができる。
より具体的には、例えば、安定な一定濃度の標準溶液を作製し、この標準溶液の蛍光強度を100とした場合の相対値で検体の蛍光強度を表すことができる。
前記標準物質としては、公知の蛍光物質を用いることができる。当該蛍光物質は、上記の励起波長と発光波長で蛍光測定可能なものであれば特に限定されない。AGEsである必要もない。複数の標準物質を用いてもよい。
標準物質となり得る蛍光物質の具体例としては、硫酸キニーネ、フルオレセインナトリウム、ローダミンBなどが挙げられる。例えば、硫酸キニーネの0.1〜1mol/L硫酸溶液は安定であり、標準溶液として有用である。
その他、基準値がカットオフ値となるような標準物質を選択し、蛍光強度値が基準値以下の場合を非糖尿病、基準値を超える場合を糖尿病と判定することもできる。
また、段階希釈した標準物質を用いて検量線を作成してもよい。
本発明においては、尿を検体とする他の臨床マーカーと同様に、クレアチニン補正等の濃度補正をすることが好ましい。
尿中クレアチニンの測定方法としては、公知の方法をそのまま用いることができる。例えば、有機化学的測定法、紫外部吸収法、酵素的測定法、質量分析、などを用いることができる。このうち、紫外部吸収法は、尿又は尿の希釈物をそのまま測定試料とすることができ、簡便である。
クレアチニンによる補正以外では、尿の比重によって補正してもよい。
検体の蛍光強度の測定は、公知の蛍光分析装置を用いて行うことができる。例えば、分光蛍光光度計を用いることにより、検体の蛍光強度を測定することができる。また、蛍光マイクロプレートリーダーを用いることにより、マイクロプレートの各穴に入れた複数の検体の蛍光強度を同時に測定することができる。
さらに、マイクロデバイス(マイクロ流体デバイス、μTAS)を用いた微量分析技術を応用することもできる。例えば、試料導入部と、試料導入部に連通するマイクロ流路と、マイクロ流路に連通するとともに光学セルとして機能する検体収容部とを備えたマイクロデバイスを用意する。そして、試料導入部から検体(例えば、精製処理を経ていない尿希釈物)を導入し、マイクロ流路を経由して検体収容部に収容する。そして、検体収容部(光学セル)に収容された検体が発する蛍光強度を、蛍光分析装置で測定する。
このとき、マイクロデバイスとして検体収容部(光学セル)を2つ設けたものを採用し、一方の検体収容部を蛍光強度測定用、他方の検体収容部をクレアチニン濃度測定用として用いてもよい。この際のクレアチニン測定法としては、例えば、前記した紫外部測定法(220〜250nm)を用いることができる。
本発明にマイクロデバイスを適用することにより、微量の検体(測定試料)で蛍光測定を行うことが可能となる。さらに、光学セルの光路長(セルの厚み、液厚)を小さくすることにより、濃い尿であっても希釈を行わずに、尿そのものを測定試料とすることが可能となる。この際のセルの厚みとしては、例えば100〜500μm程度とすることができる。
以下に、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)血糖値及び血中HbA1c値との相関関係
血糖値と血中HbA1c値が分かっている成人男性114名の尿について、本発明による尿中の蛍光物質測定を行い、相関関係を調べた。なお、該114名の血糖値(mg/dL)の分布は、最小値83、最大値271、平均値117.25、標準偏差27.016であった。また、血中HbA1c値(%)の分布は、最小値4.4、最大値9.9、平均値5.706、標準偏差1.0562であった。
尿をPBSで10〜200倍に希釈し、蛍光測定用の検体(測定試料)を調製した。各測定試料200μLを前処理することなくそのまま蛍光測定用マイクロプレート(Greiner bio-one、762077)の各穴に入れ、マイクロプレートリーダー(Spectra Max Gemini EM; Molecular Devices, Sunnyvale, CA)にて蛍光強度(励起波長370nm、蛍光波長440nm)を測定した。別途、各尿検体について、Lタイプワコー CRE・M(和光純薬工業社)を用いてクレアチニン濃度を測定した。得られた蛍光強度値をクレアチニン濃度値で除し、補正された蛍光強度値(AU/gクレアチニン)を得た。
その結果、補正された蛍光強度値の分布は、最小値46、最大値1276、平均値196.33、標準偏差158.067であった。
SPSSソフトウェア(IBM社)により統計処理を行った。その結果、補正された蛍光強度値と血糖値とのPearsonの相関係数は0.260、有意確率(両側)は0.05であった。また、補正された蛍光強度値と血中HbA1c値とのPearsonの相関係数は0.281、有意確率(両側)は0.02であった。
以上より、尿の蛍光強度(励起波長370nm、蛍光波長440nm)は、血糖値及び血中HbA1c値と相関を有していた。
(2)蛍光強度による糖尿病と非糖尿病の判別
成人男性393名(糖尿病型22名、非糖尿病型(健常人)371名)の尿を検体として用い、以下の測定を行った。なお、糖尿病型22名の内訳は、
(a)糖尿病治療薬を使用している人:15名
(b)糖尿病治療薬を使用していないが空腹時血糖が126mg/dLでHbA1cが6.1%以上の糖尿病診断基準を満たしている人:7名
であった。
尿をPBSで10〜200倍に希釈し、蛍光測定用の検体(測定試料)を調製した。各測定試料200μLを前処理することなくそのまま蛍光測定用マイクロプレート(Greiner bio-one、762077)の各穴に入れ、マイクロプレートリーダー(Spectra Max Gemini EM; Molecular Devices, Sunnyvale, CA)にて蛍光強度(励起波長370nm、蛍光波長440nm)を測定した。
別途、各尿検体について、Lタイプワコー CRE・M(和光純薬工業社)を用いてクレアチニン濃度を測定した。得られた蛍光強度値をクレアチニン濃度値で除し、補正された蛍光強度値(AU/gクレアチニン)を得た。結果を図1(a),(b)に示す。
補正された蛍光強度値(AU/gクレアチニン)の平均値±標準偏差は、非糖尿病型(371名)では171±132であった。一方、上記(a)の糖尿病型(15名)では260±181、上記(b)の糖尿病型(7名)では344±413、上記(a)(b)を合わせて(22名)287±269であった。
そして、非糖尿病型と糖尿病型(a)との間、非糖尿病型と糖尿病型(b)との間、非糖尿病型と糖尿病型(a)及び(b)との間、のいずれにおいても、補正された蛍光強度値に有意差(P<0.05)が認められた。
(3)励起波長と蛍光波長の検討
上記(2)の各検体について、励起波長を260〜500nmの範囲、蛍光波長を300〜700nmの範囲で振って、蛍光強度(AU/gクレアチニン)を測定し、糖尿病群(22例)と非糖尿病群(371例)での有意差検定を行った。結果を表1に示す。
すなわち、少なくとも励起波長260〜500nmの範囲で、蛍光強度に有意差が認められた(P<0.05、太字部分)。また蛍光波長については、少なくとも励起波長プラス20nm程度の波長であれば、十分採用可能であった。
Figure 0006212303
(4)尿中アルブミンと蛍光強度の関係
上記(2)の各検体について尿中アルブミンを測定し、(N)20mg/gクレアチニン以下(353例)、(Mi)21〜200mg/gクレアチニン(36例、ミクロアルブミン尿)、(Ma)201mg/gクレアチニン以上(4例、マクロアルブミン尿)、の3つの群に分けた。各群について、上記(2)で測定した蛍光強度(AU/gクレアチニン)を比較した。結果を図2に示す。
蛍光強度(AU/gクレアチニン)の平均値±標準偏差は、(N)では170±144、(Mi)では229±120、(Ma)では361±223であった。そして、(N)と(Mi)との間、並びに、(N)と(Ma)との間に有意差が認められた(P<0.05)。
このように、本発明の方法では、尿中アルブミンが高いほど、すなわち糖尿病の重症度が高いほど蛍光強度が高かった。本発明の方法によれば、重症度に応じた糖尿病の検出が可能であった。
なお、非特許文献4に記載の方法では、前処理として尿を限外ろ過に供しており、アルブミンは予め除去されている。そして、N群、Mi群、及びMa群の3群の間には有意差が認められない(例えば、Fig. 2B、Fig. 3)。この方法では、尿中アルブミンが検出されるような重症の糖尿病患者を見逃している可能性があり、重症度に応じた糖尿病の検出が困難であると考えられる。

Claims (4)

  1. 被験者から採取した尿を検体として用いる糖尿病マーカー測定方法であって、
    前記検体は、精製処理を経ていない尿又は尿由来物であり、
    励起波長340〜400nmにおいて前記検体に含まれる蛍光物質が発する、前記励起波長よりも50〜160nm大きい蛍光波長における蛍光の強度をもって前記糖尿病マーカーを測定することを特徴とする糖尿病マーカー測定方法。
  2. 前記励起波長が370〜400nmであることを特徴とする請求項1に記載の糖尿病マーカーの測定方法。
  3. 前記検体は、尿そのもの又は尿の希釈物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の糖尿病マーカー測定方法。
  4. 前記蛍光の強度を測定し、得られた測定値を基準値と比較する工程を包含することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の糖尿病マーカー測定方法。
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