JP3642602B2 - 尿中成分の測定装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は尿中の種々の成分を測定するための装置に関するものである。
尿検査で測定される尿中成分としては、糖尿病の可能性を調べる糖、腎炎やネフローゼなどの可能性を調べる蛋白、肝臓病の可能性を調べるウロビリノーゲン、腎臓、膀胱もしくは尿道の炎症、結石又は腫瘍や、前立腺炎などの可能性を調べるための潜血のほか、ケトン体、ビリルビン、亜硝酸塩、食塩などがある。
【0002】
【従来の技術】
尿中成分を測定する装置としては、病院などで使われる尿測定用の汎用機や測定装置付きトイレ装置などがある。汎用機は主として病院などの特別の医療機関のみに設置されており、患者は紙コップなどの容器に尿を採取し、その容器を検査室に運び、検査をしてもらう。
【0003】
便器に測定器を備えたものも開発されており、日常の糖尿病などの検査を行なう装置としては、尿の一部を便器の所定の部分に採取し、そこに試験紙を浸して尿中のグルコースを測定する装置(特公平5−39552号公報参照)、便器内に採尿室を設け、試薬を用いて尿中のグルコースやビリルビンを測定する装置(特公平5−29266号公報参照)、便器から採取した尿に沈澱剤を添加し、沈澱物の質量を測定してタンパク質を定量分析する方法(特開平4−233457号公報参照)、便器から採取した尿に試薬を用いて潜血を定量分析する方法(特開平5−2017号公報参照)、便器に通じる収容器に尿を採取し、バイオセンサー(酵素反応)を用いて糖や尿酸を定量する装置(特公平4−34445号公報参照)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
病院などの大量の検体を検査する検査手にとっても、患者が紙コップなどで採取した尿をセルに移し変える必要があり、負担が大きい。
また、便器に測定装置を備えたものでは、体を自由に動かすことができる人にとっては便所で採尿し、採取した尿を自ら検査することは可能である。しかし、体の不自由な患者にとっては便所に行くことすら困難な行為である。近年、高齢者問題で騒がれているように、老人の数が急増し、それに比例して寝たきり老人の数も増えてきている。そのような人々にとっては健康状態を毎日チェックすることは重要であるが、便所に行くのが困難な人にとっては手軽に尿を検査することはできない。
本発明は使用者がベッドに寝たままであっても尿の検査をできるような装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は採尿部から容易に尿を採取できるようにしたり、採尿部自体に測定用セルを取りつける。
図1は本発明を概略的に表わしたものであり、採尿部1に取りつけたセルにより測定したり、採尿部から尿を採取したりして尿の吸光度を測定する。測定部2で測定した吸光度から演算処理部3で尿中成分濃度を算出し、表示部4に表示する。
【0006】
本発明は、採尿部本体と内部でつながり、採尿部本体先端部から先端方向に突出した突出部を備えた尿瓶と、前記突出部により採取された尿に可視又は近赤外の波長領域の測定光を照射する光源部、及びその尿を透過した測定光を受光する受光部を備え、測定しようとする尿中成分のそれぞれについて選択された測定波長での吸光度を測定する測定部と、前記測定部による複数の測定波長での吸光度測定値を基にして複数の尿中成分濃度を算出する演算処理部とを備えた尿中成分の測定装置である。
【0007】
第1の発明では、前記突出部は所定の光路長を有するセルであり、この態様での前記測定部は前記セルを設置するセル設置部を有し、前記光源部はそのセル設置部に設置されたセルに測定光を照射するように配置され、前記受光部はそのセルを透過した測定光を受光するように配置されている。第1の発明での測定部はセルがセル設置部に設置されたことを光学的又は機械的に検知するセンサー部をさらに備えていることが好ましく、測定部の動作はそのセンサー部がセルを検知したことを示す信号に基づいて開始するように構成されていることが好ましい。
【0008】
第2の発明では、前記突出部は開閉可能な尿排出用ノズルであり、この態様での前記測定部は前記ノズルから排出された尿を受ける位置に配置されたセルを備え、前記光源部はそのセルに測定光を照射するように配置され、前記受光部はそのセルを透過した測定光を受光するように配置されている。前記ノズルは電磁弁により開閉される電磁ノズルであることが好ましく、測定部はそのノズルが測定部の所定の位置に設置されたことを光学的又は機械的に検知するセンサー部をさらに備えていることが好ましい。そして、測定部のセンサー部がノズルを検知したことを示す信号に基づいてそのノズルの電磁弁が一定時間開くように構成されていることが好ましい。
【0009】
【作用】
試料に光を照射し、その吸光度を測定するとき、波長jでの透過光強度Itj は LAMBERT-BEER の法則により、次の式で表現される。
ただし、Itj は波長jでの透過光強度、
Ioj は波長jでの入射光の強度、
αkj はk成分の波長jでの吸光係数、
Ck は溶液中のk成分の濃度、
k=1,2,……Kで、Kは溶液中の成分数、
Tj は波長jでの透過度、
Lはセル長
である。波長jでの吸光度Aj は、セルと溶液との界面における反射を無視すると、
で表わされる。
【0010】
(2)式から、未知変数はCk (k=1,2,……K)であるので、K個の独立な波長で吸光度を測定し、連立方程式を解けば各成分の濃度を算出することができる。主成分回帰分析法(PCR法)や部分最小二乗法(PLS法)などの多変量回帰分析法を用いてデータ解析を行なえば、濃度をより高精度に求めることができる。
【0011】
多変量回帰分析法では、一度に多くの吸光度情報を用いて回帰分析することができるので、単回帰分析に比べて高い精度の定量分析が可能である。重回帰分析は最も多用されているが、多数の試料が必要であり、各波長の吸光度値どうしの相関が高い場合にはその定量分析精度は非常に低くなる。一方、多変量回帰分析法である主成分回帰分析法は多波長の吸光度情報を互いに無相関な主成分に集約させることができ、さらに不必要なノイズデータを削除することができるので、高い定量分析精度が得られる。また部分最小二乗法は主成分の抽出の際に試料濃度のデータも利用することができるので、主成分回帰分析法と同様に高い定量分析精度を得ることができる。
【0012】
【実施例】
図2は参考例を表わす。採尿部としての尿瓶1aの外部に配置される測定部2aから尿瓶1a内に挿入できるように折れ曲がった形状のプローブ9が設けられている。プローブ9は送光用導光路5と受光用導光路6を含み、プローブ9の先端には送光端7と受光端8を有し、送光端7と受光端8が尿瓶1内の尿中に浸される。送光端7は送光用導光路5の先端に設けられ、受光端8は受光用導光路6の先端に設けられている。導光路5,6は例えば光ファイバで構成され、送光端7と受光端8は例えば直角プリズムである。送光端7と受光端8との間の間隔が所定の間隔に保たれて測定用の光路長を規定している。
【0013】
測定部2aは送光側導光路5の基端部へ可視又は近赤外の波長領域の測定光を導入する光源部、及び受光側導光路6により導かれた測定光を受光する受光部を備えている。光源部からの測定光は導光路5を通って送光端7から照射される。送光端7から照射された測定光は受光端8に入射し、導光路6を経て測定部2aの受光部へ導かれる。測定部2aでは測定しようとする尿中成分のそれぞれについて選択された測定波長での吸光度を測定する。測定部2aによる複数の測定波長での吸光度測定値を基にして複数の尿中成分濃度を算出するために演算処理部3が設けられている。演算処理部3による尿中成分濃度の算出結果を出力するために表示部4が設けられている。
【0014】
図3は第1の実施例を表わす。
採尿部としての尿瓶1bはその先端にセル10を備えている。セル10は尿瓶1bと内部空間がつながり、尿瓶1bの外部に突出している。セル10は石英ガラスやBK7ガラスのように可視及び近赤外の波長領域の光を透過する材質で構成されている。
【0015】
測定部2bはセル10を設置するセル設置部を有し、セル設置部に設置されたセル10に可視又は近赤外の波長領域の測定光を照射する光源部11と、セル10を透過した測定光を受光する受光部12を備え、測定しようとする尿中成分のそれぞれについて選択された測定波長での吸光度を測定する。
【0016】
測定部2bはさらに、セル10が測定部2bのセル設置部に設置されたことを光学的又は機械的に検知するセンサー部13bをさらに備えている。測定部2bの動作はセンサー部13bがセル10を検知したことを示す信号に基づいて開始するように構成されている。センサー部13bには圧力センサー、チルトセンサー、光センサーなどを使用することができる。演算処理部3と表示部4は図2のものと同じである。
【0017】
図4は第2の実施例を表わす。
採尿部としての尿瓶1cは尿瓶本体から突出し開閉可能な尿排出用ノズル14を有している。測定部2cは尿瓶のノズル14から排出された尿を受ける位置にセル15、そのセル15に可視又は近赤外の波長領域の測定光を照射する光源部11、及びセル15を透過した測定光を受光する受光部12を備え、測定しようとする尿中成分のそれぞれについて選択された測定波長での吸光度を測定する。尿瓶の尿排出用ノズル14は電磁弁14aにより開閉される電磁ノズルであり、測定部2cはノズル14が測定部2cの所定の位置に設置されたことを光学的又は機械的に検知するセンサー部13cをさらに備えている。そして、測定部2cのセンサー部13cがノズル14の存在を検知したことを示す信号に基づいて電磁弁14aが一定時間開くように構成されている。
【0018】
図2から図4の測定装置で、測定部2a〜2c中に設けられた光源部11は測定しようとする波長のレーザー光を発生するレーザーダイオードアレイ、発光ダイオードアレイ、発振波長が可変のレーザー装置、又は連続波長の光を発生するランプ光源などを備えている。受光部12には検出器としてCCDにてなるアレイ状受光素子、受光素子アレイ又は単一の受光素子などが設けられている。光源部11で光源として可変波長のレーザ装置や連続波長のランプを使用した場合は、光源からの光路が1つであるので光を混合するための光学系は必要ではないが、レーザーダイオードアレイや発光ダイオードアレイを使用した場合には選択された波長の測定光を測定光路に配置するために、光源部11には図5に示されるような光学系が必要となる。図5(A)は移動ミラー方式の光学系を示している。異なる波長λ1〜λmのレーザビームを発生する複数のレーザダイオードLD1〜LDmに対し、それぞれのレーザビームを反射させて共通の光軸18上に進めるためにミラー16−1〜16−mが配置され、各ミラー16−1〜16−mは光軸18上の位置と、それから外れた位置の間で移動可能に支持されている。選択した波長のレーザビームに対応したミラーのみを光軸18上におき、他のミラーを光軸から外すことにより、その選択されたレーザビームが光軸18上に進められる。図5(A)はレーザーダイオードアレイに代えて発光ダイオードアレイを用いる場合にも適用することができる。
【0019】
図5(B)は複数の波長のレーザダイオードアレイ又は発光ダイオードアレイからの波長の異なるビームを光軸18上に進める他の方法として回折格子20を用いた例である。各波長λ1〜λmのビームの回折光が共通の光軸18上にくるように、各ビームをそれぞれの波長に応じた入射角で回折格子20に入射させる。
【0020】
図3、図4の実施例で用いるセル10,15は、図6(A)に示されるような光路長が1種類のセル22に限らず、連続的又は段階的に異なる光路長を有するものとすることができる。そのような複数の光路長をもつセルの例は、図6(B)や(C)に示されるものである。図6(B)のセル24は4種類の光路長L1〜L4をもち、(C)のセル26は連続的に変化する光路長をもっている。光量測定感度は光路長と波長とに依存することが本発明者らによって見出されている(特願平5−174156号参照)。複数の尿中成分を測定する場合、それぞれの成分に応じて測定波長を選択するので、図6(B)や(C)のセルを用いると、測定波長に応じて光量測定感度の最も優れた光路長を選択することができる。図6(B)や(C)のセルを用いて測定するときは、光源からの選択された波長の測定光の光束断面積を光学系で拡大して広い断面積をもつ平行光28としてセルに入射させ、異なる光路長を透過した複数の測定光をCCDアレイなどのアレイ状検出器で同時に検出すればよい。その後、測定しようとする成分に応じた測定波長に最も適した光路長の検出信号を用いて成分濃度を算出することにより、S/N比の大きい測定を行なうことができる。
【0021】
図2から図4の測定装置で、検出部12での検出器としては図7に示されるような種々のものを用いることができる。(A)はCCDアレイ30、(B)はフォトダイオードなどの受光素子32をアレイ状に配列した受光素子アレイ34、(C)は単一の受光素子36である。CCDアレイや受光素子アレイは図6(B)や(C)の複数の光路長をもつセルを用いて各波長光を複数の光路長で測定するときに好都合である。
【0022】
図2から図4の測定装置で、光源部11の光源として連続波長を発生するランプ光源を使用した場合には、試料に入射する前又は試料を透過した後で各尿中成分について選択された波長ごとに分光する必要がある。図8は光源部又は受光部に設けられる分光部の例を示したものであり、(A)は複数のフィルタを円周上に配置したフィルタ切換え機構38を備え、フィルタを切り換えることにより波長を選択するようにしたもの、(B)は分光器40を用いて波長を選択するようにしたものである。
【0023】
次に、図2から図4の測定装置の動作について説明する。
図2の測定装置で測定するには、まず、プローブ9の先端が空気中にある状態で測定動作を開始させると、測定部2aから測定光が送光されて測定波長λjがj=1からnまで変化させられ、そのときの透過光量Ioj(j=1,2,……n)が測定される。
【0024】
次に、尿を入れた尿瓶1aにプローブ9を挿入して先端の送光端7と受光端8を尿中に浸す。そして、同様に特定動作を開始させると、同様に測定部2aから測定光が送光されて測定波長λjがj=1からnまで変化させられ、そのときの透過光量Itj(j=1,2,……n)が測定される。
演算処理部3ではこれらのIojとItjを基にデータ解析がなされ、各成分濃度Ck(k=1,2,……K)が求められて、表示部4に表示される。
【0025】
図3の測定装置で測定するには、まず、尿瓶1bが空(セル10も空)の状態でセル10を測定部2bのセル設置部に設置する。セル10がセル設置部に設置されるとセンサー部13bから検知信号が発生して測定部2bが測定動作を開始し、光源部11から測定光がセル10に入射させられ、セル10を透過した測定光が受光部12で受光される。このとき、測定波長λjがj=1からnまで変化させられ、そのときの透過光量Ioj(j=1,2,……n)が測定される。
【0026】
次に、尿瓶1bに尿を入れ、再びセル10を測定部2bのセル設置部に設置すると、同様にセンサー部13bから検知信号が発生して測定部2bが測定動作を開始する。このときも光源部11から測定光がセル10に入射させられ、セル10を透過した測定光が受光部12で受光される。このときも、測定波長λjがj=1からnまで変化させられ、そのときの透過光量Itj(j=1,2,……n)が測定される。演算処理部3ではこれらのIojとItjを基にデータ解析がなされ、各成分濃度Ck(k=1,2,……K)が求められて、表示部4に表示される。
【0027】
図4の測定装置で測定するには、まず、尿瓶1cが空の状態でノズル14を測定部2cの所定の位置に設置する。ノズル14が所定の位置に設置されるとセンサー部13cから検知信号が発生して電磁弁14aを一定時間開けるが、尿瓶1cが空であるので、セル15には尿試料は注入されない。その後、センサー部13cからの検知信号に基づいて測定部2cが測定動作を開始し、光源部11から測定光が空のセル15に入射させられ、セル15を透過した測定光が受光部12で受光される。このとき、測定波長λjがj=1からnまで変化させられ、そのときの透過光量Ioj(j=1,2,……n)が測定される。
【0028】
次に、尿瓶1cに尿を入れ、再びノズル14を測定部2cの所定の位置に設置すると、同様にセンサー部13cから検知信号が発生して電磁弁14aを一定時間開け、ノズル14からセル15には尿試料が注入される。その後、センサー部13cからの検知信号に基づいて測定部2cが測定動作を開始し、光源部11から測定光がセル15に入射させられ、セル15を透過した測定光が受光部12で受光される。このときも測定波長λjがj=1からnまで変化させられ、そのときの透過光量Itj(j=1,2,……n)が測定される。演算処理部3ではこれらのIojとItjを基にデータ解析がなされ、各成分濃度Ck(k=1,2,……K)が求められて、表示部4に表示される。
【0029】
尿中に含まれる幾つかの成分について個別に測定を行なった結果を示す。
各尿中成分の測定波長として、水に対して強い吸収をもつ波長領域を避け、水に対して透過率の高い25000〜5280cm-1又は4980〜4000cm-1の波数領域から選択する。相関係数の絶対値が0.5以上の波長領域を測定波長領域とする。
【0030】
図9から図11はグルコース水溶液の測定結果である。図9は濃度の異なる複数の試料のスペクトルを表わしたものであり、5000cm-1付近で指示が振り切れている領域は水の吸収領域である。複数の濃度の異なるものついて測定をしているため、複数のスペクトルが重ねられて表示されている。このスペクトルから吸光度と濃度の間の相関係数を求めた結果が図10である。図9のスペクトルは、相関係数が0.1以下の領域を参照波長領域としてそれらの領域での吸光度値を基にしてスペクトルを補正している。
ある成分についての波長λjでの吸光度Aと濃度との相関係数Rjは次の式により与えられる。
【0031】
【数1】
【0032】
上記の式中、Aijはi番目のサンプルでのその成分の波長λjでの吸光度、Ciはi番目のサンプルでのその成分の濃度である。
尿中試料の測定成分にグルコースを含める場合は、相関係数の絶対値が0.5以上の波長領域を測定波長領域とする。図10から、波数で表現すると、測定波長は11380〜9720cm-1、9430〜9400cm-1、9340〜9320cm-1、9260〜6560cm-1、6510〜5540cm-1、5530〜5280cm-1、4980〜4850cm-1、4830〜4480cm-1、4440〜4330cm-1又は4300〜4010cm-1から選択するのが好ましい。
【0033】
図11は4398cm-1で測定したグルコースの濃度と吸光度の関係を表わす検量線である。この結果から相関係数の大きい波長域を使えば定量分析が可能であることが分かる。図11での直線の傾きは最小二乗法により求められたものであり、その直線の傾きが(1)式の吸光係数αjkである。
【0034】
図12から図15は同様にしてヘモグロビンについて測定した結果である。図12と図13はヘモグロビン水溶液の種々の濃度のスペクトル、図14はその相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図、図15は10500cm-1での検量線を表わしたものである。
図14から、ヘモグロビンに対しては測定波長は25000〜7250cm-1、7220〜6430cm-1、6190〜5690cm-1、5660〜5280cm-1又は4900〜4080cm-1から選択するのが好ましい。
【0035】
図16から図18は同様にしてアルブミンについて測定した結果である。図16はアルブミン水溶液の種々の濃度のスペクトル、図17はその相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図、図18は4371cm-1での検量線を表わしたものである。
図17から、アルブミンに対しては測定波長は7280〜6350cm-1、5910〜5880cm-1、5790〜5740cm-1、5630〜5300cm-1、4900〜4720cm-1、4670〜4280cm-1又は4230〜4070cm-1から選択するのが好ましい。
【0036】
図19から図21は同様にしてアセト酢酸リチウムについて測定した結果である。図19はアセト酢酸リチウム水溶液の種々の濃度のスペクトル、図20はその相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図、図21は5780cm-1での検量線を表わしたものである。
図20から、アセト酢酸リチウムに対しては測定波長は8490〜6360cm-1、6040〜5610cm-1、5430〜5300cm-1、4900〜4760cm-1、4680〜4510cm-1又は4470〜4320cm-1から選択するのが好ましい。
【0037】
図22から図24は同様にしてアスコルビン酸について測定した結果である。図22はアスコルビン酸水溶液の種々の濃度のスペクトル、図23はその相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図、図24は4404cm-1での検量線を表わしたものである。
図23から、アスコルビン酸に対しては測定波長は7270〜6520cm-1、6430〜5290cm-1、4950〜4860cm-1又は4810〜4090cm-1から選択するのが好ましい。
【0038】
図25から図27は同様にしてクレアチニンについて測定した結果である。図25はクレアチニン水溶液の種々の濃度のスペクトル、図26はその相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図、図27は4370cm-1での検量線を表わしたものである。
図26から、クレアチニンに対しては測定波長は9370〜5870cm-1、5810〜5280cm-1、4980〜4730cm-1、4690〜4320cm-1又は4290〜4090cm-1から選択するのが好ましい。
【0039】
図28から図30は同様にして塩化ナトリウムについて測定した結果である。図28は塩化ナトリウム水溶液の種々の濃度のスペクトル、図29はその相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図、図30は6645cm-1での検量線を表わしたものである。
図29から、塩化ナトリウムに対しては測定波長は7640〜5280cm-1又は4980〜4080cm-1から選択するのが好ましい。
【0040】
図31から図33は同様にして亜硝酸ナトリウムについて測定した結果である。図31は亜硝酸ナトリウム水溶液の種々の濃度のスペクトル、図32はその相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図、図33は6766cm-1での検量線を表わしたものである。
図32から、亜硝酸ナトリウムに対しては測定波長は8680〜5300cm-1、4980〜4210cm-1又は4160〜4100cm-1から選択するのが好ましい。
【0041】
【発明の効果】
本発明では尿瓶に取りつけたセルにより尿の吸光度を測定したり、尿瓶に設けたノズルから尿を採取して尿の吸光度を測定する。そして、その吸光度測定値から尿中成分濃度を演算処理するようにしたので、ベッドに寝たままであっても尿を簡単に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の概念を示すブロック図である。
【図2】 参考例を示すブロック図である。
【図3】 第1の発明を示すブロック図である。
【図4】 第2の発明を示すブロック図である。
【図5】 光源部で複数の光束を単一の光軸に乗せる光学系を示す概略構成図であり、(A)は移動ミラー方式、(B)は回折格子方式を表わしている。
【図6】 本発明で用いられるセルの例を示す図であり、(A)は光路長が単一のセルの概略正面図、(B)は4つの光路長をもつセルの概略平面図、(C)は連続的に変化する光路長をもつセルの概略平面図である。
【図7】 検出部での検出器の例を示す概略平面図であり、(A)はCCDアレイ、(B)はフォトダイオードなどの受光素子をアレイ状に配列した受光素子アレイ、(C)は単一の受光素子を表わしている。
【図8】 分光部の例を示す図であり、(A)はフィルタを用いる例、(B)は分光器を用いる例を表わしている。
【図9】 グルコース水溶液の濃度の異なる複数の試料のスペクトルを示す図である。
【図10】 グルコース水溶液の相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図を示す図である。
【図11】 グルコース水溶液の4398cm-1での濃度と吸光度の関係を表わす検量線の図である。
【図12】 ヘモグロビン水溶液の濃度の異なる複数の試料のスペクトルを示す図である。
【図13】 ヘモグロビン水溶液の他の濃度の異なる複数の試料のスペクトルを示す図である。
【図14】 ヘモグロビン水溶液の相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図を示す図である。
【図15】 ヘモグロビン水溶液の10500cm-1での濃度と吸光度の関係を表わす検量線の図である。
【図16】 アルブミン水溶液の濃度の異なる複数の試料のスペクトルを示す図である。
【図17】 アルブミン水溶液の相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図を示す図である。
【図18】 アルブミン水溶液の4371cm-1での濃度と吸光度の関係を表わす検量線の図である。
【図19】 アセト酢酸リチウム水溶液の濃度の異なる複数の試料のスペクトルを示す図である。
【図20】 アセト酢酸リチウム水溶液の相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図を示す図である。
【図21】 アセト酢酸リチウム水溶液の5780cm-1での濃度と吸光度の関係を表わす検量線の図である。
【図22】 アスコルビン酸水溶液の濃度の異なる複数の試料のスペクトルを示す図である。
【図23】 アスコルビン酸水溶液の相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図を示す図である。
【図24】 アスコルビン酸水溶液の4404cm-1での濃度と吸光度の関係を表わす検量線の図である。
【図25】 クレアチニン水溶液の濃度の異なる複数の試料のスペクトルを示す図である。
【図26】 クレアチニン水溶液の相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図を示す図である。
【図27】 クレアチニン水溶液の4370cm-1での濃度と吸光度の関係を表わす検量線の図である。
【図28】 塩化ナトリウム水溶液の濃度の異なる複数の試料のスペクトルを示す図である。
【図29】 塩化ナトリウム水溶液の相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図を示す図である。
【図30】 塩化ナトリウム水溶液の6645cm-1での濃度と吸光度の関係を表わす検量線の図である。
【図31】 亜硝酸ナトリウム水溶液の濃度の異なる複数の試料のスペクトルを示す図である。
【図32】 亜硝酸ナトリウム水溶液の相関係数(吸光度−濃度)の波長分布図を示す図である。
【図33】 亜硝酸ナトリウム水溶液の6766cm-1での濃度と吸光度の関係を表わす検量線の図である。
【符号の説明】
1,1a,1b,1c 尿瓶
2,2a,2b,2c 測定部
3 演算処理部
4 表示部
5 送光側送光路
6 受光側送光路
7 送光端
8 受光端
9 プローブ
10,15 セル
11 光源部
12 受光部
13b,13c センサー部
14 ノズル
14a 電磁弁
Claims (5)
- 採尿部本体と内部でつながり、採尿部本体先端部から先端方向に突出した突出部を備えた尿瓶と、
前記突出部により採取された尿に可視又は近赤外の波長領域の測定光を照射する光源部、及びその尿を透過した測定光を受光する受光部を備え、測定しようとする尿中成分のそれぞれについて選択された測定波長での吸光度を測定する測定部と、
前記測定部による複数の測定波長での吸光度測定値を基にして複数の尿中成分濃度を算出する演算処理部と、を備えたことを特徴とする尿中成分の測定装置。 - 前記突出部は所定の光路長を有するセルであり、
前記測定部は前記セルを設置するセル設置部を有し、前記光源部はそのセル設置部に設置されたセルに測定光を照射するように配置され、前記受光部はそのセルを透過した測定光を受光するように配置されている請求項1に記載の測定装置。 - 前記測定部は前記セルがセル設置部に設置されたことを光学的又は機械的に検知するセンサー部をさらに備え、測定部の動作はそのセンサー部がセルを検知したことを示す信号に基づいて開始する請求項2に記載の測定装置。
- 前記突出部は開閉可能な尿排出用ノズルであり、
前記測定部は前記ノズルから排出された尿を受ける位置に配置されたセルを備え、前記光源部はそのセルに測定光を照射するように配置され、前記受光部はそのセルを透過した測定光を受光するように配置されている請求項1に記載の測定装置。 - 前記ノズルは電磁弁により開閉される電磁ノズルであり、
前記測定部は前記ノズルが測定部の所定の位置に設置されたことを光学的又は機械的に検知するセンサー部をさらに備え、
前記電磁弁は前記センサー部がノズルを検知したことを示す信号に基づいて一定時間開く請求項4に記載の測定装置。
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