JP3773319B2 - 溶接開先形状計測方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイプの円周自動溶接装置等において利用できる溶接開先形状計測方法に関する。特には、リップ部を有しない裏当金の当てられた溶接開先の形状を素早く計測することのできる溶接開先形状計測方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パイプの円周自動溶接を例にとって説明する。二本のパイプを突き合わせて自動溶接装置により溶接接続する場合に、まず溶接すべき開先の位置を正確に溶接装置に把握させる必要がある。ここで、溶接開先は機械加工によりかなり正確に加工されるのであるが、パイプの寸法差や溶接装置をパイプに取り付ける際の誤差により、溶接装置の基準位置(座標)と溶接開先位置との関係には毎回(溶接装置を移動させる毎に)差が生じるので、溶接装置をパイプに固定した後で溶接開始前に、開先位置(形状)を計測しておく必要が生じる。
【0003】
図2は、タッチセンサを用いて開先形状を計測する従来の方法を説明するための溶接開先部の断面図である。
図中において、左右にパイプ端部(母材)3が対向して配置されており、両者の間に溶接開先1′が存在する。この場合の溶接開先1′は、リップ部11を有する。リップ部11では、開先側壁5′は傾斜しておらず真直ぐ下がっている。母材3の裏(下)には裏当金9が当てられている。なお、図の左右方向(パイプの軸方向)をY方向といい、図の上下方向(パイプの半径方向)をZ方向という。
【0004】
この溶接開先1′の形状を計測する際には、タッチセンサとして溶接トーチ13の先から下に出ているワイヤー15を用いる。すなわち、トーチ13を開先1′内に下ろしていってワイヤー15の先が開先壁に付くと、ワイヤー15と開先壁とが導通して接触を検知する。トーチ13をY方向に所定ピッチP(一例0.1mm)で動かして、トーチ13を下げて開先壁との接触位置を検知して行けば、図中の開先壁上の点A、B、C、D、Eの位置を計測できる。
【0005】
このように溶接開先形状を計測する際に、開先壁の終点(内側)を検知することが必要となる。図2の従来の場合では、開先がリップ部11を有するものであるので、それを利用して次のようにしていた。まず、開先壁5の角度は既知であるので、例えば点Dの位置を計測した後に、次の点Eの位置を予測できる。すなわち、点Eの位置は、点Dの位置からY方向に+Pで、Z方向に−Psinθ(θは開先角度)である。そして実際に点Eを計測した値と上記予測値とを比較する。点Eは、開先壁5上の位置であるので、予測値と計測値とはほぼ等しい。
【0006】
しかし、計測点が開先壁5を外れた点Fとなると、リップ部11の存在により、点Fは大きくZ方向に落ち込むため、E点から予測した点(F′)と実際の点FとはZ位置が大きく異なる。ここで、点F′と点FとのZ差(図中ΔH)を算出し、これがある基準値(例えば1mm)を超えたら開先壁5を外れたものと判断していた。これにより、リップ部11の壁5′の位置をP(一例0.1mm)の精度で計測することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の方法はリップ部のある溶接開先にのみ有効な方法で、リップ部のない溶接開先には適用できなかった。
【0008】
本発明は、パイプの円周自動溶接装置等で利用できる溶接開先形状計測方法であって、リップ部を有しない裏当金の当てられた溶接開先の形状を素早く計測することのできる溶接開先形状計測方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の開先形状計測方法は、裏当金の当てられている溶接開先の断面の形状をタッチセンサを用いて自動的に計測する方法であって; 開先内を開先断面横方向(Y方向)にタッチセンサを一方向に移動させながら、所定のピッチ毎にタッチセンサを降ろして開先側壁にタッチさせ、その際のタッチセンサの上下方向(Z方向)位置(Z値)を計測して開先形状を求めるものであり、 各ピッチ毎に、前回タッチ時のZ値と今回タッチ時のZ値との差及び上記ピッチ幅から、開先側壁の角度を算出し、該角度が基準値よりも小さくなった時点で、開先底到達を認定することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1は、本発明の1実施例に係る開先形状計測方法を説明するための図であって、パイプ突き合わせ溶接開先の断面図である。
図中において、左右にパイプ端部(母材)3が対向して配置されており、両者の間に溶接開先1が存在する。この場合の溶接開先1は、図2の従来の溶接開先とは異なり、リップ部を有しない。
【0011】
この溶接開先1の形状を計測する際には、従来同様に、タッチセンサとして溶接トーチ13の先から下に出ているワイヤー15を用いる。すなわち、トーチ13を開先1内に下ろしていってワイヤー15の先が開先壁に付くとワイヤー15と開先壁とが導通して接触を検知する。トーチ13をY方向にあるピッチP(一例0.1mm)で動かして、トーチ13を下げて開先壁との接触位置を検知して行けば、図中の開先壁上の点A、B、C・・・の位置を計測できる。
【0012】
図1の場合で溶接ヘッドの終点を検出する方法は次のとおりである。
各回の位置計測毎に、前回の位置(例えばC)と今回の位置(例えばD)との間の傾斜角を算出する。点C及びDは開先壁5上の点であるので、線CDの傾斜角は開先壁5の傾斜角である(多少の誤差はある)。
【0013】
ところが、計測点が開先壁5から外れると、例えば裏当金9表面の点Eにタッチすると、線DEの傾斜角は、開先壁5の傾斜角よりも小さくなる。さらに、次の点Fになると、線EFの傾斜角は、裏当金9表面の傾斜であるためほとんど0になる。
【0014】
ここで、今回計測(タッチ)点と前回計測点とを結ぶ線の傾斜が基準値よりも小さくなった時点で、開先壁終了と判定すれば、開先壁のY方向位置を、Pレベルの誤差で計測することができる。
【0015】
開先壁終了を判定する傾斜角の基準値としては、開先壁の傾斜角の1/12〜1/4程度が好ましく、例えば開先壁傾斜角60°に対しては基準値5〜15°とすることで誤りなく開先形状を計測できる。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、リップ部を有しない裏当金の当てられた溶接開先の形状を素早く計測することのできる溶接開先形状計測方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係る開先形状計測方法を説明するための図であって、パイプ突き合わせ溶接開先の断面図である。
【図2】タッチセンサを用いて開先形状を計測する従来の方法を説明するための溶接開先部の断面図である。
【符号の説明】
1 溶接開先 3 パイプ端部
5 開先側壁 7 裏当金表面
9 裏当金 11 リップ部
13 トーチ 15 ワイヤー

Claims (2)

  1. 裏当金の当てられている溶接開先の断面の形状をタッチセンサを用いて自動的に計測する方法であって;
    開先内を開先断面横方向(Y方向)にタッチセンサを一方向に移動させながら、所定のピッチ毎にタッチセンサを降ろして開先側壁にタッチさせ、その際のタッチセンサの上下方向(Z方向)位置(Z値)を計測して開先形状を求めるものであり、
    各ピッチ毎に、前回タッチ時のZ値と今回タッチ時のZ値との差及び上記ピッチ幅から、開先側壁の角度を算出し、該角度が基準値よりも小さくなった時点で、開先底到達を認定することを特徴とする溶接開先形状計測方法。
  2. 上記角度基準値が5〜15°である請求項1記載の溶接開先形状計測方法。
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