JP3773307B2 - 管の曲げ加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管を曲げ型と締め型とにより挟持し、締め型を曲げ型の廻りに公転させて曲げ加工する管の曲げ加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、管の曲げ加工時に、断面変形や、しわの発生を抑えるために芯金が用いられている。芯金には種々のものがあるが、例えば、特開昭63−235026号公報にあるように、径方向には伸縮可能で軸方向に伸長阻止部材を備えた可撓性の弾性チューブを管内に挿入し、このチューブに非圧縮性の流体を圧入した状態で曲げ加工を行い、断面変形やしわの発生を抑えるものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来のものでは、弾性チューブがクッションとして作用して断面変形やしわの発生を十分に抑えることができず、また弾性チューブを径方向に伸縮可能で軸方向には伸長阻止部材を備えた構成としなければならず、構造が複雑であるという問題があった。
【0004】
本発明の課題は、簡単な構造で有効に断面変形やしわの発生を抑えることができる管の曲げ加工装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はかかる課題を解決するため、次の方法を取った。即ち、
管を曲げ型と締め型とにより挟持し、前記締め型を前記曲げ型の廻りに公転させて曲げ加工する曲げ加工装置において、
前記管の曲げ加工箇所を間にして前記管内に挿入される一対の遮断部材の一方を前記管内に挿入した支持軸に取り付け、他方を径方向には可撓性を有する連結部材に係止し、前記連結部材により一対の前記遮断部材を連結して軸方向の離間を規制すると共に、前記両遮断部材間に液体を注入して加圧する加圧機構を備え、加圧状態で曲げ加工することを特徴とする管の曲げ加工装置がそれである。
【0006】
また、前記遮断部材は軸方向に相対的に移動可能な一対の蓋部材と、該一対の蓋部材に挟持されたリング状の弾性部材とを備え、前記相対的な移動により前記弾性部材を前記管内周に押し付けてもよく、更に、前記連結部材は一端が前記一方の遮断部材を貫通して抜け止めされたワイヤと、前記一対の遮断部材間の前記ワイヤに通された多数の球とを有し、前記ワイヤの他端をシリンダで駆動される駆動軸に締結してもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図2に示すように、1は装置本体で、装置本体1の前側には曲げ半径に応じて形成された曲げ型2が配置されており、この曲げ型2の外周には管4の外径に応じた溝6が形成されている。曲げ型2に対向して締め型8が曲げ型2に接近・離間可能に曲げアーム9上に支持されており、締め型8を曲げ型2に接近させて、曲げ型2の溝6と締め型8に形成された溝10とにより、管4を挟持することができるようにされている。
【0008】
また、曲げアーム9は曲げ型2の中心Cの廻りに回転駆動され、管4を挟持した状態で締め型8を、図2の矢印方向に、曲げ型2の廻りに公転させて管4を曲げ加工できるようにされている。このときの曲げ反力を受ける圧力型12が締め型8に隣接して配置されている。
【0009】
装置本体1上には、管4の軸方向に沿って一組のレール14,15が敷設されており、レール14,15には、移動台16がレール14,15に沿って移動可能に係合され、図示しない駆動機構によりレール14,15に沿って移動されるように構成されている。
【0010】
管4を把持するチャック機構20が、移動台16に搭載されており、チャック機構20はチャック本体22に放射状に移動可能に支持され、供給される圧力流体により管4に向かって移動する3個の爪24,25(一部のみ図示する)により管4の外周を把持する構成のものである。
【0011】
チャック本体22は、図3に示すように、移動台16にベアリング26,27により支持された回転軸28の前端面に固定されている。回転軸28の後端には、プーリ30が固定されており、プーリ30に掛けられたベルト31を介して、移動台16上に搭載されたモータ32により回転軸28を所定角度回転することができるように構成されている。
【0012】
一方、装置本体1の後側には、支持部材38が立設されており、支持部材38には、管4と同軸上に配置された中空の支持軸40の一端が固定されている。支持軸40の先端は、回転軸28を貫通して、管4の他端側から管4内に挿入されており、支持軸40の先端は曲げ型2の中心C近傍にまで延出されている。支持軸40の外径は、管4に挿入できる程度に形成されている。
【0013】
支持軸40の先端には、第1蓋部材42が螺着されており、第1蓋部材42には軸方向に摺動孔44が貫設されている。摺動孔44には、第2蓋部材46が摺動可能に挿入されており、また、第1蓋部材42と第2蓋部材46とによりリング状の弾性部材48が挟持されている。
【0014】
弾性部材48の外径は、管4の内周に軽く接触するか、あるいは、管4内周よりも少し小さく形成されて、管4の内周に容易に挿入できるように形成されている。そして、第1蓋部材42と第2蓋部材46との相対的な軸方向の移動により、弾性部材48が押圧されると径方向に膨張し、弾性部材48が管4の内周に押し付けられるように形成されている。これら第1蓋部材42、第2蓋部材46、弾性部材48により第1遮断部材50が形成されている。
【0015】
第1遮断部材50に対向して、対をなす第2遮断部材52が管4内に挿入されており、第1遮断部材50と第2遮断部材52とは、管4の曲げ加工の際に曲げられる箇所の全長がその間に入る距離に配置されている。そして、第2遮断部材52は、管4の先端側の第1蓋部材54と第1遮断部材50側の第2蓋部材56とを備え、第1蓋部材54と第2蓋部材56とには、リング状の弾性部材58が挟持されている。第1蓋部材54と第2蓋部材56とは、隙間を空けて配置されており、相対的に移動できるようにされている。この弾性部材58も前述した弾性部材48と同様に形成されている。
【0016】
第1蓋部材54には、管4先端側から有底孔60が形成されており、有底孔60には弾性を有するシール部材62が挿入されている。一端に止め具64がかしめられて抜け止めされたワイヤ66にシール球68が通されて、また、ワイヤ66がシール部材62、第1蓋部材54、第2蓋部材56を通されて第1遮断部材50側に延出されている。
【0017】
ワイヤ66の他端は、第1遮断部材50の第2蓋部材46を貫通すると共に、第2蓋部材56と第2蓋部材46との間のワイヤ66には、更に、硬質のゴム球69が通された後、多数の鋼球70が隙間なく接触するようにして通されている。また、ゴム球69と鋼球70とには、第2蓋部材56と第2蓋部材46との間の全域にわたってウレタン製の弾性管72が被せられている。
【0018】
第2蓋部材46には、ワイヤ66と同軸上に支持軸40側から挿入孔74が形成されており、挿入孔74には中空の駆動軸76が摺動可能に挿入されると共に、Oリング78により漏れ止めが図られている。駆動軸76の先端には、ピン80が径方向に挿入されており、このピン80にワイヤ66が巻掛けられると共に、止め具82がかしめられて、ワイヤ66が締結されている。尚、本実施例では、止め具64、ワイヤ66、シール球68、シール部材62、ゴム球69、鋼球70、弾性管72、止め具82により連結部材83が構成されている。
【0019】
また、第2蓋部材46には、第1遮断部材50と第2遮断部材52とにより区画された作用室Aと、挿入孔74と、を連通する供給孔84が下方に向かって貫通形成されており、第2蓋部材46の上側には、中空の支持軸40と駆動軸76との間の通路40aと作用室Aとを連通した排気孔86が形成されている。
【0020】
駆動軸76の後端は、支持部材38に設けられたシリンダ88に連結されており、支持部材38には支持軸40の通路40aに連通した接続孔90が形成されており、接続孔90は所定圧力の液体を供給する圧力源92の吸入側に接続されている。また、圧力源92の吐出側は、中空の駆動軸76内の通路76aに接続されている。尚、本実施例では、支持軸40、駆動軸76、挿入孔74、供給孔84、排気孔86、接続孔90、圧力源92により加圧機構94が形成されている。圧力源92から供給される液体は、作動油、水等の非圧縮性の流体であればよい。
【0021】
次に、前述した本実施例の管の曲げ加工装置の作動について説明する。
まず、管4内に第2遮断部材52と第1遮断部材50とを入れ、管4を支持軸40に沿って挿入し、管4の端を回転軸28に突き当てる。その際、第2遮断部材52は、弾性管72に支持軸40と一直線上に支持されているので、第2遮断部材52を管4に容易に入れることができる。
【0022】
移動台16がレール14,15に沿って移動され、管4を曲げ型2と締め型8との間に供給する。そして、管4の曲げ加工箇所を曲げ型2に応じた位置にまで移動した後、移動台16の移動を停止し、チャック機構20に圧力流体を供給して、爪24,25を管4に向かって移動させる。この爪24,25により管4の外周が押圧され、管4が爪24,25と支持軸40とにより把持される。
【0023】
次に、シリンダ88を駆動して駆動軸76を図3の右方向に移動する。これにより、ワイヤ66が引かれて、止め具64、シール球68、シール部材62を介して第1蓋部材54が第2蓋部材56に接近する方向に移動される。更に、第1蓋部材54、弾性部材58、第2蓋部材56、ゴム球69、多数の鋼球70を介して、第2蓋部材46が第1蓋部材42に接近する方向に移動される。
【0024】
よって、両弾性部材48,58が軸方向に押圧されて、径方向に膨張され、管4の内周に押し付けられる。これにより、第1遮断部材50と第2遮断部材52との間の作用室Aが遮断され、圧力源92からの液体が駆動軸76の通路76a、挿入孔74を介して供給孔84から吐出される。
【0025】
そして、第1遮断部材50と第2遮断部材52との間の空気は、排気孔86、支持軸40の通路40a、接続孔90を介して排気される。第1遮断部材50と第2遮断部材52との間の作用室Aに液体が充満され、所定圧まで加圧される。この液体の圧力の作用を両第2蓋部材46,56が受けて、両第1蓋部材42,54に接近する方向に移動して、両弾性部材48,58を押圧して更に管4の内周に押し付けて、漏れ止めをより確実なものとする。また、同時にゴム球69とシール球68及びシール部材62とにより、ワイヤ66と第2蓋部材56、第1蓋部材54との間の漏れ止めが行われる。
【0026】
続いて、締め型8を曲げ型2に向かって移動させて、曲げ型2と締め型8とにより管4を挟持すると共に、圧力型12を管4の外周に接触させる。曲げアーム9を回転させて、締め型8を曲げ型2の廻りに公転させ、図4に示すように、管4を曲げ型2の形状に応じて曲げ加工する。連結部材83は、ワイヤ66が第1遮断部材50と第2遮断部材52とが離間しようとするのを阻止し、曲げに応じて鋼球70によりゴム球69が圧縮されつつ、ワイヤ66、弾性管72が曲がる。
【0027】
その際、圧力源92により管4の内周には所定圧が加えられると共に所定圧が維持され、曲げ加工箇所の全域にわたって加圧される。よって、管4には断面を円形に維持しようとする作用力が働き、また、作用室Aには、非圧縮性である液体が充満しているので、作用室Aの容積の減少を阻止しようとする作用力も働くので、管4の断面変形やしわの発生が曲げ加工箇所の全域にわたって防止される。このように、単純な構造により、管4の断面変形やしわの発生を抑えながら曲げ加工できる。
【0028】
締め型8を曲げ型2の廻りに所定角度公転させて曲げ加工した後、締め型8を曲げ型2から離間してから逆方向に公転させて元の位置に戻す。そして、シリンダ88を駆動して、駆動軸76を図3の左側に移動して、ワイヤ66を緩めると共に、圧力源92による加圧を停止する。
【0029】
よって、両弾性部材48,58と管4の内周とが摺動できるようになり、移動台16を移動して管4の次の曲げ加工箇所を曲げ型2に応じた位置に移動する。その際、曲げ方向が異なる場合には、モータ32を駆動して、ベルト31、プーリ30、回転軸28、チャック機構20を介して管4を回転させる。そして、ワイヤ66を引くと共に、圧力源92から所定圧の液体を供給して、再び前述したように、締め型8と曲げ型2とにより管4を挟持して曲げ加工する。
【0030】
次に、前述した実施例と異なる第2実施例の管の曲げ加工装置について、図5によって説明する。尚、前述した実施例と同じ部材については同一番号を付して詳細な説明を省略する。
支持軸40の先端には、第1遮断部材100が螺着されており、第1遮断部材100の外周には、Oリング102が嵌着されて管4内周との間の漏れ止めが図られている。第1遮断部材100と曲げ加工箇所を間にして、第2遮断部材104が配置されており、第2遮断部材104の外周には、Oリング106が嵌着されて管4内周との間の漏れ止めが図られている。
【0031】
第2遮断部材104には、管4の先端側からねじ孔108、ねじ孔108に連接した収納孔110が形成されており、ワイヤ66の一端の止め具64が収納孔110に収納され、ワイヤ66は第2遮断部材104を貫通して第1遮断部材100側に延出されている。ねじ孔108には、プラグ112が螺入されて、漏れ止めが図られている。
【0032】
第1遮断部材100には、支持軸40側から挿入孔114、挿入孔114に連接した収納孔116が形成されており、挿入孔114には中空の駆動軸118が挿入されている。この駆動軸118は支持部材38に固定されており、軸方向に移動しない。
【0033】
そして、ワイヤ66の他端は、第1遮断部材100を貫通されて、止め具120がかしめにより取り付けられて、収納孔116に収納されている。第1遮断部材100と第2遮断部材104との間のワイヤ66には弾性管72が被せられている。この弾性管72は、ウレタン等のものでもよく、第2遮断部材104を支持軸40と同軸上に支持できるものであれば、コイルスプリング等であっても実施可能である。
【0034】
この第2実施例では、第2遮断部材104が弾性管72により支持軸40と同軸上に支持されるので、管4に第2遮断部材104を容易に挿入できる。次に、第1遮断部材100を挿入し、圧力源92から供給される液体は、駆動軸118の通路118aから、収納孔116、供給孔84を介して第1遮断部材100と第2遮断部材104との間の作用室A内に供給される。そして、作用室A内の空気は、排気孔86、支持軸40の通路40aを通り、外部に排気される。
【0035】
圧力源92からの所定圧の液体により、管4を内周から加圧し、この状態で前述した実施例と同様に、管4を曲げ型2と締め型8とにより挟持して、締め型8を曲げ型2の廻りに公転して曲げ加工する。前述した実施例に比べて、管4の肉厚が薄く、圧力源92から供給される液体の所定圧が低くてもよい場合や、Oリング102,106の耐久性等が問題とならない場合には、この第2実施例により、管4の断面変形やしわの発生をより簡単な構造で防止できる。
【0036】
以上本発明はこの様な実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の管の曲げ加工装置は、管を内周から、しかも管の曲げ加工箇所の全域にわたって加圧した状態で曲げ加工することができるので、曲げ加工時の管の断面変形やしわの発生を有効に防止できる。また、遮断部材が一対の蓋部材とリング状の弾性部材とを備えることにより、供給される液体の圧力を利用して漏れ止めを図ることもできる。更に、連結部材にワイヤを用いたものでは、ワイヤをシリンダにより引くことによりリング状の弾性部材を押圧して漏れ止めを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての管の曲げ加工装置の要部拡大断面図である。
【図2】本実施例の管の曲げ加工装置の全体斜視図である。
【図3】本実施例の管の曲げ加工装置の概略構成図である。
【図4】本実施例の締め型を曲げ型の廻りに公転して曲げ加工している状態の拡大断面図である。
【図5】第2実施例の管の曲げ加工装置の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1…装置本体 2…曲げ型
4…管 8…締め型
12…圧力型 40…支持軸
42,54…第1蓋部材 46,56…第2蓋部材
48,58…弾性部材
50,100…第1遮断部材
52,104…第2遮断部材
66…ワイヤ 72…弾性管
76,118…駆動軸 83…連結部材
92…圧力源 94…加圧機構

Claims (3)

  1. 管を曲げ型と締め型とにより挟持し、前記締め型を前記曲げ型の廻りに公転させて曲げ加工する曲げ加工装置において、
    前記管の曲げ加工箇所を間にして前記管内に挿入される一対の遮断部材の一方を前記管内に挿入した支持軸に取り付け、他方を径方向には可撓性を有する連結部材に係止し、前記連結部材により一対の前記遮断部材を連結して軸方向の離間を規制すると共に、前記両遮断部材間に液体を注入して加圧する加圧機構を備え、加圧状態で曲げ加工することを特徴とする管の曲げ加工装置。
  2. 前記遮断部材は軸方向に相対的に移動可能な一対の蓋部材と、該一対の蓋部材に挟持されたリング状の弾性部材とを備え、前記相対的な移動により前記弾性部材を前記管内周に押し付けることを特徴とする請求項1記載の管の曲げ加工装置。
  3. 前記連結部材は一端が前記一方の遮断部材を貫通して抜け止めされたワイヤと、前記一対の遮断部材間の前記ワイヤに通された多数の球とを有し、前記ワイヤの他端をシリンダで駆動される駆動軸に締結したことを特徴とする請求項2記載の管の曲げ加工装置。
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