JP3772024B2 - 饋電電圧補償装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気車に電力を供給する饋電回路の饋電電圧の変動を抑制する饋電電圧補償装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
饋電回路の電圧降下対策は直流饋電系統と交流饋電系統とにより個々にはその補償方式が異なるが、本発明は、同じ考え方により両方式に適用することができるので、以下では、主として直流饋電系統をベースに説明するものとする。
【0003】
図12は、この種従来の直流饋電系統の概略構成を示す図である。図において、1、2は交流電力系統、3、4は交流電力系統1、2からの三相交流電圧を降圧し、更に直流に変換して後述する饋電回路に直流電力を供給する饋電変電所で、整流器5、6や高速度遮断器7、8、9、10、その他図示しない受電設備、整流器用変圧器、電力ろ波器等を備えている。11は饋電変電所3、4間に設置された饋電区分所で、高速度遮断器12、13を備えている。
【0004】
14は電気車、15は饋電回路で、饋電線16(実際には、電気車14のパンタグラフと直接接触するトロリー線とこのトロリー線に電力を供給する給電線とからなるが、ここでは便宜上、これを統括して饋電線と称するものとする)と帰線(レール)17とからなる。
【0005】
以下、主として、図12の饋電回路における饋電電圧の変動の状況について説明する。
変電所間隔は、饋電方式、電気車出力や列車運転間隔などにより異なるが、都市圏の幹線では、5km程度、地方では10km程度である。また、饋電区分所は変電所間隔が長い場合、電圧降下救済のため隣接する変電所と接続されて電気車に並列饋電される。
【0006】
ところで、図12の直流饋電回路の場合、各饋電変電所3、4の等価内部抵抗は、0.03〜0.06Ωであり、また、饋電線16の抵抗は、シンプルカテナリ方式で0.0409Ω/km程度、コンパウンドカテナリ方式で0.0366Ω/km程度であり、電気車14が饋電線の末端で受電するときはかなりの電圧降下が生じる。
現行の標準的な直流饋電回路では、饋電電圧の基準値をDC1500Vとし、列車の走行特性を考慮してその電圧変動範囲がDC1650V(+10%)〜DC1125V(−25%)に収まるように計画されている。
しかし、列車の運転状況(力行、惰行、制動状態)や複数列車の同一饋電区間進入等により電圧は大幅に変動する。
【0007】
例えば、6M4T(Mは駆動車、Tは従動車)で編成される10両編成の標準的な列車では、饋電線から供給される電流は、500A×6R=3000A程度となる。
この時の、饋電区分所11近傍の饋電線16での電圧降下分は、2個所の饋電変電所から並列給電されたとして、例えば、(0.04Ω+0.0409Ω×5km)×3000A/2=367V程度となり、従って、電気車14のパンタグラフ点での饋電電圧は1133Vとなる。
【0008】
以上の概算結果によっても、饋電電圧はかなり大幅に変化することが判る。そこで、現在、饋電電圧の電圧降下対策として各種の案が実施されている。基本的には3つの方策があるが、その第1案は、饋電抵抗を低減する方策で、饋電変電所間を接続する饋電線の断面積を大きくしてその抵抗値を小さくする方式や饋電区間長を短くする方式である。
第2案は変電所の送り出し電圧を高くして列車給電電圧を規定の電圧に保つ方策で、シリコン整流器をサイリスタ整流器にして負荷に応じて電圧を調整する方式やシリコン整流器にサイリスタ整流器を直列に接続して電圧降下分をサイリスタ整流器で調節する方式である。又は標準饋電電圧をDC1500VからDC3000Vにして、饋電電流を半減する方式である。更に、第3案は饋電線の一部にフライホイールエネルギー貯蔵装置を使って電力の蓄積と放出を行い、饋電電圧を調整する方式である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の饋電電圧降下対策である以上の3つの案は夫々特徴があり有効な方策であるが、実用性、経済性、電圧改善効果や保守性等で更に改善が求められる。即ち、第1案においては、饋電線を太くするにも敷設上の問題や特性改善に限界がある。饋電区間長を短くするには変電所の増設となり経済性で負担が大となる。第2案は定常的に電圧降下が生じている時はその分送り出し電圧を上げる制御は比較的容易であるが、負荷変動が大の時は、列車の位置による給電電圧を加味しなければ、過大電圧を饋電する危険がある。故に調整できる饋電電圧に制約が生じる。
第3案は原理的に優れた対策であるが、回転体であるため、機械損、風損などのエネルギー損があることと保守に手がかかり、また、設置箇所に制約がある。
【0010】
この発明は以上のような問題点を解消するためになされたもので、饋電線の断面積の増大や饋電変電所の増設等高コストの対策を要することなく、簡便な構成で保守等の煩雑さを伴うことがない饋電電圧補償装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る饋電電圧補償装置は、電源を備え、負荷である電気車に電力を供給する饋電回路に上記負荷と並列となるように大容量のコンデンサを接続し、上記電源からの電源電力または制動時の上記電気車からの回生電力により上記コンデンサを充電し、力行時の上記電気車に上記コンデンサからの放電電力を供給することにより、上記電気車からなる負荷の変動による上記饋電回路の電圧変動を抑制するようにしたものであり、
その饋電回路に直流電圧が適用される場合は、コンデンサを直流/直流変換器を介して上記饋電回路に接続し、その饋電回路に交流電圧が適用される場合は、コンデンサを直流/交流変換器を介して上記饋電回路に接続したものであり、
その変換器をその変換電圧比を調整可能なものとし、饋電電圧の基準値におけるコンデンサへの印加電圧を、電気車の力行運転が予測される場合には上記コンデンサの基準値より高く、上記電気車の回生運転が予測される場合には上記コンデンサの基準値より低く設定するようにしたものである。
【0012】
また、この発明に係る饋電電圧補償装置は、その変換器をその変換電圧比を調整可能なものとすることにより、コンデンサの充放電量を饋電電圧の変動幅で決まる限界量以上に増大させるようにしたものである。
【0013】
また、この発明に係る饋電電圧補償装置は、そのコンデンサと直列に挿入され、上記コンデンサの充電時の電流を制限する抵抗を備えたものである。
【0014】
また、この発明に係る饋電電圧補償装置は、その抵抗と並列に接続され、コンデンサの放電時に上記抵抗を短絡するダイオードを備えたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における饋電電圧補償装置の構成を示すもので、饋電区分所11に設けられた大容量のコンデンサ18がこの饋電電圧補償装置に相当する。そして、このコンデンサ18には、特にその充放電特性が優れた電気二重層のコンデンサが適用される。同図(b)は、このコンデンサ18の設置による饋電電圧の補償効果を概念的に説明するものである。
変電所Aと変電所Bとの間の饋電区間に電気車が在線し力行状態であると、電気車への給電は変電所Aと変電所Bとからなされ、軌道に沿った饋電線電圧は特性E1のようになる。特性E2はこのコンデンサ18を接続しない場合の饋電線電圧の降下状態を示している。なお、特性E0は、この饋電区間に電気車が在線しない時の饋電線電圧を示しており、ほぼ饋電変電所の出力端の無負荷電圧に近い値になっている。
【0016】
即ち、このコンデンサ18は、両饋電変電所A、Bからの電源電力または電気車14の制動時の回生電力により充電され、電気車14の力行時には、饋電変電所A、Bからの電力と並列に、充電された上記コンデンサ18からの放電電力が電気車14に供給されることになるので、等価的に変電所間隔が短くなる。換言すれば電気車14から変電所までの距離が短くなることになり、このコンデンサ18を設置した場合の特性E1は、コンデンサ18を設置しない場合の特性E2に比較して改善される訳である。
【0017】
ところで、饋電回路は電気車を負荷とする特異な電力供給系統であるが、この特異性が、饋電電圧補償装置としてコンデンサを使用する場合に極めて有利に作用する点(この発明創出のきっかけとなった着眼点でもある)につき以下に説明する。
【0018】
図2は饋電回路の負荷となる電気車(列車)の加速特性曲線を示す。図において、横軸は電動機の電流値を示し、縦軸は速度を示している。図中、I0は加速制御の限流値で電動機の特性により異なるが通常400Aから500A程度である。この値を一定にすることにより列車の加速力を一定にすることができるので乗客の乗り心地がよくなる。速度が上昇すると図中、S点にて示しているように、電動機には饋電電圧に相当する電圧が印加され限流値以下になって電動機特性に従った加速特性で速度が上昇する。この特性の内、C1は饋電電圧が低いときを示し、電圧が高いと順次C2、C3と加速特性は上昇し列車の表定速度を高くできる。
【0019】
この特性が示すように列車は限流値制御されるので、饋電線負荷としては定電流負荷であるので電気二重層コンデンサを使用した饋電電圧補償装置としては、電流を制限する機能が付加されなくても饋電電圧には直接左右されないで、負荷側が限流制御することになるので、過大電流が流れる心配はなく好都合である。 換言すれば、列車に電力を供給する電源設備として直接饋電線に電気二重層コンデンサから電力を饋電しても、過電流が流れることはない。コンデンサに蓄えられる電気量Qは、Q=CVで表される。即ち、コンデンサは電力が消費されると電圧が降下するので、電池のように一定の電圧を維持することはできないので、ある規定値までの降下電圧まで負荷が定電流で電力を消費することが、電気二重層コンデンサから電力変換なく直接に給電することが出来る所以である。
【0020】
更にこの饋電電圧補償装置においては、負荷である列車の運転特性上適していることがある。以下このことについて順次説明する。
図3は代表的な列車の運転曲線を示している。A駅からB駅までの列車の運転状態を示しており、図中、P1が示すようにA駅から列車は力行して規定の速度まで加速する。この間、列車は饋電線から電力が供給されて、電力を消費する。P2の間は列車は惰行状態で走行し、走行抵抗分で速度は減速する。この間は走行には電力を消費しない。P3はB駅に停止するための減速のための制動状態を示している。この間は、回生設備のある列車は饋電線を通して電力を回生する(回生設備のない列車は発電制動か又は機械制動で減速する)。
但し、この時、回生電力を都合よく消費する列車が同じ饋電区間に在線するか、または、ここで説明する電気二重層コンデンサの饋電電圧補償装置のように電力を蓄積する設備がある場合に回生が可能である。これらがない時には回生失効する。
【0021】
以上、運転曲線について述べたように、列車の走行は、常に饋電線から電力を消費しているのではなく、ほとんど加速の力行時に電力を消費する傾向がある。これは変電所にとっては、列車走行時間の内で加速時間の間のみ規定の電圧で電力を供給しなければならず、しかも、饋電区間全てにおいて電圧を維持しなければならない。このように変電所は間歇的に集中負荷に電力を給電するので設備能力の点で稼働効率はよくない。
ところが、本発明の電気二重層コンデンサからなる饋電電圧補償装置を饋電線に接続すれば、列車の力行時以外の期間を利用して電力をコンデンサに貯え、この区間に進入した列車の力行時に変電所とこのコンデンサとで並列饋電するので、変電所の負荷は平準化されて負担が軽くなり、饋電電圧は安定する。
【0022】
ところで、機能上、電気二重層コンデンサの代わりに蓄電池を使えば同様な効果が得られるが、下記の理由で饋電電圧補償装置としては実用的でない。
(1)饋電電圧補償装置としては充放電が多頻度で行われるので、充放電頻度が300回程度に寿命がある蓄電池は適さない。
(2)電池の充電所要時間が長く、3分から10分程度の列車の運転サイクルに充放電特性が適さない。
(3)電気二重層コンデンサに比べ充放電時のエネルギー効率が悪い。
(4)電池の維持管理が必要で保守に時間がかかる。
以上のように、電気二重層コンデンサを饋電回路に接続するという簡便な構成で、饋電線の断面積の増大や饋電変電所の増設等高コストの対策を要することなく、饋電電圧の変動を抑制することができる。
【0023】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2における饋電電圧補償装置を示す構成図で、同図(a)はコンデンサC18と直列に電流制限抵抗R19を挿入したものである。この電流制限抵抗Rは饋電変電所からの充電電流を制限して充電時間を長くして饋電変電所の負担を低減するためのものである。これは、列車負荷が比較的閑散な路線で、饋電区間が長く饋電変電所の出力容量に余裕がない路線で電圧補償を行う場合に有効である。
【0024】
図4(b)は、同図(a)の変形例で、電流制限抵抗R19と並列にダイオードDd20を接続したものである。これにより、コンデンサCの充電時は同図(a)の場合と同様、電流制限効果を奏し、放電時はこの電流制限抵抗RをダイオードDdでバイパス(短絡)することにより、電圧補償機能の効率化を図っている。
【0025】
次に、図4(b)に示す構成の饋電電圧補償装置を適用した場合の動作を、列車の運転状況を踏まえて説明する。
ここでは、饋電区間に1列車が通過する場合、例えば、閑散区間や早朝または深夜の時間帯における列車の運転状況を図5に示す。同図(a)の横軸は時間で、縦軸は距離を示す。饋電変電所の饋電区間をL1−L2で示し、この区間にA駅、B駅ならびにC駅が位置している。
列車は各駅に停車し、各駅間では、図3に示したように、力行、惰行、制動を繰り返して走行する。図5(b)は列車の運転に基づく消費電力(回生装置無の場合)のタイムチャートを示している。また、同図(c)は回生装置有の場合を示している。縦軸のPは力行電力、Bは回生電力を示す。
【0026】
今、図5(b)において、力行の状態で電力を消費している時間をT1、惰行が制動の状態で電力を消費していない時間をT2とすると、通常、
T1<T2 ・・・(1)
が成立する。両者の差が比較的小さい、近郊電車や地下鉄等においても、T2/T1≒2程度である。この結果、放電時間に対して十分長い充電時間が確保される。
【0027】
図6および図7は、放電時と充電時の等価回路を示す。放電時は、図6に示すように、コンデンサCに蓄積された電荷により、電流I1がダイオードDdおよび饋電線の抵抗R1bを経て電気車14に流入する。不足分の電流は饋電変電所3から饋電線の抵抗R1aを経て電気車14に供給される。
充電時は、饋電変電所3から電流I2が饋電線の抵抗R1a+R1bを経てコンデンサCに流入する。この充電時の電流I2は電流制限抵抗Rによってその値が抑制される。換言すれば、充電時間(T2)が長くとれるので、その分、充電電流を小さく設定することができる。なお、各図において、r0はコンデンサCの内部抵抗を示す。
【0028】
直流電圧源(電圧V)にコンデンサ(容量C)と抵抗(抵抗値R)とを直列にして接続した回路における充放電電流は、一般的には、下記に示す時定数曲線の特性になる。
I=(V/R)・exp(−t/CR) ・・・(2)
しかし、先に示した定電流での充放電と考えると、放電電流I1は、
I1=(V2−V1)・C/T1 ・・・(3)
充電電流I2は、時間T2で元の状態まで充電するものとすると、
I2=(V2−V1)・C/T2 ・・・(4)
となり、(1)(3)(4)式から
I2<I1 ・・・(5)
の関係が得られる。
【0029】
ここで、(V2−V1)は充放電に伴う電圧変動幅である。
図8は、(3)(4)式による充放電電流を示すタイムチャートである。
以上のように、饋電変電所からコンデンサCへの充電電流I2を小さくすることにより、饋電変電所の負担を軽減することができるとともに、充電時のコンデンサCにおける内部抵抗による発生損失I2 2・r0を抑制してその発熱を減らすことができる。
【0030】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3における饋電電圧補償装置を示す構成図で、コンデンサC18を直流電圧の変換機能を有するDC/DCコンバータ21を介して饋電線16および帰線17間に接続するものである。
この方式によれば、コンデンサCの電圧を饋電電圧にかかわらず自由に設定できる。従って、このコンデンサCに電気二重層コンデンサを適用する場合、一般に電気二重層コンデンサの定格電圧を高く設定することは困難であるが、このDC/DCコンバータ21によって電圧の変換が可能となり、電気二重層コンデンサの饋電回路への適用が容易となる利点がある。
具体的には、電気二重層コンデンサは、セル単体の耐電圧が約2.7Vと低く、これを直列に接続して定格電圧を高めるにしても限度があり、機器製作上は、饋電電圧の2分の1から4分の1程度の750V〜400Vのコンデンサ電圧とし、DC/DCコンバータ21を使って1500Vの饋電線の電圧補償を可能とすることができる。
【0031】
また、列車運用の事情等から、饋電区間や時間帯により、力行負荷が比較的多い場合や回生負荷が比較的多い場合など、種々の負荷状況が考えられる。これらの負荷の種別によってコンデンサCの充放電動作が決定されるが、この動作に基づき変化するコンデンサCの電圧は、当該コンデンサに許容された電圧値以下に抑える必要がある。
この点、DC/DCコンバータ21は実質的なコンデンサCへの印加電圧を自由に設定することができ、予測される負荷の種別に応じてコンデンサCの電圧を最適な条件に調整することができる。以下、列車の運転状況の事例を参考に、DC/DCコンバータ21の動作要領について説明する。
【0032】
列車の運転において、閑散時間帯から過密時間帯に移る状態を図10(a)の列車運転ダイヤグラムに示す。饋電変電所の区間L1−L2にA駅とB駅が位置している。同図(b)は同区間内の総合負荷状況を示す。各列車TR1〜TR12はそれぞれ各駅停車で次駅まで、図3に示した力行、惰行、制動を繰り返して走行する。各列車には回生制動装置があり、制動時にはこれが使用される場合を想定している。
【0033】
時間t1〜t2の間は列車の運転間隔が空いているので、この饋電区間の電力は、消費と回生とを繰り返し負荷は平準化されている。この時、饋電変電所電力は、ほぼ1列車分の電力を負荷に供給し、同じほぼ1列車分の回生電力を蓄電する。
時間t2〜t3の間は列車の運転間隔が密になり、回生電力を2列車分蓄電する機会が増えている。
このように、列車運転状況により饋電区間の電力容量は異なるので、饋電電圧補償装置のコンデンサCの充電電力量、即ち、充電によるコンデンサ電圧は、時間帯により設定値を変更しておく方が設備容量の点で有利となる。
【0034】
図11はDC/DCコンバータ21によりコンデンサCの電圧設定を行う要領を示すもので、図中、VP1、VP2、VP3は、それぞれ放電モード、充放電モード、充電モードに対応する電圧特性を示す。
この内、VP1は回生列車が少ない場合に在線する列車に対して電力を放電して饋電電圧を維持する特性である。VP2は回生と放電の機会がほぼ同等である時の饋電電圧を維持する特性である。VP3は回生電力が多くある時の饋電電圧を維持する特性である。
【0035】
次に、図10で示した饋電区間に適用する場合について説明すると、先ず、時間t1〜t2の間は、充電と放電とが同様に交互に繰り返すので、図11のVP2の電圧特性に設定しておけば、コンデンサCでの過充電もなく回生電力を有効に利用できてよい。時間t2〜t3の間は、回生電力が2列車分重なる機会が多くなるので、図11のVP3の電圧特性に設定しておけば、回生電力をすべて吸収して列車の回生失効を生じることなく電力の有効利用を図ることができる。
【0036】
以上のように、DC/DCコンバータ21付き饋電電圧補償装置は、コンデンサ電圧を饋電電圧と独立して制御することができるので、列車運転密度等に応じてコンデンサ電圧を設定し、回生モード、充放電モード、放電モードと初期設定電圧を、順次、低い電圧から高い電圧まで切り替えることにより、回生電力の有効利用と饋電電圧の補償とを共に達成することができる。
【0037】
また、DC/DCコンバータがなければ、コンデンサCの充放電量は饋電電圧の変動幅の範囲内に制限されることになるが、DC/DCコンバータを設けてコンデンサCと饋電電圧との間の電圧比を自由に制御できれば、上記した饋電電圧の変動幅で決まる限界値以上の充放電量を確保することができる。
【0038】
なお、上記実施の形態では直流饋電回路に適用した場合について説明したが、DC/ACコンバータ(図示なし)を用い、このDC/ACコンバータを介してコンデンサCを饋電回路に接続するようにすれば、この発明は交流饋電回路にも適用することができ、上記した形態例と同等の効果を奏することは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る饋電電圧補償装置は、電源を備え、負荷である電気車に電力を供給する饋電回路に上記負荷と並列となるように大容量のコンデンサを接続し、上記電源からの電源電力または制動時の上記電気車からの回生電力により上記コンデンサを充電し、力行時の上記電気車に上記コンデンサからの放電電力を供給することにより、上記電気車からなる負荷の変動による上記饋電回路の電圧変動を抑制するようにしたので、饋電線の断面積や饋電変電所の増設等高コストの対策を要することなく、簡便な構成で饋電電圧の補償が可能となる。
更に、その饋電回路に直流電圧が適用される場合は、コンデンサを直流/直流変換器を介して上記饋電回路に接続し、その饋電回路に交流電圧が適用される場合、コンデンサを直流/交流変換器を介して上記饋電回路に接続したので、コンデンサの電圧定格を饋電回路の電圧と独立に設定することが可能となる。
更に、その変換器をその変換電圧比を調整可能なものとし、饋電電圧の基準値におけるコンデンサへの印加電圧を、電気車の力行運転が予測される場合には上記コンデンサの基準値より高く、上記電気車の回生運転が予測される場合には上記コンデンサの基準値より低く設定するようにしたので、回生電力の有効利用と饋電電圧の補償とを共に達成することができる。
【0040】
また、この発明に係る饋電電圧補償装置は、その変換器をその変換電圧比を調整可能なものとすることにより、コンデンサの充放電量を饋電電圧の変動幅で決まる限界量以上に増大させるようにしたので、コンデンサの容量を、回生電力の利用および電圧の補償に最大限活用することが可能となる。
【0041】
また、この発明に係る饋電電圧補償装置は、そのコンデンサと直列に挿入され、上記コンデンサの充電時の電流を制限する抵抗を備えたので、コンデンサの充電動作に伴う電源側の負担が緩和される。
【0042】
また、この発明に係る饋電電圧補償装置は、その抵抗と並列に接続され、コンデンサの放電時に上記抵抗を短絡するダイオードを備えたので、コンデンサの蓄積電力が有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1における饋電電圧補償装置を適用した直流饋電系統を示す図である。
【図2】 電気車(列車)の加速特性曲線を示す図である。
【図3】 代表的な列車の運転曲線を示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態2における饋電電圧補償装置を示す構成図である。
【図5】 列車の運転状況の一例を示す図である。
【図6】 コンデンサの放電時の等価回路を示す図である。
【図7】 コンデンサの充電時の等価回路を示す図である。
【図8】 コンデンサの充放電電流を示すタイムチャートである。
【図9】 この発明の実施の形態3における饋電電圧補償装置を示す構成図である。
【図10】 列車運転ダイヤグラムの一例を示す図である。
【図11】 DC/DCコンバータによる電圧設定特性を示す図である。
【図12】 従来の直流饋電系統を示す図である。
【符号の説明】
1,2 交流電力系統、3,4 饋電変電所、11 饋電区分所、
14 電気車、15 饋電回路、16 饋電線、17 帰線、
18 コンデンサ、19 電流制限抵抗、20 ダイオード、
21 DC/DCコンバータ。
Claims (4)
- 電源を備え、負荷である電気車に電力を供給する饋電回路に上記負荷と並列となるように大容量のコンデンサを接続し、上記電源からの電源電力または制動時の上記電気車からの回生電力により上記コンデンサを充電し、力行時の上記電気車に上記コンデンサからの放電電力を供給することにより、上記電気車からなる負荷の変動による上記饋電回路の電圧変動を抑制するようにした饋電電圧補償装置であって、
上記饋電回路に直流電圧が適用される場合は、上記コンデンサを直流/直流変換器を介して上記饋電回路に接続し、上記饋電回路に交流電圧が適用される場合は、上記コンデンサを直流/交流変換器を介して上記饋電回路に接続し、
上記変換器をその変換電圧比を調整可能なものとし、饋電電圧の基準値における上記コンデンサへの印加電圧を、上記電気車の力行運転が予測される場合には上記コンデンサの基準値より高く、上記電気車の回生運転が予測される場合には上記コンデンサの基準値より低く設定するようにしたことを特徴とする饋電電圧補償装置。 - 電源を備え、負荷である電気車に電力を供給する饋電回路に上記負荷と並列となるように大容量のコンデンサを接続し、上記電源からの電源電力または制動時の上記電気車からの回生電力により上記コンデンサを充電し、力行時の上記電気車に上記コンデンサからの放電電力を供給することにより、上記電気車からなる負荷の変動による上記饋電回路の電圧変動を抑制するようにした饋電電圧補償装置であって、
上記饋電回路に直流電圧が適用される場合は、上記コンデンサを直流/直流変換器を介して上記饋電回路に接続し、上記饋電回路に交流電圧が適用される場合は、上記コンデンサを直流/交流変換器を介して上記饋電回路に接続し、
上記変換器をその変換電圧比を調整可能なものとすることにより、上記コンデンサの充放電量を饋電電圧の変動幅で決まる限界量以上に増大させるようにしたことを特徴とする饋電電圧補償装置。 - コンデンサと直列に挿入され、上記コンデンサの充電時の電流を制限する抵抗を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の饋電電圧補償装置。
- 抵抗と並列に接続され、コンデンサの放電時に上記抵抗を短絡するダイオードを備えたことを特徴とする請求項3記載の饋電電圧補償装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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