JP3771862B2 - 半導体デバイス劣化診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイオードやサイリスタあるいはIGBT等の半導体デバイスの耐圧の経年劣化や故障を診断するための半導体デバイス劣化診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発電所や変電所では、整流装置や発電機励磁装置などの主回路交直変換部にダイオードやサイリスタあるいはIGBTなどの半導体デバイスが使用されている。このような半導体デバイスは、一般に定格電圧が降伏電圧よりも低い値に設定されており、良好なオフ特性、すなわち降伏電圧以下の印加電圧では電流が殆ど流れない特性を有している。しかしながら、上記装置に使用されて長期間経過した半導体デバイスでは、経年劣化などによって降伏電圧が低下する場合がある。そして、降伏電圧が定格電圧よりも低くなると、回路中で短絡現象を引き起こして過渡電流が流れ、その半導体デバイスを使用している上記装置の運転停止や損傷に至る虞がある。
【0003】
そこで従来より、上述のような降伏電圧の低下を検出して半導体デバイスの劣化を診断するために、半導体デバイスの降伏電圧近傍であって降伏電圧よりも低いレベルに耐圧を設定し、上記装置の定期点検等で耐圧を測定することにより半導体デバイスの劣化診断を行っている。具体的には、非導通状態における半導体デバイスの逆方向電圧−電流特性から耐圧を求め、劣化診断を行う劣化診断手法が一般的に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の劣化診断手法で半導体デバイスの耐圧を正確に求めるためには、定格電圧以上の高電圧を半導体デバイスに印加する必要があり、劣化診断時に半導体デバイスに過度の電圧ストレスを与えることとなって、半導体デバイスが損傷や破壊されてしまう虞があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、定格電圧以下の印加電圧であっても耐圧の劣化を精度よく診断できる半導体デバイス劣化診断装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、段階的に上昇する直流電圧に低周波の交流電圧を重畳してなる測定電圧を診断対象の半導体デバイスに対して印加する測定電圧印加手段と、半導体デバイスに印加される測定電圧の交流成分を検出する電圧検出手段と、半導体デバイスに流れるリーク電流の交流成分を検出する電流検出手段と、測定電圧の交流成分とリーク電流の交流成分との位相差を計測する位相差計測手段と、計測された位相差と測定電圧並びにリーク電流の各交流成分の検出値に基づいて半導体デバイスのリアクタンスを求める演算手段と、演算手段で求めたリアクタンスに基づいて半導体デバイスの耐圧の劣化度合いを判断する劣化判断手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、電流検出手段から出力される検出信号より高周波ノイズを除去する低域通過フィルタを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、低周波の発振信号を出力する発振器と、入力電圧を昇圧した直流電圧の電圧レベルを発振器から出力される発振信号に応じて変化させることにより測定電圧を生成する電源部とで測定電圧印加手段を構成したことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る半導体デバイス劣化診断装置の動作原理について説明する。一般にダイオードやサイリスタなどの半導体デバイスに逆方向電圧を印加した場合、あるいはオフ状態で順方向電圧を印加した場合の等価回路は、半導体デバイスの内部抵抗Rsと接合容量Cjの並列回路で表される。この半導体デバイスに、例えば低周波の交流電圧Vacが重畳された直流電圧Vdcが逆方向に印加されると、半導体デバイスのpn接合の空乏層が有する接合容量Cjのために、図2に示すように半導体デバイスに流れるリーク電流の交流成分Iracは、交流電圧Vacに対して位相差θだけ位相が進むこととなる。
【0010】
ここで、リーク電流Irは下記式(1)で示すように交流成分Iracと直流成分Irdcの和で表され、各成分Irac,Irdcは、半導体デバイスを含めた測定回路のインピーダンスをZ、測定回路の線路抵抗をRoとしてそれぞれ下記式(2),(3)で表される。
【0011】
Ir=Irac+Irdc …(1)
Irac=Vac/Z …(2)
Irdc=Vdc/(Ro+Rs) …(3)
上述のように半導体デバイスの等価回路が内部抵抗Rsと接合容量Cjの並列回路で表されることから、測定回路の線路リアクタンスをLoとすれば、インピーダンスZの実数部R及び虚数部(リアクタンス)Xはそれぞれ下記式(4),(5)で表され、位相差θは式(6)で表される。
【0012】
R=Ro+Rs/(1+ω2・Cj2・Rs2) …(4)
X=ω{Lo−Cj・Rs2/(1+ω2・Cj2・Rs2)} …(5)
但し、ω=2πf、fは交流電圧Vacの周波数とする。
【0013】
θ=tan-1(−X/R) …(6)
なお、交流電圧Vacの周波数fが低ければ、上記式(5)の右辺第1項は第2項に比較してほぼ無視できるレベルであるから、上記式(5)で表されるリアクタンスXを半導体デバイスのリアクタンスとみなしても特に支障はない。
【0014】
ここで、半導体デバイスの耐圧が劣化するということは、内部抵抗Rsが減少することを意味しており、上記式(5)で表されるリアクタンスXには内部抵抗Rsの2乗の項が分子に含まれているため、内部抵抗Rsの変化に応じてリアクタンスXが大きく変化する、すなわち、高い感度を有していると考えられる。図3及び図4は、交流電圧Vacの周波数fを20[Hz]として内部抵抗Rs及び接合容量Cjの変化に対するリアクタンスXの絶対値|X|並びにインピーダンスZの絶対値|Z|がそれぞれどのように変化するかをシミュレーションしたグラフを示しており、リアクタンスX並びにインピーダンスZの何れも内部抵抗Rsの減少に伴って絶対値が低下することが判る。但し、図3と図4を見比べると、インピーダンスZに比較してリアクタンスXの変化率の方が大きいので、劣化診断にはリアクタンスXを用いる方が望ましいと考えられる。
【0015】
而して、半導体デバイス(例えば、ダイオード)に逆方向に印加する直流電圧Vdcのレベルを段階的に上昇させると、pn接合付近に広がる空乏層の幅dが印加電圧に応じて拡大するため、下記式(7)で表される接合容量Cjは減少することになる。
【0016】
Cj=εS/d 但し、ε:誘電率、S:空乏層の面積 …(7)
これに対して内部抵抗Rsは、印加電圧がある程度のレベルまで上昇しないと減少しない。したがって、耐圧が劣化していない正常品では、印加電圧(直流電圧Vdc)の上昇に伴って図3の矢印Aに示すようにリアクタンスXの絶対値|X|が単調増加するものと考えられる。これに対して耐圧が劣化した劣化品では、印加電圧の上昇に伴って空乏層の幅dがある限界まで広がった後に内部抵抗Rsが減少することになるため、図3の矢印Bに示すように接合容量Cjがある程度減少した後に内部抵抗Rsが大幅に減少するものと考えられる。なお、図5は交流電圧Vacの周波数fを1000[Hz]としたときの内部抵抗Rs及び接合容量Cjの変化に対するリアクタンスXの絶対値|X|がどのように変化するかをシミュレーションしたグラフを示している。図5から明らかなように内部抵抗Rsの変化に対するリアクタンスXの絶対値|X|の変化率が著しく小さくなっている。つまり、劣化診断の精度を高めるためには、半導体デバイスに印加する測定電圧の周波数(交流電圧Vacの周波数f)はある程度まで低い値に設定する必要がある。
【0017】
而して、リーク電流の交流成分Iracと交流電圧Vacとの位相差θからリアクタンスXを求め、直流電圧Vdcの上昇に伴うリアクタンスXの変化に基づいて半導体デバイスの劣化度合いを診断することができるものであり、本発明者らは、診断時に半導体デバイスに印加する測定電圧(交流電圧Vacを直流電圧Vdcに重畳した電圧)を定格電圧まで上昇させる必要がなく、半導体デバイスに加える電圧ストレスが抑制できることを実験的に確認している(2001年10月3日 社団法人電気学会発行の電気学会研究会資料 電力技術・電力系統技術合同研究会 37頁〜42頁参照)。
【0018】
以下、上記原理を用いた半導体デバイス劣化診断装置の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1に本実施形態のブロック図を示す。本実施形態の半導体デバイス劣化診断装置は、正弦波からなる低周波の発振信号(交流電圧Vac)を出力する発振回路(発振器)2と、発振回路2から出力される発振信号を直流電圧Vdcに重畳させて測定電圧Vxを得る重畳回路3と、重畳回路3から出力される測定電圧Vxを増幅する増幅回路4と、診断対象の半導体デバイス(ダイオードやサイリスタなど)1に逆方向(あるいはオフ状態で順方向)に測定電圧Vxを印加したときに流れるリーク電流Irを検出するリーク電流検出回路5と、交流電圧Vacの実効値を検出する交流電圧検出回路6と、リーク電流検出回路5で検出されるリーク電流の交流成分(以下、「交流リーク電流」と呼ぶ)Iracの瞬時値と交流電圧Vacの瞬時値との差分ΔIVの実効値を検出する差分検出回路7と、上記各回路の制御並びに各検出値から位相差θやリアクタンスX等を求める演算処理を行う演算処理ブロック10とを備える。
【0020】
発振回路2は、例えばダイレクト・ディジタル・シンセサイザ(DDS)で構成され、演算処理ブロック10から与えられる指令に応じた周波数及び振幅レベルの正弦波の発振信号(交流電圧Vac)を作成するものである。なお、上記DDSは従来周知のものであって、ROMに予め書き込まれている波形データを一定のクロックにより読み取り、その波形データをD/A変換してアナログ波を出力するデバイスである。そして、発振回路2から出力される交流電圧Vacを重畳回路3において演算処理ブロック10から出力される直流電圧Vdcに重畳して測定電圧Vxが作成され、さらに増幅回路4で増幅された測定電圧Vxが半導体デバイス1に印加される。
【0021】
リーク電流検出回路5は、半導体デバイス1と直列に接続された検出抵抗Rxと、リーク電流Irのレベルに応じた検出抵抗Rxの両端電圧を増幅する増幅器5aと、増幅器5aの出力(検出信号)を増幅する絶縁増幅器5bと、絶縁増幅器5bで増幅された検出信号に含まれる高周波ノイズを除去するローパスフィルタ(カットオフ周波数:10[kHz])5cと、高周波ノイズが除去された検出信号から交流リーク電流Iracの成分を除去してリーク電流Irの直流成分(以下、「直流リーク電流」と呼ぶ)Irdcの検出値MIrdcを得るローパスフィルタ(カットオフ周波数:1[Hz])5dと、高周波ノイズが除去された検出信号から直流リーク電流Irdcの成分を除去するハイパスフィルタ(カットオフ周波数:0.1[Hz])5eと、バッファ5fと、バッファ5fを介して入力される交流リーク電流Iracの検出信号の検出値(実効値)MIracを出力するDCコンバータ(いわゆるRMS−DCコンバータ)5gとを具備する。また、交流電圧検出回路6は、バッファ6aと、バッファ6aを介して入力される交流電圧Vacの検出値(実効値)MVacを出力するDCコンバータ(いわゆるRMS−DCコンバータ)6bとを具備する。さらに、差分検出回路7は、交流電圧Vacと、リーク電流検出回路5のハイパスフィルタ5eから出力される交流リーク電流Iracの検出信号とを差動増幅する差動増幅器7aと、差動増幅器7aの出力から差分ΔIVの検出値(実効値)MΔ IVを求めるDCコンバータ(いわゆるRMS−DCコンバータ)7bとを具備する。
【0022】
演算処理ブロック10はマイクロコンピュータを主構成要素とし、診断対象の半導体デバイス1に対して印加する測定電圧Vxを制御する制御部11と、制御部11から発振回路2に対して発振信号の波形や周波数を決定する指令をディジタル信号で与える入出力部12と、制御部11から発振回路2に対して与えられる発振信号の振幅を決定する指令をアナログ信号に変換して出力するとともに、制御部11から出力される指令に応じた直流電圧Vdcを重畳回路3に対して出力するD/A変換部13と、リーク電流検出回路5、交流電圧検出回路6並びに差分検出回路7からそれぞれ検出値MIrac,MIrdc,MVac,MΔ IVを取り込んでディジタル値に変換するA/D変換部14と、A/D変換部14でディジタル値に変換された上記各検出値MIrac,MIrdc,MVac,MΔ IVより位相差θやリアクタンスXの絶対値|X|等を演算する演算部15と、演算部15で求めたリアクタンスXの絶対値|X|に基づいて半導体デバイス1の耐圧の劣化度合いを判断する劣化判断部16とを具備する。但し、制御部11、演算部15並びに劣化判断部16は、マイクロコンピュータで後述する劣化診断用プログラムを実行することによって実現されるものである。
【0023】
次に、図6のフローチャートを参照し、定格電圧が600Vの半導体デバイス1(ダイオード)の劣化診断を行う場合の動作を説明する。
【0024】
まず、上記劣化診断用プログラムが起動すると診断に必要なパラメータ、例えば、交流電圧Vacの周波数及び実効値、直流電圧Vdcの開始電圧、終了電圧並びに開始電圧から終了電圧まで上昇させる際のステップ電圧などを設定する初期化処理が行われ(ステップ1)、続いて制御部11がD/A変換部13を通じて重畳回路3に指令を与えることで直流電圧Vdcが開始電圧に設定される(ステップ2)。そして、開始電圧(例えば、100V)に設定された直流電圧Vdcに交流電圧Vacが重畳され且つ増幅された測定電圧Vxが半導体デバイス1に印加されて上記各検出値MIrac,MIrdc,MVac,MΔ IVの計測が行われる(ステップ3)。演算部15では、A/D変換部14から複数回(例えば、16回)取り込んだ各検出値MIrac,MIrdc,MVac,MΔ IVの平均値をそれぞれの検出値MIrac,MIrdc,MVac,MΔ IVのデータとし、これらのデータから位相差θ、リアクタンスXの絶対値|X|並びにインピーダンスZの実数成分Rをそれぞれ演算する(ステップ4)。具体的には、交流リーク電流Iracの検出値MIrac、交流電圧Vacの検出値MVac並びに両者の差分ΔIVの検出値MΔ IVに余弦定理を適用することによって、下式のように位相差θを求める。
【0025】
θ=cos-1{(MVac 2+MIrac 2−MΔ IV 2)/(2×MIrac×MVac)}
また、上式より求めた位相差θから下式によりリアクタンスXの絶対値|X|及びインピーダンスZの実数成分Rを求める。
【0026】
|X|=MVac×sinθ/MIrac
R=MVac×cosθ/MIrac
ここで、リーク電流、すなわち交流リーク電流Iracの検出値MIracと直流リーク電流Irdcの検出値MIrdcの和の値が閾値(例えば、80[μA])を超えているか否かを演算部15で判断し(ステップ5)、超えている場合には、位相差θやリアクタンスXの絶対値|X|を求める処理を行わずに、劣化判断部16にて直ちに劣化品と判断して処理を終了する(ステップ8)。
【0027】
一方、リーク電流が上記閾値を越えていない場合、制御部11にて直流電圧Vdcが終了電圧(例えば、300V)に一致しているか否かを判断し(ステップ6)、一致していなければ現在の直流電圧Vdcにステップ電圧(例えば、100V)を加算した値を新たに直流電圧Vdcに設定した計測電圧Vxを半導体デバイス1に印加する(ステップ7)。なお、演算部15による上記演算は、直流電圧Vdcをステップ電圧分だけ上昇させた場合に計測電圧Vxが安定するまでの待ち時間内に行われる。そして、直流電圧Vdcが終了電圧に達するまで上記ステップ3〜ステップ7の処理が繰り返されて位相差θ、リアクタンスXの絶対値|X|及びインピーダンスZの実数成分Rが求められる。
【0028】
劣化判断部16では、演算部15で求めた位相差θ又はリアクタンスXの絶対値|X|が、測定電圧Vxの変化(直流電圧Vdcの上昇)に伴って変化する際の過程に基づいて半導体デバイス1の劣化度合いを判断する(ステップ8)。すなわち、図3に示すように劣化品の場合には、測定電圧Vxの上昇に伴ってリアクタンスXの絶対値|X|が上昇から低下に転じ且つその低下率が劣化度合いに対応していることから、劣化判断部16にてリアクタンスXの絶対値|X|の変化率(低下率)に基づいて半導体デバイス1の劣化度合いを判断している。
【0029】
而して、本実施形態によれば、定格電圧(例えば600V)の半分程度(例えば300V)までの測定電圧Vxを印加して劣化診断を行うことができ、測定電圧Vxを定格電圧まで上昇させる必要がなく、半導体デバイス1に加える電圧ストレスが抑制できる。さらに、従来では交流電源と直流電源の2電源が必要であったのに対し、本実施形態では発振回路2、重畳回路3並びに増幅回路5で測定電圧Vxを作成することができるために携帯可能なケースに収納して容易に持ち運ぶことができ、対象の半導体デバイスが使用されている現場に赴いて劣化診断を行うことができる。
【0030】
(実施形態2)
実施形態1では直流電圧Vdcを最大400V、交流電圧Vacを最大40V(実効値)程度までしか印加することができないものであるが、本実施形態は、直流電圧Vdcを最大5000V、交流電圧Vacを最大500V(実効値)程度まで印加可能とした点に特徴がある。但し、本実施形態の基本構成は実施形態1と共通であるから、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
本実施形態の半導体デバイス劣化診断装置は、図7に示すように発振回路2と、重畳回路3と、入力電圧を昇圧した直流電圧の電圧レベルを発振回路2から重畳回路3を経て入力される信号に応じて変化させることにより測定電圧Vxを生成する電源部8と、診断対象の半導体デバイス1に逆方向(あるいはオフ状態で順方向)に測定電圧Vxを印加したときに流れるリーク電流Irを検出するリーク電流検出回路5と、演算処理ブロック10とを備える。
【0032】
電源部8は、例えば昇圧チョッパ回路やスイッチド・キャパシタ(コッククロフト・ウォルトン)回路等の昇圧回路を利用して外部電源(例えば、100Vの商用交流電源)の電源電圧を最大6000V程度まで昇圧して出力するとともに、外部から与えられる制御信号により出力電圧のレベルを可変とした高圧電源回路で構成される。すなわち、本実施形態では重畳回路3から出力される信号(直流電圧に発振信号が重畳した電圧信号)を上記制御信号とすることにより、直流電圧Vdc及び交流電圧Vacをそれぞれ最大5000V並びに500V程度として半導体デバイス1に印加することができるものである。
【0033】
リーク電流検出回路5は、検出抵抗Rxと、増幅器5aと、絶縁増幅器5bと、ローパスフィルタ(カットオフ周波数:100[Hz])5hと、バッファ5fとを具備し、リーク電流Ir(直流リーク電流Irdcと交流リーク電流Iracの合成電流)の検出信号の検出値MIrを出力する。ここで、測定電圧Vxのレベルが高くなると半導体デバイス1を接続するケーブル9のリーク電流が検出抵抗Rxに流れてリーク電流Irの検出値MIrに影響を及ぼす虞があるので、本実施形態ではケーブル9を二重シールド構造とし、ケーブル9内側のシールド層と電源部8の出力端とを接続するガード線Gを設けることによって、ケーブル9のリーク電流が検出抵抗Rxに流れないようにしている。
【0034】
演算処理ブロック10のA/D変換部14には、リーク電流検出回路5からリーク電流Irの検出値MIrが入力されるとともに発振回路2から出力される発振信号(交流電圧Vac)の検出値MVacがバッファ6aを介して入力される。而して、演算部15では上記2つの検出値MIr,MVacを1周期当たり1800点で4周期分を取り込み、リーク電流Irの検出値MIrの平均値を直流リーク電流Irdcの検出値MIrdcとし、リーク電流Irの検出値MIrの各点から直流リーク電流Irdcの検出値MIrdcを差し引いた値の実効値を交流リーク電流Iracの検出値MIracとし、さらに直流リーク電流Irdcの検出値MIrdcを求めた各点におけるリーク電流Irの検出値MIrから交流電圧Vacの検出値MVacを差し引いた値を差分ΔIVの検出値MΔ IVとして、実施形態1で説明した手順により位相差θ、リアクタンスX及びインピーダンスZの実数成分の絶対値|X|,|R|を求めている。なお、演算処理ブロック10の他の動作、すなわち制御部11、演算部15並びに劣化判断部16における処理は実施形態1と共通であるので説明は省略する。
【0035】
本実施形態においても、実施形態1と同様に定格電圧よりも低い測定電圧Vxを印加して劣化診断を行うことができ、測定電圧Vxを定格電圧まで上昇させる必要がなく、半導体デバイス1に加える電圧ストレスが抑制できる。しかも、発振回路2、重畳回路3並びに電源部8で高電圧の測定電圧Vxを作成することができるため、実施形態1と同様に携帯可能なケースに収納して容易に持ち運ぶことができ、対象の半導体デバイスが使用されている現場に赴いて劣化診断を行うことができる。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明は、段階的に上昇する直流電圧に低周波の交流電圧を重畳してなる測定電圧を診断対象の半導体デバイスに対して印加する測定電圧印加手段と、半導体デバイスに印加される測定電圧の交流成分を検出する電圧検出手段と、半導体デバイスに流れるリーク電流の交流成分を検出する電流検出手段と、測定電圧の交流成分とリーク電流の交流成分との位相差を計測する位相差計測手段と、計測された位相差と測定電圧並びにリーク電流の各交流成分の検出値に基づいて半導体デバイスのリアクタンスを求める演算手段と、演算手段で求めたリアクタンスに基づいて半導体デバイスの耐圧の劣化度合いを判断する劣化判断手段とを備えたので、定格電圧以下の測定電圧であっても精度よく劣化診断を行うことができ、測定電圧を定格電圧まで上昇させる必要がなく、半導体デバイスに加える電圧ストレスが抑制できるという効果がある。
【0037】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、電流検出手段から出力される検出信号より高周波ノイズを除去する低域通過フィルタを備えたので、高周波ノイズによる精度の低下や誤動作が防止できるという効果がある。
【0038】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、低周波の発振信号を出力する発振器と、入力電圧を昇圧した直流電圧の電圧レベルを発振器から出力される発振信号に応じて変化させることにより測定電圧を生成する電源部とで測定電圧印加手段を構成したので、従来例のように交流電源と直流電源の2電源を必要としないことから携帯可能な程度まで小型化することができ、半導体デバイスが使用されている現場に赴いて劣化診断を行うことができるから使い勝手に優れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示すブロック図である。
【図2】測定電圧の交流成分とリーク電流の交流成分との位相差を説明する図である。
【図3】測定電圧の交流成分の周波数を20Hzとした場合の半導体デバイスの内部抵抗及び接合容量とリアクタンスXの絶対値|X|との関係を説明する説明図である。
【図4】測定電圧の交流成分の周波数を20Hzとした場合の半導体デバイスの内部抵抗及び接合容量とインピーダンスZの絶対値|Z|との関係を説明する説明図である。
【図5】測定電圧の交流成分の周波数を1000Hzとした場合の半導体デバイスの内部抵抗及び接合容量とリアクタンスXの絶対値|X|との関係を説明する説明図である。
【図6】実施形態1の動作説明用のフローチャートである。
【図7】実施形態2を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 半導体デバイス
2 発振回路
3 重畳回路
4 増幅回路
5 リーク電流検出回路
6 交流電圧検出回路
7 差分検出回路
10 演算処理ブロック
11 制御部
15 演算部
16 劣化判断部

Claims (3)

  1. 段階的に上昇する直流電圧に低周波の交流電圧を重畳してなる測定電圧を診断対象の半導体デバイスに対して印加する測定電圧印加手段と、半導体デバイスに印加される測定電圧の交流成分を検出する電圧検出手段と、半導体デバイスに流れるリーク電流の交流成分を検出する電流検出手段と、測定電圧の交流成分とリーク電流の交流成分との位相差を計測する位相差計測手段と、計測された位相差と測定電圧並びにリーク電流の各交流成分の検出値に基づいて半導体デバイスのリアクタンスを求める演算手段と、演算手段で求めたリアクタンスに基づいて半導体デバイスの耐圧の劣化度合いを判断する劣化判断手段とを備えたことを特徴とする半導体デバイス劣化診断装置。
  2. 電流検出手段から出力される検出信号より高周波ノイズを除去する低域通過フィルタを備えたことを特徴とする請求項1記載の半導体デバイス劣化診断装置。
  3. 低周波の発振信号を出力する発振器と、入力電圧を昇圧した直流電圧の電圧レベルを発振器から出力される発振信号に応じて変化させることにより測定電圧を生成する電源部とで測定電圧印加手段を構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体デバイス劣化診断装置。
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