JP3771829B2 - 水質センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検液の水質を電気化学的な手法により測定する水質センサに関し、詳しくは小型、低コストで、且つ電極劣化時に簡単な作業にて電極特性を再生させることができてメンテナンスが容易な水質センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸化還元電位を測定する酸化還元電位センサや、残留塩素測定用センサが広く市販されている。
【0003】
従来の一般的な酸化還元電位センサとしては、白金等の不溶性金属電極を作用電極とすると共に、銀−塩化銀電極を内部電極とする比較電極を対極として、両電極を被検液に浸漬し、両電極間で発生する相対電位差を酸化還元電位として出力するものがある。
【0004】
また、ポーラログラフ法を用いる残留塩素濃度測定センサとしては、飲料水内に二つの電極を対向させて配置し、この状態で電極間に一定の電圧を印加し、電極間に流れる電流により残留塩素濃度を測定するものがある。
【0005】
また、特開平9−113483号公報、特開平10−296240号公報、実公平4−22875号公報等には、酸化還元電位センサや残留塩素濃度センサの構造が開示されており、これらによれば、白金電極や銀電極は板状や太い棒状のものが設けられており、このような電極が、電極を支持する支持体から突出した構造となっている。
【0006】
しかし、このような従来の水質センサでは基準電極の構成が複雑となってしまい、製造コストが高く、また作製にも手間がかかってしまうものであり、このため簡易な構成を有する水質センサが求められていた。
【0007】
また、水質センサによる水質の測定を繰り返すと、電極の表面状態の変化、表面への空気による表面酸化や被検液による表面酸化に伴う酸化膜の形成、被検液中の酸化還元物質や不純物等の物理的吸着などの原因により、電極が劣化してしまい、この場合は電極を取り出してこの電極を研磨再生する必要があるが、従来のような支持体から電極を突出させた電極構造では電極の研磨作業が容易ではなく、煩雑な手間がかかるものであった。
【0008】
ここで、従来における電極の再生方法としては、例えば洗浄薬剤としてクロム硫酸、熱濃硝酸、高塩酸溶液等を用い、このような洗浄薬剤に作用電極を浸漬することによって作用電極の表面を洗浄する方法があるが、特殊で危険な薬品を用いなければならないため洗浄作業が容易ではない。また特開平10−296242号公報では、一対の電極のうちの一方の電極に他方の電極に対して負の電圧を印加する逆電処理を施すことにより電極の汚れを除去する方法が開示されているが、水質センサに逆電処理用の機構を設けなければならず、構造が複雑化してしまい、高コスト化にもつながるものであった。
【0009】
更には、上記のようなセンサ構造では、支持体から突出した電極が浸漬され得るだけの量の被検液が必要であり、ごく少量の被検液の水質を測定することはできないものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成を有すると共に低コスト化が可能であり、また劣化した電極を容易に再生させることができ、更には少量の被検液の水質を測定することができる水質センサを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る水質センサは、被検液の水質を電気化学的に測定する水質センサにおいて、測定時に被検液に直接接触する一対の端子電極2をリード線3の先端に接続された異種の金属線にて形成し、前面に開口する凹部10と、この凹部10の底面で開口する二つの挿通孔6とを有する固定部材5の挿通孔6に各リード線3を挿通すると共に各端子電極2を凹部10の底面から突出させ、凹部10内に封止材4を充填して、この一対の端子電極2を同一の封止材4中に、封止材4の先端面と端子電極2の先端面とが面一となるように埋設すると共にこの一対の端子電極2を間隔をあけて配して成ることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項2の発明は、請求項1において、一対の端子電極2を、一方を白金線、他方を銀線又は少なくとも先端面に塩化銀被膜を形成した銀線にてそれぞれ形成して成ることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
図示の例では、水質センサ1は、ハウジング30にセンサ部、電源部、制御部、操作部及び表示部を備えた、携帯可能な小型のものとして形成されている。
【0016】
ハウジング30は樹脂成形品にて形成されており、内部に電源部及び制御部が内装されていると共に外面に操作部や表示部が設けられた本体部33と、本体部33の前部から前方に突出するように形成された、先端部に一対の端子電極2(2a,2b)からなるセンサ部が設けられている検知部27とから構成されている。このハウジング30は例えばABS樹脂等のような樹脂成形品にて形成される。
【0017】
図7は水質センサの動作を示すブロック図である。本体部33内に内装される電源部は制御部に対して駆動用の電力を供給するものであり、ボタン型アルカリ電池等の小型の電池を用いることができる。また制御部は回路形成されたプリント配線板に抵抗、トランジスタ、コンデンサ、ICチップ等の電子部品を実装するなどして構成されるものであり、センサ部からの出力が入力されて、この入力に基づいて水質の検知を行ない、この検知結果に基づいて表示部を制御するものである。
【0018】
表示部はセンサ部からの出力に基づいて制御部にて検出された水質の検知結果を表示するものであり、図6に示す例では複数個の発光ダイオード31にて構成されている。この表示部は、例えば表示部を構成する複数個の発光ダイオード31のうち、制御部にて検出された水質に対応する特定の発光ダイオード31が点灯するように制御されるものである。また表示部として例えば液晶表示パネルを設けて、センサ部による出力値をそのまま表示したり、あるいはセンサ部からの出力を計数処理することにより導出される酸化還元電位等の値を表示したりすることもできる。
【0019】
また、操作部としては電源スイッチ32や測定モードを変更するための設定スイッチ等の操作スイッチを設けることができ、例えば押しボタン式のスイッチ等にて構成することができる。
【0020】
またハウジング30の検知部27は前後方向に長い円筒状に形成されており、その内部の中空部は後端側にて本体部33内に連通している。
【0021】
検知部27の先端には、図1に示すように、端子電極2(2a,2b)を固定部材5において封止材4にて封止して支持したセンサ部が設けられている。図2にも示すように、固定部材5は円柱状に形成され、前端側に前面に開口する凹部10が形成されており、またこの凹部10の底面と固定部材10の後端面とを貫通する二つの挿通孔6が形成されている。この挿通孔6は、例えば内径0.6mmに形成する。
【0022】
図3にも示すように、端子電極2(2a,2b)は、検知部27の中空部内に配置されると共に挿通孔6の内径よりも小径(例えば0.5mm)なリード線3(3a,3b)の先端にそれぞれ接続して設けられている。リード線3(3a,3b)としては、銅線、ニッケル線等の適宜の金属線からなるものが用いられる。ここで、リード線3(3a,3b)は固定部材5の挿通孔6に挿通されて後端側が固定部材5の後方に引き出されて中空部内に配置されている。リード線3(3a,3b)と端子電極2(2a,2b)との接合は、スポット溶接やカシメ接続等のような任意の方法でなされ、リード線3と端子電極2との接続部位には、挿通孔6の内径よりも大径の瘤部8が形成されている。この瘤部8によってリード線3(3a,3b)の先端は固定部材5の凹部10の底面側に係止され、端子電極2(2a,2b)は固定部材5の凹部10の底面から前方に向かって突出するように設けられる。尚、リード線3を設けずに、端子電極2(2a,2b)を検知部27の中空部内に配置すると共にその先端部分を固定部材5の挿通孔6に挿通させて、端子電極2(2a,2b)の先端を固定部材5の凹部10の底面から前方に向かって突出するように設けても良い。
【0023】
この端子電極2(2a,2b)は、少なくとも先端部が封止材4中に埋設される。図示の例では、固定部材5の凹部10内には、封止材4が充填されており、このとき封止材4の前端面は、凹部10の開口と面一になるか、あるいはこの凹部10の開口から前方に突出した位置に形成される。そしてこの封止材4によって端子電極2(2a,2b)が埋設されており、このとき封止材4の前端面は、平面状に形成され、一対の端子電極2(2a,2b)はその前端面が封止材4の前端面と面一となって露出するように、封止材4に埋設されている。このとき端子電極2(2a,2b)は平行並列に間隔をあけて配されるものであり、その間隔は適宜設定されるが、小型化を図ると共に瘤部8での短絡を防止するためには、2〜10mmの範囲とすることが好ましい。
【0024】
このように端子電極2(2a,2b)は封止材4に埋設されて支持されるものであるから、変形が生じにくく、水質測定時に端子電極2が強い水流に曝されたり端子電極2が何らかの物体と接触したりすることによって変形したり破損したりすることが防止されることとなり、このため金属線からなる細径の端子電極2(2a,2b)を用いることにより電極材料を削減して低コスト化すると共に、このときの端子電極2(2a,2b)の変形や破損を防止することができる。このとき端子電極2(2a,2b)は、センサ部の作製時における作業性、取り扱い性を向上すると共に低コスト化を図るためには、好ましくは線径0.1〜1.0mmに形成するものである。
【0025】
上記の封止材4としては、絶縁性と耐水性とを併せ持つ樹脂材料からなる材料にて形成することが好ましく、例えばエポキシ樹脂からなるものを用いることができる。
【0026】
また、一対の端子電極2(2a,2b)は、用途に応じて適宜の金属線からなるものを用いることができるが、各端子電極2(2a,2b)はそれぞれ異種の金属からなるものを設けることができる。例えば一方の端子電極2bを白金線で、他方の端子電極2aを銀線又は銀線に塩化銀被膜を形成したもので形成すると、被検液の酸化還元電位や遊離塩素濃度を電気化学的に測定する水質センサを構成することができる。銀線に塩化銀被膜を設けて端子電極2aを形成する場合には、端子電極2aは先端面のみが外部に露出するものであるから、銀線の先端面のみに塩化銀被膜を設ければ良い。
【0027】
固定部材5に対して端子電極2(2a,2b)を設けるにあたっては、例えばまずニッケル線等からなる二つのリード線3(3a,3b)のうちの一方のリード線3bの先端に白金線からなる端子電極2bの端部をスポット溶接やかしめ等にて埋設して接続すると共に、同様にして他方のリード線3aの先端に銀線からなる端子電極2aの先端を、スポット溶接やカシメ接続等により埋設して接続する。このとき端子電極2(2a,2b)と接続されるリード線3(3a,3b)の端部は瘤部8として形成するものであるが、予め先端を叩打するなどして瘤部8が形成されたリード線3(3a,3b)に対して白金線や銀線を接続しても良い。このとき、銀線からなる端子電極2aには塩化銀被膜が形成されていないので、銀線からなる端子電極2aとリード線3aとの間の電気的接続を容易に確保することができる。
【0028】
次に、図4に示すように、各リード線3(3a,3b)を、端子電極2(2a,2b)が接続されていない側の端部側から、固定部材5の二つの挿通孔6にそれぞれ挿通する。このときリード線3(3a,3b)は固定部材5の凹部10側から挿通孔6に挿通する。このときリード線3(3a,3b)の先端の瘤部8が固定部材5の凹部10の底面側に係止されて、端子電極2(2a,2b)が固定部材5の凹部10の開口から前方に突出した状態となり、またリード線3(3a,3b)の後端側は固定部材5から後方に引き出された状態となる。
【0029】
この状態で、図5に示すように、固定部材5の凹部10内に封止材4を充填して封止する。この封止材4はポッティング等の方法により凹部10内に充填すると共に必要に応じて硬化成形することができ、このとき封止材4は凹部10の開口から先端側に盛り上がるように形成される。
【0030】
次に、封止材4を、凹部10の開口から盛り上がった部分において切削することにより、封止材4の前端面を端子電極2(2a,2b)と略直交する平面状に形成し、またこの封止材4の切削に伴って端子電極2(2a,2b)を切断して、図1に示すように切断後の端子電極2(2a,2b)の前端面が切削後の封止材4の前端面と面一になるようにする。この封止材4の切削及び端子電極2(2a,2b)の切断は、適宜の方法で行うことができる。
【0031】
このとき一対の端子電極2(2a,2b)は間隔をあけて平行並列に配されており、この端子電極2(2a,2b)の先端部を含む全体が封止材4中に埋設され、また封止材4の先端面と各端子電極2(2a,2b)の先端面が面一となって、端子電極2(2a,2b)の先端面が封止材4の先端面において外部に露出している。
【0032】
次いで、銀線からなる端子電極2aの前端面に、塩化銀被膜を形成する。このとき、次亜塩素酸ナトリウム水溶液や塩化リチウム水溶液、塩化カリウム水溶液等のような塩素を含む電解質の水溶液中に各端子電極2(2a,2b)の前端面を浸漬して、端子電極2(2a,2b)間に通電を起こさせることにより、銀線からなる端子電極2aの前端面に塩化銀被膜を形成することができる。例えば塩素を含む電解質の0.01〜1mol/L水溶液中に各端子電極2(2a,2b)の前端面を浸漬すると共に、二つのリード線3(3a,3b)間に1.4〜2Vの電圧を、銀線からなる端子電極2a側がより高電位となるようにして、1〜3分間印加すると、銀線からなる端子電極2aの前端面には、電気化学反応により塩化銀被膜が形成されるものである。
【0033】
このようにして、封止材4を充填した後に、銀線からなる端子電極2aの前端面のみに塩化銀被膜を形成すると、封止材4によってリード線3aと端子電極2aとの接続部が封止されているため、リード線3a,3bが電解液に浸漬されることが確実に防止され、リード線3a,3bにおける電気化学反応の発生を防止して、塩化銀被膜の形成を効率よく行なうことができるものである。
【0034】
上記のようにして構成される水質センサ1を用いて被検液の水質を測定するにあたっては、封止材4の先端面を被検液に接触させることにより封止材4の先端面に露出する端子電極2(2a,2b)の先端面を被検液と接触させ、また電源スイッチ32をオンにする。このとき被検液がごく少量であっても、被検液の表面に封止材4の先端面をあてるだけで、端子電極2(2a,2b)の先端面を被検液に接触させることができる。
【0035】
この状態では端子電極2(2a,2b)間に、被検液の酸化還元電位や遊離塩素濃度に起因した電位差が生じて起電力が発生し、制御部はこの端子電極2(2a,2b)間に生じた電圧を検出して、この検出結果に基づいて表示部の発光ダイオード31を点灯させ、使用者に被検液の水質を知らせる。
【0036】
また、被検液の測定を繰り返し行うことにより端子電極2(2a,2b)の前端面が汚染された場合には、封止材4の前端面を研磨することにより端子電極2(2a,2b)の前端面を容易に清浄化して再生させることができる。このとき端子電極2(2a,2b)として、銀線の前端面に塩化銀被膜を形成したものを用いている場合には、塩化銀被膜が剥離するおそれがあるが、この場合には、一対の端子電極2(2a,2b)を短絡させた状態で、殺菌のために次亜塩素酸ナトリウムが含有されている水道水中に各端子電極2(2a,2b)の前端面を浸漬させるなどすることにより、電気化学反応によって塩化銀被膜を容易に再形成することができる。
【0037】
上述のような実施形態では、検知用の電極として一対の線状の端子電極2(2a,2b)を設け、この端子電極2(2a,2b)を少なくとも先端部を同一の封止材4に埋設して支持することにより、二つの端子電極2(2a,2b)を被検液に同時に接触させることが容易となって、この状態で二つの端子電極2(2a,2b)間に発生する起電力を測定するなどの電気化学的な手法により水質を測定できるものであるが、本発明はこのような形態に限られるものではなく、電気化学的水質センサにおける、被検液に直接接触される電極について、このような構成を採ればよいものである。
【0038】
図8に示す例では、検知用の電極として、容器13内の0.1mol/LのKCl溶液からなる標準液10中に、銀に塩化銀被膜を形成した内部電極9を配置すると共に標準液10−被検液間の導通をとる液絡部11を設けた標準電極を比較電極として設けると共に、被検液に直接接触される端子電極2を作用電極として設けて、センサ部を構成したものである。
【0039】
図示の例では、作用電極では、リード線3の先端部と、リード線3の先端に接続された白金線からなる端子電極2とが、円柱状の封止材4中に封止されており、この封止材4の前端面において、端子電極2の前端面が封止材4の前端面と面一となって露出している。またこの封止材4の後端部及びリード線3の後端側は、固定部材5に支持されている。一方、比較電極では、内部電極9及び容器13は後端側に設けられた固定部材12に支持されており、容器13の前端部に、液絡部11が設けられている。作用電極と比較電極の各固定部材5,12は隣接して一体に形成されており、これにより、作用電極と比較電極とが隣接して併設されている。また、作用電極における封止材4の前端面と、比較電極における液絡部11の外部に露出する前端面とは面一に形成されている。
【0040】
そして、被検液の水質の測定時には、作用電極の封止材4の前端面と、比較電極の液絡部11の前端面とを、被検液に同時に接触させ、このとき発生する電極間の起電力を電圧計により測定するなどして、電気化学的に水質の測定を行うことができる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0042】
(センサ部の作製)
リード線3(3a,3b)としては線径0.5mmのニッケル線を二本用い、各リード線3(3a,3b)の先端を叩打して直径0.6〜0.7mmの瘤部8を形成した。
【0043】
また端子電極2となる白金線や銀線は、取扱性が良く安価なものとして、線径0.1mmの白金線と、線径0.2mmの銀線を用いた。
【0044】
そして、一方のリード線3bの瘤部8と白金線の端部とをスポット溶接により接続して、一方のリード線3bの瘤部8に白金線の端部を埋設させてこのリード線3bに白金線からなる端子電極2bを接続し、また他方のリード線3aの瘤部8と銀線の端部とをスポット溶接により接続して、他方のリード線3aの瘤部8に銀線の端部を埋設させてこのリード線3aに銀線からなる端子電極2aを接続した。
【0045】
また、固定部材5は塩化ビニル製のものを用い、外形寸法7mmとし、挿通孔6は内径0.6mm、挿通孔6の間隔は2mmとした。
【0046】
そして、リード線3(3a,3b)を固定部材5の挿通孔6に、端子電極2(2a,2b)が接続されていない側の端部から挿通し、リード線3(3a,3b)の先端の瘤部8を凹部10の底面に係止させた。
【0047】
次いで、エポキシ樹脂(日本ペルノックス社製「エポキシME−352」の、主剤と硬化促進剤の100:15混合物)を固定部材5の凹部10に充填し、100℃で30分間加熱させた。
【0048】
このとき、固定部材5の凹部10からは封止材4が突出し、この封止材4からは各端子電極2(2a,2b)が突出した状態とした。
【0049】
次に、封止材4の突出部分をスライス盤に装着したエンドミルにて切削することによりその前端面を平面状に形成すると共に端子電極2(2a,2b)を切断して、端子電極2(2a,2b)の前端面が封止材4の前端面に面一となって露出するように形成した。
【0050】
次に、封止材4の前端面を洗浄剤(井内盛栄堂製「ピュアーソフト」)の6倍希釈溶液中に30秒間浸漬した後、蒸留水中に30秒間浸漬した。次に封止材4の前端面を水酸化ナトリウムの1mol/L溶液中に30秒間浸漬した後、蒸留水中に30秒間浸漬した。次に封止材4の前端面を塩酸の1mol/L溶液中に30秒間浸漬した後、蒸留水中に30秒間浸漬した。更にもう一度封止材4の前端面を蒸留水中に30秒間浸漬した。ここで、封止材4の前端面をこれらの液中の浸漬している間、超音波洗浄機を用いて液中に超音波振動を加えるものとした。
【0051】
次いで、封止材4の前端面を次亜塩素酸ナトリウムの10%水溶液中に30分間浸漬して、銀線からなる端子電極2aの前端面に、塩化銀被膜を形成した。
【0052】
(塩素濃度依存性評価)
0ppmから2ppmの範囲の塩素濃度を有する次亜塩素酸ナトリウム水溶液に、上記のセンサ部の前端部を浸漬し、このときに端子電極2(2a,2b)間に発生する起電力をリード線3(3a,3b)間の電位差を測定することにより導出して、塩素濃度と端子電極2(2a,2b)間に発生する起電力との相関関係を調査した。
【0053】
この結果を表1及び図9に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
この結果から明らかなように、塩素濃度と端子電極2(2a,2b)間に発生する起電力との間には強い相関関係があり、このようなセンサ部を備える水質センサ1を水道水の遊離塩素濃度検出用として好適に用いることができることがわかる。
【0056】
(再現性評価)
上記のセンサ部の前端部を、試料A(濃度0.4ppmの次亜塩素酸ナトリウム溶液)、試料B(アルカリイオン水)、試料C(商品名「ポカリスエット」;大塚製薬株式会社製)、試料D(商品名「爽健美茶」;近畿コカコーラボトリング)にそれぞれ繰り返し浸漬し、このときに端子電極2(2a,2b)間に発生する起電力をリード線3(3a,3b)間の電位差を測定することにより導出して、端子電極2(2a,2b)間に発生する起電力の再現性を調査した。
【0057】
ここで、試料Bのアルカリイオン水は、アルカリイオン整水器(商品名「ミズトピアTK745」;松下電工株式会社製)にて生成されたものを用いた。
【0058】
この結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
この結果から明らかなように、水溶液の測定を繰り返し行なっても、端子電極2(2a,2b)間に発生する起電力には大きな変化がみられず、高い再現性を有することがわかる。
【0061】
(少量試料に対する検知性能評価)
上記のセンサ部の前端面を、試料A、試料B、試料E(唾液)、試料F(汗)の表面にあて、このときに端子電極2(2a,2b)間に発生する起電力をリード線3(3a,3b)間の電位差を測定することにより導出して、端子電極2(2a,2b)間に発生する起電力を測定した。
【0062】
ここで、試料A、試料Bについては、0.1cm3の試料をガラス基板に滴下し、この試料の表面に固定部材5の前端面を当接させた状態で測定した。また試料Eの唾液については、固定部材5の前端面を舌の上に当接させ、また試料Fの汗については発汗した人体の皮膚の表面に固定部材5の前端面を当接させた状態で測定した。
【0063】
この結果を表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
この結果から明らかなように、試料A、Bについては、少量の試料であっても、前記の再現性評価時の結果と比べて大きな変化はみられず、少量の試料であっても正確な測定が行えるものである。また汗や唾液等のような少量の試料しか得られにくいものに対しても測定を行えるものである。
【0066】
(メンテナンス性評価)
まず、上記のセンサ部の前端部を、試料A、試料Bに浸漬した状態で、端子電極2(2a,2b)間に発生する起電力を測定した。
【0067】
次いで、センサ部に対して電極性能を劣化させる処理を施した後、センサ部の封止材4の前端面に、水で湿らせたペーパータオルを指で軽く押さえつけながら擦り付けることにより研磨した後、更に前記と同様にして試料A、試料Bについて測定を行った。
【0068】
電極性能を劣化させる処理としては、センサ部を30℃、80%RH、NO濃度100ppmの雰囲気中に1時間曝露するNO被毒処理と、封止材4の前端面に血液を滴下した後可能させる血液乾燥固着処理とを行い、それぞれの処理を行ったセンサ部について、上記の測定を行った。
【0069】
この結果を表4に示す。
【0070】
【表4】
【0071】
この結果から明らかなように、電極性能を劣化させても、簡単な研磨作業を行うだけで、電極性能を回復させることができた。
【0072】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る水質センサは、被検液の水質を電気化学的に測定する水質センサにおいて、測定時に被検液に直接接触する一対の端子電極をリード線の先端に接続された異種の金属線にて形成し、前面に開口する凹部と、この凹部の底面で開口する二つの挿通孔とを有する固定部材の挿通孔に各リード線を挿通すると共に各端子電極を凹部の底面から突出させ、凹部内に封止材を充填して、この一対の端子電極を同一の封止材中に、封止材の先端面と端子電極の先端面とが面一となるように埋設すると共にこの一対の端子電極を間隔をあけて配するため、簡便な構成にて水質センサを形成することができ、この水質センサにて被検液の酸化還元電位や塩素濃度等の水質の測定を行なうことができる。また、端子電極を金属線にて形成することによって低コスト化を図ると共に、この端子電極を封止材にて支持することにより、金属線からなる端子電極の破損や変形を防止することができる。また端子電極が汚染等により電極極性が劣化した場合であっても、封止材の先端面を研磨することにより、容易に端子電極を研磨して電極極性を回復させることができる。更に、被検液が少量である場合でも、封止材の先端面を被検液の表面にあてるだけで封止材の先端面に露出する端子電極を被検液と接触させて、水質の測定を行うことができるものである。
【0073】
また、電極構成を更に簡便化することができると共に、封止材の先端面を被検液の表面にあてるだけで二つの端子電極を被検液に同時に接触させ、この端子電極間に発生する起電力を検出するなどして、被検液の水質を容易に測定することができるものである。
【0074】
また請求項2の発明は、請求項1において、一対の端子電極を、一方を白金線、他方を銀線又は少なくとも先端面に塩化銀被膜を形成した銀線にてそれぞれ形成するため、特に被検液の酸化還元電位あるいは遊離塩素濃度の測定に好適に用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すものであり、(a)は一部の断面図、(b)は(a)の正面図である。
【図2】固定部材を示すものであり、(a)は断面図、(b)は正面図である。
【図3】リード線及び端子電極を示す側面図である。
【図4】センサ部の作製工程を示す断面図である。
【図5】図4に続くセンサ部の作製工程を示す断面図である。
【図6】水質センサの全体構成を示す側面図である。
【図7】水質センサの動作を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態の他例を示すものであり、(a)は概略を示す断面図、(b)は正面図である。
【図9】塩素濃度依存性評価の試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 水質センサ
2 端子電極
3 リード線
4 封止材
5 固定部材
6 挿通孔
10 凹部
Claims (2)
- 被検液の水質を電気化学的に測定する水質センサにおいて、測定時に被検液に直接接触する一対の端子電極をリード線の先端に接続された異種の金属線にて形成し、前面に開口する凹部と、この凹部の底面で開口する二つの挿通孔とを有する固定部材の挿通孔に各リード線を挿通すると共に各端子電極を凹部の底面から突出させ、凹部内に封止材を充填して、この一対の端子電極を同一の封止材中に、封止材の先端面と端子電極の先端面とが面一となるように埋設すると共にこの一対の端子電極を間隔をあけて配して成ることを特徴とする水質センサ。
- 一対の端子電極を、一方を白金線、他方を銀線又は少なくとも先端面に塩化銀被膜を形成した銀線にてそれぞれ形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の水質センサ。
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