JP3771696B2 - 体表面心電計と体表面電位分布図の表示方法 - Google Patents

体表面心電計と体表面電位分布図の表示方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、心臓電気現象を明確に捉えるため、心臓に近い体表面の多くの点から電位を測定し、測定した電位を演算してある時間の体表面電位図を表示する心電計と体表面電位分布図の表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の心電計は、胸部6点の電位変化を測定している。この心電計は、各点の観測波形から心臓の異状を検査している。しかしながら、この方式の心電計によっては、必ずしもすべての心臓電気現象を明確に調べることが難しい。
【0003】
近年、新しい方式の心電計として、例えば、心臓に近い体表面の80〜200点に電極を配設し、すべての電極から心電位を採取し、総合的に心臓の電気現象を判断する体表面心電計が開発されている。
【0004】
体表面心電計は、例えば図1に示すような、ある時間における心臓付近の体表面に現れる電位分布図を作成する。電位分布図は、心臓電気現象の体表面における電位の分布図である。電位分布図は、すべての電極からの測定信号を基にして、コンピュータで演算して求められる。すなわち、ある時間における各電極の測定電位を、コンピュータのメモリに記憶させ、各電極の測定電位に基づいて、等電位点を計算し、等電位線を、例えば、数十マイクロボルトピッチ毎にモニタテレビやプリンター等に表示するものである。
【0005】
この方式の心電計は、一定の時間間隔、例えば数百マイクロ秒からミリ秒間隔で、電位分布図を表示させることによって、心臓近傍の体表面に現れる、プラスあるいはマイナス領域の拡大、収縮状態、並びに電位勾配の変化等が一目瞭然で、心電現象を明確に表示できる。
【0006】
このように優れた特性を有する体表面心電計ではあるが、この方式の心電計は、全ての電極から正確に電位を測定することが難しい。それは、測定点が著しく多いことに加えて、測定信号が、正確な測定信号であるか、誤差のある測定信号であるかの判別が難しいからである。電極の測定誤差が、電位分布図を著しく歪ませるが、その歪みは心臓疾患が原因であるのか、あるいは測定誤差が原因であるのかの判断が難しい。
【0007】
本発明者は、上記の欠点を解決することを目的に、図2に示す体表面心電計を開発した(特公平2−29327号公報)。この図に示す体表面心電計は、人体胸部の皮膚表面の複数箇所に接触して、接触点の電位を検出する電極1と、この電極1の入力信号を演算処理して、一定の時間における体表面の電位分布を計算する演算回路2と、この演算回路2の出力信号によって体表面の電位分布図を表示する外部出力装置4とを備えている。さらにこの心電計の電極部には、図5に示すように、弾性的に突出するロッドRが備えられており、ロッドRの先端に複数の針電極5Nをセットして、この針電極5Nでもって体表面の局部に接触し、体表面の心電位を検出するように構成されている。
【0008】
使用者は、操作スイッチ3を操作して、心電位を測定したい時間間隔等の情報を演算回路2に入力する。演算回路2は、入力された時間毎に、複数の電極群5で人体胸部の各点の電位を検出し、検出された電位信号を受け取る。さらに演算回路2は、入力された各電位信号から等電位点を演算し、等電位線を外部出力装置4に出力する。この体表面心電計は、多数の電極を使用でき、各電極を患者の体表面に確実に接触して各々の測定の信頼性を高めることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この体表面心電計は、ある時間における体表面の各電位を測定し、このデータに基づき等電位点を演算し、特定の時間時点での電位分布図を表示するものである。したがって、観測者はある時間における電位分布を知ることはできるが、時間とともに電位分布が変化していく様子を同時に観測することはできないという欠点がある。体表面心電計が表示する特定の時間における電位分布図は、図1に示すようなものである。この図は、ある時間での体表面の電位分布を捉えたものであり、図からある時点における電位分布を知ることはできるが、各電位や電位分布が時間とともに変動していく様子は、図には時間軸もなく、この図からは捉えることができない。
【0010】
さらに、この体表面心電計を用いて、例えば1ミリ秒おきに体表面電位を測定し、体表面電位分布図を描画することで、1ミリ秒毎の体表面電位の状態をモニタすることはできる。ただ、この方法では、時間の経過とともに随時電位分布を更新していくことはできるが、以前の分布状態を参照することはできないという欠点がある。それは、この体表面心電計が、ある時間における心電位を測定し、これに基づいて演算して体表面電位分布図をその都度表示しているからである。したがって、時間を遡って体表面電位分布が変化してきた経緯を確認することはできないという欠点がある。
【0011】
特に心臓の疾患を有する患者の状態を正確に把握するには、ある時点での心臓電気現象を1時点だけで捉えるだけでは不十分であり、時系列による状態の変化を知ることも重要である。さらに従前の電位分布を遡って見ることができれば、心臓の状態変化がどのような傾向にあるかを知る上で重要な参考となり、より確実かつ正確に心臓の状態を把握することができるようになる。
【0012】
さらに、心臓の電位分布は時間毎に一様に変化するものでない。ある期間には大きく変動するが、他の時間ではそれほど変化しない性質のものである。このため、変化の大きい期間を特に詳細にモニタする必要がある。逆に言うと、変化の少ない期間、つまり心臓の状態を調べる際に必要性の少ないデータを排除する必要が生じる。
【0013】
具体的に言うと、心臓が動く瞬間、すなわち鼓動を拍つ瞬間の短い時間に、心臓の状態は大きく変化する。したがって、この期間の電位分布状態を確実に捉えることで、心臓の状態を正確に把握できるのである。
【0014】
仮に心臓が1秒で1回鼓動するとした場合、実際に心臓が1拍して激しく変化する期間は、この1秒の内のおよそ0.1〜0.3秒であり、1サイクルの10〜30%である。これを順次表示したのでは、残りの70%以上は無駄となってしまう。例えば250μ秒毎に体表面電位を測定し、得られた体表面電位分布図を表示する時間を0.5秒とすると、1サイクルの体表面電位分布図を表示するのに約33分かかる。このうち特に重要なデータは3分〜10分であって、残りの20分〜30分は不要なデータとなり、極めて効率が悪くなる。特に重要なデータはさらにゆっくりと表示して詳細に検討する必要もある。いいかえると、ある期間の体表面電位分布図のみを集中して表示できれば、極めて便利である。
【0015】
本発明は、これらの欠点を解消することを目的に開発されたものである。すなわち、本発明の重要な目的は、時間毎に変動する体表面の電位の分布状態の時間変化を観測でき、さらに以前の状態の体表面電位分布図を遡って連続的に表示できる体表面心電計と体表面電位分布図の表示方法を提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の重要な目的は、必要な時間帯における体表面電位分布図を簡単に検索でき、不要な部分をとばして表示できる体表面心電計と体表面電位分布図の表示方法を提供することにある。
【0017】
さらにまた、本発明の他の目的は、正確に体表面の電位分布図を表示できる体表面心電計と体表面電位分布図の表示方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の体表面心電計は、前述の目的を達成するために、下記の構成を備える。
本発明の請求項1に記載される体表面心電計は、心臓から体表面に誘導される心電位を、所定の時間間隔で体表面の複数点で検出する電極1と、電極1で検出した心電位から特定時間における体表面電位分布図を演算する演算回路2と、この演算回路2で演算された体表面電位分布図を、時間の経過に従って順番に表示する外部出力装置4とを備えている。
【0019】
さらに、本発明の請求項1に記載される体表面心電計は、演算回路2が、時間の経過する順番とは逆の順番で、体表面電位分布図を表示することができるよう構成されている。
【0020】
また、本発明の請求項2に記載される体表面心電計は、上記に加えて演算回路2が、体表面電位分布図を表示する時間間隔を変化することができるよう構成されている。
【0021】
さらにまた、本発明の請求項3に記載される体表面心電計の体表面電位分布図の表示方法は、心臓から体表面に誘導される心電位を、所定の時間間隔で体表面の複数点で検出する。そして、検出した心電位から、特定時間における体表面電位分布図を演算し、演算した体表面電位分布図を時間の経過に従って順番に外部出力装置4に表示する。
【0022】
さらに、本発明の請求項3に記載される体表面電位分布図の表示方法は、体表面電位分布図を、時間の経過する順番とは逆に表示できることを特徴とする。
【0023】
さらにまた、本発明の請求項4に記載される体表面電位分布図の表示方法は、上記に加えて体表面電位分布図を表示する時間間隔を変化することができることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための体表面心電計と体表面電位分布図の表示方法を例示するものであって、本発明は体表面心電計と体表面電位分布図の表示方法を下記のものに特定しない。
【0025】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施の形態に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」の欄、及び「課題を解決するための手段」の欄に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。
【0026】
さらに、本発明の体表面心電計は、演算回路を独特の構成として、体表面電位分布図を表示することを特徴とするものである。本発明の体表面心電計は、演算回路以外の構成については、本発明者が先に開発した体表面心電計と同じものとすることができる。したがって、本明細書は、本発明の一実施の形態である体表面心電計を説明するにあたり、本発明者が先に開発した体表面心電計と同じ図面を使用する。
【0027】
本発明の一実施の形態である体表面心電計を、図2に示す。図2に示す体表面心電計は、電極1と、演算回路2と、操作スイッチ3と、外部出力装置4とを備える。図において、外部出力装置4には、モニタテレビ4Aと、プリンター4Bを使用している。
【0028】
電極1は、図3、図4、図5に示すように、10個の本体6と、それぞれの本体6に設けられた8組の電極群5とからなる。各々の本体6は、図4に示すように、紐状のゴム状弾性体である可動性部材7でもって連結されている。最も外側に位置する本体6には、伸縮性の巻付けバンド8が連結されており、この巻付けバンド8の先端には、付着性テープ9が縫着されている。
【0029】
それぞれの本体6には、図5に示すように、針電極5NがロッドRを介して軸方向に移動自在に装着されている。本体6は、図5に示すように、下方が開口された箱形のケース10と、2枚の絶縁性の板材11、12とを備えている。2枚の板材11、12には、これを貫通してロッドRが出入自在に挿通されており、板材11、12間に、ロッドRが挿通されたロッド弾性体であるコイルスプリング13が配設されている。コイルスプリング13は、押バネで、下端がロッドRの中間に、上端が上方の板材11を貫通して、板材11上面にプリント印刷された銅膜等の導電層14に接続されている。
【0030】
図6は、板材11の平面図を示す。この図に示すように、上方の板材11には、銅膜等の導電層14がプリント印刷され、この導電層14の一端に引出線15が接続される。電極に接続された引出線15は、図5に示すように1本のシールド線16に集合され、シールド線16でもって演算回路2に接続される。
【0031】
図7に、電極を人体局部に装着した状態を示す。すなわち、各本体6を心臓に近い体表面に置き、巻付けバンド8の両端を付着性テープでもって互いに連結して、本体6の針電極5Nを体表面に一定の圧力で接触させる。この場合、図7に示すように、本体6の外側をさらに伸縮性のバンド17で締め付けて、より強い力で電極1を体表面に押圧、接触させるのもよい。
【0032】
本発明の体表面心電計及び体表面電位分布図の表示方法は、図2に示すように、電極1から送られてくる電気信号を、演算回路2が、決められた方式に従って演算処理する。演算回路2は、一定時間おきに各電極1の測定電位から等電位点を演算し、これから等電位線の位置を算出する。得られた出力信号は外部出力装置4に送られ、外部出力装置4で等電位線を描き体表面の電位分布図を作成する。
【0033】
電極1は、体表面の電位を、針電極5Nを使用して測定し、測定された電圧値を演算回路2に送る。電位の測定は、所定の時間毎に行われ、測定する時間間隔は使用者が操作スイッチ3から演算回路2に入力する。したがって、演算回路2からの指令に基づき、電極1は各点の電位を測定し、電圧値をデータとして演算回路2に返す。
【0034】
演算回路2は、入力された電位信号を演算し、等電位点を算出して等電位線を決定できるすべての装置が使用できる。演算回路2には、これらの処理を可能にするようカスタマイズされたICや電算機の他、汎用的なMPUやCPUを使用したコンピュータ、いわゆるマイクロコンピュータやパーソナル・コンピュータ、ワークステーション等が使用できる。
【0035】
さらに演算回路2は、電極1から送られてきた心電位の値を各時間毎に保持、記憶する記憶媒体を有する(図示せず)。記憶媒体には、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、レジスタ等の記憶素子や、ハードディスク等の固定記憶装置、光磁気ディスク、CD−R、DVD、フレキシブルディスク等の記憶媒体が使用できる。ただ、処理速度の向上を図るためには、アクセス速度の速いメモリ素子を使用することが好ましい。
【0036】
記憶媒体に記憶されたデータ、若しくは電極1から送られてきた電圧値に基づき、演算回路2は等電位点を算出し、等電位線を描くための線データを演算する。演算されたデータは外部出力装置4に送られる。
【0037】
外部出力装置4は、与えられた等電位線のデータに基づき、体表面電位分布図を表示する。外部出力装置4には、モニタテレビやプリンター、プロッタ等が複数使用できる。図において、外部出力装置4には、モニタテレビ4Aと、プリンター4Bを使用している。使用者はモニタテレビ4Aを使用して体表面電位分布図を随時観測でき、一方でプリンター4Bで所定の時間おきに電位分布図を印刷したり、あるいは所望の時間での電位分布図を印刷することができる。
【0038】
記憶媒体に保持されるデータは、体表面の各電位である必要はない。本発明は、過去及び現在の各時間における体表面電位分布図を、使用者の所望する順序や方法で表示することを主な目的とする。したがって、任意の時間における体表面電位分布図を呼び出せればよいので、記憶するデータは電位値に限られない。例えば、演算回路2で演算された等電位線のデータを保持しておけば、このデータを呼び出すことで各時間毎の体表面電位分布図を切り替えて表示できる。特に、演算前のデータでなく、演算後のデータを記憶しておくことは、演算に要する時間を省略できるので、外部出力装置に表示されるまでに要する時間を短縮し、より高速に体表面電位分布図を表示することができる。
【0039】
もちろん、各点の電位値と等電位線の両方のデータを記憶することも、また演算回路2で演算途中のデータを保持しておくことも可能であることはいうまでもない。
【0040】
体表面電位分布図の表示は、心電位をサンプリングする間隔や各時点での電位分布の表示を切り替える時間等を調整することによって精度を向上できる。より高速かつ詳細に表示するには、処理能力の高い高速なコンピュータや、画面表示用のチップ、RAM等を備えるいわゆるグラフィックアクセラレータ等を使用した描画が高速なコンピュータ等を、演算回路2に使用することで改善できる。
【0041】
本発明の使用方法を以下に示す。
使用者は、体表面電位分布図を得たい時間間隔を操作スイッチ3から演算回路2に入力する。演算回路2は、入力された時間間隔に従い、その時間毎に電極1から体表面各点での心電位を測定する。測定された電位値は記憶されて、演算回路2に送られ、演算回路2で演算されて等電位線が算出される。このデータが外部出力装置4に送られ、体表面電位分布図が表示される。この操作が、入力された時間毎に繰り返され、使用者は時間毎に切り替わる体表面電位分布図を観測できる。演算回路2は、各時間毎の体表面電位分布図の表示に必要なデータを記憶媒体に保持する。
【0042】
使用者が、過去のある時点での体表面電位分布図を見たい場合は、操作スイッチ3から演算回路2に所望の時間を入力する。演算回路2は、記憶媒体に保存されたデータの中から所望の時間のデータを呼び出し、このデータに基づき体表面電位分布図を外部出力装置4に表示する。
【0043】
さらに、使用者が時間の経過順とは逆に、すなわち過去に遡って体表面電位分布図を順に見たい場合は、図8に示すように、演算回路2は記憶媒体に保持したデータを、時間経過とは逆順に、次々と切り替えて外部出力装置4に表示していく。図においてTは、体表面電位分布図の表示を切り替える時間間隔であり、使用者は所望の値を指定できる。
【0044】
本発明者が試作した心電計では、心電位を検出する時間を一例として250μ秒〜2ミリ秒の間隔で設定した。例えば、250μ秒で心電位をサンプリングした場合、対応する体表面電位分布図は1秒で4000枚が生成される。この分布図をそのまま1秒に4000枚表示する必要はなく、使用者は表示する時間間隔Tについて、任意に指定できる。
【0045】
例えば、1ミリ秒おきに測定した体表面電位分布図を、それぞれT=0.5秒で切り替えて過去に向かって表示したい場合、使用者は操作スイッチ3を操作して必要な情報を演算回路2に入力すれば、演算回路2は指令に従い各データを呼び出し、演算し、表示することができる。各時点での体表面電位分布図を連続的に切り替えて表示することで、使用者は時間の経過とともに変動していく心電位の状態を感覚的に把握できる。
【0046】
同様に、例えば1ミリ秒毎に測定したデータのうち、2ミリ秒おきのデータのみを0.5秒ずつ連続して表示するよう命令することもできるし、また、使用者が連続的な表示を中断してある時点の体表面電位分布図を表示し続けたい場合は、操作スイッチ3を操作して、演算回路2に処理の中止を命令すればよい。もちろん、同様の手順によって体表面電位分布図を時間経過順に表示することもできる。また予め体表面電位分布図を測定する時間間隔を短く設定することで、より詳細に変化の状態を表示できることはいうまでもない。このように、使用者は必要な体表面電位分布図をサーチしたり一時停止したりして、より便利かつ詳細に心電位を検討、評価することができる。
【0047】
特に、心臓の状態は、心臓が鼓動する前後において大きく変化するが、それ以外の時間では変化が穏やかであって、電位分布もそれほど変化しない。さらに、変化の大きい部分の体表面電位分布図は、心臓が正常な者と疾患を有する者とで異なる。したがって、心臓の状態を調べるには、変化がピークとなる心鼓動の前後の期間を集中して分析することが重要である。逆に言うと、それ以外のデータはスキップすることができる。
【0048】
例えばT=0.5秒、すなわち1秒毎に2画面を一定間隔で表示すれば、1秒間に取得した心電データを表示するのに要する時間は2000秒となり、約33分である。この場合で、心臓が1秒に1回鼓動するとして、変化のピーク期間を0.2秒とすれば、この期間の体表面電位分布図を表示するのに要する時間は約6分である。したがって、使用者は表示画面を確認しながら表示時間Tを変更して、不要と思われる部分ではTを短くして時間を短縮でき、さらに必要と思われる部分ではTを長くして分布図を詳細に検討することができ、極めて効率よく心電位を検索し、分析することができる。
【0049】
このように体表面電位分布図を表示する方法は、あたかもビデオテープレコーダを使用してビデオテープに記録された画像を再生する際に、逆再生、順再生、スロー再生、コマ送り、早送り、巻き戻し等、再生方法を自由に指定できることに近似している。つまり、各画面に相当する体表面電位分布図のデータを記憶、保持しておき、これを所定の方法で順次表示することによって、連続的に変化していく電位分布の変動の様子を使用者は自由にサーチ、モニタできるので、簡単かつ正確に状況を把握することができる。
【0050】
なお、使用者が体表面電位分布図の表示方法を指定する方法、いいかえると電位分布の「再生」方法を指定する操作スイッチ3には、一般的な入力手段であるボタンやレバー、キーボード、マウス等の他、図示しないが、ビデオテープレコーダで利用されているいわゆる「ジョグシャトル」を併せて使用することもできる。ジョグシャトルとは一般にダイヤル状の形状をした、回転位置によって入力命令が変化するスイッチの一種である。例えば右に回すと順方向に再生、左に回すと逆再生となり、さらに回す角度を大きくするほど再生速度が速くなり、角度を小さくするほど遅く再生される。さらに、ダイヤルの中心部にコマ送りを操作する回転部やスイッチを備えることもできる。ジョグシャトルを体表面電位分布図の表示方法を指定する操作スイッチ3の1つとして利用することで、使用者は感覚的に電位分布の表示を変更することができ、操作をさらに容易にして極めて便利かつ簡単に使用することができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の体表面心電計と体表面電位分布図の表示方法は、体表面の多数の点から正確に心電位を測定できることに加えて、体表面電位分布図が時間とともに変動していく様子を容易に把握できるという特長を実現する。それは、本発明の体表面心電計と体表面電位分布図の表示方法が、時間の経過とは逆に体表面電位分布図を遡って表示できるからである。
【0052】
特に電位分布図は、図1に示すように時間軸を有さないため、特定の時間時における心臓の状態を把握することはできるが、時間とともに変動していく様子については、容易に判断することができなかった。このため、一定時間毎に更新されて表示される体表面電位分布図をずっと見続けるか、または印刷された各時間毎の体表面電位分布図を幾つも比較して、心電位状態の移行の様子を推測する必要があり、簡単に過去のデータと比較、検討することができず不便で、手間がかかり分析に不向きな欠点があった。
【0053】
本発明は、各時間毎の体表面電位分布図の表示に必要なデータを保持しておくことで、すぐに出力画面上に必要な電位分布を表示することができ、また過去に遡って体表面電位分布図を順次切り替えて表示できる。このため、電位分布の変動していく状態が画面上で容易に確認できるので、患者の心臓の状態を確実に把握する手助けとなる。
【0054】
また本発明の体表面心電計と体表面電位分布図の表示方法は、得られた体表面電位分布図の中から、所望の電位分布図を容易に探し出すことができ、さらに重要な分布図はゆっくりと表示して詳細に検討できる特長も実現できる。それは本発明が、体表面電位分布図を遡って表示できることに加えて、表示する時間間隔を、使用者の望む時間間隔に変更することができるからである。
【0055】
特に体表面電位分布図は、心臓の鼓動する前後において変化が大きく、この部分の電位分布図が健常者と疾患を有する患者とで異なる。このため、この期間の体表面電位分布図を検討することが、心臓病の予防や早期発見、また患者の容態を調べるために重要である。
【0056】
本発明によれば、例えば体表面電位分布図を表示する時間間隔を短くして、あたかもビデオテープレコーダの早送り、巻き戻し再生のように、所望の部分を簡単にサーチすることができる。よって、蓄えた時間毎の電位分布図の中から特に必要と思われる分布図を容易に探し出すことができる。さらに、探し出したデータや必要なデータは、逆に表示時間を長くしてゆっくりと詳細に検討することもできる。
【0057】
このように本発明は、得られたデータの検索、選択性にも優れており、さらに便利に体表面電位分布図のデータを活用して、心臓疾患の予防や早期発見、また他の疾患で誘発される心臓病の早期発見に役立てるという特長を実現できる。
【0058】
特に、各時間毎の体表面電位分布図のデータを容易に利用できる本発明によれば、例えば心臓に疾患を有する患者の現状態を正確に把握するために、医者等がこの心電計を利用して、必要に応じた使い方で心臓電気現象を捉えることができる。不要なデータをスキップして特に重要と思われる部分をサーチしたり、表示を一時停止して詳細に検討したりすることが簡単かつ迅速に行えるので、極めて容易に患者の状態を把握することができる特長が実現される。
【0059】
さらにまた、必要なデータを外部記憶装置に保存しておくことで、患者の過去の状態を調べたり、他の患者と比較することもでき、臨床、研究等にデータを有効利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】心臓付近の体表面の電位分布図
【図2】本発明の一実施の形態を示す体表面心電計および本発明者が先に開発した体表面心電計のブロック線図
【図3】本発明の一実施の形態を示す体表面心電計および本発明者が先に開発した体表面心電計の電極を示す斜視図
【図4】図3に示す電極の底面図
【図5】図3に示す電極の断面図
【図6】図5に示す電極の板材の平面図
【図7】図3の電極の装着状態を示す断面図
【図8】本発明の一実施の形態にかかる体表面電位分布図の表示方法を示す概念図
【符号の説明】
1…電極
2…演算回路
3…操作スイッチ
4…外部出力装置 4A…モニタテレビ 4B…プリンター
5…電極群 5N…針電極
6…本体
7…可動性部材
8…巻付けバンド
9…付着性テープ
10…ケース
11…板材
12…板材
13…コイルスプリング
14…導電層
15…引出線
16…シールド線
17…バンド
R…ロッド

Claims (4)

  1. 心臓から体表面に誘導される心電位を、所定の時間間隔で体表面の複数点で検出する電極(1)と、電極(1)で検出した心電位から特定時間における体表面電位分布図を演算する演算回路(2)と、この演算回路(2)で演算された体表面電位分布図を、時間の経過に従って順番に表示する外部出力装置(4)とを備える体表面心電計において、
    演算回路(2)が、時間の経過する順番とは逆に体表面電位分布図を表示できるようにしてなることを特徴とする体表面心電計。
  2. 演算回路(2)が、体表面電位分布図を表示する時間間隔を変化できる請求項1に記載する体表面心電計。
  3. 心臓から体表面に誘導される心電位を、所定の時間間隔で体表面の複数点で電極で検出した心電位から特定時間における体表面電位分布図を演算し、演算した体表面電位分布図を時間の経過に従って順番に外部出力装置(4)に表示する体表面心電計の体表面電位分布図の表示方法において、
    体表面電位分布図を、時間の経過する順番とは逆に表示できるようにしてなることを特徴とする体表面心電計の体表面電位分布図の表示方法。
  4. 体表面電位分布図を表示する時間間隔を変化できることを特徴とする請求項3に記載する体表面心電計の体表面電位分布図の表示方法。
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