JP2007195690A - 携帯型心電計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】携帯型心電計測装置において、不整脈や虚血性心疾患などのイベント発生時の使い勝手を良くし、かつ複数種類の心電図の測定を可能とする。
【解決手段】携帯自在な大略直方体の箱型形状の装置本体に設けた電極3〜6を身体に接触させることにより3つの誘導(心電図)を用いて心臓の活動によって生じる心起電力を測定する測定部と、測定された心起電力のデータに基づき心疾患の診断に利用可能な波形特徴パラメータを抽出する解析部と、抽出された波形特徴パラメータを表示する表示部7と、を備える。第1の電極3と第2の電極4は、携帯型心電計測装置1の上面9aの左右角部に、第3の電極5とGND電極6は、後面9bの左右に、備えられている。第1の電極3と第2の電極4間の電位差(第1誘導)、第2の電極4と第3の電極5間の電位差(第3誘導)、第1の電極3と第3の電極5のGND電極6を基準とした電位(胸部V5誘導)が測定される。
【選択図】図3

Description

本発明は、携帯型心電計測装置に関する。
従来、被験者の心臓の活動によって生じる心起電力の時間変化である心電波形を計測する心電計測装置には、12誘導型心電計とホルター心電計がある。前者の、12誘導型心電計は、医療機関において古くから使用されており、四肢に4つ、胸部に6つの合計10個の電極(四肢電極と胸部電極)を装着し、所定の12対の電極間の電位差を時間の関数、すなわち心電波形(心電図)として測定し記録する装置である。後者の、ホルター心電計は、電極を身体に装着したまま24時間連続で心電波形を計測できるようにしたものである。なお、心電図を測定し記録する方法は誘導法とも呼ばれる。さらに、得られた電圧波形データ、すなわち心電図そのものを誘導ということがあり、以下では、心電図が、電極対の選択の仕方などに基づく区別により何々誘導などと呼ばれることがある。
また、心電図は、通常、心臓から距離的に遠い部位(四肢など)や電気的に電位が小さく安定した部位に装着した電極(不関電極、遠隔電極)を基準として心起電力の影響を強く受けるような心臓の近くに装着した他の電極(関電極、近接電極)の電位を記録する単極誘導と、同程度に心起電力の影響を受ける部位に装着した電極間の電位差を記録する双極誘導とに分類される。
上述の12誘導型心電計によって得られる12の心電図には、四肢電極を用いた四肢誘導である、左右の手首間の電位を計測する第1誘導、右手と左足首の電位を計測する第2誘導、左手と左足首の電位を計測する第3誘導(これらは双極誘導)、左手と左足首を不関電極としたaVR誘導、右手と左足首を不関電極としたaVL誘導、右手と左手を不関電極としたaVF誘導(これらは単極誘導)があり、胸部電極を用いた胸部誘導である、関電極を配置する胸部の場所によって決められた6つのV1〜V6誘導(これらは単極誘導)がある。これらの計測方法は国際的にも取り決められて、医療分野で広く用いられているものである。
心電波形は、図15に示すように、心房放電状態を表すP波、心室放電状態を表すQRS波、心室充電状態を表すT波、及びU波がある。これらの波形から、波形の幅、基線に対する各波の高さ、心拍間隔であるR−R間隔などの波形特徴パラメータが抽出される。これらの波形特徴パラメータは、各種不整脈、虚血性心疾患などの診断に利用される。
ところで、上述の12誘導型心電計やホルター心電計などを用いて、被験者の安静時の限られた測定時間内に測定しても、計測されるべき不整脈が発生しない場合がある。そのため、本人の胸部の痛みが発生したときに、本人が心電図を計測することができる、いわゆるイベント型の心電計が近年注目されている。
そこで、図16に示すように、本体90の表面に第1電極91、第2電極92、及びGND電極93を備え、被験者が、第1電極91とGND電極93を右手で掴み、第2電極92を被験者の身体表面、例えば、胸部の所定の位置に当てることにより胸部誘導を計測するようにしたイベント型心電計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ペンダント型の本体の左右に伸びるアームの、所定の距離だけ離した左右端に第1及び第2の電極を備え、さらに本体の所定の他の位置に第3の電極を備えて、胸部痛などのイベント発生時に、その本体を胸部に押し当てることにより胸部誘導を捉えるようにしたイベント型心電計が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2003−144403号公報 特開2004−209024号公報
しかしながら、上述した図16や特許文献1,2に示されるような従来のイベント型心電計は、上述した12誘導型心電計で計測されるように分類された誘導(心電図)を個別に1つしか捉えることができないという問題がある。
一般に、心臓の活動電位は、図17に示すように、3次元ベクトルであって心起電力ベクトルと呼ばれるものであり、前後、左右、上下の成分を含んでいる。そこで、上述したような、心起電力による各誘導は、3次元の心起電力ベクトルを1次元に投影したものと考えることができる。従って、各誘導にはそれぞれ異なる特性がある。第1誘導は心臓を左から見た誘導であって、主に左心室の側壁の情報を含む。第2誘導は心臓を心尖部からみた誘導であり、第3誘導は心臓を左足からみた誘導であって、右心室側面と左心室下壁の情報を含んでいる。また、aVR、aVL、aVFは、それぞれ右肩、左肩、及び真下から心臓の電気ベクトルを見た誘導である。
また、胸部誘導は、身体が直立した状態の心臓を、電極を装着した位置で水平に切った断面に投影した誘導でV1は右室、V2は右室と左室前壁、V3,V4は心室中隔と左室前壁、V5は左室前壁と側壁、V6は左室側壁を見る誘導である。そして、胸部誘導の情報では3次元ベクトルの上下成分が得られず、同様に、四肢誘導の情報では、前後成分が得られない。
そして、上述したような従来のイベント型心電計は、胸部誘導の情報しか捉えていないので、3次元ベクトルの前後、左右成分は含んでいるものの、上下成分を含んでいない。3誘導を用いた診断と12誘導を用いた診断の一致率は、1誘導と12誘導の場合の一致率に比べて高いという結果が出ている。従って、心臓の機能をより詳細に診断するには、従来の胸部誘導の情報しか捉えていない方式では十分でないという問題がある。
従来のイベント型心電計によって複数種類の誘導の情報を得る場合、電極の当てる位置を順番に変える方式が用いられる。しかしながら、複数の誘導が同時に得られないので、測定中に心臓の状態が急激に変わる場合に正確な診断ができないという問題がある。また、一般に、1誘導あたりの測定時間として約30秒間必要なので、3誘導の情報を捉えるには90秒間の測定が必要であり、被験者に苦痛が伴うという問題がある。
また、ホルター心電計は、複数の誘導を同時に計測できるものの、電極を身体に貼り付けたまま日常生活を送る必要があって被験者にとってわずらわしく、また、電極が外れたりして測定がうまく行かないことがある。
本発明は、上記課題を解消するものであって、不整脈や虚血性心疾患などのイベント発生時の使い勝手が良く、かつ複数種類の心電図の測定を実現できる携帯型心電計測装置を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、携帯自在な携帯型心電計測装置において、装置本体の少なくとも4箇所に電極が設けられ、身体に前記4つの電極を接触させることにより心起電力記録のための少なくとも3つの誘導を用いて心臓の活動によって生じる心起電力を測定する測定部と、前記測定部によって測定された心起電力のデータに基づき心疾患の診断に利用可能な波形特徴パラメータを抽出する解析部と、前記解析部によって抽出された波形特徴パラメータを表示する表示部と、を備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯型心電計測装置において、前記測定部は、心起電力を心臓の前後、左右、上下各方向成分について少なくとも3つの誘導を用いて同時に測定するものである。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の携帯型心電計測装置において、前記測定部の少なくとも1つの電極が、身体に接触するための曲面形状を有するものである。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の携帯型心電計測装置において、前記測定部の少なくとも1つの電極が、測定を開始及び/又は終了するためのスイッチを構成しているものである。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の携帯型心電計測装置において、前記測定部の各電極は、当該電極を身体に押圧して接触させたときにその押圧力を検出するための押圧力検出機構を有し、前記測定部は、前記各電極が所定の押圧力を所定時間維持したことを前記各押圧力検出機構が検知した後に測定を開始するものである。
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の携帯型心電計測装置において、前記解析部は、複数の誘導から得られる心起電力の信号から心起電力ベクトルである心臓電気軸を算出するものである。
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の携帯型心電計測装置において、前記測定部は、誘導の種頼を切り替えるため前記4つの電極を切り替えるスイッチを備えるものである。
請求項1の発明によれば、装置本体の少なくとも4箇所に設けた電極を身体に接触させて心電図を測定するので、例えば、右手用の四肢電極、左手用の四肢電極、互いに離れた2つの胸部電極を装置本体に備え、両手で四肢電極を持って装置本体を支えて胸部電極を胸部に接触させることにより、3種類の心電図、すなわち、心臓電気活動の左右成分として右手と左手の電位差を捉える第1誘導、上下成分として左手と胸部の電位差を捉える第3誘導、前後成分として右手と胸部の電位差を捉える胸部誘導の3誘導(3種類の心電図)を同時に計測することができ、従来の1誘導を用いる場合よりも心機能の診断をより正確に行うことができる。
また、3誘導を同時に捉えることができるので、電極の位置を変えて時間をかけて1誘導ずつ3誘導を測定する必要がなく、不整脈や虚血性心疾患などのイベント発生時の測定において被験者にとって測定時の苦痛がなく使い勝手のよい携帯型心電計測装置を提供できる。また、複数の誘導が同時に得られるので、測定中に心臓の状態が急激に変わる場合においても、従来の1誘導式に比べて、不整脈、心疾患のなどの診断により精度を向上して対応できる。さらに、3誘導によって心臓電気軸を得ることができるので、より詳細な診断が可能である。また、心起電力のデータに基づき心疾患の診断に利用可能な波形特徴パラメータを抽出し表示するので、被験者や介添え者がその表示を見て容易に自己診断できる。
請求項2の発明によれば、それぞれ心起電力に関する異なる特徴を反映する複数の誘導が得られるので、心機能の診断をより正確に行うことができる。例えば、心臓電気活動の左右成分として右手と左手の電位を捉えた第1誘導、上下成分として左手と胸部の電位を捉えた第3誘導、前後成分として右手と胸部の電位を捉えた胸部誘導を選択し、3誘導を同時に計測することにより、従来の1誘導式に比べて、不整脈、心疾患の診断に対して心機能の診断をより正確に行うことができる。さらに、心臓電気軸を得ることができ、より詳細な診断が可能である。
請求項3の発明によれば、電極が身体の一部に接触するための所定の曲面形状を有することにより、装置本体を把持したり、身体に密着固定したりすることが容易となり、測定中においても電極がずれにくいので、ノイズの少ないS/N比の高い測定ができる。
請求項4の発明によれば、測定用の電極とスイッチを兼用するので、操作が簡便で使い勝手が良く、不整脈や虚血性心疾患などのイベント発生時の測定が楽になる。
請求項5の発明によれば、電極と進退の接触不良による測定の失敗がなくなり、操作性がよくなる。接触不良によるノイズを防止できるので、ノイズが少ない信号が得られ、心機能の診断をより正確に行うことができる。例えば、測定のため電極を胸部に当てる際に力が入り過ぎると筋起電力が発生してノイズ混入の原因になり、力を抜きすぎると電極と胸部の接触状態が安定せず、同様にノイズとなるが、押圧力検出機構の作用によってこのような自体を避けることができる。
請求項6の発明によれば、心臓の振れ具合を表現した指標である心臓電気軸が得られるので、心肥大、梗塞部位などをより一層正確に診断することができる。
請求項7の発明によれば、被験者の状態に応じて、心疾患の特徴を反映した注目すべき誘導を、スイッチを用いて選択し、簡便に計測結果を利用することができる。緊急時に1誘導への切り替えが可能である。
以下、本発明の各実施形態に係る携帯型心電計測装置について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る携帯型心電計測装置1の回路ブロックを示し、図2(a)〜(c)は同装置1の外観を示し、図3(a)(b)は同装置1の使用状態を示す。携帯型心電計測装置1は、図1に示すように、身体表面の電位信号を取得するための4つの電極3〜6などを有する測定部10と、測定部10で測定された心電波形のデータやそのデータを処理する処理プログラムなどを記憶するメモリ12と、測定された心電波形データを演算処理して波形特徴パラメータを抽出する解析部14と、測定結果や解析部14によって抽出された波形特徴パラメータなどの解析結果を表示する表示部7と、携帯型心電計測装置1の電源ON/OFFなどの制御を行う操作部15と、これら各部間のデータのやりとりや各部の制御を行うCPU(中央制御ユニット)13と、を備えている。
上述の測定部10は、4つの電極、すなわち、第1の電極3、第2の電極4、第3の電極5、及びGND電極6と、これらの電極が身体に接触することにより得られる電極間の電位差を増幅する作動増幅回路11aと、作動増幅回路11aで得られた信号のノイズを除去するフィルタ回路11bとを備えて構成されている。
また、携帯型心電計測装置1の外形は、図2(a)〜(d)に示すように、携帯自在な大略直方体の箱型形状をしている。第1の電極3と第2の電極4が、携帯型心電計測装置1の上面9aの左右角部に備えられ、第3の電極5とGND電極6が、後面9bの左右に備えられ、表示部7が上面aの中央部に、また、測定開始ボタン8が上面aの他の角部に備えられている。操作部15には、この測定開始ボタン8が含まれており、この他に、不図示の操作モード選択スイッチや表示内容選択スイッチ、及び、被験者への応答を行うための音響発生装置などが含まれる。これらの選択スイッチは、例えば、表示部7にタッチパネルの選択ボタンとして形成することができる。
携帯型心電計測装置1は、図3(a)(b)に示すように、上面9aを上にした状態で被験者に保持されて用いられる。すなわち被験者は携帯型心電計測装置1を表示部7が上、後面9bが胸部側となるように持ち、右手の親指を第1の電極3、左手の親指を第2の電極4に置き、第3の電極5を左乳頭の下約5cmに当て、GND電極6を胸部に接触させた状態で保持する。このとき、第1の電極3に右手親指が接触し、第2の電極4に左手親指が接触し、第3の電極5とGND電極6とが被験者の胸部に接触するように、左右の手で装置が保持されると共に、その後面9bが胸部に軽く押接される。このように、4箇所に設けた4つの電極3〜6を身体に接触させることにより心起電力記録のための少なくとも3つの誘導を用いて心臓の活動によって生じる心起電力が測定部10によって測定される。
ここで携帯型心電計測装置1の動作の概要を述べる。被験者が携帯型心電計測装置1を上述のように保持し、測定開始ボタン8をONにして心電測定を開始すると、その開始信号が操作部15を介してCPU13に送られ、測定開始の信号がCPU13において検出される。すると、第1の電極3と第2の電極4間の電位差(第1誘導)、第2の電極4と第3の電極5間の電位差(第3誘導)、第1の電極3と第3の電極5のGND電極6を基準とした電位(胸部V5誘導)が検出され、それぞれ差動増幅回路11aの対応する増幅器によって増幅され、フィルタ回路11によりノイズ成分が除去される。
上述の第1誘導、第3誘導、胸部V5誘導の測定波形データは、表示部7に表示されるとともにメモリ12に記憶される。また、これらのデータは、CPU13によって解析部14へ送られる。解析部14は、各誘導信号波形の高さ、幅などの診断に利用できる波形特徴パラメータを抽出し、メモリ12に格納する。所定時間の測定終了後、表示部7には、抽出された波形特徴パラメータに基づく波形の乱れ、リズムの乱れなどの標準値との比較結果などが、被験者へのメッセージとして表示される。被験者は、操作部15によりメモリ12に格納された波形や波形特徴パラメータから所望のデータを選択して表示部7に表示することができる。
次に、図4のフローチャートを参照して携帯型心電計測装置1の測定処理の詳細を説明する。これらの処理は、CPU13の制御のもとで行われる。まず、ステップS1において測定開始ボタン8がONされたか否かが判定され、ONされている場合(S1でYes)、心電波形の検出(S2)、グラフ表示(S3)、波形特徴パラメータの抽出(S4)、波形データと抽出された波形特徴パラメータのメモリへの格納(S5)の処理が、所定の周期で所定の時間、例えば30秒間行われる。
CPU13は、測定開始後30秒経過したか否かを判定し(S6)、30秒経過している場合(S6でYes)、操作部15の音響発生装置によって測定終了音を鳴らし(S7)、メモリに格納した波形特徴パラメータを読み出し(S8)、解析部14に、例えば、心電波形におけるリズム波形の乱れを所定の評価アルゴリズムに基づいて評価させ(S9)、評価結果(診断結果)をメモリ12に格納すると共に表示部7に所定の表示内容、又は、後述する繰り返しのステップ(S13、S16)の中で選択された表示内容を表示させる(S10)。メモリ12には、測定開始時間、波形データ、波形特徴パラメータ、診断結果などが格納される。
上述の表示がなされている状態で、被験者は、操作部15を操作して操作モードを選択することができる(S11)。操作モードは3種類あり、再測定モードの場合(S12)、ステップS1に戻って上述のステップが繰り返される。終了モードの場合(S14)、電源がOFFされて処理が終了する(S15)。また、表示モードの場合(S13)、被験者は、さらに3種類の表示内容から1つの選択を行う(S16)。グラフ表示(S17)、波形特徴パラメータ(S18)、又は、診断結果(S19)のいずれかが選択されると、メモり12から所定のデータが読み出され(S20)、その内容が表示部7に表示される(S21)。この表示がなされている状態で、制御はステップS11に進んでおり、被験者は、操作部15を操作して操作モードを選択することができる(S11)。
上述の表示内容の例を、図5、図6、図7に示す。図5は、第1誘導、第3誘導、V5誘導のグラフの表示である。図6は、V5誘導により得られた波形特徴パラメータの結果の表示であり、所定の標準値との比較判定結果が星印で表示されている。図7は、診断結果の表示であ心電図における波形や心拍のリズムなどについて、所定の標準値と比較結果が診断結果として表示されている。本発明の携帯型心電計測装置1によれば、3つの誘導を同時に計測して表示させることができるので、従来の1誘導による計測と比べて、より多くの情報を利用することができ、被験者や医師の診断精度が向上する。また、解析部14が、波形特徴パラメータを抽出して表示させることができるので、人間が心電図チャート紙のマス目を読んで波形特徴パラメータを抽出する手間が不要である。
(第2の実施形態)
図8(a)〜(f)は本発明の第2の実施形態に係る携帯型心電計測装置1の外観を示す。この携帯型心電計測装置1は、上述の第1の実施形態の携帯型心電計測装置1とは、第1の電極3、第2の電極4の形状が異なり、他の点は上述のものと同様である。すなわち、この第2の実施形態の携帯型心電計測装置1においては、第1の電極3と第2の電極4が、それぞれ上面9aだけでなく側面9c、さらには裏面9dまで延設されているところが第1の実施形態と異なっている。このように電極3,4が広い面積を有するので、被験者は、親指と人差し指で電極3,4を挟むようにして携帯型心電計測装置1を持つことができ、上面9aにしか電極がない場合に比べて、接触面積も大きくなり、電極部における指の位置ずれの影響が少なくなり、より確実に電気信号を正確に捉えることができる。
(第3の実施形態)
図9(a)は本発明の第3の実施形態に係る携帯型心電計測装置1の外観を示し、図9(b)はその使用状態を示し、図9(c)(d)は第1の電極部分の部分断面を示す。この携帯型心電計測装置1は、上述の第1の実施形態の携帯型心電計測装置1とは、第1の電極3、第2の電極4の形状が異なり、他の点は上述のものと同様である。すなわち、この第3の実施形態の携帯型心電計測装置1においては、第1の電極3と第2の電極4が、それぞれ上面9aに形成された凹部16の中に形成されているところが第1の実施形態と異なっている。
また、凹部16は、携帯型心電計測装置1を両手で保持する際に、自然に配置される親指の位置に、前後方向よりも斜めに傾けて設けられている。凹部16の形状は、図9(b)(c)に示すように、その曲率が親指に類似の所定の凹形状となっている。これらにより、親指17の腹が凹部16にフィットするので位置決めが容易であり、かつ、電極から親指がずれにくい。従って、よりノイズの少ない信号を検出することができる。
(第4の実施形態)
図10(a)は本発明の第4の実施形態に係る携帯型心電計測装置1を示し、図10(b)(c)第1の電極部分の部分断面を示す。この携帯型心電計測装置1は、上述の第3の実施形態の携帯型心電計測装置1とは、測定開始ボタン8の代わりに、第1の電極3の凹部16に測定開始スイッチSWが形成されている点が異なり、他の点は上述のものと同様である。すなわち、この第4の実施形態の携帯型心電計測装置1においては、第1の電極3が、測定を開始及び/又は終了するためのスイッチSWを構成しているところが第3の実施形態と異なっている。つまり、第1の電極3が、測定開始ボタン8との兼用になつている。
この携帯型心電計測装置1では、図10(b)に示すように、第1の電極3が、その裏面からバネ18により付勢され、第1の電極3に裏面で結合されているコンタクタ19が接点20,21から離間して、測定開始のスイッチSWがOFFの状態となっている。この状態の第1の電極3を親指17が所定の力で押さえると、図10(c)に示すように、バネ18が押されてコンタクタ19が接点20,21に接触して接点間を導通し、スイッチSWがONの状態となる。このようなスイッチSWを用いることにより、測定開始動作がより簡便になる。なお、第1の電極3とコンタクタ19は、電気絶縁されている。
(第5の実施形態)
図11(a)(b)は本発明の第5の実施形態に係る携帯型心電計測装置1を示す。この携帯型心電計測装置1は、上述の第3又は第4の実施形態の携帯型心電計測装置1において、第3の電極5とGND電極6に、測定開始用のスイッチSWを兼ねさせたものであり、他の点はそれぞれの実施形態と同様である。この携帯型心電計測装置1では、非測定状態において、図11(a)に示すように、第3電極5及びGND電極6に対して共通に設けられたコンタクタ19が、バネ18の付勢力によって、接点20,21から離間して、測定開始のスイッチSWがOFFの状態となっている。
この状態の第3の電極5とGND電極6とを胸部に所定の力で押さえると、図11(b)に示すように、バネ18が押されてコンタクタ19が接点20,21に接触して接点間を導通し、スイッチSWがONの状態となる。なお、第3の電極5、GND電極6、及びとコンタクタ19は、互いに電気絶縁されている。このようなスイッチSWを設けることにより、バネ18に所定の時間継続して所定の圧力をかけなければ電源がオンにならない構造にすれば、接触不良による測定失敗がなくなり、ノイズの少ない信号を検出することができる。
また、測定部10各電極3〜6に、それぞれの電極3〜6を身体に押圧して接触させたときにその押圧力を検出するための押圧力検出機構(不図示)を備えて、各電極3〜6が所定の押圧力を所定時間受けたときに、各押圧力検出機構が検知し、その後に初めて、測定を開始するようにすることができる。この場合、より確実に各電極3〜6の接触不良を抑制できる。正しい心電図が得られることにより、例えば、本来正常であるのに接触不良による心電図のために異常有りと誤診してしまうような事態を回避できる。
(第6の実施形態)
図12(a)〜(c)は本発明の第6の実施形態に係る携帯型心電計測装置によって心臓電気軸を求める方法を示し、図13は心臓電気軸を求めた例を示す。本実施形態の携帯型心電計測装置1は、解析部14によって、第1誘導と第3誘導の測定データを用いて、心起電力ベクトルである心臓電気軸を算出する機能を備えている。この機能は、上述したいずれの実施形態の携帯型心電計装置1にも備えることができる。また、求めた結果を、数値やグラフで表示部7に表示することもできる。
心臓電気軸は電気的な興奮が心室を流れる向きを表す指標であり、2つの誘導を用いて求めることができる。すなわち、図12(a)(b)に示すように、第1誘導と第3誘導のQRS波のピーク値を、それぞれ正負の符号を考慮して積算し、第1誘導では、7−1=6(mV)、第3誘導では、−1+10−1=8(mV)と求める。これらは、解析部14によって、波形特徴パラメータとして求められるものである。求めた値は、図12(c)に示すように、周知の正三角形模型を用いて、三角形の重心上でベクトル合成され、心臓電気軸の方向が67゜と求められる。このような結果は、例えば、図13に示すように、表示部7に表示することができる。心臓電気軸が67゜であって正常範囲にあることが分かる。
このような心臓電気軸は、一般に、−30゜〜110゜の範囲にあれば正常範囲、−30゜〜−90゜の範囲では左軸備位、110゜〜180゜の範囲では右軸偏位とされている。心臓電気軸は、電気的な現象から見た心臓形状や配置の振れ具合を表現する指標であるので、心臓電気軸を得て参照することにより、心肥大、梗塞部位などをより一層正確に診断することができる。
(第7の実施形態)
図14(a)は本発明の第7の実施形態に係る携帯型心電計測装置1を示し、図14(b)は同装置1の誘導切り替え用のスイッチを示す。本実施形態の携帯型心電計測装置1は、測定部10が、測定する誘導の種頼を切り替えるため4つの電極を切り替える切替スイッチ22を備えている。この切替スイッチ22は、上述したいずれの実施形態の携帯型心電計装置1にも備えることができる。この切替スイッチ22は、第1誘導、第3誘導、V5誘導の単独誘導の測定、及び3誘導の測定の4段階で切り替えることができる。
具体的に述べると、第1誘導単独の場合は第3の電極5を、第3誘導単独の場合は第1の電極3を、V5誘導単独の場合は第2の電極4を、それぞれ測定回路上で切り離せばよい。従って、緊急に1誘導のみ取りたい場合に有効である。
以上、本発明について各実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、胸部誘導は、V5誘導として説明したが、V1誘導からV6誘導のいずれの誘導でもよい。また、3誘導として、第1誘導、第3誘導、V5誘導について主に説明したが、これら以外の組み合わせも可能である。また、上述の全ての実施形態において、第3の電極5、GND電極6は、導電性ゴムを被せた構造としてもよい。導電性ゴムを用いることにより、金属を胸部に接触させたときの冷たさがなくなり、温度違和感の影響による不整脈の発生などを防止でき、より正確な診断を行うことができる。また、第3の電極5、GND電極6の裏側に、加温用の電熱ヒータを設けてもよい。さらに、上述の各実施形態の構成を全て組み合わせた実施形態の携帯型心電計測装置1としてもよい。
本発明の第1の実施形態に係る携帯型心電計測装置についての回路ブロック図。 (a)は同上装置の上面図、(b)は同装置の側面図、(c)は同装置の後面図、(d)は同装置の斜視図。 (a)は同上装置の使用状態を示す上方向斜視図、(b)は同装置の使用状態を示す側面図。 同上装置の動作を示すフローチャート。 同上装置の表示部に表示された画面の例を示す図。 同上装置の表示部に表示された画面の他の例を示す図。 同上装置の表示部に表示された画面のさらに他の例を示す図。 (a)は本発明の第2の実施形態に係る携帯型心電計測装置についての側面図、(b)は同装置の上面図、(c)は同装置の他の側面図、(d)は同装置の後面図、(e)は同装置の下面図、(f)は同装置の斜視図。 (a)は本発明の第3の実施形態に係る携帯型心電計測装置についての上面図、(b)は同装置の使用状態を示す上方向斜視図、(c)は同装置の電極部分に接近する人の指と電極部分の断面図、(d)は(c)における指が電極部分に接触した状態の断面図。 (a)は本発明の第4の実施形態に係る携帯型心電計測装置についての上面図、(b)は同装置の電極部分に接近する人の指と電極部分の断面図、(c)は(b)における指が電極部分に接触した状態の断面図。 (a)は本発明の第5の実施形態に係る携帯型心電計測装置についての内部透視上面図、(b)は(a)の使用状態を示す内部透視上面図。 本発明の第6の実施形態に係る携帯型心電計測装置において心臓電気軸を求める手順の説明図であり、(a)は第1誘導の測定例を示す波形図、(b)は第3誘導の測定例を示す波形図、(c)は(a)(b)の測定例から心臓電気軸を求める方法を説明する図。 図12(a)(b)(c)の手順で求めた心臓電気軸の表示例の図。 (a)は本発明の第7の実施形態に係る携帯型心電計測装置についての上面図、(b)は同装置の誘導切り替え用のスイッチを示す平面図。 一般的な心電波形図。 従来の携帯型心電計測装置の使用状態の上面図. 心臓の活動電位の説明図。
符号の説明
1 携帯型心電計測装置
3 第1の電極
4 第2の電極
5 第3の電極
6 GND電極
7 表示部
14 解析部
16 凹部(曲面形状)
22 切替スイッチ
SW スイッチ

Claims (7)

  1. 携帯自在な携帯型心電計測装置において、
    装置本体の少なくとも4箇所に電極が設けられ、身体に前記4つの電極を接触させることにより心起電力記録のための少なくとも3つの誘導を用いて心臓の活動によって生じる心起電力を測定する測定部と、
    前記測定部によって測定された心起電力のデータに基づき心疾患の診断に利用可能な波形特徴パラメータを抽出する解析部と、
    前記解析部によって抽出された波形特徴パラメータを表示する表示部と、を備えることを特徴とする携帯型心電計測装置。
  2. 前記測定部は、心起電力を心臓の前後、左右、上下各方向成分について少なくとも3つの誘導を用いて同時に測定することを特徴とする請求項1に記載の携帯型心電計測装置。
  3. 前記測定部の少なくとも1つの電極が、身体に接触するための曲面形状を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯型心電計測装置。
  4. 前記測定部の少なくとも1つの電極が、測定を開始及び/又は終了するためのスイッチを構成していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の携帯型心電計測装置。
  5. 前記測定部の各電極は、当該電極を身体に押圧して接触させたときにその押圧力を検出するための押圧力検出機構を有し、前記測定部は、前記各電極が所定の押圧力を所定時間維持したことを前記各押圧力検出機構が検知した後に測定を開始することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の携帯型心電計測装置。
  6. 前記解析部は、複数の誘導から得られる心起電力の信号から心起電力ベクトルである心臓電気軸を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の携帯型心電計測装置。
  7. 前記測定部は、誘導の種頼を切り替えるため前記4つの電極を切り替えるスイッチを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の携帯型心電計測装置。
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