JP3771616B2 - 銅製錬用水冷ジャケット構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、銅製錬において使用する銅または銅合金からなる水冷ジャケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
硫化銅精鉱から粗銅を製造する銅製錬においては、自熔炉・反射炉等の熔錬炉にて硫化銅精鉱と反応用気体とを反応させ、カワとカラミとを得て、熔錬炉で生成したカラミを電気錬カン炉にて処理し、および熔錬炉で生成したカワを転炉にて処理するので、3種類の炉(以下、これらを銅製錬炉と総称する)が使用される。
通常、図9に示すような熔錬炉20で生成したカワは熔錬炉20の側壁に設けたタップジャケット22を介してカワ樋(図示せず)に抜かれ、レードルに受けた後、次工程の転炉に装入される。
【0003】
また、カラミはタップジャケット24あるいはオーバーフロー孔を介してカラミ樋23(図10)に抜かれ、図10に示すような電気錬カン炉30の天井部に設けたカラミ受入口32を経て電気錬カン炉30に装入される。そして、電極35で加熱されつつ静置されることによりカラミ中に懸垂しているカワが分離されて棄却可能なカラミとされる。この際に分離され電気錬カン炉30の下部に貯まったカワは前記熔錬炉20のカワと同様にしてタップジャケット34から抜かれ、転炉で処理される。
【0004】
またこのようにカワを分離されたカラミはタップホール36またはオーバーフロー孔を介してカラミ樋(図示せず)に流された後、水砕されて製品となる。
転炉に装入されたカワは、造カン期において、銅に富んだ白カワと、鉄酸化物を主体としたカラミに分離される。
カラミは、転炉を傾転して炉口よりレードルに抜かれ、鋳カン機で処理されたり、あるいは再び熔体のまま熔錬炉に繰り返される。
また、白カワは一般的には引き続き転炉で処理され、造カン期に続く造銅期において粗銅に仕上げられるが、時として転炉を傾転して炉口よりレードルに抜かれ、別の転炉や熔錬炉などに移されることがある。
【0005】
このようにカワ、白カワ、カラミ(以下、銅製錬熔体と称す)は、銅製錬炉から取り出されたり、銅製錬炉へ装入されたりすることが頻繁に行われる。この際、作業を容易にするため、銅製錬熔体と接触するタップホール、オーバーフロー孔、およびカワ樋、カラミ樋などの設備は銅または銅合金製の水冷ジャケット構造物となっているのが一般的である。これらの設備を水冷ジャケット構造物とする理由は、キャスターやカーボンでこれらの設備を製造するよりも、侵食が少なく、寿命が長く、また凝固物との剥離性も良好なため、作業性が著しく良好であるからである。水冷ジャケット構造物の一例として、図11に、電気錬カン炉のカラミ受入口ジャケット32を示す。該ジャケット32は、全体的に水冷構造で、冷却水は水冷管32aで流出入する。カラミ樋23を介して、カラミが該ジャケット32から流れ落ちる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、銅または銅合金製の水冷ジャケット構造物は、キャスターやカーボンに比べて寿命は長いが、後述の従来例で示すように、通常1〜2年程度の寿命である。
従って、ジャケット本体の価格も高く、必ずしも十分なコスト低減効果を発揮していなかった。このため、より寿命の長い水冷ジャケット構造物の開発が望まれていた。
【0007】
また、これらの水冷ジャケット構造物が銅製錬熔体と接触する部分の銅や銅合金の肉厚は、使用と共に徐々に減少(減肉)する。このため、当該部分の肉厚が基準厚さとなった処で新品と交換し、廃棄処分としている。廃棄処分とする代わりに、減肉部をジャケット母材と同種の溶接棒を用いて肉盛り補修することも可能である。しかし、銅製錬熔体のなかでも特にカワと直接接触する水冷ジャケットでは、肉盛り時に気泡を含むことがあり、1回の使用で肉盛りが破壊されることがあり、通常そのような肉盛り補修は行っていなかった。
しかし、このような肉厚の減少は銅製錬熔体、特にカワとの接触部以外は全く問題がなく、この状態での水冷ジャケット構造物の廃棄は、銅製錬コストを押し上げる大きな原因となっていた。この点からも、寿命がより長く、かつ補修可能な水冷ジャケット構造物の開発が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する水冷ジャケット構造物は、銅製錬炉で生じる、あるいは処理する銅製錬熔体(カワ、白カワ、カラミ)を該銅製錬炉から取り出すため、あるいは該銅製錬炉へ装入するために使用する銅または銅合金製の水冷ジャケット構造物において、該銅製錬熔体に接触する水冷ジャケット構造物の部分をNiまたはNi合金で肉盛りしたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
従来、銅製の水冷ジャケット構造物の減肉は銅製錬熔体による熔損作用が主因であると考えられていた。しかし本発明者らによる長年の調査より、主因は熔損作用ではなく摩耗作用であることが明らかになった。本発明の水冷ジャケット構造物で、銅製錬熔体との接触部をNiまたはNi合金で肉盛りするのは、これらNiやNi合金の耐摩耗性を利用するためである。従って、Ni合金は、耐摩耗性を重視して選ばれる。
すなわち、水冷ジャケット構造物の表面にNiまたはNi合金を電気溶接で肉盛ると、NiまたはNi合金の肉盛層によって水冷ジャケット構造物の当該表面は、その後の操業において、銅製錬熔体による摩耗から守られる。また、NiまたはNi合金の肉盛り層は、水冷ジャケット構造物の冷却効果によって、銅製錬熔体の熔損から守られる。この結果、水冷ジャケット構造物の減肉部分に当該肉盛層を設けると、水冷ジャケット構造物の寿命が著しく延長することになる。
【0010】
NiまたNi合金層は、水冷ジャケット構造物本体の銅または銅合金と原子レベルで接合されていることが減肉防止上重要であり、単に機械的に接触、あるいはNiまたはNi合金板をはり合わせただけでは必ずしも十分でなく、電気溶接で肉盛ることが、効果上および作業性並びに費用の点で最も効率が良い。
肉盛層下部の鍛造もしくは圧延加工がされた銅または銅合金の部分が減肉した場合には、まずCuまたはCu合金の肉盛にてジャケット本体を補修した後、その上にNiまたはNi合金の肉盛補修を行えば良い。なぜならば肉盛補修したジャケット本体はNiまたはNi合金の肉盛層によって保護されるからであり、鋳造組織の銅でも使用上の問題がなくなるからである。
NiまたNi合金の肉盛層が減肉したとき、再度NiまたはNi合金層を肉盛れば、再使用が可能である。
【0011】
NiまたはNi合金の肉盛りの側を図1〜図8に示す。
図1〜2は、カワ樋ジャケット2に肉盛部1を設けた例を示す。
図3〜4は、カラミ樋ジャケット4に肉盛部3を設けた例を示す。熔体の流れ方向の先端部にのみ肉盛部3がある。
図5〜6は、カラミ受入口ジャケット部材6に肉盛部5を設けた例を示す。カラミ受入口ジャケット部材6は、図11の部材32bに相当し、カラミ樋23から流れ出るカラミが当たる下半分に肉盛部5が設けられる。
図7〜8は、タップジャケット8の穴面に肉盛部7が設けられた例を示す。
【0012】
【実施例】
次に本発明の実施例について述べる。
[実施例1]
図9に示すように、内寸で幅6m、長さ20m、有効容積50m3 のセトラー26をもち、直径6m、高さ6.5mの反応塔28と、反応塔の頂部に設けられた4つの精鉱バーナー25とからなる自溶炉20と、図10に示すように、内寸で長径13m、短径5m、深さ1.6m、有効容積35m3 の電気錬カン炉30に、本発明の水冷ジャケット構造が適用された。
すなわち、前記自熔炉20と電気錬カン炉30とに使用する銅製のカワ樋ジャケット2と、自溶炉20の銅製のカラミ樋ジャケット4に、図1〜4に示すように、各々、Cu0.06%、Ni73.4%、Ti0.49%、Cr19.31%、Nb2.12%のNi合金で肉盛層を5mmの厚さでつけ、電気錬カン炉30の天井部に設けた銅製のカラミ受入口ジャケット32の部材32bに前記Ni合金で図5〜6に示すように肉盛層を7mmの厚さでつけて、以下の条件で操業を行ったところ、カワ樋ジャケット2の寿命は2年、カラミ樋ジャケット4の寿命は3年、カラミ受入口ジャケット32の寿命は1年となった。
【0013】
[操業条件]
乾鉱供給量 90 トン/時
補助燃料(重油) 300 リッター/時
送風量 33000 Nm3/時
酸素富化率 38 %
目標カワ品位 62 %
カラミ中Fe/SiO2 1.10
【0014】
[実施例2]
実施例1において、自溶炉20のセトラー26の本体側面に設けられた直径55mmの銅製のタップジャケット22の穴の内面を実施例1で用いたNi合金で図7〜8に示すように厚さ3mm肉盛し、操業を行ったところ、3年以上たっても支障なく、減肉速度の測定結果より、5年以上の寿命が確実であることがわかった。
【0015】
[従来例1]
銅製のカワ樋ジャケットと自溶炉の銅製のカラミ樋ジャケットとの先端、電気錬カン炉の天井部に設けた銅製のカラミ受入口ジャケットに対し、Ni合金で肉盛層を設けることなく実施例1と同様な条件で操業を行った。その結果、カワ樋ジャケットの寿命は1年、カラミ樋ジャケットの寿命は1.5年、カラミ受入口ジャケットの寿命は4カ月であった。
【0016】
[従来例2]
自溶炉の熔体溜の側面に設けられた直径55mmの銅製のタップジャケットの穴の内面をNi合金で肉盛することなく、実施例1と同様な条件で操業を行ったところ、その寿命は2.5年であった。
【0017】
【発明の効果】
以上述べた様に、水冷銅ジャケットの寿命が2倍以上に延びると共に、補修による再使用が可能となり、局部的な不良のためにジャケット本体を廃棄する必要がなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Ni合金で肉盛したカワ樋ジャケットの平面図。
【図2】 図1のカワ樋ジャケットの正面図。
【図3】 Ni合金で肉盛したカラミ樋ジャケットの平面図。
【図4】 図3のカラミ樋ジャケットの正面図。
【図5】 Ni合金で肉盛したカラミ受入口ジャケット部材の平面図。
【図6】 図5のカラミ受入口ジャケット部材の正面図。
【図7】 Ni合金で肉盛したタップジャケットの正面図。
【図8】 図7のタップジャケットの断面図。
【図9】 本発明が適用される自熔炉の概略断面図。
【図10】 本発明が適用される電気錬カン炉の一部破断概略正面図。
【図11】 電気錬カン炉のカラミ受入口ジャケットの斜視図。
【符号の説明】
1.肉盛部
2.カワ樋ジャケット
3.肉盛部
4.カラミ樋ジャケット
5.肉盛部
6.ジャケット部材
7.肉盛部
8.タップジャケット
20.熔錬炉
22.タップジャケット
23.カラミ樋
24.タップジャケット
25.精鉱バーナー
26.セトラー
28.反応塔
30.電気錬カン炉
32.カラミ受入口ジャケット
34.タップジャケット
36.タップホール
Claims (1)
- 銅精錬で生じるカワ、白カワまたはカラミを銅製錬炉から取り出すため、あるいは該銅製錬炉へ装入するために使用する銅または銅合金の水冷ジャケット構造物において、カワ、白カワまたはカラミに接触する部分をNiまたはNi合金で肉盛りしたことを特徴とした銅製錬用水冷ジャケット構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34500795A JP3771616B2 (ja) | 1995-12-08 | 1995-12-08 | 銅製錬用水冷ジャケット構造物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34500795A JP3771616B2 (ja) | 1995-12-08 | 1995-12-08 | 銅製錬用水冷ジャケット構造物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09157768A JPH09157768A (ja) | 1997-06-17 |
JP3771616B2 true JP3771616B2 (ja) | 2006-04-26 |
Family
ID=18373658
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP34500795A Expired - Lifetime JP3771616B2 (ja) | 1995-12-08 | 1995-12-08 | 銅製錬用水冷ジャケット構造物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3771616B2 (ja) |
-
1995
- 1995-12-08 JP JP34500795A patent/JP3771616B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09157768A (ja) | 1997-06-17 |
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