JP3771390B2 - マッチドフィルタ - Google Patents
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Description
発明の属する技術分野
従来の技術(図11〜図16)
発明が解決しようとする課題(図17〜図19)
課題を解決するための手段
発明の実施の形態
・本発明の一実施形態の説明(図1〜図9)
・その他(図10)
発明の効果
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直接拡散符号分割多重接続方式を使用した無線受信機に用いて好適な、マッチドフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
直接拡散符号分割多重接続(DS−CDMA〔Direct Sequence-Code Division Multiple Access 〕)方式では、送信機は、データ符号を例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調で一次変調を行なってから、拡散符号によって帯域拡散して送信する。一方、受信機は、送信機が使用するものと同一の拡散符号を用いて相互相関をとることによって、相関値のピークを検出して同期捕捉及び保持を行ない、相関検波によって復調する。
【0003】
図11(a)はQPSK方式を用いたDS−CDMA方式の無線端末の送信部のブロック図である。この図11(a)に示すDS−CDMA方式の無線端末の送信部30では、一次変調部30aにおいて、データ符号がQPSK変調され、拡散変調部30bにおいて、その信号がPN符号(Pseudo Noise Code) により帯域拡散され、さらに、周波数変換部30cにおいて、拡散変調部30bの出力がアップコンバートされ、そして、RF増幅部30dにおいて、電力増幅されて、アンテナ30eから無線信号が無線伝搬路に送出される。
【0004】
図12に一次変調にQPSKを用いて拡散する場合の、データ符号,拡散符号及び送信符号との関係を示す。この図12に示すデータ符号Di ,Dq はそれぞれ、乗算器36a,36b,36c,36dにおいて、拡散符号Ci ,Cq と複素乗算され、そして、それぞれの結果は、加算器37a,37bにおいて、加算されて、送信符号Si ,Sq として出力される。この複素乗算とは、データ符号Di ,Dq と、拡散符号Ci ,Cq とによる、〔(Di + j・Dq )・(Ci + j・Cq )〕という演算を意味する。なお、jは、虚数単位(j2 =−1)を表す。
【0005】
次に、受信系について説明する。図11(b)に、QPSK方式を用いたDS−CDMA方式の無線端末の受信部のブロック図を示す。この図11(b)に示すDS−CDMA方式の無線端末の受信部31では、アンテナ31aにおいて、帯域拡散された微弱な無線信号が受信されて、RF増幅部31bにおいて、この無線信号は、低雑音で増幅され、そして、このRF増幅部31bの出力は、周波数変換部31cにおいて、ダウンコンバートされる。さらに、逆拡散復調部31dにて、周波数変換部31cでダウンコンバートされた信号と、受信部31内部で発生させた拡散レプリカ符号(Spread Replica Code) との帯域相互相関がとられる(band cross-correlated) ことによって、狭帯域信号が取り出され、一次復調部31eにおいて、逆拡散復調部31dの出力がQPSK復調される。
【0006】
図13は、QPSK方式を用いたDS−CDMA方式の無線端末の受信部31の詳細構成を示す図である。この図13に示すように、周波数変換部31cと、逆拡散復調部31dと、一次復調部31eとにおいての信号の流れは、次のようになる。すなわち、Iチャネル信号は周波数変換部38aにて局部発振器38bの出力とミキシングされるとともに、Qチャネル信号は周波数変換部38dにて90°移相器38cの出力とミキシングされる。そして、これらの周波数変換部38a,38dの出力はそれぞれA/D(アナログ/ディジタル)変換器39a,39bにおいて、アナログ・ディジタル変換され、これらのディジタル信号は、分岐されて逆拡散復調部40に入力される。さらに、この逆拡散復調部40における4個のマッチドフィルタにおいて、帯域相互相関がとられ、加算器部41aにおいて、マッチドフィルタ40aの出力と、マッチドフィルタ40dの出力とが加算され、IチャネルデータSi が出力される。同様に、加算器部41bにおいて、マッチドフィルタ40bの出力を反転した信号と、マッチドフィルタ40cの出力とが加算され、QチャネルデータSq が出力される。そして、これらの出力は、それぞれ、復調後処理部42にてQPSK復調が行なわれる。
【0007】
次に、この逆拡散復調部40における帯域相互相関について説明を行なう。この逆拡散復調部40は、送信側と同じ系列の拡散レプリカ符号Ci ,Cq を発生させて、逆拡散(despread)を行なうものであって、マッチドフィルタ40a,40b,40c,40dをそなえて構成されている。そして、2つの拡散符号間の相互相関がされるときに、Iチャネル,Qチャネルそれぞれの成分は、それぞれ2回づつ、逆拡散は計4回行なわれる。これらのマッチドフィルタ40a,40b,40c,40dでは、式(1)のM(nt)が計算される。
【0008】
M(nt)=Σ T k=1 R(k)・P(nt)・Z-k …(1)
ここで、tはチップ時間(Chip Duration) 、Tはタップ数(the number of taps)、R(k)は拡散レプリカ符号、k,nは整数、P(nt)は受信された拡散符号、ZはZ変換での複素数をそれぞれ表す。また、この1チップ時間tは拡散符号の切り換わる時間を表し、1ビット時間(Bit Duration) の数10倍から数100倍の速さの時間に設計されており、また、この1チップ時間tは、チップレート(Chip Rate)の逆数である。そして、タップ数Tは拡散符号長を表す。この拡散符号長は、例えば256ビットだが、128ビット等の別の拡散符号を使用することができる。これにより、受信された拡散符号P(nt)は256ビットの拡散レプリカ符号R(k)とEXOR演算が行なわれて、その結果がチップレートでシフトされて、加算されて出力される。従って、マッチドフィルタ40aにて、A/D変換器39aの出力信号Di と拡散レプリカ符号発生器44aの出力信号Ci とが相互相関をとられる。また同様に、マッチドフィルタ40bにて、A/D変換器39aの出力信号Di と拡散レプリカ符号発生器の出力信号Cq とが相互相関をとられ、マッチドフィルタ40cにて、A/D変換器39bの出力信号Dq と拡散レプリカ符号発生器の出力信号Ci とが相互相関をとられ、さらに、マッチドフィルタ40dにて、A/D変換器39bの出力信号Dq と拡散レプリカ符号発生器の出力信号Cq とが相互相関をとられる。なお、このように、マッチドフィルタが4個から構成される理由は、逆拡散後の信号のS/N(Signal/Noise)比を劣化させないためである。
【0009】
このような、マッチドフィルタは、受信された拡散符号を逆拡散するために必要なキーデバイスであって、低電力化が要求されている。図14は、マッチドフィルタのブロック構成を示す図である。この図14に示すマッチドフィルタ40a(40b,40c,40d)は、図13に示すA/D変換器39a,39bから出力されるディジタル信号と、受信部31内で発生させる拡散レプリカ符号との逆拡散を、相互相関をとることによって行なうものであって、拡散データパス部43,拡散レプリカ符号発生器44a,レプリカ符号用レジスタ44b,乗算器部45,加算器部46をそなえて構成されている。ここで、拡散データパス部43は、クロック毎に、受信された拡散符号入力を取り込んで、その符号を1段づつシフトさせるシフトレジスタであって、T個のフリップフロップ(FF)43−1,43−2,43−3,…,43−(T−2),43−(T−1),43−Tから構成されている。なお、以下の説明においてこのフリップフロップをFFと略称することがある。また、拡散レプリカ符号発生器44aは、送信機が使用するものと同一の拡散レプリカ符号を発生するものであり、レプリカ符号用レジスタ44bは、拡散レプリカ符号発生器44aで発生させた拡散レプリカ符号の演算用のレジスタである。乗算器部45は、これらのフリップフロップ43−1,43−2,43−3,…,43−(T−2),43−(T−1),43−Tの各出力と、レプリカ符号用レジスタ44bの各出力とを乗算するものであり、また加算器部46は、この乗算器部45からの出力を加算して出力するものである。また、同様に乗算器部45,加算器部46もタップ数Tを有し、チップレートのクロックが入力されている。また、この図14において拡散データパスビット数は、一次変調の変調多値数分のビット数を表すものであり、この場合は6であり、受信された拡散符号は、1シンボルが6ビットで受信されていることを意味する。従って、必要なフリップフロップの総数Nは、拡散データパスビット数Dとフリップフロップのタップ数Tとによって、N=D×Tで表される。
【0010】
この回路は、オーバサンプリング数が1の例であり、1チップ時間内では1回だけサンプリングが行なわれる。従って、フリップフロップの数は拡散符号長に等しいT段である。これに対して、1チップ時間内にオーバサンプリングが複数回行なわれる場合は、1チップ時間内では、オーバサンプリング回数分演算される。例えば、4倍オーバサンプリングの場合は、256ビットの拡散符号は、1チップ時間内に4回サンプリングが行なわれる。その場合のフリップフロップ段数Mは、タップ数Tと、オーバーサンプリング数Oとによって、M=T×Oで表される。従って、必要なフリップフロップの総数Nは、拡散データパスビット数Dと、フリップフロップ段数Mとによって、N=D×Mで表される。
【0011】
図15は、このマッチドフィルタの機能ブロックを示す図である。この図15に示す複数ビットからなる受信拡散符号(拡散データ入力)はそれぞれ1周期の間だけ、拡散データパス部43に保持されれば良く、シフトの必要は全くない。この拡散符号の1周期とは、受信された拡散符号が保持される時間であって、P(nt)のライフタイムに相当する。この周期Uは、U=(1チップ時間×タップ数T)で表される。さらに、式(1)の演算は、乗算器部45,加算器部46で行なわれ、これらの前後の演算結果に依存しないため、演算器の順番あるいは位置による制限がなく、どこで演算を行なってもよい。またさらに、全ての受信された拡散符号に対して、演算の内容は、全く同じであるため、‘対称的’な演算であることがわかる。このマッチドフィルタを用いることにより、初期捕捉が極めて速くなり、逆拡散までを一度に完了することができる。これらより、マッチドフィルタは、次の▲1▼〜▲4▼に示すような特徴がある。
▲1▼チップレートあるいはそれ以上の周波数(オーバサンプリングの場合)で動作する。
▲2▼拡散データパス部はシフトレジスタで構成されることが多いため、すべてのフリップフロップが常に動作している。
▲3▼シフトレジスタは、シフトされるデータを確実に引き渡すために、このシフトレジスタを構成するフリップフロップは、2段式のマスター/スレーブ型が使用されている。
【0012】
図16(a)にマスター/スレーブ型フリップフロップが使用されたシフトレジスタの構成を示す。また、図16(b)に2段式のマスター/スレーブ型フリップフロップの構成例を示す。この図16(b)に示すマスターFFのクロック端子と、スレーブFFのクロック端子とには、それぞれ反転した信号が加えられている。図16(c)は2段式のマスター/スレーブ型フリップフロップの動作を説明するための図であるが、この図16(c)に示す立ち上がりクロック(posiedge clock)で入力信号が記憶されて、立ち下がりクロック(negaedge clock)でこの記憶された入力信号が出力されるようになっている。
▲4▼QPSK変調の場合は、Iチャネル,Qチャネルの分離のため、基本的に4個のマッチドフィルタが必要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの特徴は逆に、次のようなことを招く。すなわち、これらの特徴は、高い周波数で動作するため消費電力の増大(▲1▼)、動作するフリップフロップ数の増加(▲2▼)、拡散データパス部の回路規模の大規模化(▲3▼,▲4▼)を招き、さらに▲2▼〜▲4▼から、長いシフトレジスタ及び加算器により回路規模が大きくなる。また、拡散データパス部でのスイッチング率(Switching activity) が非常に高いので、消費電力が大きいという課題がある。
【0014】
そこで、本発明者の一部によって、以下の文献に、以下の内容の環状レジスタ構成の提案がなされている。
陳、古川「広帯域DS−CDMA用ディジタルマッチトフィルタの低消費電力設計」(Ben CHEN and Hideto FURUKAWA, "A Low Power Consumption Digital Matched Filter Design for Wideband DS-CDMA") 1998 年電子情報通信学会 回路とシステム研究専門委員会ワークショップ(1998 年4 月20,21 日)
図17は、かかる文献で開示されたマッチドフィルタの概略ブロック図である。受信された拡散符号は、拡散データ入力制御部51aによって指定された拡散データパス部51b中の1つのFFに格納される。なお、この図17に示すFFの数は、(タップ数×オーバサンプリング数)に等しい。そして、この拡散データ入力制御部51aが指定する位置は、クロック毎に巡回的に変わるようになっており、この格納された符号は、それぞれ1周期の間だけ、レジスタに保持されるだけで、シフトは全く行なわれていない。一方、同じ(タップ数×オーバサンプリング数)個の乗算器を有する乗算器部51cにおいては、自局が発生させる拡散レプリカ符号をクロック毎にシフトさせてEXOR演算が行なわれ、加算器部51dから出力され、逆拡散の計算が完成する。
【0015】
図18は、この拡散データ入力制御部51aと拡散データパス部51bとの回路構成が概念的に環状となっていることを説明するための図である。この環状とは、拡散データパス部51bのデータ保持位置が巡回的に変わるように構成されていることを意味する。すなわち、この環状とは、シフトレジスタ回路の最後尾のフリップフロップに受信された拡散符号が格納された後に、次の受信された拡散符号が、このシフトレジスタ回路の最前部のフリップフロップに格納されるというような巡回的な回路構成を意味する。この意味で格納用のレジスタ回路(複数ビット)は環状に構成されている。なお、これは、物理的に環状な回路配置を意味するものではない。
【0016】
図19は、拡散データ入力制御回路51aの構成を示す図である。この図19に示すシフトレジスタ回路52は、ラウンドロビン環と呼ばれる回路であって、(タップ数×オーバサンプリング数)個のフリップフロップが連結されて構成されている。また、このシフトレジスタ回路52の終端のフリップフロップの出力は、このシフトレジスタ回路52の開始端のフリップフロップに入力されるようになっているので、このシフトレジスタ回路52も上述したものと同様に環状構成となっている。
【0017】
そして、このラウンドロビン環内で、唯1個のフリップフロップのみが状態‘1’を示し、残りのフリップフロップはすべて状態‘0’のままにしておき、この‘1’状態のフリップフロップがサンプリングクロック毎に順次シフトしていくようになっている。また、これらのフリップフロップの出力は、次段の拡散データパスレジスタ回路51bの各フリップフロップに、過不足なくつながっている。そして、状態が‘1’となったラウンドロビン環のフリップフロップに接続された拡散データパスレジスタ回路51b内のフリップフロップのみが、受信された拡散符号を取り込むようになっている。これにより、受信された拡散符号の格納位置が巡回的に切り換わるようになっている。また、拡散データ入力制御回路51aでは、動作するフリップフロップが常に1つのみとなり、スイッチング率が大幅に下がるので、消費電力を効果的に低減させることができる。
【0018】
しかし、これらの拡散データパスレジスタ回路51b及びラウンドロビン環(シフトレジスタ回路52)は1024段のフリップフロップが単純に連結されているので、回路構成あるいはレイアウトの見地から見ると、回路の過度集中を招き、レイアウトできなくなる課題がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、マッチドフィルタ回路全体のスイッチング率と回路規模とを効果的に下げることにより上述の課題を解決するものであり、拡散データパス部がオーバサンプリング数に等しい個数のサブ拡散データパス部に分割されることによって拡散データパス部の回路規模の低減が図れ、加えて、このサブ拡散データパス部がラッチ回路で構成されることによって更なる回路規模の縮小化が図れ、その上、各サブ拡散データパス部が独立なクロックを使用することによって回路動作の頻度を減小させることができるとともに、コードロードレジスタが常に拡散符号の先頭位置を認識することによって拡散符号が瞬間的に切り換え可能となり、また、動的なマスクによってマルチタップ拡散符号に対応することができるような、マッチドフィルタを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明のマッチドフィルタは、拡散データを選択的に出力しうる第1セレクタ、この第1セレクタからの拡散データを一時的に保持する複数のラッチ回路を有する複数のサブ拡散データパス部及びこれらのサブ拡散データパス部からの出力を選択的に出力しうる第2セレクタをそなえた拡散データパス部と、拡散データの入力に応じて上記の第1セレクタ及び第2セレクタの選択制御を行なうセレクタ制御部並びに上記のサブ拡散データパス部でのデータ保持制御を行なうデータ保持制御部を有する拡散データパス入力制御部と、拡散符号を設定しうる拡散符号設定部と、上記の拡散データパス部からの出力と拡散符号設定部からの拡散符号との乗算を行なうとともにそれぞれの乗算結果を加算して出力する演算部とをそなえ、該拡散符号設定部が、複数種類の拡散符号長に対応すべく、複数種類の拡散符号を設定しうるように構成され、該拡散符号設定部が、演算用に拡散符号を保持するコードレジスタと、外部から制御信号を入力されて該演算部が動作している間に次の拡散符号をロードするコードロードレジスタとをそなえるとともに、複数種類の拡散符号に対応すべく該演算部の乗算出力側にマルチタップ制御部が設けられ、該マルチタップ制御部が、適用されるタップ数に等しい個数以上からなる有限状態保持部を有するマスク環をそなえ、該マスク環の各有限状態保持部出力と該演算部の乗算出力との論理積が該演算部の加算部分へ出力されるように構成され、かつ、該マスク環が、有限状態保持部のうち、タップ数に等しい個数の有限状態保持部が連続して同一の状態を保持して、その他の有限状態保持部と状態が異なるように構成され、該マスク環の先頭位置が該コードレジスタに同期してシフトされることを特徴としている。
【0020】
また、上記の拡散データパス部は、オーバサンプリング数に等しい個数のサブ拡散データパス部をそなえ、これらのサブ拡散データパス部が、タップ数に等しい個数のラッチ回路から構成することができる。
さらに、データ保持制御部は、タップ数に等しい個数の有限状態保持部を環状に配置したラウンドロビン環をそなえ、それらのタップ数に等しい個数の有限状態保持部のうちの1つの有限状態保持部のみが他の有限状態保持部と状態が異なるように、タップ数に等しい個数の有限状態保持部の状態がチップ速度で順次変更されていくことにより、上記のサブ拡散データパス部を構成するラッチ回路へのデータ保持が所定の順序に従って、更新されていくように構成されてもよい。
【0021】
そして、上記のセレクタ制御部は、複数の異なる位相状態信号を1チップ時間内に生成して巡回的に出力する位相カウンタをそなえて構成され、上記の第1セレクタが、入力された拡散データを位相カウンタからの複数の異なる位相状態信号と同期させてサブ拡散データパス部に巡回的に与えるように構成されるとともに、第2セレクタが、サブ拡散データパス部の出力のうちの1つを選択して位相カウンタからの複数の異なる位相状態信号と同期させて出力するように構成されてもよく、加えて、これらの複数の異なる位相状態信号が、各々オーバサンプリング数に等しい個数の位相状態に対応するように構成されてもよい。
【0024】
また、マルチタップ制御部が、外部から制御されうる拡散符号識別信号を入力されるように構成されてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(A)本発明の一実施形態の説明
図1は、本発明を適用されるマッチドフィルタのブロック図である。この図1に示すマッチドフィルタ11は、CDMAコントローラ10と、拡散データパス部8と、拡散データパス入力制御部9と、拡散符号設定部6と、演算部5とをそなえて構成されている。
【0027】
以下の説明のために、本発明を適用されるマッチドフィルタ11が使用する、具体的な数値は、次のようになる。まず、タップ数Tは、使用する拡散符号長に相当し、T=256とする。そして、オーバサンプリング数Oは、1チップ時間内に行なわれるオーバサンプリングの回数であり、O=4とする。また、拡散データパスビット数Dは、一次変調の変調多値数分のビット数のデータ幅を表すものであって、D=6とし、さらに、データは2の補数表現として、6ビットで送受信されている。加えて、チップレート(Chip Rate)は4MHzで、1チップ時間(Chip Duration) は、この逆数である。
【0028】
図1に示す拡散データパス部8は、受信された拡散符号(以下、拡散データ入力又は、単に、拡散データと称することもある)を相互相関の計算用に保持するものであって、第1セレクタ1a,サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2d,第2セレクタ1bをそなえて構成されている。なお、この図1においては、第1セレクタ1aは「S1」と表記され、サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dはそれぞれ「256段サブ環状部(#0〜#3)」、第2セレクタ1bは「S2」と表記されている。そして、受信された拡散符号は、これらの4つのブロックに分割されて格納されるようになっている。
【0029】
この第1セレクタ1aは、拡散データを選択的に出力しうるものであり、サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dはそれぞれ、この第1セレクタ1aからの拡散データを一時的に保持する複数のラッチ回路を有するものである。また、拡散データパス部8は、サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dを有し、これらのサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dの4個は、オーバサンプリング数である4に等しい個数である。そして、それぞれが拡散データを一時的に保持するためのラッチ回路を256個有する。さらに、第2セレクタ1bは、これらのサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dからの出力を選択的に出力しうるものである。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態にかかるサブ拡散データパス部の構成を示す図である。この図2に示すように、受信された拡散符号は、ラッチ回路14に保持されるようになっている。また、これらのラッチ回路14のうちの1つが更新される周期は、(タップ数T×チップ時間t)に等しい期間であり、受信された拡散符号の全長が現れるのに要する時間に相当する。
【0031】
従って、受信された拡散符号をラッチ回路14から取り出すためには、1回のクロックでよく、速度的に有利となる。さらに、回路規模が大きくなる原因となるシフトレジスタが用いられずに、回路規模の小さいラッチ回路14が用いられているので、全体回路の縮小化ができる利点がある。これにより、2段式のマスター/スレーブ型フリップフロップを使用しなくて済むようになるので、その回路規模は、同等機能のフリップフロップの1/2若しくは1/3となるため、1/2若しくは1/3の回路規模削減が期待できる。
【0032】
再度図1に戻り、この図1に示す拡散データパス入力制御部9は、受信された拡散符号を上記のサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2d内のラッチ回路14に書き込むべく、その書き込み位置を制御するものであって、セレクタ制御部3とデータ保持制御部4とをそなえて構成されている。このセレクタ制御部3は、受信された拡散符号に応じて上記の第1セレクタ1a,第2セレクタ1bの選択制御を行なうものであって、位相カウンタ7を設けている。さらに、データ保持制御部4は、サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dでのデータ保持制御を行なうものである。
【0033】
この位相カウンタ7は、4種類の異なる位相状態信号を1チップ時間内に生成して巡回的に出力するものである。また、第1セレクタ1aが、入力(受信)された拡散符号を位相カウンタ7からの4種類の異なる位相状態信号と同期させてサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dに巡回的に与えるように構成されるとともに、第2セレクタ1bが、サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dの出力のうちの1つを選択して位相カウンタ7からの4種類の異なる位相状態信号と同期させて出力するように構成されている。すなわち、これら4種類の異なる位相状態信号は、各々オーバサンプリング数に等しい4種類の位相状態に対応しており、1種類の受信された拡散符号について、4種類の異なる識別ができるようになっている。なお、この位相状態信号を発生させる機能は、ワンホット型状態発生器が用いられており、4種類の状態信号を2個のフリップフロップのハイ・ローの組合せで表現するようにしている。このワンホット型状態発生器を用いることによって、いわゆる「ひげ」状のノイズに対しても、強固な回路とすることができるようになる。
【0034】
図3(a)〜(e)は、本発明の一実施形態にかかるマスタークロック(Master Clock)とサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dの各クロックグループ(#0,#1,#2,#3)との関係を表すタイムチャートを示す図である。この図3(a)に示すマスタークロックは、例えば速度16MHzが用いられる。そして、この図3(b)〜(e)に示すサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dの各クロックは、例えば4MHzが用いられており、この値はチップレートに相当する。そして、図3(b)〜(e)に示すように、サブ拡散データパス部2aはクロックグループ#0に属し、サブ拡散データパス部2bはクロックグループ#1に属し、サブ拡散データパス部2c はクロックグループ#2に属し、また、サブ拡散データパス部2dはクロックグループ#3に属しており、これらのクロック位相が、1/4周期づつずれている。
【0035】
これにより、各サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dは、互いに独立したクロックを使用することによって、16MHzから4MHzの動作頻度に減小できる。また、4個のサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dへの受信された拡散符号の入力が、第1セレクタ1a及び第2セレクタ1bの制御によって、巡回的に与えられるので、新たに更新入力をすべきものだけが動作するようになるので、スイッチング率の低減が実現される。
【0036】
またさらに、サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dがそれぞれ、256個のラッチ回路14を有しているので、例えば256×4=1024個ものラッチ回路14からなる長大なシフトレジスタ回路を用意する必要がなくなり、回路のレイアウト設計がし易くなる。
次に、サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2d内のラッチ回路14のどこに受信された拡散符号を書き込むかについて説明する。図4は、上記の4個のサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dに、受信された拡散符号が格納される流れを説明するための図である。この図4に示すデータ保持制御部4は、上記のサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dでのデータ保持制御を行なうものであって、ラウンドロビン環4aをそなえて構成されている。
【0037】
このラウンドロビン環4aは、タップ数個に等しい256個の有限状態保持部(フリップフロップ)を環状に配置したものであり、そして、このデータ保持制御部4は、これらの256個の有限状態保持部のうちの1つの有限状態保持部のみが他の有限状態保持部と状態が異なるように、256個の有限状態保持部の状態がチップレートで順次変更されていくことにより、上記のサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dを構成するラッチ回路14へのデータ保持が所定の順序に従って、更新されていくように構成されている。
【0038】
そして、このラウンドロビン環4aは、チップレート(4MHz)で動作し、新たに受信された拡散符号を格納する位置を逐次表示するように機能している。なおここで、環という語は、回路的な配置を意味するものではなく、シフトレジスタ回路の最後尾のレジスタの出力が最前部のレジスタに入力されるというような、データが巡回される構成になっていることを意味する。なお、この図4はIチャネルだけを表示しているが、Qチャネルについても同様であるので、そのQチャネルについての説明を省略する。
【0039】
この図4に示すサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dに、受信された拡散符号が格納される流れは、次のようになる。すなわち、第1セレクタ1aにIチャネル拡散符号が入力され、ラウンドロビン環4aが示す位置に、この1個の拡散符号が、4個の拡散符号にされて格納されるようになっている。例えば、受信された拡散符号“a”は、4倍オーバサンプリングにより、拡散符号“a0 ”,“a1 ”,“a2 ”,“a3 ”が得られ、これらが、位相カウンタ7の4種類の位相状態信号に基づいて動作する第1セレクタ1aによって振り分けられて、サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2d内のラッチ回路14に入力されるようになっている。
【0040】
これにより、このラウンドロビン環4aも、(タップ数×オーバサンプリング数)段からなる長大なシフトレジスタ回路を用いないので、回路規模を小さくすることができ、回路的に、レイアウトしやすくなる。さらに、1024段(256×4)からなる長大なシフトレジスタ回路のように、高速なマスタクロック16MHzを使用しないで済み、消費電力を低減できる利点がある。
【0041】
再び図1に戻って、拡散符号変更の設定方法について説明を行なう。多重化のための拡散符号については、システム設計上の都合で、上りリンク(移動機から基地局)と下りリンク(基地局から移動機)とで、異なる種類の符号を割り当てることがあり、また、特定の契約を行なった場合には、下りリンクにおいて通信中に別の符号を使用した情報伝送が行なえるように、その拡散符号を変更することがある。従って、マッチドフィルタ11は、拡散符号の瞬間切り換えに対応できるように要求されている。
【0042】
図1に示す拡散符号設定部6は拡散符号を設定しうるものである。また、この拡散符号設定部6は、複数種類の拡散符号長に対応すべく、複数種類の拡散レプリカ符号を設定しうるように構成されており、この拡散符号設定部6は、演算用に拡散レプリカ符号を保持するコードレジスタ6aと、外部から制御信号を入力されて演算部5が動作している間に次の拡散レプリカ符号をロードするコードロードレジスタ6bとをそなえ、コードロードレジスタ6bが所定のタイミングでコードレジスタ6aの先頭位置(所定の位置)の内容を更新するように構成されている。
【0043】
また、CDMAコントローラ10は、このマッチドフィルタ11に対して主制御を行なうものであり、また、このCDMAコントローラ10は、有効/無効信号(Code-enable) をコードロードレジスタ6bに出力し、符号タイプ(Code-type) をコードロードレジスタ6b及びマルチタップ制御部5bに出力するものである。
【0044】
図5(a)〜(f)は、本発明の一実施形態にかかるコードレジスタ6aとコードロードレジスタ6bとのタイムチャートを示す図である。この図5(a)は、16MHzのマスタークロック(Master Clock)であり、図5(b)は、4MHzのチップレートのクロック(Code-Reg-Clock)を表している。そして図5(c)は、コードレジスタ6aのデータ(Code-Reg)であって、4MHzのチップレートでシフトしている。一方、図5(d)は、外部のCDMAコントローラ10(図1参照)によって制御される有効/無効信号(Code-enable)であって、1(High)が有効,0(Low) が無効を表す。さらに、図5(e)は拡散レプリカ符号(Input Code)を表す。図5(f)は、コードロードレジスタ6bのデータ(Code-Load Reg) を表すものであって、拡散レプリカ符号を早くロードするために、オーバサンプリング速度(チップレート×オーバサンプリング数)でシフトしている。そして、有効/無効信号(Code-enable)が1の間は、拡散レプリカ符号(Input Code)Cn-4 ,Cn-3 ,Cn-2 ,Cn-1 ,Cn が、コードロードレジスタ6bにそれぞれ取り込まれるが、有効/無効信号(Code-enable)が0になると、Cn+1 ,Cn+2 ,Cn+3 ,Cn+4 ,Cn+5 ,Cn+6 …の各拡散レプリカ符号はコードロードレジスタ6bに取り込まれない。
【0045】
これより、CDMAコントローラ10及びコードレジスタ6a,コードロードレジスタ6bの動作は次のようになる。すなわち、コードロードレジスタ6bは、他の構成部分が動作している間に、裏で次の拡散符号を予めロードしておき、必要に応じて、コードレジスタ6aを更新できるようにスタンバイしておく。一方、CDMAコントローラ10は、所定のタイミングで、このコードロードレジスタ6bに対して符号タイプ(Code-type) 信号を出力して別の拡散符号に変更することを通知し、この符号タイプ(Code-type) 信号によって、コードレジスタ6aには、新たな拡散レプリカ符号が書き込まれる。
【0046】
このようにして、演算用のコードレジスタ6aに格納されている拡散レプリカ符号の切り換えが、瞬時に完成されるのである。
また同時に、使用する拡散符号やタップ数の変化に対応できるように、コードレジスタ6aの先頭とコードロードレジスタ6bの先頭とが、正確に一致していなければならない。すなわち、コードレジスタ6aのデータは常にシフトされているため、このコードレジスタ6aがどのようにシフトしていても、コードロードレジスタ6bが、このコードレジスタ6aの先頭位置から新しい符号を更新できるようにしておかねばならない。
【0047】
図6は、本発明の一実施形態にかかるコードロードレジスタ6bの制御アルゴリズムを示す図であり、次のようなルールになっている。まず、プログラムが開始されると(ステップA1)、ステップA2においてコード有効/無効信号が判定される。ここでコード無効ならNOルートがとられ、ステップA3において、立ち上がりCode-Reg-Clockが入力されるとYESルートがとられ、シフト操作が行なわれ(ステップA4)、プログラムは終了する(ステップA5)。なお、ここでのシフト動作は、16MHzのクロックであって、4クロック分のシフトが行なわれている。しかし、ステップA3において、立ち上がりCode-Reg-Clockが入力されなければ、NOルートがとられて、CDMAコントローラ10は何もしない(ステップA6)。
【0048】
一方、ステップA2においてコード有効/無効信号がコード有効ならYESルートがとられ、立ち上がりCode-Reg-Clockが入力されると(ステップA7)、YESルートがとられ、シフト操作+コード入力が行なわれ(ステップA8)、プログラムは終了する(ステップA9)。このシフト操作+コード入力が行なわれる理由を図7(a),(b)を用いて説明する。
【0049】
図7(a)は、本発明の一実施形態にかかる、現時刻のコードレジスタ6aのデータ,拡散レプリカ符号及びコードロードレジスタ6bのデータをそれぞれ表す図であり、図7(b)は、本発明の一実施形態にかかる、次時刻のコードレジスタ6aのデータ,拡散レプリカ符号及びコードロードレジスタ6bのデータをそれぞれ表す図である。この図7(a)において、拡散レプリカ符号の“5”は、まさにコードロードレジスタ6bにロードされようとしている。そして、図7(b)に示すように、この“5”が入力されるべき位置は、現時刻の位置よりも1つシフトしたところになる。なぜならば、コードレジスタ6aのデータも常にシフトしているからである。このように、コードロードレジスタ6bは、CDMAコントローラ10から制御される有効/無効信号(Code-enable)を入力され、有効/無効信号が有効の場合には次の拡散符号を取込み、有効/無効信号が無効の場合には次の拡散符号を取込まないように構成されるとともに、コードレジスタ6aと同期を取ってコードレジスタ6aの先頭位置の内容を更新するアルゴリズムで制御されていることになる。拡散符号長が例えば256ビットから128ビットに変更になっても、対応可能となっている。
【0050】
なお、図6に示すステップA7において、立ち上がりCode-Reg-Clockが入力されなければ、NOルートがとられて、CDMAコントローラ10は、コード入力のみ行なう(ステップA10)。このように、コード無効の場合は、コードロードレジスタ6bはコードレジスタ6aと同じ働きをしている。
また、このようにして、コードロードレジスタ6bの動作が、コードレジスタ6aと常に同期を保っているので、瞬間切り換えが実現されれのである。さらに、この有効/無効信号をハイにする期間を長くしたり、短くしたりすることによって、ロードすべき拡散レプリカ符号の長さを調整できるようになる。
【0051】
再度、図1に戻って、演算部5は、上記の拡散データパス部8からの出力と拡散符号設定部6からの拡散符号との乗算を行なうとともにそれぞれの乗算結果を加算して出力するものであって、乗算器部5a,加算器部5cをそなえるほか、マルチタップ制御部5bをそなえて構成されている。この乗算器部5aは、拡散データパス部8から出力される拡散符号と、拡散符号設定部6から出力される拡散レプリカ符号とをEXOR演算するものであり、加算器部5cは、乗算器部5aからの出力をすべて足し合わせるものである。また、マルチタップ制御部5bは、複数種類の拡散符号に対応すべく演算部5の乗算器部5aの出力側に設けられており、CDMAコントローラ10から制御されうる拡散符号識別信号(Code-type) が入力されている。
【0052】
従って、このマッチドフィルタ11は、拡散データを入力されるべく、ラッチ回路14を256個配置した構成のサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dを有する拡散データパス部8と、拡散データの入力に応じて、ラッチ回路14へのデータ保持制御を所定の順序に従って行なっていく拡散データパス入力制御部9と、拡散符号を設定しうる拡散符号設定部6と、上記の拡散データパス部8からの出力と、拡散符号設定部6からの拡散符号との乗算を行なうとともに、それぞれの乗算結果を加算して出力する演算部5とをそなえて構成されていることになる。
【0053】
図8に本発明の一実施形態にかかるマルチタップ制御部5bの構成を示す。この図8に示すマルチタップ制御部5bは、異なる種類の拡散符号長への適用制御を行なうものであって、複数のフリップフロップ13が環状に連結されて構成されている。なお、あくまでも説明の理解を容易にするために、この数を24個とする。この図8に示すように、これらのうち連続して8個のフリップフロップ13の状態が“1”(図8の網付きの部分)であって、マスクされないで後段に出力される部分を表す。その他の16個のフリップフロップ13の状態が“0”であって、マスクされて後段には出力されない部分を表す。さらに、この図8に示す連続の状態“1”の位置は常に動的に変動している。このマルチタップ制御部5bの動作方法は、次のようになる。
【0054】
まず、使用が予想される拡散符号長の中の最大タップ数をMとする。例えば本実施形態ではM=256である。そして、必要分のマスク環として、M段1ビットのマスク環が作成され、このマスク環に、それぞれのタップ数に応じたマスクが作成される。例えば、128ビット長の拡散符号の場合は、256ビットに連続128ビットの“1”(マスクされない部分)と、その他の“0”(マスク部分)になるようにする。さらに、これらのマスク環がコードレジスタ6aと同期するように、Code-Reg-Clock(16MHz)で、この図8の点線の円に示すように、マスクされない部分が動的にシフトされる。そして、異なるタップ数の拡散符号がセットされたら、対応するマスクを演算部5(図1参照)内の乗算器部5aからの拡散レプリカ符号と受信された拡散符号とのEXOR出力のうち、M個の部分について論理積をとり、所望のタップ数の出力だけが得られるようになっている。
【0055】
従って、拡散符号設定部6が、演算用に拡散符号を保持するコードレジスタ6aと、CDMAコントローラ10から制御信号(Code-enable)を入力されて演算部5が動作している間に次の拡散符号をロードするコードロードレジスタ6bとをそなえるとともに、複数種類の拡散符号に対応すべく演算部5の乗算器部5aの出力側にマルチタップ制御部5bが設けられ、このマルチタップ制御部5bが、適用されるタップ数に等しい個数以上からなるフリップフロップ13を有するマスク環をそなえ、このマスク環の各フリップフロップ13出力と演算部5の乗算器部5aの出力との論理積が演算部5の加算器部5cへ出力されるように構成されていることになる。
【0056】
さらに、このマスク環は、フリップフロップ13のうち、タップ数に等しい個数のフリップフロップ13が連続して同一の状態を保持して、その他のフリップフロップ13と状態が異なるように構成され、このマスク環の先頭位置がコードレジスタ6aに同期してシフトされるようになり、データ追随が可能となる。
このように、一つのマッチドフィルタ11で、異なる拡散符号長への適用が可能となり、使用する拡散符号を瞬間的切り換えすることが実現でき、CDMA方式での多重度を高めることができるようになる。また、システムのオプション仕様が追加されても追随できるようになり、設計の自由度が高まるようになるので、製品としての部材の共用化が可能となるので、低コスト化を促進できるようになる。
【0057】
上述の構成によって、ダウンコンバートを受けてA/D変換された、受信された拡散符号は、ラウンドロビン環4aと位相カウンタ7とが協働して指定する位置であって第1セレクタ1aによって振り分けられた位置に格納される。そして、サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2d内のそれぞれの拡散符号と、コードレジスタ6a内の拡散レプリカ符号との相互相関が計算される。
【0058】
図9(a)〜(h)は、サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dのタイムチャートを示す図である。この図9(a)の波形は、16MHzのマスタークロック(Master Clock)である。また、図9(b)に示すラウンドロビン環4aからチップレート(4MHz)で出力される値n−1,n,n+1(=タップ数T以下)により、新しい拡散符号を更新する位置が示される。そして、図9(c)に示す位相カウンタ7から出力される、1チップ時間内でのオーバサンプリング順序によって、この図9(d)に示す入力拡散データa,b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,l,…がサブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dに振り分けられていく。すなわち、図9(d)に示すような拡散符号aは、第n−1番目の位置のサブ拡散データパス部2a(クロックグループ#0)に入力され、位相カウンタ値が0から1になり、拡散符号bはサブ拡散データパス部2b(クロックグループ#1)に入力される。同様に、位相カウンタ値が1から2になり、拡散符号cはサブ拡散データパス部2c(クロックグループ#2)に入力され、位相カウンタ値が2から3になり、拡散符号dはサブ拡散データパス部2d(クロックグループ#3)に入力される。そして、次の瞬間に、位相カウンタ値が0に戻ると同時に、ラウンドロビン環4aから出力される更新位置情報もn−1からnに変化し、拡散符号eは、第n番目の位置のサブ拡散データパス部2a(クロックグループ#0)に入力されて、上記の内容が繰り返される。
【0059】
そして、拡散符号設定部6中のコードロードレジスタ6bは、CDMAコントローラ10からの有効/無効信号(Code-enable)を絶えず監視し、拡散レプリカ符号が変更されるときの更新位置の先頭を追随し続ける。この状態で、拡散符号識別信号(Code-type) が入力されると、コードロードレジスタ6bは、別の種類の拡散レプリカ符号を、コードレジスタ6aに設定するとともに、マルチタップ制御部5bは、乗算器部5aからの出力に対してマスク環で定める所望の長さのマスキングを行ない、所望のタップ数の出力だけが得られるようになる。
【0060】
このようにして、受信された拡散符号を長大なシフトレジスタを用意せずに、タップ数長のシフトレジスタを用意し、それらの位置をラウンドロビン環4aと位相カウンタ7との信号によって、認識できるようになっているので、回路の縮小化ができる利点がある。また、受信された拡散符号をラッチ回路14に格納しておくので、その回路規模は、さらに小型化できるようになる。そして、これにより、スイッチング率が大幅に改善されるので、回路で消費される電力もまた大幅に低減されるようになる。
【0061】
またさらに、異なる種類の拡散符号を使用することができるので、無線端末の部品の共用化に有利となり、また、DS−CDMA方式を採用しているシステムにおいて、オプション仕様が追加されても追随できるようになり、ユーザに対するサービスの向上につながることになる。
さて、上述の構成によるスイッチング率の効果については、以下に説明するような評価結果が出ている。ここでの条件は、拡散データパスビット数が6、オーバサンプリング数が4、タップ数が256、チップレート4MHz(オーバサンプリング速度が16MHz)及び一次変調方式はQPSKが用いられている。
【0062】
動作中のCMOS回路の消費電力は、次の式(2)で表されるスイッチングパワー(Switching Power)PS に依存する。
PS = A × Vd 2 × F × B × S …(2)
ここで、Aは所定の定数、Vd は供給電圧、Fは動作周波数、Bは使用するBasic Cellの数、Sはスイッチング率(Switching activity)を表している。なお、論理合成から、回路規模は、大きな差異がないことが判明したため、ここでは、スイッチング率の見積もりのみを行なうこととする。
【0063】
既存設計の場合、動作するフリップフロップの数So (スイッチング率)は、式(3)で表される。
So = 拡散データパスビット数 × タップ数 × オーバサンプリング数×拡散データパス数 …(3)
従って、上記の値から、
So = 6 × 256 × 4 × 2 = 12288
となる。
【0064】
一方、本発明を適用したマッチドフィルタ11を用いた場合には、動作するフリップフロップ数Sn (スイッチング率)は、式(4)で表される。
Sn =(拡散データパスビット数+コード関係レジスタ+マスク)× 拡散データパス数 …(4)
となる。ここで、コード関係レジスタとは、コードレジスタ6aとコードロードレジスタ6bを表し、また、スイッチング率はそれぞれ、256,256となる。また、本実施形態でのマルチタップは5であることから、マスクのスイッチング率は256×5となる。すなわち、
Sn =(6+256×2+256×5)× 2 = 3596
となる。
【0065】
このように、So =12288から、Sn =3596になるという結果が得られ、回路全体のスイッチング率が効果的に改善されることがわかる。また、これから、消費電力が改善でき、さらに、移動機のような消費電力を厳しく要求される設計に対しては、非常に有効である。
また、こうして、回路規模の小さいラッチ回路14を使用することによって、サブ拡散データパス部2a,2b,2c,2dを小さくできるようになるので、レイアウトの見地から見ると、配線がより単純となり、回路の過度集中を回避できるようになって、回路設計がし易くなる。また、長大な拡散データパス回路が用いられないので、16MHzの高速クロックが使用されずに、4MHzの低速クロックが用いられることができるようになり、従って、回路動作の頻度を減小させることができるようになる。そして、マッチドフィルタ11回路全体のスイッチング率及び回路規模が効果的に下がる利点がある。
(B)その他
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、フリップフロップの論理を反転させたものでも、また、特定の有限な状態を複数のビットで表示しても、他の記憶素子によって行なってもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができるのは、言うまでもない。また、位相カウンタ7としてワンホット型状態発生器を用いる代わりに、別の状態信号を発生する回路を用いて、構成することができる。さらに、拡散データパスビット数を6から8に変更したり、タップ数を128や256以外の値に変更したり、あるいは、オーバサンプリング数を一層大きな値にしても、本発明の優位性をなんら妨げるものではない。
【0066】
また、拡散符号長を可変に設定しうる機能を用いないで、拡散データパス部をサブ拡散データパス部に分割しただけの構成にすることもできる。
図10は、本発明を適用されるマッチドフィルタの他のブロック図である。この図10に示すマッチドフィルタ15は、CDMAコントローラ10と、拡散データパス部8と、拡散データパス入力制御部9と、演算部5とをそなえて構成されている。この場合は、固定長の拡散符号しか用いることができない。ここで、上述したものと同一の符号を有するものは、同一のものあるいは同等の機能を有するものであるので、更なる説明を省略する。
【0067】
このような構成によっても、上述したものと同様の消費電力の削減がなされる。また、移動機の製品の低廉化を促進できるメリットがある。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明のマッチドフィルタによれば、拡散データパス部中の第1セレクタにおいて拡散データが選択的に出力され、オーバサンプリング数分のサブ拡散データパス部においてこの第1セレクタからの拡散データを一時的に保持するタップ数分のラッチ回路に出力でき、また、第2セレクタにおいてこれらのサブ拡散データパス部からの出力が選択的に出力されて、さらに、拡散データパス入力制御部中のセレクタ制御部において、拡散データの入力に応じて上記の第1セレクタ及び第2セレクタの選択制御が行なわれ、データ保持制御部において、サブ拡散データパス部でのデータ保持制御が行なわれ、拡散符号設定部において拡散符号が設定され、そして、演算部が上記の拡散データパス部からの出力と拡散符号設定部からの拡散符号との乗算を行なうとともにそれぞれの乗算結果を加算して出力するように構成されているので、配線がより単純となり、回路の過度集中を回避できるようになる利点がある。また、長大な拡散データパス部が分割されることによって、高速クロックでなく低速クロックを用いることができて低消費電力化が図れるようになる。従って、マッチドフィルタ回路全体のスイッチング率及び回路規模が効果的に下がる利点がある。
【0069】
また、上記の拡散データパス部は、オーバサンプリング数に等しい個数のサブ拡散データパス部がそれぞれ、タップ数に等しい個数のラッチ回路から構成することができ、また、このようにすれば、1回のクロックでその中身を取り出すことができるようになり、速度的に有利となる。また、回路規模が大きくなる原因となるシフトレジスタを用いないので、全体回路の縮小化ができる利点がある。
【0070】
さらに、データ保持制御部は、タップ数に等しい個数の有限状態保持部を環状に配置したラウンドロビン環をそなえて構成することができ、このようにすれば、(オーバサンプリング数×タップ数)個からなる長大なシフトレジスタ回路を用いないので、回路的にレイアウトしやすくなるとともに、無駄なスイッチングを行なわずに済むという利点がある。
【0071】
そして、上記のセレクタ制御部は、複数の異なる位相状態信号を1チップ時間内に生成して巡回的に出力する位相カウンタをそなえて構成され、上記の第1セレクタが、入力された拡散データを位相カウンタからの複数の異なる位相状態信号と同期させてサブ拡散データパス部に巡回的に与えるように構成されるとともに、第2セレクタが、サブ拡散データパス部の出力のうちの1つを選択して位相カウンタからの複数の異なる位相状態信号と同期させて出力するように構成されてもよく、加えて、これらの複数の異なる位相状態信号が、各々オーバサンプリング数に等しい個数の位相状態に対応するように構成されてもよく、このようにすれば、やはり、回路的にレイアウトしやすくなるとともに、長大なシフトレジスタ回路を用いないので、無駄なスイッチングを行なわずに済むという利点がある。
【0072】
また、上記の拡散符号設定部のコードレジスタが演算用の拡散符号を保持し、コードロードレジスタが外部からの制御信号を入力されて上記の演算部が動作している間に次の拡散符号をロードし、所定のタイミングでコードレジスタの先頭の位置の内容を更新するように構成されてもよく、またさらに、コードロードレジスタが有効/無効信号が有効の場合には次の拡散符号を取込み、有効/無効信号が無効の場合には次の拡散符号を取込まないように構成されるとともに、コードレジスタと同期を取ってコードレジスタの先頭位置の内容を更新するアルゴリズムで制御されるように構成されてもよく、このようにすれば、使用拡散符号やタップ数が変化することがあっても、拡散符号の瞬間切り換えに対応できるようになる。
【0073】
さらに、上記の拡散符号設定部で、コードレジスタが演算用に拡散符号を保持し、コードロードレジスタが外部から制御信号を入力されて演算部が動作している間に次の拡散符号をロードするとともに、マルチタップ制御部内のマスク環の各有限状態保持部出力と演算部の乗算出力との論理積が演算部の加算部分へ出力されるように構成することもでき、このようにすれば、一つのマッチドフィルタで、異なる拡散符号長への適用が可能となり、システムのオプション仕様が追加されても追随できるようになり、設計の自由度が高まるようになる。
【0074】
そして、このマスク環が、有限状態保持部のうち、タップ数に等しい個数の有限状態保持部が連続して同一の状態を保持して、その他の有限状態保持部と状態が異なるように構成され、マスク環の先頭位置がコードレジスタに同期してシフトされてもよく、また、マルチタップ制御部が、外部から制御されうる拡散符号識別信号を入力されるように構成されてもよく、このようにすれば、このマスク環の先頭位置がコードレジスタに同期してシフトされるようになり、データ符号への追随が可能となる。
【0075】
また、本発明のマッチドフィルタは、拡散データパス部が、拡散データを入力されるべくラッチ回路を複数配置した構成のサブ拡散データパス部を複数有し、拡散データパス入力制御部が、拡散データの入力に応じてラッチ回路へのデータ保持制御を所定の順序に従って行なっていき、また、演算部で、拡散データパス部からの出力と拡散符号設定部からの拡散符号との乗算を行なうとともに、それぞれの乗算結果を加算して出力するので、やはり、配線が単純となり、回路の過度集中を回避できるようになる。また、長大な拡散データパス部が分割されることによって、高速クロックの代わりに、低速クロックを用いることができるようになり、回路動作の頻度を減小させることができるようになる。そして、マッチドフィルタ回路全体のスイッチング率及び回路規模が効果的に下がる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用されるマッチドフィルタのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるサブ拡散データパス部の構成を示す図である。
【図3】(a)〜(e)はそれぞれ本発明の一実施形態にかかるマスタークロックとサブ拡散データパス部の各クロックグループとの関係を表すタイムチャートである。
【図4】4個のサブ拡散データパス部に拡散データが格納される流れを説明するための図である。
【図5】(a)〜(f)はそれぞれ本発明の一実施形態にかかるコードレジスタとコードロードレジスタとのタイムチャートである。
【図6】本発明の一実施形態にかかるコードロードレジスタの制御アルゴリズムを示す図である。
【図7】(a)は本発明の一実施形態にかかる現時刻のコードレジスタのデータ,拡散レプリカ符号,コードロードレジスタのデータをそれぞれ表す図であり、(b)は本発明の一実施形態にかかる次時刻のコードレジスタのデータとコードロードレジスタのデータとをそれぞれ表す図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかるマルチタップ制御部の構成を示す図である。
【図9】(a)〜(h)はそれぞれ、本発明の一実施形態にかかるサブ拡散データパス部のタイムチャートである。
【図10】本発明を適用されるマッチドフィルタの他のブロック図である。
【図11】(a)はQPSK方式を用いたDS−CDMA方式の無線端末の送信部のブロック図であり、(b)はQPSK方式を用いたDS−CDMA方式の無線端末の受信部のブロック図である。
【図12】一次変調にQPSKを用いて拡散する場合の、データ符号,拡散符号及び送信符号との関係を示す図である。
【図13】QPSK方式を用いたDS−CDMA方式の無線端末の受信部の詳細構成を示す図である。
【図14】マッチドフィルタのブロック構成を示す図である。
【図15】マッチドフィルタの機能ブロック図である。
【図16】(a)はマスター/スレーブ型フリップフロップが使用されたシフトレジスタの構成を示す図であり、(b)は2段式のマスター/スレーブ型フリップフロップの構成例を示す図であり、(c)は2段式のマスター/スレーブ型フリップフロップの動作を説明するための図である。
【図17】従来のマッチドフィルタの概略ブロック図である。
【図18】拡散データ入力制御部と拡散データパス部との回路構成を概念的に示す図である。
【図19】拡散データ入力制御回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
1a 第1セレクタ
1b 第2セレクタ
2a,2b,2c,2d サブ拡散データパス部
3 セレクタ制御部
4 データ保持制御部
4a ラウンドロビン環
5 演算部
5a 乗算器部
5b マルチタップ制御部
5c 加算器部
6 拡散符号設定部
6a コードレジスタ
6b コードロードレジスタ
7 位相カウンタ
8 拡散データパス部
9 拡散データパス入力制御部
10 CDMAコントローラ
11,15 マッチドフィルタ
13 フリップフロップ
14 ラッチ回路
Claims (6)
- 拡散データを選択的に出力しうる第1セレクタ、該第1セレクタからの拡散データを一時的に保持する複数のラッチ回路を有する複数のサブ拡散データパス部及びこれらのサブ拡散データパス部からの出力を選択的に出力しうる第2セレクタをそなえた拡散データパス部と、
拡散データの入力に応じて上記の第1セレクタ及び第2セレクタの選択制御を行なうセレクタ制御部並びに上記のサブ拡散データパス部でのデータ保持制御を行なうデータ保持制御部を有する拡散データパス入力制御部と、
拡散符号を設定しうる拡散符号設定部と、
上記の拡散データパス部からの出力と該拡散符号設定部からの拡散符号との乗算を行なうとともにそれぞれの乗算結果を加算して出力する演算部とをそなえ、
該拡散符号設定部が、複数種類の拡散符号長に対応すべく、複数種類の拡散符号を設定しうるように構成され、
該拡散符号設定部が、
演算用に拡散符号を保持するコードレジスタと、
外部から制御信号を入力されて該演算部が動作している間に次の拡散符号をロードするコードロードレジスタとをそなえるとともに、
複数種類の拡散符号に対応すべく該演算部の乗算出力側にマルチタップ制御部が設けられ、
該マルチタップ制御部が、適用されるタップ数に等しい個数以上からなる有限状態保持部を有するマスク環をそなえ、
該マスク環の各有限状態保持部出力と該演算部の乗算出力との論理積が該演算部の加算部分へ出力されるように構成され、
かつ、該マスク環が、有限状態保持部のうち、タップ数に等しい個数の有限状態保持部が連続して同一の状態を保持して、その他の有限状態保持部と状態が異なるように構成され、
該マスク環の先頭位置が該コードレジスタに同期してシフトされることを特徴とする、マッチドフィルタ。 - 上記の拡散データパス部が、オーバサンプリング数に等しい個数のサブ拡散データパス部をそなえ、
該サブ拡散データパス部が、タップ数に等しい個数のラッチ回路から構成されたことを特徴とする、請求項1記載のマッチドフィルタ。 - 該データ保持制御部が、
タップ数に等しい個数の有限状態保持部を環状に配置したラウンドロビン環をそなえ、
該タップ数に等しい個数の有限状態保持部のうちの1つの有限状態保持部のみが他の有限状態保持部と状態が異なるように、該タップ数に等しい個数の有限状態保持部の状態がチップ速度で順次変更されていくことにより、上記のサブ拡散データパス部を構成するラッチ回路へのデータ保持が所定の順序に従って、更新されていくように構成されたことを特徴とする、請求項1記載のマッチドフィルタ。 - 該セレクタ制御部が、
複数の異なる位相状態信号を1チップ時間内に生成して巡回的に出力する位相カウンタをそなえて構成され、
該第1セレクタが、入力された拡散データを該位相カウンタからの該複数の異なる位相状態信号と同期させて該サブ拡散データパス部に巡回的に与えるように構成されるとともに、該第2セレクタが、該サブ拡散データパス部の出力のうちの1つを選択して該位相カウンタからの該複数の異なる位相状態信号と同期させて出力するように構成されていることを特徴とする、請求項1記載のマッチドフィルタ。 - 該複数の異なる位相状態信号が、各々オーバサンプリング数に等しい個数の位相状態に対応するように構成されていることを特徴とする、請求項4記載のマッチドフィルタ。
- 該マルチタップ制御部が、外部から制御されうる拡散符号識別信号を入力されるように構成されたことを特徴とする、請求項1記載のマッチドフィルタ。
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