JP3771257B2 - 再定着可能な外科用の管状体及びケーブル用拘束具 - Google Patents

再定着可能な外科用の管状体及びケーブル用拘束具 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、患者の体や外科用ドレープ又はガウンに管状体やケーブルを一時的に定着するために用いられる管状体及びケーブル用拘束具に関する。本発明はまた、このような拘束具が付着している外科用ドレープ及びガウンにも関する。
発明の背景
患者の体や外科用ドレープ又はガウンに細長い管状体又はケーブル(以降、本明細書では一般的に「管状体」と呼ぶ場合がある)を経済的に定着又は拘束する必要性が高い。例えば、供給用の管状体又はその他のケーブルを患者に定着すること、潅注用及び排液用の管状体を患者又は患者のベッドに定着すること、或いはその他の管状体及び/又はケーブルを外科用ドレープに定着することができ、これらの管状体及び/又はケーブルを組織的に且つ手術現場の邪魔にならないように保持しておく拘束具(restraint)が必要である。
管状体やケーブルの種類によって、その管状体やケーブルが拘束具を通して容易に調整されることが望ましい場合がある。「調整される」又は「調整可能な」とは、管状体又はケーブルが、望ましい力に応じて拘束具を通して滑ることができることを意味する。このため、拘束具のいずれかの側にさらに長い管状体やケーブルが必要である場合には、管状体又はケーブルを容易に調整することができる。場合によっては、管状体やケーブルの調整を制限し、管状体やケーブルが拘束具を通して容易には滑ることができないようにすべきである。
また、管状体やケーブルを切断することなく拘束具から容易に除去又は解放することも望まれる。好ましくは、管状体やケーブルを、拘束具を損なうことなく拘束具から容易に除去又は解放すべきである。より好ましくは、管状体又はケーブル用拘束具は再定着可能である。「再定着可能(refastenable)」とは、管状体又はケーブル用拘束具による管状体及び/又はケーブルの固定(securing)及び解放が複数回可能であることを意味する。これは、ケーブルを一回だけ固定する機能しかない拘束具(すなわち、ケーブルの解放によって固定手段又はケーブルの団結性のいずれかが破壊されてしまうもの)とは対照的である。さらに、好適な管状体やケーブル用拘束具は片手だけで容易に使用されるべきである。このことにより、ユーザーは、一方の手で1本又は2本以上の管状物やケーブルを掴みながら、他方の手で拘束具を操作することができる。最も好ましくは、管状体やケーブル用拘束具は、手袋をした片手で容易に使用されるべきである。
残念ながら、これらの要件を達成できる多能な管状体及びケーブル用拘束具を製造しようとする試みは失敗に終わっている。これらの拘束具は、コストが高すぎたり、調整可能でなかったり、再定着可能でなかったり、使用が容易でない、或いは多能でない。経済的で、再定着可能で、そして多能な管状体及びケーブル用拘束具を製造することが望まれている。
米国特許第5,266,401号明細書(Tollini)に、タブ又はつまみ(tab)を有するベース部を含む固定テープが開示されている。このタブは固定端と自由端を有し、テープから切り出すことにより形成されている。タブの自由端は、フック及びループ装置を用いてベース部に対して固定されている。
1米国特許第4,457,754号明細書(Buttaravolli)に、患者の体表面で使用するための多目的固定ストリップが開示されている。この固定ストリップは、細長い柔軟性カバーストリップ及び柔軟性材料のベースストリップを含む。この柔軟性カバーストリップは、縫製のような機械的手段又は非剥離性接着剤層を用いてベースストリップの上面に永久的に固着されると記述されている。
発明の概要
本発明は、調整可能で且つ再定着可能である安価な管状体及びケーブル用拘束具を提供する。この拘束具は、片手だけで容易に操作することができ、そして患者の皮膚又は外科用ドレープ若しくはガウンのような織物表面に付着することができる。
一般に、本発明の管状体及びケーブル用拘束具は、表面へ付着させるための接着剤のコーティングを下側に有する細長い柔軟性材料の付着用ストリップ;固定端、再定置可能端及び前記固定端と前記再定置可能端との間の橋架ストリップを有する柔軟性材料の保持用ストリップ;並びに(拘束具の少なくとも各端部に)該保持用ストリップの底面と該付着用ストリップの上面との間の接着剤層、を含む。本発明の管状体及びケーブルの拘束具は、付着用ストリップから保持用ストリップを部分的に剥離することを促進するためのフィンガータブを再定置可能端付近に含む。現在好ましい態様では、保持用ストリップと接着剤層(すなわち、「保持テープ」)は、接着テープ材料の単一シートから形成される。固定端において保持テープが付着用ストリップから分離しないように、保持テープを、その「剥離縁部」がヒンジ線(hinge line)で抑制されるように切断する。これは、例えば、剥離層の幅を狭くしていくことにより達成することができる。保持テープの一部は剥離せずに付着用ストリップにしっかりと付着したまま残る(よって、ヒンジ線を越えるようなさらなる剥離を与える)。現在好ましい態様では、付着用ストリップ及び保持用ストリップの両方に、プラスチックで裏打ちされた接着テープが含まれる。
【図面の簡単な説明】
第1a図は、管状体又はケーブルを保持するための保持用ストリップと表面に拘束具を付着するための付着用ストリップとを有する本発明の管状体及びケーブル用拘束具の断面図である。この拘束具は、使用時まで付着用ストリップの接着剤露出面を保護するライナー材料と共に図示されている。
第1b図及び第1c図は、本発明の拘束具の各端部の拡大断面図であり、第1b図では、片面接着テープの二つの層で構築された拘束具を、また第1c図では、両面接着テープの層と非付着性フィルムの層とから構築された拘束具を図示している。各拘束具の中心部は図示されていない。
第1d図及び第1e図は、別のフィンガータブを例示する本発明の拡大断面図である。
第1f図、第1g図及び第1h図は、拘束具を表面から除去するために用いられる別の除去用タブを例示する本発明の拡大断面図である。
第2a図及び第2b図は、本発明の管状体及びケーブル用拘束具の剥離開放状態と管状体又はケーブルを拘束している状態とをそれぞれ例示する。
第3a図、第3b図、第3c図、第3d図、第3e図及び第3f図は、橋架ストリップと剥離停止部を作るために用いられる代用可能な切断パターンを例示する本発明の拘束具の上面図である。
第4a図及び第4b図は、本発明による管状体及びケーブル用拘束具の2通りの製造方法を例示する。
第5図は、複数の管状体及びケーブル用拘束具が付着している本発明の外科用ドレープを例示する。
第6図は、「T型剥離」剥離力試験モード及び動的剪断力試験モードを例示する。
本発明の詳細な説明
本発明の管状体用拘束具は、表面へ付着させるための接着剤のコーティングを下側に有する細長い柔軟性材料の付着用ストリップ;固定端、再定置可能端及び橋架ストリップを有する柔軟性材料の保持用ストリップ;並びに(拘束具の少なくとも各端部に)該保持用ストリップの底面と該付着用ストリップの上面との間の接着剤層、を含む。本発明の管状体及びケーブルの拘束具は、付着用ストリップから保持用ストリップを部分的に剥離することを促進するため、該再定置可能端付近にフィンガータブを含む。現在好ましい態様では、保持用ストリップと接着剤層は、単一シート状の接着テープ材料から形成される。固定端において保持テープが付着用ストリップから分離しないように、保持テープを、その「剥離縁部」がヒンジ線で抑制されるように切断する。これは、例えば、剥離層の幅を狭くしていくことにより達成することができる。保持テープの一部は剥離せずに付着用ストリップにしっかりと付着したまま残る(よって、ヒンジ線を越えるようなさらなる剥離を抑える)。現在好ましい態様では、付着用ストリップ及び保持用ストリップの両方に、プラスチックで裏打ちされた接着テープが含まれる。
付着用ストリップは、拘束具を表面(例、皮膚、外科用ドレープ、等)に付着するための手段を提供すると共に、保持用ストリップが付着するための「ランディング・ゾーン」を提供する。好適な付着用ストリップは、所望の表面に容易に付着して保持用ストリップを受容する新規表面を提供すると共に、拘束具の望ましい再定着性を提供する。このように、付着用ストリップは保持用ストリップと付着される表面との間を結合する。現在好ましい態様では、本明細書で例示したように、付着用ストリップは除去用タブをさらに含み、拘束具が使用後に表面から除去されやすいようにする。この特徴は、外科用ドレープのような再利用可能な物品に拘束具を使用した場合に特に有利である。この除去用タブは、拘束具の再定置可能端から離れた端部に(すなわち、好ましくはフィンガータブから離れた、固定端の近くに)あることが好ましい。
一実施態様において、付着用ストリップは、使用前にはライナー材料で被覆されていることが好ましい「片面」接着テープ(すなわち、裏材料と、その片面上に被覆されている感圧接着剤「PSA」とを含むテープ)を含む。ライナー材料はテープから容易に剥離除去されて接着剤が露出され、表面に付着するための片面接着テープを開放することができる。片面接着テープの非付着性面は、保持用ストリップを再定置可能に(repositionably)付着させるための適合可能な表面を提供する。好ましくは、片面接着テープの非付着性面に、保持用ストリップの剥離除去を容易にするために低付着性のバックサイズ(LAB)を被覆する。好適な片面接着テープについては後述する。別の実施態様において、付着用ストリップは「両面」接着テープ(すなわち、裏材料と、その両面に被覆されているPSAとを含むテープ)を含む。該両面接着テープの第一の面は、使用前には、ライナー材料で被覆されていることが好ましい。ライナー材料はテープから容易に剥離除去されて接着剤面の一方が露出され、表面に付着するための両面接着テープを開放することができる。該両面接着テープの反対側は、保持用ストリップで被覆されている。好適な両面接着テープについては後述する。
保持用ストリップは付着用ストリップの上にあり、使用に際しては、固定すべき管状体やケーブルを被覆する。好ましくは、保持用ストリップは、単一シート状材料から構築される。保持用ストリップは、付着用ストリップに少なくとも二つの端部で付着される。保持用ストリップの一端(すなわち、「固定端」)は付着用ストリップに永久的に付着される。「永久的に付着」とは、使用に際し、保持用ストリップと付着用ストリップとがその固定端では分離しないことを意味する。保持用ストリップの他端(すなわち、「再定置可能端(repositionable end)」)は、付着用ストリップに再定置可能に付着される。「再定置可能に付着」とは、使用中に保持用ストリップと付着用ストリップを分離し、再結合することによりケーブルや管状体を固定することを意味する。保持用ストリップの中央部を「橋架(bridging)ストリップ」と称する。拘束具の中央部を「橋架セクション」と称する。後述するように、この橋架セクションには接着剤がなくてもよい。しかしながら、製造を簡素化するため、この橋架セクションには固定端及び/又は再定置可能端を付着用ストリップに固定するために用いられるものと同じ接着剤が含まれる場合が多い。
保持用ストリップは、本明細書に記載したように、一体式の「剥離停止部」を作るために切断されることが好ましい。この剥離停止部によって、保持用ストリップの全体が下部の付着用ストリップから剥離してしまうことが固定端で防止される。こうして、ユーザーは、「ヒンジ線」に至るまでは、保持用ストリップを下部の付着用ストリップから容易に剥離することができる。このヒンジ線において剥離が阻止される。この一体式剥離停止部は、固定端において望ましくない分離を防止しようとするために採用される可能性のある他の機械的方法又は接着方法よりも重要な利点を提供する。第一点として、本発明の拘束具は固定端において厚さが実質的に変わらず均一である。機械的なステープル又は縫製による突出部がない。第二点として、本発明の拘束具は、織物に付着した場合に、損傷を与えることなく容易に折り畳む又は曲げることが可能である。さらに、保持用手段を2種以上の接着剤で被覆する必要がない(すなわち、固定端及び再定置可能端の両方について同一の接着剤を使用することができる)。
保持用ストリップは、それ自体の上で後方に容易に剥離して曲がり、ケーブルの上に橋部(ブリッジ)を形成するに十分な柔軟性を有するべきである。このように折り畳まれ又は曲げられた場合に容易に破壊又は引き裂かれる材料は、本発明における使用には不適当であると考えられる。付着用ストリップ及び橋架ストリップの柔軟性は、拘束具の操作範囲全体にわたり維持されるべきである。非常に低温(例、0℃)又は非常に高温(例、100℃)のいずれかで柔軟性を失う材料は避けるべきである。
付着用ストリップ及び保持用ストリップは、一定幅において、ケーブルから加わる可能性のある力を支持するに十分な強度を有するべきである。好ましくは、これらのストリップは、ケーブルの重力による重量を支持するに十分な強度を、より好ましくは、被覆されたケーブルが引っ張られ又は動かされたときに拘束具に加わる可能性のある中位の「引張り力」に耐えるに十分な強度を有するべきである。最も好ましくは、橋架ストリップは、表面と付着用ストリップとの間の接着層破壊前に、保持用ストリップと付着用ストリップとの間の接着破壊層前に、固定されるケーブルの破壊前に、又は付着対象である表面の凝集破壊(例、ドレープ材料の引裂き)の前に引裂き又は破壊に対して耐性を示すに十分な強度を有する。適当な付着用及び橋架用ストリップ材料の引張強さは、本明細書中に記載するように変更を加えたASTM試験法D882により試験した場合に、4N/cm幅以上である。好適な付着用及び橋架用ストリップ材料の引張強さは、5M/cm幅以上、より好ましくは10N/cm幅以上、最も好ましくは13N/cm幅以上である。所望であれば、付着用ストリップ又は橋架用ストリップ材料は、該ストリップを強化するための強化用材料の層(例、長さ方向に配向したガラス繊維層又は別の高強度シート材料の層)を含むことができる。
本発明における使用に適した付着用及び保持用ストリップ材料には、布、不織布、フォーム又はプラスチック材料を含むシート材料又はラミネートが含まれる。現在好ましい付着用及び保持用ストリップ材料としてプラスチックシート材料が含まれる。好適なプラスチックシート材料として、天然物系の有機ポリマー、例えば、アセテート、アズロン、レーヨン及びトリアセテート;並びに合成物系の有機ポリマー、例えば、アクリル系、アラミド、ナイロン(商標)、オレフィン〔例、ポリ(1−ブテン)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ(3−メチル−1−ブテン)、ポリ(1−ペンテン)、ポリプロピレン及びポリスチレン〕、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)及びポリ(フッ化ビニリデン)が挙げられる。好適な合成ポリマーとして、アセテート、アクリル系、ナイロン(商標)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びレーヨンが含まれる。最も好適な合成ポリマーとしてポリエステル及びポリエチレンのフィルムが挙げられる。好ましい材料は無毒性であり、より好ましくは低アレルゲン性であり、そして最も好ましくはさらに環境的に安全である(例、生態系を損なわないように廃棄可能又はリサイクル可能である)。
所望であれば、付着用又は保持用ストリップ材料はエラストマー材料を含むことができる。好適なエラストマー材料として、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ジエン−スチレン系コポリマー、エチレン−プロピレン系コポリマー、エチレン−プロピレン−ジエン系ターポリマー、スチレン−ブタジエン系ブロックコポリマー、スチレン−イソプレン系ブロックコポリマー及びポリウレタン(例、スパンデックス)が挙げられる。
上記したように、付着用又は保持用ストリップ材料は、2種以上の材料から成るラミネートを含むことができる。例えば、第一の材料を別の第二の材料に結合、被覆又は固定することができる。第一の材料が接着剤層(後述)との必要な適合性を有するラミネートを提供する一方、第二の材料が物理的団結性又は強度を有するラミネートを提供することができる。
保持用ストリップ材料、これを付着用ストリップに固定するために用いられる接着剤を適合するものでなければならない。付着用ストリップ材料は、これを表面及び保持用ストリップに固定するために用いられる接着剤と適合するものでなければならない。
橋部が形成された場合、橋架ストリップ材料と付着用ストリップ材料が管状体又はケーブルを包囲する。管状体又はケーブルの種類によって、管状体又ケーブルが拘束具を通して容易に調整されることが望まれる場合がある。「調整される」とは、管状体又はケーブルが、望ましい張力に応じて拘束具を通して滑ることができることを意味する。このため、拘束具のいずれかの側にさらに長い管状体やケーブルが必要である場合には、橋部を開放しなくても、管状体又はケーブルを容易に調整することができる。場合によっては、管状体やケーブルの調整を制限し、管状体やケーブルが拘束具を通して容易には滑ることができないようにすべきである。特定の拘束具の橋部を通して滑ることができる特定の管状体の性能は、橋架ストリップ及び付着用ストリップ材料と管状体との間の摩擦(又は付着)による。橋部の領域に接着剤層が存在すると滑りに影響を及ぼしうることは着目すべき点である。橋部を通した管状体の滑りを阻止又は制御するため、橋架ストリップ(又は橋部の領域における付着用ストリップ)に接着剤を被覆することが好ましい。対照的に、橋部を通して再定置可能性を容易にするためには、管状体との摩擦係数の低い材料を選ぶことができる。
保持用ストリップは、固定すべき一本又は複数本の管状体又はケーブルを橋架すると共に、付着用ストリップに再定置可能に付着させるに十分な長さを有するべきである。好ましい実施態様では、細長い柔軟性材料のストリップを使用して橋架用ストリップを形成すると共に、保持用ストリップの一端を付着用ストリップに永久的に固定し且つ他端を再定置可能に固定するのに用いられる接着剤の配置領域を提供する。こうして、保持用ストリップ材料は、所望の一本又は複数本の管状体又はケーブルを差し渡す適当な大きさの橋部と、各端部において接着剤の配置のための適当な領域と、そして好ましくは適当な大きさのフィンガータブとを提供するに十分な長さを有するべきである。医療分野で用いられる好ましい管状体及びケーブル用拘束具は5cm以上、より好ましくは8cm以上、最も好ましくは10cm以上の橋架用ストリップを含む。固定端、再定置可能端及びフィンガータブを収容するためには、好ましい管状体及びケーブル用拘束具は9cm以上、より好ましくは12cm以上、最も好ましくは14cm以上の細長い柔軟性材料のストリップを含む。所望であれば、さらに長い拘束具を使用してもよい。
拘束具の幅はいくつかの因子によって変わる。例えば、拘束具として機能するための最低強度要件は、特定の保持用ストリップ材料についての最小幅及び/又は厚さを決めることができる。さらに、付着用ストリップ及び/又は保持用ストリップの固定端若しくは再定置可能端の必要最小表面積は、拘束具の最小端を決めることができる。その上、保持用ストリップに必要な寸法(例、幅)は、付着用ストリップに必要な寸法と同じではない場合もありうる。例えば、より幅広い付着用ストリップをより狭い保持用ストリップと共に使用することができる。しかしながら、経済的理由から、本発明の拘束具は概して長方形で製作することが現在は好ましい。このため、保持用ストリップと付着用ストリップは幅が同じであることが好ましい。医療分野で用いるのに好ましい管状体及びケーブル用拘束具の全幅は1cm以上、より好ましくは2cm以上、最も好ましくは2〜5cmの範囲である。
本発明の橋架ストリップの厚さは、十分な強度を有する橋部を提供するに十分な厚さでなければならない。その最小厚さは、橋架ストリップの幅に一般に依存する(概して、材料の強度は該材料の「断面積」に依存する)。本発明の典型的な拘束具を形成するために用いられる適当なフィルム(付着用ストリップ又は保持用ストリップのいずれかのためのもの)は、0.02mm以上、より好ましくは0.04mm以上、最も好ましくは0.07〜0.2mmの範囲の厚さを有する。
本発明の拘束具は、物品(例、外科用ドレープ又はガウン)に予め付着しておいてもよいし、また使用時に外科用ドレープ又はガウンに付着される別個の拘束具として提供してもよい。さらに、本発明の拘束具は、使用時に患者の皮膚に付着される個々の管状体及びケーブル用拘束具として提供してもよい。所期の用途によって、付着用ストリップの接着剤層にライナー材料を被覆してもよい。
物品に予め付着した拘束具として使用するため、その付着用ストリップは適当な接着剤付着手段を含む。適当な接着剤付着手段には、例えば、熱可塑性若しくは熱硬化性接着剤、感圧接着剤(PSA)又はこれらを含むテープが包含される。好ましい接着剤付着手段には、感圧接着剤又は本明細書で記述したPSAテープが含まれる。好ましくは、接着手段は「永久的」である、すなわち、該拘束具は、一度ドレープ又はガウンに付着したならば、ドレープ又はガウン上で再配置することができず、その位置に永久的に付着していることを意味する。
独立した「ポイント・オブ・ユース(point-of-use)」式の拘束具(すなわち、使用時にドレープ・ガウン又は患者の皮膚に付着するために個別に提供される拘束具)として使用するため、付着手段は、使用前にはライナーで被覆されている接着剤付着手段であることが好ましい。該接着剤付着手段は、細長い柔軟性材料のストリップの表面に被覆されることが好ましい。該接着剤付着手段は、1層又は2層以上の接着剤層と必要に応じて1層又は2層以上の裏層とを含むことができる。接着剤付着手段が表面汚染されないように、使用前は接着剤表面を(例、別のライナー材料で)被覆することが好ましい。所望であれば、使用前に、該接着剤表面を、細長いストリップの別の部分で、又は別の独立したライナー材料の代わりに別の拘束具(すなわち、拘束具の積重ね体)で被覆してもよい。
本発明において使用するのに適した感圧接着剤として、要求される機能を発揮するに必要な量の剥離強度及び/又は引裂強度を提供することができる感圧接着剤が挙げられる。例えば、好適な感圧接着剤は、付着手段として用いた場合、意図しない脱離を伴うことなく表面に拘束具を確実に付着せしめるに十分な強度を有する。さらに、好適な感圧接着剤は、保持用ストリップを付着用ストリップに確実に付着して橋部の望ましくない解放を防止するに十分な剪断強度を有する一方、ユーザーが橋部を容易に解放できる程度の剥離強度を有する。医療分野において使用されるのに適した接着剤は、無毒性であり、好ましくは低アレルゲン性(hypoallergenic)であり、そして最も好ましくはさらに環境的に安全である。
本発明において用いるのに適したアクリレート系感圧接着剤には、少なくとも一種の「A」モノマーと少なくとも一種の「B」モノマーとの重合反応生成物であって、内部粘度が約1.0dl/g〜約2.0dl/gであるコポリマーが含まれる。「A」モノマーは、非第三アルコール又は非第三アルコール混合物であって、該アルコールの炭素原子数が1〜14個、望ましくは平均で約4〜12個であるもののアクリル酸又はメタクリル酸エステルを含む重合性モノマーである。「B」モノマーはエチレン系不飽和化合物であるが、望ましくはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン又はこれらの組合せであることができる。「A」モノマーは重合性であって、感圧接着剤コポリマーの粘弾性に寄与する。このような「A」モノマーの一例として、アクリル酸又はメタクリル酸と非第三アルキルアルコール、例えば、1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−メチル−1−ブタノール、1−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、等、とのエステルが挙げられる。このようなアクリル酸又はメタクリル酸のエステル単量体は当該技術分野では公知であり、その多くが市販されている「B」モノマーは、「A」モノマーと共重合し、得られる感圧接着剤コポリマーの物理特性に影響を及ぼすエチレン系不飽和化合物である。「B」モノマーが存在すると、得られる感圧接着剤コポリマーの柔軟性は一般に低下する。このため、約1.0dl/g〜約2.0dl/gの内部粘度を有する感圧接着剤コポリマーが得られるように、「A」モノマーと「B」モノマーの重量パーセントのバランスをとらなければならない。「A」モノマー:「B」モノマーの重量パーセント比率は約85:15〜約98:2、望ましくは約90:10〜97:3の範囲にある。
感圧接着剤コポリマーは室温においても動物の皮膚温度においても粘着性を有するべきである。また、該接着剤は低アレルゲン性であること、すなわち、皮膚に連続接触した後、付着中に顕著な皮膚の感作又は刺激がないことが必要である。接着剤が低アレルゲン性であるか否かを決める手法として、細胞毒性、皮膚刺激性及び感作ポテンシャルの評価を行う場合が多い。米国食品医薬品局は、医療装置のための3部分の生物適合性ドラフトガイダンス(Tripartite Biocompatibility Draft Guidance for Medical Devices)においてこのような評価法を推奨している。本明細書に記載した種類のアクリレート系感圧接着剤を使用した本明細書に記載した市販の医療用テープは、一般に低アレルゲン性であると考えられる。本発明において用いられるテープのアクリレート系感圧接着剤として現在好ましいものは、重量比約94:6のアクリル酸イソオクチル/アクリル酸系コポリマーである。このコポリマーの内部粘度は約1.4〜1.6dl/gである。アクリレート系感圧接着剤は、粘着性を改良するために配合物に添加される粘着付与剤を含むことが好ましい。市販の粘着付与剤として、商標「Foral」のロジン酸、例えば、「Foral AX」や「Foral 85」ロジン酸(Hercules社より市販)及び部分水素化メチルスチレン炭化水素樹脂、例えば、「Piccolastic A25」樹脂(Hercules社より市販)が挙げられる。このような粘着付与剤は、アクリレート系感圧接着剤の製造時にコポリマー固形分の約35〜40重量%の量で添加することができる。
本発明において有用な別の感圧接着剤は、テキサス州、ヒューストンのシェル・オイル社からKratonの商標のコポリマーとして市販されているスチレン−ブタジエン系又はスチレン−イソプレン系コポリマーを用いて製造された低アレルゲン性のKratonゴム系感圧接着剤である。米国特許第5,019,071号(Banyら)及び同第5,158,557号(Noreenら)明細書に、各種のKraton系感圧接着剤が開示されている。Kratonゴム系感圧接着剤として好ましいものに、Kraton 1107、Kraton 1111、Kraton 1101及びKraton Dの商品名のコポリマーであって、相溶性の粘着付与剤、例えば、Exxon Chemicalsより市販されている商品名Escorez 1310LCの粘着付与剤、オハイオ州、アクロンのGoodyear Tire and Rubber社より商品名Wingtack Plusとして市販されている固体C5粘着付与性樹脂、及びShell Oil社よりShellflexの商品名で市販されている芳香族含有量10%のナフテン系オイルがある。このような粘着付与剤は、感圧接着剤の約45〜約70重量%を占めることができる一方、Kraton系コポリマーは約30〜55重量%を占めることができる。現在のところ好ましいものは、米国特許第5,019,071号明細書の実施例1〜13に開示されているものと同様の配合物において、Kraton 1111を約35重量%と、Wingtack Plusを約53重量%と、Shellflex 371を約11重量%と、商品名Irganox 1010及び1076の酸化防止剤を約2重量%とを含む、Kraton系の感圧接着剤である。
本発明において有用な代わりのさらなる感圧接着剤は、米国特許第3,865,770号、同第4,413,080号、同第4,569,960号、同第5,125,995号、同第5,270,111号及び同第5,379,614号並びに欧州特許出願第92.918098.2号並びに国際特許出願公開第WO93/24152号公報に記載されている水分散性感圧接着剤である。
感圧接着剤コポリマーは、乳化重合や溶液重合のような公知の重合技法によって共重合することができる。重合調製物や方法の出所として、Organic Polymer Chemistry, Saunders et al. (Halsted Publishing Company, New York 1973); Applied Polymer Science, Tess et al. (American Chemical Society, Washington, D.C., 1981); Principles of Polymerization, Odien (John Wiley and Sons, New York, 1981); 及びHandbook of Pressure-Sensitive Adhesive Technology, Second Edition, Satas, Ed., (Van Nostrand Reinhold Company, New York, 1989)が挙げられる。具体的に、アクリレート系感圧接着剤コポリマーは米国特許第2,884,126号/再発行特許第24,906号(Ulrich)明細書に従い合成することができる。現在好ましいアクリレート系コポリマー感圧接着剤は米国特許第2,884,126号/再発行特許第24,906号明細書の実施例5により乳化重合法で合成することができるが、但し、コポリマー固形分の約35〜40重量%の量で粘着付与剤を乳濁液に添加し、そして粘着付与されたコポリマーをヘプタン−イソプロパノール(70:30)溶液に溶解する。現在好ましいKratonコポリマー系感圧接着剤は、米国特許第5,019,071号明細書の実施例1〜13に記載されている方法で調製することができる。
(付着用ストリップ又は保持用ストリップのいずれかについて)本発明における使用に適したテープ成分に、市販の医療用テープが含まれる。先に述べたように、物品の構築によって、適当なテープには両面テープ(すなわち、二つの主面に接着剤が被覆されているテープ)又は片面テープ(すなわち、一つの主面に接着剤が被覆されているテープ)のいずれかが含まれる。
許容できる両面テープ成分の一例として、第1509番透明ポリエチレン0.124mm両面医療用テープ、第1512番透明ポリエチレン0.086mm両面医療用テープ、第1513番透明ポリエステル0.086mm両面医療用テープ、第1522番透明ポリエチレン0.160mm両面医療用テープ、第9874番透明ポリエチレン0.122mm両面医療用テープ、第9920番ポリエチレン0.024mm両面拘束テープ、第9877番ポリエステル0.144mm高性能テープ、及び第9878番水分散性接着テープ0.1mm両面医療用テープが挙げられる。上記の市販テープは(Kraton系医療用テープの第9877番を除き)すべて低アレルゲン性の感圧アクリレート系接着剤を両面に被覆した適当な裏材に、接着剤保護のためのシリコーン処理済漂白Kraft−Glassine紙ライナーを巻き付けたものから成る。上記市販のテープはすべて米国ミネソタ州、セント・ポールのミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング・カンパニーから市販されている。これら医療用テープの大部分は、1991年に3Mのヘルスケアの刊行物3M Medical Specialties Product Reference Guideに記載されており、3M Medical Specialties Departmentで利用することができる。これら医療用テープの残りについても3M Medical Specialties Departmentの刊行物において利用することができる。別法として、他の市販テープも有用である。一例は、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング・カンパニーから市販されている第9416番テープである。これは、裏材の対向面に異なるコーティング素材フラッド(flood)を有する二種の感圧接着剤による両面テープである。
本発明における使用に適した市販の医療用片面テープの例として、第1523番淡褐色0.13mmポリエチレン医療用テープ;第1526番透明0.13mmポリエチレン医療用テープ;第9830番透明0.07mmポリエチレン医療用テープ;及び第9835番白色0.14mm同時押出エチレンビニルアセテート/ポリエチレン医療用テープが挙げられる。第1523番、第1526番及び第9835番の医療用テープは、非付着性面がマット仕上げされている。第1523番及び第1526番は、コロナ処理された非付着性面がマット仕上げされている。どのテープにも、片面に低アレルゲン性のアクリレート系感圧接着剤が被覆されている。どのテープも、シリコーン処理済ポリエチレン被覆面を有する漂白済Kraft紙ライナー(必要に応じて長さ方向のストリップを有する)と共に巻き付けられている。このライナーは、テープを拘束具へ適用する際にテープから分離することができる。列挙した医療用テープはいずれもミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング・カンパニーから市販されている。
本発明における使用に適したさらに別の市販の医療用片面テープの例として、第1505番耐熱性0.16mm医療用テープ;第1529番微孔質レーヨン不織布0.14mm医療用テープ;第1776番スパンレースドポリエステル不織布0.29mm医療用テープ;第9903番微孔質ナイロン不織布0.23mm医療用テープ;及び第9906-W番白色弾性ポリウレタン不織布0.23mm医療用テープのような不織布の裏材を有するテープがある。列挙した医療用テープはいずれもミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング・カンパニーから市販されている。
「T型剥離」方向における剥離力を採用し、(第6図に図示したように)一端112の他端113からの軸方向剥離により本発明の保持用ストリップの再定置可能端の開放容易性を測定した。適当な引張試験機(例、INSTRON 1122型、変位速度30.5cm/分で操作)で端部を掴み、矢印「A」及び「A’」の方向に加える力を増加させながら、「T型剥離」剥離力及び強度を発生させ測定する。剥離力はニュートン/センチメートル幅(N/cm)で測定する。付着用ストリップ130の上面からの保持用ストリップ125の初期剥離力は、約0.09N/cm〜約2.80N/cm、望ましくは約0.35N/cm〜約1.45N/cm、好ましくは約0.70N/cm〜約1.00N/cmの範囲にあることができる。このような剥離力によって、所期の橋部の開放に必要な手先の器用さが最小限で済む。
動的剪断力を採用して、橋部の各端部の付着用ストリップと保持用ストリップとの間の接着結合の強度(例、拘束具の軸方向以外の角度で橋架ストリップに加わる剪断力による橋部の意図しない開放に抵抗するために利用できる結合の強さ)や、付着用ストリップと表面との間の接着結合の強度を測定する。適当な引張試験機(例、INSTRON 1122型、変位速度30.5cm/分で操作)において端部114及び115を掴み、矢印「B」及び「B’」の方向に加える力を増加させながら動的剪断力及び強度を発生させ測定する。動的剪断力はニュートン/平方センチメートル(N/cm2)で測定される。橋部形成手段の動的剪断強度は、該橋部を確実に閉じておくために、約5N/cm2〜約90N/cm2、望ましくは約10N/cm2〜約20N/cm2、好ましくは約12N/cm2〜約17N/cm2の範囲にあることができる。
管状体又はケーブルは、これらを切断することなく拘束具から容易に除去又は解放されることが望ましい。好ましくは、管状体やケーブルは、拘束具を損なうことなく拘束具から容易に除去又は解放されるべきである。すなわち、該拘束具は再定着可能でなければならない。「再定着可能」とは、手袋をした手でも、管状体又はケーブル用拘束具による管状体及び/又はケーブルの固定及び解放が複数回可能であることを意味する。これは、ケーブルを一回だけ固定する機能しかない拘束具(すなわち、ケーブルの解放によって固定手段又はケーブルのいずれかが破壊されてしまうもの)とは対照的である。
本発明の拘束具の特徴は、再定着可能な橋部形成手段(すなわち、再定置可能端での保持用ストリップと付着用ストリップとの間の再定着可能な接着結合)である。本発明の拘束具は、管状体、ケーブル又は物体を複数回固定、解放できることが好ましい。このことは、ユーザーがケーブルを拘束具に付加したり拘束具から取り外したりしたい場合、或いはケーブルや管状体の位置を調整したい場合に有益である。最も好ましくは、管状体又はケーブル用拘束具は手袋をした片手で容易に使用できなければならない。これにより、ユーザーは片手で管状体又はケーブルを掴みながら拘束具の操作を行うことができる。
最も好ましくは、該拘束具は、橋部の容易な開放及び閉鎖を促進する手段を含む。橋部の容易な開放及び閉鎖を促進するための好適な手段には、ユーザーが容易に掴み、保持用ストリップの再定置可能端の剥離開放を促進することができるタブ及び突起物が含まれる。本発明における使用に適したフィンガータブは、手袋を拘束具へ粘着させることなく、典型的なユーザーの手袋をした指と親指の間で容易に掴み取れる十分な大きさのものでなければならない。好ましくは、フィンガータブは100mm2以上、より好ましくは400mm2以上、最も好ましくは600mm2以上である。製造を容易にするため、フィンガータブは非付着性面を有するフィルム片を含むことが好ましい。この非付着性フィルムは、保持用ストリップを付着用ストリップに再定置可能に付着させるのに用いられる接着剤の一部分(すなわち、拘束具の縁部付近)を覆う。別法として、保持用ストリップと付着用ストリップとの間に接着剤を「ストリップコート」し、ストリップ間の界面の一部分(すなわち、拘束具の縁部付近)が接着剤で被覆されないようにしてもよい。さらに、保持用ストリップが片面接着テープを含む場合には、該保持用ストリップの縁部をそれ自体の上に折り畳むこともできる。これにより、フィンガータブとして作用しうる非付着性部分ができる。最後に、別の独立した部材からフィンガータブ又は同様の突起物を製造し、これを拘束具に取り付けてもよい。
最も好ましくは、該拘束具は、それが取り付けられる表面からの拘束具の容易な除去を促進するための手段を含む。拘束具の容易な除去を促進するための好適な手段には、ユーザーが容易に掴むことができ、表面からの拘束具の剥離を促進することができるタブ及び突起物が含まれる。最も好ましくは、この除去用タブは拘束具のフィンガータブから離れた端部(すなわち、固定端付近)に定置される。本発明における使用に適した除去用タブは、典型的なユーザーの指と親指の間で容易に掴み取れる十分な大きさのものでなければならない。好ましくは、除去用タブは100mm2以上、より好ましくは400mm2以上、最も好ましくは600mm2以上である。
製造を容易にするため、除去用タブは非付着性面を有するフィルム片を含むことが好ましい。この非付着性フィルムは、付着用ストリップを表面に付着させるのに用いられる接着剤の一部分(すなわち、拘束具の縁部付近)を覆う。別法として、付着用ストリップの下側に接着剤を「ストリップコート」し、付着用ストリップの一部分(すなわち、拘束具の縁部付近)が接着剤で被覆されないようにしてもよい。さらに、付着用ストリップが片面接着テープを含む場合には、該付着用ストリップの縁部をそれ自体の上に折り畳むこともできる。これにより、除去用タブとして作用しうる非付着性部分ができる。同様に、付着用ストリップの底面側に保持用ストリップの縁部を折り畳み込むこともできる。これによっても、除去用タブとして作用しうる非付着性部分ができる。また、別法として、付着用ストリップの接着面を覆うために用いられるライナー材料にスリットを入れ、該ライナーの一部(すなわち、拘束具の縁部付近)を接着剤を被覆させたままにしておき、よって除去用タブとして機能させてもよい。
好ましくは、除去用タブは長方形であって、付着用ストリップと同等な幅を有する。しかしながら、除去用タブは様々な形状を有することができる。例えば、付着用ストリップの角部をそれ自体の上に折り畳むことができる(例、三角形の非付着性部分ができる)。同様に、ライナー材料の非長方形部分又は非付着性フィルムの非長方形部分を除去用タブとして利用することもできる。
好ましくは、拘束具全体を滅菌できなければならない。医療分野では、数種類の滅菌方法が用いられる。例えば、蒸気オートクレーブ、ガンマ線照射及びエチレンオキシドを使用することができる。好ましい拘束具は、所望の滅菌法の少なくとも1回のサイクルに耐えられるものでなければならない。例えば、拘束具は、好ましくは、医療装置の滅菌によく採用される線量である少なくとも25kGysまでのガンマコバルト−60輻射線による照射後に機能を残存していなければならない。より好ましくは、拘束具は、少なくとも50kGysまでのガンマコバルト−60輻射線による照射後に機能を残存していなければならない。
拘束具の使用を助長するため(又は、拘束具が適切に用いられているか否かをユーザーが決めることを助けるため)、拘束具は、可視インジケーター(例、発色指示手段)をさらに含むことができる。例えば、本発明の管状体及びケーブル用拘束具は、多色材料を含むことができる。色の使用はユーザーを様々に助けることができる。一実施態様では、再定置可能端が取り付けられた場合に色が配合又は添加されるように、管状物及びケーブル用拘束具の「調整領域」を着色してもよい。これは、橋部形成手段が実際に取り付けられているか否か(或いは、それがどの程度か)を表示するのに役立つ。この表示は、橋部形成手段と調整領域との間の意図しない「ミス」を回避する助けとなる。さらに、拘束具のフィンガータブを目立つように着色(又は目立つような模様で印刷)し、ユーザーの注意をその領域に仕向けることができる。
図面の詳細な説明
図面を参照する。同等な部分には同じ参照番号を付した。図面では、説明しやすく且つ明確にするべく各種の層状のテープ、接着剤又はライナー材料の厚さは誇張されている。特に、接着剤層の厚さは誇張して図示されている。さらに、所望により、各種部材の大きさを変更し、拘束具の具体的ニーズに応えることは可能である。
第1a図は、拘束具を表面に定着するための付着用ストリップ16と管状物又ケーブルを保持するための保持用ストリップ22とを有する本発明の管状体及びケーブル用拘束具1の断面図である。拘束具は、付着用ストリップの露出した接着剤を使用前に保護しておくためのライナー材料10と共に図示されている。さらに、タブ材料11を含むフィンガータブ13が図示されている(例、保持用ストリップ22の底面に付着している)。材料11のタブは、拘束具の対向面とタブ13との間に非付着性界面を提供する。フィンガータブは、ユーザーの(手袋をした場合でも)親指と指の間で容易に掴むことができ、拘束具を剥離して開放することができる(第2a図に図示)。
第1b図及び第1c図は、同じ管状体及びケーブル用拘束具の二つの拡大断面図である。第1b図は、二層の片面接着テープ(16及び22)から構築された拘束具を例示する。この実施態様では、付着用ストリップ16は接着剤層12と裏材料14を有する片面接着テープを含み、そして保持用ストリップ22は接着剤層18と裏材料20を有する片面接着テープを含む。これら二つのテープの組成は同じであっても異なってもよい。この実施態様では、拘束具を剥離して開放した場合、接着剤層18は裏材料20の下側に付着したまま残る。好ましくは、接着剤層18の剥離解放を促進するために裏材14の上面に低付着性バックサイズ(図示なし)を被覆しておく。第1c図は、一層の両面接着テープと第二の層の非付着性フィルム材料40とから構築された拘束具を例示する。この実施態様では、付着用ストリップ36は、接着剤層32及び38並びに裏層34を有する両面接着テープを含み、保持用ストリップ40は非付着性フィルムを含む。拘束具を剥離開放した場合、接着剤層38は裏材34の上側に付着したまま残る。所望であれば、接着剤層38の剥離解放を促進するためにフィルム40の底面に低付着性バックサイズ(図示なし)を被覆してもよい。第1b図及び第1c図にはいずれもライナー材料が図示されている。このライナーは、使用前に剥離除去し、それが被覆している接着剤層を露出させる。
第1d図及び第1e図は、第1a図に示したフィンガータブの二つの拡大断面図である。第1d図は、保持用ストリップから形成されたフィンガータブを例示する。ここで、保持用ストリップの底面と付着用ストリップの上面は、拘束具の一端の縁部に沿って接着剤を含まない(参照番号19)。保持用ストリップのタブは、ユーザーが容易に掴み取ることができ、拘束具の剥離開放を助長することができる。第1e図は、保持用ストリップをそれ自体の上に折り畳み込むことにより保持用ストリップ22から形成されたフィンガータブを例示する。この実施態様では、保持用ストリップは片面接着テープを含む。該テープをその一端において自体の上に折り畳み、接着剤が覆われたタブ領域をつくる。
第1f図、第1g図及び第1h図は、別の「除去用タブ」を例示する本発明の拡大断面図である。第1f図は、タブ材料15を含む除去用タブを例示する(例、付着用ストリップ16の底面に付着している)。タブ材料15は、拘束具が付着する表面と拘束具との間に非付着性面を提供する。該除去用タブは、ユーザーの親指と指の間で容易に掴み取ることができる。拘束具の表面からの容易な除去(例、剥離による)を可能にする。第1g図及び第1h図は、第1f図に示した除去用タブの別態様の二つの下位拡大断面図である。第1g図は、ライナー材料10の一部によって形成された除去用タブを例示する。この実施態様では、ライナー10は切断されて部分10a及び10bに分かれている。使用時には、ライナー部分10bを除去し、拘束具を表面に取り付ける。ライナー部分10aは拘束具に残存し、該拘束具と表面との間に非付着性界面を提供する。拘束具を表面から除去するためには、該拘束具の非付着部分(すなわち、除去用タブ)を単に掴むだけで、拘束具を表面から剥し取ることができる。第1h図は、付着用ストリップから形成された除去用タブを例示する。ここで、付着用ストリップの底面は、拘束具の一端の縁部に沿って接着剤を含まない(参照番号17)。接着剤を含まない付着用ストリップのタブは、ユーザーによって容易に掴み取ることができ、拘束具の表面からの剥離を助長する。別法として、付着用ストリップ又は保持用ストリップを付着用ストリップの下側の上に折り畳み込むことによって除去用タブを形成してもよい(図示なし)。この方法は、第1e図のフィンガータブを形成する方法と類似している。
第2a図及び第2b図は、管状物又はケーブルを保持するための本発明の管状物及びケーブル用拘束具を例示する。付着用ストリップ16は表面68に付着された状態で図示されており、ライナー材料は含まれないことがわかる。さらに、保持用ストリップ22は剥離開放されており、管状物62を覆う橋架用ストリップ60がつくられている。保持用ストリップの剥離は、固定端65における剥離停止部66によってヒンジ線64で阻止される。使用時には、最初にライナー材料を除去して接着剤の露出面を表面に接触させることによって付着用ストリップ16を表面68に付着する。次いで、ユーザーはフィンガータブ61を掴むことにより保持用ストリップ22を剥離開放する。剥離は剥離停止部66によって(すなわち、未剥離領域63によって付与される剪断付着抵抗によって)ヒンジ線64で阻止される。次いで、管状体又はケーブル62を、橋架部分69において拘束具を差し渡して配置する。その後、第2b図に図示したように、保持用ストリップを付着用ストリップに再定着させ、管状体又はケーブルを包含する。管状体又はケーブルを被覆する保持用ストリップの部分を橋架(bridging)ストリップ60と称する。所望であれば、上記手順を繰り返すことによって該管状体又はケーブルを除去又は調整することができる。
第3a図、第3b図、第3c図、第3d図、第3e図及び第3f図は、橋架ストリップ85及び剥離停止部88をつくるために用いられる別態様の切断パターンを例示する本発明の拘束具の上面図である。第3a図は、本発明の現在好ましい実施態様を例示する。該拘束具の上層を切断(例、回転ダイによって)し、下部の付着用ストリップから容易に剥離されうる上層の部分をつくる。この剥離は固定端82において阻止されることがわかる。第3a図に図示したように、該拘束具は、再定置可能端96(フィンガータブ86をさらに含む)と固定端82を含む。該再定置可能端は、フィンガータブをグリップとして使用して剥離開放した後、再封止することにより管状体又はケーブルを固定することができる。保持用ストリップを下部の付着用ストリップから剥離する場合、切断線に沿って分離する。フィンガータブ86と接続しているストリップ部分を付着用ストリップから剥離すると、橋架ストリップ84が形成される。剥離されない部分90は、付着用ストリップに付着したまま残る。保持用ストリップをヒンジ線まですべて剥離した場合、付着部分が剥離停止部88として作用し、剥離を阻止する。このため、分離しない固定端82が残る。所望であれば、拘束具94の中央部には、必要に応じて橋架ストリップと下部の付着用ストリップとの間で接着剤が含まれないようにしてもよい。第3b図、第3c図、第3d図、第3e図及び第3f図は、切断パターン(87b、87c、87d87e又は87f)を若干変更しただけの類似の拘束具を例示する。本発明の剥離停止部をつくるためには各種のパターンが使用できることが考えられる。この切断パターンは、剥離縁部を(例、剥離縁部を狭くすることにより)「妨害」し、剪断付着性を提供する剥離縁部の裏に未剥離領域をつくりだし、よって剥離を阻止しなければならない。とりわけ、第3e図では、剪断パターンがヒンジ線の付近又はこれに並んでおり、該ヒンジ線付近の保持用ストリップの塑性変形がヒンジ線の裏側に未剥離領域をつくりだし、これが剥離を阻止するものと予想される。換言すると、該ヒンジ線は、保持用ストリップの塑性変形によって矩距離を移動する又は「曲がる」ことができ、こうして剥離を阻止する未剥離領域が残る。
第4a図及び第4b図は、それぞれ第1a図及び第1f図の拘束具を製造する現在好ましい2種類の方法を例示する。第4a図は、本明細書に記載したように、最初に組み合わされ、その後個々の拘束具に転換される材料の別々の4本のロール(ジャンボ)を図示するものである。ロール100は、一部巻き戻したライナー材料10の巨大ロールを例示する。このライナー材料10の表面に、好ましくは連続的に、ロール102(接着剤層12と裏材14を含む)からテープのストリップ16を付着する。テープ16の上面に、ロール106(接着剤層18と裏材20を含む)から別のテープ22のロールを付着する。テープ16とテープ22の間に、ロール104から幅の狭いタブ材料11のストリップを挟み込む。テープの(テープ間の、タブ材料に対する、及びライナー材料に対する)付着を助長するため、このラミネートを、例えばローター間でプレスしてもよい。次いで、このラミネートを、好ましくは1個又は複数の回転ダイを用いて切断し、そしてスリットを入れる。橋架ストリップ108をつくるために用いられる第一のパターンは、深さを制御しながらラミネートを切断する(すなわち、ラミネートの上層を切断するが付着用層又はライナー材料は切断しない)。保持用ストリップ及び付着用ストリップを切断する深さで拘束具110をその全幅にわたり切断することにより、個々の拘束具が得られる。所望であれば、ライナー材料についてもこのダイによって切断してもよい(こうして、独立した拘束具112が得られる)。別法として、ライナー材料はそのまま残し、そのライナーから個々の拘束具を剥がし取ってもよい。第4a図に示したように、ラミネートに線114に沿ってスリットを入れ、二つの隣接する拘束具を分離する。第4b図に示したように、テープ16とライナー10の間にストリップ幅の狭い2本の除去用タブ材料15a(ロール105aから)及び15bを挟み込む。とりわけ、除去用タブ材料15bは点線で図示されており、それが出てくるロールは視野から隠れている。
第5図は、複数の管状体及びケーブル用拘束具202が付着している本発明の外科用ドレープ200を例示する。これらの拘束具は、ドレープを介して開口部204の周囲に定置されることが好ましい。
第6図は、本発明の管状体及びケーブル用拘束具のための「T型剥離」剥離力試験モード及び動的剪断力試験モードを例示する。この図面に記載した原理は他の実施態様の橋部形成手段にも当てはまり、限定されるものではないことを理解されたい。T型剥離力を発生(及びT型剥離強度を測定)するため、適当な引張試験機を利用して端部112及び113を矢印A及びA’の方向に引っ張り分離する。これによりテープを剥離し分離する。好ましくは、橋部形成手段125(この実施態様では接着剤層116と裏材114を含む)が接着剤層116と調整領域130の間で分離する。動的剪断力を発生(及び動的剪断強度を測定)するため、適当な引張試験機を利用して端部114及び115を矢印B及びB’の方向に引っ張る。
本発明の理解を助けるために下記実施例を提供するが、これらを本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。特に断らない限り、部及びパーセントはすべて重量基準とする。
実施例
実施例1a
再定着可能な管状体及びケーブル用拘束具
第4a図に図示したようにいくつかの管状体及びケーブル用拘束具を製造した。これらの拘束具は、2種類の層の片面テープ(参照番号16及び22で図示)と、非付着性フィルム状タブ片(参照番号11で図示)と、除去可能なライナー(参照番号10で図示)とを含むものとした。
幅32cmのライナー材料の中央部の上に、第1516番透明ポリエステル片面接着テープ〔3M社(St. Paul MN)より入手できる幅30cmのもの〕を配置した。この第1516番テープの中央部の上に幅の狭いストリップの青色ポリエチレンを配置し、そして第9833番白色ポリエチレン片面接着テープ〔3M社(St. Paul MN)より入手できる幅30cmのもの〕の層と共に適当に保持した。
上記ラミネートを、回転ダイを用いて第3a図に図示したように切断し、橋架ストリップ及び剥離停止部を形成した。この最初のダイ切断は、ラミネートの最上部のテープ層のみを切断した。第二の回転ダイを使用して、ウェブの横方向でラミネートを切断し、個々の拘束具を分離した。さらに、このウェブにスリットを入れて半分にし、二つの対称なより狭いウェブ状の拘束具を製造した。このスリット操作により2層のテープ層、タブフィルム及びライナー材料の全体を切断した。個々の拘束具の大きさは、長さ15.5cm、幅3.81cmであった。該フィンガータブの大きさは、3.81cm×1cmであった。拘束具の一端でライナーを1cm余分に露出させておき、ライナーを付着用テープから剥離しやすいようにした。
使用時には、この管状物及びケーブル用拘束具は皮膚並びに外科用ドレープ及びガウン織物によく付着する。保持用ストリップは下部の付着用ストリップから容易に剥離するが、この剥離は剥離停止部によって拘束具の端部から3cmの所で有効に阻止される。この管状体及びケーブル用拘束具は、意図しない脱離を起こすことなく管状体又はケーブルを表面に有効に固定する。
実施例1b
再定着可能な管状体及びケーブル用拘束具
第4b図に図示したようにいくつかの管状体及びケーブル用拘束具を製造した。これらの拘束具は、2種類の層の片面テープ(参照番号16及び22で図示)と、二つの非付着性フィルム状タブ片(参照番号11及び15で図示)と、除去可能なライナー(参照番号10で図示)とを含むものとした。
幅32cmのライナー材料の中央部の上に、第1516番透明ポリエステル片面接着テープ〔3M社(St. Paul MN)より入手できる幅30cmのもの〕を配置した。このライナー材料の上面と第1516番テープ材料の底面との間に該テープ材料の各縁部に沿って2本の幅の狭いストリップのポリエチレンを挟み込んだ。この第1516番テープの中央部の上に幅の狭いストリップの青色ポリエチレンを配置し、そして第9833番白色ポリエチレン片面接着テープ〔3M社(St. Paul MN)より入手できる幅30cmのもの〕の層と共に適当に保持した。
上記ラミネートを、回転ダイを用いて第3a図に図示したように切断し、橋架ストリップ及び剥離停止部を形成した。この最初のダイ切断は、ラミネートの最上部のテープ層のみを切断した。第二の回転ダイを使用して、ウェブの横方向でラミネートを切断し、個々の拘束具を分離した。さらに、このウェブにスリットを入れて半分にし、二つの対称なより狭いウェブ状の拘束具を製造した。このスリット操作により2層のテープ層、タブフィルム及びライナー材料の全体を切断した。個々の拘束具の大きさは、長さ15.5cm、幅3.81cmであった。フィンガータブ及び除去用タブの大きさは、各々3.81cm×1cmであった。
使用時には、この管状体及びケーブル用拘束具は皮膚並びに外科用ドレープ及びガウン織物によく付着する。保持用ストリップは下部の付着用ストリップから容易に剥離するが、この剥離は剥離停止部によって拘束具の端部から3cmの所で有効に阻止される。この管状体及びケーブル用拘束具は、意図しない脱離を起こすことなく管状体又はケーブルを表面に有効に固定する。この管状体及びケーブル用拘束具は、除去用タブを掴み、拘束具を表面から剥離することにより、拘束具が付着していた表面から容易に除去することができる。除去用タブを有する拘束具は、除去用タブのない拘束具よりも簡単に掴んで表面から剥がし取られる。
実施例2
剥離強度及び動的剪断強度
拘束具の剥離強度及び動的剪断強度を試験するため、以下の操作を行った。2kgのゴム被覆ローラーを使用して、付着用ストリップ〔この場合は、3M社(St. Paul MN)より入手できるストリップ状の第9833番白色ポリエチレン片面接着テープ〕の上面に保持用ストリップ〔この場合は、3M社(St. Paul MN)より入手できるストリップ状の第1516番透明ポリエステル片面接着テープ〕をプレスして閉じさせた。第6図に図示したように、Instron1122引張試験機を用いて「T型剥離」試験法で保持用ストリップの剥離接着力を測定した。引張試験機の変位速度は30.5cm/分とした。力の値は幅3.81cm当たりのグラム数で測定され、これをN/cm幅に変換した。剥離強度の平均値は約0.36N/cm幅であった。
変位速度30.5cm/分で運転するInstron1122引張試験機によって同様に動的剪断力を測定した。保持用ストリップと付着用ストリップとの間の接着剤の接触面積は幅3.81cm×長さ5.08cm(19.35cm2)であった。破壊に至るまで加えた平均剪断力は約57.8Nであった。この値を動的剪断強度に変換すると約2.986N/cm2である。特に、この試験中、保持用ストリップはネックダウンを起こし始め、剥離を起こさせた。この剥離を抑制すれば、剪断強度はさらに高くなるものと予想される。
Instron1122引張試験機によって保持用ストリップの端部を掴み変位速度30.5cm/分で運転することにより、保持用ストリップの引張強度を測定した。とりわけ、最初に、テープの端部を2枚のタビングテープの間に挟み込み、特定のゲージ長のみを残し且つテープのタブの端部をジョー面の外側に残しておくようにした。幅2.54cmの試験でゲージ長15cmの場合に引張強度を算出すると12.25N/cm幅となった。この結果は、本発明の再定着可能な管状体及びケーブル用拘束具が、容易に剥離して開放されると同時に、異例の動的剪断強度及び引張強度を有することを例示している。
本発明の精神及び範囲から逸脱することのない各種の変形や置換が当業者には明白である。本明細書中に記載した例示の実施態様に本発明は限定されないことを理解すべきである。

Claims (2)

  1. 管状体用拘束具であって、
    表面への接着に適した接着剤のコーティングを下側に有する柔軟性材料の付着用ストリップ;
    前記付着用ストリップの上に存在する、固定端、再定置可能端及び前記固定端と前記再定置可能端との間の橋架ストリップを有する柔軟性材料の保持用ストリップであって、その上面が前記固定端において剥離を阻止するように切断されている保持用ストリップ;
    前記拘束具の少なくとも各端部において前記保持用ストリップの底面と前記付着用ストリップの上面との間に存在する接着剤層;並びに
    前記橋架ストリップの下部の付着用ストリップからの容易な分離及び再付着を促進するための手段
    を含んで成り、
    前記保持用ストリップが、該保持用ストリップを剥離解放した際に、前記固定端において該保持用ストリップの阻止により形成されたヒンジ線の当該剥離領域とは反対側に前記保持用ストリップの未剥離領域を含む一体式の剥離停止部を提供するように、ダイ切断されている、管状体用拘束具。
  2. 表面への接着に適した複数の管状体用拘束具の製造方法であって、
    ライナー材料の上に、表面への接着に適した接着剤のコーティングを下側に有する付着用ストリップと、接着剤層と、柔軟性材料の保持用ストリップとを積層する工程;
    前記柔軟性材料の保持用ストリップをダイ切断して内部に一体式の剥離停止部を形成する工程;
    前記積層体を少なくともライナー材料の深さにまでダイ切断し、該積層体を個々の拘束具へと分離する工程
    を含んで成る製造方法。
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