JP3771125B2 - マグネットポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウジング内に装着されたインペラと、該インペラのマグネット部が収納される隔壁体との間に異物が入り込むことを防止したり、たとえ異物の侵入があったとしても、インペラの回動にほとんど影響を与えることがないマグネットポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
インペラの羽根部とインナーマグネット部とを一体に設けて、前記羽根部をポンプ室に配置し、インナーマグネット部をポンプ室から連なる隔壁体によって形成されたマグネットポンプ室にインナーマグネットを配置して設けたマグネットポンプにおいて、ポンプ室側のインペラと隔壁体との隙間よりインナーマグネットカップリング室側のインペラのインナーマグネットと隔壁体との隙間が、大きくなっているものが、特開平3−70897号(第9図)に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特開平3−70897号の第9図に開示されているポンプ室側のインペラと隔壁体との隙間は、流体内の異物がポンプ室からマグネットカップリング室へ侵入しずらくなっているが、インペラの羽根部の背面と隔壁体との長い距離の間に設けられた隙間であるため、インペラの羽根部の周方向に流体が放出される際に、流体内の異物がそのインペラの羽根部の背面と隔壁体との隙間に侵入した場合、インペラの背面にあるので侵入異物を排出することが難しい。
【0004】
また、インペラの背面に沿って隔壁体との長い隙間が形成されているので、侵入した異物はポンプ室へ排出されずらくなるだけでなく、その隙間より大きい隙間が設けられているインペラのインナーマグネットと隔壁体とのマグネットカップリング室側への移動も難しくするので、インペラを良好に回転させることが難しくなる。本発明の目的は、インペラと隔壁体側に形成されたインペラの収納部との間に大きな異物が侵入して、インペラの回動に悪影響を及ぼすことを防止することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、本発明を、ハウジング本体と、円筒形状のインナーマグネット部の軸方向先端面に羽根部が形成され、且つ前記ハウジング本体に回動自在に装着されるインペラと、前記インナーマグネット部が遊挿される収納部が形成され、前記ハウジング本体に水密状に接合される隔壁体とからなり、前記インナーマグネット部のマグネット収納部の外周縁から外方に突出するように形成された前記羽根部形成側の鍔状の外周端縁及び軸方向における該外周端縁寄りの羽根部と、前記隔壁体の収納部の開口内周面との間に設定される隙間は、前記マグネット収納部の外周側面部と前記隔壁体の収納部の前記開口内周面より内径が狭くなる絞り周側面を介して形成された収納内周側面との隙間より狭くしてなるマグネットポンプとしたことにより、隔壁体の収納部と該収納部に収納されたインペラのインナーマグネット部との間への異物の侵入を防止し、たとえ侵入する異物があってもインペラの回動に影響を及ぼすことがないようにして、上記課題を解決したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、ポンプハウジングは、ハウジング本体Aと、隔壁体Cとから構成され、前記ポンプハウジング内にインペラBが回動自在に収納される。前記ハウジング本体Aには、略円形状のポンプ室1が形成されており、該ポンプ室1は、略円周状の内周側面1aと略円形状の側面部1bとから形成され、前記ポンプ室1の中心位置には、インペラ軸2が装着されており、後述するインペラBを回動自在に支持する。また、前記ポンプ室1には、吸入口3及び吐出口4が形成されている。
【0007】
次に、インペラBは、複数の羽根板片から構成された羽根部5と、インナーマグネット部6とから構成されている。該インナーマグネット部6は、マグネット収納部6aとインナーマグネット6bとから構成されている。前記マグネット収納部6aは、円筒形状をなしており、該マグネット収納部6aの内部にインナーマグネット6bが装着されている。実際には、インナーマグネット6bが合成樹脂による鋳込み状態でマグネット収納部6aに収納される。
【0008】
また、インナーマグネット部6の径方向の中心位置で且つ軸方向に沿って軸受部7が装着されており、該軸受部7には、前記インペラ軸2が挿通する構造となっている。前記インナーマグネット部6の軸方向における羽根部5の形成側には、その外周縁から外方に突出するようにして円周状の鍔状の外周端縁6a1 が形成されている〔図2(A),(B)等参照〕。
【0009】
次に、隔壁体Cは、前記ハウジング本体Aのポンプ室1に対向して装着され、該ポンプ室1と共にインペラBを収納する部品である。前記隔壁体Cは、その外形が略ハット形状をなしており、前記ポンプ室1を被覆するカバー部8と、インペラBのインナーマグネット部6を収納する円筒形状の収納部9とから形成されている〔図1(A),(B)又は2(A),(B)等参照〕。
【0010】
該収納部9は、その内面側の収納空隙部9sにおける開口箇所に、開口内周面9aが形成され、該開口内周面9aから収納底面9dに向かって次第に内径が狭くなる絞り内周面9bが形成されている。該絞り内周面9bは、その軸方向における断面形状が円弧状(図3,図4参照)或いは直線状(図3,図4の点線部参照)に形成されている。また、絞り内周面9bから収納底面9dの間は収納内周壁面9cとなっている。該収納底面9dの中心には、軸受穴9eが形成され、該軸受穴9eに前記インペラ軸2が挿入するようになっている〔図1(B)又は図2(A),(B)等参照〕。
【0011】
前記カバー部8には、真円筒形状の連結部8aが形成され、該連結部8aには、O(オー)リング等の密閉材10が嵌まり込むことができる溝条8bが形成されている。そして、前記ハウジング本体Aのポンプ室1には前記インペラBが装着され、隔壁体Cの連結部8aが前記ポンプ室1の内周側面1aに挿入され、前記ハウジング本体Aと隔壁体Cとが水密状に接合されてポンプハウジングが構成される〔図1(A)又は図2等参照〕。
【0012】
そのポンプハウジングに装着されたインペラBは、前記ポンプ室1に形成されたインペラ軸2に軸受部7を介して回動自在に装着されている。そして、前記インペラBのインナーマグネット部6が前記隔壁体Cの収納部9の収納空隙部9s内に収納されている〔図1(A),(B)参照〕。そして、ポンプハウジング内において前記インペラBのインナーマグネット部6が前記隔壁体Cの収納部9の外部に設けられた図示されないアウターマグネットの回転に伴って回転し、これによってインペラBが回転するものである。
【0013】
前述したように、前記インペラBには、マグネット収納部6aの羽根部5形成側に鍔状の外周端縁6a1 が形成されており、前記羽根部5及び外周端縁6a1 と、前記隔壁体Cの収納部9の開口箇所における内周面との間には隙間t1 が設定される〔図1(B),図4等参照〕。前記収納部9の開口内周面9aは、軸方向に平行となる面を有する内周側面として形成されたものである。
【0014】
また、前記マグネット収納部6aの外周側面部6a2 と前記収納部9の収納内周側面9cとの間には隙間t2 が存在する〔図1(B),図4等参照〕。そして図4に示すように、前記隙間t1 は、隙間t2 よりも小さい寸法となっており、即ち、隙間t1 <隙間t2 なる関係となっている。このように、前記隙間t1 と隙間t2 とを設定することにより、ポンプ室を流れる流体内の異物がインペラBからマグネットカップリング室(収納部9)へ侵入しようとする際に、前記インペラBの羽根部5及び外周端縁6a1 と,隔壁体Cの開口内周面9aとの間の隙間t1 は、極めて小さくすることで、該隙間t1 からインペラ放射方向にかかる圧力によって異物は侵入することができないように排除される。
【0015】
また、万一,異物が隙間t1 より侵入した場合でも、図4に示すように、該隙間t1 の大きさよりも大きい隙間t2 が設定されているので、前記隙間t1 より小さい異物が侵入してもインペラBのインナーマグネット部6と隔壁体Cの収納内周側面9cとの間における干渉が防止され、インペラBを良好に回転させることができる。
【0017】
請求項1の発明は、ハウジング本体Aと、円筒形状のインナーマグネット部6の軸方向先端面に羽根部5が形成され、且つ前記ハウジング本体Aに回動自在に装着されるインペラBと、前記インナーマグネット部6が遊挿される収納部9が形成され、前記ハウジング本体Aに水密状に接合される隔壁体Cとからなり、前記インナーマグネット部6のマグネット収納部6aの外周縁から外方に突出するように形成された前記羽根部形成側の鍔状の外周端縁6a1及び軸方向における該外周端縁寄りの羽根部5と、前記隔壁体Cの収納部9の開口内周面9aとの間に設定される隙間t1は、前記マグネット収納部6aの外周側面部6a2と前記隔壁体Cの収納部9の前記開口内周面9aより内径が狭くなる絞り周側面9bを介して形成された収納内周側面9cとの隙間t2より狭くしてなるマグネットポンプとしたことにより、ポンプハウジング内に装着されたインペラBと、該インペラBのインナーマグネット部6が収納される隔壁体Cとの間に異物が侵入することを防止し、たとえ異物の侵入があったとしても、インペラBの回動にほとんど影響を与えることがないようにすることができる等の効果を奏する。
【0018】
上記効果を詳述すると、前記インナーマグネット部6のマグネット収納部6aの羽根部5の形成側の外周端縁6a1 と,前記収納部9の開口箇所との間隔を隙間t1 とし、外周側面部6a2 と,前記収納部9の前記開口内周面9aより内径が狭くなる絞り周側面9bを介して形成された収納内周側面9cとの間隔を隙間t2 とし、前記隙間t1 が前記隙間t2 よりも小さくなるように設定しているので、ハウジング内に装着されたインペラBと、該インペラBのインナーマグネット部6が収納される隔壁体Cとの間に異物が入り込むことを防止したり、その異物をインペラの放射方向に掛かるポンプ圧力によって積極的に排除することができる。
【0019】
また、万一、隙間t1 より異物が侵入しても、隙間t1 より大きい隙間t2 がインペラBのインナーマグネット部6と隔壁体Cの収納内周側面9cとの間に設けられているため、隙間t2 より極めて小さい異物が侵入することになるので、隙間t2 においてインペラBのインナーマグネット部6と隔壁体Cの収納内周側面9cとの間に干渉がなく、インペラを良好に回転させることができる。
【0020】
次に、請求項2の発明は、請求項1において、前記外周端縁6a1 は、前記マグネット収納部6aの外周に鍔状に突出形成されてなるマグネットポンプとしたことにより、前記隔壁体Cの収納部9を複雑な形状とすることなく、成形性の良い形状とすることができるので、前記鍔状の外周端縁6a1 と収納部9との開口内周面9aにおける隙間t1 の寸法を小さく設定し、また隙間t2 を隙間t1 に比較して大きく設定する等のことが比較的簡単に行うことができる。
【0021】
次に、請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記収納部9の開口箇所には、軸方向に平行となる開口内周面9aが形成されてなるマグネットポンプとしたことにより、収納部9の開口内周面9aは、一定の間隔で、深さ方向に平行に連続する面が形成され、該開口内周面9aと,前記インナーマグネット部6の羽根部5の形成側の外周部分との間における隙間t1 が軸方向に沿って一定の範囲で連続することになり、より一層、異物の侵入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本発明が設けられたマグネットポンプの一部断面とした側面図
(B)はインペラが隔壁体の収納部に収納された状態の縦断側面図
【図2】 (A)はハウジング本体とインペラと一部切除した隔壁体の分解した斜視図
(B)はハウジング本体と隔壁体との分解した縦断側面図
【図3】 インペラと隔壁体の要部拡大断面図
【図4】 外周端縁と開口内周面との隙間が外周側面部と収納内周面との隙間よりも小さいことを示す拡大断面図
Claims (3)
- ハウジング本体と、円筒形状のインナーマグネット部の軸方向先端面に羽根部が形成され、且つ前記ハウジング本体に回動自在に装着されるインペラと、前記インナーマグネット部が遊挿される収納部が形成され、前記ハウジング本体に水密状に接合される隔壁体とからなり、前記インナーマグネット部のマグネット収納部の外周縁から外方に突出するように形成された前記羽根部形成側の鍔状の外周端縁及び軸方向における該外周端縁寄りの羽根部と、前記隔壁体の収納部の開口内周面との間に設定される隙間は、前記マグネット収納部の外周側面部と前記隔壁体の収納部の前記開口内周面より内径が狭くなる絞り周側面を介して形成された収納内周側面との隙間より狭くしてなることを特徴とするマグネットポンプ。
- 請求項1において、前記外周端縁は、前記マグネット収納部の外周に鍔状に突出形成されてなることを特徴とするマグネットポンプ。
- 請求項1又は2において、前記収納部の開口箇所には、軸方向に平行となる開口内周面が形成されてなることを特徴とするマグネットポンプ。
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