JP3770475B2 - 浮上濃縮装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、常圧浮上装置、加圧浮上装置あるいは沈殿槽などの水面上に浮上したスカムを掻き取る浮上濃縮装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スカム除去装置を設けた浮上濃縮槽はよく知られている。そして、浮上分離槽のスカム除去装置として、円形沈殿池の中心部に吐出ノズルを設け、排水を液深の半分の高さから水平方向に噴射させ、頂部を水面上に浮上させた浮沈式のスカム阻止板と、回転自在なスカム掻寄板を設け、円形沈殿池の内周壁に配設したスカムボックスにスカムを掻き寄せるスカム除去装置は、例えば、特開平8−309107号公報に記載してあるように公知である。また、浮上分離槽の底部に汚泥の導入口を設け、垂直回転軸にスカムを切断するスクレパーと、スクレパーの外周端に沿って周回するチエーンに掻寄板を配設し、切断されたスカムを中央部のホッパーに移動させる掻寄機は、例えば、特開平9−285784号公報に記載してあるように公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
スカムの掻き寄せ装置としての従来の課題は、
1.スカム上端から均等に掻き取ること。
2.掻き取り動作によってスカム層を乱さないこと。
3.掻き残しゾーンがないか、もしくはあっても汚泥が入れ替わること。
4.繊維状物が引っ掛らない構造など、維持管理が容易であること。
5.常圧浮上の場合、水面積負荷は加圧浮上の5〜10倍となり、スカムの掻取りは連続作動とすること。
などの課題があり、処理能力、材質などの一般事項に加え、特に上記の配慮が必要となる。
【0004】
そして、浮沈式のスカム阻止板とスカム掻寄板を設けた装置にあっては、周回するスカム掻寄板で掻き集めたスカムがスカム阻止板に塞き止められてスカムボックスに回収できるものであるが、浮上するスカムが中心部近傍を浮上し、圧密状に濃縮されていないスカムが回収される恐れがあった。常圧浮上のように脱気されにくい頑丈な浮上汚泥に対してはスカム阻止板でスカム層が乱され、スカム掻寄板を通り抜けて浮遊する恐れがあった。また、スカムを切断するスクレパーと、周回する掻寄板を設けた浮上分離槽にあっては、水面積負荷の大きい常圧浮上装置に適するものであるが、自転と公転を行うスクレパーと掻寄板の構造が複雑となり、繊維物が引っ掛りやすく、メンテナンスが困難であった。そして、濃縮槽の中央部での回転駆動源としての電動機への摺動給電が必要となりその構造も更に複雑となる。この発明は、上記の課題を解決するために、掻取り動作に起因する衝撃の緩和と、掻取り時の汚泥の逃げを妨止してスカム上層部から掻き取れる浮上濃縮装置を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨は、円筒状の濃縮槽の底部から凝集剤を添加した原液を供給して、凝集したフロックを浮上させ、浮上濃縮したスカムを掻取機で掻き取る濃縮装置において、上記濃縮槽の中央部に垂下させた回転駆動軸に概略垂直状にスカム回転羽根を止着して浮上濃縮したスカムに埋没させると共に、濃縮槽の槽底近傍に、原液供給管の排出口を上方に向って開口したもので、固定した汚泥供給であっても、回転移動してくるスカム層の下部全面に汚泥が供給され、均一なスカム層が形成される。そして、回転移動してくるスカム層を掻取機で掻き取ることができる。
【0006】
スカム回転羽根の上部の回転駆動軸に、スカム層を上下方向に分割するスカム分割板を止着し、このスカム分割板に多数の通孔を設けて、掻取機の下方近傍をスカム回転羽根とともに通過させるもので、浮上汚泥がスカム分割板に押し付けられてスカムの圧密力が増加して濃縮性能が向上し、スカム分割板の上段に押し上げられるので、密度の高いスカム層が形成される。スカム分割板に載置した回動移動してくるスカム層の上部全面を掻取り機で均等に掻き取ることができる。そして、掻取り動作によるスカム層を掻き乱すことがなく、掻き残すこともない。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明に係る装置は上記のように構成してあり、気泡剤と凝集剤を原液中に添加し、あるいは、凝集剤を添加した原液中に加圧空気を圧入して濃縮槽にその原液を供給すると、フロックはスカム分割板の下面に浮力により上昇する。スカム層は回転駆動軸を中心として回転するスカム回転羽根で濃縮槽を供回りし、固定した供給管から回転移動してくるスカム層の下部全面に均等に汚泥が供給される。スカム層は分割板の水平状の下面隔壁に押し付けられて圧密力が増加され、濃縮性能が向上して均質なスカム層を形成する。スカム分割板の多数の開口から押し上げられて濃縮汚泥が上段層に流動移動したスカムをスカム分割板とともに水面で回転させ、回転移動してくるスカムを濃縮槽に固定した掻取機でスカム層の上部全面を掻き取る。スカムをスカム分割板に載置してスカムの上段層を掻取機で掻き取るので、掻き取り動作に起因する衝撃などが濃縮ゾーンに転播するのを緩和すると同時に、汚泥の逃げも防止できて掻き残すことなく掻取り機に排出される。
【0008】
【実施例】
この発明に係る浮上濃縮装置について、図面に基づき詳述すると、先ず図1は浮上濃縮装置の縦断面図であって、円筒状の濃縮槽1の下部側壁に内挿した原液供給管2の排出口3を上方に向けて開口してあり、気泡剤の添加により生成した気泡と原液中の汚泥を凝集剤の添加により吸着させて、原液供給管2の排出口3から濃縮槽1に供給し、汚泥を浮力により浮上濃縮させ、一部の比重の重い汚泥を沈殿させる。円筒状の濃縮槽1の上端に掛渡した架台4に減速機付電動機5が載置してあり、減速機付電動機5に連結した回転駆動軸6が濃縮槽1の中央部に垂下させてある。回転駆動軸6にその軸線に沿って、1枚または2枚のスカム回転羽根7が概略垂直状に止着して、浮上濃縮したスカム層8に埋没させてある。固定した原液供給管2から供給した浮上汚泥は、スカム層8をスカム回転羽根7で循環させて、回転移動してくるスカム層の下部全面に均等に供給する。なお、上記のように、濃縮槽1に供給する原液は常圧浮上としてもよいが、気泡剤の添加をせずに溶解空気を原液中に供給して、析出した気泡を固体粒子に付着させる加圧浮上としてもよいものである。
【0009】
図1に示すように、濃縮槽1のスカム層8の全体を上下に分割する円板状のスカム分割板9がスカム回転羽根7の上端に配設してあり、このスカム分割板9の中心部が回転駆動軸6に止着してある。浮上濃縮されたスカム層8を下層の浮上濃縮ゾーン8aと上層のスカム掻取りゾーン8bに分割してスカム回転羽根7と一緒に回転させるようにしてある。スカム回転羽根7によるスカムの供回りとスカム分割板9に押し付けられることにより、圧密力が増加して濃縮性能が高まる。図2はスカム分割板の平面図であって、スカム分割板9に多数の通孔9a…が設けてあり、スカム分割板9に押し付けられた浮上濃縮ゾーンの汚泥(スカム)が、通孔9aからスカム分割板9の上段に押し上げられてスカム掻取りゾーン8bを形成する。
【0010】
図1に示すように、濃縮槽1の架台4に一端が吊設されて他端が濃縮槽1の槽壁に支架された濃縮汚泥の掻取機10が、スカム分割板9の近傍に配設してある。図3は掻取機の縦断側面図であって、掻取機10はスカム排出管11に移送スクリュー12が内接してあり、スカム排出管11の側面にスカム分割板9の回転方向に向って水平状に掻取流入口11aが開口してある。この掻取流入口11aにスカム掻取板13の基端部が連結してあり、スカム掻取板13の先端がスカム分割板9の表面に摺設してある。スカム分割板9は回転駆動軸6を中心として回転して、スカム掻取ゾーン8bの浮上スカムを水面で回転させる。掻取機10の下方近傍を回動移動してくるスカムを固定した掻取機10でスカム層8の上段を掻き取り、掻き取ったスカムは移送スクリュー12で濃縮槽1の外部に送り出し、スカム排出口14から排出する。
【0011】
掻取機10は、スカム分割板9の上部のスカム全面を均等に掻取り、掻取り動作によるスカム層8を掻き乱すことがなく、掻き残すこともない。掻き取られたスカム分割板9の上段には、浮上濃縮ゾーン8aのスカムが通孔9aから押し上げられて再びスカム掻取ゾーン8bを形成し、掻取機10で連続的にスカムの掻取りを行う。垂直回転軸6の下端に沈降汚泥の掻寄機15が連結してあり、濃縮槽1の槽底に沈殿した汚泥を排泥ピット16に掻き寄せて排泥管17から排出する。濃縮槽1の下部側壁に分離水の排水管18が連結してあり、掻寄機15の上方近傍から固液分離を行った分離水を抜出す。排水管18は水位調節機19に接続してあり、濃縮槽1の液面を調節する。尚、符号20は移送スクリュー12の駆動機である。
【0012】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係る浮上濃縮装置は、均一なスカム層が形成され、スカム層を乱すことなく、圧密状に濃縮されたスカム上層部からスカムを掻き取ることができる。即ち、従来装置の固定式の原液供給管から汚泥を供給し、スカム掻寄板でスカムを回収する装置にあっては、浮上するスカムが中心部近傍を浮上し、圧密状に濃縮されていないスカムが回収され、スカムがスカム掻寄板を通り抜けて浮遊する恐れがあった。また、スカムを切断するスクレパーと、周回する掻寄板を設けた浮上分離槽にあっては、スカム回収装置の構造が複雑となり、メンテナンスが困難であったものであるが、この発明にあっては濃縮槽の中央部に垂下させた回転駆動軸にスカム回転羽根を止着して浮上濃縮したスカムに埋没させ、スカム層を供回りさせるもので、固定した原液供給管であっても、回転移動してくるスカム層の下部全面に汚泥が供給され、均一なスカム層が形成される。
【0013】
スカム回転羽根の上部の回転駆動軸に、スカム層を上下方向に分割するスカム分割板を止着し、このスカム分割板に多数の通孔を設けて、掻取機の下方近傍を通過させるもので、スカム分割板に押し付けられた浮上汚泥が、スカム分割板の上段に押し上げられるので、スカムの圧密力が増加して濃縮性能が向上し、密度の高いスカム層が形成されて、回動移動してくるスカム層の上部全面を掻取り機で均等に掻き取ることができる。そして、掻取り動作によるスカム層を掻き乱すことがなく、掻き残すこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る浮上濃縮装置の縦断面図である。
【図2】 図1の濃縮槽をA−A線に沿って切断したスカム分割板の平面図である。
【図3】 図1の濃縮槽をB−B線に沿って切断した掻取機の縦断側面図である。
【符号の説明】
1 濃縮槽
2 原液供給管
3 排出口
6 回転駆動軸
7 スカム回転羽根
9 スカム分割板
9a 通孔
10 掻取機
Claims (1)
- 円筒状の濃縮槽(1)の底部から凝集剤を添加した原液を供給して、凝集したフロックを浮上させ、浮上濃縮したスカムを掻取機(10)で掻き取る濃縮装置において、上記濃縮槽(1)の中央部に垂下させた回転駆動軸(6)に概略垂直状にスカム回転羽根(7)を止着して浮上濃縮したスカム層に埋没させ、前記スカム回転羽根(7)の上部の回転駆動軸(6)に、スカム層を上下方向に分割するスカム分割板(9)を止着し、このスカム分割板(9)に多数の通孔(9a…)を設けて、掻取機の下方近傍を通過させると共に、濃縮槽(1)の槽底近傍に、原液供給管(2)の排出口(3)を上方に向って開口したことを特徴とする浮上濃縮装置。
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