JP3769962B2 - 切粉試料の採取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば金属材料の化学分析等に供する切粉試料を塊状の試料素材から採取するのに用いられる切粉試料の採取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、金属材料の分野においては、その成分分析を、機器分析及び化学分析によって行われている。このうち、化学分析は、既知量の切粉試料を反応させ、化学理論に基づいて成分量を決定する方法が採られる。そこで、このような化学分析に供する切削試料は、塊状の所望の試料素材を、例えばドリルやエンドミルを用いて切削することにより製造される。
【0003】
ところで、上記切粉試料を自動的に採取する装置としては、例えば特開平4―181144号公報に開示される化学分析試料加工装置が知られている。即ち、この化学分析試料加工装置は、図7に示すように試料移送装置1に移動台2が矢印A,B方向に移動自在に設けられ、この移動台2には、バイス3及びエアシリンダ4が搭載される。そして、この試料移送装置1には、移動台2の移動方向(矢印A,B方向)に順に配置された切断砥石5、研磨ベルト6及びエンドミル7が対向配置される。
【0004】
上記構成において、切粉試料を採取する場合には、先ず試料素材8をバイス3に対して緩めた状態で装着して、エアシリンダ4を操作し、試料素材8のバイス3に対する出入りを調整して切断位置を設定し、その後、バイス3を締結して位置決めする。そして、移動台2を矢印A方向に移動させ、試料素材8を切断砥石5に対向させて、該切断砥石5で先端の不要部を切断する。次に、移動台2を矢印B方向に移動させてエンドミル7に対向させ、該エンドミル7で試料素材8を切削する。この際、図示しないコンベアが駆動されて、切粉を採取して切粉受ホッパに移送し、切粉試料が採取される。
【0005】
その後、移動台2が矢印A方向に研磨ベルト6まで移動され、該研磨ベルト6で切削面が研磨されて切粉試料採取動作が完了される。
【0006】
しかしながら、上記化学分析試料加工装置では、その構成上、試料素材8として、棒状のものを用いて、その試料素材の位置決めしながらバイス3に取付けなければならないために、その取扱い作業が非常に面倒であるという問題を有する。
【0007】
また、移動台2を切断砥石5、エンドミル7及び研磨ベルト6に対向するように直線的に移動操作して、これら切断砥石5、エンドミル7及び研磨ベルト6を順に駆動して、切粉試料を採取しなければならないために、その採取作業に時間がかかるという問題を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の化学分析試料加工装置では、その取扱い作業が面倒であると共に、その採取作業に時間がかかるという問題を有する。
【0009】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、迅速な切粉試料の採取を実現し得、且つ、簡便にして、容易な取扱い作業を実現し得るようにした切粉試料の採取装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、切粉素材が収容されるものであって、一端に窓部及び該窓部を挟んで一対の素材位置決め部が設けられ、他端に出入り口が設けられた複数の試料ホルダと、この複数の試料ホルダが素材位置決め部を外周方向に向けて所定の間隔を有して放射状に設置される回転自在に設けられた環状の回転テーブルと、この回転テーブルの内周部側に配置され、前記試料ホルダの出入り口から出入りして前記試料素材を前記素材位置決め部に押圧して位置決めする素材押圧手段と、前記回転テーブルの外周部側に配置され、切削部が前記試料ホルダの窓部から出入りして、前記素材押圧手段を介して前記試料ホルダ内の素材保持部に位置決めされた切粉試料を切削する切削機構と、この切削機構で試料ホルダ内の試料素材を切削した状態において、前記切削機構を含む前記回転テーブルの切削部位に空気を吹き付けて清掃する清掃手段と、前記切削機構で試料ホルダの試料素材を切削して切粉試料を選択的に採取する切粉採取手段と、前記素材押圧手段を駆動制して前記試料ホルダの試料素材を素材位置決め部に位置決めした状態で、前記切削機構を駆動して試料素材を切削した後、前記清掃手段を駆動して清掃を実行し、その後、前記切削機構を駆動して試料素材を切削すると共に、前記切削採取手段を駆動して切粉試料を採取する制御手段とを備えて切粉試料の採取装置を構成した。
【0011】
上記構成によれば、回転テーブルに放射状に設置された複数の試料ホルダは、回転テーブルが回転駆動されて、その窓部が切削機構に対向され、その状態で素材押圧手段が駆動されると、該素材押圧手段が素材ホルダの試料素材を素材位置決め部に押圧して位置決めする。ここで、切削機構は、その駆動に連動して、試料ホルダの窓部を通して試料素材に当接して不要部を切削し、その後、一旦、停止されて、清掃手段が駆動され、その切削機構及び試料ホルダの周囲部が清掃され、清掃後、再び、切削機構が駆動されて試料素材が切削される。この際、切粉採取手段が駆動されて、切削機構で切削した試料素材の切粉が採取される。
【0012】
従って、試料素材を試料ホルダに収容するだけの簡単な作業で、純正度の高い試料素材の切粉試料の取得が可能となるうえ、切粉採取位置において、試料素材の不要部の除去から切粉採取まで実現されることにより、迅速な切粉採取が可能となる。また、試料素材の形状としては、試料ホルダーの素材位置決め部に素材押圧手段で押圧可能な形状を有すればよいことで、その試料素材の管理の簡略化も図れる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、この発明の一実施の形態に係る切粉試料の採取装置を示すもので、取付台10上には、環状の回転テーブル11が回転自在に設置される。この回転テーブル11には、複数の試料ホルダ12が所定の間隔を有して放射状に設置され、例えば取付台10に併設された制御器9を介して図2中時計方向に選択的に回転駆動される。
【0015】
試料ホルダ12は、図3に示すようの一端に窓部121及び該窓部を挟んで一対の柱状の素材位置決め部122,122が設けられ、他端に出入り口123が設けられる。そして、この試料ホルダ12には、その底面部に切粉落下用の透孔124が設けられ、その内部には、金属材料製の試料素材13が収容される(図4参照)。
【0016】
上記取付台10には、切粉採取位置に対応して切削機構を構成するボール盤14が上記試料ホルダ12の窓部121に対応して設置され、このボール盤14に対向する回転テーブル11内には、素材押圧手段を構成する位置決め用のロッドシリンダ機構15が上記試料ホルダ12の出入り口123に対応して設けられる。このうちロッドシリンダ機構15は、そのロッド部151が出入り自在に設けられ、試料ホルダ12が回転テーブル11を介して切粉採取位置に移送されると、伸長されて試料ホルダ12の出入り口123から内部に侵入して試料素材13を一対の素材位置決め部122,122に押圧して位置決めし(図4参照)、その伸縮により試料ホルダ12から離脱される。他方、ボール盤14は、そのドリル141が試料ホルダ12の窓部121を通ってロッドシリンダ機構15を介して試料ホルダ12内に位置決めされた試料素材13を切削する。
【0017】
また、上記取付台10には、切粉採取手段を構成するケース移送機構16及び昇降機構17が配設される。このケース移送機構16及び昇降機構17は、着脱自在な蓋体181が取着された採取ケース18を上記切粉採取位置における試料ホルダ12の下に選択的に移送する。そして、このケース移送機構16及び昇降機構17に対応して、上記取付台10には、蓋体着脱機構19が設けられる。この蓋体着脱機構19は、その蓋吸着部191が移動自在に設けられ、この蓋吸着部191で上記ケース移送機構16及び昇降機構17で切粉採取位置に移送された採取ケース18の蓋体181を着脱して、上記ボール盤14のドリル141で切削した試料ホルダ12内の試料素材13の切粉の採取を実現する。
【0018】
さらに、上記取付台10には、清掃手段を構成する清掃ノズル機構20が上記切粉採取位置に対応して配設されると共に、上記切粉採取位置における採取ケース18の下に廃棄ダクト21の取入れ口が配設される。この清掃ノズル機構20は、空気を選択的に上記ボール盤14の切削部及び回転テーブル11の切削部位に吹き付けて清掃する。この際、切粉は、廃棄ダクト21の取入れ口に吸い込まれて上記取付台10に取出し自在に配設された回収パレット22に廃棄される。
【0019】
また、上記取付台10には、残素材廃棄機構23及び素材投入器24が上記回転テーブル11の切粉採取位置の下流側に配設される(図2参照)。このうち残素材廃棄機構23は、回転テーブル11上の試料ホルダ12が所望の位置に移送されると、試料ホルダ12の他端部を持ち上げる如く上昇させて、その内部に存在する残素材を窓部から上記取付台10に配設された廃棄ダクト21の取入れ口に投入する。この投入された残素材は、廃棄ダクト21を通って上記回収パレット22に廃棄される。
【0020】
他方、上記素材投入器24は、上記残素材廃棄機構23を介して残素材が廃棄された試料ホルダ12に挿入する新たな試料素材13が収容される。例えば素材投入器24には、約200個程度の試料素材13が貯えられて、空の試料ホルダ12が所望の位置に到達した状態で、試料素材13を試料ホルダ12内に投入する。
【0021】
なお、上記ボール盤14、ロッドシリンダ機構15、ケース移送機構16、昇降機構17、蓋体着脱機構19、清掃ノズル機構20、残素材廃棄機構23及び素材投入器24は、上記制御器9を介して選択的に駆動制御させて、所望の作業を実行する。
【0022】
上記構成において、金属材料の切粉試料を採取する場合には、先ず、試料ホルダ12に収容可能な塊状の試料素材13を形成して、上記素材投入器24に収容し、この状態で、制御器9を介して素材投入器24を駆動して試料素材13を試料ホルダ12に収容する。そして、回転テーブル11が回転駆動されて、その試料ホルダ12が切粉採取位置に移送される。ここで、制御器9は、ロッドシリンダ機構15を駆動制御して、そのロッド部151を伸長させ、その先端部を試料ホルダ12の出入り口123から内部に侵入させて試料素材13を素材位置決め部122,122に押圧させ、試料素材13を位置決めする。
【0023】
次に、制御部9は、ボール盤14を駆動させて、そのドリル141で試料ホルダ12の窓部121からその試料素材13を切削し、該試料素材13の外周部を除去する(図5参照)。その後、制御器9は、清掃ノズル機構20を駆動されてボール盤14のドリル141及び試料ホルダ12の部位、ケース移送機構16及び昇降機構17を介して切粉採取位置に移送された採取ケース18の周囲に空気を吹き付けて清掃する(図6参照)。この切粉は、廃棄ダクト21の取入れ口に吸い込まれて回収パレット22に導かれる。
【0024】
ここで、制御器9は、蓋体着脱機構19を駆動制御して、採取ケース18の蓋体181を開いた後、再び、ボール盤14が駆動され、そのドリル141で試料ホルダ12の窓部121から試料素材13を切削する。この切粉は、採取ケース18内に収容され、ここに、上記蓋体着脱機構19が反転駆動されて蓋体181を採取ケース18に装着され、その後、ケース移送機構16及び昇降機構17が駆動されて採取ケース18が搬出される。
【0025】
その後、制御器9は、回転テーブル11を時計方向に回転駆動させて採取を完了して試料ホルダ12を残素材廃棄機構23に対応する位置に移動させて、該残素材廃棄機構23を駆動して、試料ホルダ12内の残試料を廃棄ダクト21の取入れ口に投入し、廃棄ダクト21を通して回収パレット22に廃棄させて採取動作が完了される。この際、試料ホルダ12は、その内部に残留する切粉が底面の透孔124により、廃棄ダクト21の取入れ口に落下される。
【0026】
そして、空となった試料ホルダ12は、回転テーブル11が回転駆動されて素材投入器24まで移動されて、該素材投入器24の試料素材13が投入される。この際、試料素材13としては、既に切粉の採取が完了した材料と異なった材料を投入しても、試料ホルダ12内に前回の採取時の切粉が上述したように透孔124を通って確実に排出されていることにより、新たな材料の切粉を採取することができる。
【0027】
なお、上記試料ホルダ12に試料素材13を収容してロッドシリンダ機構15を介して採取に要する時間としては、40秒〜50秒程度で採取することができることが確認されている。
【0028】
このように、上記切粉試料の採取装置は、一端に窓部121及び該窓部121を挟んで一対の素材位置決め部122,122が設けられ、他端に出入り口123が設けられた複数の試料ホルダ12を回転テーブル11に放射状に設置して、回転テーブル11を回転駆動して切粉採取位置に移送して、その試料ホルダ12の出入り口123からロッドシリンダ機構15のロッド部151を挿入して試料ホルダ12内の試料素材13を素材位置決め部122,122に押圧して位置決めし、そのボール盤14のドリル141で、試料ホルダ12の窓部121を通して試料素材13の不要部を切削して、清掃ノズル機構20で周囲部を清掃し、清掃後、再び、ボール盤14で試料素材13を切削して採取ケース18に切粉試料を採取するように構成した。
【0029】
これによれば、試料素材13を試料ホルダ12に収容するだけの簡単な作業で、純正度の高い切粉試料の取得が実現され、しかも、ボール盤14を1台用いて試料素材12の不要部の除去から高精度な切粉採取まで実現されることにより、切粉採取の迅速化が図れる。
【0030】
また、これによれば、試料素材13の形状としては、試料ホルダー12の素材位置決め部122,122にロッドシリンダ機構15のロッド部151で押圧可能な形状を有すればよいことで、その試料素材13の形状管理の簡略化も図れる。
【0031】
なお、上記実施の形態では、切削機構として1台のボール盤14を備えて構成した場合で説明したが、これに限ることなく、複数台を配備するように構成することも可能である。これによれば、さらに採取動作の迅速化を図ることが可能となる。
【0032】
また、上記実施の形態では、切削機構としてボール盤14を用い、素材押圧手段としてロッドシリンダ機構15を用い、清掃手段として清掃ノズル機構20を用いて構成した場合で説明したが、これに限ることなく、各種の構造のものを用いて構成することが可能である。
【0033】
よって、この発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形を実施し得ることは勿論のことである。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、迅速な切粉試料の採取を実現し得、且つ、簡便にして、容易な取扱い作業を実現し得るようにした切粉試料の採取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る切粉試料の採取装置を示した側面図である。
【図2】図1の切粉試料の採取装置を上面から見た平面図である。
【図3】図1の試料ホルダを取出して示した図である。
【図4】図3の試料ホルダに収容された試料素材とロッドシリンダ機構の関係を示した図である。
【図5】図1の切削動作を示した図である。
【図6】図1の清掃動作を示した図である。
【図7】従来の切粉試料を自動的に採取する装置を示した図である。
【符号の説明】
9 … 制御部。
10 … 取付台。
11 … 回転テーブル。
12 … 試料ホルダ。
121 … 窓部。
122 … 素材位置決め部。
123 … 出入り口。
124 … 透孔。
13 … 試料素材。
14 … ボール盤。
141 … ドリル。
15 … ロッドシリンダ機構。
151 … ロッド部。
16 … ケース移送機構。
17 … 昇降機構。
18 … 採取ケース。
181 … 蓋体。
19 … 蓋体着脱機構。
191 … 蓋吸着部。
20 … 清掃ノズル機構。
21 … 廃棄ダクト。
22 … 回収パレット。
23 … 残素材廃棄機構。
24 … 素材投入器。
Claims (3)
- 切粉素材が収容されるものであって、一端に窓部及び該窓部を挟んで一対の素材位置決め部が設けられ、他端に出入り口が設けられた複数の試料ホルダと、
この複数の試料ホルダが素材位置決め部を外周方向に向けて所定の間隔を有して放射状に設置される回転自在に設けられた環状の回転テーブルと、
この回転テーブルの内周部側に配置され、前記試料ホルダの出入り口から出入りして前記試料素材を前記素材位置決め部に押圧して位置決めする素材押圧手段と、
前記回転テーブルの外周部側に配置され、切削部が前記試料ホルダの窓部から出入りして、前記素材押圧手段を介して前記試料ホルダ内の素材保持部に位置決めされた切粉試料を切削する切削機構と、
この切削機構で試料ホルダ内の試料素材を切削した状態において、前記切削機構を含む前記回転テーブルの切削部位に空気を吹き付けて清掃する清掃手段と、
前記切削機構で試料ホルダの試料素材を切削して切粉試料を選択的に採取する切粉採取手段と、
前記素材押圧手段を駆動制して前記試料ホルダの試料素材を素材位置決め部に位置決めした状態で、前記切削機構を駆動して試料素材を切削した後、前記清掃手段を駆動して清掃を実行し、その後、前記切削機構を駆動して試料素材を切削すると共に、前記切削採取手段を駆動して切粉試料を採取する制御手段と
を具備したことを特徴とする切粉試料の採取装置。 - さらに、前記回転テーブルの前記切削機構の下流側に前記切粉試料の採取が完了した試料ホルダの残試料素材を廃棄する廃棄手段と、残試料素材が廃棄された試料ホルダに新たな試料素材を収容する試料投入手段とを順に配備したことを特徴とする請求項1記載の切粉試料の採取装置。
- 前記試料ホルダには、底面部に切粉落下用透孔が設けられることを特徴とする請求項1叉は2記載の切粉試料の採取装置。
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