JP3769735B2 - 超音波励振器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、圧電振動子と振動板と振動針とから成り、圧電振動子の振動を振動板を経由して振動針に伝搬させることにより振動針の表面に振動変位を発生させ、トリミングなどへの応用が可能な超音波励振器に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波励振器によって発生させた弾性振動を利用することにより超音波モータを構成することが可能である。従来の超音波励振器を応用した超音波モータは、振動子によって発生させた弾性振動を摩擦力を介して可動体に伝達し該可動体に一方向の駆動力を与えるというものであった。このとき、前記振動子表面での変位は一般に楕円軌道を描く。超音波モータでは、進行波が弾性体に励振されその表面の質点は楕円軌道を描くので、可動体に一方向の駆動力が生じるのである。超音波モータはカメラのオートフォーカス機構などに実用化されているが、直線運動に応用する場合、振動系の規模が大きくなることから効率が低下するという問題点を有する。定在波を利用するタイプの超音波リニアモータの代表的なものとして、矩形平板状圧電振動子を利用するものがある。一方向性の駆動力は、振動子に接着された直線状金属平板の端部の楕円運動から得られ、この部分にローラを加圧接触させることによって回転動力を得ている。この方式は小型化が可能であり、紙送りデバイス等への応用が期待できるが、2相式の高周波電源が必要であるという問題点を有する。このようにして、従来の超音波励振器を利用した超音波モータでは、振動系の規模が大きくなることから効率が低下するという問題や、小型化が可能であっても比較的複雑な回路構成を必要とする等の問題点を有していた。そして何よりも、振動子と可動体との距離に制限があるという欠点を有していた。すなわち、振動子から離れた場所にある可動体にその振動のエネルギーを伝搬することが困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は構造が簡単で、小型軽量で、回路構成が簡単で、低電圧で低消費電力駆動が可能で、応用領域が広い超音波励振器を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の超音波励振器は、圧電振動子と、該圧電振動子に固着された振動板と、該振動板に接触された少なくとも1つの振動針とから成る超音波励振器であって、前記振動針の表面の一部は前記振動板の一方の板面、または前記振動板の両板面を貫く貫通孔の内面に接触され、前記圧電振動子は柱状の圧電磁器、電極PおよびQから成り、前記電極PおよびQは前記圧電磁器の厚さ方向に垂直な両端面のそれぞれに形成されており、前記電極PおよびQのうちで少なくとも電極Pは互いに絶縁された2つの部分P1およびP2に分割されていて、前記部分P1には端子TP1が設けられ、前記部分P2には端子TP2が設けられ、前記電極Qには端子TQが設けられていて、前記端子TP1と前記端子TQとの間に前記圧電振動子の共振周波数とほぼ等しい周波数の電圧を印加することにより前記圧電振動子を励振する手段が設けられており、前記圧電振動子の前記共振周波数は、前記圧電振動子と前記振動板と前記振動針とから成る複合体の共振周波数にほぼ等しく、前記圧電振動子の励振を前記振動板を経由して前記振動針に伝搬させることにより前記振動針の表面に振動変位を発生させることを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載の超音波励振器は、前記振動針が直線状、湾曲状、コイル状またはそれらの組合せで成る構造を有することを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載の超音波励振器は、前記振動針が少なくとも2つに分岐していることを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の超音波励振器は、前記振動針の分岐した部分が少なくとも2つに分岐していることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の超音波励振器は、前記振動針の長さ方向に垂直な断面の形が角縁状または環状を成すことを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載の超音波励振器は、前記圧電振動子が長さと幅の寸法比が1に近くしかも1に等しくない矩形状の板であって、前記振動板は、前記圧電振動子の前記電極Pを有する端面または前記電極Qを有する端面上に一体的に連なって固着され、前記圧電振動子の外方に向けて前記圧電振動子の前記電極Pを有する前記端面または前記電極Qを有する前記端面にほぼ平行に突出していることを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載の超音波励振器は、前記圧電振動子が長さと幅と厚さのうちの長さと幅の寸法比、長さと厚さの寸法比または幅と厚さの寸法比が1に近くしかも1に等しくない矩形状の角柱であって、前記振動板は、前記圧電振動子の前記電極Pを有する端面または前記電極Qを有する端面上に一体的に連なって固着され、前記圧電振動子の外方に向けて前記圧電振動子の前記電極Pを有する前記端面または前記電極Qを有する前記端面にほぼ平行に突出していることを特徴とする。
【0011】
請求項8に記載の超音波励振器は、前記圧電振動子励振手段が、直流電源と前記端子TP1との間に接続された昇圧用のコイルと、出力電圧端子が前記端子TP1に接続され入力電圧端子が前記端子TP2に接続されることにより前記端子TP2に現われる圧電気を帰還電圧として受けるトランジスタとを備え、前記圧電振動子励振手段は、前記トランジスタを増幅素子とし前記複合体を共振素子とする自励発振駆動回路を構成することを特徴とする。
【0012】
【作用】
本発明の超音波励振器は圧電振動子と振動板と少なくとも1つの振動針とから成る簡単な構造を有する。振動板は圧電振動子に固着され、振動針の表面の一部は振動板の一方の板面または振動板の両板面を貫く貫通孔の内面に接触されている。圧電振動子は柱状の圧電磁器、電極PおよびQから成り、電極PおよびQは圧電磁器の厚さ方向に垂直な両端面のそれぞれに形成されている。電極PおよびQのうちで少なくとも電極Pは互いに絶縁された2つの部分P1およびP2に分割されていて、部分P1には端子TP1が設けられ、部分P2には端子TP2が設けられ、電極Qには端子TQが設けられている。また、本発明の超音波励振器では、端子TP1と端子TQとの間に圧電振動子の共振周波数とほぼ等しい周波数の電圧を印加することにより圧電振動子を励振する手段が設けられている。この圧電振動子励振手段を駆使することにより、圧電振動子が励振される。このとき、圧電振動子の共振周波数が圧電振動子と振動板と振動針とから成る複合体の共振周波数とほぼ等しい構造が採用されることにより、圧電振動子が効率よく励振される。このような簡単な構造の圧電振動子の採用により、超音波励振器の小型化が可能となる。また、自励式駆動が可能となることから電池での駆動も容易になり、さらに、温度などの環境変化に対応しうる形で低消費電力で低電圧での駆動が可能となる。この圧電振動子の励振は振動板を振動させ、さらに、振動板に接触する振動針を振動させる。このようにして、振動針の表面に振動変位が発生する。
【0013】
本発明の超音波励振器では振動針として直線状、湾曲状、コイル状またはそれらの組合せで成る構造を採用することができる。すなわち、振動針を振動板の一方の板面または振動板の両板面を貫く貫通孔の内面に固着または圧接させた構造、つまり、振動板の表面や貫通孔の内面に接触させた構造であれば振動針の表面に振動変位が生じるのであり、振動針は細長い形状をしたものであれば、折れ曲がっていようといまいと長さが長くても短くても振動針の表面に振動変位が生じる。また、たとえばY字型のような少なくとも2つに分岐した構造を振動針として採用することも可能であり、その分岐した部分がさらに少なくとも2つに分岐した構造を振動針として採用することも可能である。このような場合、振動針の分岐した先々の表面においても振動変位が生じている。
【0014】
本発明の超音波励振器では、振動針として棒状を成す構造を採用することが可能であるとともに、振動針としてその長さ方向に垂直な断面の形が角縁状または環状を成す構造、つまり、管状構造を採用することができる。管状構造を採用した場合には、振動針の内壁面においても振動変位が生じる。圧電振動子として長さと幅の寸法比が1に近くしかも1に等しくない矩形板状構造、すなわち圧電振動子の厚さが薄い板状の構造を採用することにより、圧電振動子と振動板と振動針との複合体の結合振動が増強される。また、振動板が圧電振動子の電極Pを有する端面または電極Qを有する端面上に一体的に連なって固着され、しかも、圧電振動子の外方に向けて圧電振動子の電極Pを有する端面または電極Qを有する端面にほぼ平行に突出していることにより、振動板は圧電振動子と振動板との接合部を固定端とする形で振動する。この振動板の振動は振動針を効率よく振動させることを可能にする。
【0015】
圧電振動子として長さと幅と厚さのうちの長さと幅の寸法比、長さと厚さの寸法比または幅と厚さの寸法比が1に近くしかも1に等しくない矩形角柱状構造、すなわち圧電振動子の厚さが厚い角柱状の構造を採用することにより、圧電振動子と振動板と振動針との複合体の結合振動が増強される。また、振動板が圧電振動子の電極Pを有する端面または電極Qを有する端面上に一体的に連なって固着され、しかも、圧電振動子の外方に向けて圧電振動子の電極Pを有する端面または電極Qを有する端面にほぼ平行に突出していることにより、振動板は圧電振動子と振動板との接合部を固定端とする形で振動する。この振動板の振動は振動針を効率よく振動させることを可能にする。
【0016】
本発明の超音波励振器における圧電振動子励振手段は、直流電源と端子TP1との間に接続された昇圧用のコイルを備えている。また、出力電圧端子が端子TP1に接続され入力電圧端子が端子TP2に接続されたトランジスタを備えている。このトランジスタは端子TP2に現われる圧電気を帰還電圧として受けるためのものである。このようにして、圧電振動子励振手段は、トランジスタを増幅素子とし、圧電振動子と振動板と振動針との複合体を共振回路とする自励発振駆動回路を構成しており、圧電振動子の共振周波数に周波数を自動的に追尾できるようにしている。そのうえ、コイルの逆起電圧を利用した回路を備えることにより、電源電圧より高い電圧で圧電振動子を駆動できるようにしている。この逆起電圧回路はコイルの特性を利用することで高電圧を発生させるもので、トランスの使用と比較して価格、重量および容積の点で有利である。また、回路構成が簡単で小型であり、電源効率及び周波数特性が良い等の特徴をもたらすことができる。図9は3端子方式の自励回路の構成図を示している。3端子方式とは、圧電振動子との接続のために3つの端子を有し、各端子を互いに独立した目的に利用する方式である。圧電振動子の片側の電極は電圧を印加するドライブ電極Dと、増幅器に電力の一部をフィードバックするためのフィードバック電極Fに分割されており、もう一方の電極はグランド電極Gとして接地されている。
【0017】
本発明の超音波励振器では圧電振動子における電極Pの部分P1およびP2がドライブ電極Dおよびフィードバック電極Fに相当し、電極Qがグランド電極Gに相当する。図9におけるこの方式は、パワーアンプで180度だけ位相のシフトをすることから、圧電振動子のドライブ電極Dとフィードバック電極F間で位相が180度シフトする周波数で自励発振する。
【0018】
【実施例】
図1は本発明の超音波励振器の第1の実施例を示す断面図である。本実施例は圧電振動子1、振動板2、振動針3および自励発振駆動回路4から成る。但し、図1では自励発振駆動回路4が省いて描かれている。振動板2は圧電振動子1の一方の端面に圧電振動子1と一体的に連なって固着されている。振動針3は振動板2の両板面を貫く貫通孔の内面に固着されている。圧電振動子1は圧電磁器5、電極P1,P2および電極Qから成る。電極P1には端子TP1が設けられ、電極P2には端子TP2が設けられ、電極Qには端子TQが設けられている。圧電磁器5は矩形角柱状のTDK72A材(製品名)で成り、その長さは10mm、幅は5mm、厚さは6mmである。圧電磁器5の分極軸の方向は厚さ方向に一致しており、この厚さ方向に垂直な一方の端面に電極P1およびP2が互いに絶縁される形で形成され、もう一方の端面には電極Qが形成されている。各電極はアルミニウム薄膜で成る。振動板2はステンレス製で、長さ12mm、幅5mm、厚さ0.05mmである。振動板2は一方の板面の長さ方向の端部において長さ1.5mm、幅5mmの接合領域を有し、該接合領域は電極Qを介して圧電振動子1に固着されている。振動針3は真鍮製のパイプで成り、その長さ方向に垂直な断面の外経は0.6mm、内経は0.2mmである。
【0019】
図2は図1の超音波励振器を示す斜視図である。但し、図2では端子TP1,TP2およびTQが省いて描かれている。図1の超音波励振器の駆動時、圧電振動子1と振動板2と振動針3との複合体の共振周波数にほぼ等しい周波数を有する電気信号を端子TP1を介して圧電振動子1に入力すると、圧電振動子1に圧電的に振動が励振される。振動板2を圧電振動子1の一方の端面上に一体的に連なって固着させる構造を採用していることから、圧電振動子1の振動に伴って振動板2は圧電振動子1との接合領域を固定端とする形で振動される。この振動は振動針3を振動させ、振動針3の表面に振動変位が生じる。振動針3の長さは最高でほぼ1mのものが動作可能であった。また、本実施例では振動針3を振動板2に固着させたが、固着せずに圧接させた場合にもほぼ同様な効果が得られることが確認された。
【0020】
図3は自励発振駆動回路4の一実施例を示す構成図である。図3においてD、FおよびGはそれぞれドライブ電極D、フィードバック電極Fおよびグランド電極Gを示し、ドライブ電極Dおよびフィードバック電極Fがそれぞれ電極P1およびP2に対応し、グランド電極Gが電極Qに対応している。端子TP1を介して圧電振動子1に電圧を引加することにより圧電振動子1に励振された振動は、その大部分が振動板2に伝搬され、残部がその振動に応じて圧電振動子1に引加された電圧とは逆相の電圧として端子TP2から出力される。この動作の繰り返しによって正帰還の自励発振が生じる。つまり、複合体の共振周波数にほぼ等しい周波数を有する電気信号が雰囲気温度の変化に追随して安定して圧電振動子1に供給される。このようにして、常に自らの最適の発振状態を維持することを可能にしている。従って、他励駆動の際に問題となる発熱等により複合体の共振周波数が偏移して発振条件が悪くなるという問題点が解決される。また、1つのコイルL1、1つのトランジスタTr、2つの抵抗R1およびR2、および1つのダイオードDという極く少ない部品で回路を構成することが可能である。しかも、部品点数が少ないにもかかわらず、直流電源を利用することができ電力効率もよいことから、電源の小型化対応を可能にしている。図3の自励発振駆動回路4に直流電源からたとえば0〜10Vの直流電圧を印加すると、コイルL1 の値を調整することにより、電極P1に最大で約60Vp-pの交流電圧を印加させることができる。このとき電極P2から約1Vp-pの電気信号が取り出される。このようにして、自励発振駆動回路4では直流電源電圧の約6倍の交流電圧を圧電振動子1に印加することが可能である。
【0021】
図4は図1の超音波励振器を駆動させた場合の電極D(P1)および電極F(P2)で観測された電圧波形の一実施例を示す図である。但し、振動針3の長さが46mmの場合を示す。また、上図は電極P1での波形を、下図は電極P2での波形を示す。本実施例では、電極P1に約150Vp-pの交流電圧が印加され、電極P2からは約2.0Vp-pの逆相信号が出力される。このようにして、逆位相信号が効率よくフィードバックされていることがわかる。
【0022】
図5は圧電振動子1単体および圧電振動子1と振動板2と振動針3との複合体における電極P1と電極Qとの間のアドミタンスの振幅および位相と、周波数との関係を示す特性図である。但し、振動針3の長さが46mmの場合を示す。また、図5において点線は圧電振動子1単体の場合を示し、実線は複合体の場合を示す。圧電振動子1単体の場合、アドミタンスは周波数がほぼ245kHzのときにピークを示している。また、位相が零のときの周波数が共振周波数を示すことから、共振周波数の1つがほぼ245kHzであることがわかる。複合体の場合も圧電振動子1単体の場合とほぼ同様であることがわかる。
【0023】
図6は図1の超音波励振器を用いてガラス板上に被覆されたアルミニウム薄膜を剥離した場合の一実施例を示す拡大平面図である。使用時には振動針3の先端をアルミニウム被覆ガラス板の表面に接触させ、ガラス板自体を移動させた。図6における黒色部分は振動針3によってアルミニウム薄膜が剥離された部分を示す。振動針3の先端をアルミニウム被覆ガラス板表面に接触させ電源をONにしたところ、太さ約17マイクロメートルの剥離領域を生じた(図6左側)。この状態で電源をOFにしたところ(図6中央)、わずかに細い引っかき傷を生じ(図6右側)、この傷はアルミニウム薄膜の下のガラス表面には達していなかった。
【0024】
図7は本発明の超音波励振器の第2の実施例を示す断面図である。本実施例は圧電振動子6、振動板7、振動針8および自励発振駆動回路4から成る。但し、図7では自励発振駆動回路4が省いて描かれている。振動板7は圧電振動子6の一方の端面に圧電振動子6と一体的に連なって固着されている。振動針8は振動板2の一方の板面に設けられた溝に固着されている。圧電振動子6は圧電磁器9、電極P1,P2および電極Qから成る。電極P1には端子TP1が設けられ、電極P2には端子TP2が設けられ、電極Qには端子TQが設けられている。圧電磁器9は矩形板状のTDK72A材(製品名)で成り、その長さは17mm、幅は20mm、厚さは1mmである。圧電磁器9の分極軸の方向は厚さ方向に一致しており、この厚さ方向に垂直な一方の端面に電極P1およびP2が互いに絶縁する形で形成され、もう一方の端面には電極Qが形成されている。各電極はアルミニウム薄膜で成る。振動板7はステンレス製で、長さ23mm、幅20mm、厚さ0.05mmである。振動板7は一方の板面の長さ方向の端部において長さ2mm、幅20mmの接合領域を有し、該接合領域は電極Qを介して圧電振動子6に固着されている。振動針8は真鍮製の棒で成り、その長さ方向に垂直な断面の形は1辺が0.6mmの正方形で成り、振動針8は屈曲している。図7の超音波励振器の駆動時、圧電振動子6と振動板7と振動針8との複合体の共振周波数にほぼ等しい周波数を有する電気信号を端子TP1を介して圧電振動子6に入力すると、圧電振動子6に圧電的に振動が励振される。振動板7を圧電振動子6の一方の端面上に一体的に連なって固着させる構造を採用していることから、圧電振動子6の振動に伴って振動板7は圧電振動子6との接合領域を固定端とする片持ち梁の形で振動される。この振動は振動針8を振動させ、振動針8の表面に振動変位が生じる。振動針8の長さは最高でほぼ1mのものが動作可能であった。また、本実施例では振動針8を振動板7に固着させたが、固着せずに圧接させた場合にもほぼ同様な効果が得られることが確認された。
【0025】
図8は振動針3および振動針8の代わりに用いられる振動針を示す斜視図である。上図は長さが1mのらせんパイプ状の振動針を、下図は様々に折れ曲がり分岐した形の棒状の振動針を示す。どちらの振動針もそれらのすべての表面において振動変位を生じることが確認された。また、振動針どうしを半田接合した場合や、振動針が高分子系樹脂等で被覆された場合にも振動針としての機能を果たすことが確認された。
【0026】
【発明の効果】
本発明の超音波励振器は圧電振動子と、圧電振動子に固着された振動板と、振動板に接触された少なくとも1つの振動針と、圧電振動子励振手段とを備える。圧電振動子は柱状の圧電磁器と、圧電磁器の厚さ方向に垂直な両端面のそれぞれに形成された電極PおよびQから成る。電極PおよびQのうちで少なくとも電極Pは互いに絶縁された2つの部分P1およびP2に分割されていて、部分P1には端子TP1が設けられ、部分P2には端子TP2が設けられ、電極Qには端子TQが設けられている。圧電振動子励振手段は、端子TP1と端子TQとの間に圧電振動子の共振周波数とほぼ等しい周波数の電圧を印加することにより圧電振動子を励振するものである。圧電振動子の共振周波数が圧電振動子と振動板と振動針とから成る複合体の共振周波数とほぼ等しいとき、圧電振動子が効率よく励振される。このような簡単な構造の圧電振動子の採用により、超音波励振器の小型化が可能となる。また、自励式駆動が可能となることから電池での駆動も容易になり、さらに、温度などの環境変化に対応しうる形で低消費電力で低電圧での駆動が可能となる。この圧電振動子の励振は振動板を振動させ、さらに、振動板に接触する振動針を振動させる。このようにして、振動針の表面に振動変位が発生する。
【0027】
振動針として直線状、湾曲状、コイル状またはそれらの組合せで成る構造を採用することができる。振動針を振動板の一方の板面または振動板の両板面を貫く貫通孔の内面に固着または圧接させた構造、つまり、振動板の板面や貫通孔の内面に接触させた構造であれば振動針の表面に振動変位が生じるのであり、振動針は細長い形状をしたものであれば、折れ曲がっていようといまいと長さが長くても短くても振動針の表面に振動変位が生じる。また、たとえば先端が少なくとも2つに分岐した構造を振動針として採用することも可能であり、その分岐した部分がさらに少なくとも2つに分岐した構造を振動針として採用することも可能である。このような場合、振動針の分岐した先々の表面においても振動変位が生じている。さらに、振動針として棒状を成す構造や、振動針の長さ方向に垂直な断面の形が角縁状または環状を成す構造、つまり、管状構造を採用することができる。管状構造を採用した場合には、振動針の内壁面においても振動変位が生じる。
【0028】
圧電振動子として長さと幅の寸法比が1に近くしかも1に等しくない矩形板状構造を採用することにより、圧電振動子と振動板と振動針との複合体の結合振動が増強される。また、振動板が圧電振動子の電極Pを有する端面または電極Qを有する端面上に一体的に連なって固着され、しかも、圧電振動子の外方に向けて圧電振動子の電極Pを有する端面または電極Qを有する端面にほぼ平行に突出していることにより、振動板は圧電振動子と振動板との接合部を固定端とする形で振動する。この振動板の振動は振動針を効率よく振動させることを可能にする。
【0029】
圧電振動子として長さと幅と厚さのうちの長さと幅の寸法比、長さと厚さの寸法比または幅と厚さの寸法比が1に近くしかも1に等しくない矩形角柱状構造を採用することにより、圧電振動子と振動板と振動針との複合体の結合振動が増強される。また、振動板が圧電振動子の電極Pを有する端面または電極Qを有する端面上に一体的に連なって固着され、しかも、圧電振動子の外方に向けて圧電振動子の電極Pを有する端面または電極Qを有する端面にほぼ平行に突出していることにより、振動板は圧電振動子と振動板との接合部を固定端とする形で振動する。この振動板の振動は振動針を効率よく振動させることを可能にする。圧電振動子励振手段は、直流電源と端子TP1との間に接続された昇圧用のコイルと、出力電圧端子が端子TP1に接続され入力電圧端子が端子TP2に接続されたトランジスタとを備えている。このトランジスタは端子TP2に現われる圧電気を帰還電圧として受けるためのものである。このようにして、圧電振動子励振手段は、トランジスタを増幅素子とし、圧電振動子と振動板と振動針との複合体を共振回路とする自励発振駆動回路を構成しており、圧電振動子の共振周波数に周波数を自動的に追尾できるようにしている。そのうえ、コイルの逆起電圧を利用した回路を備えることにより、電源電圧より高い電圧で圧電振動子を駆動できるようにしている。この逆起電圧回路はコイルの特性を利用することで高電圧を発生させるもので、トランスの使用と比較して価格、重量および容積の点で有利である。また、回路構成が簡単で小型であり、電源効率及び周波数特性が良い等の特徴をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波励振器の第1の実施例を示す断面図。
【図2】図1の超音波励振器を示す斜視図。
【図3】自励発振駆動回路4の一実施例を示す構成図。
【図4】図1の超音波励振器を駆動させた場合の電極P1およびP2で観測された電圧波形の一実施例を示す図。
【図5】圧電振動子1単体および圧電振動子1と振動板2と振動針3との複合体における電極P1と電極Qとの間のアドミタンスの振幅および位相と、周波数との関係を示す特性図。
【図6】図1の超音波励振器を用いてガラス板上に被覆されたアルミニウム薄膜を剥離した場合の一実施例を示す拡大平面図。
【図7】本発明の超音波励振器の第2の実施例を示す断面図。
【図8】振動針3および振動針8の代わりに用いられる振動針を示す斜視図。
【図9】3端子方式の自励回路の構成図。
【符号の説明】
1 圧電振動子
2 振動板
3 振動針
4 自励発振駆動回路
5 圧電磁器
6 圧電振動子
7 振動板
8 振動針
9 圧電磁器
1,P2,Q 電極
P1,TP2,TQ 端子
1 昇圧用コイル
r トランジスタ
1,R2 抵抗
D ダイオード

Claims (8)

  1. 圧電振動子と、該圧電振動子に固着された振動板と、該振動板に接触された少なくとも1つの振動針とから成る超音波励振器であって、前記振動針は棒状構造または管状構造を成し、前記振動針の表面の一部は前記振動板の一方の板面、または前記振動板の両板面を貫く貫通孔の内面に接触され、前記圧電振動子は矩形板状または矩形角柱状の圧電磁器、電極PおよびQから成り、前記電極PおよびQは前記圧電磁器の分極軸の方向に垂直な両端面のそれぞれに形成されており、前記振動板は、前記振動板の両板面のうちの一方の板面の端部が接合領域として前記圧電振動子の前記電極Qを有する端面の一部に一体的に連なって固着され、前記圧電振動子の外方に向けて前記圧電振動子の前記電極Qを有する前記端面にほぼ平行に突出し、前記電極PおよびQのうちで少なくとも電極Pは互いに絶縁された2つの部分P1およびP2に分割されていて、前記部分P1には端子TP1が設けられ、前記部分P2には端子TP2が設けられ、前記電極Qには端子TQが設けられていて、前記端子TP1と前記端子TQとの間に前記圧電振動子の共振周波数とほぼ等しい周波数の電圧を印加することにより前記圧電振動子を励振する手段が設けられており、前記圧電振動子の励振により前記振動板は前記接合領域を固定端とする片持ち梁の形で振動され、前記圧電振動子の前記共振周波数は、前記圧電振動子と前記振動板と前記振動針とから成る複合体の共振周波数にほぼ等しく、前記圧電振動子の励振を前記振動板を経由して前記振動針に伝搬させることにより前記振動針の表面に振動変位を発生させ、前記圧電振動子の励振時に前記振動針の先端が接触部位として使用されることを特徴とする超音波励振器。
  2. 前記振動針が直線状、湾曲状、コイル状またはそれらの組合せで成る構造を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波励振器。
  3. 前記振動針が少なくとも2つに分岐していることを特徴とする請求項2に記載の超音波励振器。
  4. 前記振動針の分岐した部分が少なくとも2つに分岐していることを特徴とする請求項3に記載の超音波励振器。
  5. 前記振動針の長さ方向に垂直な断面の形が角縁状または環状を成すことを特徴とする請求項2,3または4に記載の超音波励振器。
  6. 前記圧電振動子は長さと幅の寸法比が1に近くしかも1に等しくない矩形状の板であって、前記振動板は、前記圧電振動子の前記電極Qを有する端面上に一体的に連なって固着され、前記圧電振動子の外方に向けて前記圧電振動子の前記電極Qを有する前記端面にほぼ平行に突出していることを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載の超音波励振器。
  7. 前記圧電振動子は長さと幅と厚さのうちの長さと幅の寸法比、長さと厚さの寸法比または幅と厚さの寸法比が1に近くしかも1に等しくない矩形状の角柱であって、前記振動板は、前記圧電振動子の前記電極Qを有する端面上に一体的に連なって固着され、前記圧電振動子の外方に向けて前記圧電振動子の前記電極Qを有する前記端面にほぼ平行に突出していることを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載の超音波励振器。
  8. 前記圧電振動子励振手段は、直流電源と前記端子TP1との間に接続された昇圧用のコイルと、出力電圧端子が前記端子TP1に接続され入力電圧端子が前記端子TP2に接続されることにより前記端子TP2に現われる圧電気を帰還電圧として受けるトランジスタとを備え、前記圧電振動子励振手段は、前記トランジスタを増幅素子とし前記複合体を共振素子とする自励発振駆動回路を構成することを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の超音波励振器。
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