JP3768540B2 - バテライト型炭酸カルシウムの形態制御方法・粒子成長方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はバテライト型炭酸カルシウムの粒子成長、形態制御方法に関し、更に詳しくは、球状、ラグビーボール状楕円球状、碁石状楕円球状、又は板状等の形態を有するバテライト型炭酸カルシウムを母材とし、該母材バテライト型炭酸カルシウムの粒子径及び粒子形を変化せしめ、母材バテライト型炭酸カルシウムと異なる粒子径及び粒子形を有する分散性の良好なバテライト型炭酸カルシウムを調製するバテライト型炭酸カルシウムの形態制御、粒子成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、合成炭酸カルシウムの工業的製造方法としては、炭酸ガス法が広く採用されている。この炭酸ガス法とは、天然に産する石灰石を焼成することにより生石灰(酸化カルシウム)を得、この生石灰と水を反応させ石灰乳(水酸化カルシウムの水懸濁液)を得、この石灰乳に石灰石を焼成する際発生する炭酸ガスを導通し反応させることにより炭酸カルシウムを得る方法である。
この炭酸ガス法により製造される合成炭酸カルシウムは、その一次粒子の大きさに応じてゴム、プラスチック、紙、塗料等の填料又は顔料として、広く大量に使用されている。
また、これらの用途に用いられる合成炭酸カルシウムは、その配合時の物性をさらに向上させるため、粒子表面にその使用目的に応じた無機系又は有機系の様々な処理剤が表面処理され一般に使用されている。
【0003】
しかし乍ら、この炭酸ガス法で製造される合成炭酸カルシウムは、元来一次粒子間の凝集力が非常に強いものであり、一次粒子が多数凝集して大きな二次粒子(一次粒子の粗大凝集体)を形成しており、この二次粒子のスラリーは、長時間強力に攪拌を続けても、ほぼ一次粒子にまで分散させることは不可能であるとされている。
このような一次粒子の凝集体を多数含有する合成炭酸カルシウムを、ゴム、プラスチック、紙、塗料等の填料又は顔料として使用した場合、二次粒子があたかも一次粒子のような挙動を示すため、分散不良、強度の低下、光沢の低下、流動性の悪化等、良好な物性が得られず、本来一次粒子を配合した場合の様な配合効果が得られない。
また同様に、このように多数の凝集体を含有する合成炭酸カルシウムに、無機系又は有機系の表面処理剤を処理しても二次粒子表面のみが処理されるにすぎず、充分な効果を発揮するに至らない。
【0004】
現在まで、これら一次粒子凝集体を分散させる方法は多数報告されているが、一般にボールミル、サンドグラインダーミル等により、強力に粉砕破壊する方法が採用されている。しかし乍ら、このような方法は強大なエネルギーを使用した摩砕粉砕であるため、凝集体の分散が行われると同時に一次粒子の破壊も行われ、その結果、表面状態の非常に不安定な、しかも希望する一次粒子径よりさらに小さな粒子と、分散が不完全な二次凝集粒子とが混在し、粒度の分布が幅広くなってしまうため、好ましい方法であるといいがたい。また、このようなサンドグラインダー等の湿式粉砕機には、通常粉砕用メディアとして微少なガラスビーズが用いられるが、炭酸カルシウムの粉砕破壊工程時これらガラスビーズ表面も粉砕破壊されるため、分散処理後の炭酸カルシウム中に20μm前後の粗大ガラス片が多数混入することになり、例えば15μm前後の厚みの薄物フィルムの充填剤として使用するような炭酸カルシウムをこのような湿式粉砕方法を用いて分散調製することは好ましくない。
【0005】
炭酸カルシウムには、同質異像として六方晶系のカルサイト型結晶、斜方晶系のアラゴナイト結晶、および擬六方晶系のバテライト型結晶があるが、この中で工業的に製造され多種の用途に利用されているのは、立方体もしくは紡錘形のカルサイト型結晶、または針状もしくは柱状のアラゴナイト結晶が大半である。
これに対して、バテライト型の炭酸カルシウムの場合は、その形態的な特徴からして、他の2結晶型と比べて比較的分散性が良好であり、大きな粗大凝集体を含有しないとされているため、紙、塗料、あるいはゴム、プラスチック用の顔料、填料として用いた場合、塗工性の改善、充填性の向上等の効果が期待でき、ひいては製品の物理強度、光沢性、白色度、あるいは印刷特性の向上につながると考えられる
【0006】
以上の観点から従来より、バテライト型炭酸カルシウムを工業的に製造するための方法が種々検討されて来ている。
例えば特開昭60−90822には、マグネシウム化合物を含む水酸化カルシウム水懸濁液に二酸化炭素含有気体を導入し、ある一定の炭酸化率に達した時点で縮合リン酸アルカリ又はそのアルカリ金属塩を添加することによって、バテライト型炭酸カルシウムを得る方法が、また特開昭54−150397には、塩化カルシウムと炭酸水素カルシウムの反応において反応終了時のスラリーのpHが6.8になるように予めアンモニアを共存させることによってバテライト型炭酸カルシウムを得る方法が記載されている。
しかし乍ら、これらの方法はいずれも、従来の立方体や紡錘形の炭酸カルシウム結晶の製造方法に比べて、製造方法が大変複雑であるばかりではなく、バテライト型炭酸カルシウム粒子の粒子径コントロールが困難であり、得られるバテライト型炭酸カルシウムの一次粒子径が不均一であり、また分散性も良好とはいいがたい。
【0007】
また、最近、有機溶媒中に含まれる水酸化カルシウムを炭酸化させることによりバテライト型炭酸カルシウムを製造する方法が多種提案されている。
例えば、特開昭59−64527の比較例1には、水酸化カルシウム水懸濁液とメタノールの混合溶液に二酸化炭素を導通しバテライト型炭酸カルシウムを得る方法が、特開昭61−77622には、水酸化カルシウムと水とアルコール類の懸濁液系に二酸化炭素を吹き込んで非晶質又はバテライト等の結晶質炭酸カルシウムを生成させる方法が記載されている。
しかし乍ら、これらいずれの方法でも、バテライト型炭酸カルシウムは高い収率で得ることは可能であるが、得られるバテライト型炭酸カルシウム粒子の粒子径及び粒子形態を任意にコントロールすることができず、さらに一次粒子が均一でしかも単分散した分散良好な球状、楕円球状又は板状バテライト型炭酸カルシウムを安定して製造することはできないという欠点を有していた。
【0008】
本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究の結果、特定量の生石灰及び/又は消石灰と特定量の水を含有する、生石灰及び/又は消石灰のメタノール懸濁液に、二酸化炭素を導通し炭酸化反応を行い、炭酸化反応途中の特定時点で反応系内の温度を特定の温度に調整し、炭酸化反応開始から反応系内の導電率が特定の値に到達する時間を特定化することにより、所望の球状、楕円球状又は板状バテライト型炭酸カルシウムが容易かつ安定的に製造でき、得られる球状、楕円球状又は板状バテライト型炭酸カルシウムが、特有の一次粒子の均一性および分散性を有していることを見いだした(特開平4−31315、同4−31316、同4−31317)。
しかし乍ら、これらの方法においても、球状バテライト型炭酸カルシウムと楕円球状バテライト型炭酸カルシウムの明確な差別化した製造、楕円球状バテライト型炭酸カルシウム及び板状バテライト型炭酸カルシウムをより肉厚の粒子形態に調製する等の微妙な形態制御が可能なバテライト型炭酸カルシウムの製造、等の製造方法に関しては充分な方法とは言えなかった。また、これらによって提供された方法は、各種製造条件の許容幅が比較的小さなものであった。
【0009】
さらに本発明者らは、特定量の生石灰又は消石灰と特定量の水を含有する生石灰又は消石灰のメタノール懸濁液に、二酸化炭素を導通し炭酸化反応を行い、炭酸化反応途中の特定時点で反応系内の温度を特定の温度に調整し、特定の時間の後炭酸化反応系内のpHを特定の範囲で特定時間制御することにより、所望の形態を有するバテライト型炭酸カルシウムが容易且つ安定に製造でき、得られる炭酸カルシウムが、特有の一次粒子の均一性及び分散性を有していることを見いだした(特願平3−348090)。
【0010】
この各種形状を有するバテライト型炭酸カルシウムは、特有の良好な特性を具備しているため、各方面の用途にその使用の検討が精力的に行われている。
しかし乍ら、特に高度な技術分野の用途には、その特性をさらに引き出し、より高度な機能性を有する工業製品を開発するため、前述のバテライト型炭酸カルシウムの特性を維持したまま微妙に粒子径がコントロールされたバテライト型炭酸カルシウム、粒子形状が微妙にコントロールされたバテライト型炭酸カルシウムが必要とされてきており、正確且つ微妙に粒子成長、形態制御しうるバテライト型炭酸カルシウムの製造方法の開発が要求されている。
例えばオーディオテープ、ビデオテープ等の磁気テープに用いられているポリエステルフィルムにおいては、その滑り性や耐削れ性がフィルムの製造工程及び各用途における加工工程の作業性の良否、さらにはその製品品質の良否を左右する大きな要因となっている。これら滑り性や耐削れ性が不充分な場合、例えばポリエステルフィルム表面に磁性層を塗布し、磁気テープとして用いる場合には、磁性層塗布時におけるコーティングロールとフィルム表面との摩擦が激しく、またこれによるフィルム表面の摩擦も激しく、極端な場合はフィルム表面へのしわ、擦傷等が発生する。また磁性層塗布後のフィルムをスリットしてオーディオ、ビデオ、またはコンピューター用テープ等に加工した後でも、リールやカセット等からの引出し、巻き上げその他の操作の際に、多くのガイド部、再生ヘッド等との間で摩擦が著しく生じ、擦傷、歪の発生、さらにはポリエステルフィルム表面の削れ等による白粉状物質を析出させる結果、磁気記録信号の欠落、即ちドロップアウトの大きな原因となることが多い。
【0011】
従来、ポリエステルの摩擦係数を低下させる方法としては、ポリエステル中に微粒子を含有せしめ、成形品の表面に微細で適度な凹凸を与えて成形品の表面滑性を向上させる方法が数多く提案されているが、微粒子とポリエステルとの親和性が充分でなく、フィルムの透明性、耐摩耗性がいづれも満足すべきものではなかった。この方法を更に説明すると、ポリエステルの表面特性を向上させる手段としては、従来から、
▲1▼ポリエステル合成時に使用する触媒など一部または全部を反応工程で析出させる方法(内部粒子析出方法)。
▲2▼炭酸カルシウム、二酸化珪素などの微粒子を重合時または重合後に添加する方法(外部粒子添加方式)。
が数多く提案されている。
これらポリエステルフィルムの表面の凹凸を形成する粒子は、その大きさが大きいほど、滑り性の改良効果が大であるのが一般的であるが、磁気テープ、特にビデオ用のごとき精密用途には、その粒子が大きいこと自体がドロップアウト等の欠点発生の原因ともなり得るため、フィルム表面の凹凸は出来るだけ微細である必要があり、これら相反する特性を同時に満足すべき要求がなされているのが現状である。
【0012】
しかし乍ら、▲1▼の内部粒子析出方式は、粒子がポリエステル成分の金属塩等であるため、ポリエステルとの親和性はある程度良好である反面、反応中に粒子を生成させる方法であるため、粒子量、粒子径のコントロール及び粗大粒子の生成防止などが困難である。
一方▲2▼の方法は、粒径添加量などを適切に選定し、さらに粗大粒子を分級等により除去した微粒子を添加すれば易滑性の面では優れたものとなる。しかし、無機微粒子と有機成分であるポリエステルの親和性が充分でないため、延伸時等に粒子とポリエステルとの境界で剥離が発生し、ボイドが生成する。このボイドがポリエステル中に存在すると、ポリエステルフィルム同志あるいはポリエステルフィルムと他の基材との接触により、ポリエステルフィルムの損傷等で粒子がポリエステルフィルムから脱離しやすく、例えば前述の様に磁気テープ用フィルムにおける白粉の発生やドロップアウトの原因となる。
【0013】
現在のポリエステルフィルムの製造には、▲1▼、▲2▼の方法が併用して用いられているものの、粒子径選択の容易性及び品質再現の容易性の観点から、徐々に▲2▼の方法が主流になりつつある。しかし乍ら、▲2▼の方法において使用される無機微粒子は、前述のようにポリエステルとの親和性が充分でないため、ポリエステルフィルムの損傷等で粒子がポリエステルフィルムから脱離し白粉が発生しやすく、この現象を防止するため、化学的な見地からは無機微粒子の良好な表面処理剤の開発研究が、また物理的な観点からはポリエステルフィルムから脱離しにくい形状を有する無機微粒子の開発研究が各方面において行われている。
▲2▼の方法に使用される無機微粒子の形状に関しては、ポリエステルフィルムからの脱離の観点からは球状粒子よりも楕円球状粒子、板状粒子のほうが良好であるとされてはいるが、一方ポリエステルフィルムに要求されるもう一つの重要な物性であるフィルム走行性(フィルム滑り性)の見地に立てば、球状粒子が最良であると言われている。従って、この種のポリエステルフィルムに用いられる無機粒子には、粒子の均一性、良好な分散性を有していることはもとより、粒子形、粒子径等の微妙な形態制御技術、例えば楕円球状粒子をより球状に近い楕円球状粒子に、楕円球状粒子を球状粒子に、球状粒子を板状粒子に、あるいは板状粒子をさらに厚みのある板状粒子に変化させる粒子形制御技術、また球状粒子、楕円球状粒子、板状粒子を立体幾何学的に相似な形状を維持させたまま粒子径を大きくする粒子径制御技術等の高度な粒子形態制御技術の確立が要求されてきている。
【0014】
バテライト型炭酸カルシウムの同質異像であるカルサイト型炭酸カルシウム及びアラゴナイト型炭酸カルシウムに関しては、それら粒子の形状不均一性、分散性の悪さを無視した場合、立方体状粒子又は針状粒子の形状を維持したままでの粒子径のコントロール技術は各種の方法が多方面から報告されている。しかし乍ら、バテライト型炭酸カルシウム、特に良好な分散性と粒子の均一性を有するバテライト型炭酸カルシウムに関しては、粒子形状制御技術はもちろんのこと、粒子径制御技術さえも報告されていないため、本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究の結果、バテライト型炭酸カルシウムを母材とし、メタノールと母材バテライト型炭酸カルシウムと水の特定の混合系を調製し、炭酸化反応系内のpH及び温度を特定値に制御して炭酸化反応を行うことにより、母材バテライト型炭酸カルシウムを基材とし、任意の粒子径及び粒子形を有する分散性の良好なバテライト型炭酸カルシウムを容易且つ安定に製造できることを見いだした(特願平3−81532)。
【0015】
この方法により、任意の粒子径を有する球状粒子、ラグビーボール状楕円球状粒子、碁石状楕円球状粒子、板状粒子等のバテライト型炭酸カルシウムの調製が可能となったものの、上記方法によって調製されるバテライト型炭酸カルシウム中には、均一な粒子径を有する基本粒子に混じり、通常の粒度分布測定機では測定しえない程度の微量の粗大粒子が混在している場合が多く、特に該粗大粒子の大きさが基本粒子の大きさの3〜4倍の粒子径の場合、該粗大粒子を除去する方法が無いため、この方法で調製されたバテライト型炭酸カルシウムは、例えば極薄のポリエステルフィルムのブロッキング防止剤に使用する等のより高度な工業用途には、充分とはいえなかった。
従って、目的とするバテライト型炭酸カルシウム基本粒子以外の粗大粒子をほとんど含有せず、より正確且つ微妙に粒子成長及び形態制御が可能なバテライト型炭酸カルシウムの形態制御、粒子成長方法の開発が期待されていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑み、基本粒子以外の粗大粒子をほとんど含有せず、正確且つ微妙に粒子成長及び形態制御が可能なバテライト型炭酸カルシウムの形態制御、粒子成長方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究の結果、バテライト型炭酸カルシウムを母材とし、メタノールと母材バテライト型炭酸カルシウムと水の特定の混合系を調製し、炭酸化反応を行うにあたり、炭酸化反応系内の電気伝導度、pH及び温度が特定値で制御して炭酸化反応を行うことにより、母材バテライト型炭酸カルシウムを基材とし、任意の粒子径及び粒子形を有する、分散性の良好な、且つ粗大粒子がほとんど混在しないバテライト型炭酸カルシウムを容易且つ安定的に製造できることを見いだした。本発明は、これらの新しい知見に基づいて完成されたものである。
【0018】
即ち、本発明は、下記(ア)、(イ)の条件を具備するとともに、母材となるバテライト型炭酸カルシウムとメタノールと水と生石灰及び/又は消石灰とからなる混合系に二酸化炭素を導通し、炭酸化反応系内のpHを5.6〜11.5、温度を15〜60℃に制御し、且つ炭酸化反応系内の電気伝導度を2〜1000μSの範囲に制御して炭酸化反応を行なうことを特徴とするバテライト型炭酸カルシウムの形態制御、粒子成長方法。
(ア)炭酸化反応系内に存在する水の量が、炭酸化反応系内に存在する炭酸カルシウムと生石灰及び/又は消石灰との生石灰換算値に対し、0.1〜80倍モル相当量であること。
(イ)炭酸化反応系内に存在する炭酸カルシウムと生石灰及び/又は消石灰との生石灰換算固形分濃度が、炭酸化系内に存在するメタノールに対し、0.1〜25重量%であること。
【0019】
以下、本発明をさらに詳述する。
本発明は、母材となるバテライト型炭酸カルシウムと生石灰及び/又は消石灰との生石灰換算固形分濃度がメタノールに対し0.1〜25重量%、好ましくは0.5〜12重量%であり、水の量がバテライト型炭酸カルシウムと生石灰及び/又は消石灰との生石灰換算値に対し0.1〜80倍モル相当量、好ましくは1〜30倍モル相当量である、バテライト型炭酸カルシウムとメタノールと水と生石灰及び/又は消石灰とからなる混合系に二酸化炭素を導通し、炭酸化反応系内のpHを5.6〜11.5、好ましくは5.8〜11.3、温度を15〜60℃、好ましくは35〜55℃、電気伝導度を2〜1000μS、好ましくは5〜500μS、より好ましくは5〜150μSに制御して炭酸化反応を行うことにより達成される。
【0020】
母材となるバテライト型炭酸カルシウムと生石灰及び/又は消石灰との生石灰換算固形分濃度がメタノールに対し0.1重量%未満の場合、単位メタノール必要量が増大し不経済であるばかりではなく、以降の炭酸化反応工程における反応条件のコントロールが困難になるため、本発明のバテライト炭酸カルシウムの収率が非常に悪くなる傾向がある。また25重量%を越える場合、生石灰及び/又は消石灰の水とメタノール混合スラリーが非常に高粘度になり、ハンドリングが困難になるばかりでなく、炭酸化反応系内の炭酸化条件を特定の値に制御することが困難となり、本発明を達成することができない。
【0021】
水の量がバテライト型炭酸カルシウムと生石灰及び/又は消石灰との生石灰換算値に対し0.1倍モル未満の場合、炭酸化反応速度が極めて遅くなり、経済的に不利になるばかりではなく、炭酸化反応系内の反応条件の制御も困難となる。また80倍モルを越えるの場合、本発明のバテライト炭酸カルシウム以外にカルサイト、アラゴナイト等の結晶型の炭酸カルシウムが多数混在する炭酸カルシウムが得られることになり好ましくない。
【0022】
炭酸化反応系内の電気伝導度が2μS未満の場合、本発明の目的は達成されるものの反応速度が極端に遅くなり、炭酸化反応所要時間が極めて長くなるため、好ましい方法とは言えない。また、1000μSを越える場合、所望のバテライト型炭酸カルシウム基本粒子中に粗大粒子が混在することになり、好ましくない。
【0023】
炭酸化反応系内のpHが5.6未満の場合、炭酸化反応系内に過剰の二酸化炭素を導通する必要があり不経済であるため好ましい方法とは言えない。また炭酸化反応系内のpHが11.5を越える場合、母材バテライト型炭酸カルシウム表面に新規なバテライト型炭酸カルシウムが析出せず、母材バテライト型炭酸カルシウムの粒子成長、形態変化が起こらない。
【0024】
炭酸化反応系内の温度に関しては、15℃未満においては母材バテライト型炭酸カルシウム表面に新規なバテライト型炭酸カルシウムが析出しにくく、得られる炭酸カルシウムの粒子の形態が不均一になる傾向があり、好ましくない。また温度が60℃を越える場合、反応容器として耐圧型反応器を用いる必要が生じ、経済的に好ましいとは言えない。
【0025】
母材となるバテライト型炭酸カルシウムは、その分散性が本発明の方法によって調製されるバテライト型炭酸カルシウムの品質特性に大きく影響するため、特に良好な分散性を要求される分野に使用されるバテライト型炭酸カルシウムを調製するためには、下記の(a)〜(g)の要件を共に具備する球状、楕円球状、板状バテライト型炭酸カルシウムを母材として使用するのが好ましい。
(a)0.05μm≦DS1≦2.0μm
(b)0.04μm≦DS2≦2.0μm
(c)1.0≦DS1/DS2≦20
(d)DP3/DS1≦1.25
(e)1.0≦DP2/DP4≦2.5
(f)1.0≦DP1/DP5≦4.0
(g)(DP2−DP4)/DP3≦1.0
但し、
DS1:走査型電子顕微鏡(SEM)により調べた1次粒子の長径の平均粒子径(μm)
DS2:上記顕微鏡により調べた1次粒子の短径の平均粒子径(μm)
DP1:光透過式粒度分布測定機(島津製作所製SA−CP3)を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計10%の時の粒子径(μm)
DP2:上記測定機を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計25%の時の粒子径(μm)
DP3:上記測定機を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計50%の時の粒子径(μm)
DP4:上記測定機を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計75%の時の粒子径(μm)
DP5:上記測定機を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計90%の時の粒子径(μm)
【0026】
消石灰のみを用いた場合でも本発明の目的とする炭酸カルシウムは得られるが、生石灰を原料とする場合と比較し、炭酸化反応工程における反応条件の許容幅が非常に狭くなりやすく、炭酸化反応終了後得られる炭酸カルシウム中のバテライト型炭酸カルシウムの含有率が低下しやすく、また、経時安定性に問題のあるバテライト型炭酸カルシウムが得られる場合があるため、前述のメタノール懸濁液の調製には、好ましくは生石灰と消石灰との混合物、より好ましくは生石灰を使用するのが良い。
生石灰が好ましい理由については必ずしも明らかではないが、通常の生石灰−水系反応で行われるような、先ず生石灰が消石灰になり、消石灰と二酸化炭素とにより炭酸カルシウムになるのではなく、本発明の生石灰−メタノール−水系反応においてはカルシウムメトキシドのような有機カルシウムが生成し、該有機カルシウムと二酸化炭素との反応により炭酸カルシウムになることに因るものと推定される。
【0027】
生石灰の好ましい活性度は80以上であり、以下の方法で測定される。
活性度:
1000ccのビーカーに40℃の脱イオン水500mlを入れ、攪拌機で攪拌しながらフェノールフタレイン2〜3滴を加えた後、生石灰10gを一挙に投入すると同時に、ストップウオッチで計時を始める。1分経過後から、溶液がわずかに赤味を呈するのを持続するよう、4N−HClを継続して滴下する。1分ごとにそれまでの4N−HClの滴下量を記録し、20分間この作業を続ける。活性度は10分経過後の累積滴下量(ml)をもって表示する。
【0028】
本発明で使用される生石灰及び消石灰は、一定の粒度に調整するため、乾式粉砕機を用いての乾式粉砕、または湿式粉砕機を用いた生石灰、消石灰のメタノール懸濁液の湿式解砕を行った後使用するのが好ましい。
【0029】
本発明を実施する方法については、前述した条件を満たす限り特に制限は無い。例えば、▲1▼前述した条件を満たす範囲で調製された、母材となるバテライト型炭酸カルシウとメタノールと水と生石灰及び/又は消石灰とからなる混合系に二酸化炭素を導通する方法、▲2▼該混合系を二酸化炭素中に噴霧する方法、▲3▼母材となるバテライト型炭酸カルシウムのメタノール懸濁液にメタノールと水と生石灰及び/又は消石灰とからなる混合系を滴下する方法、▲4▼母材バテライト型炭酸カルシウムとメタノールと水とからなる混合系に、生石灰及び/又は消石灰のメタノールの懸濁液を滴下する方法、▲5▼母材バテライト型炭酸カルシウムとメタノールと水とからなる混合系に、メタノールと水と生石灰及び/又は消石灰とからなる混合系を滴下する方法、等の方法が用いられる。上記方法の内、▲5▼の方法について、以下に説明する。
【0030】
バテライト型炭酸カルシウムを母材とし、該母材バテライト型炭酸カルシウムの固形分濃度が生石灰換算固形分濃度として0.1〜25重量%である該母材バテライト型炭酸カルシウムのメタノール懸濁液に、該母材バテライト型炭酸カルシウムの生石灰換算値に対し0.1〜80倍モル相当量の水を加え調製される、メタノールと母材バテライト型炭酸カルシウムと水とからなる混合系に、二酸化炭素を導通するとともに、生石灰換算濃度が0.1〜25重量%である生石灰及び/又は消石灰のメタノール懸濁液に、生石灰(消石灰の場合同一モルの生石灰に換算)に対し0.1〜80倍モル相当量の水を加え調製された、メタノールと生石灰及び/又は消石灰と水とからなる混合系を滴下し、炭酸化反応系内のpHを5.6〜11.5、温度を15〜60℃、電気伝導度を2〜1000μSに制御して炭酸化反応を行えば良い。
まず、母材となるバテライト型炭酸カルシウムをメタノール中に投入し、該母材バテライト型炭酸カルシウムのメタノール懸濁液を調製する。該母材バテライト型炭酸カルシウムの固形分濃度は生石灰換算固形分濃度として0.1〜25重量%、好ましくは0.5〜12重量%、より好ましくは1〜8重量%であればよい。
次に、該母材バテライト型炭酸カルシウムの生石灰換算値に対し0.1〜80倍モル相当量、好ましくは1〜30倍モル相当量の水を加え、メタノールと母材バテライト型炭酸カルシウムと水とからなる混合系(以下、混合系M1と記す)を調製する。
【0031】
次に、生石灰粉体及び/又は消石灰粉体をメタノール中に投入し、生石灰及び/又は消石灰のメタノール懸濁液を調製する。生石灰及び/又は消石灰の濃度は、生石灰換算濃度(消石灰の場合同一モルの生石灰に換算した濃度、以下、生石灰濃度と略称する)としてメタノールに対し0.1〜25重量%、好ましくは0.5〜12重量%、より好ましくは1〜8重量%であればよい。
次に、この生石灰及び/又は消石灰のメタノール懸濁液に、生石灰に対して0.1〜80倍モル相当量の水、好ましくは1〜30倍相当量の水を加え、メタノールと生石灰及び/又は消石灰と水とからなる混合系(以下、混合系M2と記す)を調製する。
【0032】
次に、前述のメタノールと母材バテライト型炭酸カルシウムと水とからなる混合系M1に二酸化炭素を導通すると同時に、上述のメタノールと生石灰及び/又は消石灰と水とからなる混合系M2を滴下し、炭酸化反応を行う。炭酸化反応系内のpHは5.6〜11.5、好ましくは5.8〜11.3、電気伝導度は2〜1000μS、好ましくは5〜500μS、より好ましくは5〜150μSに制御すればよく、また炭酸化系内の温度は15〜60℃、好ましくは35〜55℃に制御して炭酸化反応を行うことにより、本発明を容易に達成することができる。
【0033】
混合系M1に滴下される混合系M2の量は、調製目的のバテライト型炭酸カルシウムの粒子径、粒子形態に応じて適宜選択すればよい。例えば、球状の形態を有するバテライト型炭酸カルシウムを母材として選定し、該混合系M1に、該混合系M1中の母材球状バテライト型炭酸カルシウムの生石灰換算量と同量の生石灰を含有する混合系M2を滴下し、球状粒子成長がおこなわれる反応条件を選定して炭酸化反応を行った場合、母材球状バテライト型炭酸カルシウムの約1.25倍の粒子径を有する新規球状バテライト型炭酸カルシウム粒子が調製される。
【0034】
混合系M1に滴下される混合系M2の滴下速度は、調製目的のバテライト型炭酸カルシウムの粒子径、粒子形態、さらには反応容器の形状、容量等に応じて適宜選択すればよいが、得られるバテライト型炭酸カルシウムの個々の粒子の均一性向上の観点から、前述の条件、つまり混合系M1に、該混合系M1中の母材球状バテライト型炭酸カルシウムの生石灰換算量と同量の生石灰を含有する混合系M2を滴下する場合、滴下時間は好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上になるように滴下速度を調製したほうが良い。
【0035】
また、本発明におけるバテライト型炭酸カルシウム粒子の形態制御方法に関しては、炭酸化反応系内のpHを、前述した本発明の電気伝導度とpH範囲から適宜選択することにより容易に達成することができる。
この電気伝導度とpHに関しては、前述した本発明の電気伝導度とpH範囲であれば特に問題はないが、特に高度の粒子形状の均一性を有し且つ粗大粒子の混在程度の極めて少ないバテライト型炭酸カルシウムの調製を目的とする場合、電気伝導度及びpHが炭酸化反応中に大きく変化することは好ましくなく、共に可能な限り一定値を保持した条件で炭酸化反応を行うのが好ましい。例えば、電気伝導度は、所望のバテライト型炭酸カルシウムを調製するための設定電気伝導度±30μS、pHは、所望のバテライト型炭酸カルシウムを調製するための設定pH±0.3の範囲で制御するのが好ましく、さらに好ましくは電気伝導度は設定電気伝導度±15μS、pHは設定pH±0.15の範囲で制御すればよい。
【0036】
例えば、母材バテライト型炭酸カルシウムとして板状のバテライト型炭酸カルシウムを選択し、炭酸化系内の電気伝導度を30±10μS、pHを9.0±0.1に制御して炭酸化反応を行った場合、得られる新規バテライト型炭酸カルシウムの形状は、母材板状バテライト型炭酸カルシウム粒子とほぼ幾何学的に相似の板状バテライト型炭酸カルシウムであり、また、炭酸化系内の電気伝導度を40±10μS、pHを8.0±0.1に制御して炭酸化反応を行った場合、得られる新規バテライト型炭酸カルシウムの形状は、母材板状バテライト型炭酸カルシウムより肉厚な、アスペクト比が小さな板状バテライト型炭酸カルシウムとなる。更にまた、母材バテライト型炭酸カルシウムとしてラグビーボール状楕円球状のバテライト型炭酸カルシウムを選択し、炭酸化系内の電気伝導度を80±15μS、pHを7.7±0.1に制御して炭酸化反応を行った場合、得られる新規バテライト型炭酸カルシウムの形状は、球状のバテライト型炭酸カルシウムとなる。
【0037】
このようにして本発明により、主として、母材バテライト型炭酸カルシウムの形状、混合系M2の滴下量、炭酸化反応系内の電気伝導度とpHの制御を行うことにより、任意の粒子径を有する任意の形態のバテライト型炭酸カルシウムの調製が可能となり、球状、楕円球状、板状の形態の母材バテライト型炭酸カルシウムを幾何学的に相似に粒子成長させ得ることはもちろん、母材球状バテライト型炭酸カルシウムを楕円球状、板状の形態を有するバテライト型炭酸カルシウムに変化させ得る等の、粒子形態調整が可能となる。
【0038】
また、母材バテライト型炭酸カルシウムとして、特定の良好な分散性を有するバテライト型炭酸カルシウムを採用した場合、得られる新規バテライト型炭酸カルシウムは、電子顕微鏡により測定される平均粒子径と粒度分布測定機により計測される平均粒子径がほとんど近似であるばかりでなく、粒度分布もきわめてシャープであり、分散媒中に凝集せずに単分散された状態のバテライト型炭酸カルシウムが得られる。
【0039】
本発明に使用するメタノールは、乾燥、濃縮等の固液分離の観点から100%メタノールであることが好ましいが、使用するメタノールの重量の20%以下を他のアルコール、例えば炭素数4以下の1価、2価、及び3価アルコールに置換しても差し支えない。
【0040】
本発明のバテライト型炭酸カルシウムを得るための炭酸化反応は、二酸化炭素を用いて実施される。用いられる二酸化炭素は気体である必要はなく、ドライアイス等の固体であってもよい。また石灰石焼成時に発生する廃ガスから得られる濃度30容量%前後の二酸化炭素含有ガスでもよい。更に、炭酸塩化合物からの二酸化炭素であってもよい。
本発明によって、得られたバテライト炭酸カルシウムが分散された分散液を濃縮、脱水等の方法で固液分離を行ない、固液分離により得られるメタノールを再度炭酸カルシウムの合成に用いることができる。
本発明により得られたバテライト型炭酸カルシウム粒子の安定性をさらに高めるために、バテライト炭酸カルシウムの分散液に、カルボン酸又はそのアルカリ塩等を添加することにより、長期間安定な分散性を有するバテライト炭酸カルシウムの分散体を得ることが可能となる。また、分散液中のメタノールを別の有機溶媒に置換することも容易であり、例えば単分散した球状、楕円球状、又は板状バテライト型炭酸カルシウムのエチレングリコールスラリーは、ポリエステル繊維、ポリエステルフィルム等へ応用され、良好なブロッキング防止性を発揮する。
さらにまた、本発明によって得られたバテライト型炭酸カルシウムが分散された分散液に脂肪酸、樹脂酸又はそのアルカリ塩等を添加した後乾燥すれば、分散性のよいバテライト炭酸カルシウム粉体が調製され、塗料、インクの体質顔料、ゴム、プラスチックの充填剤、製紙用の顔料、化粧料用の顔料として良好な光学的特性、力学的特性、良好な流動性や充填性を有する炭酸カルシウムが調製される。
【0041】
本発明における光透過式粒度分布測定機による粒子径の計測は、下記の要領で測定計算されたものである。
測定機種:島津製作所製SA−CP3
測定方法:
溶媒:イオン交換水にポリアクリル酸ソーダ0.004重量%溶解させた水溶液
予備分散:超音波分散100秒
測定温度:25.0℃±2.5℃
計測方法:以下の計算例の通りとする。
粒度分布測定結果(一例)
上記粒度分布測定結果から計算したDP1,2,3,4,5は以下の通りとなる
DP1=2.00+(11.0 −10.0) ×(3.00 −2.00) ÷(11.0 −6.0)=2.20
DP2=0.80+(28.0 −25.0) ×(1.00 −0.80) ÷(28.0 −18.0) =0.86
DP3=0.50+(58.0 −50.0) ×(0.60 −0.50) ÷(58.0 −42.0) =0.55
DP4=0.30+(82.0 −75.0) ×(0.40 −0.30) ÷(82.0 −72.0) =0.37
DP5=0.15+(94.0 −90.0) ×(0.20 −0.15) ÷(94.0 −89.0) =0.19
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、pHの測定は横川電気製 パーソナルpHメーター PH81−11−J、電気伝導度の測定は、東亜電波製 CM−40Sを使用した。
【0043】
参考例1
実施例及び比較例に使用するメタノール懸濁分散体の調製:
活性度が82の粒状生石灰(試薬特級)又は消石灰(試薬特級)を乾式粉砕機(コロプレックス、アルピネ社製)で粉砕し、得られた生石灰粉体又は消石灰粉体をメタノール中に投入し、200メッシュの篩を用いて粗粒を除去した後、生石灰換算で固形分濃度20%の生石灰又は消石灰のメタノール懸濁液を調製した。該メタノール懸濁液を湿式粉砕機(ダイノーミルPILOT型、WAB社製)により解砕処理し、生石灰又は消石灰のメタノール懸濁液分散体2種を調製した。
【0044】
参考例2
母材球状バテライト型炭酸カルシウムA及びそのメタノール−水懸濁液:
参考例1の生石灰のメタノール懸濁液分散体にメタノールを追加添加し、生石灰濃度が3.75重量%となるように希釈し、さらに生石灰に対し6.2倍相当モルの水を添加し、メタノール−生石灰−水の混合系を調製した。200gの生石灰を含有する該混合系を42℃に調整した後、攪拌条件下該混合系中に炭酸ガスを導通し、炭酸化反応を開始した。
その後炭酸化系内のpHが11.3になった時点で炭酸ガスの供給を停止した。その後炭酸化反応系内に残存する炭酸ガスにより炭酸化反応を進行させ、さらに少量の炭酸ガスを系内に間欠的に導通し、炭酸化系内の電気伝導度が最大点に達してから70分後に系内のpHを9.6に到達せしめた。その後系内のpHが若干上昇し始めたため、極少量の炭酸ガスを系内に間欠的に導通し、系内pHを9.6±0.1で50分間制御せしめた。その後、系内に調製された粒子をSEM写真で確認し、球状の粒子であることを確認した後、系内に再度炭酸ガスを導通し、系内のpHを7.0に調製し母材球状バテライト型炭酸カルシウムAのメタノール−水懸濁液を得た。
母材球状バテライト型炭酸カルシウムAの物性を表1に、走査型電子顕微鏡による写真(10000倍)を図1に示す。
【0045】
参考例3
母材ラグビーボール状楕円球状バテライト型炭酸カルシウムB及びそのメタノール−水懸濁液:
参考例2と同様の方法で炭酸化反応を開始した。その後、系内のpHが7.0に達した時炭酸ガスの導通速度を停止した。その後炭酸化反応系内に残存する炭酸ガスにより炭酸化反応を進行させ、さらに少量の炭酸ガスを系内に間欠的に導通し、炭酸化系内の電気伝導度が最大点に達してから25分後に系内のpHを6.7に到達せしめた。
その後系内のpHが若干上昇し始めたため、極少量の炭酸ガスを系内に間欠的に導通し、系内pHを6.7±0.2で10分間制御せしめ、母材楕円球状バテライト型炭酸カルシウムBのメタノール−水懸濁液を得た。
母材楕円球状バテライト型炭酸カルシウムBの物性を表1に、走査型電子顕微鏡による写真(10000倍)を図2に示す。
【0046】
参考例4
母材板状バテライト型炭酸カルシウムC及びそのメタノール−水懸濁液:
参考例2と同様の方法で炭酸化反応を開始した。その後、系内のpHが11.3に達した時炭酸ガスの導通速度を停止した。その後炭酸化反応系内に残存する炭酸ガスにより炭酸化反応を進行させ、さらに少量の炭酸ガスを系内に間欠的に導通し、炭酸化系内の電気伝導度が最大点に達してから40分後に系内のpHを11.0に到達せしめた。
その後系内のpHが若干上昇し始めたため、極少量の炭酸ガスを系内に間欠的に導通し、系内pHを11.0±0.2で190分間制御せしめた。その後、系内に再度炭酸ガスを導通し、系内のpHを7.0に調整し、板状バテライト型炭酸カルシウムCのメタノール−水の懸濁液を得た。
母材板状バテライト型炭酸カルシウムCの物性を表1に、走査型電子顕微鏡による写真(10000倍)を図3に示す。
【0047】
実施例1
参考例1の生石灰のメタノール懸濁液分散体にメタノールを追加添加し、生石灰濃度が3.75重量%となるように希釈し、さらに生石灰に対し6.2倍相当モルの水を添加し、メタノール−生石灰−水の混合系を調製した。200gの生石灰を含有する該混合系を採取し、該混合系を参考例2の母材球状バテライト型炭酸カルシウムAのメタノール−水懸濁液中に滴下し、同時に炭酸ガスを導通せしめ炭酸化反応を行った。
炭酸化反応系内温度は44±1℃、炭酸化系内のpHは7.7±0.1、炭酸化系内の電気伝導度は60±10μSに制御して炭酸化反応を行い、滴下炭酸化反応開始から約3時間後に滴下炭酸化反応を終了した。
本実施例1によって調製された炭酸カルシウムは、X線回析測定の結果、100%バテライト構造を有する炭酸カルシウムであった。
本実施例1で得られた炭酸カルシウムは、粒子の大きさが極めて均一であり、且つ母材として用いた球状バテライト型炭酸カルシウムAの約1.25倍の粒子径を有する幾何学的に相似な球状バテライト型炭酸カルシウムであり、粗大粒子の混在が殆ど無く、その分散性は極めて良好であった。
本実施例1の炭酸カルシウムの調製条件を表2に、物性を表4に、走査型電子顕微鏡による写真(10000倍)を図4に示す。
【0048】
実施例2
参考例1の生石灰のメタノール懸濁液分散体にメタノールを追加添加し、生石灰濃度が3.75重量%となるように希釈し、さらに生石灰に対し6.2倍相当モルの水を添加し、メタノール−生石灰−水の混合系を調製した。1600gの生石灰を含有する該混合系を採取し、該混合系を参考例2の母材球状バテライト型炭酸カルシウムAのメタノール−水懸濁液中に滴下し、同時に炭酸ガスを導通せしめ炭酸化反応を行った。
炭酸化反応系内温度は44±1℃、炭酸化系内のpHは8.8±0.1、炭酸化系内の電気伝導度は60±10μSに制御して炭酸化反応を行い、滴下炭酸化反応開始から約8時間後に滴下炭酸化反応を終了した。
本実施例2によって調製された炭酸カルシウムは、X線回析測定の結果、100%バテライト構造を有する炭酸カルシウムであった。
本実施例2で得られた炭酸カルシウムは、粒子の大きさが極めて均一であり、且つ母材として用いた球状バテライト型炭酸カルシウムAの約2.15倍の粒子径を有する幾何学的に相似な球状バテライト型炭酸カルシウムであり、粗大粒子の混在が殆ど無く、その分散性は極めて良好であった。
本実施例2の炭酸カルシウムの調製条件を表2に、物性を表4に、走査型電子顕微鏡による写真(10000倍)を図5に示す。
【0049】
実施例3
実施例2において、参考例2のメタノール−水懸濁液を参考例3のメタノール−水懸濁液に変更し、さらに炭酸化系内の電気伝導度60±10μSを80±10μSに変更した他は実施例2と同様の方法で炭酸化反応を行った。滴下炭酸化反応開始から約6時間後に滴下炭酸化反応を終了した。
本実施例3によって調製された炭酸カルシウムは、X線回析測定の結果、100%バテライト構造を有する炭酸カルシウムであった。
本実施例3で得られた炭酸カルシウムは、粒子の大きさが極めて均一な球状バテライト型炭酸カルシウムであり、粗大粒子の混在が殆ど無く、その分散性は極めて良好であった。
本実施例3の炭酸カルシウムの調製条件を表2に、物性を表4に示す。
【0050】
実施例4
実施例1において、参考例2のメタノール−水懸濁液を参考例4のメタノール−水懸濁液に変更し、且つ炭酸化系内の電気伝導度60±10μSを30±10μSに、炭酸化反応系内のpH7.7±0.1を9.0±0.1に変更した他は実施例1と同様の方法で炭酸化反応を行った。
本実施例4によって調製された炭酸カルシウムは、X線回析測定の結果、100%バテライト構造を有する炭酸カルシウムであった。
本実施例4で得られた炭酸カルシウムは、粒子の大きさが極めて均一であり、且つ母材として用いた板状バテライト型炭酸カルシウムCの約1.25倍の粒子径を有する幾何学的に相似な板状バテライト型炭酸カルシウムであり、粗大粒子の混在が殆ど無く、その分散性は極めて良好であった。
本実施例4の炭酸カルシウムの調製条件を表2に、物性を表4に、走査型電子顕微鏡による写真(10000倍)を図6に示す。
【0051】
実施例5
実施例4において、炭酸化系内の電気伝導度30±10μSを40±10μSに、炭酸化系内のpH9.0±0.1を8.0±0.1に変更した他は実施例4と同様の方法で炭酸化反応を行った。
本実施例5によって調製された炭酸カルシウムは、X線回析測定の結果、100%バテライト構造を有する炭酸カルシウムであった。
本実施例5で得られた炭酸カルシウムは、粒子の大きさが極めて均一な板状炭酸カルシウムであり、その形状は母材として用いたバテライト型炭酸カルシウムCと比較し、厚みの大きい板状バテライト型炭酸カルシウムであり、粗大粒子の混在が殆ど無く、その分散性は極めて良好であった。
本実施例5の炭酸カルシウムの調製条件を表2に、物性を表4に示す。
【0052】
実施例6
実施例1において、炭酸化系内の電気伝導度60±10μSを40±10μSに変更した他は実施例1と同様の方法で炭酸化反応を行った。滴下炭酸化反応開始から約4時間後に滴下炭酸化反応を終了した。
本実施例6によって調製された炭酸カルシウムは、X線回析測定の結果、100%バテライト構造を有する炭酸カルシウムであった。
本実施例6で得られた炭酸カルシウムは、粒子の大きさが極めて均一な碁石状楕円球状バテライト型炭酸カルシウムであり、粗大粒子の混在が殆ど無く、その分散性は極めて良好であった。
本実施例6の炭酸カルシウムの調製条件を表2に、物性を表5に示す。
【0053】
実施例7
実施例1において、参考例2のメタノール−水懸濁液を参考例3のメタノール−水懸濁液に変更し、さらに炭酸化系内の電気伝導度60±10μSを80±10μSに変更した他は実施例1と同様の方法で炭酸化反応を行った。滴下炭酸化反応開始から約2.5時間後に滴下炭酸化反応を終了した。
本実施例7によって調製された炭酸カルシウムは、X線回析測定の結果、100%バテライト構造を有する炭酸カルシウムであった。
本実施例7で得られた炭酸カルシウムは、粒子の大きさが極めて均一な球状に近いラグビーボール状楕円球状バテライト型炭酸カルシウムであり、粗大粒子の混在が殆ど無く、その分散性は極めて良好であった。
本実施例7の炭酸カルシウムの調製条件を表2に、物性を表5に、走査型電子顕微鏡による写真(10000倍)を図7に示す。
【0054】
実施例8
実施例2において、使用するメタノール−生石灰−水の混合系を、参考例1の生石灰としての固形分濃度が20重量%の生石灰のメタノール懸濁液分散体に生石灰に対し1.65倍相当モルの水を添加して調製するメタノール−生石灰−水の混合系に、炭酸化系内の電気伝導度60±10μSを50〜450μSに、炭酸化系内のpH7.7±0.1を7.0〜9.0に変更した他は実施例2と同様の方法で炭酸化反応を行った。
本実施例8によって調製された炭酸カルシウムは、X線回析測定の結果、100%バテライト構造を有する炭酸カルシウムであった。
本実施例8で得られた炭酸カルシウムは、粒子の大きさが極めて均一であり、且つ母材として用いた球状バテライト型炭酸カルシウムAの約2.15倍の粒子径を有する幾何学的に相似な球状バテライト型炭酸カルシウムであり、粗大粒子の混在が殆ど無く、その分散性は極めて良好であった。
本実施例8の炭酸カルシウムの調製条件を表2に、物性を表5に示す。
【0055】
実施例9
実施例8において、使用する参考例2の母材球状バテライト型炭酸カルシウムAのメタノール−水懸濁液を、該母材球状バテライト型炭酸カルシウムAのメタノール−水懸濁液にメタノール及び水を添加し、全メタノールに対する炭酸カルシウムAの生石灰換算濃度が0.75重量%、母材炭酸カルシウムAに対する水の総量が44倍相当モルに調製した母材球状バテライト型炭酸カルシウムAのメタノール−水懸濁液に変更した他は実施例8と同様の方法で炭酸化反応を行った。
本実施例9によって調製された炭酸カルシウムは、X線回析測定の結果、100%バテライト構造を有する炭酸カルシウムであった。
本実施例9で得られた炭酸カルシウムは、粒子の大きさが極めて均一であり、且つ母材として用いた球状バテライト型炭酸カルシウムAの約2.15倍の粒子径を有する幾何学的に相似な球状バテライト型炭酸カルシウムであり、粗大粒子の混在が殆ど無く、その分散性は極めて良好であった。
本実施例9の炭酸カルシウムの調製条件を表2に、物性を表5に示す。
【0056】
比較例1
実施例1において、炭酸化反応系内温度44±1℃を37±1℃に、炭酸化反応系内の電気伝導度60±10μSを5〜300μSに、炭酸化反応系内のpH7.7±0.1を11.7±0.1に変更した他は実施例1と同様の方法で炭酸化反応を行った。
本比較例1で得られた炭酸カルシウムは0.1μm以下の粒子径を有する非常に微細な炭酸カルシウムを多数含有する、粒子の大きさが不均一な炭酸カルシウムであり、また粒子形状も球状、板状、楕円球状炭酸カルシウムが混在する不均一な炭酸カルシウムであり、母材として用いた球状バテライト型炭酸カルシウムに粒子成長は見られなかった。
本比較例1の炭酸カルシウムの調製条件を表3に、物性を表6に示す。
【0057】
比較例2
実施例1において、炭酸化反応系内温度44±1℃を5±1℃に、炭酸化反応系内の電気伝導度60±10μSを5〜300μSに変更した他は実施例1と同様の方法で炭酸化反応を行った。
しかし、炭酸化反応中において炭酸化反応系内が増粘し反応系内の攪拌、炭酸ガスの導通、炭酸化反応系内のpHのコントロール等の反応条件の制御が不可能となり、炭酸化反応を中止した。
本比較例2の炭酸カルシウムの調製条件を表3に示す。
【0058】
比較例3
参考例2のメタノール−水懸濁液にさらに水を添加し、母材球状バテライト型炭酸カルシウムAの生石灰換算値に対し、水の量が100倍相当モル存在する、母材球状バテライト型炭酸カルシウムAのメタノール−水懸濁液を調製した。
また、参考例1の生石灰のメタノール懸濁液分散体にメタノールを追加添加し、生石灰濃度が3.75重量%となるように希釈し、さらに生石灰に対し100倍相当モルの水を添加し、メタノール−生石灰−水の混合系を調製した。1600gの生石灰を含有する該混合系を採取し、該混合系を前述の母材球状バテライト型炭酸カルシウムAの生石灰換算値に対し、水の量が100倍相当モル存在する、母材球状バテライト型炭酸カルシウムAのメタノール−水懸濁液中に滴下し、同時に炭酸ガスを導通せしめ、実施例2と同じ滴下炭酸化条件下において炭酸化反応を行った。
本比較例3で得られた炭酸カルシウムは、母材として用いた球状バテライト型炭酸カルシウムが粒子成長した球状バテライト型炭酸カルシウムも含有されているが、その他針状結晶であるアラゴナイト型炭酸カルシウム、立方体状結晶であるカルサイト型炭酸カルシウムの大きな凝集物を多数混在した炭酸カルシウムであった。
本比較例3の炭酸カルシウムの調製条件を表3に、物性を表6に示す。
【0059】
比較例4
実施例2において、炭酸化反応系内の電気伝導度60±10μSを50〜2000μSに、炭酸化反応系内のpH7.7±0.1を8.0〜10.0に変更した他は実施例2と同様の方法で炭酸化反応を行った。
本比較例4によって調製された炭酸カルシウムは、X線回析測定の結果、100%バテライト構造を有する炭酸カルシウムであった。
本比較例4で得られた炭酸カルシウムは、母材として用いた球状バテライト型炭酸カルシウムが粒子成長した球状バテライト型炭酸カルシウムも含有されているが、粒子径が実施例2で得られた炭酸カルシウムと比較して不均一であり、また母材として用いた球状バテライト型炭酸カルシウムとは形状の異なる紡錘形状の粗大粒子が混在していた。
本比較例4の炭酸カルシウムの調製条件を表3に、物性を表6に、走査型電子顕微鏡による写真(10000倍)を図8に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
炭酸化条件1:炭酸化反応系内に存在する炭酸カルシウムと生石灰又は消石灰の生石灰換算値に対する炭酸化反応系内に存在する水の量(倍モル)。
炭酸化条件2:炭酸化系内に存在するメタノールに対する炭酸化反応系内に存在する炭酸カルシウム、生石灰又は消石灰の生石灰換算固形分濃度(重量%)
炭酸化条件3:炭酸化反応系内の電気伝導度(μS)
炭酸化条件4:炭酸化反応系内のpH
炭酸化条件5:炭酸化反応系内の温度(℃)
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
粗大粒子の判定方法
走査型顕微鏡(日立製作所製 S−510型)を用い、倍率3000倍で、ランダムな10視野のSEM写真を撮影し、写真中の基本となるバテライト型炭酸カルシウムの長径の3倍以上の長径を有する粒子を粗大粒子とし、該粗大粒子の合計数を、下記5段階判定で評価した。
◎:粗大粒子の合計数が0〜5個
〇:粗大粒子の合計数が6〜10個
△:粗大粒子の合計数が11〜20個
×:粗大粒子の合計数が21〜40個
××:粗大粒子の合計数が41個以上
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】
【発明の効果】
叙上の通り、本発明によれば、母材バテライト型炭酸カルシウムを基材として、任意の粒子径及び粒子形を有する、分散性に優れ且つ粗粒子が殆ど混在しないバテライト型炭酸カルシウムを、容易且つ安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例2で得られた母材球状バテライト型炭酸カルシウムAの粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図2】参考例3で得られた母材ラグビーボール状楕円球状バテライト型炭酸カルシウムBの粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図3】参考例4で得られた母材板状バテライト型炭酸カルシウムCの粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1で得られた球状バテライト型炭酸カルシウムの粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例2で得られた球状バテライト型炭酸カルシウムの粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例4で得られた板状バテライト型炭酸カルシウムの粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図7】実施例7で得られたラグビーボール状楕円球状バテライト型炭酸カルシウムの粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図8】比較例4で得られたバテライト型炭酸カルシウムの粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
Claims (7)
- 下記(ア)、(イ)の条件を具備するとともに、母材となるバテライト型炭酸カルシウムとメタノールと水と生石灰及び/又は消石灰とからなる混合系に二酸化炭素を導通し、炭酸化反応系内のpHを5.6〜11.5、温度を15〜60℃に制御し、且つ炭酸化反応系内の電気伝導度を2〜1000μSの範囲に制御して炭酸化反応を行なうことを特徴とするバテライト型炭酸カルシウムの形態制御・粒子成長方法。
(ア)炭酸化反応系内に存在する水の量が、炭酸化反応系内に存在する炭酸カルシウムと生石灰及び/又は消石灰との生石灰換算値に対し、0.1〜80倍モル相当量であること。
(イ)炭酸化反応系内に存在する炭酸カルシウムと生石灰及び/又は消石灰との生石灰換算固形分濃度が、炭酸化系内に存在するメタノールに対し、0.1〜25重量%であること。 - 母材バテライト型炭酸カルシウムの固形分濃度が生石灰換算固形分濃度として0.1〜25重量%である該母材バテライト型炭酸カルシウムのメタノール懸濁液に、該母材バテライト型炭酸カルシウムの生石灰換算値に対し0.1〜80倍モル相当量の水を加え調製される、メタノールと母材バテライト型炭酸カルシウムと水とからなる混合系に二酸化炭素を導通するとともに、生石灰換算濃度が0.1〜25重量%である生石灰及び/又は消石灰のメタノール懸濁液に、生石灰(消石灰の場合は同一モルの生石灰に換算)に対し0.1〜80倍モル相当量の水を加え調製された、メタノールと生石灰及び/又は消石灰と水とからなる混合系を滴下し、炭酸化反応系内のpHを5.6〜11.5、温度を15〜60℃に制御し、且つ炭酸化反応系内の電気伝導度を2〜1000μSの範囲に制御して炭酸化反応を行う請求項1記載の方法。
- 炭酸化反応系内のpHを5.8〜11.3に制御して炭酸化反応を行う請求項1又は2記載の方法。
- 母材バテライト型炭酸カルシウムが、下記(a)〜(g)の要件を具備する球状、ラグビーボール状楕円球状、碁石状楕円球状又は板状形態を有するバテライト型炭酸カルシウムである請求項1又は2記載の方法。
(a)0.05μm≦DS1≦2.0μm
(b)0.04μm≦DS2≦2.0μm
(c)1.0≦DS1/DS2≦20
(d)DP3/DS1≦1.25
(e)1.0≦DP2/DP4≦2.5
(f)1.0≦DP1/DP5≦4.0
(g)(DP2−DP4)/DP3≦1.0
但し、
DS1:走査型電子顕微鏡(SEM)により調べた1次粒子の長径の平均粒子径(μm)
DS2:上記顕微鏡により調べた1次粒子の短径の平均粒子径(μm)
DP1:光透過式粒度分布測定機(島津製作所製SA−CP3)を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計10%の時の粒子径(μm)
DP2:上記測定機を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計25%の時の粒子径(μm)
DP3:上記測定機を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計50%の時の粒子径(μm)
DP4:上記測定機を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計75%の時の粒子径(μm)
DP5:上記測定機を用いて測定した粒度分布において、大きな粒子径側から起算した重量累計90%の時の粒子径(μm) - 炭酸化反応系内の温度を35〜55℃に制御して炭酸化反応を行う請求項1又は2記載の方法。
- 炭酸化反応系内の電気伝導度を5〜500μSの範囲に制御して炭酸化反応を行う請求項1又は2記載の方法。
- 炭酸化反応系内の電気伝導度を5〜150μSの範囲に制御して炭酸化反応を行う請求項1又は2記載の方法。
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