JP3768446B2 - 熔断シール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチックフィルムの熔断シール装置及びそのシール方法に関し、特に大気分析の三点比較式臭袋法で使用するポリエステルフィルム製の袋の熔断シール装置及びその熔断シール方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の大気分析の三点比較式臭袋法で使用されるポリエステルフィルム製の袋は、ポリエステルフィルムを2枚乃至数枚重ね合わせ、その重ね合わせたフィルムの重合縁を、一対の狭圧部で挟みこみ融着する方法にて製造するインパルスシール機により製造されている。そして、このインパルスシール機の狭圧部の一方には、狭圧されたフィルムの重合縁を熱融着させるための熱源である電熱体が設けられている。この発熱体は、直接フィルムに接するように構成されているものやフッ素樹脂製のカバーが設けられているものが存在する。
【0003】
ここで、大気分析の三点比較式臭袋法とは、3個のにおい袋に無臭空気を入れ、その中の1個に所定の希釈倍数になるように臭気(原臭)を注入し、パネルがこれら3個のにおいを嗅ぎ、どれが臭うかを判断して、臭気指数及び臭気濃度を測定する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のプラスチックフィルム中でも特にポリエステルフィルムの熔断シール装置及び熔断シール方法においては次のような問題があった。
大気分析の三点比較式臭袋法で使用されるポリエステル製の袋は、臭気分析のために使用されるものである為、袋内が無臭であることが要求される。しかしながら、従来のインパルスシール装置では、電熱体をフッ素樹脂製のカバーで覆っている構造や直接電熱体がポリエステルフィルムに触れるような構造になっていたり、ポリエステルフィルムを固定してから電熱線に電源が入る構造になっている為、ポリエステルフィルムが加工時に電熱体を覆うフッ素樹脂製のカバーや電熱体自体により影響を受け加工臭を発することがたびたび発生していた。そして、この加工臭が発生すると、製造された袋内にこの加工臭が混入してしまう為、製造された袋を使用することができなくなり、不良品として扱われる場合も多かった。
【0005】
また、直接電熱体をポリエステルフィルムに触れないようにする為、フッ素樹脂製のカバーを使用しているインパルスシール機にあっては、電熱体の温度をあまり上げられないという問題がある。これでは、熱融着の際に高い温度が必要とされるポリエステルフィルムを融着する為の温度が不足してしまう。その結果、このようなインパルスシール機ではシール部の強度を上げることができない為、シール部分がはがれ易いという問題や、融着させるポリエステルフィルムの厚み幅が増すと加工が困難となるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、ポリエステルフィルム製の袋の製造時に加工臭を生じさないため加工臭が製造された袋に混入しないと共に、シール部が容易に離れない強度を有するポリエステルフィルム製の袋の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る熔断シール装置は、基台部と昇降部とで所望数枚のプラスチックフィルムを挟持し、電熱線によりプラスチックフィルムを熔断シールする熔断シール装置であって、前記基台部は、所定の空間を開けて配した左右一対の基板を備え、前記昇降部は、ボルト固定部を内側に向かい合うように夫々備えた2つの昇降部本体と、前記基台部の基板と対向するように所定の空間を開けて配した左右一対の昇降板と、当該昇降板を当該ボルト固定部に取り付ける昇降板固定用ボルトと、当該昇降部の上下方向の移動に伴って両昇降板の空間を通過するように配した電熱線とを備え、当該昇降板固定用ボルトには、前記ボルト固定部と前記左右一対の昇降板との間にフィルム固定用スプリングが夫々取り付けられ、当該電熱線は、両昇降板の両端部近傍に固定した2本の支柱に上下方向に移動自在に取り付けられた2つの昇降部本体に亘って張設されると共に、当該電熱線の両端は、当該昇降部本体に設けられた絶縁体に取り付けられた電熱線固定用ボルトに取り付けられ、当該電熱線固定用ボルトには、当該絶縁体の外側に電熱線固定用スプリングが夫々取り付けられたものであって、前記基板と前記昇降板とでプラスチックフィルムを挟持し、左右の基板の間・左右の昇降板の間に露出しているプラスチックフィルムの所定部分に電熱線を近接させ、更にプラスチックフィルムの下方に移動させることで、プラスチックフィルムを熔断しシールすることを特徴とする。
【0008】
また、前記基台部の両基板の間・前記昇降部の両昇降板の間に生じている空間の幅を調整するために、両基板及び両昇降板の取付位置を調整する位置決め機構を備えると良い。
【0010】
また、前記電熱線は、昇降部の両昇降板と固定されている基台部の両基板とでプラスチックフィルムを挟持した状態で、昇降部本体が更に下方に移動した場合、昇降部本体において両昇降板が若干上方に移動可能であり、プラスチックフィルムを挟持している両昇降板及び両基板の下方に電熱線が位置すると良い。
【0011】
また、本発明による熔断シール方法は、基台部と昇降部とでプラスチックフィルムを挟持しプラスチックフィルムを熔断しシールするプラスチックフィルムの熔断シール方法であって、基台部の左右一対の基板と昇降部の左右一対の昇降板とを所定の空間を開けて配する位置決め工程と、プラスチックフィルムを所望枚数重ねて基台部の左右一対の基板に跨らせて乗せる工程と、昇降部を基台に向って下降させ、両基板と両昇降板とでプラスッチクフィルムを挟持する工程と、左右の基板の間・左右の昇降板の間に生じている所定の空間に電熱線を通過させる工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を、図面に基づき詳述する。ここで、図1は、本実施の形態に係るシール装置の全体を示す全体図、図2は、本実施の形態に係るシール装置の一部を省略した平面図、図3は、本実施の形態に係るシール装置の一部を省略した切りかけ側面図、図4(a)〜(f)は、本実施の形態に係るシール装置によるシール方法の作業工程を示す図である。
【0013】
図1乃至図4に示すように、熔断シール機1は、基台部2と、昇降部3と、作業台4と、足踏みペダル5と、棒体6と、接続部7とから構成される。
【0014】
基台部2は、ポリエステルフィルムを固定するための、所定の空間を開けて配された右基板21a及び左基板21bを備える。これら右基板21a及び左基板21bは略長板状に形成され、これら左右の基板21a,21bの長手方向の両端部側に夫々外側に向って突出した基板固定脚22a,22bが設けられている。この基板固定脚22a,22bには、左右の基板21a,21bを作業台4に固定するためにボルトを取り付けるボルト移動溝23a,23bが夫々設けられ、左右の基台固定用ボルト24a,24bで作業台4に取り付けられている。
【0015】
昇降部3は、作業台4の長手方向端部側に夫々設けられた側面L字形状の支柱41に上下移動可能に設けられている。両支柱41には、夫々昇降部本体35がベアリング等を利用したスライド金具(図示しない)等により上下移動可能に取り付けられている。この両昇降部本体35は、左右方向に長尺状に形成されたボルト固定部34を内側に向かい合うように夫々備えている。そして、左右の昇降板31a,31bが、このボルト固定部34の左右方向に長尺状に形成されたボルト移動孔34に、左右の昇降板固定用ボルト32a,32bを以て左右方向に移動可能に取り付けられている。これら左右の昇降板固定用ボルト32a,32bには、ボルト固定部34と左右の昇降板31a,31bとの間にフィルム固定用スプリング33が夫々取り付けられている。また、左右の昇降板31a,31bは、左右の基板21a,21bと対向するように所定の空間を開けて配されている。なお、左右の昇降板31a,31bは、左右の基板21a,21bよりも若干長くなっており、左右の昇降板31a,31bのボルト取り付け位置は、左右の基板21a,21bの外側に来るように取り付けられている。
【0016】
更に、両昇降部本体35には、電熱線37が左右の昇降板31a,31bの間に生じている空間であって、左右の昇降板31a,31bのやや上方に電熱線37が張設されている。この電熱線37の両端は、両昇降部本体35に設けられた夫々の電源部(図示されていない)の絶縁体36に取り付けられた2つの電熱線固定用ボルト38に取り付けられている。これらの電熱線固定用ボルト38は、両電源部の絶縁体36に挿通する状態で取り付けられ、両電源部の絶縁体36の外側には電熱線固定用スプリング39が夫々取り付けられている。この電熱線固定用スプリング39により、電熱線37が熱により伸びた状態となっても、常に張った状態が維持されるので、電熱線37がたわんだ状態になり難くなり、左右の基板21a,21bの間・左右の昇降板31a,31bの間に生じている空間に正確に電熱線37を通過させることが可能となる。なお、電熱線37は、ニクロム線等を含むものである。
【0017】
作業台4は、4つの脚43を有し、長手方向側の夫々の左右の脚に亘って指示板44が設けられている。この両指示板44に亘って棒体6が取り付けられ、この棒体6の略中央部には足踏みペダル5が取り付けられてている。棒体6の両端部側には、足踏みペダル5の動きを昇降部3に伝えるための側面略L字形状の接続部7が取り付けられている。作業台4の天板42の長手方向両端部側には、接続部7を挿通させるための挿通孔42aが夫々設けられている。そして、この挿通孔42aを介して接続部7が昇降部3の昇降部本体35に取り付けられている。
【0018】
次に、熔断シール機1の作業工程について説明する。
▲1▼作業者は、図4(a)に示すように、左右の基板21a,21bと左右の昇降板31a,31bの間の空間の幅を、ポリエステルフィルムを熔断しシールする幅と量に合せて、同じ幅に調節し、その後熔断シール機1の電源を入れる。
【0019】
具体的には、左右の基板21a,21bは、左右の基台固定用ボルト24a,24bを緩め、左右の基板21a,21bを左右に移動させ所望の位置で固定する。また、左右の昇降板31a,31bに接続された左右の昇降板固定用ボルト32a,32bを緩め、両ボルト固定部34に設けられたボルト移動用孔34aを左右に移動させの所望の位置で固定する。そして、左右の基板21a,21bと左右の昇降板31a,31bの間の幅を合せる。なお、左右の基板21a,21b及び昇降板31a,31bは左右方向に0〜10cm程度移動可能とすると良いが、これに限定されるものではない。
【0020】
▲2▼次に、作業者は、図4(b)に示すように、左右の基板21a,21b上に加工を行うポリエステルフィルムをセットする。
【0021】
▲3▼作業者が、足踏みペダル5を踏み込むと足踏みペダル5に接続された棒体6が回転し、この動きが接続部7に伝わる。すると、接続部7に接続された昇降部3が下方に引張られることとなるため、支柱41に沿って昇降部3全体が下方に向け移動する。昇降部3が下方に移動すると、図4(c)に示すように、左右の基板21a,21b及び左右の昇降板31a,31bが重なり合ったポリエステルフィルムの下面及び上面に夫々当接してポリエステルフィルムを挟持した状態となる。この左右の昇降板31a,31bを固定する左右の昇降板固定用ボルト32a,32bには、フィルム固定用スプリング33が取り付けられているので、これにより、ポリエステルフィルムが均等な力で確実に挟持される。
【0022】
▲4▼更に、足踏みペダル5を踏み込むと、昇降部3全体が更に下方に移動する。この際、左右の昇降板31a,31bは、フィルム固定用スプリング33により左右の基板21a,21bにポリエステルフィルムを介して押圧された状態になるため、昇降部3本体において若干上方に移動することとなる。
【0023】
▲5▼昇降部3全体が更に下方に移動すると、電熱線37も同時に下方に移動することとなるが、この場合図4(d)〜(f)に示すように、熱を帯びた電熱線37を、左右の基板21a,21bと左右の昇降板31a,31bとの間の空間に露出したポリエステルフィルムの部分を熔かしつつ近づかせ、熔断後に通過させるようにする。この際の電熱線の温度としては、加工するポリエステルフィルムの特性に応じて変更するのが良いが、500〜1000℃前後が望ましいものである。この温度は、電圧を調節したり、電熱線37の線径を変更したりすることで調節可能である。また、熔断するポリエステルフィルムの幅・厚さや、電熱線37の温度により電熱線37を通過させるスピードを調節する。また、加工時には、電熱線37がポリエステルフィルムに触れないように通過させる。以上により、12〜50マイクロメータ(μm)程度の厚さのポリエステルフィルムを熔断シールすることが可能となる。電熱線の長さとしては100cm前後が望ましいものであるが、発明の効果を奏するものであればよく、これに限定されるものではない。
【0024】
▲6▼ポリエステルフィルムを熔断シールしたの後に、電源は自動的に切れる。
【0025】
本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態によれば、熔断シール装置1に電熱線固定用スプリング39を設けたので、電熱線37が熱により伸びた状態となっても、常に張った状態が維持されるので、左右の基板21a,21bの間・左右の昇降板31a,31bの間に生じている空間に正確に電熱線37を通過させることが可能となるので、一度にポリエステルフィルムの両側の2箇所の熔断シールが可能となる。従って、少ない作業工程で、製品を作成することが可能となる。
【0026】
また、本実施の形態によれば、ポリエステルフィルムに電熱線を覆うフッ素樹脂製のカバーや電熱線を直接接触れさせないので、加工時に加工臭が発生しにくくなる。従って、製造されるポリエステルフィルム製の袋の中に混入する加工臭等を最小限に抑えられる。
【0027】
また、本実施の形態によれば、左右の基板21a,21bは、左右の基台固定用ボルト24a,24bを移動させて、シール部の熔かす幅を決め、電熱線の適用線径と温度を決めて加工することができるため、シール部のポリエステルフィルムを熔かす量を調節でき、製品に必要な強度を十分に与える事が可能となる。
【0028】
また、本実施の形態によれば、プラスチックフィルムの中でも、特に熔ける温度の高いポリエステルフィルムのシールに効果を発揮するものである。
【0029】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良等は本考案に含まれるものである。即ち、本実施形態では昇降部3を足踏みペダル5により、昇降させることとなっているが、自動的に昇降させるようにしても良い。また、左右の基板21a,21b及び左右の昇降板31a,31bの長さ・幅・厚さは、特に限定されるものではなく、発明の目的を達成できるものであれば良い。また、臭いの少ない丈夫な製品ができるため、分析用だけでなく、ポリエステルフィルムの性質、特性を生かして他の分野にも利用可能である。また、同様の工程で、他のプラスチックフィルムの加工も可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ポリエステルフィルムに電熱線を覆うフッ素樹脂製のカバーや電熱線を直接接触れさせないので、加工時に加工臭が発生しにくくなる。従って、製造されるポリエステルフィルム製の袋の中に混入する加工臭等を最小限に抑えられることとなるので、正確な分析結果を得られる三点比較式臭袋法で使用するポリエステルフィルム製の袋を提供することが可能となる。
【0031】
また、本発明によれば、ポリエステルフィルムを熔かす量を調節できるため、製品に必要な強度を十分に与えることができる。従って、丈夫な製品が製造可能である。
【0032】
更に、シール部を電熱線等を触れさせないで、融着させるため、仕上がりのきれいな製品を製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本実施の形態に係るシール装置の全体を示す全体図である。
【図2】図2は、本実施の形態に係るシール装置の一部を省略した平面図である。
【図3】図3は、本実施の形態に係るシール装置の一部を省略した切りかけ側面図である。
【図4】図4(a)〜(f)は、本実施の形態に係るシール装置によるシール方法の作業工程を示す図である。
【符号の説明】
1 熔断シール装置
2 基台部
21a 右基板
21b 左基板
3 昇降部
31a 右昇降板
31b 左昇降板
35 昇降部本体
37 電熱線
41 支柱
Claims (1)
- 基台部と昇降部とで所望数枚のプラスチックフィルムを挟持し、電熱線によりプラスチックフィルムを熔断シールする熔断シール装置であって、
前記基台部は、所定の空間を開けて配した左右一対の基板を備え、
前記昇降部は、ボルト固定部を内側に向かい合うように夫々備えた2つの昇降部本体と、前記基台部の基板と対向するように所定の空間を開けて配した左右一対の昇降板と、当該昇降板を当該ボルト固定部に取り付ける昇降板固定用ボルトと、当該昇降部の上下方向の移動に伴って両昇降板の空間を通過するように配した電熱線とを備え、
当該昇降板固定用ボルトには、前記ボルト固定部と前記左右一対の昇降板との間にフィルム固定用スプリングが夫々取り付けられ、
当該電熱線は、両昇降板の両端部近傍に固定した2本の支柱に上下方向に移動自在に取り付けられた2つの昇降部本体に亘って張設されると共に、当該電熱線の両端は、当該昇降部本体に設けられた絶縁体に取り付けられた電熱線固定用ボルトに取り付けられ、
当該電熱線固定用ボルトには、当該絶縁体の外側に電熱線固定用スプリングが夫々取り付けられたものであって、
前記基板と前記昇降板とでプラスチックフィルムを挟持し、左右の基板の間・左右の昇降板の間に露出しているプラスチックフィルムの所定部分に電熱線を近接させ、更にプラスチックフィルムの下方に移動させることで、プラスチックフィルムを熔断しシールすることを特徴とする熔断シール装置。
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