JP3768282B2 - 軒先ユニットの設置構造,設置方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、住宅やその他の鉄骨造の建物に適用される軒先ユニットの設置構造,設置方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物の軒先部の施工では、図7のように板金工が建物外部の足場60の上に乗って、軒天面材61、軒樋62、ランナー63等を取付けていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような作業により軒先回りの施工を行う場合には、以下のような問題点がある。
▲1▼ 重い軒天面材61や長い軒樋62等の持運び作業、取付作業を外部足場60の上で行うので、作業に危険を伴う。また、外部足場60を省略して、軒桁64の上から手を伸ばして軒天回りの施工を行おうとすれば、前傾姿勢となり、やはり危険である。
▲2▼ 外壁65、屋根66が、プレコート,パネル化,乾式目地化された建物の場合でも、軒樋62の接続等、軒先部の施工だけのために外部足場60を組まねばならず、作業工数およびコストが増大する。
▲3▼ 大工職人が建物外部に出て軒先回りを施工することになるので、工種が煩雑化し、又それに伴い、足場よりの転落の危険も発生する。
【0004】
この発明の目的は、軒先回りの施工を簡単かつ安全に行うことのできる軒先ユニットの設置構造,設置方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1記載の軒先ユニット設置構造における軒先ユニットは、軒天井フレームに軒天面材を張った軒先ユニットであって、前記軒天井フレームの先端に沿って軒樋および化粧破風を設け、建物躯体に設けられた支点部材に上下回転自在に連結される回動連結材を前記軒天井フレームの基端に設け、前記軒天井フレームが略水平姿勢まで倒れた状態で建物躯体に当たって水平姿勢を維持させる当たり部を設けたものである。
【0006】
この発明の軒先ユニット設置構造は、前記構成の軒先ユニットを桁方向に沿って複数個連結し、各軒先ユニットは建物躯体の前記支点部材に前記回動連結材で連結し、前記建物躯体の支点部材よりも上方位置と軒先ユニットの先端近傍部とを垂れ調整ブレースで連結したものである。
この発明の軒先ユニット設置方法は、前記構成の軒先ユニット設置構造における軒先ユニットの設置方法であって、桁方向に並べて配置される各軒先ユニットを前記回動連結材で建物躯体の前記支点部材に連結する。これら軒先ユニットを立ち姿勢で相互に連結した後、この軒先ユニットの連結体を倒す。この後、各軒先ユニットを建物躯体に固定する。
【0007】
この軒先ユニットの設置構造,設置方法によると、軒部の構成部材をユニット化するため、クレーン等の重機で吊り上げ、軒先回りを一度に施工できる。各軒先ユニットは、基端の回動連結材で建物躯体の支点部材に上下回動自在に連結するため、各軒先ユニットが立ち姿勢の状態でこれら軒先ユニット間の軒樋や化粧破風の連結等の作業が行える。そのため、これらの接続作業が、建物内部から作業者の手が届く範囲で行える。このように軒先ユニットの相互間を連結した後、前記支点部材回りに軒先ユニットを倒し回動させ、これら軒先ユニットを倒れ姿勢で建物躯体に固定する。この固定作業も、軒先ユニットの基端の付近で行えるので、建物内部から作業が行える。このため、外部足場を無くし、建物内部からの作業で軒先の施工が安全にかつ能率良く行える。
また、建物躯体の支点部材よりも上方位置と軒先ユニットの先端近傍部とを垂れ調整ブレースで連結する構成とするため、軒先ユニットの上下回動角度を所定の角度に簡単に調整でき、かつ堅固に固定することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施形態を図1ないし図3に基づいて説明する。この実施形態は請求項1〜3の発明に対応する。この軒先ユニット1は、溝形鋼等の軽量形鋼で方形に組んだ軒天井フレーム2を有し、その下面に軒天面材3が張られる。軒天井フレーム2の先端には、その先端に沿って軒樋4および化粧破風5が設けられる。軒天井フレーム2の基端の両側部には単管からなる回動連結材6が設けられる。一方、建物躯体を構成する軒桁7には、単管からなる支点部材8(図2(A))が、前方へ突出する取付金物8aを介して設置してあり、回動連結材6は、軒先ユニット1の建物躯体への建込み時に、前記支点部材8に対して、同じく単管からなる連結軸材9を介して連結される。すなわち、支点部材8に連結軸材9の一端部が挿入され、その連結軸材9の他端部に軒天井フレーム2側の回動連結材6が回転自在に嵌合される。これにより、軒先ユニット1は、建物躯体の支点部材8に上下回動自在に連結される。
また、軒天井フレーム2の基端には、このフレーム2が略水平姿勢まで倒れた状態で、前記取付金物8aに設けられた当たり止め部材15の下面に係合する板状の当たり部10が設けてある。当たり部10は、取付金物8aの側面に沿う板状部材からなり、フレーム2の倒れ姿勢で、当たり部10は取付金物8aに固定ボルト10aで固定される。また、軒天井フレーム2の基端の化粧枠材2aは、軒先ユニット1の倒れ姿勢で、建物躯体の外壁パネル17のフレーム17aにけられた上縁材18に密接する。
軒天井フレーム2の先端近傍部には、垂れ調整ブレース11の一端部が上下回動自在にボルト止めされる。このブレース11の他端のボルト部11aは、建物躯体の前記支点部材8よりも上方位置に連結される。すなわち、軒桁7上に立設される束12にはアングル等からなる取付部材13が設けられ、この取付部材13の切欠部13a(図2(B))に、前記ボルト部11aを係合させ、ボルト部11aに螺合させた一対のナット14で取付部材13を挟み付けることにより連結される。この垂れ調整ブレース11により、軒先ユニット1を建物躯体に対して水平姿勢に調整して支持することができ、取付強度もアップできる。前記軒先ユニット1の桁方向長さは、例えば4P(Pは建物のモジュール寸法であり、1Pは800〜1000mm程度)程度に設定される。
【0013】
この軒先ユニット1を用いた軒先回りの施工は、次の手順で行われる。桁方向に並べて配置される各軒先ユニット1を、クレーン等の重機で吊り込み、その基端両側の回動連結材6を、軒桁7の支点部材8に連結軸材9で連結する。次に、軒先ユニット1を立ち姿勢とした状態で、隣接する軒先ユニット1,1の相互間で軒樋4や化粧破風5の接続を行う(図3(A))。このように連結の完了した軒先ユニット1の連結体を、支点部材8を回転中心として基端から一度に略水平姿勢まで倒す(同図(B))。軒先ユニット1は、水平姿勢まで倒れると、軒天井フレーム2の当たり部10(図1)が軒桁7側の取付金物8aにおける当たり止め部材15に係合するので、これにより軒先ユニット1は略水平姿勢に維持される。この後、軒桁7上の束12間に横架した取付部材13の切欠部13aに、垂れ調整ブレース11のボルト部11aを係合させ、ボルト部11aに螺合させた一対のナット14,14で取付部材13を挟み付ける。ボルト部11aに対するナット14の位置を調整することにより、軒天井フレーム2の垂れ姿勢が正しく水平姿勢になるように調整できる。この後、当たり部10の固定ボルト10aによる固定を行う。以上の作業は、建物内部から建方工の手によって行うことができるので、外部足場に乗って板金工が行う作業が不要となり、立ち姿勢となった軒先ユニット1が手摺代りにもなるので、軒先回りの施工を簡単かつ安全に行うことができ、施工の工種も少なくすることができる。
【0014】
軒先ユニット設置構造の参考提案例を図4ないし図6に基づいて説明する。軒先ユニット1Aは、溝形鋼等の軽量形鋼で方形に組んだ軒天井フレーム2の下面に軒天面材3を張った軒先ユニット本体21と、この軒先ユニット本体21の先端に水平姿勢と立起し姿勢の間に起倒回動自在に取付けられた軒樋ユニット22とからなる。この軒先ユニット1Aの単体の桁行長さは、先の実施形態の場合と同様に例えば4Pとしてあり、軒天井フレーム2の軒先突出幅寸法は650mm程度としてある。
軒樋ユニット22は、軒樋4および化粧破風5を有し、背面にアングル23を介して突設した立ち姿勢の取付片24を、軒天井フレーム2の先端部の側面にボルト25で取付けることにより、上下回動自在とされている。取付片24と軒天井フレーム2には、前記ボルト25のボルト挿通孔24a,2aのほか、軒樋ユニット22を立起し姿勢に仮止めするボルト挿通孔24b,2bが設けられている。前記アングル23には、軒樋ユニット22の水平姿勢を調整する調整ボルト26が設けられている。調整ボルト26は、軒樋ユニット22が水平となった状態で、その先端が軒天井フレーム2に当接するものである。
軒樋ユニット22の後部両側面には、隣接する軒先ユニット1Aの軒樋ユニット22を相互に接続するためのボルト用長孔27が設けられている。軒天井フレーム2の基端には、軒桁7に固定するための固定金物28が設けられ、この固定金物28を軒桁7にボルト接合することにより、軒先ユニット1Aが軒桁7に固定される。また、一端に調整ボルト29を螺合させた調整ブレース30の他端を軒天井フレーム2の先端近傍部に上下回動可能にボルト止めし、調整ボルト29を軒桁7上の束12に連結材31を介して連結することにより、軒先ユニット1Aを水平姿勢に調整するようにしてある。
【0015】
この軒先ユニット1Aを用いた軒先回りの施工は、次の手順で行われる。先ず軒先ユニット1Aは、その軒樋ユニット22を図5および図6(A)のように立起し姿勢に仮止めにした状態にしておく。すなわち、軒天井フレーム2のボルト挿通孔2bから軒樋ユニット22の取付片24のボルト挿通孔24bに仮止め用ボルトを挿通させることにより、軒樋ユニット22を立起し姿勢としておく。この軒先ユニット1Aをクレーンで吊り上げて、固定金物28を軒桁7にボルト止めし、調整ブレース30の調整ボルト29を、連結材31を介して束12に連結することにより、軒先ユニット22を建物躯体に略水平姿勢に取付ける。次に、隣合う軒先ユニット1A同士の軒樋ユニット22の軒樋4および化粧破風5を相互に接続する。このように相互に連結した軒樋ユニット22の連結体を、図6(B)のように一斉に水平姿勢に倒す。軒樋ユニット22の水平姿勢は、軒先ユニット本体21の軒天井フレーム2に下端が押し当てられる調整ボルト26のねじ込み量を調整することによって調整する。この後、軒樋ユニット22を軒天井フレーム2に接続するボルト25を本締めする。以上の作業は、外部足場に乗って大工職人が行うことなく、建方工が軒桁7から半身を乗り出すだけで簡単かつ安全に行うことができる。
【0020】
【発明の効果】
この発明の軒先ユニットの設置構造,設置方法によると、軒先回りの各部材をユニット化してその基端で上下回動自在に建物躯体に取付けるようにしたので、軒先ユニットをクレーン等で一気に建て込むことができで、軒先回りの省力化が図れ、また建方工で施工できて、工種が削減される。しかも、軒先ユニットを立ち姿勢として軒樋や化粧破風の連結等が行えるため、建物内部から手の届く範囲で作業ができて、安全に能率良く作業が行える。また、これにより軒先施工に外部足場が不要となり、足場が一般に使われる他の部位、例えば外壁プレコートや、屋根パネル、乾式目地等の工夫と組み合わせれば、無足場で住宅等の建物を構築可能とすることもできる。
また、建物躯体の支点部材よりも上方位置と軒先ユニットの先端近傍部とを垂れ調整ブレースで連結する構成とするため、軒先ユニットの上下回動角度を所定の角度に簡単に調整でき、かつ堅固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態に係る軒先ユニットの設置構造を示す縦断面図である。
【図2】 (A)は同軒先ユニットの軒桁への取付構造を示す分解斜視図、(B)は調整ブレースの連結構造を示す正面図である。
【図3】 同軒先ユニットを水平姿勢に倒す作業を示す説明図である。
【図4】 参考提案例に係る軒先ユニットの設置構造を示す縦断面図である。
【図5】 同軒先ユニットの斜視図である。
【図6】 同軒先ユニットの軒樋ユニットを水平姿勢に倒す作業を示す説明図である。
【図7】 従来例の説明図である。
【符号の説明】
1…軒先ユニット、2…軒天井フレーム、3…軒天面材、4…軒樋、5…化粧破風、6…回動連結材、7…軒桁(建物躯体)、8…支点部材、10…当たり部、11…垂れ調整ブレース、12…束(建物躯体)
Claims (2)
- 軒先ユニットを桁方向に沿って複数個連結した軒先ユニット設置構造において、前記軒先ユニットは、軒天井フレームに軒天面材を張った軒先ユニットであって、前記軒天井フレームの先端に沿って軒樋および化粧破風を設け、建物躯体に設けられた支点部材に上下回動自在に連結される回動連結材を前記軒天井フレームの基端に設け、前記軒天井フレームが略水平姿勢まで倒れた状態で建物躯体に当たって水平姿勢を維持させる当たり部を設けたものであり、各軒先ユニットは建物躯体の前記支点部材に前記回動連結材で連結し、前記建物躯体の支点部材よりも上方位置と軒先ユニットの先端近傍部とを垂れ調整ブレースで連結した軒先ユニット設置構造。
- 請求項1記載の軒先ユニット設置構造において軒先ユニットを設置する方法であって、桁方向に並べて配置される各軒先ユニットを前記回動連結材で建物躯体の前記支点部材に連結し、これら軒先ユニットを立ち姿勢で相互に連結した後、この軒先ユニットの連結体を倒し、この後、各軒先ユニットを建物躯体に固定する軒先ユニット設置方法。
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JP04672396A JP3768282B2 (ja) | 1996-02-07 | 1996-02-07 | 軒先ユニットの設置構造,設置方法 |
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JP5486856B2 (ja) * | 2009-06-29 | 2014-05-07 | 大和ハウス工業株式会社 | 軒先ユニット及び軒先ユニットを用いた建物の施工方法 |
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1996
- 1996-02-07 JP JP04672396A patent/JP3768282B2/ja not_active Expired - Fee Related
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