JP3768263B2 - エッジコネクタ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、メモリカード等の子基板を母基板に電気的に接続させるエッジコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
メモリカード等の子基板を母基板に電気的に接続させるエッジコネクタが従来から知られている(例えば、実開平4−38093号公報、実開平6−31088号公報、特開平6−111887号公報参照)。一般に、エッジコネクタは、前端部に複数の導電パッドが形成された子基板の前端部を受け入れるベース部と、子基板の両側端を受け入れるアーム部とを有するコの字状をしており、ベース部には、その長手方向に沿って複数の端子が配列されている。各端子がそれぞれ子基板の導電パッドと接続することにより子基板が母基板に電気的に接続される。
【0003】
上記した従来のエッジコネクタのうち、特開平6−111887号公報に開示されているエッジコネクタは、ベース部に形成された細長い差込開口に所定の差込方向から子基板の前端部を差し込み、差込開口に差し込まれた前端部を中心にして子基板をその厚さ方向のうちの一方の方向に回動させることにより、子基板を母基板に接続するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このタイプのエッジコネクタに複数の子基板を保持させようとした場合、上記した差込開口をベース部に並列に複数形成しておき、この複数の差込開口それぞれに子基板を差し込んで、上記した厚さ方向のうちの一方の方向(係止方向)に回動させ、係止部材で子基板を係止して、エッジコネクタに複数の子基板を保持させる構造が考えられる。
【0005】
この構造のエッジコネクタでは、そのエッジコネクタに保持された子基板を取り外すに当たっては、取り外ずそうとする子基板を係止している係止部材を解除して係止方向とは逆方向に子基板を回動し、さらに、上記した差込方向とは逆方向に子基板を引き抜く。従って、複数の差込開口それぞれに差し込まれた子基板のうちのいずれか一つの子基板をエッジコネクタから取り外そうとした場合、取り外そうとする子基板を係止している係止部材を解除すると、その子基板が係止方向とは逆方向に回動し係止方向上流側に位置する子基板に衝突してそれらが破損するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、複数の子基板を回動させて母基板に接続でき、さらに、子基板を取り外す際に子基板どうしの衝突を防止できるエッジコネクタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明のエッジコネクタは、前端部に複数の導電パッドが形成された子基板のこの前端部が差し込まれる差込開口に所定の差込方向から上記前端部を差し込み、この差込開口に差し込まれたこの前端部を中心にしてこの子基板を、この子基板の厚さ方向のうちの一方の方向に回動させることにより、この子基板を母基板に接続するエッジコネクタにおいて、
(1)上記差込開口が並列に複数形成されたベース部、及び、ベース部の、上記差込開口の長手方向両端側の部分からこの差込開口の前方側に突出する、互いに所定距離離れた一対のアーム部を有するコ字状のハウジング
(2)上記差込開口に差し込まれて上記一方の方向に回動された上記子基板の両側端部を係止する、複数の上記差込開口に対応して上記アーム部に取り付けられた係止部材
(3)上記複数の導電パッドに接触する、上記差込開口それぞれに配列された複数の端子
を備え、
(4)上記複数の係止部材が、複数の上記差込開口のうち上記一方の方向の下流側の差込開口に差し込まれた子基板を係止している係止部材の係止を解除することにより、上記下流側の差込開口よりも上記一方の方向の上流側の差込開口に差し込まれた子基板を係止している係止部材の係止が解除されるもの
であることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、上記複数の端子が、
(5)母基板に固定されるタイン部を備えると共に、上記複数の端子が、複数の上記差込開口のうち上記一方の方向の最下流側に位置する第1差込開口に配列された第1端子群と、複数の上記差込開口のうち上記第1差込開口以外の差込開口に配列された第2端子群とからなるものであり、
(6)上記第1端子群の各タイン部が上記第1差込開口の前方側に位置し、上記第2端子群の各タイン部が、上記ベース部を挟んだ上記第1端子群のタイン部とは反対側に位置し、かつ、
(7)上記第1端子群の各端子が、上記第1差込開口の前方からこの第1差込開口に挿入されたものであり、上記第2端子群の各端子が、上記差込開口の後方からこの差込開口に挿入されたものであって、さらに、
(8)上記第1端子群の各端子が、上記第1差込開口の前方から後方に向かって延びる第1接触部と、この第1接触部の先端から上記第2端子群に向かって湾曲して上記差込開口の前方に向かって延びる、中央部が上記第1接触部の側に凸状に湾曲した第2接触部とを有するものであることが好ましい。
【0009】
【作用】
本発明のエッジコネクタによれば、ベース部に並列に複数形成された差込開口それぞれに子基板を差し込んで上記一方の方向に回動させ、各係止部材で各子基板を係止することにより複数の子基板を母基板に接続できる。また、係止部材は上記(4)のような構造になっているので、上記した下流側の子基板の係止を解除すると、その子基板よりも上流側の子基板の係止も解除される。このため、複数の差込開口それぞれに差し込まれた子基板のうちのいずれか一つの子基板をエッジコネクタから取り外す際に、子基板どうしの衝突を防止できる。
【0010】
ここで、上記複数の端子が、上記(5)から(8)までの構成になっている場合は、(6)の構成によれば第1端子群及び第2端子群双方のタイン部がベース部を挟んで離れているので、エッジコネクタを母基板にバランス良く、かつ、強固に固定できる。また、(7)の構成によれば第1端子群及び第2端子群はそれぞれ、差込開口の前方及び後方から差込開口に挿入するので、同じ側から第1端子群と第2端子群とを差込開口に挿入する場合に比べ、複数の端子を差込開口に高密度に配列できる。さらに、(8)の構成によれば、第1接触部の固定端から、子基板の導電パッドに接触する接点までの距離が近くても接触部のL長(全長)が長くなるので、接触部の弾力性が増大する。
【0011】
【実施例】
以下、本発明のエッジコネクタの一実施例について説明する。
図1はエッジコネクタを示す平面図、図2は図1のエッジコネクタの側面図、図3は図2の部分拡大図、図4は図3の平面図である。また、図5、図6は係止部材を示す斜視図である。図7は図1のA−A断面図であり、図8は図7の正面図である。
【0012】
エッジコネクタ10は、べース部20とこのべース部20の両端から前方に突出する一対のアーム部30とから構成されるコ字状のハウジング40、及び、アーム部30に取り付けられた係止部材50,60を備えている。このエッジコネクタ10は、前端部12a,14aに複数の導電パッド(図示せず)が形成された2枚の子基板12、14を保持できるようになっている。
【0013】
ベース部20には、所定の差込方向Bから子基板12,14の前端部12a,14aが差し込まれる差込開口22,24(差込開口24が本発明にいう第1差込開口の一例である)が並列に形成されている。この差込開口22,24には、それぞれ、図7に示すように、導電パッドに接触する複数の端子26,27,28,29が配列されており、上下2段の端子群を形成している。複数の端子28が本発明にいう第1の端子群の一例であり、複数の端子26が本発明にいう第2の端子群の一例である。図7に示すように、端子26,28は、それぞれ、母基板(図示せず)に半田付けで固定されるタイン部26a,28aを備えている。端子27,29もタイン部を備えているが、ここでは、端子26,28について説明する。端子28のタイン部28aは、差込開口22の前方側に位置し、端子26のタイン部26aは、ベース部20を挟んだタイン部28aとは反対側に位置している。従って、各端子26,28のタイン部26a,28aがベース部20を挟んで離れているので、エッジコネクタ10を母基板にバランス良く、かつ、強固に固定できる。また、端子28は、差込開口24の前方から差込開口24に挿入されたものであり、端子26は、差込開口22の後方から差込開口22に挿入されたものである。従って、同じ側から端子26,28を差込開口22,24に挿入する場合に比べ、各端子26,28を差込開口に高密度に配列できる。また、端子28は、差込開口24の前方から後方に向かって延びる第1接触部28bと、第1接触部28bの先端28cから端子26に向かって湾曲して差込開口24の前方に向かって延びる第2接触部28dを有しており、第2接触部28dの中央部28eは第1接触部28bの側に凸状に湾曲している。このため、第1接触部28bの固定端から、子基板14の導電パッドに接触する接点までの距離が近くても接触部のL長(全長)が長くなるので、接触部の弾力性が増大する。
【0014】
一対のアーム部30には、それぞれ、子基板12,14の両側端部12b,14bを係止する係止部材50,60が取り付けられている。係止部材50は差込開口22に対応して一対のアーム部30に一つずつ取り付けられており、係止部材60は差込開口24に対応して一対のアーム部30に一つずつ取り付けられている。また、子基板12,14の両側端部12b,14bには切欠(図示せず)が形成されており、一方、アーム部30にはこの切欠の内部に位置する突起31が形成されている。このため、子基板12,14が不完全に挿入されると、子基板12,14の両側端部12b,14bが突起31に衝突し、不完全挿入が防止される。
【0015】
係止部材50は、図5に詳細に示すように、アーム部30に固定される固定部50aと、固定部50aの先端50bからもう一方のアーム部30に向かって湾曲して差込開口22の前方に向かって延びる、ばね性を有する可動部50cとを有している。また、固定部50aには、アーム部30に圧入されて食い込むバーブ50gが形成されている。可動部50cには、子基板12の両側端部12bが当接する傾斜部50dが形成されている。また、可動部50cの先端部には、矢印D方向に可動部50cを移動するための操作部50eが形成されている。可動部50cの先端部には、後述する係止部材60の押圧部60fに押圧される被押圧部50fが形成されている。
【0016】
係止部材60は、図6に詳細に示すように、アーム部30に固定される固定部60aと、固定部60aの先端60bからもう一方のアーム部30に向かって湾曲して差込開口24の前方に向かって延びる、ばね性を有する可動部60cとを有している。また、固定部60aには、アーム部30に圧入されて食い込むバーブ60gが形成されている。可動部60cには、子基板14の両側端部14bが当接する傾斜部60dが形成されている。また、可動部60cの先端部には、矢印D方向に可動部60cを移動するための操作部60eが形成されている。可動部60cには、係止部材50の被押圧部50fを押圧する押圧部60fが形成されている。
【0017】
子基板12,14をエッジコネクタ10に保持させるには、先ず、子基板14をエッジコネクタ10に保持させ、その後、子基板12をエッジコネクタ10に保持させる。
子基板14をエッジコネクタ10に保持するには、子基板14の前端部14aを、図7に示す差込方向Bから差込開口24に差し込み、子基板14の厚さ方向のうちの一方の回動方向C(矢印C方向)に子基板14を回動し、子基板14の両側端部14bを傾斜部60dに当接させてこの傾斜部を回動方向Cに押圧する。子基板14には端子28によって、子基板14を回動方向Cとは逆方向に回動させる力が作用するが、この力に逆って、子基板14を回動方向Cに押圧して可動部60cを、図6に示す矢印D方向に移動させ、子基板14を傾斜部60dの下の面に当接して、図7の破線14’で示す位置で係止部材60に係止させることにより、エッジコネクタ10に子基板14が保持されることになり、子基板14が母基板に接続される。
【0018】
同様に、子基板12をエッジコネクタ10に保持するには、子基板12の前端部12aを、図7に示す差込方向Bから差込開口22に差し込み、子基板12の厚さ方向のうちの一方の回動方向Cに子基板12を回動し、子基板12の両側端部12bを傾斜部50dに当接させてこの傾斜部を回動方向Cに押圧する。これにより、可動部50cが、図5に示す矢印D方向に移動し、子基板12が傾斜部50dの下の面に当接して、図7の破線12’で示す位置に係止され、エッジコネクタ10に子基板12が保持されることになり、子基板12が母基板に接続される。
【0019】
エッジコネクタ10に保持された子基板12をエッジコネクタ10から取り外すには、係止部材50の操作部50eを矢印D方向に押圧し、可動部50cを矢印D方向に移動させる。これにより、係止部材50による子基板12の係止が解除され、子基板12をエッジコネクタ10から取り外すことができる。
一方、エッジコネクタ10に保持された子基板14をエッジコネクタ10から取り外すために、係止部材60の操作部60eを矢印D方向に押圧すると、押圧部60fが矢印D方向に移動し、この押圧部60fにより被押圧部50fが押圧されて矢印D方向に移動する。これにより、係止部材50による子基板12の係止が解除されるとと共に、係止部材60による子基板14の係止も解除され、基板12,14共に回動方向Cとは逆方向に回動するので、子基板どうしの衝突を防止できる。
【0020】
上記の実施例では、2枚の子基板を保持するエッジコネクタについて説明したが、差込開口の数を増やして係止部材の数も増やすことにより、3枚以上の子基板を保持できるエッジコネクタが得られる。係止部材を増やすに当たっては、回動方向Cの最上流側の係止部材の形状を、図5に示す係止部材50の形状と同様にし、その他の係止部材の形状を、図6に示す係止部材60の形状と同様にする。これにより、エッジコネクタに保持された子基板を取り外す際に、子基板どうしが衝突して破損することを防止できる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のエッジコネクタによれば、ベース部に並列に複数形成された差込開口それぞれに子基板を差し込んで上記一方の方向に回動させ、各係止部材で各子基板を係止して複数の子基板を母基板に接続できる。また、子基板の厚さ方向のうちの一方の方向の下流側の子基板の係止を解除すると上流側の子基板の係止も解除され、複数の差込開口それぞれに差し込まれた子基板のうちのいずれか一つの子基板をエッジコネクタから取り外す際に、子基板どうしの衝突を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はエッジコネクタを示す平面図である。
【図2】図1のエッジコネクタを示す側面図である。
【図3】図2の部分拡大図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】上段のアーム部に取り付けられる係止部材を示す斜視図である。
【図6】下段のアーム部に取り付けられる係止部材を示す斜視図である。
【図7】図1のA−A断面図である。
【図8】エッジコネクタのアーム部を示す正面図である。
【符号の説明】
10 エッジコネクタ
12、14 子基板
12a,14a 前端部
20 べース部
22,24 差込開口
26,28 端子
26a,28a タイン部
28b 第1接触部
28c 先端
28d 第2接触部
28e 中央部
30 アーム部
40 ハウジング
50,60 係止部材
Claims (2)
- 前端部に複数の導電パッドが形成された子基板の該前端部が差し込まれる差込開口に所定の差込方向から前記前端部を差し込み、該差込開口に差し込まれた該前端部を中心にして該子基板を、該子基板の厚さ方向のうちの一方の方向に回動させることにより、該子基板を母基板に接続するエッジコネクタにおいて、
前記差込開口が並列に複数形成されたベース部、及び、ベース部の、前記差込開口の長手方向両端側の部分から該差込開口の前方側に突出する、互いに所定距離離れた一対のアーム部を有するコ字状のハウジングと、
前記差込開口に差し込まれて前記一方の方向に回動された前記子基板の両側端部を係止する、複数の前記差込開口に対応して前記アーム部に取り付けられた係止部材と、
前記複数の導電パッドに接触する、前記差込開口それぞれに配列された複数の端子とを備え、
前記複数の係止部材が、
複数の前記差込開口のうち前記一方の方向の下流側の差込開口に差し込まれた子基板を係止している係止部材の係止を解除することにより、前記下流側の差込開口よりも前記一方の方向の上流側の差込開口に差し込まれた子基板を係止している係止部材の係止が解除されるものであることを特徴とするエッジコネクタ。 - 前記複数の端子が、母基板に固定されるタイン部を備えると共に、前記複数の端子が、複数の前記差込開口のうち前記一方の方向の最下流側に位置する第1差込開口に配列された第1端子群と、複数の前記差込開口のうち前記第1差込開口以外の差込開口に配列された第2端子群とからなるものであり、
前記第1端子群の各タイン部が前記第1差込開口の前方側に位置し、前記第2端子群の各タイン部が、前記ベース部を挟んだ前記第1端子群のタイン部とは反対側に位置し、かつ、
前記第1端子群の各端子が、前記第1差込開口の前方から該第1差込開口に挿入されたものであり、前記第2端子群の各端子が、前記差込開口の後方から該差込開口に挿入されたものであって、さらに、
前記第1端子群の各端子が、前記第1差込開口の前方から後方に向かって延びる第1接触部と、該第1接触部の先端から前記第2端子群に向かって湾曲して前記差込開口の前方に向かって延びる、中央部が前記第1接触部の側に凸状に湾曲した第2接触部とを有するものであることを特徴とする請求項1記載のエッジコネクタ。
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