JP3768006B2 - ダイバーシチ受信機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のアンテナを用いてOFDM(直交周波数分割多重)信号を受信するダイバーシチ受信機に関するものである。
【0002】
さらに詳述すると、本発明は、例えば、地上系ディジタルテレビジョン放送あるいはディジタル音声放送あるいはディジタル情報を統合して放送する統合ディジタル放送(ISDB:Integrated Services Digital Broadcasting)の受信装置に適用可能な、ダイバーシチ受信機に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来から知られている簡易型のダイバーシチ受信機では、受信された複数のフェージング波のうち、最大の包絡線レベルを有する到来信号を単に選択して復調している。この場合、各アンテナ出力の切り替えポイントは、フェージング受信波の包絡線レベルによってのみ定められており、採用されている変復調の方式、あるいは、シンボルタイミングによって特に定められるものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、OFDM方式によって変調された信号を復調する場合には、復調器のFFTウインドウ内でアンテナ出力を切り替えると、その切り替えタイミングで大きなレベル変動および位相の不連続が生じるので、差動復調時やSP(Scattered Pilot)による復調時にエラーが生じてしまう。
【0005】
よって本発明の目的は、上述の点に鑑み、フェージング下においても、適切なアンテナ切り替えができるよう構成したダイバーシチ受信機を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、アンテナ切り替えに伴なって生じる位相の不連続を適切に補正することにより、移動受信時にも安定した受信ができるようにしたダイバーシチ受信機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、シンボルの復調すべき期間(FFTウインドウ)以外でアンテナの切り替えを行うように制御すると共に、CP(Continual Pilot)あるいはTMCC(伝送および多重構成制御信号:Transmission and Multiplexing Configration Control)により位相の不連続を補正して、移動受信時でも安定して受信できるようにしたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、複数のアンテナを用いてOFDM信号を受信するダイバーシチ受信機において、受信したOFDM信号の復調に必要とされない期間を表すゲート信号を形成する手段と、前記複数のアンテナから出力される信号のうち、最大の受信レベルを有するアンテナ出力信号を選択する手段と、前記ゲート信号が出力されている期間中に、前記最大の受信レベルを有するアンテナ出力信号に切り替える手段とを有すると共に、アンテナ切り替えにより生じる位相の不連続性を、アンテナ切り替え後のOFDM信号に挿入されているCP信号もしくはTMCC信号またはこれら両方の信号により補正する手段を具備したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
ここで説明する実施の形態は、OFDM(直交周波数分割多重)方式による地上デジタル放送の受信装置を構成するにあたり、複数の受信アンテナから出力されるOFDM信号の受信レベルの大小によりアンテナを切り替えるダイバーシチ受信機において、アンテナ出力の切り替えタイミングをOFDMシンボルに同期して切り替え、さらに、OFDM信号内に挿入されているパイロット信号により位相の不連続を補正することとし、このことにより、移動受信時に課題となるフェージング下でも安定して受信できるようにしたものである。
【0011】
以下、図面を参照しながら、各実施の形態について説明する。
【0012】
実施の形態1
図1は、本発明を適用したダイバーシチ受信機のアンテナ切り替え機構を示す。本受信機で使用するアンテナの本数は任意の複数本とすることが可能であるが、説明を簡略化するために、ここでは2本のアンテナを用いる場合について説明していく。
【0013】
第1のアンテナ101と第2のアンテナ102は、空間的に半波長以上離れていれば、独立に変動するフェージング受信波が得られる。第1の包絡線レベル測定部103は第1のアンテナ101からの受信波の包絡線レベルを、第2の包絡線レベル測定部104は第2のアンテナ102からの受信波の包絡線レベルをそれぞれ測定し、比較器105で包絡線レベルの比較を行う。
【0014】
切替器106では、比較器105の出力をもとに、どちらのアンテナ出力を受信して復調するのかを決定し、アンテナ出力を切り替える。アンテナ出力の切り替えタイミングには、切替可能ゲート発生器107から出力されるゲート信号(図2参照)を用いる。すなわち、切り替え可能な期間を表すゲート信号によって、アンテナ出力の切り替えを行う。切替器106から出力された信号は、OFDM受信部108に入力される。
【0015】
OFDM受信部108では、復調する際にOFDMシンボルごとに発生するシンボルパルスを信号線109上に出力する。このシンボルパルスをもとに、切替可能ゲート発生器107では、ガードインターバル区間(ガード期間:図2参照)にゲートを開くためのゲート信号を作成する。
【0016】
図2は、上記OFDMシンボルと、上記シンボルパルスと、上記ゲート信号の関係を示したものである。
【0017】
以上の構成によれば、ガードインターバル区間(ガード期間)の信号は、復調のためのFFT演算を行うOFDM受信部108に入力されないので、この期間でアンテナの切り替えがなされたとしてもFFTの演算に影響は生じない。
【0018】
実施の形態2
本発明の第2の実施の形態では、アンテナ切り替え時の位相の不連続を、CPを使って補正するDQPSK−OFDM受信機について説明する。
【0019】
図3は、OFDMセグメントの構成例を示す。本図に示したOFDMセグメント構成例においては、108本あるOFDMセグメントのキャリアのうちCPとして7本、TMCCとして5本を使用しており、各シンボルとも同じキャリアがCPおよびTMCCとして使用されている。図4は、CPおよびTMCCの位置を例示したものである。このように、CPは各シンボル,キャリアごとに送信信号が決まっているので、その信号の受信位相を測定すれば、現在のアンテナによる位相の回転量が測定できる。
【0020】
図5は、本実施の形態による受信機の全体的構成図、すなわち、アンテナ切り替え時の位相の不連続をCPを使って補正するDQPSK−OFDM復調器のブロック図を示す。
【0021】
受信波が第1のアンテナ401から第2のアンテナ402へ切り替わった場合、伝送路の伝搬状況が変わるため、データの情報を送信している位相項には不連続が生じる。差動系の復調では、前のシンボルとの位相差で情報を送信しているため、位相項に不連続が生じると、ビット誤りが生じる。
【0022】
切替器406では、先に述べた実施の形態1と同様、包絡線レベル測定部403,404の出力と、切替可能ゲート発生器407のタイミングにより、第1のアンテナ401からの受信波を復調するのか、あるいは第2のアンテナ402からの受信波を復調するのかを切り替える。アンテナを切り替えた場合には、その切り替えたタイミングを知らせる信号、すなわち切替パルスを信号線408上に出力する。
【0023】
切替器406からの出力信号は、直交復調部409およびLPF(ローパス・フィルタ)410を通過し、FFT部411に入力される。FFT部411への入力信号は、シンボルタイミング抽出部412にも入力され、シンボルごとにパルスを発生するシンボルパルスとして信号線413上に出力される。このシンボルパルスを用いて、切替可能ゲート発生器407はアンテナ切りえ替のタイミング信号を発生する。
【0024】
FFT部411に入力された信号は、FFT演算されてデータの復調が行われる。CPおよびTMCCのキャリア番号は前もって決められているので、CPおよびTMCC抽出部414により、CPおよびTMCCのキャリアのデータが抽出される。
【0025】
CPは各キャリア・各シンボルごとに送信信号が決まっているので、位相回転量測定部415によりCPの位相回転量を測定することにより、各キャリアの位相回転量が推定できる。
【0026】
アンテナが切り替わらない場合は、各キャリアの位相回転量の推移も穏やかであるが、アンテナが切り替わる場合には、位相は大きく変化する。そこで、アンテナが切り替わる場合の位相変化量を推定するために、位相回転量測定部415の出力をメモリ部416に入力して1シンボル間記憶しておく。そして、切替器406より信号線408上に切替パルスが出力された場合には、メモリ部416から読み出された信号と位相回転量測定部415からの出力信号とを比較部417で比較し、位相変化量を計算して信号線418上に出力する。従って、アンテナが切り替わった場合の位相変化量( 信号線418上の信号) をデータ復調部419に戻すことにより、アンテナ切り替えによる位相変化量が判かるので、差動復調が可能となる。
【0027】
また、メモリ部416および比較部417の替わりに、CPに割り当てられた各キャリアについてシンボル方向に差動復調を行うことにより、位相変化量( 信号線418上の信号) を推定することも可能である。
【0028】
このように、アンテナを切り替えることにより位相の不連続が生じたとしても、CPにより位相の不連続を補正してDQPSK−OFDM信号の復調が可能となる。
【0029】
実施の形態3
本発明の第3の実施の形態では、アンテナ切り替え時の位相の不連続を、TMCCを使って補正するDQPSK−OFDM受信機について説明する。上述した実施の形態2の場合と同じように、108本あるOFDMセグメントのキャリアのうちCPとして7本、TMCCとして5本を使用しており、各シンボルとも同じキャリアがCPおよびTMCCとして使用されている。TMCCの変調信号は、システム情報を送信するので情報が頻繁に変わることがない。したがって、受信アンテナの切り替えに伴う受信位相の変化量を測定すれば、位相不連続を補正することが可能となる。
【0030】
実施の形態2と同様に、アンテナ切り替え時の位相の不連続をTMCCを使って補正するDQPSK−OFDM復調器を図5に示す。本ブロック図の構成および働きは、CPとTMCCが変更となるだけで、実施の形態2と同様である。
【0031】
図5において、FFT部411に入力された信号は、FFT演算されてデータ復調が行われる。CPおよびTMCCのキャリア番号は前もつて決められているので、CPおよびTMCC抽出部414により、CPおよびTMCCのキャリアのデータが抽出される。TMCCの情報は、システム情報を送信するので、情報が頻繁に変わることがない。そこで、受信側では、TMCC復調部420を用いてTMCC情報の正しい復号結果が判かるので、TMCCの正しい情報が受信されるはずの位相と実際に受信されたときの回転量を位相回転量測定部415により測定することにより、各キャリアの位相回転量が推定できる。
【0032】
アンテナが切り替わる場合の位相変化量を推定するために、位相回転量測定部415の出力をメモリ部416で1シンボル間記憶しておく。そして、切替器406より切替パルスが信号線408上に出力された場合には、メモリ部416の信号と位相回転量測定部415から読み出された信号を比較部417で比較し、位相変化量を計算して信号線418上に出力する。そして、アンテナが切り替わった場合の位相変化量を信号線418を介してデータ復調部419に戻すことにより、アンテナ切り替えによる位相変化量が判かるので、差動復調が可能となる。
【0033】
このように、アンテナに切り替え時に位相の不連続を起こしても、TMCCにより位相の不連続を補正してDQPSK−OFDM信号の復調が可能となる。
【0034】
実施の形態4
本発明の第4の実施の形態では、アンテナ切り替え時の振幅および位相の不連続について、CPを使ってSPを補正するQAM系OFDM受信機を説明する。
【0035】
図6はOFDMセグメントの構成例を、図7はQAM系OFDMのCPおよびTMCCの位置を例示したものである。図6に示したセグメントにおいては、108本あるOFDMグメントのキャリアのうちCPとして2本、TMCCとして1本を使用しており、各シンボルとも同じキャリアがCPおよびTMCCとして使用されている。CPは各シンボル・キャリアごとに送信信号が決まっているので、その信号の振幅および位相を測定することにより、現在のアンテナによる振幅の変化量および位相の回転量が測定できる。
【0036】
図8は、アンテナ切り替え時の振幅および位相の不連続について、CPを使ってSPを補正するQAM系OFDM復調器を示す。QAMの多値化レベルは16,32,64等でも同様である。
【0037】
受信波が第1のアンテナ601から第2のアンテナ602へ切り替わった場合、伝送路の伝搬状況が変わるため、データの情報を送信している振幅および位相項には不連続が生じる。QAM系の復調では、SPを基準として各キャリアの振幅・位相項を決めるため、SPに不連続が生じるとビット誤りが生じる。
【0038】
切替器606では、実施の形態1と同様、包絡線レベル測定部603および604の出力と、切替可能ゲート発生器607のタイミングにより、第1のアンテナ601からの受信波を復調するのか、あるいは第2のアンテナ602からの受信波を復調するのかを切り替える。アンテナを切り替えた場合には、その切り替えたタイミングを知らせる信号、すなわち切替パルスを信号線608上に出力する。
【0039】
切替器606からの出力信号は、直交復調部609およびLPF610を通過し、FFT部611に入力される。FFT部611への入力信号は、シンボルタイミング抽出部612にも入力され、シンボルごとに発生されるシンボルパルスが信号線613上に出力される。このシンボルパルスを用いて、切替可能ゲート発生器607は、アンテナ切り替えのためのタイミング信号を発生する。
【0040】
FFT部611に入力された信号は、FFT演算されてデータ復調が行われる。CPおよびTMCCのキャリア番号は前もつて決められているので、CPおよびTMCC抽出部614により、CPおよびTMCCのキャリアのデータが抽出される。CPは各キャリア・各シンボルごとに送信信号が決まっているので、振幅比および位相回転量測定部615によりCPの振幅比および位相回転量を測定することにより、各キャリアの振幅比および位相回転量が推定できる。
【0041】
アンテナが切り替わらない場合は、各キャリアの振幅比および位相回転量の推移も穏やかであるが、アンテナが切り替わると、振幅比および位相は大きく変化する。そこで、アンテナが切り替わる場合の変化量を推定するために、振幅比および位相回転量測定部615の出力をメモリ部616で1シンボル間記憶しておく。そして、切替器606から切替パルスが信号線608上に出力された場合には、メモリ部616から読み出された信号と振幅比および位相回転量測定部615の信号を比較部617で比較し、振幅比および位相変化量を計算して信号線618上に出力する。そこで、アンテナが切り替わった場合の振幅比および位相変化量を信号線618を介してSP補正部619に戻すことにより、アンテナ切り替えによるSPの変化量が判かるので、SPを用いた復調が可能となる。
【0042】
このように、アンテナ切り替えによって振幅比および位相の不連続が生じたとしても、CPにより不連続を補正したSPを用いたQAM−OFDM信号の復調が可能となる。
【0043】
なお、CPの替わりにTMCCを用いても同様のことが可能となる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、OFDM信号の受信レベルに応じてアンテナを切替えるダイバーシチ受信機において、アンテナ切替時にも安定したOFDM復調が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適応したアンテナ切り替え機構の一例を示す図である。
【図2】図1に示した各信号のタイミングを示す図である。
【図3】DQPSK−OFDM方式におけるセグメントの構成例を示す図である。
【図4】図3に示したCPおよびTMCCの位置を例示した図である。
【図5】DQPSK−OFDM信号を受信した際に生じる位相不連続を補正するためのブロック図である。
【図6】QAM系OFDM方式のセグメント構成例を示す図である。
【図7】QAM系OFDM方式におけるCPおよびTMCCの位置を例示した図である。
【図8】QAM系OFDM方式の受信機においてSPを補正するためのブロック構成図である。
【符号の説明】
101,102 アンテナ
103,104 包絡線レベル測定部
105 比較器
106 切替器
107 切替可能ゲート発生器
108 OFDM受信部

Claims (1)

  1. 複数のアンテナを用いてOFDM信号を受信するダイバーシチ受信機において、
    受信したOFDM信号の復調に必要とされない期間を表すゲート信号を形成する手段と、
    前記複数のアンテナから出力される信号のうち、最大の受信レベルを有するアンテナ出力信号を選択する手段と、
    前記ゲート信号が出力されている期間中に、前記最大の受信レベルを有するアンテナ出力信号に切り替える手段とを有すると共に、
    アンテナ切り替えにより生じる位相の不連続性を、アンテナ切り替え後のOFDM信号に挿入されているCP信号もしくはTMCC信号またはこれら両方の信号により補正する手段
    を具備したことを特徴とするダイバーシチ受信機。
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