JP3767850B2 - 金属粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、寸法、形状の揃った微小な金属粉末を効率よく製造することができる、新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属などの粉末は従来、その粒径が、分級などによってほぼ一定の範囲内に揃っているだけで、個々の粉末の形状は不定形である上、その細かな寸法なども一定していなかった。
しかし近時、これまでにない機能性を付与するために、金属粉末として、個々の粉末の形状と、その細かな寸法とが揃ったものが求められるようになってきた。
【0003】
すなわち金属粉末の形状、寸法が揃っている方が、金属粉末を単独で用いる場合、あるいは樹脂等と複合化して成形材料やペーストとして用いる場合のいずれにおいても、機械的特性や電磁気的特性に優れたものとなる。また材料設計を精度よく行うことも可能となる。それゆえ形状、寸法の揃った金属粉末が要望されている。
例えばアスペクト比(直径/厚み)の高い扁平な形状を有している金属粉末は、その形状の異方性を利用して種々の分野での利用可能性が検討されている。
【0004】
かかる扁平な金属粉末は、現状では、例えばアトマイズ法などによって得られる球状の原料粉末を、ボールミルなどを用いて機械的に粉砕、延伸並びに引裂加工することで、扁平に変形して製造されるのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の製造方法では、原料である球状の原料粉末の粒径をほぼ一定に揃えたとしても、次工程で原料粉末に加わる粉砕、延伸および引裂加工の強度が個々の粉末ごとに異なるため、製造される金属粉末の寸法、並びに形状に大きなばらつきが生じ、たとえ分級して、その粒径をある程度の範囲内に揃えたとしても、依然として寸法と形状に大きなばらつきが残ってしまう。
【0006】
このため上記従来法では、より一層、寸法と形状が揃っていることが求められつつある金属粉末の技術的な動向に、十分に対応しきれなくなりつつあるのが現状である。
本発明の目的は、これまでよりも寸法、形状の揃った微小な金属粉末を、効率的に製造するための新たな製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するための、本発明の金属粉末の製造方法は、多数の微小電極部を、その所定の形状に形成された先端面が、絶縁基体の表面と同一面として、前記表面に露出されるように配置しためっき金型を使用して、各微小電極部を陰極とする電気めっきにより、上記各先端面に選択的に金属を析出させて、当該先端面の形状に対応した平面形状を有し、かつ、前記平面方向のさし渡し長さよりも厚みの小さい扁平な、多数の微小な金属薄膜を形成したのち、これらの金属薄膜をはく離、回収して金属粉末を得ることを特徴とするものである。
【0008】
かかる本発明の金属粉末の製造方法によれば、上記めっき金型を使用した電気めっきを行うことで、当該めっき金型の微小電極部の、絶縁基体の表面に露出した先端面に対応する所定の平面形状と、電気めっきによる金属薄膜の厚みに対応する所定の厚みとを有する、これまでよりも寸法、形状の揃った、扁平な金属粉末を、多数、効率的に製造することができる。
なお上記めっき金型としては、微小電極部の先端面に形成される金属薄膜をはく離する際の作業性やはく離のしやすさ等を考慮して、
・微小電極部とその周囲の絶縁基体との間に隙間のないもの、
・上記先端面に、金属薄膜をはく離しやすくする離型層を有するもの、
を用いるのが好ましい。
【0009】
また特にめっき金型を円筒状に形成し、当該めっき金型を、円周上の一定範囲がめっき液と接触するように浸漬した状態で、円周方向に回転させながら、電気めっきによる金属薄膜の形成、形成した金属薄膜のはく離、およびはく離した金属薄膜の、金属粉末としての回収を連続的に行うようにすると、金属粉末の製造効率をさらに向上することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の金属粉末の製造方法を、実施の形態の一例を示す図面を参照しつつ説明する。
この例の製造方法では、まず図1(a)および図2(a)(b)に示すように、多数の微小電極部11…を、その周囲の絶縁基体12との間に隙間ができないように、またその所定の形状に形成された先端面11a…が、絶縁基体12の表面12aと同一面となるように露出させるべく配置しためっき金型1を用意する。
【0011】
各微小電極部11…はそれぞれ、上記先端面11a…の形状に対応した円柱状に形成されており、それが絶縁基体12の表面12aから、当該絶縁基体12を貫通して、その裏面側に積層された電極基体10に達するように配置されている。
そして電極基体10を電気めっき用の電源のうち陰極21と接続することで、各微小電極部11…が、この電極基体10を介して陰極21と電気的に接続されて、電気めっきの際の陰極として機能するように、電極基体10と微小電極部11…とが一体化されている。
【0012】
かかるめっき金型1は、例えばフォトリソグラフ法を用いて、
(1) 少なくとも、電極基体10の厚みに微小電極部11…の高さを加えた分の厚みを有する金属板をエッチングして、図に示した電極基体10と、多数の微小電極部11…とを一体に形成した後、各微小電極部11…間の空隙に樹脂等の絶縁材料を層状に、隙間なく充てんし、その表面12aと、微小電極部11…の先端面11a…とを同一面となるように研磨して絶縁基体12を形成する、
(2) 絶縁基体12をエッチングして、多数の微小電極部11…の外形に対応する多数の通孔を形成し、次いで電気めっき法等によって、絶縁基体12の裏面側に電極基体10を形成するとともに、通孔を金属で隙間なく充てんして多数の微小電極部11…を形成した後、当該微小電極部11…の先端面11a…と、絶縁基体12の表面12aとを同一面となるように研磨する、
(3) 絶縁基体12の裏面側に電極基体10が積層された積層体を用意し、この積層体のうち絶縁基体12をエッチングして、多数の微小電極部11…の外形に対応する、電極基体10に達する多数の通孔を形成し、次いで電気めっき法等によって通孔を金属で隙間なく充てんして多数の微小電極部11…を形成した後、当該微小電極部11…の先端面11a…と、絶縁基体12の表面12aとを同一面となるように研磨する、
などの、プリント配線板を製造する際の技術を応用した種々の方法によって製造することができる。
【0013】
そしてこのいずれの方法においても、微小電極部11…の先端面11a…の形状を、フォトリソグラフ法によって極めて高精度に規定することができるため、製造される金属粉末の平面形状を、これまでにない高精度で揃えることが可能となる。
まためっき金型1は、簡易的には、例えば所定の断面形状を有するとともに、その外周面を樹脂で被覆した状態の金属線を多数、束ねたものを、金属板上に、互いに電気的に導通するように貼り付けることでも製造することができる。
【0014】
この場合には、使用する金属線の断面形状の、寸法精度の範囲内であるが、製造される金属粉末の平面形状を、やはりこれまでよりも高精度で揃えることが可能となる。
上記めっき金型1のうち電極基体10および微小電極部11は種々の金属によって形成できるが、特に微小電極部11は、その先端面11aに電気めっきする金属の種類、およびめっき液の組成などに応じて、形成された金属薄膜をはく離しやすく、かつ先端面11aがめっき液によって冒されないように、安定で、できればめっきする金属よりイオン化傾向の小さい金属によって形成するのが好ましい。
【0015】
微小電極部11の先端面11aには、前記のように金属薄膜をはく離しやすくする離型層が設けられてもよい。離型層としては、例えば金属を圧延、熱処理などした際に形成される不働態被膜を利用することができる他、必要に応じて化学的あるいは電気化学的に不働態被膜を形成して離型層としてもよい。後者の例としては、電鋳用として形成用の薬剤が市販されているチアゾール系化合物被膜などが挙げられる。
【0016】
また絶縁基体12は、樹脂等の種々の絶縁材料によって形成することができるが、やはりめっき液の組成などに応じて、当該めっき液によって冒されない材料を選択して形成するのが好ましい。
次に、上記めっき金型1の電極基体10を、前記のように電気めっき用の電源のうち陰極21と接続した状態で、図示しないめっき液に浸漬して、各微小電極部11…を陰極とする電気めっきを行う。
【0017】
そうすると図1(b)および図2(b)に示すように、各微小電極部11…の先端面11a…に選択的にめっき金属が析出して、当該先端面の形状に対応した、図では円形の、多数の微小な金属薄膜30…が形成される。
次に、形成された微小な金属薄膜30…を、例えば図示しない回転ブラシでこする、あるいはカッターの刃などをあててこすり取るなどして、図1(c)と、図2(b)に白矢印で示すように各微小電極部11…の先端面11a…からはく離すると微小な金属粉末3…が製造される。
【0018】
なお電気めっきでは、通電時間、電流密度等の条件を調整することで、金属薄膜30…の膜厚を厳密に制御できるため、製造される金属粉末3…の厚みを高精度で揃えることができる。
したがって上記の製造方法によれば、前述したように金属粉末3…の平面形状を高精度で揃えられることと相まって、これまでよりも寸法と形状、すなわち直径、厚み、アスペクト比などの揃った微小な金属粉末3…を多数、効率よく製造することが可能となる。
【0019】
上記の製造方法によって製造できる金属粉末の寸法、形状は特に限定されないが、各微小電極部11…の先端面11a…の加工精度や、形成した金属薄膜30…の、先端面11a…からのはく離性等を考慮すると、その平面方向のさし渡し長さ(円であれば直径)は、0.5μm以上であるのが好ましい。
また厚みは、前記のように電気めっきの条件を調整することで任意の値に制御可能であるが、形成した金属薄膜30…のはく離性等を考慮すると、現実的には0.05μm以上であるのが好ましい。
前記本発明の製造方法によれば、後述する実施例の結果から明らかなように、平面形状が、長径D L と短径D S の比D L /D S =1.0〜1.2である、ほぼ真円形の金属粉末を製造することができる。また、平面形状が円形で、かつ、個々の金属粉末の直径の最大値と最小値の、前記直径に対する分布が、±20%である、粒径の揃った金属粉末を製造することもできる。
【0020】
金属粉末を形成する金属としては、電気めっきが可能な種々の金属がいずれも使用可能である。
次に図3は、上記めっき金型1を円筒状に巻いてドラムDを形成し、当該ドラムDを、円周上の一定範囲がめっき液Lと接触するように浸漬した状態で、円の中心Cを回転軸として、図中一点鎖線の矢印で示すように円周方向に一定速度で回転させながら、金属粉末を連続的に製造する装置を示す概略断面図である。
【0021】
図において符号2は、前記陰極21を含む電気めっきのための電源、符号4は、めっき液Lと陽極板5とを収容するとともに、上記ドラムDを、上記のように円の中心Cを回転軸として、一定方向に一定速度で回転できるように支持しためっき槽、符号6は、上記めっき槽4内のめっき液Lを循環させたり、新たなめっき液Lを供給したりするために、当該めっき液Lを、ドラムDの、液面より上に露出した領域に散布するためのめっき液供給管、符号7は、ドラムDを形成するめっき金型の、図示しない各微小電極部の先端面に、電気めっきによって形成された金属薄膜をはく離するための回転ブラシ、符号8は、上記回転ブラシ7によってはく離された金属薄膜を、金属粉末として回収するための回収バスケット、符号9は、金属薄膜をはく離した後のドラムDの表面を清掃するための回転ブラシである。
【0022】
上記装置を用いて金属粉末を製造するには、まずめっき液Lをめっき槽4に供給して、ドラムDを、円周上の一定範囲(図では円の中心Cより下の、およそ半周分の領域)がめっき液Lと接触するように浸漬する。
次に、めっき液Lの浴温を一定温度に維持しつつドラムDを、図中一点鎖線の矢印で示す方向に一定速度で回転させるとともに、2つの回転ブラシ7、9を、それぞれ実線および破線の矢印で示す方向に、やはり一定速度で回転させる。
【0023】
次に、図に示すように電源2の陰極とドラムD、陽極と陽極板5をそれぞれ接続して、所定の電流密度でもって電気めっきを行う。
そうすると前述したメカニズムにより、ドラムDを形成するめっき金型の表面に多数、配置された各微小電極部の先端面に選択的に金属が析出して、当該先端面の形状に対応した平面形状を有するとともに、ドラムDの回転速度で規定されるめっき液Lへの浸漬時間と、浴温および電流密度とによって膜厚が所定の範囲に規定された、多数の微小な金属薄膜が形成される。
【0024】
次にこの金属薄膜を、ドラムDの表面に接触した状態で回転する回転ブラシ7によって微小電極部の先端面からはく離して、回収バスケット8で回収した後、上記と同様にドラムDの表面に接触した状態で回転する回転ブラシ9によって当該表面を清掃すると、一連の操作が終了する。
そしてこの操作を、ドラムDを回転させながら連続的に行うと、前述したように寸法、形状の揃った微小な金属粉末を大量に、しかも効率よく製造することができる。
【0025】
またこの間、図示しない循環系を動作させて、めっき液供給管6を通して、めっき槽4内のめっき液Lを循環させたり、あるいはこのめっき液供給管6を通して、定期的に新たなめっき液Lを供給したりすると、さらに長時間にわたる連続運転が可能となる。
本発明で製造された金属粉末は、寸法、形状の揃った微小な金属製の粉末を必要とする種々の用途に利用することができる。
【0026】
【実施例】
以下に本発明を、実施例に基づいて説明する。
実施例1
〈めっき金型、および金属薄膜の連続製造装置の作製〉
前述したフォトリソグラフ法を用いた製造方法のうち(1)の方法により、前記各図に示すように多数の円柱状の微小電極部11…を、絶縁基体12の裏面側の電極基体10から突出させて、その周囲の絶縁基体12との間に隙間ができないように、またその円形の先端面11a…が、絶縁基体12の表面12aと同一面となるように露出させるべく配置しためっき金型1を作製した。
【0027】
図2(a)に示す各寸法のうち先端面11aの直径Dは25μm、隣接する先端面間の最短距離Iは30μm、互いに隣接する3つの先端面11a…の中心を通る2つの中心線のなす角θは60°とした。
そして上記めっき金型1を円筒状に巻いて、直径50cm、幅60cmのドラムDを作製し、このドラムDと、図3に示す各部材とを組み合わせて、図3の連続製造装置を構成した。
【0028】
〈めっき試験〉
上記装置を使用して、金属粉末としての、ニッケル−鉄合金粉末を製造する試験を行った。
めっき液Lとしては、下記の組成を有するパーマロイめっき液を調製した。
(成分) (濃度)
硫酸ニッケル6水和物 100g/L
塩化ニッケル6水和物 60g/L
硫酸鉄7水和物 10g/L
グルコン酸ナトリウム 10g/L
ホウ酸 30g/L
サッカリン 4g/L
上記めっき液Lを装置のめっき槽4内に注入し、液のpHを3に調整した状態で、窒素ガスをバブリングしながら、浴温60℃、ドラムの回転速度30回転/時、電流密度10A/dm2の条件で装置を運転して、連続的にニッケル−鉄合金粉末を製造した。
【0029】
得られた合金粉末のうち、平面形状の円形度を規定する長径DLと短径DSとの比DL/DS、並びに各合金粉末の直径の、微小電極部11の先端面11aの直径D(=25μm)に対する分布を、それぞれ下記の方法で測定した。
〈比DL/DSの測定〉
走査型電子顕微鏡を用いて、倍率300倍で、同一サンプルの3視野内の全ての合金粉末(合計の個数をn個とする)について、長径DL1、DL2…、DLnと短径DS1、DS2…、DSnとを測定し、この測定値から求めた個々の合金粉末における比DL1/DS1、DL2/DS2…、DLn/DSnのうちの最小値と最大値から、比DL/DSの範囲を求めた。
【0030】
その結果、上記実施例1で製造された合金粉末の、長径DLと短径DSとの比DL/DSの範囲は1.0〜1.2であり、平面形状が、微小電極部11の先端面11aの形状に対応した円形にほぼ揃っていることが確認された。
なお比較のために、アトマイズ法で製造した原料粉末をボールミルで押しつぶすという従来法で製造された粉末(平均粒径50μm)について、同様の測定をしたところ、長径DLと短径DSとの比DL/DSの範囲は1.0〜2.5と大きくばらついており、また実際に電子顕微鏡で見た結果からも、その形状は不定形で粉末ごとに全くばらばらであることが確認された。
【0031】
〈直径の分布〉
上記の測定で得られた、3視野内の全ての合金粉末(n個)の長径DL1、DL2…、DLnおよび短径DS1、DS2…、DSnの測定値から、式(1):
Da(μm)=(DLa+DSa)/2 (1)
〔式中aは1〜nを示す。〕
によって個々の合金粉末の直径Daを求め、そのうちの最大値および最小値と、微小電極部11の先端面11aの直径D(=25μm)との差をとって、直径の分布とした。
【0032】
その結果、上記実施例1で製造された合金粉末の直径の最大値は30μm、最小値は20μm、直径の分布は±5μmであり、直径がほぼ揃っていることが確認された。
これに対し、前記従来法で製造された粉末について同様の計算を行ったところ、最大値は120μm、最小値は5μm、平均粒径(=50μm)に対する直径の分布は−45〜+70μmと大きくばらついていることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属粉末の製造方法の、実施の形態の一例を示す図であって、同図(a)は、金属粉末の製造に使用するめっき金型の断面図、同図(b)は、上記めっき金型の、微小電極部の先端面に、電気めっきによって微小な金属薄膜を形成した状態を示す断面図、同図(c)は、上記金属薄膜を微小電極部の先端面からはく離して、金属粉末として回収する状態を示す断面図である。
【図2】同図(a)は、上記めっき金型における、微小電極部の先端面の平面形状と、絶縁基体表面での配置とを示す拡大平面図、同図(b)は、上記めっき金型の一部を切り欠いて拡大した拡大斜視図である。
【図3】上記めっき金型を円筒状に形成したドラムを組み込んだ、金属粉末の連続製造装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 めっき金型
11 微小電極部
11a 先端面
12 絶縁基体
12a 表面
3 金属粉末
30 金属薄膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、寸法、形状の揃った微小な金属粉末を効率よく製造することができる、新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属などの粉末は従来、その粒径が、分級などによってほぼ一定の範囲内に揃っているだけで、個々の粉末の形状は不定形である上、その細かな寸法なども一定していなかった。
しかし近時、これまでにない機能性を付与するために、金属粉末として、個々の粉末の形状と、その細かな寸法とが揃ったものが求められるようになってきた。
【0003】
すなわち金属粉末の形状、寸法が揃っている方が、金属粉末を単独で用いる場合、あるいは樹脂等と複合化して成形材料やペーストとして用いる場合のいずれにおいても、機械的特性や電磁気的特性に優れたものとなる。また材料設計を精度よく行うことも可能となる。それゆえ形状、寸法の揃った金属粉末が要望されている。
例えばアスペクト比(直径/厚み)の高い扁平な形状を有している金属粉末は、その形状の異方性を利用して種々の分野での利用可能性が検討されている。
【0004】
かかる扁平な金属粉末は、現状では、例えばアトマイズ法などによって得られる球状の原料粉末を、ボールミルなどを用いて機械的に粉砕、延伸並びに引裂加工することで、扁平に変形して製造されるのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の製造方法では、原料である球状の原料粉末の粒径をほぼ一定に揃えたとしても、次工程で原料粉末に加わる粉砕、延伸および引裂加工の強度が個々の粉末ごとに異なるため、製造される金属粉末の寸法、並びに形状に大きなばらつきが生じ、たとえ分級して、その粒径をある程度の範囲内に揃えたとしても、依然として寸法と形状に大きなばらつきが残ってしまう。
【0006】
このため上記従来法では、より一層、寸法と形状が揃っていることが求められつつある金属粉末の技術的な動向に、十分に対応しきれなくなりつつあるのが現状である。
本発明の目的は、これまでよりも寸法、形状の揃った微小な金属粉末を、効率的に製造するための新たな製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するための、本発明の金属粉末の製造方法は、多数の微小電極部を、その所定の形状に形成された先端面が、絶縁基体の表面と同一面として、前記表面に露出されるように配置しためっき金型を使用して、各微小電極部を陰極とする電気めっきにより、上記各先端面に選択的に金属を析出させて、当該先端面の形状に対応した平面形状を有し、かつ、前記平面方向のさし渡し長さよりも厚みの小さい扁平な、多数の微小な金属薄膜を形成したのち、これらの金属薄膜をはく離、回収して金属粉末を得ることを特徴とするものである。
【0008】
かかる本発明の金属粉末の製造方法によれば、上記めっき金型を使用した電気めっきを行うことで、当該めっき金型の微小電極部の、絶縁基体の表面に露出した先端面に対応する所定の平面形状と、電気めっきによる金属薄膜の厚みに対応する所定の厚みとを有する、これまでよりも寸法、形状の揃った、扁平な金属粉末を、多数、効率的に製造することができる。
なお上記めっき金型としては、微小電極部の先端面に形成される金属薄膜をはく離する際の作業性やはく離のしやすさ等を考慮して、
・微小電極部とその周囲の絶縁基体との間に隙間のないもの、
・上記先端面に、金属薄膜をはく離しやすくする離型層を有するもの、
を用いるのが好ましい。
【0009】
また特にめっき金型を円筒状に形成し、当該めっき金型を、円周上の一定範囲がめっき液と接触するように浸漬した状態で、円周方向に回転させながら、電気めっきによる金属薄膜の形成、形成した金属薄膜のはく離、およびはく離した金属薄膜の、金属粉末としての回収を連続的に行うようにすると、金属粉末の製造効率をさらに向上することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の金属粉末の製造方法を、実施の形態の一例を示す図面を参照しつつ説明する。
この例の製造方法では、まず図1(a)および図2(a)(b)に示すように、多数の微小電極部11…を、その周囲の絶縁基体12との間に隙間ができないように、またその所定の形状に形成された先端面11a…が、絶縁基体12の表面12aと同一面となるように露出させるべく配置しためっき金型1を用意する。
【0011】
各微小電極部11…はそれぞれ、上記先端面11a…の形状に対応した円柱状に形成されており、それが絶縁基体12の表面12aから、当該絶縁基体12を貫通して、その裏面側に積層された電極基体10に達するように配置されている。
そして電極基体10を電気めっき用の電源のうち陰極21と接続することで、各微小電極部11…が、この電極基体10を介して陰極21と電気的に接続されて、電気めっきの際の陰極として機能するように、電極基体10と微小電極部11…とが一体化されている。
【0012】
かかるめっき金型1は、例えばフォトリソグラフ法を用いて、
(1) 少なくとも、電極基体10の厚みに微小電極部11…の高さを加えた分の厚みを有する金属板をエッチングして、図に示した電極基体10と、多数の微小電極部11…とを一体に形成した後、各微小電極部11…間の空隙に樹脂等の絶縁材料を層状に、隙間なく充てんし、その表面12aと、微小電極部11…の先端面11a…とを同一面となるように研磨して絶縁基体12を形成する、
(2) 絶縁基体12をエッチングして、多数の微小電極部11…の外形に対応する多数の通孔を形成し、次いで電気めっき法等によって、絶縁基体12の裏面側に電極基体10を形成するとともに、通孔を金属で隙間なく充てんして多数の微小電極部11…を形成した後、当該微小電極部11…の先端面11a…と、絶縁基体12の表面12aとを同一面となるように研磨する、
(3) 絶縁基体12の裏面側に電極基体10が積層された積層体を用意し、この積層体のうち絶縁基体12をエッチングして、多数の微小電極部11…の外形に対応する、電極基体10に達する多数の通孔を形成し、次いで電気めっき法等によって通孔を金属で隙間なく充てんして多数の微小電極部11…を形成した後、当該微小電極部11…の先端面11a…と、絶縁基体12の表面12aとを同一面となるように研磨する、
などの、プリント配線板を製造する際の技術を応用した種々の方法によって製造することができる。
【0013】
そしてこのいずれの方法においても、微小電極部11…の先端面11a…の形状を、フォトリソグラフ法によって極めて高精度に規定することができるため、製造される金属粉末の平面形状を、これまでにない高精度で揃えることが可能となる。
まためっき金型1は、簡易的には、例えば所定の断面形状を有するとともに、その外周面を樹脂で被覆した状態の金属線を多数、束ねたものを、金属板上に、互いに電気的に導通するように貼り付けることでも製造することができる。
【0014】
この場合には、使用する金属線の断面形状の、寸法精度の範囲内であるが、製造される金属粉末の平面形状を、やはりこれまでよりも高精度で揃えることが可能となる。
上記めっき金型1のうち電極基体10および微小電極部11は種々の金属によって形成できるが、特に微小電極部11は、その先端面11aに電気めっきする金属の種類、およびめっき液の組成などに応じて、形成された金属薄膜をはく離しやすく、かつ先端面11aがめっき液によって冒されないように、安定で、できればめっきする金属よりイオン化傾向の小さい金属によって形成するのが好ましい。
【0015】
微小電極部11の先端面11aには、前記のように金属薄膜をはく離しやすくする離型層が設けられてもよい。離型層としては、例えば金属を圧延、熱処理などした際に形成される不働態被膜を利用することができる他、必要に応じて化学的あるいは電気化学的に不働態被膜を形成して離型層としてもよい。後者の例としては、電鋳用として形成用の薬剤が市販されているチアゾール系化合物被膜などが挙げられる。
【0016】
また絶縁基体12は、樹脂等の種々の絶縁材料によって形成することができるが、やはりめっき液の組成などに応じて、当該めっき液によって冒されない材料を選択して形成するのが好ましい。
次に、上記めっき金型1の電極基体10を、前記のように電気めっき用の電源のうち陰極21と接続した状態で、図示しないめっき液に浸漬して、各微小電極部11…を陰極とする電気めっきを行う。
【0017】
そうすると図1(b)および図2(b)に示すように、各微小電極部11…の先端面11a…に選択的にめっき金属が析出して、当該先端面の形状に対応した、図では円形の、多数の微小な金属薄膜30…が形成される。
次に、形成された微小な金属薄膜30…を、例えば図示しない回転ブラシでこする、あるいはカッターの刃などをあててこすり取るなどして、図1(c)と、図2(b)に白矢印で示すように各微小電極部11…の先端面11a…からはく離すると微小な金属粉末3…が製造される。
【0018】
なお電気めっきでは、通電時間、電流密度等の条件を調整することで、金属薄膜30…の膜厚を厳密に制御できるため、製造される金属粉末3…の厚みを高精度で揃えることができる。
したがって上記の製造方法によれば、前述したように金属粉末3…の平面形状を高精度で揃えられることと相まって、これまでよりも寸法と形状、すなわち直径、厚み、アスペクト比などの揃った微小な金属粉末3…を多数、効率よく製造することが可能となる。
【0019】
上記の製造方法によって製造できる金属粉末の寸法、形状は特に限定されないが、各微小電極部11…の先端面11a…の加工精度や、形成した金属薄膜30…の、先端面11a…からのはく離性等を考慮すると、その平面方向のさし渡し長さ(円であれば直径)は、0.5μm以上であるのが好ましい。
また厚みは、前記のように電気めっきの条件を調整することで任意の値に制御可能であるが、形成した金属薄膜30…のはく離性等を考慮すると、現実的には0.05μm以上であるのが好ましい。
前記本発明の製造方法によれば、後述する実施例の結果から明らかなように、平面形状が、長径D L と短径D S の比D L /D S =1.0〜1.2である、ほぼ真円形の金属粉末を製造することができる。また、平面形状が円形で、かつ、個々の金属粉末の直径の最大値と最小値の、前記直径に対する分布が、±20%である、粒径の揃った金属粉末を製造することもできる。
【0020】
金属粉末を形成する金属としては、電気めっきが可能な種々の金属がいずれも使用可能である。
次に図3は、上記めっき金型1を円筒状に巻いてドラムDを形成し、当該ドラムDを、円周上の一定範囲がめっき液Lと接触するように浸漬した状態で、円の中心Cを回転軸として、図中一点鎖線の矢印で示すように円周方向に一定速度で回転させながら、金属粉末を連続的に製造する装置を示す概略断面図である。
【0021】
図において符号2は、前記陰極21を含む電気めっきのための電源、符号4は、めっき液Lと陽極板5とを収容するとともに、上記ドラムDを、上記のように円の中心Cを回転軸として、一定方向に一定速度で回転できるように支持しためっき槽、符号6は、上記めっき槽4内のめっき液Lを循環させたり、新たなめっき液Lを供給したりするために、当該めっき液Lを、ドラムDの、液面より上に露出した領域に散布するためのめっき液供給管、符号7は、ドラムDを形成するめっき金型の、図示しない各微小電極部の先端面に、電気めっきによって形成された金属薄膜をはく離するための回転ブラシ、符号8は、上記回転ブラシ7によってはく離された金属薄膜を、金属粉末として回収するための回収バスケット、符号9は、金属薄膜をはく離した後のドラムDの表面を清掃するための回転ブラシである。
【0022】
上記装置を用いて金属粉末を製造するには、まずめっき液Lをめっき槽4に供給して、ドラムDを、円周上の一定範囲(図では円の中心Cより下の、およそ半周分の領域)がめっき液Lと接触するように浸漬する。
次に、めっき液Lの浴温を一定温度に維持しつつドラムDを、図中一点鎖線の矢印で示す方向に一定速度で回転させるとともに、2つの回転ブラシ7、9を、それぞれ実線および破線の矢印で示す方向に、やはり一定速度で回転させる。
【0023】
次に、図に示すように電源2の陰極とドラムD、陽極と陽極板5をそれぞれ接続して、所定の電流密度でもって電気めっきを行う。
そうすると前述したメカニズムにより、ドラムDを形成するめっき金型の表面に多数、配置された各微小電極部の先端面に選択的に金属が析出して、当該先端面の形状に対応した平面形状を有するとともに、ドラムDの回転速度で規定されるめっき液Lへの浸漬時間と、浴温および電流密度とによって膜厚が所定の範囲に規定された、多数の微小な金属薄膜が形成される。
【0024】
次にこの金属薄膜を、ドラムDの表面に接触した状態で回転する回転ブラシ7によって微小電極部の先端面からはく離して、回収バスケット8で回収した後、上記と同様にドラムDの表面に接触した状態で回転する回転ブラシ9によって当該表面を清掃すると、一連の操作が終了する。
そしてこの操作を、ドラムDを回転させながら連続的に行うと、前述したように寸法、形状の揃った微小な金属粉末を大量に、しかも効率よく製造することができる。
【0025】
またこの間、図示しない循環系を動作させて、めっき液供給管6を通して、めっき槽4内のめっき液Lを循環させたり、あるいはこのめっき液供給管6を通して、定期的に新たなめっき液Lを供給したりすると、さらに長時間にわたる連続運転が可能となる。
本発明で製造された金属粉末は、寸法、形状の揃った微小な金属製の粉末を必要とする種々の用途に利用することができる。
【0026】
【実施例】
以下に本発明を、実施例に基づいて説明する。
実施例1
〈めっき金型、および金属薄膜の連続製造装置の作製〉
前述したフォトリソグラフ法を用いた製造方法のうち(1)の方法により、前記各図に示すように多数の円柱状の微小電極部11…を、絶縁基体12の裏面側の電極基体10から突出させて、その周囲の絶縁基体12との間に隙間ができないように、またその円形の先端面11a…が、絶縁基体12の表面12aと同一面となるように露出させるべく配置しためっき金型1を作製した。
【0027】
図2(a)に示す各寸法のうち先端面11aの直径Dは25μm、隣接する先端面間の最短距離Iは30μm、互いに隣接する3つの先端面11a…の中心を通る2つの中心線のなす角θは60°とした。
そして上記めっき金型1を円筒状に巻いて、直径50cm、幅60cmのドラムDを作製し、このドラムDと、図3に示す各部材とを組み合わせて、図3の連続製造装置を構成した。
【0028】
〈めっき試験〉
上記装置を使用して、金属粉末としての、ニッケル−鉄合金粉末を製造する試験を行った。
めっき液Lとしては、下記の組成を有するパーマロイめっき液を調製した。
(成分) (濃度)
硫酸ニッケル6水和物 100g/L
塩化ニッケル6水和物 60g/L
硫酸鉄7水和物 10g/L
グルコン酸ナトリウム 10g/L
ホウ酸 30g/L
サッカリン 4g/L
上記めっき液Lを装置のめっき槽4内に注入し、液のpHを3に調整した状態で、窒素ガスをバブリングしながら、浴温60℃、ドラムの回転速度30回転/時、電流密度10A/dm2の条件で装置を運転して、連続的にニッケル−鉄合金粉末を製造した。
【0029】
得られた合金粉末のうち、平面形状の円形度を規定する長径DLと短径DSとの比DL/DS、並びに各合金粉末の直径の、微小電極部11の先端面11aの直径D(=25μm)に対する分布を、それぞれ下記の方法で測定した。
〈比DL/DSの測定〉
走査型電子顕微鏡を用いて、倍率300倍で、同一サンプルの3視野内の全ての合金粉末(合計の個数をn個とする)について、長径DL1、DL2…、DLnと短径DS1、DS2…、DSnとを測定し、この測定値から求めた個々の合金粉末における比DL1/DS1、DL2/DS2…、DLn/DSnのうちの最小値と最大値から、比DL/DSの範囲を求めた。
【0030】
その結果、上記実施例1で製造された合金粉末の、長径DLと短径DSとの比DL/DSの範囲は1.0〜1.2であり、平面形状が、微小電極部11の先端面11aの形状に対応した円形にほぼ揃っていることが確認された。
なお比較のために、アトマイズ法で製造した原料粉末をボールミルで押しつぶすという従来法で製造された粉末(平均粒径50μm)について、同様の測定をしたところ、長径DLと短径DSとの比DL/DSの範囲は1.0〜2.5と大きくばらついており、また実際に電子顕微鏡で見た結果からも、その形状は不定形で粉末ごとに全くばらばらであることが確認された。
【0031】
〈直径の分布〉
上記の測定で得られた、3視野内の全ての合金粉末(n個)の長径DL1、DL2…、DLnおよび短径DS1、DS2…、DSnの測定値から、式(1):
Da(μm)=(DLa+DSa)/2 (1)
〔式中aは1〜nを示す。〕
によって個々の合金粉末の直径Daを求め、そのうちの最大値および最小値と、微小電極部11の先端面11aの直径D(=25μm)との差をとって、直径の分布とした。
【0032】
その結果、上記実施例1で製造された合金粉末の直径の最大値は30μm、最小値は20μm、直径の分布は±5μmであり、直径がほぼ揃っていることが確認された。
これに対し、前記従来法で製造された粉末について同様の計算を行ったところ、最大値は120μm、最小値は5μm、平均粒径(=50μm)に対する直径の分布は−45〜+70μmと大きくばらついていることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属粉末の製造方法の、実施の形態の一例を示す図であって、同図(a)は、金属粉末の製造に使用するめっき金型の断面図、同図(b)は、上記めっき金型の、微小電極部の先端面に、電気めっきによって微小な金属薄膜を形成した状態を示す断面図、同図(c)は、上記金属薄膜を微小電極部の先端面からはく離して、金属粉末として回収する状態を示す断面図である。
【図2】同図(a)は、上記めっき金型における、微小電極部の先端面の平面形状と、絶縁基体表面での配置とを示す拡大平面図、同図(b)は、上記めっき金型の一部を切り欠いて拡大した拡大斜視図である。
【図3】上記めっき金型を円筒状に形成したドラムを組み込んだ、金属粉末の連続製造装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 めっき金型
11 微小電極部
11a 先端面
12 絶縁基体
12a 表面
3 金属粉末
30 金属薄膜
Claims (9)
- 多数の微小電極部を、その所定の形状に形成された先端面が、絶縁基体の表面と同一面として、前記表面に露出されるように配置しためっき金型を使用して、各微小電極部を陰極とする電気めっきにより、上記各先端面に選択的に金属を析出させて、当該先端面の形状に対応した平面形状を有し、かつ、前記平面方向のさし渡し長さよりも厚みの小さい扁平な、多数の微小な金属薄膜を形成したのち、これらの金属薄膜をはく離、回収して金属粉末を得ることを特徴とする金属粉末の製造方法。
- めっき金型として、同一面に形成された、微小電極とその周囲の絶縁基体との間に隙間のないものを用いることを特徴とする請求項1記載の金属粉末の製造方法。
- めっき金型として、フォトリソグラフ法によって、金属板をエッチングすることで、多数の微小電極部を、当該多数の微小電極部を支持する電極基体と一体に形成した後、各微小電極部間の空隙に樹脂等の絶縁材料を充てんし、その表面と、微小電極部の先端面とを同一面となるように研磨して絶縁基体を形成したものを用いることを特徴とする請求項1記載の金属粉末の製造方法。
- めっき金型として、フォトリソグラフ法によって、絶縁基体をエッチングして、多数の微小電極部の外形に対応する多数の通孔を形成した後、めっきによって、絶縁基体の裏面側に電極基体を形成するとともに、通孔を金属で隙間なく充てんして多数の微小電極部を形成し、当該微小電極部の先端面と、絶縁基体の表面とを同一面となるように研磨して形成したものを用いることを特徴とする請求項1記載の金属粉末の製造方法。
- めっき金型として、絶縁基体の裏面側に電極基体が積層された積層体を用意し、この積層体のうち絶縁基体を、フォトリソグラフ法によってエッチングして、多数の微小電極部の外形に対応する、電極基体に達する多数の通孔を形成した後、めっきによって、通孔を金属で隙間なく充てんして多数の微小電極部を形成し、当該微小電極部の先端面と、絶縁基体の表面とを同一面となるように研磨して形成したものを用いることを特徴とする請求項1記載の金属粉末の製造方法。
- めっき金型として、先端面の形状に対応した所定の断面形状を有するとともに、その外周面を、絶縁基体を形成する樹脂で被覆した状態の金属線を多数、束ねて、金属板上に、互いに電気的に導通するように貼り付けて形成したものを用いることを特徴とする請求項1記載の金属粉末の製造方法。
- 平面形状が、長径D L と短径D S の比D L /D S =1.0〜1.2である、円形の金属粉末を製造することを特徴とする請求項1記載の金属粉末の製造方法。
- 平面形状が円形で、かつ、個々の金属粉末の直径の最大値と最小値の、前記直径に対する分布が、±20%である金属粉末を製造することを特徴とする請求項1記載の金属粉末の製造方法。
- めっき金型を円筒状に形成し、当該めっき金型を、円周上の一定範囲がめっき液と接触するように浸漬した状態で、円周方向に回転させながら、電気めっきによる金属薄膜の形成、形成した金属薄膜のはく離、およびはく離した金属薄膜の、金属粉末としての回収を連続的に行うことを特徴とする請求項1記載の金属粉末の製造方法。
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