JP3767379B2 - ガラス基板のクリーニング装置およびクリーニング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示パネルなどのガラス基板の縁部をクリーニングするガラス基板のクリーニング装置およびクリーニング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表示パネルなどのガラス基板の製造工程では、ガラス基板の縁部に形成された端子にサブ基板が接続される。この接続の方法として異方性導電材によってガラス基板にサブ基板を接合する方法が用いられる。この接合に先立って、ガラス基板の縁部の表面に付着した異物の除去や、ガラス基板表面に電子部品を実装するために貼付されるACF(異方性導電接着剤)の貼着性を向上させることを目的としたクリーニングが行われる。
【0003】
このクリーニングは、縁部の上下両面に押圧子によってワイパテープを押し付けた状態で、ガラス基板を押圧子に対して相対的にスライドさせ、ワイパテープによってガラス板の上下両面に付着した付着物を拭き取ることにより行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のガラス基板のクリーニングにおいては、基板の縁部へワイパテープを押し付ける押圧子は、上下それぞれ個別の押圧手段によってガラス基板に対して押し付けられる構造となっていたため、ガラス基板の厚みが異なる場合や、ガラス基板を保持する保持高さにずれが生じた場合などには、押圧子によって縁部を挟み込む際に上下両面から均等な荷重で挟み込むことが困難であった。このため、クリーニング時にガラス基板に曲げ荷重が作用してガラス基板の破損や位置ずれを招き、製品歩留まりの低下や後工程での実装位置ずれなどの不具合が生じるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、ガラス基板に曲げ荷重を作用させることなく、製品歩留まりを向上させ後工程での不具合を防止することができるガラス基板のクリーニング装置およびクリーニング方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のガラス基板のクリーニング装置は、ガラス基板の縁部の表面付着物をテープ状清掃材によって除去するガラス基板のクリーニング装置であって、前記ガラス基板を保持する保持手段と、前記テープ状清掃材を一対の押圧子によって前記縁部の上下両面に押し付けるクリーニング手段と、前記保持手段をこのクリーニング手段に対して相対的に移動させる移動手段とを備え、前記クリーニング手段は、前記一対の押圧子を開閉駆動するチャック機構と、このチャック機構を所定の高さ位置に弾性的に支持するとともにチャック機構が前記所定の高さ位置から上下方向に変位した場合にこのチャック機構に前記変位を復元する復元力を与えるチャック支持手段とを有する。
【0007】
請求項2記載のガラス基板のクリーニング方法は、ガラス基板の縁部の上下両面に、クリーニング装置に弾性的に支持されるチャック機構の1対の押圧子によりテープ状清掃材を押しつけ、このテープ状清掃材に対してガラス基板を相対移動させることにより前記縁部の表面付着物を除去するガラス基板のクリーニング方法であって、前記ガラス基板の相対移動においてチャック機構が所定の高さ位置から上下方向に変位した場合にこのチャック機構に前記変位を復元する復元力を与えることにより、前記チャック機構を所定の高さ位置に復帰させるようにした。
【0008】
本発明によれば、ガラス基板の縁部の上下両面に一対の押圧子によりテープ状清掃材を押しつけるクリーニング手段に対してガラス基板を相対移動させる際に、押圧子を開閉駆動するチャック機構を所定の高さ位置に弾性的に支持するとともにチャック機構が所定の高さ位置から上下方向に変位した場合にこのチャック機構に復元力を与えることにより、押圧子によって常に均等な荷重でガラス基板を挟み込んで、ガラス基板に曲げ荷重が作用するのを防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のガラス基板のクリーニング装置の側面図、図2は本発明の一実施の形態のガラス基板のクリーニング装置のチャック機構の側面図、図3(a),(b),(c)は本発明の一実施の形態のガラス基板のクリーニング方法の工程説明図、図4(a)はガラス基板の部分斜視図、図4(b),(c)は本発明の一実施の形態のガラス基板のクリーニング方法の工程説明図である。
【0010】
まず図1を参照してガラス基板のクリーニング装置の構成について説明する。図1において、基台1上には位置決め部2および端子クリーニング部3が配設されている。位置決め部2は、移動テーブル4上に基板保持部5を装着して構成されている。基板保持部5はガラス基板である表示パネル6を吸着して保持する。すなわち基板保持部5は、ガラス基板を保持する保持手段となっている。
【0011】
移動テーブル4は、X,Y,Zの3方向への直線移動およびZ軸廻りのθ方向の回転移動が可能となっており、基板保持部5に表示パネル6を保持させた状態で移動テーブル4を駆動することにより、表示パネル6の縁部6aを以下に説明するクリーニング手段である端子クリーニング部3に対して位置決めするとともに、クリーニング動作において表示パネル6を端子クリーニング部3に対して相対移動させる。従って移動テーブル4は、基板保持部5を端子クリーニング部3に対して相対的に移動させる移動手段となっている。
【0012】
端子クリーニング部3は、一対の押圧子8A,8Bを備えている。押圧子8A,8Bは、表示パネル6の縁部の上下両面にテープ状清掃材であるワイパテープ10を押し付ける。ワイパテープ10は、供給リール11A,11Bから送給され、ガイドローラ12によって押圧子8A,8Bの押圧面に導かれる。
【0013】
そして押圧子8A,8Bを開閉駆動するチャック機構9を駆動することにより、ワイパテープ10は表示パネル6の縁部6aに押し付けられ、この状態で基板保持部5に保持された表示パネル6をX方向に水平移動させることにより、縁部6aの表面付着物が除去される。これにより、表示パネル6の縁部6aに形成された接続用の端子のクリーニングが行われる。
【0014】
クリーニングにおいてはワイパテープ10は所定のピッチでテープ送りされ、使用後のワイパテープ10は回収ローラ12A,12Bに順次巻き取られて回収される。チャック機構9は、後述するように板バネ部材13によって弾性的に支持され、チャック機構9と表示パネル6との高さ方向の位置ずれを吸収できるようになっている。
【0015】
次に図2を参照して、押圧子8A,8Bを開閉駆動するチャック機構9について説明する。図2において、ベースプレート7に垂直方向に配設されたガイドレール21には、スライダ22が上下動自在に嵌合しており、スライダ22には移動プレート20が固着されている。従って移動プレート20はベースプレート7に対して上下方向に移動可能に保持されており、移動プレート20に設けられたチャック機構9は、ベースプレート7に対して上下動自在となっている。
【0016】
チャック機構9の構成について説明する。移動プレート20の左端部に突出して設けられた一対の押圧子8A,8Bはそれぞれアーム23A,23Bによって保持されており、一方側のアーム23Bの端部はシリンダ26のロッド26aと結合されている。ロッド26aが突没することにより、アーム23Bを介して押圧子8Bは上下動する。
【0017】
またアーム23A,23Bはそれぞれラックギア24A,24Bと結合されており、ラックギア24A,24Bはピニオンギア25と噛合している。従って、前述のシリンダ26による押圧子8Bの上下動作と連動して、押圧子8Aも上下動作を行う。すなわち一対の押圧子8A,8Bは、単一の駆動手段であるシリンダ26によって同期して開閉する。このときの押圧子8A,8Bの開閉動作は、ピニオンギア25の高さ位置に一致した中心線CLに関して上下対称の動作となる。従ってチャック機構9による押圧子8A,8Bの閉動作時には、常に一定の高さ位置(中心線CL)を中心とした閉動作を行う。なお単一の駆動手段を用いて押圧子8A,8Bを常に一定の高さ位置を中心とした閉動作を行わせる機構としては、ベルトやカムを用いたチャック機構でもよい。
【0018】
移動プレート20の右端部には、上下一対の回転自在のローラ27が配設されている。ローラ27は、固定ブロック29によって一端をベースプレート7に片持ち固定された板バネ部材13の自由端を、水平方向の相対変位を拘束することなく上下から挟持している。従ってベースプレート7に対して上下動自在に保持されたチャック機構9は、板バネ部材13によって上下方向に弾性的に保持されている。
【0019】
このとき、チャック機構9の中心線CLの高さ位置が、位置決め部2との関連で決定される所定の高さ位置(高さ原位置)と一致するよう、すなわちチャック機構9の自重による板バネ部材13の撓み分を予め補正して、固定ブロック29の位置が設定されている。
【0020】
このような保持方法を採用することにより、チャック機構9に上下方向の外力が作用した場合には、チャック機構9は外力に相当する板バネ部材13の撓み代だけ外力作用方向へ変位し、外力が取り去られた場合にはチャック機構9は板バネ部材13の弾発力により高さ原位置に復帰する。すなわち、板バネ部材13は、チャック機構9を所定の高さ位置に弾性的に支持するとともに、チャック機構9が所定の高さ位置から上下方向に変位した場合にこのチャック機構9に変位を復元する復元力を与える第1の支持手段(チャック支持手段)となっている。なお第1の支持手段では板バネ部材13で復元力を発生させているが、板バネ以外にコイルバネ等の弾性部材を使用してもよい。
【0021】
またチャック機構9の右側には、板バネ部材13を上下から挟む位置に一対のクランプ部材28が配設されている。クランプ部材28は図示しない駆動手段によって開閉し、閉状態において板バネ部材13をクランプして上下方向に固定する。このときの固定位置は、チャック機構9の中心線CLが前述の高さ原位置に一致するよう設定される。
【0022】
すなわちクランプ部材28を閉じることにより、チャック機構9は高さ原位置で固定的に支持され、不必要なときにチャック機構9が上下方向に変位するのを防止する。従ってクランプ部材28は、チャック機構9を所定の高さ位置で固定的に支持する第2の支持手段となっている。なお、クランプ部材28による固定位置は、高さ原位置から幾分ずれていても差し支えない。
【0023】
このガラス基板のクリーニング装置は上記の様に構成され、以下クリーニング動作について各図を参照して説明する。まず図1において基板保持部5上に表示パネル6が載置され、次いで移動テーブル4を駆動することにより、表示パネル6の縁部6aを端子クリーニング部3に対して位置合わせする。すなわち、図3(a)に示すように、クランプ部材28を閉状態にしてチャック機構9の高さ位置を高さ原位置に固定した状態で、かつシリンダ26のロッド26aを突出させて押圧子8A,8Bを開いた状態で、表示パネル6をY方向に移動させ、縁部6aを押圧子8A,8Bの間のクリーニング位置まで進出させる。
【0024】
この後図3(b)に示すように、クランプ部材28による板バネ部材13のクランプを解除する。これにより、チャック機構9は板バネ部材13によって弾性支持されたフローティング状態となる。次いでシリンダ26のロッド26aを没入させて押圧子8A,8Bを閉じる。これにより、ワイパテープ10が表示パネル6の縁部6aの上下両面に押しつけられ、クリーニングが可能な状態となる。
【0025】
次いで、移動テーブル4を駆動して表示パネル6をワイパテープ10に対してX方向に水平移動させる。これにより、表示パネル6の縁部6aの表面付着物はワイパテープ10によって除去され、縁部に形成された端子のクリーニングが行われる。
【0026】
このクリーニング動作において、縁部6aの変形などによって、押圧子8A,8Bが縁部6aを押圧するクリーニング部位に、高さ方向の位置ずれが存在する場合がある。このような場合においても、チャック機構9は板ばね部材13によって弾性的に支持されていることから、図3(c)の上下矢印で示すようにチャック機構9は位置ずれに追従して上下方向に変位することが許容される。
【0027】
そして高さ原位置から上下方向に変位したチャック機構9には、板バネ部材13によってこの変位を復元する復元力が作用し、縁部6aの高さ方向の位置ずれが存在しない部位に相対移動すると、チャック機構9は高さ原位置に復帰する。これによりクリーニング動作においては、チャック機構9は縁部6aの高さ方向の位置にならって変位し、常に縁部6aを中心線CLの位置で挟み込む。従って表示パネル6には、押圧子8A,8Bのいずれかがより大きな押圧力で押さえ込むことによって生じる曲げ荷重が作用しない。
【0028】
すなわち、本実施の形態に示す構成を採用することにより、同一の表示パネル6において部分的に縁部6aの高さが異なっているような場合にあっても、板バネ部材13によって高さ差が吸収され、常に良好な状態で縁部6aのクリーニングを行うことができる。これにより、クリーニング動作において表示パネル6に曲げ荷重が作用することがなく、過大な曲げ荷重による表示パネル6の破損や、基板保持部5上での表示パネル6の位置ずれが発生しない。従って、製品歩留まりを向上させるとともに、位置ずれに起因する後工程での不具合を防止することができる。
【0029】
このような効果は、図4(a)に示すように、同一表示パネルにおいて辺の方向によってクリーニング対象部位の高さ位置が異なるような場合に特に顕著な効果を得る。図4(a)において、表示パネル6’は2枚のガラス基板を貼着した構成となっており、縁部6’a,6’bの方向によってクリーニング対象のガラス基板が異なる。このような表示パネル6’を対象とする場合には、従来は辺の方向を転換する度に、移動テーブル4によって基板保持部5の高さ位置を調整する必要があった。
【0030】
これに対し本実施の形態では、図4(b)に示すように縁部6’aを対象とする場合においても、また図4(c)に示すように縁部6’bを対象とする場合においても、表示パネル6の保持高さを何ら変更することなく、チャック機構9を弾性支持する板バネ部材13がこの高さ差を吸収する。したがって、高さ差の異なる2つの縁部6’a,6’bを、押圧子8A,8Bによって常に適正な押圧力によって挟み込み、良好なクリーニングを行うことができる。
【0031】
クリーニングが完了したらチャック機構9を開き、クランプ部材28を閉じてフローティング状態でチャック機構9を所定の高さ位置で固定的に支持する。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、ガラス基板の縁部の上下両面に一対の押圧子によりテープ状清掃材を押しつけ、このテープ状清掃材に対してガラス基板を相対移動させる際に、押圧子を開閉駆動するチャック機構を所定の高さ位置に弾性的に支持するとともにチャック機構が所定の高さ位置から上下方向に変位した場合にこのチャック機構に復元力を与えるようにしたので、押圧子によって常に均等な荷重でガラス基板を挟み込んで、ガラス基板に曲げ荷重が作用するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のガラス基板のクリーニング装置の側面図
【図2】本発明の一実施の形態のガラス基板のクリーニング装置のチャック機構の側面図
【図3】(a)本発明の一実施の形態のガラス基板のクリーニング方法の工程説明図
(b)本発明の一実施の形態のガラス基板のクリーニング方法の工程説明図
(c)本発明の一実施の形態のガラス基板のクリーニング方法の工程説明図
【図4】(a)ガラス基板の部分斜視図
(b)本発明の一実施の形態のガラス基板のクリーニング方法の工程説明図
(c)本発明の一実施の形態のガラス基板のクリーニング方法の工程説明図
【符号の説明】
2 位置決め部
3 端子クリーニング部
4 移動テーブル
5 基板保持部
6 表示パネル
8A,8B 押圧子
9 チャック機構
10 ワイパテープ
13 板バネ部材
28 クランプ部材
Claims (2)
- ガラス基板の縁部の表面付着物をテープ状清掃材によって除去するガラス基板のクリーニング装置であって、前記ガラス基板を保持する保持手段と、前記テープ状清掃材を一対の押圧子によって前記縁部の上下両面に押し付けるクリーニング手段と、前記保持手段をこのクリーニング手段に対して相対的に移動させる移動手段とを備え、前記クリーニング手段は、前記一対の押圧子を開閉駆動するチャック機構と、このチャック機構を所定の高さ位置に弾性的に支持するとともにチャック機構が前記所定の高さ位置から上下方向に変位した場合にこのチャック機構に前記変位を復元する復元力を与えるチャック支持手段とを有することを特徴とするガラス基板のクリーニング装置。
- ガラス基板の縁部の上下両面に、クリーニング装置に弾性的に支持されるチャック機構の1対の押圧子によりテープ状清掃材を押しつけ、このテープ状清掃材に対してガラス基板を相対移動させることにより前記縁部の表面付着物を除去するガラス基板のクリーニング方法であって、前記ガラス基板の相対移動においてチャック機構が所定の高さ位置から上下方向に変位した場合にこのチャック機構に前記変位を復元する復元力を与えることにより、前記チャック機構を所定の高さ位置に復帰させることを特徴とするガラス基板のクリーニング方法。
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