JP3767062B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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    • F02D2200/0814Oxygen storage amount

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
三元触媒は空燃比がほぼ理論空燃比のときにHC,COを酸化しかつNOxを還元する機能を有し、従って空燃比をほぼ理論空燃比に維持しえれば三元触媒を用いてHC,CO,NOxを同時に浄化することができる。ところが空燃比をほぼ理論空燃比に維持することは困難であり、実際には空燃比が理論空燃比からずれてしまう。しかしながら空燃比が理論空燃比からずれたとしても三元触媒のO2 スレージ機能、即ち酸素貯蔵機能によってHC,CO,NOxを浄化することができる。
【0003】
即ち、三元触媒は空燃比がリーンのときに排気ガス中の過剰酸素を取込んで貯蔵する機能を有し、この機能によってNOxが還元せしめられる。一方、空燃比がリッチになると排気ガス中の未燃HC,COが三元触媒内に貯蔵されている酸素を奪い、それによって未燃HC,COが酸化せしめられる。従って空燃比が理論空燃比からずれたときにNOxを還元せしめるには三元触媒が酸素を貯蔵しえる状態になければならず、即ち三元触媒の酸素吸蔵量が最大酸素吸蔵量に対して余裕がなければならず、一方このとき未燃HC,COを酸化せしめるには三元触媒が或る程度の酸素を貯蔵していなければならないことになる。即ち、空燃比が理論空燃比からリーン側にずれたときにNOxを還元でき、空燃比が理論空燃比に対してリッチ側にずれたときに未燃HC,COを酸化できるようにするためには三元触媒の酸素吸蔵量を最大酸素吸蔵量の半分程度に維持しておく必要がある。
【0004】
ところで三元触媒に吸着される酸素量および三元触媒から脱離される酸素量は吸入空気量および理論空燃比に対する空燃比のずれ量から算出することができ、従ってこれら吸入空気量および空燃比のずれ量から三元触媒の貯蔵酸素量を算出することができる。そこで三元触媒に貯蔵しておくべき目標貯蔵酸素量を予め定めておき、算出された三元触媒の貯蔵酸素量がこの目標貯蔵酸素量となるように燃料噴射量を制御するようにした内燃機関が公知である(特開昭6−249028号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで気筒が複数の気筒群に分割されていて各気筒群が夫々独立した排気通路を具備しており、各排気通路内に夫々三元触媒を配置した内燃機関においては、通常全気筒に吸入される空気量に基づいて空燃比を制御するようにしている。しかしながら各三元触媒の貯蔵酸素量を算出するためには各気筒群に供給される吸入空気量を知る必要があり、従って上述の公知の内燃機関における空燃比制御方法をそのまま適用することができないという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために1番目の発明によれば、気筒を複数の気筒群に分割すると共に各気筒群が夫々排気通路を具備し、各排気通路内に夫々三元触媒を配置すると共に三元触媒上流の各排気通路内に夫々空燃比センサを配置し、各気筒群に分配される吸入空気量を算出する分配空気量算出手段を具備した内燃機関の空燃比制御装置において、三元触媒下流の各排気通路内に夫々下流側空燃比センサを配置し、各気筒群に分配された吸入空気量と対応する気筒群の空燃比センサにより検出された空燃比とから対応する気筒群の三元触媒に貯蔵された酸素の脱離量を示す貯蔵酸素脱離量を各気筒群について夫々算出する脱離量算出手段と、各貯蔵酸素脱離量が目標脱離量となるように各気筒群の空燃比を個別に制御する空燃比制御手段とを具備し、脱離量算出手段は各気筒群に分配された吸入空気量と、対応する気筒群の三元触媒上流に配置された空燃比センサにより検出された空燃比と、対応する三元触媒における酸素の脱離速度と吸着速度の速度比とから各気筒群の三元触媒についての貯蔵酸素脱離量を算出し、各気筒群の三元触媒について算出された貯蔵酸素脱離量が零に達していないにもかかわらずに対応する下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリーンであるときには脱離速度を吸着速度に対し相対的に減少すべく対応する三元触媒についての速度比を修正し、かつ各気筒群の三元触媒について算出された貯蔵酸素脱離量が零に達しているにもかかわらず対応する下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリーンでないときには脱離速度を吸着速度に対し相対的に増大すべく対応する三元触媒についての速度比を修正する速度比修正手段とを具備している。
【0009】
即ち、算出された貯蔵酸素脱離量が零に達していないにもかかわらずに下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリーンであるときには、即ち計算上では貯蔵酸素脱離量が零に達していないのに実際には零になっているときには計算上の酸素の脱離速度が実際よりも速すぎると考えられる。従ってこのときには脱離速度を吸着速度に対し相対的に減少させる。これに対して算出された貯蔵酸素脱離量が零であるにもかかわらずに下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリーンでないとき、即ち計算上では貯蔵酸素脱離量が零であるのに実際には零でないときには計算上の酸素の脱離速度が実際よりも遅すぎると考えられる。従ってこのときには逆に脱離速度を吸着速度に対し相対的に増大させる。
【0010】
番目の発明では番目の発明において、各気筒群の三元触媒について算出された貯蔵酸素脱離量が最大脱離量に達していないにもかかわらずに対応する下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリッチであるときには対応する三元触媒についての最大脱離量を減量修正し、かつ各気筒の三元触媒について算出された貯蔵酸素脱離量が最大脱離量に達しているにもかかわらずに対応する下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリッチでないときには対応する三元触媒についての最大脱離量を増量修正する最大脱離量修正手段を具備している。
【0011】
即ち、算出された貯蔵酸素脱離量が最大脱離量に達していないにもかかわらずに下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリッチであるときには、即ち計算上では貯蔵酸素脱離量が最大脱離量に達しているのに実際には最大脱離量に達していないときには計算上の最大脱離量が大きすぎると考えられる。従ってこのときには最大脱離量が減少せしめられる。これに対して算出された貯蔵酸素脱離量が最大脱離量に達しているにもかかわらずに下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリッチでないとき、即ち計算上では貯蔵酸素脱離量が最大脱離量に達しているのに実際には最大脱離量に達していないときには計算上の最大脱離量が小さすぎると考えられる。従ってこのときには最大脱離量が増大せしめられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明をV型6気筒エンジンに適用した場合を示している。
図1を参照すると、1は左右バンクを有する機関本体を示しており、一方のバンクには3つの気筒2aが、他方のバンクにも3つの気筒2bが夫々配置される。本発明では以下、一方のバンクの3つの気筒2aを第1の気筒群と称し、他方のバンクの3つの気筒3bを第2の気筒群と称する。この場合、第1の気筒群と第2の気筒群で交互に点火が行われる。
【0013】
第1気筒群の各気筒2aは対応する吸気枝管3aを介して第1の吸気通路4aに連結され、各吸気枝管3a内には夫々対応する気筒2aの吸気ポート内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁5aが取付けられる。一方、第2気筒群の各気筒2bは対応する吸気枝管3bを介して第2の吸気通路4bに連結され、各吸気枝管3b内には夫々対応する気筒2bの吸気ポート内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁5bが取付けられる。
【0014】
第1の吸気通路4aおよび第2の吸気通路4bは共通の吸気ダクト6に連結され、この共通の吸気ダクト6は全気筒に対して一個設けられたエアフローメータ7を介してエアクリーナ8に連結される。吸気ダクト6内には全気筒に対して共通のスロットル弁9が配置される。従って図1に示される実施例では全気筒に吸入される吸入空気量がエアフローメータ7によって検出され、各気筒に供給される吸入空気量がスロットル弁9によって制御される。
【0015】
一方、第1気筒群の各気筒2aは第1の排気マニホルド10aおよび第1の三元触媒11aを内蔵した触媒コンバータ12aを介して第1の排気管13aに連結され、第2気筒群の各気筒2bは第2の排気マニホルド10bおよび第2の三元触媒11bを内蔵した触媒コンバータ12bを介して第2の排気管13bに連結される。第1の排気管13aおよび第2の排気管13bは共通の排気管14に連結される。
【0016】
電子制御ユニット30はディジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって相互に接続されたROM(リードオンリメモリ)32,RAM(ランダムアクセスメモリ)33,CPU(マイクロプロセッサ)34、常時電源に接続されたバックアップRAM35、入力ポート36および出力ポート37を具備する。エアフローメータ7は吸入空気量に比例した出力電圧を発生し、この出力電圧が対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。スロットル弁9にはスロットル弁9がアイドリング位置にあることを示す出力信号を発生するアイドルスイッチ15が取付けられ、このアイドルスイッチ15の出力信号が入力ポート36に入力される。
【0017】
第1の三元触媒11a上流の排気マニホルド10a内には空燃比センサ16a(以下、第1の上流側空燃比センサと称する)が配置され、三元触媒11a下流の排気管13a内にも空燃比センサ17a(以下、第1の下流側空燃比センサと称する)が配置される。これら空燃比センサ16a,17aの出力信号は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、第1の三元触媒11a内には第1の三元触媒11aの温度に比例した出力電圧を発生する温度センサ18aが配置され、この温度センサ18aの出力電圧が対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
【0018】
一方、第2の三元触媒11b上流の排気マニホルド10b内には空燃比センサ16b(以下、第2の上流側空燃比センサと称する)が配置され、第2の三元触媒11b下流の排気管13b内にも空燃比センサ17b(以下、第2の下流側空燃比センサと称する)が配置される。これら空燃比センサ16b,17bの出力信号は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、第2の三元触媒11b内には第2の三元触媒11bの温度に比例した出力電圧を発生する温度センサ18bが配置され、この温度センサ18bの出力電圧が対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、入力ポート36には機関回転数を表わす出力パルスを発生する回転数センサ19が接続される。一方、出力ポート37は駆動回路39を介して夫々燃料噴射弁5a,5bに接続される。
【0019】
各上流側空燃比センサ16a,16bは図2(A)に示されるように空燃比A/Fに応じた電流Iを発生する。この電流Iは電圧に変換されてAD変換器38を介し入力ポート36に入力される。従って各上流側空燃比センサ16a,16bの出力信号から対応する三元触媒11a,11b上流における空燃比A/Fを知ることができる。
【0020】
これに対して各下流側空燃比センサ17a,17bは図2(B)に示されるように理論空燃比において急変する出力電圧Vを発生する。即ち、各下流側空燃比センサ17a,17bは空燃比がリーンのときには0.1(V)程度の出力電圧Vを発生し、空燃比がリッチのときには0.9(V)程度の出力電圧を発生する。なお、本発明による実施例では下流側空燃比センサ17a,17bの出力電圧Vが設定値VL 、例えば0.2(V)よりも低いときに対応する三元触媒11a,11bの下流側における空燃比がリーンであると判断し、下流側空燃比センサ17a,17bの出力電圧Vが設定値VR 、例えば0.7(V)よりも高いときに対応する三元触媒11a,11bの下流側における空燃比がリッチであると判断するようにしている。
【0021】
ところで三元触媒11a,11bは空燃比がほぼ理論空燃比のときにHC,COを酸化しかつNOxを還元する機能、即ちHC,COおよびNOxを同時に浄化する機能を有する。しかしながら冒頭で述べたように三元触媒11a,11bはO2 ストレージ機能、即ちその内部に酸素を貯蔵する機能を有し、このO2 ストレージ機能によってたとえ空燃比が理論空燃比からずれたとしても三元触媒11a,11bによってHC,COおよびNOxを浄化することができる。この酸素の貯蔵作用は三元触媒11a,11b内に含まれるセリウムCeによって行われる。
【0022】
即ち、セリウムCeは金属単体の状態であると不安定であり、酸素が結合するとセリアCeO2 となって安定する。従ってセリウムCeの周囲の酸素が存在すれば、即ち空燃比がリーンであればただちに酸素を奪ってセリアCeO2 となる。一方、空燃比がリッチになると、即ち排気ガス中に多量の未燃HC,COが存在するとこれら未燃HC,COはセリアCeO2 から酸素を奪い、従ってセリアCeO2 は再び不安定なセリウムCeとなる。この場合、セリウムCeが周囲から酸素を奪うのに要する時間は極めて短かく、即ち酸素の吸着速度は極めて速く、これに対して未燃HC,COがセリアCeO2 から酸素を奪うのに要する時間は若干長いこと、即ち酸素の脱離速度は吸着速度に比べて遅いことが判明している。
【0023】
このように空燃比がリーンになると排気ガス中から酸素が奪われるので排気ガス中に含まれるNOxが還元せしめられ、空燃比がリッチになると排気ガスの未燃HC,COがセリアCeO2 から酸素を奪うので未燃HC,COが酸化せしめられる。従って空燃比が理論空燃比からずれたとしてもHC,COおよびNOxを浄化することができる。ただし、この場合HC,COおよびNOxを浄化することができるのは空燃比がリーンになったときに三元触媒11a,11bが酸素を貯蔵しうる状態になければならず、空燃比がリッチになったときに三元触媒11a,11bが或る程度の酸素を貯蔵していなければならないことになる。
【0024】
ところで三元触媒11a,11bが貯蔵しうる酸素量には限度があり、三元触媒11a,11bは三元触媒11a,11bが貯蔵しうる酸素量以上の酸素は貯蔵することができない。一方、空燃比が理論空燃比からずれた場合にリーン側にずれるかリッチ側にずれるかはわからず、従ってどちら側にずれても排気ガス中の有害成分を浄化しうるためにはこれから貯蔵しうる酸素量とこれから脱離しうる酸素量とを等しくしておくことが必要となる。即ち、三元触媒11a,11bが貯蔵しうる酸素量に限度があることを考えると三元触媒11a,11bに貯蔵されている酸素量を三元触媒11a,11bが貯蔵しうる最大酸素量の半分に維持しておく必要がある。
【0025】
ところで三元触媒11a,11bに貯蔵されている酸素量は直接計測することはできず、従ってこの酸素量は通常計算することによって求めるようにしている。この場合、通常は酸素の貯蔵量が零のときを基準として酸素の貯蔵量を算出するようにしているがこのような酸素の貯蔵量が零の状態を確実に創り出すためには空燃比がリッチである状態を積極的に創り出さなければならないという問題がある。更に、三元触媒11a,11bからの酸素の脱離速度は比較的遅く、またこの脱離速度は雰囲気温度の影響を大きく受けるので空燃比が一時的にリッチになったからといって酸素の貯蔵量が必ず零になるとは言えないという欠点がある。即ち、酸素の貯蔵量が零のときを基準とすると基準値が狂うという危険性がある。
【0026】
これに対して三元触媒11a,11bの酸素の貯蔵量が最大となる状態は容易かつ確実に創り出すことができる。即ち、機関停止中は三元触媒11a,11bは大気にさらされているので三元触媒11a,11bの酸素の貯蔵量は最大となっており、これが三元触媒11a,11bの通常の状態である。従って酸素の貯蔵量が最大である状態を基準とすることは極く自然である。また、減速運転中に燃料の供給を停止することは普通に行われており、このときには三元触媒11a,11bは大気にさらされる。大気中には多量の酸素が存在しており、しかも三元触媒11a,11bの酸素の吸着速度は速いために燃料の供給停止時間が極めて短時間であっても三元触媒11a,11bの酸素の貯蔵量は確実に最大となる。従って本発明による実施例では酸素の貯蔵量が最大のときを基準として酸素の貯蔵量を算出するようにしている。
【0027】
ところで酸素の貯蔵量が最大であるということは三元触媒に貯蔵されている酸素が全く脱離していないことを意味している。従って本発明による実施例ではこのような状態、即ち貯蔵酸素の脱離量が零の状態を基準として酸素の脱離量を求めるようにしている。この貯蔵酸素脱離量は以下記号OSCによって表される。従って貯蔵酸素脱離量OSCが零であるということは酸素の貯蔵量が最大であるときを示しており、貯蔵酸素脱離量OSCが最大のときには脱離可能な酸素が全部脱離しているときを示している。貯蔵酸素脱離量OSCが最大のときが以下記号OSCmaxでもって表される。
【0028】
次に酸素の吸着量および脱離量の計算方法について説明する。なお、本発明による実施例では酸素の吸着量および脱離量の計算、およびこの計算に基づく空燃比の制御は第1気筒群と第2気筒群について夫々別個に行われるがこれら吸着量および脱離量の計算方法および空燃比の制御方法は基本的には第1の気筒群と第2の気筒群とで全く同一である。従って以下、第1気筒群に対する吸着量および脱離量の計算方法および空燃比の制御方法を中心に説明する。
【0029】
本発明による実施例では1気筒群の三元触媒11aについての時間Δt当りの酸素吸着量および酸素脱離量が次式を用いて算出される。
吸着量=KO2 ・{Ga・KRATE1・(ΔA/F)/(A/F)}・Δt
脱離量=KO2 ・{Ga・KRATE1・(ΔA/F)/(A/F)/k}・Δt
ここでKO2 は空気中の酸素濃度を示しており、Gaは全気筒への吸入空気量(g/s)を示しており、KRATE1は全吸入空気量Gaのうちで第1気筒群に分配される吸入空気量の分配率を示しており、(A/F)は第1の上流側空燃比センサ16aにより検出された空燃比を示しており、(ΔA/F)はこの空燃比(A/F)と理論空燃比との偏差(A/F−理論空燃比)を表している。
【0030】
空燃比がリーンのときには三元触媒11aに酸素が吸着されるのでこのときには上述の吸着量を求める式が用いられる。この式においてKO2 ・Ga・KRATE1は第1気筒群のシリンダ内に単位時間当りに供給される酸素量(g/s)を示しており、(ΔA/F)/(A/F)は燃焼した際に余剰となる酸素の割合を示している。従ってKO2 ・{Ga・KRATE1・(ΔA/F)/(A/F)}・Δtは時間Δt当りの余剰酸素量(g)を表している。ここでΔA/Fは正である。このような余剰酸素が存在するとこの余剰酸素はただちに三元触媒11aに吸着されるものと考えられるので時間Δt当りの吸着量は余剰酸素量と同一量となり、従って時間Δt当りの吸着量は上式の如く表されることになる。
【0031】
このように空燃比がリーンのときには時間Δt当り上述の余剰酸素量が貯蔵されることになり、従って上述の貯蔵酸素脱離量OSCは逆に時間Δt当り上述の余剰酸素量だけ減少することになる。従って三元触媒11aについての貯蔵酸素脱離量OSC1は次式で表されることになる。
OSC1=OSC1−KO2 ・{Ga・KRATE1・(ΔA/F)/(A/F)}・Δt
また、全吸入空気量Gaのうちで第2気筒群に分配される吸入空気量の分配率をKRATE2とすると第2気筒群の三元触媒11bについての貯蔵酸素脱離量OSC2は次式で表されることになる。
【0032】
OSC2=OSC2−KO2 ・{Ga・KRATE2・(ΔA/F)/(A/F)}・Δt
一方、空燃比がリッチのときには三元触媒11aから酸素が脱離するのでこのときには上述の脱離量を求める式が用いられる。この式においてもKO2 ・Ga・KRATE1は第1気筒群のシリンダ内に単位時間当りに供給される酸素量(g/t)を示している。これに対しこの式において(ΔA/F)/(A/F)は燃焼した際に不足する酸素の割合を示しており、従ってKO2 ・{Ga・KRATE1・(ΔA/F)/(A/F)}・Δtは時間Δt当りの不足酸素量(g)を表している。ここでΔA/Fは負である。
【0033】
燃焼する際に酸素が不足するとこの不足酸素量分だけ未燃HC,COが発生し、この未燃HC,COの発生量に比例した量の酸素、即ち不足酸素量に比例した量の酸素が三元触媒11aから脱離せしめられる。ところが前述したように三元触媒11aからの酸素の脱離速度は三元触媒11aへの酸素の吸着速度よりも遅く、従ってこのとき三元触媒11aから脱離せしめられる酸素量は吸着速度に対して脱離速度が遅い分だけ不足酸素量よりも少なくなる。云い換えると三元触媒11aから脱離せしめられる酸素量は不足酸素量の(脱離速度/吸着速度)倍となる。従ってこの脱離速度と吸着速度との速度比を1/k1(=脱離速度/吸着速度)とすると時間Δt当りの脱離量は上述の不足酸素量に速度比1/k1を乗算した量となり、従って時間Δt当りの脱離量は上式の如く表されることになる。
【0034】
このように空燃比がリッチのときには時間Δt当り不足酸素量・速度比1/k1が脱離することになり、従って上述の貯蔵酸素脱離量OSCは時間Δt当り不足酸素量・速度比1/k1だけ増大することになる。従ってΔA/F<0であることを考えると三元触媒11aについての貯蔵酸素脱離量OSC1は次式で表されることになる。
【0035】
OSC1=OSC1−KO2 ・{Ga・KRATE1・(ΔA/F)/(A/F)/k1}・Δt
また、第2気筒群の三元触媒11bについての貯蔵酸素脱離量OSC2は次式で表されることになる。
OSC2=OSC2−KO2 ・{Ga・KRATE2・(ΔA/F)/(A/F)/k2}・Δt
なお、空燃比が理論空燃比に維持されているときには酸素の吸着作用および脱離作用は行われていないと考えられるのでこのときには貯蔵酸素脱離量OSC1およびOSC2は変化しない。
【0036】
このように貯蔵酸素脱離量OSC1およびOSC2は各気筒群に分配される吸入空気量と、第1の上流側空燃比センサ16a,16bにより検出された空燃比と、三元触媒11a,11bにおける酸素の脱離速度と吸着速度の速度比1/k1,1/k2とから算出することができる。
これに対して第1気筒群の三元触媒11aの貯蔵酸素の最大脱離量OSC1maxは基本的には三元触媒11aが新品のときの最大脱離量G1(Tc)と三元触媒11aの劣化係数DK1との積(=G1(Tc)・DK1)によって表される。三元触媒11aが新品のときの最大脱離量G1(Tc)は図3(A)に示されるように三元触媒11aの温度Tcの関数であり、この最大脱離量G1(Tc)は三元触媒11aの温度Tcが高くなるほど大きくなる。
【0037】
一方、三元触媒11aの劣化係数DK1は三元触媒11aが新品のときには1.0である。しかしながら三元触媒11aの使用期間が長くなるにつれて三元触媒11aが次第に劣化し、O2 ストレージ機能が次第に弱くなる。本発明による実施例では三元触媒11aの使用期間の代表値として累積運転時間TDを用いており、この場合三元触媒11aの劣化係数DK1は図3(B)に示されるように累積運転時間TDが長くなるにつれて次第に小さくなる。
【0038】
一方、第2気筒群の三元触媒11bの貯蔵酸素の最大脱離量OSC2maxも基本的には三元触媒11bが新品のときの最大脱離量G2(Tc)と三元触媒11bの劣化係数DK2との積(=G2(Tc)・DK2)によって表される。この三元触媒11bについても三元触媒11bが新品のときの最大脱離量G2(Tc)は図4(A)に示されるように三元触媒11bの温度Tcの関数であり、この最大脱離量G2(Tc)は三元触媒11bの温度Tcが高くなるほど大きくなる。また、三元触媒11bの劣化係数DK2も図4(B)に示されるように累積運転時間TDが長くなるにつれて次第に小さくなる。
【0039】
図3(A),(B)および図4(A),(B)に示されるG1(Tc)G2(Tc),DK1,DK2は実験により求められ、従ってこれらG1(Tc),G2(Tc)とDK1,DK2の積から求められる最大脱離量OSC1max,OSC2maxは実際の最大脱離量をよく表している。しかしながら三元触媒11a,11bの使用のしかたによってはG1(Tc),G2(Tc)とDK1,DK2の積から求められる最大脱離量OSC1max,OSC2maxが実際の最大脱離量を正確に表さなくなる危険性がある。そこで本発明による実施例では後述するように最大脱離量OSC1maxが実際の最大脱離量を正確に表すように最大脱離量OSC1maxを修正係数KOSC1により修正し、最大脱離量OSC2maxが実際の最大脱離量を正確に表すように最大脱離量OSC2maxを修正係数KOSC2により修正するようにしている。
【0040】
本発明による実施例では空燃比が理論空燃比に対してリーン側或いはリッチ側のいずれにずれた場合でも排気ガス中の有害成分を浄化しうるように最大脱離量OSC1maxの半分を目標脱離量OSC1refとして設定して計算により得られた貯蔵酸素脱離量OSC1がこの目標脱離量OSC1refとなるように燃料噴射量が制御され、最大脱離量OSC2maxの半分を目標脱離量OSC2refとして設定して計算により得られた貯蔵酸素脱離量OSC2がこの目標脱離量OSC2refとなるように燃料噴射量が制御される。
【0041】
即ち、本発明による実施例では第1気筒群の空燃比を理論空燃比にするのに必要な基本燃料噴射時間TAUB1が予め実験により求められており、この基本燃料噴射時間TAUB1は図5(A)に示されるように機関負荷(吸入空気量Q/機関回転数N)および機関回転数Nの関数として予めROM32内に記憶されている。更に、第2気筒群の空燃比を理論空燃比にするのに必要な基本燃料噴射時間TAUB2も予め実験により求められており、この基本燃料噴射時間TAUB2は図5(B)に示されるように機関負荷(吸入空気量Q/機関回転数N)および機関回転数Nの関数として予めROM32内に記憶されている。燃料噴射時間をこれら基本燃料噴射時間TAUB1,TAUB2に維持しておくと空燃比は理論空燃比に維持され、従って貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2が夫々目標脱離量OSC1ref,OSC2refに維持されているときには燃料噴射時間は基本燃料噴射時間TAUB1,TAUB2に維持される。これに対して貯蔵酸素脱離量OSC1が目標脱離量OSC1refからずれると貯蔵酸素脱離量OSC1が目標脱離量OSC1refに戻るように第1気筒群に対する燃料噴射時間が増大又は減少せしめられ、貯蔵酸素脱離量OSC2が目標脱離量OSC2refからずれると貯蔵酸素脱離量OSC2が目標脱離量OSC2refに戻るように第2気筒群に対する燃料噴射時間が増大又は減少せしめられる。次にこのことについて第1気筒群に対する制御を例にとり図6を参照しつつ説明する。
【0042】
図6に示されるように貯蔵酸素脱離量OSC1が目標脱離量OSC1refに維持されているときには燃料噴射時間TAU1が基本燃料噴射時間TAUB1に維持される。次いで酸素の脱離量が増大し、貯蔵酸素脱離量OSC1が目標脱離量OSC1refよりも大きくなると機関空燃比をリーンにすべく燃料噴射時間TAU1が基本燃料噴射時間TAUB1に対して減少せしめられる。第1気筒群の空燃比がリーンになると三元触媒11aに酸素が吸着され、斯くして貯蔵酸素脱離量OSC1は再び目標脱離量OSC1refに戻る。
【0043】
次いで酸素の吸着量が増大し、貯蔵酸素脱離量OSC1が目標脱離量OSC1refよりも小さくなると第1気筒群の空燃比をリッチにすべく燃料噴射時間TAU1が基本燃料噴射時間TAUB1に対して増大せしめられる。第1気筒群の空燃比がリッチになると三元触媒11aから酸素が脱離され、斯くして貯蔵酸素脱離量OSC1は再び目標脱離量OSC1refに戻る。
【0044】
このように貯蔵酸素脱離量OSC1に応じて燃料噴射時間TAU1を制御することにより貯蔵酸素脱離量OSC1を目標脱離量OSC1refに維持することができる。この場合、第1気筒群の空燃比がリーンになると過剰酸素が三元触媒11aに奪われるために排気ガス中のNOxが還元され、第1気筒群の空燃比がリッチになると三元触媒11aから酸素を奪うことによって排気ガス中の未燃HC,COは酸化され、斯くして三元触媒11aから流出する排気ガス中にはほとんど未燃HC,COおよびNOxが含まれないことになる。このとき図6に示されるように第1の下流側空燃比センサ17aの出力電圧Vは理論空燃比であることを示す0.45(V)付近に維持される。
【0045】
ところで本発明による実施例では例えば減速運転時において燃料の供給が停止されたときのように三元触媒11a,11bへの流入ガスが空気過剰であるとき、即ち貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2が零であるときを基準として貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2の計算が開始される。このとき計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2や計算上の最大脱離量OSC1max,OSC2maxが実際の貯蔵酸素脱離量や実際の最大脱離量に対してずれると貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2を実際の最大脱離量の半分である目標脱離量に維持することができなくなる。そこで本発明による実施例では計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2が実際の貯蔵酸素脱離量に一致しかつ最大脱離量OSC1max,OSC2maxが実際の最大脱離量に一致するように脱離速度と吸着速度の速度比1/k1,1/k2を修正し、かつ最大脱離量OSC1max,OSC2maxを夫々修正係数KOSC1,KOSC2により修正するようにしている。次にこのことについて第1気筒群に対する制御を例にとり図7から図12を参照しつつ説明する。
【0046】
本発明による実施例では最大脱離量OSC1maxに修正係数KOSC1を乗算することによって最大脱離量OSC1maxが修正される。即ち、次式の計算が行われる。
OSC1max=OSC1max・KOSC1
従って修正係数KOSC1が増大すると最大脱離量OSC1maxが増大し、修正係数KOSC1が減少すると最大脱離量OSC1maxが減少することになる。
【0047】
図7は貯蔵酸素脱離量OSC1および最大脱離量OSC1maxが夫々実際の貯蔵酸素脱離量および実際の最大脱離量に完全に一致しており、このような状態で何らかの理由により一時的に第1気筒群の空燃比が大巾にリーンになった場合を示している。第1気筒群の空燃比が大巾にリーンになったとすると排気ガス中の酸素が急激に三元触媒11aに吸着されるので貯蔵酸素脱離量OSC1は急激に減少し、零に達する。貯蔵酸素脱離量OSC1が零に達すると三元触媒11aはもはや酸素を吸着しえなくなるために三元触媒11aの下流における空燃比もリーンになり、欺くして図7に示されるように第1の下流側空燃比センサ17aの出力電圧Vは0.2(V)よりも低くなる。即ち、第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比はリーンとなる。このときには図7に示されるように修正係数KOSC1は変化せず、また速度比1/k1のk1の値も変化しない。
【0048】
図8は何らかの理由により第1気筒群の空燃比が一時的に大巾にリーンになったときに計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1が零に達する前に第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比がリーンになった場合を示している。貯蔵酸素脱離量OSC1が零に達する前に第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比がリーンになったということは貯蔵酸素脱離量OSC1が零に達していなくても実際の貯蔵酸素脱離量は零になっていることを意味している。このように計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1と実際の貯蔵酸素脱離量OSC1との間で差が生じるのは酸素の脱離速度を速く設定しすぎ、その結果計算上の貯蔵酸素脱離量OSCが実際の貯蔵酸素脱離量よりも大きくなるからである。そこでこの場合には酸素の脱離速度を遅くさせるために、即ち速度比1/k1を低下させるために図8に示される如く速度比1/k1のk1の値を大きくするようにしている。なお、このとき実際の貯蔵酸素脱離量は零になっているので計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1は零とされる。
【0049】
図9は何らかの理由により第1気筒群の空燃比が一時的に大巾にリーンになったときに計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1が零に達しているにもかかわらずに第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比がリーンになっていない場合を示している。貯蔵酸素脱離量OSC1が零に達しているにもかかわらずに第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比がリーンになっていないということは貯蔵酸素脱離量OSC1が零に達していても実際の貯蔵酸素脱離量は零に達していないことを意味している。このように計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1と実際の貯蔵酸素脱離量OSC1との間で差が生じるのは酸素の脱離速度を遅く設定しすぎ、その結果計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1が実際の貯蔵酸素脱離量よりも小さくなるからである。そこでこの場合には酸素の脱離速度を速くさせるために、即ち速度比1/k1を増大させるために図9に示される如く速度比1/k1のk1の値を小さくするようにしている。
【0050】
図10は貯蔵酸素脱離量OSC1および最大脱離量OSC1maxが夫々実際の貯蔵酸素脱離量および実際の最大脱離量に完全に一致しており、このような状態で何らかの理由により一時的に第1気筒群の空燃比が大巾にリッチになった場合を示している。第1気筒群の空燃比が大巾にリッチになったとすると排気ガス中の酸素が急激に三元触媒11aから脱離されるので貯蔵酸素脱離量OSC1は急激に増大し、最大脱離量OSC1maxに達する。貯蔵酸素脱離量OSC1が最大脱離量OSC1maxに達すると三元触媒11aにはもはや脱離すべき酸素が存在しなくなるために三元触媒11aの下流における空燃比もリッチになり、欺くして図10に示されるように第1の下流側空燃比センサ17aの出力電圧Vは0.7(V)よりも高くなる。即ち、第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比はリッチとなる。このときには図10に示されるように修正係数KOSC1は変化せず、また速度比1/k1のk1の値も変化しない。
【0051】
図11は何らかの理由により第1気筒群の空燃比が一時的に大巾にリッチになったときに計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1が最大脱離量OSC1maxに達する前に第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比がリッチになった場合を示している。即ち、計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1が最大脱離量OSC1maxに達していないのに実際の貯蔵酸素脱離量OSC1が最大脱離量OSC1maxに達している場合を示している。
【0052】
このように計算上の最大脱離量OSC1maxと実際の最大脱離量との間で差を生じるのは酸素の脱離速度を低く設定しすぎているか、計算上の最大脱離量OSC1maxが誤まっているからである。この場合、酸素の脱離速度については図8および図9に示す方法で修正されているので酸素の脱離速度は正しいと考えられ、欺くして計算上の最大脱離量OSC1maxが誤まっているものと考えられる。従ってこの場合には図11に示されるように最大脱離量OSC1maxを低下させるために修正係数KOSC1が低下せしめられる。更にこのとき貯蔵酸素脱離量OSC1は最大脱離量OSC1maxとされる。
【0053】
図12は何らかの理由により第1気筒群の空燃比が一時的に大巾にリッチになったときに計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1が最大脱離量OSC1maxに達しているにもかかわらずに第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比がリッチになっていない場合を示している。即ち、計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1が最大脱離量OSC1maxに達しているのに実際の貯蔵酸素脱離量OSC1が最大脱離量OSC1maxに達していない場合を示している。
【0054】
このように計算上の最大脱離量OSC1maxと実際の最大脱離量との間で差を生じるのは酸素の脱離速度を速く設定しすぎているか、計算上の最大脱離量OSC1maxが誤まっているからである。この場合、前述したように酸素の脱離速度については図8および図9に示す方法で修正されているので酸素の脱離速度は正しいと考えられ、欺くして計算上の最大脱離量OSC1maxが誤まっているものと考えられる。従ってこの場合には図12に示されるように最大脱離量OSC1maxを増大させるために修正係数KOSC1が増大せしめられる。
【0055】
このように計算上の貯蔵酸素脱離量OSC1および計算上の最大脱離量OSC1maxが夫々実際の貯蔵酸素脱離量および実際の最大脱離量に正確に一致せしめられる。従って実際の貯蔵酸素脱離量が実際の最大脱離量の半分に維持せしめられるので空燃比が理論空燃比からリーン側或いはリッチ側のいずれにずれても排気ガス中の有害成分を確実に浄化できることになる。
【0056】
図13に第1気筒群および第2気筒群に分配される吸入空気量の分配率の算出ルーチンを示す。
図13を参照するとまず初めにステップ50においていずれかの気筒が圧縮上死点TDCであるか否かが判別される。本発明による実施例は6気筒エンジンであり、従って120°クランク角毎にいずれかの気筒が圧縮上死点TDCとなる。いずれかの気筒が圧縮上死点TDCであるときにはステップ51に進んで現在の時刻TIMEが取込まれる。次いでステップ52では現在1番気筒群のいずれかの気筒が圧縮上死点TDCであるか否かが判別される。現在1番気筒群のいずれかの気筒が圧縮上死点TDCであるときにはステップ53に進んで2番気筒群の爆発行程に要した時間TINT2が算出される。即ち、1番気筒群が圧縮上死点TDCであるときには120°クランク角度前の時刻TIMEOのときには2番気筒群が圧縮上死点TDCにあり、従ってTINT2(=TIME−TIMEO)は2番気筒群が圧縮上死点TDCから圧縮上死点後120°クランクに達するまでの時間、即ち爆発行程に要した時間を表わしている。TINT2が算出されるとステップ55に進む。
【0057】
一方、ステップ52において現在2番気筒群のいずれかの気筒が圧縮上死点TDCであると判断されたときにはステップ54に進んで1番気筒群の爆発行程に要した時間TINT1が算出される。即ち、2番気筒群が圧縮上死点TDCであるときには120°クランク角度前の時刻TIMEOのときには1番気筒群が圧縮上死点TDCにあり、従ってTINT1(=TIME−TIMEO)は1番気筒群が圧縮上死点TDCから圧縮上死点後120°クランクに達するまでの時間、即ち爆発行程に要した時間を表わしている。TINT1が算出されるとステップ55に進む。
【0058】
ステップ55では次式に基づいて第1気筒群への吸入空気量の分配率KRATE1および第2気筒群への吸入空気量の分配率KRATE2が算出される。
KRATE1=TINT2/(TINT1+TINT2)
KRATE2=TINT1/(TINT1+TINT2)
即ち、爆発行程に要する時間が短かくなるほど吸入空気量の分配率は増大するので各気筒群への吸入空気量の分配率KRATE1,KRATE2は上式の如く表されることになる。
【0059】
次いでステップ56においてTIMEがTIMEOとされる。
次に貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2の算出ルーチンについて図14から図17を参照しつつ説明する。なお、このルーチンは一定時間毎の割込みによって実行される。
図14から図17を参照するとまず初めにステップ100において累積運転時間を求めるためのカウント値TDが1だけインクリメントされる。次いでステップ101では機関始動後一定時間経過したか否かが判別され、機関始動後一定時間経過していないときにはステップ113に進む。ステップ113では貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2が零とされ、次いで処理サイクルを完了する。一方、ステップ101において機関始動後一定時間経過したと判断されたときにはステップ102に進んで温度センサ18a,18bにより検出された各三元触媒11a,11bの温度Tcが一定値Tcoよりも高くなったか否かが判別される。Tc≦Tcoのときにはステップ113に進み、Tc>Tcoのときにはステップ103に進む。
【0060】
ステップ103では減速運転時において燃料噴射が停止せしめられているか否かが判別され、燃料噴射が停止せしめられているときにはステップ113に進む。これに対して燃料噴射が停止せしめられていないときにはステップ104に進み、ステップ104からステップ112において貯蔵酸素脱離量OSC1が算出される。この貯蔵酸素脱離量OSC1の算出が開始される前はステップ113において貯蔵酸素脱離量OSC1は零とされており、従って貯蔵酸素脱離量OSC1は零の状態から計算が開始されることがわかる。
【0061】
ステップ104では第1の上流側空燃比センサ16aの出力から図2(A)に示す関係に基づいて算出された空燃比A/Fが読込まれる。次いでステップ105ではこの空燃比A/Fが理論空燃比であるか否かが判別され、空燃比A/Fが理論空燃比のときには図15に示す修正ルーチンに進む。これに対して空燃比A/Fが理論空燃比でないときにはステップ106に進んで空燃比A/Fがリーンであるか否かが判別される。空燃比A/Fがリーンであるときにはステップ107に進み、エアフローメータ7により求められた吸入空気量Ga、分配率KRATE1、第1の上流側空燃比センサ16aの出力に基づき算出された空燃比の偏差ΔA/F(=空燃比A/F−理論空燃比)および割込み時間間隔Δtを用いて次式から貯蔵酸素脱離量OSC1が算出される。
【0062】
OSC1←OSC1−KO2 ・Ga・KRATE1・(ΔA/F)/(A/F)・Δt
次いでステップ108では貯蔵酸素脱離量OSC1が零よりも大きいか否かが判別される。OSC1≧0のときには図15に示す修正ルーチンに進み、OSC1<0のときにはステップ109に進んでOSC1を零とした後図15に示す修正ルーチンに進む。
【0063】
一方、ステップ106において空燃比A/Fがリーンでないと判別されたとき、即ち空燃比A/Fがリッチであるときにはステップ110に進み、エアフローメータ7により求められた吸入空気量Ga、分配率KRATE1、第1の上流側空燃比センサ16aの出力に基づき算出された空燃比の偏差ΔA/F(=空燃比A/F−理論空燃比)および割込み時間間隔Δtを用いて次式から貯蔵酸素脱離量OSC1が算出される。
【0064】
OSC1←OSC1−KO2 ・Ga・KRATE1・(ΔA/F)/(A/F)/k1・Δt
次いでステップ111では貯蔵酸素脱離量OSC1が最大脱離量OSC1maxよりも大きいか否かが判別される。OSC1≦OSC1maxのときには図15に示す修正ルーチンに進み、OSC1>OSC1maxのときにはステップ112に進んでOSC1をOSC1maxとした後図15に示す修正ルーチンに進む。
【0065】
図15に示す修正ルーチンではまず初めにステップ114において貯蔵酸素脱離量OSC1が零と最大脱離量OSC1maxとの間にあるか否かが判別される。OSC1max>OSC1>0であるときにはステップ115に進んで第1の下流側空燃比センサ17aの出力電圧Vが0.2(V)と0.7(V)の間であるか否か、即ち第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比が理論空燃比であるか否かが判別される。0.2<V<0.7のときにはステップ127に進む。これに対して0.2<V<0.7でないときにはステップ116に進む。
【0066】
ステップ116ではV≧0.7であるか否かが判別される。V≧0.7であるとき、即ち第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比がリッチであるときにはステップ117に進み、次式に基づいて修正係数KOSC1が更新される。
KOSC1=KOSC1・(1−β1)
ここでβ1は1よりも小さい正の定数である。従ってこのときには修正係数KOSC1が図11に示されるように減少せしめられる。次いでステップ118ではOSC1が最大脱離量OSC1maxとされる。
【0067】
一方、ステップ116においてV<0.7であると判断されたとき、即ち第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比がリーンであるときにはステップ119に進み、次式に基づいて速度比1/k1のk1の値が更新される。
k1=k1・(1+γ1)
ここでγ1は1よりも小さい正の定数である。従ってこのときにはk1の値が図8に示されるように増大せしめられる。次いでステップ120ではOSC1が零とされる。
【0068】
一方、ステップ114においてOSC1max>OSC1>0でないと判別されたときにはステップ121に進んで貯蔵酸素脱離量OSC1が最大脱離量OSC1maxであるか否かが判別される。OSC1=OSC1maxのときにはステップ122に進んでV≧0.7であるか否かが判別される。V<0.7のとき、即ち第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比がリッチでないときにはステップ123に進んで次式に基づき修正係数KOSC1が更新される。
【0069】
KOSC1=KOSC1・(1+β2)
ここでβ2は1よりも小さい正の定数である。従ってこのときには修正係数KOSC1が図12に示されるように増大せしめられる。
これに対し、ステップ121においてOSC1=OSC1maxではないと判別されたときにはステップ124に進んで貯蔵酸素脱離量OSC1が零であるか否かが判別される。OSC1=0のときにはステップ125に進んでV≦0.2であるか否かが判別される。V>0.2のとき、即ち第1の下流側空燃比センサ17aにより検出された空燃比がリーンでないときにはステップ126に進んで次式に基づき速度比1/k1のk1の値が更新される。
【0070】
k1=k1・(1−γ2)
ここでγ2は1よりも小さい正の定数である。従ってこのときにはk1の値は図9に示されるように減少せしめられる。
ステップ127では第2の上流側空燃比センサ16bの出力から図2(A)に示す関係に基づいて算出された空燃比A/Fが読込まれる。次いでステップ128ではこの空燃比A/Fが理論空燃比であるか否かが判別され、空燃比A/Fが理論空燃比のときには図17に示す修正ルーチンに進む。これに対して空燃比A/Fが理論空燃比でないときにはステップ129に進んで空燃比A/Fがリーンであるか否かが判別される。空燃比A/Fがリーンであるときにはステップ130に進み、エアフローメータ7により求められた吸入空気量Ga、分配率KRATE2、第2の上流側空燃比センサ16bの出力に基づき算出された空燃比の偏差ΔA/F(=空燃比A/F−理論空燃比)および割込み時間間隔Δtを用いて次式から貯蔵酸素脱離量OSC2が算出される。
【0071】
OSC2←OSC2−KO2 ・Ga・KRATE2・(ΔA/F)/(A/F)・Δt
次いでステップ131では貯蔵酸素脱離量OSC2が零よりも大きいか否かが判別される。OSC2≧0のときには図17に示す修正ルーチンに進み、OSC2<0のときにはステップ132に進んでOSC2を零とした後図17に示す修正ルーチンに進む。
【0072】
一方、ステップ129において空燃比A/Fがリーンでないと判別されたとき、即ち空燃比A/Fがリッチであるときにはステップ133に進み、エアフローメータ7により求められた吸入空気量Ga、分配率KRATE2、第2の上流側空燃比センサ16bの出力に基づき算出された空燃比の偏差ΔA/F(=空燃比A/F−理論空燃比)および割込み時間間隔Δtを用いて次式から貯蔵酸素脱離量OSC2が算出される。
【0073】
OSC2←OSC2−KO2 ・Ga・KRATE2・(ΔA/F)/(A/F)/k2・Δt
次いでステップ134では貯蔵酸素脱離量OSC2が最大脱離量OSC2maxよりも大きいか否かが判別される。OSC2≦OSC2maxのときには図17に示す修正ルーチンに進み、OSC2>OSC2maxのときにはステップ135に進んでOSC2をOSC2maxとした後図17に示す修正ルーチンに進む。
【0074】
図17に示す修正ルーチンではまず初めにステップ136において貯蔵酸素脱離量OSC2が零と最大脱離量OSC2maxとの間にあるか否かが判別される。OSC2max>OSC2>0であるときにはステップ137に進んで第2の下流側空燃比センサ17bの出力電圧Vが0.2(V)と0.7(V)の間であるか否か、即ち第2の下流側空燃比センサ17bにより検出された空燃比が理論空燃比であるか否かが判別される。0.2<V<0.7のときには処理サイクルを完了する。これに対して0.2<V<0.7でないときにはステップ138に進む。
【0075】
ステップ138ではV≧0.7であるか否かが判別される。V≧0.7であるとき、即ち第2の下流側空燃比センサ17bにより検出された空燃比がリッチであるときにはステップ139に進み、次式に基づいて修正係数KOSC2が更新される
KOSC2=KOSC2・(1−β1)
ここでβ1は1よりも小さい正の定数である。従ってこのときには修正係数KOSC2が減少せしめられる。次いでステップ140ではOSC2が最大脱離量OSC2maxとされる。
【0076】
一方、ステップ138においてV<0.7であると判断されたとき、即ち第2の下流側空燃比センサ17bにより検出された空燃比がリーンであるときにはステップ141に進み、次式に基づいて速度比1/k2のk2の値が更新される。
k2=k2・(1+γ1)
ここでγ1は1よりも小さい正の定数である。従ってこのときにはk2の値が増大せしめられる。次いでステップ142ではOSC2が零とされる。
【0077】
一方、ステップ136においてOSC2max>OSC2>0でないと判別されたときにはステップ143に進んで貯蔵酸素脱離量OSC2が最大脱離量OSC2maxであるか否かが判別される。OSC2=OSC2maxのときにはステップ144に進んでV≧0.7であるか否かが判別される。V<0.7のとき、即ち第2の下流側空燃比センサ17bにより検出された空燃比がリッチでないときにはステップ145に進んで次式に基づき修正係数KOSC2が更新される。
【0078】
KOSC2=KOSC2・(1+β2)
ここでβ2は1よりも小さい正の定数である。従ってこのときには修正係数KOSC2が増大せしめられる。
これに対し、ステップ143においてOSC2=OSC2maxではないと判別されたときにはステップ146に進んで貯蔵酸素脱離量OSC2が零であるか否かが判別される。OSC2=0のときにはステップ147に進んでV≦0.2であるか否かが判別される。V>0.2のとき、即ち第2の下流側空燃比センサ17bにより検出された空燃比がリーンでないときにはステップ148に進んで次式に基づき速度比1/k2のk2の値が更新される。
【0079】
k2=k2・(1−γ2)
ここでγ2は1よりも小さい正の定数である。従ってこのときにはk2の値は減少せしめられる。
次に第1気筒群への燃料噴射時間TAU1および第2気筒群への燃料噴射時間TAU2の算出ルーチンについて図18および図19を参照しつつ説明する。なお、このルーチンは繰返し実行される。
【0080】
図18および図19を参照するとまず初めにステップ200において図3(A)に示す関係から求められた最大脱離量G1(Tc)と、図3(B)に示す関係から求められた劣化係数DK1との積である最大脱離量OSC1max(=G1(Tc)・DK1)が算出される。次いでステップ201では次式に示すように最大脱離量OSC1maxに修正係数KOSC1を乗算することによって最大脱離量OSC1maxが更新される。
【0081】
OSC1max=OSC1max・KOSC1
次いでステップ202では最大脱離量OSC1maxの半分が目標脱離量OSC1refとされる。次いでステップ203では図5(A)に示すマップから基本燃料噴射時間TAUB1が算出される。
次いでステップ204では貯蔵酸素脱離量OSC1が目標脱離量OSC1refと等しいか否かが判別される。OSC1=OSC1refのときにはステップ205に進んで燃料噴射時間TAU1が基本燃料噴射時間TAUB1とされる。これに対してOSC1=OSC1refでないときにはステップ206に進んで貯蔵酸素脱離量OSC1が目標脱離量OSC1refよりも少ないか否かが判別される。OSC1<OSC1refのときにはステップ207に進んで基本燃料噴射時間TAUB1にリッチ補正係数KR(KR>1.0)を乗算することによって燃料噴射時間TAU1(=TAUB1・KR)が算出される。これに対してOSC1>OSC1refのときにはステップ208に進んで基本燃料噴射時間TAUB1にリーン補正係数KL(0<KL<1.0)を乗算することによって燃料噴射時間TAU1(=TAUB1・KL)が算出される。
【0082】
次いでステップ209では図4(A)に示す関係から求められた最大脱離量G2(Tc)と、図4(B)に示す関係から求められた劣化係数DK2との積である最大脱離量OSC2max(=G2(Tc)・DK2)が算出される。次いでステップ210では次式に示すように最大脱離量OSC2maxに修正係数KOSC2を乗算することによって最大脱離量OSC2maxが更新される。
【0083】
OSC2max=OSC2max・KOSC2
次いでステップ211では最大脱離量OSC2maxの半分が目標脱離量OSC2refとされる。次いでステップ212では図5(B)に示すマップから基本燃料噴射時間TAUB2が算出される。
次いでステップ213では貯蔵酸素脱離量OSC2が目標脱離量OSC2refと等しいか否かが判別される。OSC2=OSC2refのときにはステップ214に進んで燃料噴射時間TAU2が基本燃料噴射時間TAUB2とされる。これに対してOSC2=OSC2refでないときにはステップ215に進んで貯蔵酸素脱離量OSC2が目標脱離量OSC2refよりも少ないか否かが判別される。OSC2<OSC2refのときにはステップ216に進んで基本燃料噴射時間TAUB2にリッチ補正係数KR(KR>1.0)を乗算することによって燃料噴射時間TAU2(=TAUB2・KR)が算出される。これに対してOSC2>OSC2refのときにはステップ217に進んで基本燃料噴射時間TAUB2にリーン補正係数KL(0<KL<1.0)を乗算することによって燃料噴射時間TAU2(=TAUB2・KL)が算出される。
【0084】
なお、修正係数KOSC1,KOSC2の値および速度比1/k1,1/k2のk1,k2の値はバックアップRAM35内に記憶される。
図20から図23に第2実施例を示す。図20を参照するとこの第2実施例では第1の吸気通路4aの入口部および第2の吸気通路4bの入口部に夫々第1のスロットル弁9aおよび第2のスロットル弁9bが配置される。これらのスロットル弁9a,9bは夫々対応する駆動モータ40a,40bに直結される。図21(A)は第1のスロットル弁9aの目標開度TA1とアクセルペダルの踏込み量Lとの関係を示しており、図21(B)は第2のスロットル弁9bの目標開度TA2とアクセルペダルの踏込み量Lとの関係を示している。各スロットル弁9a,9bはそれらの開度が目標開度TA1,TA2となるように対応する駆動モータ40a,40bによって駆動制御される。
【0085】
この第2実施例においても図13から図17に示すルーチンがそのまま用いられる。ただし、この実施例ではいずれかの気筒群の空燃比がリッチとされるときには機関出力トルクの上昇によるトルク変動を阻止するために空燃比がリッチとされる気筒群のスロットル弁9a又は9bの開度が減少せしめられ、いずれかの気筒群の空燃比がリーンとされるときには機関出力トルクの低下によるトルク変動を阻止するために空燃比がリーンとされる気筒群のスロットル弁9a又は9bの開度が増大せしめられる。
【0086】
次にこの第2実施例において用いられている燃料噴射時間TAU1,TAU2の算出ルーチンについて図22および図23を参照しつつ説明する。なお、このルーチンは繰返し実行される。
図22および図23を参照するとまず初めにステップ300において図3(A)に示す関係から求められた最大脱離量G1(Tc)と、図3(B)に示す関係から求められた劣化係数DK1との積である最大脱離量OSC1max(=G1(Tc)・DK1)が算出される。次いでステップ301では次式に示すように最大脱離量OSC1maxに修正係数KOSC1を乗算することによって最大脱離量OSC1maxが更新される。
【0087】
OSC1max=OSC1max・KOSC1
次いでステップ302では最大脱離量OSC1maxの半分が目標脱離量OSC1refとされる。次いでステップ303では図5(A)に示すマップから基本燃料噴射時間TAUB1が算出される。
次いでステップ304では貯蔵酸素脱離量OSC1が目標脱離量OSC1refと等しいか否かが判別される。OSC1=OSC1refのときにはステップ305に進んで燃料噴射時間TAU1が基本燃料噴射時間TAUB1とされる。これに対してOSC1=OSC1refでないときにはステップ306に進んで貯蔵酸素脱離量OSC1が目標脱離量OSC1refよりも少ないか否かが判別される。OSC1<OSC1refのときにはステップ307に進んで基本燃料噴射時間TAUB1にリッチ補正係数KR(KR>1.0)を乗算することによって燃料噴射時間TAU1(=TAUB1・KR)が算出される。
【0088】
次いでステップ308では図21(A)に示される第1スロットル弁9aの目標開度TA1に減少補正係数KD(0<KD<1.0)を乗算することによって目標開度TA1が補正される。従って第1気筒群の空燃比がリッチにされると第1気筒群への吸入空気量を制御する第1のスロットル弁9aの開度が減少せしめられる。
【0089】
一方、ステップ306においてOSC1>OSC1refであると判断されたときにはステップ309に進んで基本燃料噴射時間TAUB1にリーン補正係数KL(0<KL<1.0)を乗算することによって燃料噴射時間TAU1(=TAUB1・KL)が算出される。次いでステップ310では図21(A)に示される第1スロットル弁9aの目標開度TA1に増大補正係数KU(KU>1.0)を乗算することによって目標開度TA1が補正される。従って第1気筒群の空燃比がリーンにされると第1気筒群への吸入空気量を制御する第1のスロットル弁9aの開度が増大せしめられる。
【0090】
次いでステップ311では図4(A)に示す関係から求められた最大脱離量G2(Tc)と、図4(B)に示す関係から求められた劣化係数DK2との積である最大脱離量OSC2max(=G2(Tc)・DK2)が算出される。次いでステップ312では次式に示すように最大脱離量OSC2maxに修正係数KOSC2を乗算することによって最大脱離量OSC2maxが更新される。
【0091】
OSC2max=OSC2max・KOSC2
次いでステップ313では最大脱離量OSC2maxの半分が目標脱離量OSC2refとされる。次いでステップ314では図5(B)に示すマップから基本燃料噴射時間TAUB2が算出される。
次いでステップ315では貯蔵酸素脱離量OSC2が目標脱離量OSC2refと等しいか否かが判別される。OSC2=OSC2refのときにはステップ316に進んで燃料噴射時間TAU2が基本燃料噴射時間TAUB2とされる。これに対してOSC2=OSC2refでないときにはステップ317に進んで貯蔵酸素脱離量OSC2が目標脱離量OSC2refよりも少ないか否かが判別される。OSC2<OSC2refのときにはステップ318に進んで基本燃料噴射時間TAUB2にリッチ補正係数KR(KR>1.0)を乗算することによって燃料噴射時間TAU2(=TAUB2・KR)が算出される。
【0092】
次いでステップ319では図21(B)に示される第2スロットル弁9bの目標開度TA2に減少補正係数KD(0<KD<1.0)を乗算することによって目標開度TA2が補正される。従って第2気筒群の空燃比がリッチにされると第2気筒群への吸入空気量を制御する第2のスロットル弁9bの開度が減少せしめられる。
【0093】
一方、ステップ317においてOSC2>OSC2refであると判断されるとステップ320に進んで基本燃料噴射時間TAUB2にリーン補正係数KL(0<KL<1.0)を乗算することによって燃料噴射時間TAU2(=TAUB2・KL)が算出される。
次いでステップ321では図21(B)に示される第2スロットル弁9bの目標開度TA2に増大補正係数KU(KU>1.0)を乗算することによって目標開度TA2が補正される。従って第2気筒群の空燃比がリーンにされると第2気筒群への吸入空気量を制御する第2のスロットル弁9bの開度が増大せしめられる。
【0094】
【発明の効果】
いずれの気筒群から排出される未燃HC,COおよびNOxを良好に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【図2】空燃比センサの出力を示す図である。
【図3】三元触媒が新品のときの最大脱離量G1(Tc)および劣化係数DK1を示す図である。
【図4】三元触媒が新品のときの最大脱離量G2(Tc)および劣化係数DK2を示す図である。
【図5】基本燃料噴射時間TAUB1,TAUB2のマップを示す図である。
【図6】貯蔵酸素脱離量OSC1の制御方法を説明するためのタイムチャートである。
【図7】修正係数KOSC1および速度比1/k1のk1の値の更新方法を説明するためのタイムチャートである。
【図8】修正係数KOSC1および速度比1/k1のk1の値の更新方法を説明するためのタイムチャートである。
【図9】修正係数KOSC1および速度比1/k1のk1の値の更新方法を説明するためのタイムチャートである。
【図10】修正係数KOSC1および速度比1/k1のk1の値の更新方法を説明するためのタイムチャートである。
【図11】修正係数KOSC1および速度比1/k1のk1の値の更新方法を説明するためのタイムチャートである。
【図12】修正係数KOSC1および速度比1/k1のk1の値の更新方法を説明するためのタイムチャートである。
【図13】空気量分配率を算出するためのルーチンである。
【図14】貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2を算出するためのフローチャートである。
【図15】貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2を算出するためのフローチャートである。
【図16】貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2を算出するためのフローチャートである。
【図17】貯蔵酸素脱離量OSC1,OSC2を算出するためのフローチャートである。
【図18】燃料噴射時間TAU1,TAU2を算出するためのフローチャートである。
【図19】燃料噴射時間TAU1,TAU2を算出するためのフローチャートである。
【図20】第2実施例を示す内燃機関の全体図である。
【図21】スロットル弁の目標開度TA1,TA2を示す図である。
【図22】燃料噴射時間TAU1,TAU2を算出するためのフローチャートである。
【図23】燃料噴射時間TAU1,TAU2を算出するためのフローチャートである。
【符号の説明】
5a,5b…燃料噴射弁
7…エアフローメータ
10a,10b…排気マニホルド
11a,11b…三元触媒
16a,16b…上流側空燃比センサ
17a,17b…下流側空燃比センサ

Claims (2)

  1. 気筒を複数の気筒群に分割すると共に各気筒群が夫々排気通路を具備し、各排気通路内に夫々三元触媒を配置すると共に三元触媒上流の各排気通路内に夫々空燃比センサを配置し、各気筒群に分配される吸入空気量を算出する分配空気量算出手段を具備した内燃機関の空燃比制御装置において、三元触媒下流の各排気通路内に夫々下流側空燃比センサを配置し、各気筒群に分配された吸入空気量と対応する気筒群の空燃比センサにより検出された空燃比とから対応する気筒群の三元触媒に貯蔵された酸素の脱離量を示す貯蔵酸素脱離量を各気筒群について夫々算出する脱離量算出手段と、各貯蔵酸素脱離量が目標脱離量となるように各気筒群の空燃比を個別に制御する空燃比制御手段とを具備し、上記脱離量算出手段は各気筒群に分配された吸入空気量と、対応する気筒群の三元触媒上流に配置された空燃比センサにより検出された空燃比と、対応する三元触媒における酸素の脱離速度と吸着速度の速度比とから各気筒群の三元触媒についての上記貯蔵酸素脱離量を算出し、各気筒群の三元触媒について算出された貯蔵酸素脱離量が零に達していないにもかかわらずに対応する下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリーンであるときには脱離速度を吸着速度に対し相対的に減少すべく対応する三元触媒についての上記速度比を修正し、かつ各気筒群の三元触媒について算出された貯蔵酸素脱離量が零に達しているにもかかわらず対応する下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリーンでないときには脱離速度を吸着速度に対し相対的に増大すべく対応する三元触媒についての上記速度比を修正する速度比修正手段とを具備した内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 各気筒群の三元触媒について算出された貯蔵酸素脱離量が最大脱離量に達していないにもかかわらずに対応する下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリッチであるときには対応する三元触媒についての最大脱離量を減量修正し、かつ各気筒の三元触媒について算出された貯蔵酸素脱離量が最大脱離量に達しているにもかかわらずに対応する下流側空燃比センサにより検出された空燃比がリッチでないときには対応する三元触媒についての最大脱離量を増量修正する最大脱離量修正手段を具備した請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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