JP3766938B2 - 水位予測方法及び該方法を用いた堰堤制御システム - Google Patents

水位予測方法及び該方法を用いた堰堤制御システム Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、河口堰に於ける水位予測方法及びその方法を用いた堰堤制御システムに関する。
河口付近にゲート及びポンプを備えた堰堤を構築し、潮位上昇により海水が河川に逆流する状態の時にゲートを閉じ、海水の逆流による塩害を防止し、反対に潮位が低下した時はゲートを開けて河川から海に向かって自然放流の状態とし、又ゲートを閉じている状態の時の河川水位が警戒水位に近づいた時に、ポンプを駆動して河川から海に向かって強制排水し、河川の水位の上昇を抑制して、氾濫を防止する河口堰が知られている。
【0002】
【従来の技術】
発電用,水道用,農業用等のダムに於いては、貯水水位を測定し、この貯水水位が警戒水位に達するか否かを監視し、警戒水位に達するような貯水水位の上昇時には、ゲートを開けて放流して、貯水水位の上昇を抑制する制御が行われている。この場合、上流側の降雨量や上流からの流入量を測定し、現在の貯水水位の測定値から貯水水位の変化を推定し、貯水水位の上昇を推定した場合、警戒水位に達するか否かを推定し、警戒水位に達する前にゲートを開ける制御を行うことになる。
【0003】
又河口堰に於いては、潮位を測定した実測外水位と、河川水位を測定した実測内水位とを基に、ゲートの開閉及びポンプの駆動を制御するものである。例えば、実測内水位が実測外水位より高い場合、ゲートを開けて河川から海に向かって流れる自然排水の状態とし、又実測内水位が実測外水位より低い場合は、ゲートを閉じて海水の逆流を防止することになる。又ゲートを閉じている時に、河川の流量が増加し、実測内水位が警戒水位に達するような場合、ポンプを駆動して強制排水を行い、河川水位が堤防を超えないように制御することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
潮位は、干潮時から満潮時に向かって上昇し、反対に満潮時から干潮時に向かって低下するもので、この潮位の変動と干潮時刻及び満潮時刻とが気象情報と共に予報されるものである。この場合の潮位データは、特定の観測点に於けるものであるから、河口堰に於ける潮位とは等しくならない場合が多い。そこで、この潮位を水位計によって測定することになる。
【0005】
河口堰の操作者は、この潮位を測定した実測外水位と、河川水位を水位計で測定した実測内水位とを比較し、実測外水位が実測内水位より高くなると、ゲートを閉じる操作を行い、又実測内水位が実測外水位より高くなると、ゲートを開ける操作を行い、又ゲートを閉じている時に、実測内水位が警戒水位に達すると、ポンプを駆動する操作を行い、内水位の上昇を抑制して河川の堤防破壊を防止するものであるが、殆どの場合、実測外水位と実測内水位とを基に、操作者の経験則に従った判断により、ゲート及びポンプの操作を行うものであった。
【0006】
従って、外水位が上昇して内水位より高くなる場合に、ゲートを閉じる操作が遅れて、海水が逆流することがあり、又河川の上流に於いて多量の降雨があった場合や、上流のダムの放水があった場合等に於いては、内水位が急速に上昇することがある。その場合に、ゲートを閉じていると、ポンプを駆動する前に内水位が警戒水位を超えて上昇し、堤防の決壊等による河川の氾濫が生じる問題があった。
本発明は、外水位及び内水位の変動を予測して、ゲート及びポンプを的確に操作可能とすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の水位予測方法は、(1)河川水位が潮位を超えた時にゲートGを開けて自然排水し、このゲートGを閉じて河川水位が潮位を超える前に警戒水位に達する時に、ポンプPを駆動して強制排水する河口堰に於ける水位予測方法に於いて、予報される潮位データと、所定時間間隔で潮位を測定した実測外水位と、河川水位を測定した実測内水位とを用い、実測内水位を基に内水位の変化の傾きKを求め、現時点以降に傾きKに従って変化する予測内水位とし、現時点前の干潮時又は満潮時に於ける前記潮位データと、現時点後の満潮時又は干潮時に於ける潮位データと、実測外水位とを基に、現時点以降の予測外水位を求め、又予測内水位が警戒水位に達する前に、予測外水位と一致する時点以降は、ゲートGを開けることにより、予測内水位は、予測外水位に一致した水位と予測し、且つ現時点後の干潮時以降は、予測内水位を、傾きKに従って変化すると予測する過程を含むものである。従って、現時点までの実測値を基に現時点以降の予測値を求めることにより、ゲートの開閉制御の時刻及びポンプの駆動の時刻を予想することができるから、的確な制御が可能となる。
【0008】
又(2)予測内水位が予測外水位と一致する前に、警戒水位に達すると予測した時に、ポンプによる排水能力を示す傾きの延長線上を予測内水位とし、且つ現時点後の干潮時以降は、内水位の傾きKの延長線上を前記予測内水位とする過程を含むものである。即ち、ゲートを閉じた状態に於いて内水位が警戒水位に達すると、ポンプを駆動することになり、その時、このポンプの排水能力に対応して内水位が低下するから、このポンプの排水能力を示す傾きの延長線上を予測内水位とする。干潮時になると、潮位の低下に対応して河川水位も低下するから、ポンプの駆動を停止する。それにより、内水位は、先に求めた傾きKの延長線上に変化するものと予測する。
【0009】
又(3)現時点前の干潮時又は満潮時に於ける潮位データと、干潮時又は満潮時に於ける実測外水位との差分を求め、現時点の実測外水位から現時点後の満潮時又は干潮時に於ける潮位データに対する差分の水位まで直線的に変化する予測外水位とし、この予測水位から更に次の干潮時又は満潮時に於ける潮位データによる水位まで直線的に変化する予測外水位とする過程を含むものである。予測外水位は潮位データに従って変化するものであるから、現時点前の干潮時又は満潮時に於ける潮位データと実測外水位との差分は、次の現時点後の満潮時又は干潮時に於いても同様な差分が生じるものとして、予測外水位を求め、更に次の干潮時又は満潮時に於いても同様な差分が生じるか否かは明確でないから、予報される潮位データに一致させた予測外水位とする。
【0010】
又本発明の堰堤制御システムは、(4)河川水位が潮位を超えた時にゲートGを開けて自然排水し、このゲートGを閉じて河川水位が潮位を超える前に警戒水位に達する時に、ポンプPを駆動して強制排水する河口堰の堰堤制御システムに於いて、第1の水位計1により潮位を測定した実測外水位と第2の水位計2により河川水位を測定した実測内水位と予報される潮位データとを、インタフェース部3を介して入力する制御処理装置4と、この制御処理装置4の処理結果を表示する表示部5と、操作入力部6とを含み、制御処理装置4は、実測外水位と潮位データとを基に外水位を予測する予測外水位算出部8と、実測内水位を基に内水位の変化の傾きKを算出し、この傾きKに従った予測内水位を算出する予測内水位算出部9と、この予測内水位算出部9による予測内水位が警戒水位に到達するか否かを判定する警戒水位到達算出部10と、予測外水位と予測内水位と警戒水位とを基に、ゲートの開閉制御及びポンプの駆動制御を準備するゲート及びポンプ制御部11とを有し、且つこの制御処理装置4は、表示部5に、実測外水位と実測内水位と潮位データと警戒水位とを表示すると共に、算出された予測外水位と予測内水位とを表示する構成を有するものである。
【0011】
又(5)ゲートG及びポンプPを、表示部5の表示内容に対応した操作入力部6からの入力又は制御処理装置4のゲート及びポンプ制御部11から予測時刻に於いて制御する構成を備えることができる。即ち、操作入力部6から操作者が表示部5に表示された予測値を基にゲートG又はポンプPを制御する入力操作を行うか又は予測時刻に於いてゲート及びポンプ制御部11から自動的にゲートG又はポンプPを制御することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態の説明図であり、Gはゲート、Pはポンプ、H1は潮位(外水位)、H2は河川水位(内水位)、1は潮位を測定する第1の水位計、2は河川水位を測定する第2の水位計、3はインタフェース部、4は制御処理装置、5は陰極線管,液晶パネル等により構成された表示部、6はマウスやキーボード等の入力操作部、7はメモリ、8は予測外水位算出部、9は予測内水位算出部、10は警戒水位到達算出部、11はゲート及びポンプ制御部である。
【0013】
図1の(A)は、外水位H1が内水位H2より高く、ゲートGを閉じて海水の逆流を阻止している状態を示し、(B)は外水位H1が内水位H2より高く、ゲートGを閉じているが、内水位H2が警戒水位に到達しようとする場合で、ポンプPを駆動して強制排水している状態を示す。又(C)は外水位H1が内水位H2より低くなり、ゲートGを開けて自然排水の状態を示す。
【0014】
又図1の(D)は機能ブロック図を示し、第1の水位計1により外水位H1を測定した実測外水位と、第2の水位計2により内水位H2を測定した実測内水位と、気象情報と共に予報される潮位データとを、インタフェース部3を介して制御処理装置4に入力する。第1,第2の水位計1,2は、既に知られている各種の構成を適用することができるもので、所定時間間隔で測定値をインタフェース部3を介して制御処理装置4に入力することになる。又潮位データは、干潮時刻,満潮時刻,それぞれの時点の潮位を含むものであり、図示を省略した受信装置により受信することができる。
【0015】
制御処理装置4は、予測外水位算出部8と、予測内水位算出部9と、警戒水位到達算出部10と、ゲート及びポンプ制御部11とを含む構成の場合を示し、各部の機能は、コンピュータの時計機能及び演算処理機能により容易に実現することができる。又インタフェース部3を介して入力された実測外水位と実測内水位と潮位データとをメモリ7に順次格納するか、又は制御処理装置4の図示を省略した内部メモリに格納することができる。
【0016】
又表示部5は、制御処理装置4による処理結果の予測外水位,予測内水位,それらの一致時刻,警戒水位到達時刻等と、実測外水位,実測内水位,警戒水位及び潮位データとを表示する。操作入力部6は、前述のように、キーボードやマウス等からなり、操作者が各種の入力を行うことができる。
【0017】
図2は本発明の実施の形態の予測外水位及び予測内水位の説明図であり、図1に於ける表示部5の表示内容の一例として、現在時刻を2時とし、一点鎖線で示す警戒水位と、点線で示す潮位データと、現在時刻以前の実測値による実測外水位と実測内水位とを表示し、現在時刻以降の予測値として、予測内水位と予測外水位とを表示した場合を示す。又現在時刻ではゲートGは閉じた状態である。
【0018】
実測外水位と実測内水位とは、前述の第1,第2の水位計1,2により測定した値であり、所定時間間隔毎に測定値を取り込むものである。そして、予測内水位算出部9に於いて、実測内水位の複数の測定値を基に実測内水位の変化の傾きKを、例えば、測定時刻毎の測定値の差分の平均値又は最小二乗法等により求める。そして、現在時刻以降は、この傾きKに従って内水位が変化するものと予測する。
【0019】
又実測外水位と潮位データとを基に、予測外水位算出部8に於いて、予測外水位を求める。この場合、a,b点として示す満潮時(又は干潮時)の潮位データと実測外水位との差分Lを求めておき、現在時刻以降の外水位は、d,e点として示す次の干潮時(又は満潮時)の潮位データに対して差分Lの外水位となるものと予測し、その外水位と現在時刻の実測外水位とを直線で結ぶ予測外水位とする。又f点で示す更に次の満潮時(又は干潮時)に於いては、潮位データと予測外水位とが一致するものとして、d点とf点とを直線で結ぶ予測外水位とする。そして、時間の経過に従って順次実測外水位が変化することにより、予測外水位も更新されることになる。又予測内水位と同様に、実測外水位を基に傾きAを求め、この傾きAに従って次の干潮時(又は満潮時)までの予測外水位を求めることができる。
【0020】
又警戒水位到達算出部10は、予測内水位が警戒水位に達するか否かを判定するものであり、先ず、予測内水位が警戒水位に達する前に予測外水位と一致するか否かを判定し、一致する時、例えば、c点で一致する時は、この時刻2時8分にゲートGを開く予定とし、その時刻を枠内で示すように表示し、この時刻になるとゲートGを開ける。例えば、外水位の傾きを−5cm/min、内水位の傾きKを+7.5cm/min、現在時刻2時に於ける実測外水位と実測内水位との差が1mであるとすると、8分後に差が零となるから、前述のように、時刻2時8分に予測外水位と予測内水位とが一致すると判定することができる。そして、この時刻になるとゲートGを開けるから自然排水の状態となる。従って、予測内水位と予測外水位とは、c点とd点との間のように、一致して変化するものとする。
【0021】
そして、干潮時刻には、ゲートGを閉じる予定とし、それ以後の予測外水位は、f点で示す次の満潮時(又は干潮時)の潮位データと外水位とが一致するものと予測して、前述のように、d点とf点とを直線で結ぶ予測外水位とし、予測内水位は、現在時刻以前の内水位の変化の傾きKに従った直線で表す。従って、過去から現在までの河川水位の変化の状態を見ながら、将来の河川水位の変化を予測することにより、河川の急激な水位の上昇に対しても対応することができ、表示された予測外水位と予測内水位との関係及び一致点予想時刻の表示により、ゲートGの開閉予測が可能となり、操作者がゲートGを制御する場合に於いても、確実に操作することができる。
【0022】
図3は本発明の実施の形態の予測内水位が警戒水位に達する場合の説明図であり、警戒水位と河川の堤防との関係も表示し、又現在時刻にはポンプPは非稼働の状態の場合を示す。又図2の場合と同様に、現在時刻を2時とした時に、実測内水位を基に傾きKを求め、その傾きKで変化する予測内水位とし、又満潮時の潮位データと実測外水位との差分Lを求め、現在時刻に於ける実測外水位と、次の干潮時の潮位データから差分Lを差し引いた水位との間を直線で結ぶ予測外水位とし、この予測外水位と予測内水位とが一致する前に警戒水位に達するか否かを判定する。
【0023】
この場合、予測外水位に予測内水位が一致する前に、予測内水位が警戒水位に達する場合を示し、h点で示す一致時刻が2時5分であるとすると、枠内で示すように、警戒水位到達予想時刻2時5分と表示し、この時刻にポンプPを稼働する予定とする。このポンプPによる強制排水能力を傾きXで表すと、予測内水位をこの傾きXに従って次の干潮時のi点まで直線的に低下するものとする。そして、干潮時以降は、実測内水位を基に求めた傾きKに従って予測内水位が変化するものとし、且つポンプPは非稼働とする。
【0024】
従って、表示内容により、予測内水位が警戒水位に達することが予想され、且つその時刻が判るから、操作者がポンプPを制御する場合に於いても、予め準備して、警戒水位を超えないように確実に制御することができる。
【0025】
図4は本発明の実施の形態のフローチャートであり、所定時間間隔毎、例えば、10分間毎の動作を示し、外水位と内水位とを第1,第2の水位計1,2(図1参照)により測定し(A1)、外水位の傾きA及び内水位の傾きKを求める(A2)。この傾きA,Kは、前述のように、複数の実測外水位及び複数の実測内水位を基に最小二乗法等により求めることができる。そして、外水位の傾きAによる予測外水位及び内水位の傾きKによる予測内水位を求めて表示部5に表示する(A3)。
【0026】
予測外水位及び予測内水位は、時間の経過に従った水位を示すから、それらが一致するか否かを検索し(A4)、一致点有りと判定すると(A5)、その一致時刻を算出する(A6)。図2に於いてはc点が一致点であり、前述のように、傾きA=−5cm/min、傾きK=+7.5cm/min、現在時刻2時に於ける実測外水位と実測内水位との差=1mとすると、時間をTとして、−5T+7.5T=100の簡単な演算式により、T=8(min)が求まり、従って、一致時刻の2時8分を求めることができる。又予測内水位が警戒水位に到達するか否かを検索し(A7)、到達する場合(A8)、現在時刻の実測内水位と傾きKとを基に警戒水位の到達時刻を算出する(A9)。例えば、現在時刻の実測内水位=8m、傾き10cm/min、警戒水位=8.5mとすると、予測内水位は、5分後に警戒水位に到達することになる。即ち、図3に於けるh点が到達点であり、その時刻2時5分を求めることができる。
【0027】
そして、予測内水位が、予測外水位と一致する時刻と、警戒水位に到達する時刻との前後関係を比較し(A10)、到達時刻に比較して一致時刻が早いか否かを判定し(A11)、早い場合、及びステップ(A8)に於いて警戒水位に到達しないと判定した場合は、その一致時刻にゲートGを開けるものと予定し、一致時刻以降の予測外水位と予測内水位とを同一とする(A12)。
【0028】
又ステップ(A5)に於いて予測外水位と予測内水位との一致点がないと判定した場合、予測内水位の警戒水位への到達点を検索し(A13)、到達するか否かを判定し(A14)、到達しない場合は終了とし、又到達する場合及び(A11)にて到達時刻の方が早い場合は、その到達時刻を算出し(A15)、その到達時刻にポンプPを駆動するものと予定して、図3のh点からi点までの直線で示すように、ポンプPの排水能力による傾きXに従った予測内水位として表示する(A16)。
【0029】
図5は本発明の実施の形態の予測外水位を求めるフローチャートであり、前述のステップ(A1)と同様に、外水位と内水位とを測定し(B1)、実測内水位を基に内水位の傾きKを求める(B2)。又実測外水位と干潮時(又は満潮時)の潮位データとの差分Lを図2に示すように求め(B3)、次の満潮時(又は干潮時)まで潮位データに対して差分Lの予測外水位とする(B4)。即ち、図2に於ける干潮時のe点の潮位データに対して差分Lのd点を干潮時の予測外水位とし、現在時刻の実測外水位と干潮時のd点の予測外水位との間を直線で結ぶ予測外水位とし、表示部に表示する。
【0030】
更に次の干潮時(又は満潮時)に於いては、その干潮時(又は満潮時)の潮位データと一致する予測外水位とする。即ち、図2に於けるf点の満潮時の潮位データと予測外水位とを同一と予想して、d点の干潮時の予測外水位とf点の満潮時の予測外水位とを直線で結ぶ予測外水位として表示部に表示する。
【0031】
図6は本発明の実施の形態の時間経過後の説明図であり、図2に示す2時の現在時刻から時間が経過して、干潮時の2時10分が現在時刻となった時、潮位データと実測外水位との差分Lを求め、次の満潮時のf点の潮位データに対して差分Lの水位のj点を満潮時の予測外水位とし、d点とj点とを直線で結ぶ予測外水位とし、次のm点の干潮時は、潮位データに予測外水位を一致させ、j点とm点とを直線で結ぶ予測外水位とする。
【0032】
又c点でゲートGを開けることにより、実測外水位と実測内水位とが同一となり、d点の干潮時にゲートGを閉じることにより、c点以前に求めた実測内水位を基に求めた傾きKを用い、この傾きKの予測内水位とする。この場合、d点とk点とを結ぶ直線で表される。そして、k点では予測外水位と予測内水位とが一致するから、ゲートGを開ける予定とし、それ以降は予測外水位と予測内水位とがk点からm点の干潮時の向かって一致して変化するものとする。
【0033】
又前述の表示部5に、前述のように、潮位データ,実測外水位,実測内水位,予測外水位,予測内水位,傾きA,K等を表示すると共に、例えば、カーソル等により指示した位置の値や時刻を表示するように構成することを可能である。又警戒水位に到達すると予測した場合に、到達数分前に警報表示を行わせることも可能である。又実測内水位による傾きKが或る値以上に大きくなった場合は、制御処理装置4による処理判断によって、実測内水位を取り込む時間間隔を短くし、急激な河川水位の上昇等に対する対応の遅れを防止することができる。又前述の各データ表示をカラー別に表示し、特に警戒水位に到達する場合は、表示のみでなく、警報音によっても操作者に通知する手段を付加することができる。その他、前述の各実施の形態のみに本発明は限定されるものではなく、種々付加変更することができるものである。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、実測外水位と実測内水位と潮位データとを基に、予測外水位と予測内水位と、それらの傾きA,Kを求め、そして、予測外水位と予測内水位とが一致する時刻を求め、又予測内水位が警戒水位に到達するか否かを判定して、その到達時刻を求めることにより、ゲートGの開閉の予定時刻及びポンプPの稼働,非稼働の予定時刻を認識することができるから、操作者が手動で制御入力する場合も的確に行うことが可能となる利点がある。又グラフ表示とすることにより、現在時刻以前の実測値と以後の予測値とを基に、河口堰の管理が容易となる利点がある。
【0035】
又第1,第2の水位計1,2により測定した実測外水位と実測内水位と、予報される潮位データとを基に、制御処理装置4に於いて、予測外水位と予測内水位とそれらの傾きA,Kを求め、予測外水位と予測内水位とが一致する時刻、予測内水位が警戒水位に到達するか否か及び到達時刻を求めて、表示部5にグラフ表示し、ゲートG及びポンプPを自動的に制御するか、又は操作者に一致時刻や到達時刻を表示して、操作入力部6からの入力により制御することができる。従って、ゲートG及びポンプPを的確に制御して、海水の逆流を防止し、且つ警戒水位を超えないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態の予測外水位及び予測内水位の説明図である。
【図3】本発明の実施の形態の予測内水位が警戒水位に達する場合の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態の予測外水位を求めるフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態の時間経過後の説明図である。
【符号の説明】
G ゲート
P ポンプ
1 第1の水位計
2 第2の水位計
3 インタフェース部
4 制御処理装置
5 表示部
6 操作入力部
7 メモリ
8 予測外水位算出部
9 予測内水位算出部
10 警戒水位到達算出部
11 ゲート及びポンプ制御部

Claims (3)

  1. 河川水位が潮位を超えた時にゲートを開けて自然排水し、該ゲートを閉じて前記河川水位が前記潮位を超える前に警戒水位に達する時に、ポンプを駆動して強制排水する河口堰に於ける水位予測方法に於いて、
    予報される潮位データと、所定時間間隔で潮位を測定した実測外水位と、河川水位を測定した実測内水位と、該実測内水位の変化を基に内水位の変化の傾きKと、現時点以降に前記傾きKに従って変化すると予測する予測内水位とを求め、
    現時点前の干潮時又は満潮時に於ける前記潮位データと、現時点後の満潮時又は干潮時に於ける前記潮位データと、前記実測外水位とを基に、現時点以降の予測外水位を求め、
    前記予測内水位が前記警戒水位に達する前に、前記予測外水位と一致する時点以降は、前記ゲートを開けることにより、前記予測内水位は、前記予測外水位に一致した水位になると予測し、且つ現時点後の干潮時以降は、前記予測内水位を、前記傾きKに従って変化すると予測し、
    前記現時点前の干潮時又は満潮時に於ける前記潮位データと、該干潮時又は満潮時に於ける実測外水位との差分を求め、現時点の実測外水位から現時点後の満潮時又は干潮時に於ける前記潮位データに対して前記差分に相当する水位まで直線的に変化する予測外水位を求め、該予測外水位を求めた時点後の次の干潮時又は満潮時に於ける潮位データによる水位までは直線的に変化する予測外水位を求める過程を含む
    ことを特徴とする水位予測方法。
  2. 前記予測内水位が前記予測外水位と一致する前に、前記警戒水位に達すると予測した時に、前記ポンプによる排水能力を示す傾きの延長線上を予測内水位とし、且つ現時点後の干潮時以降は、前記内水位の変化の傾きKの延長線上を前記予測内水位とする過程を含むことを特徴とする請求項1記載の水位予測方法。
  3. 河川水位が潮位を超えた時にゲートを開けて自然排水し、該ゲートを閉じて前記河川水位が前記潮位を超える前に警戒水位に達する時に、ポンプを駆動して強制排水する河口堰の堰堤制御システムに於いて、
    第1の水位計により潮位を測定した実測外水位と第2の水位計により河川水位を測定した実測内水位と予報される潮位データとを、インタフェース部を介して入力する制御処理装置と、該制御処理装置の処理結果を表示する表示部と、操作入力部とを含み、
    前記制御処理装置は、前記実測外水位と前記潮位データとを基に外水位を予測する予測外水位算出部と、前記実測内水位を基に内水位の変化の傾きKを算出し、該傾きKに従った予測内水位を算出する予測内水位算出部と、該予測内水位算出部による予測内水位が警戒水位に到達するか否かを判定する警戒水位到達算出部と、前記予測外水位と予測内水位と警戒水位とを基に、ゲートの開閉制御及びポンプの駆動制御を準備するゲート及びポンプ制御部とを有し、
    且つ該制御処理装置は、前記表示部に、前記実測外水位と前記実測内水位と前記潮位データと前記警戒水位とを表示すると共に、前記算出された予測外水位と予測内水位とを表示する構成を有する
    ことを特徴とする堰堤制御システム。
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