JP3766214B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、気体からなる作動流体に圧力エネルギ−を加えるか与えられる容積式の流体機械であって、特に圧縮機、膨張機さらには真空ポンプ等に利用されるスクロール式流体機械に関する。
【0002】
【従来技術】
偏心軸を有して動力を伝達するシャフトと自転防止機構から旋回運動をする旋回スクロールとシャフトを支持するハウジング等に固定された固定スクロールで構成されるスクロール式流体機械で、壁面がスクロールラップにより形成されて大きさが異なる2つの圧縮室の最大密閉空間が180°位相がずれて形成される非対称スクロールに関する公知例として特公昭62−29601号公報が挙げられる。そして、スクロール部材の巻き始め中央の形状がインボリュ−ト曲線とそれに接続される2つの円弧で形成された公知例として特公平7−35791号公報と特公平7−39803号公報が挙げられる。
【0003】
これらの公知例では非対称スクロールとなるインボリュ−ト曲線で形成されるラップ形状と巻き始め中央部のインボリュ−ト曲線と接続される円弧形状との関連付けさらには最大密閉空間と最小密閉空間との係わりが明確にされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとしている課題として、インボリュ−ト曲線外周部の巻き終わり側に、固定スクロールのラップと旋回スクロールのラップとの間で1対形成される密閉空間において、流体機械としての能力から設定される2つの最大密閉空間の容積は非対称スクロールの場合では大きさが異なることと、それに対して巻き始め側に形成されるそれぞれの最小密閉空間の容積を決める場合に流体機械の性能、信頼性さらには大きさ等を総合的に評価した最適化が行われていないことにあった。
【0005】
前記旋回スクロールラップの外壁側に形成される外側圧縮室の設計的な最小密閉空間の容積は通常当該流体機械の運転条件から設定されるが、旋回スクロールラップの内壁側に形成される内側圧縮室の最小密閉空間の容積も同様に設定されているために、ラップ間の干渉の防止や吐出行程時の流路を確保するために複雑な加工を用いたり、小さな先端のラップ巻き始め形状から強度を低下させたり、また流体機械の径寸法を大きくしていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の課題を解決するために、本発明では非対称スクロール形状において、旋回スクロールラップの外壁側にインボリュ−ト曲線から形成される最大密閉空間の容積Vsmoとその空間が軸の回転に伴い中心に移動して形成される最小密閉空間の容積Vdmoとの比Vsmo/Vdmoがおよそ運転条件等から与えられる設計的な固有圧縮比Vroとなるが、上記Vsmoに対して180°位相がずれて旋回スクロールラップの内壁側にインボリュ−ト曲線から形成される最大密閉空間の容積Vsmiと、やはりその空間が軸の回転に伴い中心に移動して形成される最小密閉空間の容積Vdmiとの比Vsmi/VdmiをVriと置いた時に、VroとVriの比RVrを最大密閉空間の容積の比Vsmo/Vsmiに対して±10%の範囲に設定する。
【0007】
旋回スクロ−ル巻き始めの2円弧で形成される球根形状部の内壁側の円弧の半径Rm2から旋回半径を引いた値におよそ等しく又はそれより数十ミクロン小さくした値を、固定スクロール巻き始めの2円弧で形成される球根形状部の先端側の円弧の半径Rf1とする。
【0008】
この旋回スクロールと固定スクロールとの互いの球根形状部の関係より、内側圧縮室の最小密閉空間の容積Vdmiがインボリュ−ト曲線のみで形成された後さらに軸が回転してその容積が中心側に移動して小さくなっても密閉状態が保持されているので空間内の作動ガスは圧縮され、その最大密閉空間の容積との比が前記設計的な固有圧縮比Vroにおよそ等しくなった後旋回スクロール側に設けた圧縮室と中心部の吐出空間に連通する通路から圧縮ガスが流出する。
【0009】
本発明の目的は旋回スクロールのラップの内壁側と外壁側に形成される2つの最大密閉空間が、互いに大きさが異なり軸1回転中に180°位相がずれる非対称スクロ−ル形状において、中央巻き始めの球根形状部を、干渉がなくインボリュ−ト部の厚さより厚くして切り欠き部を設けることにより強度とともに流路を確保できるようにインボリュ−ト曲線と2円弧の接続から形成して、内側と外側の圧縮室に対する固有圧縮比を実質的に同一にして、流体機械の効率や耐久性及び大きさに対する最適形状を得ることを目的とする。
【0010】
【作用】
前記の如く構成されたスクロール式流体機械は、旋回スクロールラップの巻き終り側前後でおよそ180°位相がずれて形成される2つの最大密閉空間へは作動ガスが交互に流入するので、ガスの速度変動が少ない。
【0011】
最大密閉空間とインボリュ−ト曲線のみから形成される最小密閉空間との比で表される設計的な固有圧縮比は、旋回スクロールラップ外壁側の外側圧縮室に対してラップ内壁側の内側圧縮室では小さく設定されているが、固定スクロール先端R部で微小隙間にてシールされており、内側圧縮室の実質の固有圧縮比が大きくなって、外側圧縮室と同等になるので、圧縮不足損失が減少するのと、2つある圧縮室からの吐出行程のタイミングがずれるためガスの速度変動が減少する。
【0012】
内側圧縮室の設計的な固有圧縮比を小さくすることにより、ラップ中央部の空間が十分に取れて吐出流路を確保した上で球根形状部が大きくできるので、性能的にも信頼性的にもさらに加工的にも球根形状部の最適化が図れる。
【0013】
【実施例】
本発明のスクロール式流体機械に用いる作動流体として気体を対象に説明を進めるが、旋回スクロールの巻き数を1.5巻き以下にすれば液体についても適用は可能である。
【0014】
スクロール式流体機械の圧縮機構部の代表例を図1に示す。圧縮機構部は基本的に厚板に数巻きの渦巻き状の溝を設けた固定スクロール2と円形板上の前記固定スクロール2と同程度の渦巻き状の突起を設けた旋回スクロール1を互いに噛み合わせて構成される。
【0015】
この渦巻き状の溝ないしは突起の壁面形状は図2に示す基礎円の伸開線である内外2本のインボリュ−ト曲線から形成される。図中記号のXとYは座標軸、Oは原点を表し、Waは基礎円半径を、Wtはラップ歯厚を、そしてλはX軸からのB点までの巻き角を表す。従って、基礎円上のB点から引いた伸開線上のC点までの距離LはWa×λとして求められる。ラップ間で囲まれる圧縮室の容積はこのLの関係式を基に得られることになる。
【0016】
本発明の旋回スクロール1の平面形状を図3に示す。円板上に一体にして設けられた渦巻き状突起であるラップ1bの形状は、巻き終り終端部1cの外側A点及び内側B点を起点とする2本のインボリュ−ト曲線から構成されるラップが内側の中央に向かっておよそ2巻きと半周強巻かれている。中央部ではA点から入ったインボリュ−ト曲線とB点から入ったインボリュ−ト曲線とを2つの円弧で接続した球根形状部1eを形成している。中央の+マークは座標の原点を、その原点を囲む小さな円は基礎円1aを表す。
【0017】
図3の中央部巻き始め球根形状部1eを拡大してXY座標軸を記入した図を図4に示す。ラップ1b外側のインボリュ−ト曲線の始点をMaで、内側のインボリュ−ト曲線の始点をMcで表し、中心Om1が伸開線上にある点Maから始まる先端の円弧半径をRm1と置き、中心Om2が伸開線上にある点Mcから始まる内側の円弧半径をRm2と置き、その2つの円弧の接続点をMbとする。
【0018】
この時、インボリュ−ト曲線の式から得られる中心Om1の座標と中心Om2の座標間距離を円弧半径Rm1とRm2との和に等しいとする関係式を用いて球根形状部1eが得られる。一方、点Mcから数十度軸を回転した点Mdから先端に向けて切り欠き部1fが設けられている。また、図4から明らかなように、Om1とMaを結ぶ線分とOm2とMcを結ぶ線分は互いに平行ではなく、点Maの巻き角をλsoで表し、点Mcの巻き角をλsiで表すとλsi<λso+πの関係が成立する。ないしは、Om2とOm1を結ぶ線分とOm1とMaを結ぶ線分の成す角度である半径Rm1の円弧範囲の角度をθm1で表し、Om2とOm1を結ぶ線分とOm2とMcを結ぶ線分の成す角度である円弧Rm2の範囲の角度をθm2で表すと、θm1はθm2よりも大きくなる。
【0019】
本発明の固定スクロール2の平面形状を図5に示す。厚板内に堀り込んだインボリュ−ト曲線から構成される渦巻き状溝は、半円弧状の溝終端部2cから中央に向かっておよそ2巻き半巻かれ、インボリュ−ト曲線から構成されるラップ2bは中央に向かっておよそ2巻き巻かれている。
【0020】
さらには、圧縮室への作動ガスの吸入口2hが巻き終り部の溝に連通して設けられ、圧縮室からの作動ガスの吐出孔2gが中央部の溝に連通して設けられている。旋回スクロールと同様、中央の+マ−クは座標の原点を、その原点を囲む小さな円は基礎円2aを表す。
【0021】
図5の中央部巻き始め球根形状部2eを拡大しXY座標軸を記入して図6に示す。渦巻き状溝外壁のインボリュ−ト曲線の始点をFcで、内壁のインボリュ−ト曲線の始点をFaで表し、中心Of1が伸開線上にある点Faから始まる先端の円弧半径をRf1と置き、中心Of2が伸開線上にある点Fcから始まる内側の円弧半径をRf2と置き、その2つの円弧の接続点をFbとする。そして、3つの点FcとOf2とFbのなす角度すなはち半径Rf2の円弧範囲の角度θf2は、旋回スクロールの前記θm1よりも小さく形成する。この関係は、後述する点Fcと点Feの関係から示される。
【0022】
この時、インボリュ−ト曲線の式から得られる中心Of1の座標と中心Of2の座標間距離を円弧半径Rf1とRf2との和に等しいとする関係式を用いて、球根形状部2eが得られる。外壁の点Fcの手前に設けた点Feに関しては図9で説明する。一方、図6に示されているように、点Fcから数十度先端に向けて回転した半径Rf2の円弧内から始まる点から先端側の半径Rf1円弧の中央近傍の点Fdに向けて切り欠き部2fが設けられている。
【0023】
旋回スクロール1と固定スクロール2の渦巻き部を噛み合わせて、図3のA点を図5の終端部2cの外壁にほとんど接触させると同時に、図7に示すように、このA点から巻き角度で2πだけ中に入ってらラップ1b外壁とラップ2b内壁とをほとんど接触させた点Eにより旋回スクロール1と固定スクロール2との間に形成される外側圧縮室の最大密閉空間4の容積をVsmoと置く。
【0024】
図7の状態から旋回スクロール1を半回転すなはち180°回転させた図8に示すように、点Gと点Hをほとんど接触させて旋回スクロールと固定スクロールとの間に形成される内側圧縮室の最大密閉空間5の容積をVsmiと置く。
【0025】
図7の状態から旋回スクロールがさらに1回転半強旋回させた図9に示すように、旋回スクロールラップ1b内壁と固定スクロールラップ2b外壁の2箇所の1巻き違う接点Kと接点Jとの間のインボリュ−ト曲線で囲まれた外側圧縮室に対する最小密閉空間6が形成されている。内側の接点Kは図6に示した固定スクロール溝内壁のインボリュ−ト曲線部の点Feと一致する。図6に示したこの点Feよりさらに内側に入った点Fcまではインボリュ−ト曲線で形成されている。図9の状態では、吐出孔2gは最小密閉空間6に連通する直前の状態にある。この最小密閉空間6の容積をVdmoと置く。
【0026】
図8から旋回スクロールをさらに1回転強旋回させた図10に示すように、旋回スクロールラップ1b外壁と固定スクロールラップ2b内壁の2箇所の1巻き違う接点Pと接点Qとの間のインボリュ−ト曲線で囲まれて内側圧縮室に対する最小密閉空間7が形成されている。図では吐出孔2gは最小密閉空間7に連通しない状態にある。この最小密閉空間7の容積をVdmiと置く。
【0027】
外側圧縮室の最大密閉空間4と最小密閉空間6の容積の比Vsmo/VdmoをVroと置き、内側圧縮室のその容積の比Vsmi/VdmiをVriと置くと、Vroは運転条件等から与えられる設計的な固有圧縮比におよそ等しくなるが、VriはVroより小さく、その比RVr=Vro/Vriは最大密閉空間の容積の比Vsmo/Vsmiにおよそ等しいか、その値の±10%の範囲に入るのが良い。
【0028】
図9から旋回スクロールがさらに旋回すると、中心に向けて移動した外側圧縮室の最小密閉空間6に吐出孔2gが連通して隙間が生じ、圧縮室内の作動ガスがこの隙間から吐出されることになる。
【0029】
一方、内側圧縮室の最小密閉空間7の場合、図10から旋回スクロールが数十度旋回した状態を拡大した図11に示すように、固定スクロールの球根形状部2e先端と旋回スクロールの球根形状部1e内壁R部との間にほとんど接触状態にあって、接点Tと接点Sで囲まれた最小密閉空間8を形成することになる。この点Sは、旋回スクロール及び固定スクロールそれぞれの球根形状部に設けた切り欠き部1fと2fの開始点である図4の点Md及び図6の点Fdに一致する。この実質的な最小密閉空間8としての容積をVdmieと置く。
【0030】
この図11に対する内側圧縮室の容積比Vsmi/Vdmieは、図10に対する容積比Vriより大きく、図9に対する外側圧縮室の容積比Vroとおよそ同等に設定される。
【0031】
図12は従来の方法で形成した球根形状部である。旋回スクロール側及び固定スクロール側いずれの球根形状部もラップ間干渉や強度的、加工上も問題が生じる可能性がある。
【0032】
以上の如く構成されたスクロール流体機械の働きについて以下説明する。軸1回転中に形成される大きさの異なる2つの最大密閉空間4と最大密閉空間5は、形成されるタイミングが180°ずれるので、吸入行程時に作動流体は吸入口から交互にそれぞれの圧縮室に流入する。そして、それぞれの圧縮室は旋回運動に伴い中央に移動しながら容積を減少させて実質的な最小密閉空間の形成位置まで作動流体を圧縮室内にて圧縮されることになる。しかも、内外圧縮室の固有圧縮比は実質的に同じなので、圧縮室内の圧力上昇度合いもおよそ同じになる。
【0033】
最小密閉空間形成後軸が回転して吐出行程に移行するが、圧縮室に吐出孔が直ちに開口するとともに球根形状部に設けた流出面積を十分に確保した切り欠き部からも直ちに作動流体が流出する。
【0034】
さらには、球根形状部の前後には運転条件によっては相当に大きな差圧が作用する場合があるが、球根形状部の中央部はインボリュ−ト曲線で形成されるラップ部の厚さより厚くなっており、破損する心配はない。
【0035】
【発明の効果】
前記の如く構成されたスクロール式流体機械は、軸1回転中に形成される大きさの異なる2つの最大密閉空間4と最大密閉空間5は、形成されるタイミングが180°ずれるので、吸入行程時吸入口2h内の作動流体の流れは平準化された脈動の少ない状態となる。
【0036】
一方、吐出行程時も実質的な最小密閉空間6と8の形成タイミングが異なるので、吐出孔2g内の作動流体の流れは平準化されると同時に、圧縮室から吐出孔に至る球根形状部周囲も抵抗の少ない流れとなり、抵抗に伴う不要な圧力上昇がなくなり、効率が向上する効果がある。さらに、吸入及び吐出通路内の圧力脈動が減少して振動騒音が低減する効果がある。
【0037】
また、内側圧縮室の設計上の固有圧縮比Vriが小さく出来るので、旋回スクロール及び固定スクロールそれぞれの球根形状部を太くして高い強度を確保出来るとともにラップ応力が最も高くなる球根形状部先端付根の強度を確保した上で切り欠き部を設けることにより吐出行程時の作動流体の流出抵抗を大幅に低減できることができて効率向上と耐久性を高める効果がある。
【0038】
さらには、球根形状部の最適化は数式による幾何学的アプロ−チから設定でき、コンピュータ処理を可能として多種多様なパラメータサーベイや圧縮室圧力の計算を行うシミュレータへの取り組みも容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スクロール式流体機械の圧縮機構部の断面図である。
【図2】 伸開線によるインボリュ−ト曲線作成図である。
【図3】 本発明の旋回スクロール平面図である。
【図4】 図3の巻き始め中央部の拡大図である。
【図5】 本発明の固定スクロール平面図である。
【図6】 図5の巻き始め中央部の拡大図である。
【図7】 外側圧縮室の最大密閉空間形成図である。
【図8】 内側圧縮室の最大密閉空間形成図である。
【図9】 外側圧縮室の最小密閉空間形成図である。
【図10】 内側圧縮室の設計的最小密閉空間形成図である。
【図11】 図10から旋回スクロールを数十度回転させた中央部の拡大図である。
【図12】 図11を従来の方法で作図した中央部の拡大図である。
【符号の説明】
1 旋回スクロール
2 固定スクロール
1b、2b ラップ
1d、2d 先端円弧部
1e、2e 球根形状部
1f、2f 切り欠き部
2g 吐出孔
2h 吸入口
4 外側圧縮室の最大密閉空間
5 内側圧縮室の最大密閉空間
6 外側圧縮室の最小密閉空間
7 内側圧縮室の設計的最小密閉空間
8 内側圧縮室の実質的最小密閉空間

Claims (3)

  1. 厚板に渦巻き状溝を設けてインボリュ−ト曲線からなるラップを設けた固定スクロールと円板上にインボリュ−ト曲線からなる渦巻き状突起のラップを設けた旋回スクロールを互いに噛み合わせて旋回スクロールの巻き終り側ラップの外壁側で形成される最大密閉空間4とその内壁側で形成される最大密閉空間5との大きさが異なり軸の回転に対して位相が180°ずれて形成される非対称スクロ−ル形状で、旋回スクロール及び固定スクロール中央部の巻き始め形状をラップ外壁のインボリュ−ト曲線とラップ内壁のインボリュ−ト曲線を2つの円弧で接続するとともに当該2つの円弧の半径の和と互いの中心間距離を等しくさせた球根形状部から形成されるスクロール式流体機械において、
    (1)旋回スクロールのラップの外壁側にインボリュ−ト曲線で形成される最小密閉空間6の容積Vdmoと旋回スクロールのラップの内壁側にインボリュ−ト曲線から形成される最小密閉空間7の容積Vdmiの比であるVdmo/Vdmiを前記最大密閉空間4と最大密閉空間5の比に対して±10%の範囲に設定する。
    (2)旋回スクロール巻き始めの円弧半径Rm1の中心Om1とラップ外壁側のインボリュ−ト曲線の始点Maを結ぶ線分と巻き始め内壁側の円弧半径Rm2の中心Om2とラップ内側のインボリュ−ト曲線の始点Mcを結ぶ線分は互いに平行ではなく、点Maの巻き角λsoにπラジアンを加えた値よりも点Mcの巻き角λsiを小さく設定する。
    (3)固定スクロール巻き始め球根形状部の先端の円弧半径Rf1に旋回半径を加えた値を、旋回スクロール巻き始め球根形状部の内壁側の円弧半径Rm2に等しくする。
    以上からスクロールのラップ形状を構成したことを特徴とするスクロ−ル式流体機械。
  2. インボリュ−ト曲線で囲まれた外側圧縮室の最小密閉空間6を形成する内側の接点となる固定スクロ−ルの内壁の点Feよりもインボリュ−ト曲線の始点を内側の点Fcまで延長して、固定スクロ−ル巻き始め内側の円弧半径Rf2の範囲の角度θf2を旋回スクロール巻き始め先端の円弧半径Rm1の範囲の角度θm1より小さく形成した固定スクロ−ルの巻き始め形状から構成されたことを特徴とする請求項1のスクロ−ル式流体機械。
  3. 旋回スクロ−ルの中央部巻き始めに設けた球根形状部1eの半径Rm2内側円弧部内の点Mdから半径Rm1先端円弧部に抜ける切り欠き部1fを設け、同時に固定スクロ−ルの中央部巻き始めに設けた球根形状部2eの半径Rf1先端円弧部のおよそ中央近傍の点Fdから半径Rf2内側円弧部のおよそ中央近傍に抜ける切り欠き部2fを設けて圧縮室からの作動ガスの吐出通路を構成したことを特徴とする請求項1ないしは請求項2のスクロ−ル式流体機械。
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