JP3765480B2 - 回転精度測定装置 - Google Patents

回転精度測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3765480B2
JP3765480B2 JP2002018402A JP2002018402A JP3765480B2 JP 3765480 B2 JP3765480 B2 JP 3765480B2 JP 2002018402 A JP2002018402 A JP 2002018402A JP 2002018402 A JP2002018402 A JP 2002018402A JP 3765480 B2 JP3765480 B2 JP 3765480B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
data
rotation
rotating body
blocked
displacement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002018402A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003214988A (ja
Inventor
繁一 奥村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2002018402A priority Critical patent/JP3765480B2/ja
Publication of JP2003214988A publication Critical patent/JP2003214988A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3765480B2 publication Critical patent/JP3765480B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定軸を中心として回転する回転体の回転精度を測定する回転精度測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
転がり軸受けや流体軸受け等に支持されて回転する回転体(例えばモータによって回転するスピンドル)の回転精度を測定する回転精度測定装置では、従来、回転体の変位を示す時系列データを回転体の回転とは無関係に採取して大量の変位データを収集し、その大量の変位データに対して一括してデータ処理を行っていた。このデータ処理では、例えば、時系列的に得られた変位データ(以下「採取データ」という)に対して高速フーリエ変換(以下「FFT」という)を施すことにより、周波数スペクトルを示すデータ(以下「スペクトルデータ」という)を算出し、そのスペクトルデータにおいて同期振れ誤差(RRO:Repeatable Run Out)を除去することにより、1回転毎に繰り返されない回転体の変位に相当する非同期振れ誤差(NRRO:Non Repeatable Run Out)を求めている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の回転精度測定装置では、回転体を回転させるモータ等の駆動源の回転ムラが測定に大きな影響を与えていた。また、上記の採取データは、回転体の回転とは無関係に採取された時系列データであるので、上記データ処理においてFFTが施される際には、採取データが所定区間外で滑らかに0になるように、予め窓関数によって採取データに対して適当な重み付けがなされていた。一般に窓関数が使用されると、FFTによって得られるスペクトルが拡散するので、この窓関数の使用も、従来の回転精度測定装置による測定に大きな影響を与えることになる。このように従来の測定装置では、モータの回転ムラや窓関数の影響が大きいために、回転精度についての高精度な測定、すなわちRROやNRRO、真円度等の正確な算出は困難であった。
【0004】
そこで本発明では、回転ムラや窓関数の使用等による測定への影響を除去して正確な回転精度測定を可能とする回転精度測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明は、所定軸を中心として回転する回転体の回転精度を測定する回転精度測定装置であって、
前記回転体の半径方向の変位または前記所定軸方向の変位を示す標本化値からなる時系列データを取得するデータ取得手段と、
前記時系列データを前記回転体の回転周期毎に分離してブロック化することにより、複数のデータブロックからなるブロック化データを生成する周期分離手段と、
前記複数のデータブロックのそれぞれを構成する標本化値の数であるデータ数が同一となるように、前記ブロック化データに対してレート変換を行う変換手段と、
前記レート変換後のブロック化データに基づき、前記回転精度を示す指標を算出する算出手段とを備え、
前記算出手段は、前記レート変換後のブロック化データから、1回転周期内の同一相対位置毎に、前記変位の標本化値についての最大値max、平均値avrおよび最小値minを算出し、かつ|max−avr|−|avr−min|を算出する手段を含むことを特徴とする。
【0010】
このような第1の発明によれば、回転体の変位を表す時系列データが回転周期毎に分離されてブロック化され、更にレート変換によって各データブロックのデータ数(1回転周期内のサンプル点数)が同一とされ、レート変換後のブロック化データに基づき、回転精度を示す指標が算出されるので、回転精度測定において、回転体を回転させるモータ等の駆動源の回転ムラの影響が軽減される。また、回転体の変位を表すレート変換後のブロック化データから1回転周期内の同一相対位置毎に|max−avr|−|avr−min|を算出することにより、平均値を中心に均等に変化する回転ムラ成分が除去される。これは回転ムラに特有の周期的な変化が取り除かれることを意味するので、|max−avr|−|avr−min|から、より正確なNRRO値を算出することができる。
【0011】
第2の発明は、所定軸を中心として回転する回転体の回転精度を測定する回転精度測定装置であって、
前記回転体の半径方向の変位または前記所定軸方向の変位を示す標本化値からなる時系列データを取得するデータ取得手段と、
前記時系列データを前記回転体の回転周期毎に分離してブロック化することにより、複数のデータブロックからなるブロック化データを生成する周期分離手段と、
前記複数のデータブロックのそれぞれを構成する標本化値の数であるデータ数のうち最も出現頻度の高いデータ数を有するデータブロックのみを、前記ブロック化データから抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出されたデータブロックからなるブロック化データに基づき、前記回転精度を示す指標を算出する算出手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
このような第2の発明によれば、回転体の変位を表す時系列データを回転周期毎に分離してブロック化することにより得られる複数のデータブロックのうち、データ数(1回転周期のサンプリング点数)が同一のデータブロックのみが抽出され、抽出されたデータブロックからなるブロック化データに基づき、回転精度を示す指標が算出される。このため、回転精度測定において、回転体を回転させるモータ等の駆動源の回転ムラの影響が軽減されるので、回転精度を示す指標を精度よく求めることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<1.第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る回転精度測定装置の構成を模式的に示す構成図であり、図2は、この回転精度測定装置による回転体の測定を示す平面図である。
【0014】
この回転精度測定装置は、軸受けによって支持されて所定の回転軸11を中心としてモータ(不図示)により回転する回転体10の回転精度を測定する装置であって、回転体10の半径方向の変位を検出する非接触式の変位センサ20と、変位センサ20の検出信号Sdに基づき回転体10の半径方向の変位を示す標本化値からなる時系列データを収集し、その時系列データである採取データを処理するデータ収集処理装置30とを備えている。
【0015】
変位センサ20は、回転体10の外周面近傍に配置され、その外周面と変位センサ20との距離を検出し、その検出結果を回転体10の半径方向の変位を示す検出信号Sdとして出力する。なお、回転体10の軸方向の変位を検出し、軸方向の変位についての回転精度を測定する場合には、図1において点線で示すように、回転体10の上面近傍に回転体10の軸方向の変位を検出する非接触式の変位センサ21を配置し、その変位センサ21から出力される信号すなわち回転体10の上面と変位センサ21との距離を示す信号を検出信号Sdとして使用すればよい。ただし以下では、説明の便宜上、半径方向の変位を検出する変位センサ20のみが配置されているものとする。
【0016】
データ収集処理装置30は、中央処理装置としてのCPU31、入力インターフェース部32、メモリ33、および表示制御部34をバスで接続した構成となっており、表示制御部34には表示部36が接続されている。上記変位センサ20からの検出信号Sdは、このデータ収集処理装置30における入力インターフェース部32に入力される。入力インターフェース部32はA/D変換器を有し、上記検出信号Sdは、これによって標本化されデジタルデータとしてメモリ33に一時的に格納される(以下、このデジタルデータを「原データ」という)。この入力インターフェース部32は、上記の変位センサ20と共に、回転体10の変位を表す時系列データの取得手段を構成する。
【0017】
CPU31は、予めメモリ33に格納された所定プログラムを実行することにより、上記の原データに対し、後述のDCカット処理、周期分離処理、レート変換、FFT等のデータ処理を順に施す。これにより、データ収集処理装置30は、図3に示すような機能的構成の装置、すなわち、DCカット部111と、周期分離部112と、レート変換部113と、信号処理部114とを備える装置として動作する。
【0018】
DCカット部111は、変位センサ20から出力される検出信号Sdから直流成分を除去するものであり、具体的には、検出信号Sdを表すデジタルデータである原データに対する信号処理によって、検出信号Sdから直流成分を除去した信号を表すデジタルデータを採取データDaとして生成する(この信号処理を「DCカット処理」という)。なお、このDCカット部111はソフトウェア的に実現されているが、入力インターフェース部32に直流成分遮断回路を設け、これによって検出信号Sdから直流成分を除去した後に、A/D変換器によって上記の採取データDaを作成するようにしてもよい。この場合、DCカット部111は、ハードウェアとして実現されることになり、入力インターフェース部32の一部を構成する。
【0019】
周期分離部112は、DCカット部111によって生成された採取データDaを回転体10の回転周期毎に分離してブロック化することにより、複数のデータブロックからなるブロック化データDbを生成する(この処理を「周期分離処理」という)。具体的には、検出信号Sdを表すデジタルデータである採取データDaから、Sd=0に相当する時点であるゼロ点を求め、このゼロ点に基づき、採取データDaを回転周期毎に分離してブロック化データDbを得る。例えば、検出信号Sdのうち図4に示すような区間に相当する採取データDaがDCカット部111から得られた場合には、この採取データDaから検出されたゼロ点に基づき、図5に示すような4個のデータブロックDb1,Db2,Db3,Db4からなるブロック化データDbを得る。これら4個のデータブロックDb1,Db2,Db3,Db4のそれぞれを構成するデジタル信号値(回転体10の変位を示す標本化値)の個数(以下「データ数」といい、これは1回転周期のサンプリング点数に相当する)は、モータの回転ムラ等のため、通常、全て等しくはならず、例えば図6に示すように、データブロックDb1,Db2,Db3,Db4のデータ数は、それぞれn1個,n2個,n3個,n4個となる。なお、回転体10を回転させるモータを含む駆動部(不図示)から回転周期に同期した信号(例えば1回転毎に1個パルスが現れる信号)がインデックスパルスSipとして出力される場合には、上記のゼロ点検出に代えて、そのインデックスパルスSipに基づき周期分離処理を行うようにしてもよい。
【0020】
レート変換部113は、上記のようにデータ数のばらつく複数のデータブロックからなるブロック化データDbに対して補間処理を行うことにより、各データブロックのデータ数を同一にする。すなわち、レート変換によって各データブロックのサンプリング点数を同一にする。このとき、信号処理部114で実行されるFFT(高速フーリエ変換)を考慮して、各データブロックのデータ数を2のべき乗とする。例えば、図6に示したようなブロック化データDbに対してレート変換を施すことにより、図7に示すようにデータ数が全て2mであるデータブロックDc1,Dc2,Dc3,Dc4からなるブロック化データDcが得られる。なお、ここでは、ブロック化データDbを構成する4個のデータブロックDb1,Db2,Db3,Db4は、ブロック化データDcを構成する4個のデータブロックDc1,Dc2,Dc3,Dc4に変換されるものとする。
【0021】
信号処理部114は、回転精度を示す指標の算出手段であって、レート変換後のブロック化データDcに対して窓関数を使用することなくFFTを施すことにより、スペクトルデータを算出する。そして、このスペクトルデータに基づき、従来と同様の手法により、RROや、NRRO、真円度等を求める。
【0022】
このようにして得られたRROや、NRRO、真円度等、回転体10の回転精度を示す指標は、測定結果としてメモリ33に格納されると共に、他の所定プログラムに基づき、表示制御部34に送られて、その表示制御部34によって表示部36に表示される。
【0023】
上記のような本実施形態によれば、採取データDaが回転周期毎に分離されることにより回転周期毎にブロック化されたブロック化データDbが得られ、更に、そのブロック化データDbに対するレート変換によって各データブロックのデータ数が同一となる。これにより、回転精度測定において、回転体10を回転させるモータの回転ムラの影響を低減することができる。このため、RROや、NRRO、真円度等、回転精度を示す指標を正確に求めることができる。
【0024】
また、本実施形態によれば、信号処理部114においてFFTの処理対象となるレート変換後のブロック化データDcは、回転体10の回転周期毎にブロック化されており、しかも、各データブロックにおけるデータ数は2のべき乗となっている。したがって、レート変換後のブロック化データDcに対するFFTにより、回転体10の1回転周期の逆数を基本周波数とする検出信号Sdの高調波成分を広がりの無い線スペクトルとして容易に求めることができる。ここで得られる基本周波数成分および高調波成分は、回転体10の1回転毎に現れる回転体10の変位における同期成分およびその高調波成分にそれぞれ相当する。このため、上記のようにレート変換後のブロック化データDcに対して窓関数なしでFFTを施すことにより得られるスペクトルデータから、RROを精度よく求めることができ、そのスペクトルデータからNRROを求める際には、RROを他に影響を与えることなく精度よく除去することができる。
【0025】
<2.第2の実施形態>
上述のように第1の実施形態では、回転精度測定における採取データDaを回転周期毎に分離してブロック化した後、レート変換によって各データブロックのデータ数を同一としたブロック化データDcを作成し、このブロック化データDcに対してFFTを施すことによりNRROを算出している。しかし、このような周期分離型信号処理によるNRROの算出においても、回転体10を回転させるモータの回転ムラすなわち回転速度誤差の影響は依然として大きく、そのために、十分に正確なNRROを算出するのは困難である。そこで、本発明の第2の実施形態に係る回転精度測定装置では、より正確なNRROを算出すべく後述の回転ムラ除去処理を実施することにより、回転精度測定において回転体の駆動用モータの回転ムラによる影響を除去している。以下、この第2の実施形態に係る回転精度測定装置について説明する。
【0026】
本実施形態に係る回転精度測定装置は、ハードウェア的には上記第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一の参照符号を付して説明を省略する(図1、図2参照)。本実施形態では、データ収集処理装置30においてCPU31によって実行されるプログラムが第1の実施形態と相違し、そのプログラムに基づき図8に示すような機能的構成のデータ処理装置がソフトウェア的に実現される。
【0027】
このデータ処理装置は、第1の実施形態と同様、DCカット部111と、周期分離部112と、レート変換部113とを備え、これらにより、周期分離型信号処理の前処理を行う。すなわち、変位センサ20から出力される検出信号Sdから直流成分を除去して採取データDaを生成し、その採取データDaを回転体10の回転周期毎に分離してブロック化することによりブロック化データDbを得、そのブロック化データDbに対してレート変換を施すことにより、データ数が同一の複数データブロックからなるブロック化データDcを生成する。
【0028】
このデータ処理装置は、更に、回転ムラ成分除去処理部124と、NRRO算出部125とを備える。このうち回転ムラ成分除去処理部124は、下記の原理に基づき、測定データとしての上記ブロック化データDcから回転ムラに相当する成分を除去する。
【0029】
レート変換後のブロック化データDcにおける各データブロックは、回転体10の1回転分に対応するデータである。このようなブロックデータとして、例えば図9に示すような3種類の信号波形a,b,c(回転体10の変位を示す3回転分の波形)をそれぞれ示す3つのデータブロックが得られ、回転ムラは、a→b→c→b→a→b→…というように、繰り返し平均値に相当するbを中心に振動する特性を有している。したがって、多回転分の回転体10の変位を測定すれば、測定された変位における回転ムラ成分は、その平均値を中心として均等に値が変化することになる。このため、上記のブロック化データDcから、その平均値を中心に均等に変化する量を除去すると、回転ムラ成分が除去されることになる。そこで本実施形態における回転ムラ成分除去処理部124は、各回転周期における同じ位置(これは1周期内の相対時刻が同一の点を意味し、以下「同一相対位置」という)毎に測定値(変位量を示す標本化値)の最大値max、平均値avr、最小値minを算出し、これらの値を用いて1周期内の同一相対位置毎に、次式により定義される回転精度指標値dnを求める(以下、この処理を「回転ムラ成分除去処理」という)。
dn=|max−avr|−|avr−min|
【0030】
例えば、4回転分の測定データに対応するデータブロックDc1〜Dc4からなる図10に示すようなブロック化データDcが得られた場合、まず、同じ相対位置毎に4個のデータブロックDc1〜Dc4についての最大値max、平均値avr、最小値minを算出する。例えば同一相対位置に相当する時刻t1k〜t4kにおける変位量を示す標本化値をデータブロックDc1〜Dc4から取り出して、これらの値についての最大値maxk、平均値avrk、最小値minkを算出する。そして、その同一相対位置についての回転精度指標値dnkを次式により算出する。
dnk=|maxk−avrk|−|avrk−mink
このような計算を1周期内の各点について行う。
【0031】
上記のような計算により、図11に示すように、それぞれがM=2m個の値(変位量を示す標本化値)からなる4個のデータブロックDc1〜Dc4より、1周期内の各同一相対位置での最大値maxkからなる最大値データDmaxと、1周期内の各同一相対位置での平均値avrkからなる平均値データDavrと、1周期内の各同一相対位置での最小値minkからなる最小値データDminとが得られる(k=1,2,…,M)。そして、これらのデータDmax,Davr,Dminより、1周期内の各同一相対位置での回転精度指標値dnkからなる回転精度指標データDdが得られる(k=1,2,…,M)。
【0032】
上記の回転ムラ成分除去処理によって、回転体10の変位を示すブロック化データDcから平均値を中心に均等に変化する回転ムラ成分が除去され、これは回転ムラ成分に特有の周期的変化が除去されることを意味する。このため、上記処理によって得られた回転精度指標データDdは、平均値を中心に均等に変化しない量に相当し、この中にNRRO値が含まれる。そこで、NRRO算出部125は、上記の回転精度指標データDdからNRROとみなすべき値を算出する。
【0033】
上記のような本実施形態によれば、第1の実施形態と同様、回転周期毎にブロック化されたブロック化データDbが得られ、そのブロック化データDbに対するレート変換によって各データブロックのデータ数が同一となるので、回転精度測定において回転ムラの影響を低減することができる。これに加えて本実施形態では、平均値を中心に均等に変化するという回転ムラ成分の特性を利用して、レート変換後の測定データであるブロック化データDcから回転ムラに特有の周期的な変化が取り除かれる。これにより、回転精度を示す指標として、より正確なNRRO値を算出することができる。
【0034】
<3.第3の実施形態>
上記の第1および第2の実施形態では、回転精度測定における採取データDaを回転周期毎に分離してブロック化した後、レート変換によって各データブロックのデータ数を同一としたが、これに代えて、採取データDaを回転周期毎に分離してブロック化することにより得られるブロック化データDbから、データ数が同一のブロックデータを抽出するようにしてもよい。以下、このような手法に基づく回転精度測定装置を本発明の第3の実施形態として説明する。
【0035】
本実施形態に係る回転精度測定装置も、ハードウェア的には上記第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一の参照符号を付して説明を省略する(図1、図2参照)。本実施形態では、データ収集処理装置30においてCPU31によって実行されるプログラムが第1の実施形態と相違し、そのプログラムに基づき図12に示すような機能的構成のデータ処理装置がソフトウェア的に実現される。
【0036】
このデータ処理装置は、第1の実施形態と同様、DCカット部111と、周期分離部112とを備え、これらにより、周期分離型信号処理の前処理を行う。すなわち、変位センサ20から出力される検出信号Sdから直流成分を除去して採取データDaを生成し、その採取データDaを回転体10の回転周期毎に分離してブロック化することによりブロック化データDbを得る。
【0037】
このデータ処理装置は、更に、同数データ抽出部133と、レート変換部134と、NRRO算出部135とを備え、同数データ抽出部133には、上記の周期分離部112から出力されるブロック化データDbが入力される。
【0038】
周期分離部112において採取データDaが回転周期毎に分離されると、回転体10の1回転毎のサンプリング点数が、ブロック化データDbを構成する各ブロックデータのデータ数として得られる。回転体10を駆動するモータに回転ムラが発生すると、この1回転毎のサンプリング数にバラツキが生じる。例えば、回転周期毎にブロック化された採取データとして、図13(a)に示すようなデータブロックDb1,Db2,Db3,Db4,Db5,Db6,……からなるブロック化データDbが得られる。ここで1周期毎のサンプリング点数に相当するこれらデータブロックのデータ数は、それぞれ、1800,1801,1800,1800,1799,1800,……というようにばらついており、1800が最も出現頻度の高いデータ数となっている。
【0039】
同数データ抽出部133は、ブロック化データDbを構成する各ブロックデータのデータ数のうち最も出現頻度の高いデータ数(以下「最高頻度データ数」という)を求め、ブロック化データDbからデータ数が最高頻度データ数に等しいデータブロックのみを抽出し、抽出されたデータブロックからなるデータブロック群を抽出ブロック化データDeとして出力する。例えば、図13(a)に示すようなデータブロックDb1,Db2,Db3,Db4,Db5,Db6,……からなるブロック化データDbより、図13(b)に示すようなデータブロックDe1,De2,De3,De4,De5,De6,……を抽出し、抽出されたデータブロック群を抽出ブロック化データDeとして出力する。なお、同数データ抽出部133が抽出するデータブロックは、同一データ数のデータブロックであれば最高頻度データ数のデータブロックでなくてもよいが、採取データを有効に利用するためには、最高頻度データ数のデータブロックを抽出するのが好ましい。
【0040】
レート変換部134は、上記の抽出ブロック化データDeに対してレート変換を施すことにより、各データブロックのデータ数を2のべき乗とし、データ数が全て2のべき乗であるデータブロックからなるブロック化データDfを出力する。
【0041】
NRRO算出部135は、上記レート変換後のブロック化データDfを用いてNRRO値を算出する。このとき、ブロック化データDfを構成する各データブロックのデータ数は2のべき乗であり、FFTの適用が容易であるので、ブロック化データDfに対してFFTを施すことにより得られるスペクトルデータに基づいてNRROを算出することができる。また、これに代えて、第2の実施形態における回転ムラ成分除去処理部124における処理(図9、図11参照)を利用してNRRO値を算出してもよい。この場合、レート変換部134はなくてもよく、図14に示すように、DCカット部111と周期分離部112と同数データ抽出部133と回転ムラ成分除去処理部144とNRRO算出部145とからなる構成の装置でNRRO値を算出するようにしてよい。
【0042】
上記のような本実施形態によれば、回転周期毎にブロック化されたブロック化データDbが得られ、そのブロック化データDbからデータ数が最高頻度データ数に等しいデータブロックのみを抽出し、抽出されたデータブロックからなる抽出ブロック化データDeを用いてNRRO値が算出される。ここで、NRROの有無は1周期内のサンプリング点数には影響を与えないので、上記のようにしてサンプリング点数(データ数)が同じデータブロックを抽出することにより、採取データとしてのブロック化データDbに含まれる回転ムラ成分が除去されることになる。このようにして回転精度測定において回転ムラの影響が除去されるので、NRRO値を正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る回転精度測定装置の構成を模式的に示す構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る回転精度測定装置による回転体の測定を示す平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る回転精度測定装置におけるデータ処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態における採取データDaを説明するための信号波形図である。
【図5】第1の実施形態において採取データDaに対する周期分離処理によって得られるブロック化データDbを説明するための信号波形図である。
【図6】第1の実施形態におけるブロック化データDbの構成を示す図である。
【図7】第1の実施形態におけるレート変換後のブロック化データDcの構成を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る回転精度測定装置におけるデータ処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施形態における回転ムラ成分除去処理の基本原理を説明するための信号波形図である。
【図10】第2の実施形態における回転ムラ成分除去処理を説明するための信号波形図である。
【図11】第2の実施形態における回転ムラ成分除去処理に関連するデータを示す図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る回転精度測定装置におけるデータ処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図13】第3の実施形態における同数データ抽出処理を説明するためのデータ構成図である。
【図14】本発明の変形例に係る回転精度測定装置におけるデータ処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 …回転体
11 …回転軸
20,21…変位センサ
30 …データ収集処理装置
31 …CPU
32 …入力インターフェース部
33 …メモリ
111 …DCカット部
112 …周期分離部
113 …レート変換部
114 …信号処理部
124 …回転ムラ成分除去処理部
133 …同数データ抽出部
Sd …検出信号
Sip …インデックスパルス
Da …採取データ
Db …ブロック化データ
Dc …レート変換後のブロック化データ
Dd …回転精度指標データ
De …抽出ブロック化データ

Claims (2)

  1. 所定軸を中心として回転する回転体の回転精度を測定する回転精度測定装置であって、
    前記回転体の半径方向の変位または前記所定軸方向の変位を示す標本化値からなる時系列データを取得するデータ取得手段と、
    前記時系列データを前記回転体の回転周期毎に分離してブロック化することにより、複数のデータブロックからなるブロック化データを生成する周期分離手段と、
    前記複数のデータブロックのそれぞれを構成する標本化値の数であるデータ数が同一となるように、前記ブロック化データに対してレート変換を行う変換手段と、
    前記レート変換後のブロック化データに基づき、前記回転精度を示す指標を算出する算出手段と
    を備え、
    前記算出手段は、前記レート変換後のブロック化データから、1回転周期内の同一相対位置毎に、前記変位の標本化値についての最大値max、平均値avrおよび最小値minを算出し、かつ|max−avr|−|avr−min|を算出する手段を含むことを特徴とする、回転精度測定装置。
  2. 所定軸を中心として回転する回転体の回転精度を測定する回転精度測定装置であって、
    前記回転体の半径方向の変位または前記所定軸方向の変位を示す標本化値からなる時系列データを取得するデータ取得手段と、
    前記時系列データを前記回転体の回転周期毎に分離してブロック化することにより、複数のデータブロックからなるブロック化データを生成する周期分離手段と、
    前記複数のデータブロックのそれぞれを構成する標本化値の数であるデータ数のうち最も出現頻度の高いデータ数を有するデータブロックのみを、前記ブロック化データから抽出する抽出手段と、
    前記抽出手段によって抽出されたデータブロックからなるブロック化データに基づき、前記回転精度を示す指標を算出する算出手段と
    を備えることを特徴とする回転精度測定装置。
JP2002018402A 2002-01-28 2002-01-28 回転精度測定装置 Expired - Fee Related JP3765480B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002018402A JP3765480B2 (ja) 2002-01-28 2002-01-28 回転精度測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002018402A JP3765480B2 (ja) 2002-01-28 2002-01-28 回転精度測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003214988A JP2003214988A (ja) 2003-07-30
JP3765480B2 true JP3765480B2 (ja) 2006-04-12

Family

ID=27653767

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002018402A Expired - Fee Related JP3765480B2 (ja) 2002-01-28 2002-01-28 回転精度測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3765480B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4667186B2 (ja) * 2005-09-26 2011-04-06 学校法人慶應義塾 回転精度測定方法
JP5330008B2 (ja) * 2009-02-06 2013-10-30 オークマ株式会社 回転精度の評価方法および評価装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003214988A (ja) 2003-07-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Shi et al. Bearing fault diagnosis under variable rotational speed via the joint application of windowed fractal dimension transform and generalized demodulation: A method free from prefiltering and resampling
Kumar et al. Optimization of VMD using kernel-based mutual information for the extraction of weak features to detect bearing defects
US7509862B2 (en) System and method for providing vibration detection in turbomachinery
CN110763462B (zh) 一种基于同步压缩算子的时变振动信号故障诊断方法
CN110987438B (zh) 水轮发电机变转速过程周期性振动冲击信号检测的方法
WO1996005486A1 (en) Method and apparatus for determining resonance information
EP2761315B1 (en) A method of determining stationary signals for the diagnostics of an electromechanical system
JPH1026580A (ja) 変速型回転機械設備の診断方法および装置
Zhou et al. Estimation of the instantaneous rotational frequency of gear transmission with large speed variations using short-time angular resampling and ridge-enhancing techniques
JP5529666B2 (ja) 位置検出装置
US9212946B2 (en) Campbell diagram displays and methods and systems for implementing same
JP3765480B2 (ja) 回転精度測定装置
CN110219816A (zh) 用于风机故障诊断的方法和系统
JP3824546B2 (ja) 回転精度測定装置
JP3997935B2 (ja) 回転精度測定方法及び回転精度測定装置
JP3997936B2 (ja) 回転精度測定方法及び回転精度測定装置
JP4096768B2 (ja) 回転精度測定方法及び回転精度測定装置
Zhang et al. Research on the identification of asynchronous vibration parameters of rotating blades based on blade tip timing vibration measurement theory
JP2012184957A (ja) エンコーダ解析装置
JP4096766B2 (ja) 回転精度測定方法及び回転精度測定装置
CN108572074B (zh) 轴承故障的检测方法及装置、风力发电机组
JP4222831B2 (ja) 周期的/非周期的シグナル成分の分離
JP2020118496A (ja) 振動分析装置、振動分析方法及びプログラム
JPH07253493A (ja) 原子炉内蔵型再循環ポンプの軸振動監視装置
JP3438376B2 (ja) 周期信号処理方法および装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040609

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050616

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050805

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051108

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100203

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100203

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110203

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120203

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120203

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130203

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130203

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140203

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees