JP3765192B2 - 方向性結合式バスシステム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は情報処理装置においてマルチプロセッサやメモリ等の素子間(例えばCMOS等により構成されたデジタル回路間又はその機能ブロック間)での信号伝送のための技術に関し、特に、複数の素子が同一の伝送線に接続さデータ転送を行うバス伝送の高速化技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マルチプロセッサ装置のように多数のノード間を高速にデータを転送するためのバス方式として特願平5−239807の非接触バス配線があった。これの基本方式を図3に示す。これは2ノード間のデータ転送をクロストークすなわち方向性結合器を用いて行っていた。すなわちバスマスタ10−1とスレーブ10−2〜10−8間の転送を2線間すなわち配線1−1と1−2〜1−8間のクロストークを用いて転送する技術である。ただし、これはバスマスタ10−1とスレーブ10−2〜10−8間の転送には適しているが、スレーブ10−2〜10−8間の転送には向いていなかった。
【0003】
これを解決する方法として、特願平8−188366の間隙結合式バスシステムがある。これの基本方式を図4に示す。ノード11〜16間の転送を配線21〜26の結合した方向性結合部(図中1−4〜5−6)でのクロストーク信号を用いて転送し、全ノード11〜16間転送を実現した技術である。
【0004】
また、プリント基板において回路学会誌”ビルドアップ多層配線板技術の現状と課題”、1996Vol.11No.7p463〜468に記載されているように、高密度化のためにパッドオンビア型のVIAホールを低価格で構成することができるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の特願平8-188366の間隙結合式バスシステムは1ビットのスレーブ間転送を格子状に配線し、ノード間がすべての組合せで結合するような配線方式(以下多重結合配線網)することより実現した技術であった。しかし多重結合配線網方式では多ビットのデータを転送するには不向きであった。なぜならば、1ビットの多重結合配線網を実現するのに2層の上下に配置する信号層を用いてプリント基板の水平方向に結合網を構成していたため、1ビットの配線が占有する配線幅が広くなっていたためである。すなわち、1ビットの転送を多層プリント基板を用いて実現する場合1ビット当たり信号層2層、シールド層2層の計4層を必要とし、例えば1バイトのデータすなわち8ビットを同時転送する場合少なくとも信号層16層(=2層*8ビット)、ビット間の干渉を低減するためのシールド層を7層、計23層必要となる。現在のパソコンでもデータ幅は8バイトあり、サーバ機などでは16バイトある物もある。これらのサーバをこの技術を用いて実現する場合、8バイトでは184層(=8バイト*23層)以上、16バイトでは368層(=16バイト*23層)以上必要となる。しかしながら現在のプリント基板技術では100層以上を低価格で提供することは難しく特に、ガラスエポキシ系やアラミド系の低価格プリント基板で構成することは不可能といえる。
【0006】
本発明の第1の目的は方向性結合(クロストーク)を用いた多ビットのノード間転送を実現し、データ転送を高速に行うことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
方向性結合を用いて多ビットのデータ転送するため、多層のプリント基板を用いて1ビットの多重結合配線網を垂直方向に構成することで1ビット当たりの基板の配線方向に対する占有幅を狭くして多ビット構成を実現することができる。
【0008】
なお、本発明は以下の通り表現することも可能である。
【0009】
(構成1)
ディジタルデータ転送用のインタフェース回路を有するモジュールが複数接続されるバスであって、前記複数のモジュールが接続されるプリント配線基板において、前記モジュールからの引出信号線が終端抵抗により整合終端され、第1の前記モジュールから前記終端抵抗までの引出し配線において前記第2以降のモジュールからの引出し配線の一部とが30mm程度の長さを持つ方向性結合器をそれぞれ構成し、前記方向性結合器が非貫通型のビアホールによって接続されることでモジュール間でデータの送受信を行う方向結合式バスシステム。
【0010】
(構成2)
構成1において、前記方向性結合器が、グランド層に挟まれた同一信号層内の隣接する2線路により構成され、前記方向性結合器が非貫通型のビアホールによって接続される方向結合式バスシステム。
【0011】
(構成3)
構成1において、前記モジュールからのディジタル信号を差動信号とし、前記一方の機能要素から前記他方の機能要素への信号の伝達を差動型の方向性結合器を用いて行うバスシステム。
【0012】
(構成4)
構成3に於いて、差動型の方向性結合器を、プリント配線板の電源層に挟まれた2層の信号層で構成し、前記信号層の1層に前記機能素子からの差動信号(ドライブ信号)線を平行に並ぶように配置し、前記信号層の他方の層に他方の前記機能素子への差動信号(レシーブ信号)線を前記差動ドライブ信号線に上下同じ位置になるように配置したことで、差動型の方向性結合器を構成したプリント基板。
【0013】
(構成5)
構成3に於いて、差動の方向性結合器を、プリント配線板の電源層に挟まれた1層の信号層で構成し、前記信号層に前記機能素子からの差動信号(ドライブ信号)線を平行に並ぶように配置し、前記信号層の他方の層に他方の前記機能素子への差動信号(レシーブ信号)線を前記差動ドライブ信号線の両側に配置したことで、差動の方向性結合器を構成したプリント基板。
【0014】
(構成6)
構成4或いは5のプリント配線板を用い、2つ以上のn個の機能素子を前記プリント基板に搭載し、差動の方向性結合器を構成するための2層からなる1つペアの或いは1層の信号層をm個設け、ここで、
m=n−1
となるように前記プリント基板に信号・グランド層のペアを設け、
更に前記n個のモジュール間をデータ転送するためのP個の方向性結合器を、
P=n・(n−1)/2
となるように設け、前記P個の方向性結合器を前記プリント基板の厚み方向に交互に配置し、前記モジュールからの配線が他のモジュール毎に1つの前記P個の方向性結合器を構成するように配線を行ったプリント基板。
【0015】
(構成7)
構成1に於いて、レシーバをヒステリシス付の差動コンパレータで構成した方向性結合式バスシステム。
【0016】
(構成8)
構成7に於いて、データとクロック信号のレシーバをヒステリシス付の差動コンパレータで構成し、クロック信号を90度位相シフトした信号でラッチするソースクロック同期式方向性結合バスシステム。
【0017】
(構成9)
構成1に於いて、レシーバをオフセット付の差動コンパレータを2つで構成し、片方を正のオフセット他方を負のオフセットを付けた方向性結合式バスシステム。
【0018】
(構成10)
構成9に於いて、データとクロック信号のレシーバをヒステリシス付の差動コンパレータで構成し、クロック信号を90度位相シフトした信号でラッチする方向性結合式バスシステム。
【0019】
(構成11)
構成10に於いて、前記レシーバのデータ信号出力差動信号を、前記レシーバのクロック信号出力差動信号を用いてラッチし、正論理信号をup信号、負論旨信号をdown信号とし、前記up信号・down信号により、以下のように
up信号入力 L→H
up信号入力 H→error
down信号入力 L→error
up信号入力 H→L
と、状態遷移し、状態に応じたデータの出力とエラーの出力とする方向性結合式バスシステム用復元回路。
【0020】
(構成12)
構成11の復元回路を用いた方向性結合式バスシステム。
【0021】
(構成13)
構成6においてP個の方向性結合器を連続して配置したことで高密度化したプリント配線基板を有するバスシステム。
【0022】
【発明の実施の形態】
第1の実施例を図1を用いて説明する。これは多層プリント基板を用いて多重結合配線網を垂直方向(断面方向)に構成し、バス幅の広いバス構成した実施例である。
【0023】
図1はプリント基板の断面と方向性結合器の位置関係を模式的に示した図である。
【0024】
LSI1〜6の四角はデータ転送を行うLSIである。このLSI1〜6にはデータ転送用のドライバレシーバを内蔵している。
【0025】
a1〜a6の斜めの線は、それぞれLSI1〜6から引き出される配線の流れを模式的に表している。理解を助けるためa1は波線で、a2は1点鎖線、a3は実線、a4は2点鎖線、a5は細かい点線、a6は波線で示しが、提供する機能は同じである。
【0026】
配線a1〜a6はそれぞれLSI1〜6から引き出される終端抵抗Rtt1〜6でそれぞれ整合終端されている。
【0027】
薄い点線のブロックは、方向性結合器を構成する配線層と、これをサンドイッチ型に囲むグランドプレーンとからなるプリント基板の断面構造を模式的に示した例である。 薄く塗りつぶしたブロックbは方向性結合器を含む事を示しており、塗りつぶしていないブロックcは方向性結合器を含まないことを示している。
【0028】
塗りつぶしたブロックb内の方向性結合器は配線の流れa1〜a6の中の2つの交差で示されている。すなわち、配線の流れa1はまず配線の流れa4と交差し、この交差したブロックで方向性結合器を構成し、ここによりLSI1とLSI4間でデータ転送するための信号を生成することができる。その後、LSI1からの配線a1は、図中右下へと進みLSI5からの配線a5と交差する。この部分により同様にLSI1とLSI5間のデータ転送のための信号を生成を行う。この様にして配線a1は次々と各LSIからの信号と方向性結合を構成しそれぞれの結合器でデータ転送に必要な信号を生成する。
【0029】
特に配線a1とa3の結合ブロック部において、この配線a3は配線a4、a5、a6と交差した後、方向性結合器を持たないブロックで方向を転じ右上へと進んできた配線である。この様にして最終的に配線a1は更に右下に進み終端抵抗Rtt1で終端される。
【0030】
このように、配線a1〜a4は右上或いは右下へと進み、互いが交差する部分で、方向性結合器を構成し、かつ、最上部、最下部において、向きを変え、自分以外の全てのLSIからの配線と交差した後、終端部Rtt1〜Rtt6へ配線される。
【0031】
LSI1〜6間で全てのLSI間のデータを転送するためには交差点はそれぞれの組合せが1つあれば良い。すなわち6つの要素から2つを取り出す組合せでありこの場合15個の組合せがあり、図1ではLSIが6個の場合の全ての組合せである15つの交差ブロックbを含んでいる。
【0032】
同様にLSIがそれ以上でもそれ以下の個数でも、同じ様な配線の形態を持つことで、全てのLSIからの配線に対し方向性結合器を構成する組合せの交差ブロックbを有し、結果として全てのLSI間でデータ転送のための信号生成を行うことができる。n個のLSIを含むシステムの場合、含むべき交差の数(P)は以下の式で表される。
【0033】
交差ブロックbの数(P)=n・(n−1)/2 …(1)
次に図2を用いて交差ブロックbの構造を示す。
【0034】
図1においてLSI1とLSI4の間のデータ転送のための信号を生成するブロック、すなわち配線a1と配線4の交差ブロックを例に挙げる。
【0035】
図2(A)は図1で用いた摸式的なブロック図であり、図2(B)はブロックを構成する実際のプリント基板の構造の俯瞰図である。
【0036】
図2(A)中の配線の流れa1,a4は、図2(B)中で配線d1と配線d4であり、この2つの配線は平行な線路により長さLの方向性結合器を構成している。
【0037】
p1,p2は給電のためのプレーン層の一部であり、配線d1,d4がストリップラインを構成するように機能する。方向性結合線路d1,d4の両端は円柱で示したVIAホールにより他の信号層と接続される。
【0038】
次にブロック間の配線の形態を図5、図6に示す。図5では、給電プレーンを省略して、配線の接続のみ示した。本図も俯瞰図である。図6は図5の断面図で一部の信号のみ記している。sig1〜sig6はプリント基板の信号層である。点線のgndは上下間の方向性結合器間の干渉を低減するためのグランド層であり、図では5層ある。
【0039】
図5の中には6種の配線の一部が、a1〜a6で記されている。
【0040】
方向性結合器を構成する2本の線路は同一信号層内に隣接してあり、図5、図6では手前の配線a4,a5,a6は右上の方向に、図5の奥の配線a1,a2,a3は右下の方向に進むように構成されている。図6では斜線で示したa2の信号が右下の方向に接続されている、但し、上端まで進んだ後は、方向を転じる。例えば図5の配線a4の右端は最上層から第2の信号層(sig2)に配線されている。このとき配線は手前側から奥側に移っている。
【0041】
また、方向性結合器同士はビアホールにより接続されている。但し、上下の信号層の配線とは方向性結合器の片方層の信号しか接続しない。このため、図5、図6の様に上下の層にある配線同士の接続は貫通型のVIAでなく、パッドオンビア型を用いるのが効率的であり、このためにビルトアップ製法のプリント基板がこの構成には適している。図5では示していないが、図6のプレーン(gnd)層は当然結合器同士を接続するための、ビアホールが通る穴が空いている。
【0042】
このようにしてバス幅が1ビットの場合、多層の方向性結合器を多数含んだ基板を用いることでノード間のデータ転送を行う事ができる。
【0043】
更に、この実施例では、差動の1ビットの信号が占める面積は高々2本の配線が占める面積程度であるから、多ビットのバスに於いても図5のような配線を同様な構成で横に並べていけば簡単に構成することができる。これは従来技術と比べて方向性結合器を多層に並べることができることによる。すなわち、このように多層化した方向性結合器を用いることで、多ビットのバスであっても、相互のLSI間のデータ転送を高速にかつ従来のプリント基板を用いて実現することができ、高性能なシステムと低価格なシステムを両立することができる。
【0044】
(実施例2)
次に第2の実施例として、交差ブロックbの方向結合器を差動型により構成した方式を示す。
【0045】
まず、図7に差動型の信号を用いた場合のデータ転送用の回路を示す。この図においては2つLSI1とLSI4間のデータ転送を行うための配線を示しており、複数のLSI間のデータ転送用の配線は図4に示したシングルエンド型の多重結合網と同じ構成であり、1ビットの信号の本数が2本になっていることのみ異なる。
【0046】
図7において、LSI1とLSI4は差動の信号を送受信する。LSI1から引き出されている信号を221p221n、LSI4から引き出されている信号を224p,224nで示している。それぞれの配線221p,221n,224p、224nは終端抵抗Rttにより整合終端されている。そして、それら配線は図8、図9で示すように差動信号の方向性結合器を構成している。ここでは、これら差動型方向性結合器を取り囲むように設けられたグランドパターンは示していない。
【0047】
図8は信号層を2層用いて構成した差動信号用の方向性結合器であり、図9は信号層1層を用いた差動方向性結合器である。ここで図8、図9は図2と同じく信号配置の俯瞰図であり、円筒はビアホールを示している。
【0048】
図8の信号配線d1〜d4において、同じ層にある配線d1,d3の組と配線d2、d4の組がそれぞれ同一LSIからの差動信号であり、例えば図7との対応は信号221pがd2、221nがd4、224pがd1、224nがd3という具合である。図9では外側の配線d1,d3の組と内側の配線d2、d4の組がそれぞれ同一LSIからの差動信号であり、例えば図7との対応は信号221pがd2、221nがd4、224pがd1、224nがd3という具合である。
【0049】
次にこの差動方向性結合器の動作特性についてシミュレーションの結果を示す。
【0050】
図10に図8に対応する差動型方向性結合器の断面構造を示す。
【0051】
信号である矩形パルス波が差動信号224p,224nを伝搬する場合、信号線路221p,221n間に誘導される起電力はその配線の寸法と構造、及び伝搬信号波形から決まり、以下のような条件の場合、誘起される信号は図12のようになる。
【0052】
すなわち図10の配線構造は
配線幅・・・・・・・100μm
配線厚み・・・・・・30μm
横方向配線間隔・・・・200μm
縦方向配線間隔・・・・150μm
planeからの最短距離 150μm
平行線路長・・・・・・30mm
この時の配線224p,224nの実効特性インピーダンスは電磁界解析の結果53.87-j1.64 Ωであった。
【0053】
シミュレーション回路は図11であり、各線路を50Ωで終端している。
【0054】
図11、図12中、差動型方向性結合器の各ノードを11、21、31、41、12、22、32、42で表した。図11でノード11と12を結ぶ配線が図10では224pであり、ノード21と22を接続する配線が図10では224nである。同様にノード31と32間の配線が221pであり、ノード41と42間の配線が221nである。
【0055】
図12から分かるように、データ転送元の差動信号224p,224n間の端子11、21間の信号振幅が1.2V(左側の目盛り)のとき、221p,221n間の端子31、41間に誘起される信号の振幅は±90mV(右側の目盛り)であり、全振幅は180mVあり、差動型方向性結合器において生成される信号の弁別には充分な振幅を持っていることが分かる。
【0056】
また、パルス幅は1nsであり、すなわち、1GT/s(Giga Transfer Per Second)の転送を可能とすることが分かる。
【0057】
また、逆の向きにデータを転送することも同じ原理が成り立ち可能である。すなわち、差動信号線221p,221nに矩形波のデータを伝搬させ、224p,224n間に図12に示した信号と同じ波形の信号を生成することができ、結果として逆向きのデータ転送が可能である。
【0058】
このように、プリント基板構成をプレーン間に信号層2層を用いて差動型の方向性結合器を構成することで、LSI間データ転送に必要な信号を生成することが可能である。
【0059】
また、図9のような差動型方向性結合器を用いても信号を生成できる。
【0060】
図13は図9に対応する多層プリント基板内に設けられた給電プレーン間に1層の配線層を設けた方向性結合器の断面図である。
【0061】
ここで、差動の駆動信号は両側の221p,221nを伝搬し、その間に設けられた2本の線路224p,224n間に信号が誘起される。図14回路を用いてシミュレーションした結果を図15に示す。
【0062】
ここで、配線の寸法は、以下の通りである。
【0063】
配線幅・・・・・・・・100μm
配線厚み・・・・・・・30μm
横方向配線間隔・・・・200μm
planeからの最短距離・300μm
平行線路長・・・・・・30mm
図15と図12を比較しても分かるように誘起される信号の振幅は同じ程度の±90mVある。
【0064】
次に、図13の中2本線路である信号224p,224nをドライブした場合の誘導波形を図16に示す。この場合の配線の形態・寸法は図13と同じである。
【0065】
ドライブする線路はこの場合、224p,224nであり、線路221p,221n間の端子11、21間に誘導される信号は±90mV程度あることが分かる。これより、内側をドライブした場合も外側をドライブした場合も、差動型方向性結合器に誘導される誘導電圧はあまり変わらないことが分かる。そのため、図13で示した、差動型方向性結合器を信号層1層で構成した場合でも、図10で示した信号層2層で構成した場合と同様な効果が得られる。
【0066】
本実施例は差動信号を用いるのでコモンモードノイズに強いという差動信号の一般的な効果のほかに、図7でレシーバに入力される信号が実施例1のシングルエンド型の配線に比べて2倍ありかつレシーバの端子間の入力信号が大きいスルーレートを持っているのでレシーバがより速く動作できる。このため、実施例1に比べてより高速に動作することができる。
【0067】
更に、図13の構成の場合、信号層が1層で済むという効果もある。これは基板を製作する上で価格を抑えられる効果がある。
【0068】
以上の述べたように図1の交差ブロックbを図8、図9の様な差動型方向性結合器により構成することで、1ビットのノード間の転送を可能とすることができる
更に、この実施例では、差動の1ビットの信号が占める面積は高々4本の配線が占める面積程度であり、多ビットのバスに於いても図5のような配線を同様な構成で横に並べていけば簡単に構成することができる。すなわち、図5では1ビット2本の方向性結合器を用いてデータ転送信号を生成したが、本実施例では1ビット4本の方向性結合器を用いてコモンモードノイズに強いデータ転送信号を生成できる。
【0069】
このように多層化した差動型方向性結合器を用いることで、多ビットのバスであっても、相互のLSI間のデータ転送を高速にかつ従来のプリント基板を用いて実現することができ、高性能なシステムと低価格なシステムを両立することができる。
【0070】
(実施例3)
次に第3の実施例として図17を用いて多層基板の実装効率を高めた実施例を示す。
【0071】
第1の実施例である図1は方向性結合器を単純に右手の方向にのばした実施例であった。そのため、方向性結合器を有する塗りつぶした交差ブロックbとこれを有しないブロックcとが交互に並んでおり、配線効率が悪い。これを図17のように配線を折り返すこと(鏡映反転)で実装効率を増やすことができる。
【0072】
図17で例えばLSI1からの信号a1は、a4と交差するブロックを右下に進行したのち、折り返して左下に進む。この時点線のa5と交差する。更に左下に進行し、波線のa6と交差する。更に実線のa3と交差し、最後に1点鎖線のa2と交差し、Rtt1で終端される。これで全てのLSIとバックワードの方向を保ったまま交差(方向性結合)する事が分かる。同様に、他の配線も同じパターンを有している。
【0073】
また、各線路の最終結合部からの終端抵抗までの配線は、図17でハッチングしていない領域すなわち、他の線路と結合しない領域にあれば何処を通っても良い。例えば、Rtt4は、LSI4からの線路の終端抵抗であるが、LSI6からの線路a6と方向性結合したのを最後に基板表面まで引き出される。この場合の配線は他の線路と結合しないように、かつ一定のインピーダンスを保つ条件で引き出せればよい。
【0074】
このように折り返して配線することで層数を増やすことなく実装効率を高めることができ、かつ、方向性結合器を構成するために必要な基板のサイズを短くすることができるという効果がある。これはすなわち、基板の価格を抑え、かつ、基板実装に係る制約を緩和し設計の自由度を向上させる効果がある。これにより、システムの筐体のサイズを抑えることができる。これにより、高密度実装が可能となり、システムが占める筐体の設置面積も削減できるという効果がある。
【0075】
これは方向性結合をシングルエンド型ばかりでなく差動型であっても同じ効果を得られる。
【0076】
また、図18にセンタープレーン型の実装構造を示す。1は実施例1あるいは実施例3の方向性結合器を(数1)で示される個数搭載するプリント基板であり、基板1上にLSI1〜LSI6をそれぞれ搭載する2−1〜2−6のドータ基板がコネクタを介して接続されている。LSI1からプリント基板1まではドータ基板2−1の配線により引き出され、コネクタを介して接続されている。
【0077】
このように構成することで、方向性結合式バスに接続するドータ基板を、そのドータ基板が提供するデータ処理機能をシステムに簡単に追加することができる。また、このバスは互いの配線がDC的に接続されていないため活線挿抜が可能である。その特徴によりシステムの可用性を高めることができる。
【0078】
(実施例4)
次にヒステリシスを有する差動のレシーバを第2の実施例に応用した場合の実施例を図19を用いて説明する。
【0079】
図19(a)の5は、差動の入力信号vin_n,vin_pに対し、出力電圧vout図19(b)の様に変化することを特徴とするヒステリシス型差動入力回路であり、更に、第2の実施例で示した差動型方向性結合器により接続された差動線路に接続されている。 このため、入力信号は図12で菱形で示された信号v(41),或いは×型で示された信号v(31)のような信号が入力される。 また、同様に図15で示した三角で示された信号v(41)や×型のv(31)が入力される。
【0080】
そのレシーバ5の動作を図19(b)を用いて説明する。
【0081】
vinはレシーバ5の差動入力電圧、すなわち、vin−pとvin_nとの電圧差である。voutはレシーバ5の出力電圧である。図中、入力電圧差vinが立上りと立ち下がりでスレッショルド電圧が異なり、立上りのスレッショルド電圧をVhys_p、立ち下がりスレッショルド電圧をVhys_nで表している。
【0082】
入力電圧vinがVhys_n以下の場合、voutは”L”である。この状態から、入力電圧vinが大きくなっていく場合、voutは入力電圧vinがVhys_pを超えた時点で、”H”に切り替わる。 その後、今度は入力が下がった場合、入力電圧vinがVhys_nを下回った時点でvoutは”L”になる。 このようにして、レシーバ5の出力電圧voutにの状態により、入力スレッショルド電圧Vhys_n,Vhys_pが異なるように動作する。
このため、レシーバ5に図12或いは図15のような差動波形の正立と倒立のパルスが交互に入力される場合、レシーバ5の出力voutは方向性結合器のドライブ波形を復元することができる。
【0083】
ここでVhys_p,Vhys_nの電圧は、差動の方向性結合器で発生する電圧差(vin)のピーク電圧に対してノイズ比率が10%程度の場合、マージンを5%見込んでそれぞれ15%−85%程度あればよい。
【0084】
図12の場合はvinは±180mV程度あるので、Vhys_pは13.5mVから76.5mV、Vhys_nは−13.5mVから76.5mV程度あればよい。これは当然線路が終端されている終端電圧Vttからの差である。
【0085】
このレシーバ5の入力回路の初段の一般的な回路例を図19(c)に示す。これは、例えば"Phillips E. Allen, Douglas R. Holberg,CMOS Analog Circuit Design,1987"の352頁に記載された回路例と同様な構成であり、このような回路を応用することでヒステリシス内蔵の差動回路を簡単に構成することができる。また、データ転送行われていない状態すなわちアイドルの状態において信号がバス上を伝搬していないので電位は終端電圧となり、差動型のレシーバの入力はp側n側とも同電位となるが、この場合でもヒステリシスの機能をレシーバ5が持つので、発信などせず、安定動作が可能である。
【0086】
次にこれを用いたデータの転送方法を図20を用いて説明する。これはデータ転送方式が高速動作に適したソースクロック同期方式の場合である。ここでソースクロック同期方式とはデータと同じ配線形態を持つストローブ信号(ソースクロック)をバスに設け、データを送信するLSIからデータと殆ど同じタイミングでストローブ信号を出し、信号受信LSIでこの送信されたストローブによりデータをラッチする方式である。
【0087】
ソースクロック同期方式で転送されたデータとソースクロックが、それぞれレシーバ5、5’に到達する。レシーバ5と5’はヒステリシス内蔵の差動回路であり、それぞれデータとクロックを復元する。復元されたクロックが差動入力のフリップフロップ7(以下FF)でラッチする。ラッチするクロックは、位相遅延回路6でπ/2(90度)ずらしてFF7に入力される。ここで差動入力のFF7のラッチ用クロック入力端子が”+”と”−”の2つあるが、これはクロックの立上りと、立ち下がりにでデータをラッチするための端子であり、データの転送速度とクロックの転送速度が同じ場合に有効である。
【0088】
また、クロックの位相遅延回路6はクロック(Clock)とデータ(vin)の入力信号の位相がレシーバ5、5’の入力端子で同時刻の場合、クロック(Clock)を用いてデータをラッチするためデータのセットアップ時間が最大になるようにオフセットを設けている。
【0089】
また、位相遅延回路6に差動型を用いるのは、レシーバ5’ のVhys_p,Vhys_nや、レシーバ5’の出力段の”L”,”H”のドライバビリティのバラツキのため、クロックデュティー比が異なるため、これを補正するためである。差動であればp,n信号で立ち上がり、立ち下がりや位相が若干ずれても常にセンターでデータを受け渡すことができるためである。
【0090】
図21に信号遅延回路6の回路例を示す。この図では簡単のため差動信号を1つの回路で示しているが、全ての信号で差動となっている。
【0091】
位相検出器6−1は入力されたクロック(Clock)とフィードバックされたクロック信号との位相比較を行う。 レジスタ6−2は遅延量を制御するためのデータが格納されている。このデータを元にクロックの位相を変化させ90度ずれた信号6−3を出力する。 これの制御の方法は遅延回路を構成するリング6−4の遅延量がクロック(Clock)の周期と同じになるようにリング6−4の遅延量を経路を選択することで加減し、そのClockの周期にマッチしたリング6−4上の経路からClockの周期の半分の位置にスイッチを設けこれを90度ずれた出力とする。これらのリング6ー4の経路選択情報と出力6−3へのスイッチ選択の情報をレジスタ6−2は保持している。
【0092】
このレジスタ6−2の値は、バスのデータ転送を行う前に決定されており、システムスタートアップ時と、温度が均一と見なせる時間間隔で調整する。
【0093】
レジスタ6ー2の設定の方法は、位相比較器6ー1が、入力クロック(Clock)とリング6−4を通過した周期が同じになるようにリング6ー4の経路をレジスタ6ー2に書き込む値により調整する。まず、一番短い経路となるようにここでは記載していないコントローラがレジスタ6ー2を設定し位相比較する。その結果位相ずれがあると位相比較器6ー1はここでは示していない位相遅延回路6を制御する回路へフィードバックし、レジスタ6ー2をリング6ー4の経路を1段長くなるように設定し、再び同じ比較を行う。こうして、徐々にClockの周期とリング6ー4の周期とが近くなり、位相比較器6ー1の出力が小さくなっていく。しかしこれを続けていくと、今度はリング6ー4の遅延の方が大きくなるため位相比較器6ー1の出力は増加に転ずる。
【0094】
この増加に転ずるところが位相が一番clockに近いところであることが分かる。
【0095】
このようにして、Clockとリング6ー4の遅延時間が同じになるようにレジスタ6ー2を設定する。これにより、結果として90度の位相が補償される。そしてかつ、ソース同期方式であっても、Clockとデータの位相を絶えず90度に保つことができデータ転送を確実なものにできる。
【0096】
この、位相の補正はリセット後だけでなく、定時間毎に繰り返すのがよい。これにより、温度変化による遅延変動に対応できる。また、差動信号を用いることで、p,n信号で立ち上がり、立ち下がりや位相が若干ずれ、レシーバ5’ のVhys_p,Vhys_nや、レシーバ5’の出力段の”L”,”H”のドライバビリティのバラツキなどによる、クロックデュティー比の変動を補正することができ、常に位相のセンターでデータを受け渡すことができる。
【0097】
次に別のレシーバの実施例を図22を用いて説明する。
【0098】
図22(a)は差動のコンパレータを2つ用いて1つのレシーバを構成したものである。入力電圧vin_p,vin_nされると、オフセット電圧vp1、vp2をもってコンパレータ5ー1、5ー2に入力される。この電圧、VP1,vp2は電池の記号で表したが、実際は、電池でなく、コンパレータの基準電圧にオフセットを持たせることを意味している。
【0099】
図22(b)は、このレシーバ5ー1、5ー2の入出力電圧の関係を示している。すなわち、r1はレシーバ5ー1の、r2はレシーバ5ー2の入出力電圧関係を示しており、レシーバ5ー1は”+”側の信号の振幅が”−”側の信号の振幅より、電圧vp1だけ大きくなった場合に、”H”をvout_pから出力する。反対に、レシーバ5ー2は”+”側の信号の振幅が”−”側の信号の振幅より、電圧vp1だけ小さくなった場合に、”L”をvout_nから出力するよう作用する。このため、レシーバ5ー1、5ー3は方向性結合器でドライブされた波形の立上りを検出し、レシーバ5ー2、5ー4は方向性結合器でドライブされた波形の立下がりを検出するように機能する。
【0100】
ここで、オフセット電圧vp1,vp2は、図19(c)のフィードバックトランジスタM10とM11のゲート幅を非対称にすることで実現できる。すなわち、M10の幅がM11より大きい場合、vin_pのフィードバックが大きくなり、ヒステリシスにオフセットが生じることになる。
【0101】
次にこのレシーバを用いたデータ復元回路を図23を用いて説明する。
【0102】
オフセット電圧付の差動コンパレータ5ー1〜5ー4は、それぞれ、方向性結合器により変調されたデータ(xdata)とクロック(xclock)差動の信号の正信号と負信号を入力する。このコンパレータ5ー1、5ー2で検出された信号はフリップフロップF1とF2に送られ、xclkがコンパレータ5ー3、5ー4により検出された時刻にラッチされる。これらのフリップ・フロップF1,F2の出力信号をup信号、down信号と名付け、復元回路(demodulator)D1により、データ(data)の復元とエラー(error)の検出が成される。
【0103】
ここで、xdataとxclkの位相関係は、同相であっても良いし90度xclkの方が遅くても良い。同相である場合、図21で示した位相シフタを用いて位相をずらせばよい。
【0104】
次に、図24を用いて、復元回路の機能を説明する。図24は入力信号up信号とdown信号により変化する状態遷移を示している。
【0105】
状態は3つあり、”H”,”L”,”error”である。”H”と”L”状態の時、それぞれのデータ(data)を出力する。
【0106】
図23のレシーバ5ー1は方向性結合器でドライブされた波形の立上りを検出するので、この信号の出力は、絶えず立上りを意味する。同様に図23のレシーバ5ー2は方向性結合器でドライブされた波形の立下がりを検出するので、この信号の出力は、絶えず立下がりを意味する。 このup信号とdown信号を2ビットで表し、up信号を上位ビットに割り当て場合、復元回路D1の状態が”L”の場合、”10”信号が入力されれば状態は”H”に遷移し、逆にD1が”H”の時、”01”信号が入力されればD1の状態は”L”に遷移する。 ただし、”H”状態から更に立上りは生じるのは原理上あり得ないので、”H”で”1x”が入力されると”error”状態に遷移し、error信号が出力される。同様にD1が”L”の状態の場合”x1”が入力されると、”error”状態に遷移し、error信号が出力される。何も入力がない状態を示す”00”が入力されるとD1は状態を保存する。
【0107】
このようにして、up信号とdown信号からデータとエラーを検出することができる。
【0108】
次にこの動作を図25を用いて説明する。ここでは伝送に掛かる時間は位相関係を分かりやすくするためゼロにしてある。
【0109】
data_pは送信元からのデータパターンであり、正論理の信号のみ示した。当然、この信号の反転した信号も同時に差動信号として送信される。
【0110】
このデータと同期して差動のclkを送信元のLSIは送信する。
【0111】
xclk,xdataは方向性結合器により、生成された信号であり、data,clkの立上り・立ち下がりに応じて信号が生じる。 この信号に外乱ノイズにより丸で囲ったノイズが重畳されている(ここでは2ヶ所)。vinはレシーバの入力電圧差であり、xdata_pとxdata_nの電圧の差である。
【0112】
最初のエラーはコモンモード(同相)ノイズであり、xdata_pと、xdata_nに同方向に重畳されている。この場合、vinには信号として現れないので、エラーは生じない。
【0113】
データ(data)は、エラーのない限り、up信号、down信号に応じてデータを正確に復元できることがわかる。
【0114】
次に、ディファレンシャルノイズが重畳する場合(2つめのノイズ)、エラーが生じる。
【0115】
このエラーは差動モードの信号に対し頻度が少ないという特徴がある。 このエラーが生じた場合、図ではxdata_pにノイズが乗り、結果として、up信号がエラー発生部で連続するので復元回路D1はエラーに遷移する。
【0116】
但し、このディファレンシャルノイズがn側に発生し、up信号とdown信号が連続するようなエラーはこの回路では検出できない。そのため、データ自身にECC(Error Correct Code)を付加して、エラー処理するのが自然である。
【0117】
また、エラーが発生したら、同じバストランザクション処理を行うこと(再送)で、再度データ転送を行い。エラーが無くなるまで再送を行う。これはノイズがランダムに起こる場合がほとんどであることによる。
【0118】
【発明の効果】
このように復元回路を構成することにより、ECC処理開始以前にエラー検出ができるという効果がある。そして、高速のデータ転送を方向性結合器を用いて実施することができる。また、エラーのないデータ転送が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の方向性結合器を基板の垂直方向に配置し多重結合網を構成したバス接続図。
【図2】方向性結合器の俯瞰図。
【図3】従来の方向性結合式バスの例を説明する図。
【図4】1ビットのノード間転送を実現した従来の方向性結合式バスの例を説明する図。
【図5】本発明の配線構造の俯瞰図。
【図6】図5の断面図。
【図7】差動型の方向性結合器を用いたバス配線図。
【図8】差動型の方向性結合器の俯瞰図1。
【図9】差動型の方向性結合器の俯瞰図2。
【図10】差動型の方向性結合器の断面図1。
【図11】差動型方向性結合器による信号生成のシミュレーション回路。
【図12】図11の結果の波形。
【図13】差動型の方向性結合器の断面図2。
【図14】差動型方向性結合器による信号生成のシミュレーション回路。
【図15】図14の結果の波形1。
【図16】図15の結果の波形2。
【図17】高密度方向性結合器を基板の垂直方向に配置し多重結合網を構成したバス接続図。
【図18】センタープレーン型バス構成図。
【図19】方向性結合式バス用ヒステリシス付差動コンパレータ。
【図20】ソースクロック同期方式でのヒステリシス付差動コンパレータを用いたデータラッチ方式。
【図21】位相遅延回路(90度ディジタル位相シフタ)。
【図22】方向性結合式バス用オフセット付差動コンパレータ。
【図23】オフセット付差動コンパレータを用いたデータラッチ方式。
【図24】復元回路の状態遷移図。
【図25】図24の各ステージの波形。
【記号の説明】
1…プリント基板、11、12、21、22、31、32、41、42…シミュレーションのためのノード、1−1〜1−8…バス配線(図4においてはノード間結合のための方向性結合器)、2−1〜2−6…LSI1〜6をそれぞれ搭載するドータ基板、21〜26…多重結合バス配線、221p,221n…LSI1からの差動信号線、224p,224n…LSI4からの差動信号線、5、5ー1、5ー2,5−3,5−4…差動型レシーバ
【発明の属する技術分野】
本発明は情報処理装置においてマルチプロセッサやメモリ等の素子間(例えばCMOS等により構成されたデジタル回路間又はその機能ブロック間)での信号伝送のための技術に関し、特に、複数の素子が同一の伝送線に接続さデータ転送を行うバス伝送の高速化技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マルチプロセッサ装置のように多数のノード間を高速にデータを転送するためのバス方式として特願平5−239807の非接触バス配線があった。これの基本方式を図3に示す。これは2ノード間のデータ転送をクロストークすなわち方向性結合器を用いて行っていた。すなわちバスマスタ10−1とスレーブ10−2〜10−8間の転送を2線間すなわち配線1−1と1−2〜1−8間のクロストークを用いて転送する技術である。ただし、これはバスマスタ10−1とスレーブ10−2〜10−8間の転送には適しているが、スレーブ10−2〜10−8間の転送には向いていなかった。
【0003】
これを解決する方法として、特願平8−188366の間隙結合式バスシステムがある。これの基本方式を図4に示す。ノード11〜16間の転送を配線21〜26の結合した方向性結合部(図中1−4〜5−6)でのクロストーク信号を用いて転送し、全ノード11〜16間転送を実現した技術である。
【0004】
また、プリント基板において回路学会誌”ビルドアップ多層配線板技術の現状と課題”、1996Vol.11No.7p463〜468に記載されているように、高密度化のためにパッドオンビア型のVIAホールを低価格で構成することができるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の特願平8-188366の間隙結合式バスシステムは1ビットのスレーブ間転送を格子状に配線し、ノード間がすべての組合せで結合するような配線方式(以下多重結合配線網)することより実現した技術であった。しかし多重結合配線網方式では多ビットのデータを転送するには不向きであった。なぜならば、1ビットの多重結合配線網を実現するのに2層の上下に配置する信号層を用いてプリント基板の水平方向に結合網を構成していたため、1ビットの配線が占有する配線幅が広くなっていたためである。すなわち、1ビットの転送を多層プリント基板を用いて実現する場合1ビット当たり信号層2層、シールド層2層の計4層を必要とし、例えば1バイトのデータすなわち8ビットを同時転送する場合少なくとも信号層16層(=2層*8ビット)、ビット間の干渉を低減するためのシールド層を7層、計23層必要となる。現在のパソコンでもデータ幅は8バイトあり、サーバ機などでは16バイトある物もある。これらのサーバをこの技術を用いて実現する場合、8バイトでは184層(=8バイト*23層)以上、16バイトでは368層(=16バイト*23層)以上必要となる。しかしながら現在のプリント基板技術では100層以上を低価格で提供することは難しく特に、ガラスエポキシ系やアラミド系の低価格プリント基板で構成することは不可能といえる。
【0006】
本発明の第1の目的は方向性結合(クロストーク)を用いた多ビットのノード間転送を実現し、データ転送を高速に行うことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
方向性結合を用いて多ビットのデータ転送するため、多層のプリント基板を用いて1ビットの多重結合配線網を垂直方向に構成することで1ビット当たりの基板の配線方向に対する占有幅を狭くして多ビット構成を実現することができる。
【0008】
なお、本発明は以下の通り表現することも可能である。
【0009】
(構成1)
ディジタルデータ転送用のインタフェース回路を有するモジュールが複数接続されるバスであって、前記複数のモジュールが接続されるプリント配線基板において、前記モジュールからの引出信号線が終端抵抗により整合終端され、第1の前記モジュールから前記終端抵抗までの引出し配線において前記第2以降のモジュールからの引出し配線の一部とが30mm程度の長さを持つ方向性結合器をそれぞれ構成し、前記方向性結合器が非貫通型のビアホールによって接続されることでモジュール間でデータの送受信を行う方向結合式バスシステム。
【0010】
(構成2)
構成1において、前記方向性結合器が、グランド層に挟まれた同一信号層内の隣接する2線路により構成され、前記方向性結合器が非貫通型のビアホールによって接続される方向結合式バスシステム。
【0011】
(構成3)
構成1において、前記モジュールからのディジタル信号を差動信号とし、前記一方の機能要素から前記他方の機能要素への信号の伝達を差動型の方向性結合器を用いて行うバスシステム。
【0012】
(構成4)
構成3に於いて、差動型の方向性結合器を、プリント配線板の電源層に挟まれた2層の信号層で構成し、前記信号層の1層に前記機能素子からの差動信号(ドライブ信号)線を平行に並ぶように配置し、前記信号層の他方の層に他方の前記機能素子への差動信号(レシーブ信号)線を前記差動ドライブ信号線に上下同じ位置になるように配置したことで、差動型の方向性結合器を構成したプリント基板。
【0013】
(構成5)
構成3に於いて、差動の方向性結合器を、プリント配線板の電源層に挟まれた1層の信号層で構成し、前記信号層に前記機能素子からの差動信号(ドライブ信号)線を平行に並ぶように配置し、前記信号層の他方の層に他方の前記機能素子への差動信号(レシーブ信号)線を前記差動ドライブ信号線の両側に配置したことで、差動の方向性結合器を構成したプリント基板。
【0014】
(構成6)
構成4或いは5のプリント配線板を用い、2つ以上のn個の機能素子を前記プリント基板に搭載し、差動の方向性結合器を構成するための2層からなる1つペアの或いは1層の信号層をm個設け、ここで、
m=n−1
となるように前記プリント基板に信号・グランド層のペアを設け、
更に前記n個のモジュール間をデータ転送するためのP個の方向性結合器を、
P=n・(n−1)/2
となるように設け、前記P個の方向性結合器を前記プリント基板の厚み方向に交互に配置し、前記モジュールからの配線が他のモジュール毎に1つの前記P個の方向性結合器を構成するように配線を行ったプリント基板。
【0015】
(構成7)
構成1に於いて、レシーバをヒステリシス付の差動コンパレータで構成した方向性結合式バスシステム。
【0016】
(構成8)
構成7に於いて、データとクロック信号のレシーバをヒステリシス付の差動コンパレータで構成し、クロック信号を90度位相シフトした信号でラッチするソースクロック同期式方向性結合バスシステム。
【0017】
(構成9)
構成1に於いて、レシーバをオフセット付の差動コンパレータを2つで構成し、片方を正のオフセット他方を負のオフセットを付けた方向性結合式バスシステム。
【0018】
(構成10)
構成9に於いて、データとクロック信号のレシーバをヒステリシス付の差動コンパレータで構成し、クロック信号を90度位相シフトした信号でラッチする方向性結合式バスシステム。
【0019】
(構成11)
構成10に於いて、前記レシーバのデータ信号出力差動信号を、前記レシーバのクロック信号出力差動信号を用いてラッチし、正論理信号をup信号、負論旨信号をdown信号とし、前記up信号・down信号により、以下のように
up信号入力 L→H
up信号入力 H→error
down信号入力 L→error
up信号入力 H→L
と、状態遷移し、状態に応じたデータの出力とエラーの出力とする方向性結合式バスシステム用復元回路。
【0020】
(構成12)
構成11の復元回路を用いた方向性結合式バスシステム。
【0021】
(構成13)
構成6においてP個の方向性結合器を連続して配置したことで高密度化したプリント配線基板を有するバスシステム。
【0022】
【発明の実施の形態】
第1の実施例を図1を用いて説明する。これは多層プリント基板を用いて多重結合配線網を垂直方向(断面方向)に構成し、バス幅の広いバス構成した実施例である。
【0023】
図1はプリント基板の断面と方向性結合器の位置関係を模式的に示した図である。
【0024】
LSI1〜6の四角はデータ転送を行うLSIである。このLSI1〜6にはデータ転送用のドライバレシーバを内蔵している。
【0025】
a1〜a6の斜めの線は、それぞれLSI1〜6から引き出される配線の流れを模式的に表している。理解を助けるためa1は波線で、a2は1点鎖線、a3は実線、a4は2点鎖線、a5は細かい点線、a6は波線で示しが、提供する機能は同じである。
【0026】
配線a1〜a6はそれぞれLSI1〜6から引き出される終端抵抗Rtt1〜6でそれぞれ整合終端されている。
【0027】
薄い点線のブロックは、方向性結合器を構成する配線層と、これをサンドイッチ型に囲むグランドプレーンとからなるプリント基板の断面構造を模式的に示した例である。 薄く塗りつぶしたブロックbは方向性結合器を含む事を示しており、塗りつぶしていないブロックcは方向性結合器を含まないことを示している。
【0028】
塗りつぶしたブロックb内の方向性結合器は配線の流れa1〜a6の中の2つの交差で示されている。すなわち、配線の流れa1はまず配線の流れa4と交差し、この交差したブロックで方向性結合器を構成し、ここによりLSI1とLSI4間でデータ転送するための信号を生成することができる。その後、LSI1からの配線a1は、図中右下へと進みLSI5からの配線a5と交差する。この部分により同様にLSI1とLSI5間のデータ転送のための信号を生成を行う。この様にして配線a1は次々と各LSIからの信号と方向性結合を構成しそれぞれの結合器でデータ転送に必要な信号を生成する。
【0029】
特に配線a1とa3の結合ブロック部において、この配線a3は配線a4、a5、a6と交差した後、方向性結合器を持たないブロックで方向を転じ右上へと進んできた配線である。この様にして最終的に配線a1は更に右下に進み終端抵抗Rtt1で終端される。
【0030】
このように、配線a1〜a4は右上或いは右下へと進み、互いが交差する部分で、方向性結合器を構成し、かつ、最上部、最下部において、向きを変え、自分以外の全てのLSIからの配線と交差した後、終端部Rtt1〜Rtt6へ配線される。
【0031】
LSI1〜6間で全てのLSI間のデータを転送するためには交差点はそれぞれの組合せが1つあれば良い。すなわち6つの要素から2つを取り出す組合せでありこの場合15個の組合せがあり、図1ではLSIが6個の場合の全ての組合せである15つの交差ブロックbを含んでいる。
【0032】
同様にLSIがそれ以上でもそれ以下の個数でも、同じ様な配線の形態を持つことで、全てのLSIからの配線に対し方向性結合器を構成する組合せの交差ブロックbを有し、結果として全てのLSI間でデータ転送のための信号生成を行うことができる。n個のLSIを含むシステムの場合、含むべき交差の数(P)は以下の式で表される。
【0033】
交差ブロックbの数(P)=n・(n−1)/2 …(1)
次に図2を用いて交差ブロックbの構造を示す。
【0034】
図1においてLSI1とLSI4の間のデータ転送のための信号を生成するブロック、すなわち配線a1と配線4の交差ブロックを例に挙げる。
【0035】
図2(A)は図1で用いた摸式的なブロック図であり、図2(B)はブロックを構成する実際のプリント基板の構造の俯瞰図である。
【0036】
図2(A)中の配線の流れa1,a4は、図2(B)中で配線d1と配線d4であり、この2つの配線は平行な線路により長さLの方向性結合器を構成している。
【0037】
p1,p2は給電のためのプレーン層の一部であり、配線d1,d4がストリップラインを構成するように機能する。方向性結合線路d1,d4の両端は円柱で示したVIAホールにより他の信号層と接続される。
【0038】
次にブロック間の配線の形態を図5、図6に示す。図5では、給電プレーンを省略して、配線の接続のみ示した。本図も俯瞰図である。図6は図5の断面図で一部の信号のみ記している。sig1〜sig6はプリント基板の信号層である。点線のgndは上下間の方向性結合器間の干渉を低減するためのグランド層であり、図では5層ある。
【0039】
図5の中には6種の配線の一部が、a1〜a6で記されている。
【0040】
方向性結合器を構成する2本の線路は同一信号層内に隣接してあり、図5、図6では手前の配線a4,a5,a6は右上の方向に、図5の奥の配線a1,a2,a3は右下の方向に進むように構成されている。図6では斜線で示したa2の信号が右下の方向に接続されている、但し、上端まで進んだ後は、方向を転じる。例えば図5の配線a4の右端は最上層から第2の信号層(sig2)に配線されている。このとき配線は手前側から奥側に移っている。
【0041】
また、方向性結合器同士はビアホールにより接続されている。但し、上下の信号層の配線とは方向性結合器の片方層の信号しか接続しない。このため、図5、図6の様に上下の層にある配線同士の接続は貫通型のVIAでなく、パッドオンビア型を用いるのが効率的であり、このためにビルトアップ製法のプリント基板がこの構成には適している。図5では示していないが、図6のプレーン(gnd)層は当然結合器同士を接続するための、ビアホールが通る穴が空いている。
【0042】
このようにしてバス幅が1ビットの場合、多層の方向性結合器を多数含んだ基板を用いることでノード間のデータ転送を行う事ができる。
【0043】
更に、この実施例では、差動の1ビットの信号が占める面積は高々2本の配線が占める面積程度であるから、多ビットのバスに於いても図5のような配線を同様な構成で横に並べていけば簡単に構成することができる。これは従来技術と比べて方向性結合器を多層に並べることができることによる。すなわち、このように多層化した方向性結合器を用いることで、多ビットのバスであっても、相互のLSI間のデータ転送を高速にかつ従来のプリント基板を用いて実現することができ、高性能なシステムと低価格なシステムを両立することができる。
【0044】
(実施例2)
次に第2の実施例として、交差ブロックbの方向結合器を差動型により構成した方式を示す。
【0045】
まず、図7に差動型の信号を用いた場合のデータ転送用の回路を示す。この図においては2つLSI1とLSI4間のデータ転送を行うための配線を示しており、複数のLSI間のデータ転送用の配線は図4に示したシングルエンド型の多重結合網と同じ構成であり、1ビットの信号の本数が2本になっていることのみ異なる。
【0046】
図7において、LSI1とLSI4は差動の信号を送受信する。LSI1から引き出されている信号を221p221n、LSI4から引き出されている信号を224p,224nで示している。それぞれの配線221p,221n,224p、224nは終端抵抗Rttにより整合終端されている。そして、それら配線は図8、図9で示すように差動信号の方向性結合器を構成している。ここでは、これら差動型方向性結合器を取り囲むように設けられたグランドパターンは示していない。
【0047】
図8は信号層を2層用いて構成した差動信号用の方向性結合器であり、図9は信号層1層を用いた差動方向性結合器である。ここで図8、図9は図2と同じく信号配置の俯瞰図であり、円筒はビアホールを示している。
【0048】
図8の信号配線d1〜d4において、同じ層にある配線d1,d3の組と配線d2、d4の組がそれぞれ同一LSIからの差動信号であり、例えば図7との対応は信号221pがd2、221nがd4、224pがd1、224nがd3という具合である。図9では外側の配線d1,d3の組と内側の配線d2、d4の組がそれぞれ同一LSIからの差動信号であり、例えば図7との対応は信号221pがd2、221nがd4、224pがd1、224nがd3という具合である。
【0049】
次にこの差動方向性結合器の動作特性についてシミュレーションの結果を示す。
【0050】
図10に図8に対応する差動型方向性結合器の断面構造を示す。
【0051】
信号である矩形パルス波が差動信号224p,224nを伝搬する場合、信号線路221p,221n間に誘導される起電力はその配線の寸法と構造、及び伝搬信号波形から決まり、以下のような条件の場合、誘起される信号は図12のようになる。
【0052】
すなわち図10の配線構造は
配線幅・・・・・・・100μm
配線厚み・・・・・・30μm
横方向配線間隔・・・・200μm
縦方向配線間隔・・・・150μm
planeからの最短距離 150μm
平行線路長・・・・・・30mm
この時の配線224p,224nの実効特性インピーダンスは電磁界解析の結果53.87-j1.64 Ωであった。
【0053】
シミュレーション回路は図11であり、各線路を50Ωで終端している。
【0054】
図11、図12中、差動型方向性結合器の各ノードを11、21、31、41、12、22、32、42で表した。図11でノード11と12を結ぶ配線が図10では224pであり、ノード21と22を接続する配線が図10では224nである。同様にノード31と32間の配線が221pであり、ノード41と42間の配線が221nである。
【0055】
図12から分かるように、データ転送元の差動信号224p,224n間の端子11、21間の信号振幅が1.2V(左側の目盛り)のとき、221p,221n間の端子31、41間に誘起される信号の振幅は±90mV(右側の目盛り)であり、全振幅は180mVあり、差動型方向性結合器において生成される信号の弁別には充分な振幅を持っていることが分かる。
【0056】
また、パルス幅は1nsであり、すなわち、1GT/s(Giga Transfer Per Second)の転送を可能とすることが分かる。
【0057】
また、逆の向きにデータを転送することも同じ原理が成り立ち可能である。すなわち、差動信号線221p,221nに矩形波のデータを伝搬させ、224p,224n間に図12に示した信号と同じ波形の信号を生成することができ、結果として逆向きのデータ転送が可能である。
【0058】
このように、プリント基板構成をプレーン間に信号層2層を用いて差動型の方向性結合器を構成することで、LSI間データ転送に必要な信号を生成することが可能である。
【0059】
また、図9のような差動型方向性結合器を用いても信号を生成できる。
【0060】
図13は図9に対応する多層プリント基板内に設けられた給電プレーン間に1層の配線層を設けた方向性結合器の断面図である。
【0061】
ここで、差動の駆動信号は両側の221p,221nを伝搬し、その間に設けられた2本の線路224p,224n間に信号が誘起される。図14回路を用いてシミュレーションした結果を図15に示す。
【0062】
ここで、配線の寸法は、以下の通りである。
【0063】
配線幅・・・・・・・・100μm
配線厚み・・・・・・・30μm
横方向配線間隔・・・・200μm
planeからの最短距離・300μm
平行線路長・・・・・・30mm
図15と図12を比較しても分かるように誘起される信号の振幅は同じ程度の±90mVある。
【0064】
次に、図13の中2本線路である信号224p,224nをドライブした場合の誘導波形を図16に示す。この場合の配線の形態・寸法は図13と同じである。
【0065】
ドライブする線路はこの場合、224p,224nであり、線路221p,221n間の端子11、21間に誘導される信号は±90mV程度あることが分かる。これより、内側をドライブした場合も外側をドライブした場合も、差動型方向性結合器に誘導される誘導電圧はあまり変わらないことが分かる。そのため、図13で示した、差動型方向性結合器を信号層1層で構成した場合でも、図10で示した信号層2層で構成した場合と同様な効果が得られる。
【0066】
本実施例は差動信号を用いるのでコモンモードノイズに強いという差動信号の一般的な効果のほかに、図7でレシーバに入力される信号が実施例1のシングルエンド型の配線に比べて2倍ありかつレシーバの端子間の入力信号が大きいスルーレートを持っているのでレシーバがより速く動作できる。このため、実施例1に比べてより高速に動作することができる。
【0067】
更に、図13の構成の場合、信号層が1層で済むという効果もある。これは基板を製作する上で価格を抑えられる効果がある。
【0068】
以上の述べたように図1の交差ブロックbを図8、図9の様な差動型方向性結合器により構成することで、1ビットのノード間の転送を可能とすることができる
更に、この実施例では、差動の1ビットの信号が占める面積は高々4本の配線が占める面積程度であり、多ビットのバスに於いても図5のような配線を同様な構成で横に並べていけば簡単に構成することができる。すなわち、図5では1ビット2本の方向性結合器を用いてデータ転送信号を生成したが、本実施例では1ビット4本の方向性結合器を用いてコモンモードノイズに強いデータ転送信号を生成できる。
【0069】
このように多層化した差動型方向性結合器を用いることで、多ビットのバスであっても、相互のLSI間のデータ転送を高速にかつ従来のプリント基板を用いて実現することができ、高性能なシステムと低価格なシステムを両立することができる。
【0070】
(実施例3)
次に第3の実施例として図17を用いて多層基板の実装効率を高めた実施例を示す。
【0071】
第1の実施例である図1は方向性結合器を単純に右手の方向にのばした実施例であった。そのため、方向性結合器を有する塗りつぶした交差ブロックbとこれを有しないブロックcとが交互に並んでおり、配線効率が悪い。これを図17のように配線を折り返すこと(鏡映反転)で実装効率を増やすことができる。
【0072】
図17で例えばLSI1からの信号a1は、a4と交差するブロックを右下に進行したのち、折り返して左下に進む。この時点線のa5と交差する。更に左下に進行し、波線のa6と交差する。更に実線のa3と交差し、最後に1点鎖線のa2と交差し、Rtt1で終端される。これで全てのLSIとバックワードの方向を保ったまま交差(方向性結合)する事が分かる。同様に、他の配線も同じパターンを有している。
【0073】
また、各線路の最終結合部からの終端抵抗までの配線は、図17でハッチングしていない領域すなわち、他の線路と結合しない領域にあれば何処を通っても良い。例えば、Rtt4は、LSI4からの線路の終端抵抗であるが、LSI6からの線路a6と方向性結合したのを最後に基板表面まで引き出される。この場合の配線は他の線路と結合しないように、かつ一定のインピーダンスを保つ条件で引き出せればよい。
【0074】
このように折り返して配線することで層数を増やすことなく実装効率を高めることができ、かつ、方向性結合器を構成するために必要な基板のサイズを短くすることができるという効果がある。これはすなわち、基板の価格を抑え、かつ、基板実装に係る制約を緩和し設計の自由度を向上させる効果がある。これにより、システムの筐体のサイズを抑えることができる。これにより、高密度実装が可能となり、システムが占める筐体の設置面積も削減できるという効果がある。
【0075】
これは方向性結合をシングルエンド型ばかりでなく差動型であっても同じ効果を得られる。
【0076】
また、図18にセンタープレーン型の実装構造を示す。1は実施例1あるいは実施例3の方向性結合器を(数1)で示される個数搭載するプリント基板であり、基板1上にLSI1〜LSI6をそれぞれ搭載する2−1〜2−6のドータ基板がコネクタを介して接続されている。LSI1からプリント基板1まではドータ基板2−1の配線により引き出され、コネクタを介して接続されている。
【0077】
このように構成することで、方向性結合式バスに接続するドータ基板を、そのドータ基板が提供するデータ処理機能をシステムに簡単に追加することができる。また、このバスは互いの配線がDC的に接続されていないため活線挿抜が可能である。その特徴によりシステムの可用性を高めることができる。
【0078】
(実施例4)
次にヒステリシスを有する差動のレシーバを第2の実施例に応用した場合の実施例を図19を用いて説明する。
【0079】
図19(a)の5は、差動の入力信号vin_n,vin_pに対し、出力電圧vout図19(b)の様に変化することを特徴とするヒステリシス型差動入力回路であり、更に、第2の実施例で示した差動型方向性結合器により接続された差動線路に接続されている。 このため、入力信号は図12で菱形で示された信号v(41),或いは×型で示された信号v(31)のような信号が入力される。 また、同様に図15で示した三角で示された信号v(41)や×型のv(31)が入力される。
【0080】
そのレシーバ5の動作を図19(b)を用いて説明する。
【0081】
vinはレシーバ5の差動入力電圧、すなわち、vin−pとvin_nとの電圧差である。voutはレシーバ5の出力電圧である。図中、入力電圧差vinが立上りと立ち下がりでスレッショルド電圧が異なり、立上りのスレッショルド電圧をVhys_p、立ち下がりスレッショルド電圧をVhys_nで表している。
【0082】
入力電圧vinがVhys_n以下の場合、voutは”L”である。この状態から、入力電圧vinが大きくなっていく場合、voutは入力電圧vinがVhys_pを超えた時点で、”H”に切り替わる。 その後、今度は入力が下がった場合、入力電圧vinがVhys_nを下回った時点でvoutは”L”になる。 このようにして、レシーバ5の出力電圧voutにの状態により、入力スレッショルド電圧Vhys_n,Vhys_pが異なるように動作する。
このため、レシーバ5に図12或いは図15のような差動波形の正立と倒立のパルスが交互に入力される場合、レシーバ5の出力voutは方向性結合器のドライブ波形を復元することができる。
【0083】
ここでVhys_p,Vhys_nの電圧は、差動の方向性結合器で発生する電圧差(vin)のピーク電圧に対してノイズ比率が10%程度の場合、マージンを5%見込んでそれぞれ15%−85%程度あればよい。
【0084】
図12の場合はvinは±180mV程度あるので、Vhys_pは13.5mVから76.5mV、Vhys_nは−13.5mVから76.5mV程度あればよい。これは当然線路が終端されている終端電圧Vttからの差である。
【0085】
このレシーバ5の入力回路の初段の一般的な回路例を図19(c)に示す。これは、例えば"Phillips E. Allen, Douglas R. Holberg,CMOS Analog Circuit Design,1987"の352頁に記載された回路例と同様な構成であり、このような回路を応用することでヒステリシス内蔵の差動回路を簡単に構成することができる。また、データ転送行われていない状態すなわちアイドルの状態において信号がバス上を伝搬していないので電位は終端電圧となり、差動型のレシーバの入力はp側n側とも同電位となるが、この場合でもヒステリシスの機能をレシーバ5が持つので、発信などせず、安定動作が可能である。
【0086】
次にこれを用いたデータの転送方法を図20を用いて説明する。これはデータ転送方式が高速動作に適したソースクロック同期方式の場合である。ここでソースクロック同期方式とはデータと同じ配線形態を持つストローブ信号(ソースクロック)をバスに設け、データを送信するLSIからデータと殆ど同じタイミングでストローブ信号を出し、信号受信LSIでこの送信されたストローブによりデータをラッチする方式である。
【0087】
ソースクロック同期方式で転送されたデータとソースクロックが、それぞれレシーバ5、5’に到達する。レシーバ5と5’はヒステリシス内蔵の差動回路であり、それぞれデータとクロックを復元する。復元されたクロックが差動入力のフリップフロップ7(以下FF)でラッチする。ラッチするクロックは、位相遅延回路6でπ/2(90度)ずらしてFF7に入力される。ここで差動入力のFF7のラッチ用クロック入力端子が”+”と”−”の2つあるが、これはクロックの立上りと、立ち下がりにでデータをラッチするための端子であり、データの転送速度とクロックの転送速度が同じ場合に有効である。
【0088】
また、クロックの位相遅延回路6はクロック(Clock)とデータ(vin)の入力信号の位相がレシーバ5、5’の入力端子で同時刻の場合、クロック(Clock)を用いてデータをラッチするためデータのセットアップ時間が最大になるようにオフセットを設けている。
【0089】
また、位相遅延回路6に差動型を用いるのは、レシーバ5’ のVhys_p,Vhys_nや、レシーバ5’の出力段の”L”,”H”のドライバビリティのバラツキのため、クロックデュティー比が異なるため、これを補正するためである。差動であればp,n信号で立ち上がり、立ち下がりや位相が若干ずれても常にセンターでデータを受け渡すことができるためである。
【0090】
図21に信号遅延回路6の回路例を示す。この図では簡単のため差動信号を1つの回路で示しているが、全ての信号で差動となっている。
【0091】
位相検出器6−1は入力されたクロック(Clock)とフィードバックされたクロック信号との位相比較を行う。 レジスタ6−2は遅延量を制御するためのデータが格納されている。このデータを元にクロックの位相を変化させ90度ずれた信号6−3を出力する。 これの制御の方法は遅延回路を構成するリング6−4の遅延量がクロック(Clock)の周期と同じになるようにリング6−4の遅延量を経路を選択することで加減し、そのClockの周期にマッチしたリング6−4上の経路からClockの周期の半分の位置にスイッチを設けこれを90度ずれた出力とする。これらのリング6ー4の経路選択情報と出力6−3へのスイッチ選択の情報をレジスタ6−2は保持している。
【0092】
このレジスタ6−2の値は、バスのデータ転送を行う前に決定されており、システムスタートアップ時と、温度が均一と見なせる時間間隔で調整する。
【0093】
レジスタ6ー2の設定の方法は、位相比較器6ー1が、入力クロック(Clock)とリング6−4を通過した周期が同じになるようにリング6ー4の経路をレジスタ6ー2に書き込む値により調整する。まず、一番短い経路となるようにここでは記載していないコントローラがレジスタ6ー2を設定し位相比較する。その結果位相ずれがあると位相比較器6ー1はここでは示していない位相遅延回路6を制御する回路へフィードバックし、レジスタ6ー2をリング6ー4の経路を1段長くなるように設定し、再び同じ比較を行う。こうして、徐々にClockの周期とリング6ー4の周期とが近くなり、位相比較器6ー1の出力が小さくなっていく。しかしこれを続けていくと、今度はリング6ー4の遅延の方が大きくなるため位相比較器6ー1の出力は増加に転ずる。
【0094】
この増加に転ずるところが位相が一番clockに近いところであることが分かる。
【0095】
このようにして、Clockとリング6ー4の遅延時間が同じになるようにレジスタ6ー2を設定する。これにより、結果として90度の位相が補償される。そしてかつ、ソース同期方式であっても、Clockとデータの位相を絶えず90度に保つことができデータ転送を確実なものにできる。
【0096】
この、位相の補正はリセット後だけでなく、定時間毎に繰り返すのがよい。これにより、温度変化による遅延変動に対応できる。また、差動信号を用いることで、p,n信号で立ち上がり、立ち下がりや位相が若干ずれ、レシーバ5’ のVhys_p,Vhys_nや、レシーバ5’の出力段の”L”,”H”のドライバビリティのバラツキなどによる、クロックデュティー比の変動を補正することができ、常に位相のセンターでデータを受け渡すことができる。
【0097】
次に別のレシーバの実施例を図22を用いて説明する。
【0098】
図22(a)は差動のコンパレータを2つ用いて1つのレシーバを構成したものである。入力電圧vin_p,vin_nされると、オフセット電圧vp1、vp2をもってコンパレータ5ー1、5ー2に入力される。この電圧、VP1,vp2は電池の記号で表したが、実際は、電池でなく、コンパレータの基準電圧にオフセットを持たせることを意味している。
【0099】
図22(b)は、このレシーバ5ー1、5ー2の入出力電圧の関係を示している。すなわち、r1はレシーバ5ー1の、r2はレシーバ5ー2の入出力電圧関係を示しており、レシーバ5ー1は”+”側の信号の振幅が”−”側の信号の振幅より、電圧vp1だけ大きくなった場合に、”H”をvout_pから出力する。反対に、レシーバ5ー2は”+”側の信号の振幅が”−”側の信号の振幅より、電圧vp1だけ小さくなった場合に、”L”をvout_nから出力するよう作用する。このため、レシーバ5ー1、5ー3は方向性結合器でドライブされた波形の立上りを検出し、レシーバ5ー2、5ー4は方向性結合器でドライブされた波形の立下がりを検出するように機能する。
【0100】
ここで、オフセット電圧vp1,vp2は、図19(c)のフィードバックトランジスタM10とM11のゲート幅を非対称にすることで実現できる。すなわち、M10の幅がM11より大きい場合、vin_pのフィードバックが大きくなり、ヒステリシスにオフセットが生じることになる。
【0101】
次にこのレシーバを用いたデータ復元回路を図23を用いて説明する。
【0102】
オフセット電圧付の差動コンパレータ5ー1〜5ー4は、それぞれ、方向性結合器により変調されたデータ(xdata)とクロック(xclock)差動の信号の正信号と負信号を入力する。このコンパレータ5ー1、5ー2で検出された信号はフリップフロップF1とF2に送られ、xclkがコンパレータ5ー3、5ー4により検出された時刻にラッチされる。これらのフリップ・フロップF1,F2の出力信号をup信号、down信号と名付け、復元回路(demodulator)D1により、データ(data)の復元とエラー(error)の検出が成される。
【0103】
ここで、xdataとxclkの位相関係は、同相であっても良いし90度xclkの方が遅くても良い。同相である場合、図21で示した位相シフタを用いて位相をずらせばよい。
【0104】
次に、図24を用いて、復元回路の機能を説明する。図24は入力信号up信号とdown信号により変化する状態遷移を示している。
【0105】
状態は3つあり、”H”,”L”,”error”である。”H”と”L”状態の時、それぞれのデータ(data)を出力する。
【0106】
図23のレシーバ5ー1は方向性結合器でドライブされた波形の立上りを検出するので、この信号の出力は、絶えず立上りを意味する。同様に図23のレシーバ5ー2は方向性結合器でドライブされた波形の立下がりを検出するので、この信号の出力は、絶えず立下がりを意味する。 このup信号とdown信号を2ビットで表し、up信号を上位ビットに割り当て場合、復元回路D1の状態が”L”の場合、”10”信号が入力されれば状態は”H”に遷移し、逆にD1が”H”の時、”01”信号が入力されればD1の状態は”L”に遷移する。 ただし、”H”状態から更に立上りは生じるのは原理上あり得ないので、”H”で”1x”が入力されると”error”状態に遷移し、error信号が出力される。同様にD1が”L”の状態の場合”x1”が入力されると、”error”状態に遷移し、error信号が出力される。何も入力がない状態を示す”00”が入力されるとD1は状態を保存する。
【0107】
このようにして、up信号とdown信号からデータとエラーを検出することができる。
【0108】
次にこの動作を図25を用いて説明する。ここでは伝送に掛かる時間は位相関係を分かりやすくするためゼロにしてある。
【0109】
data_pは送信元からのデータパターンであり、正論理の信号のみ示した。当然、この信号の反転した信号も同時に差動信号として送信される。
【0110】
このデータと同期して差動のclkを送信元のLSIは送信する。
【0111】
xclk,xdataは方向性結合器により、生成された信号であり、data,clkの立上り・立ち下がりに応じて信号が生じる。 この信号に外乱ノイズにより丸で囲ったノイズが重畳されている(ここでは2ヶ所)。vinはレシーバの入力電圧差であり、xdata_pとxdata_nの電圧の差である。
【0112】
最初のエラーはコモンモード(同相)ノイズであり、xdata_pと、xdata_nに同方向に重畳されている。この場合、vinには信号として現れないので、エラーは生じない。
【0113】
データ(data)は、エラーのない限り、up信号、down信号に応じてデータを正確に復元できることがわかる。
【0114】
次に、ディファレンシャルノイズが重畳する場合(2つめのノイズ)、エラーが生じる。
【0115】
このエラーは差動モードの信号に対し頻度が少ないという特徴がある。 このエラーが生じた場合、図ではxdata_pにノイズが乗り、結果として、up信号がエラー発生部で連続するので復元回路D1はエラーに遷移する。
【0116】
但し、このディファレンシャルノイズがn側に発生し、up信号とdown信号が連続するようなエラーはこの回路では検出できない。そのため、データ自身にECC(Error Correct Code)を付加して、エラー処理するのが自然である。
【0117】
また、エラーが発生したら、同じバストランザクション処理を行うこと(再送)で、再度データ転送を行い。エラーが無くなるまで再送を行う。これはノイズがランダムに起こる場合がほとんどであることによる。
【0118】
【発明の効果】
このように復元回路を構成することにより、ECC処理開始以前にエラー検出ができるという効果がある。そして、高速のデータ転送を方向性結合器を用いて実施することができる。また、エラーのないデータ転送が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の方向性結合器を基板の垂直方向に配置し多重結合網を構成したバス接続図。
【図2】方向性結合器の俯瞰図。
【図3】従来の方向性結合式バスの例を説明する図。
【図4】1ビットのノード間転送を実現した従来の方向性結合式バスの例を説明する図。
【図5】本発明の配線構造の俯瞰図。
【図6】図5の断面図。
【図7】差動型の方向性結合器を用いたバス配線図。
【図8】差動型の方向性結合器の俯瞰図1。
【図9】差動型の方向性結合器の俯瞰図2。
【図10】差動型の方向性結合器の断面図1。
【図11】差動型方向性結合器による信号生成のシミュレーション回路。
【図12】図11の結果の波形。
【図13】差動型の方向性結合器の断面図2。
【図14】差動型方向性結合器による信号生成のシミュレーション回路。
【図15】図14の結果の波形1。
【図16】図15の結果の波形2。
【図17】高密度方向性結合器を基板の垂直方向に配置し多重結合網を構成したバス接続図。
【図18】センタープレーン型バス構成図。
【図19】方向性結合式バス用ヒステリシス付差動コンパレータ。
【図20】ソースクロック同期方式でのヒステリシス付差動コンパレータを用いたデータラッチ方式。
【図21】位相遅延回路(90度ディジタル位相シフタ)。
【図22】方向性結合式バス用オフセット付差動コンパレータ。
【図23】オフセット付差動コンパレータを用いたデータラッチ方式。
【図24】復元回路の状態遷移図。
【図25】図24の各ステージの波形。
【記号の説明】
1…プリント基板、11、12、21、22、31、32、41、42…シミュレーションのためのノード、1−1〜1−8…バス配線(図4においてはノード間結合のための方向性結合器)、2−1〜2−6…LSI1〜6をそれぞれ搭載するドータ基板、21〜26…多重結合バス配線、221p,221n…LSI1からの差動信号線、224p,224n…LSI4からの差動信号線、5、5ー1、5ー2,5−3,5−4…差動型レシーバ
Claims (5)
- ディジタルデータ転送用のインタフェース回路を有するモジュールが複数接続されるバスであって、前記複数のモジュールが接続されるプリント配線基板において、
前記モジュールからの引出信号線が終端抵抗により整合終端され、
第1の前記モジュールから前記終端抵抗までの引出し配線において前記第2以降のモジュールからの引出し配線の一部とが30mm程度の長さを持つ方向性結合器をそれぞれ構成し、
前記方向性結合器が非貫通型のビアホールによって接続されることでモジュール間でデータの送受信を行うことを特徴とする方向結合式バスシステム。 - 請求項1において、
前記方向性結合器が、グランド層に挟まれた同一信号層内の隣接する2線路により構成され、前記方向性結合器が非貫通型のビアホールによって接続されたことを特徴とする方向結合式バスシステム。 - 請求項2において、
前記モジュールからのディジタル信号を差動信号とし、前記一方の機能要素から前記他方の機能要素への信号の伝達を差動型の方向性結合器を用いて行うことを特徴とするバスシステム。 - 請求項3において、差動型の方向性結合器を、プリント配線板の電源層に挟まれた2層の信号層で構成し、前記信号層の1層に前記機能素子からの差動信号(ドライブ信号)線を平行に並ぶように配置し、前記信号層の他方の層に他方の前記機能素子への差動信号(レシーブ信号)線を前記差動ドライブ信号線に上下同じ位置になるように配置したことで、差動型の方向性結合器を構成したことを特徴とするプリント基板。
- 請求項3において、差動の方向性結合器を、プリント配線板の電源層に挟まれた1層の信号層で構成し、前記信号層に前記機能素子からの差動信号(ドライブ信号)線を平行に並ぶように配置し、前記信号層の他方の層に他方の前記機能素子への差動信号(レシーブ信号)線を前記差動ドライブ信号線の両側に配置したことで、差動の方向性結合器を構成したことを特徴とするプリント基板。
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