JP3764549B2 - 小型バイオセンサおよびその製造方法 - Google Patents

小型バイオセンサおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温で安定に動作が可能であるクラーク型酸素電極をトランスデューサとしたバイオセンサおよびその製造方法に関する。詳しくは、安価な材料を用いて一括大量生産できるバイオセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
酸素電極は、その感応部に酵素や微生物などの生体関連物質を固定することにより、さまざまなバイオセンサを作製するのに用いることが可能である。例えば、感応部にグルコースオキシダーゼを固定すれば、グルコースを測定するセンサができ、糖尿病診断用測定器などに使用することができる。また、感応部に酵母の一種のTrichosporon cutaneumを固定すれば、河川等の汚染の重要な指標の一つであるBOD値を測定するセンサを作ることができる。クラーク型酸素電極は感応部が撥水性のガス透過性膜で覆われているため、バイオセンサを構成した場合、他種のセンサに比べて、妨害物質の影響が少ないという利点がある。
【0003】
バイオセンサのトランスデューサとして用いられる酸素電極は、このように多くの用途に使用が可能である。しかし、現在市販されているものは、基本的には個別に作られるものであるため、典型的にはボールペン程度の大きさであり、価格も数万円もするものである。従って、これを用いてバイオセンサを作製した場合、1回ないし数回の使用の後に使い捨てにすることは費用的に難しい。また、バイオセンサでは、感応部に固定される生体関連物質の寿命がしばしば問題となる。現在の酸素電極、従来型のトランスデューサを使用する場合には、この問題は生体関連物質固定膜を交換することにより解決されている。しかし、ユーザーにとってはこのような操作は面倒であり、センサごと使い捨てにできる方が望ましい。また、センサの大きさは小さい方が望ましい。
【0004】
このような問題を解決するために、フォトリソグラフィーなどの半導体微細加工技術を利用して、トランスデューサとなる酸素電極を一括してシリコンやガラスの基板上に形成し、微小化する試みがなされている。しかし、この技術により酸素電極のある程度の低価格化、一括大量生産は実現されるが、通常の半導体微細加工技術を利用している限り、例えば1チップ100円以下のものを作製するのは難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来の技術の問題点に鑑みてなされたものであり、安価な材料を用いて一括大量生産でき、しかも応答性に優れた小型のバイオセンサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の構造を採用することにより、前記課題が解決されることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明の第1の態様のバイオセンサは、親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンが形成され、また該多孔性シートの反対側の面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンが形成され、バイオセンサの側面およびカソードの形成された面がパッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、アノードの形成された面がパッド部分を残して酸素透過性材料またはプラスチックシートで被覆され、感応部に生体関連物質固定層が形成され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされていることを特徴とする小型バイオセンサである。
【0008】
また、本発明の第2の態様のバイオセンサは、親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンならびにアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンが形成され、また該多孔性シートの反対側の面は全面に撥水性の絶縁膜が形成されるかプラスチックシートで被覆されており、バイオセンサの側面ならびにカソードおよびアノードの形成された面がそれぞれのパッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、感応部に生体関連物質固定層が形成され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされていることを特徴とする小型バイオセンサである。
【0009】
本発明のバイオセンサはその作製に必要な材料を最小限にしたものである。本発明のバイオセンサでは、紙のような安価な材料を基板として使用でき、また、絶縁膜等のパターン形成においても、スクリーン印刷やスプレーなどを適用でき、安価に作製できる。第1の態様のバイオセンサは、カソードとアノードをそれぞれ別の面に形成したものであり、第2の態様のバイオセンサは、カソードとアノードが同じ面に形成したものである。
【0010】
また、本発明は上記のバイオセンサの基本構造を二つ有する差動型バイオセンサを提供する。
すなわち、本発明の第3の態様のバイオセンサは、親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンが形成され、また該多孔性シートの反対側の面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンが形成され、バイオセンサの側面およびカソードの形成された面がパッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、アノードの形成された面がパッド部分を残して酸素透過性材料またはプラスチックシートで被覆され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされた構造体が2個並列的に配置されており、片方の感応部には生体関連物質固定層を形成し、他方の感応部はそのまま露出させておくかまたは前記生体関連物質固定層を形成したのと同じ担体材料のみを固定したことを特徴とする差動型小型バイオセンサである。
【0011】
また、本発明の第4の態様のバイオセンサは、親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンが2つ形成され、また該多孔性シートの反対側の面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンが形成され、バイオセンサの側面およびカソードの形成された面がパッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、アノードの形成された面がパッド部分を残して酸素透過性材料またはプラスチックシートで被覆され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされ、片方の感応部には生体関連物質固定層を形成し、他方の感応部はそのまま露出させておくかまたは前記生体関連物質固定層を形成したのと同じ担体材料のみを固定したことを特徴とする差動型小型バイオセンサである。
【0012】
さらに、本発明の第5の態様のバイオセンサは、親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンならびにアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンが形成され、また該多孔性シートの反対側の面は全面に撥水性の絶縁膜が形成されるかプラスチックシートで被覆されており、バイオセンサの側面ならびにカソードおよびアノードの形成された面がそれぞれのパッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされた構造体が2個並列的に配置されており、片方のカソード付近には生体関連物質固定層を形成し、他方のカソード付近はそのまま露出させておくか、前記生体関連物質固定層を形成したのと同じ担体材料のみを固定したことを特徴とする差動型小型バイオセンサ。
【0013】
さらに、また、本発明の第6の態様のバイオセンサは、親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンが独立して2つとアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンとが形成され、また該多孔性シートの反対側の面は全面に撥水性の絶縁膜が形成されるかプラスチックシートで被覆されており、バイオセンサの側面ならびにカソードおよびアノードの形成された面がそれぞれのパッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされ、片方のカソード付近には生体関連物質固定層を形成し、他方のカソード付近はそのまま露出させておくか、前記生体関連物質固定層を形成したのと同じ担体材料のみを固定したことを特徴とする差動型小型バイオセンサ。
【0014】
第3および第5の態様のバイオセンサは、それぞれ、第1および第2の態様のバイオセンサの基本構造を2つ有し、一方に生体関連物質が固定されていない差動型バイオセンサである。これにより、測定溶液の溶存酸素濃度の変動の影響を減らすことができる。第4および第6の態様のバイオセンサは、それぞれ、第3および第5の態様のバイオセンサにおいてアノードを共通にしたものである。
【0015】
本発明において、多孔性シートは好ましくは紙である。また、好ましくは、カソードおよびアノードのいずれもが銀である。
カソードパターンはカソードとパッドの間にカソード用リード線を有してもよく、該カソード用リード線が2層の絶縁膜に挟まれており、さらにその上を酸素透過性材料が覆っていることが好ましい。
【0016】
酸素透過性材料は、好ましくは、シリコーンゴムである。
また、アノードの一部分が電解液と接触し、その他の部分が絶縁膜で被覆されていることが好ましい。
【0017】
さらに、生体関連物質固定層が、酵母Trichosporon cutaneumを固定した層であることが好ましい。この場合にはBODセンサとして使用することができる。
また、本発明は、上記バイオセンサの好適な製造方法を提供する。
【0018】
すなわち、本発明の第1の態様の製造方法は、以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法である。
(1)親水性の多孔性シートの両面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
(2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンを片面に、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンをその反対側の面に形成する。
(3)カソードパターンの形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、アノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料またはプラスチックシートで被覆する。
(4)得られた多孔性シートからバイオセンサを切り出し、前記バイオセンサの側面を酸素透過性材料で被覆する。
(5)感応部に生体関連物質を固定して生体関連物質固定層を形成する。
(6)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
【0019】
また、本発明の第2態様の製造方法は、以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法である。
(1)バイオセンサの境界となる部分の一部を切り出し除去した親水性の多孔性シートの両面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
(2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカ有するアノードパターンをその反対側の面に形成する。
(3)カソードパターンの形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、アノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いてプラスチックシートで被覆する。
(4)得られた多孔性シートからバイオセンサを切り出す。
(5)感応部に生体関連物質を固定して生体関連物質固定層を形成する。
(6)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
【0020】
さらに、本発明の第3の態様の製造方法は、以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法である。
(1)親水性の多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
(2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンと、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンとを絶縁膜を形成した面に形成する。
(3)カソードパターンおよびアノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、その反対側の面の全面に撥水性の絶縁膜を形成するかまたはプラスチックシートで被覆する。
(4)得られた多孔性シートからバイオセンサを切り出し、前記バイオセンサの側面を酸素透過性材料で被覆する。
(5)感応部に生体関連物質を固定して生体関連物質固定層を形成する。
(6)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
【0021】
さらに、また、本発明の第4の態様の製造方法は、以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法である。
(1)バイオセンサの境界となる部分の一部を切り出し除去した親水性の多孔性シートの片面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
(2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンと、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンとを絶縁膜を形成した面に形成する。
(3)カソードパターンおよびアノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、その反対側の面の全面に撥水性の絶縁膜を形成するかまたはプラスチックシートで被覆する。
(4)得られた多孔性シートからバイオセンサを切り出す。
(5)感応部に生体関連物質を固定して生体関連物質固定層を形成する。
(6)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
【0022】
本発明の製造方法によれば、バイオセンサを一括して大量に製造することができる。特に第2および第4の態様の製造方法によれば、予め多孔性シートのバイオセンサの境界部分を切り出し除去しているので、多孔性シートからバイオセンサを切り出したときに、断面に多孔性シートがパッド部分を除いて露出せず、バイオセンサ側面が被覆された状態になっているので、バイオセンサ側面の被覆工程を省略できる。
【0023】
生体関連物質が微生物である場合には、該微生物を光硬化性樹脂と混合し、前記感応部に塗布した後、紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させることによって生体関連物質固定層を形成することができる。
【0024】
好ましくは、酸素透過性材料はシリコーンゴムである。酸素透過性材料としてシリコーンゴム等の塗布可能な酸素透過性材料を用いた場合には、以下の(a)〜(d)の製造方法のように、酸素透過性材料の塗布と生体関連物質固定層の形成を同時に行うことができ、独立した生体関連物質固定層作製の工程を省略できる。
【0025】
(a)以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
(1)親水性の多孔性シートの両面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
(2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンを片面に、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンをその反対側の面に形成する。
(3)カソードパターンの形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、アノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料またはプラスチックシートで被覆し、その際、微生物の懸濁液をメンブランフィルターにより濾過し、該微生物を該メンブランフィルター上に吸着固定した後、これを自然乾燥して得たメンブランフィルターの該微生物の吸着固定されている面を、酸素透過性材料の塗布直後かつ硬化前に酸素透過性材料上に接着することにより感応部に生体関連物質固定層を形成する。
(4)多孔性シートからバイオセンサを切り出し、バイオセンサの側面を酸素透過性材料で被覆する。
(5)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
【0026】
(b)以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
(1)バイオセンサの境界となる部分の一部を切り出し除去した親水性の多孔性シートの両面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
(2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンを片面に、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンをその反対側の面に形成する。
(3)カソードパターンの形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、アノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いてプラスチックシートで被覆し、その際、微生物の懸濁液をメンブランフィルターにより濾過し、該微生物を該メンブランフィルター上に吸着固定した後、これを自然乾燥して得たメンブランフィルターの該微生物の吸着固定されている面を、酸素透過性材料の塗布直後かつ硬化前に酸素透過性材料上に接着することにより感応部に生体関連物質固定層を形成する。
(4)多孔性シートからバイオセンサを切り出す。
(5)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
【0027】
(c)以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
(1)親水性の多孔性シートの片面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
(2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンと、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンとを絶縁膜を形成した面に形成する。
(3)カソードパターンおよびアノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、その反対側の面の全面に撥水性の絶縁膜を形成するかまたはプラスチックシートで被覆し、その際、微生物の懸濁液をメンブランフィルターにより濾過し、該微生物を該メンブランフィルター上に吸着固定した後、これを自然乾燥して得たメンブランフィルターの該微生物の吸着固定されている面を、酸素透過性材料の塗布直後かつ硬化前に酸素透過性材料上に接着することにより感応部に生体関連物質固定層を形成する。
(4)多孔性シートからバイオセンサを切り出し、前記バイオセンサの側面を酸素透過性材料で被覆する。
(5)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
【0028】
(d)以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
(1)バイオセンサの境界となる部分の一部を切り出し除去した親水性の多孔性シートの片面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
(2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンと、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンとを絶縁膜を形成した面に形成する。
(3)カソードパターンおよびアノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除い
て酸素透過性材料で被覆するとともに、その反対側の面の全面に撥水性の絶縁膜を形成するかまたはプラスチックシートで被覆し、その際、微生物の懸濁液をメンブランフィルターにより濾過し、該微生物を該メンブランフィルター上に吸着固定した後、これを自然乾燥して得たメンブランフィルターの該微生物の吸着固定されている面を、酸素透過性材料の塗布直後かつ硬化前に酸素透過性材料上に接着することにより感応部に生体関連物質固定層を形成する。
(4)多孔性シートからバイオセンサを切り出す。
(5)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
<1>本発明のバイオセンサ
本発明で使用される親水性の多孔性シート1は、電解液をしみこませて保持するために用いられるものであり、その上に密着性よく絶縁膜を形成することができ、カソードおよびアノードとなるべき金属パターンの密着性が良好なものであれば特に制限はない。このような多孔性シート1としては、濾紙、ニトロセルロース製のメンブランフィルターが挙げられる。好ましくは濾紙であり、市販のものを使用できる。
【0030】
多孔性シートの厚さは、通常、100〜300μmであり、大きさは用途によって変わるが、通常、0.2〜0.5cm×1〜2cmである。
多孔性シート1上に形成される撥水性の絶縁膜2は、通常、撥水性のポリマーで構成され、使用されるポリマーは以下の条件を満たす必要がある。
▲1▼紙などの多孔性シート1にしみこんで、多孔性シート1を撥水性にしない。
▲2▼絶縁膜2上に形成される金属の電極パターンとの密着性が実用上十分である。
【0031】
このようなポリマーの例としては、ポリイミド、シリコーンゴム(酸素透過性材料)等が挙げられる。
絶縁膜2は、上記ポリマーを塗布して形成されたものでもよいし、上記ポリマーから成るシートを接着剤等で接着して形成されたものでもよい。シートに接着剤を塗布したものとしては、テープがある。なお、テープを用いた場合には、上記▲1▼および▲2▼の条件に加えて次の条件を満たす必要がある。
▲3▼多孔性シートに電解液がしみこみ、テープが水に濡れてもはがれない。この条件は完璧に満たされる必要はないが、少なくともユーザー電解液を多孔性シートにしみこませ、バイオセンサを使用する間には剥がれないようなものでなければならない。
【0032】
絶縁膜2の厚さは、それを構成する材料によるが、通常には、50〜100μmである。
カソード3およびカソード3が外部との電気コンタクトをとるためのパッド5を有するカソードパターンは絶縁膜2上から多孔性シート1上に延在する。すなわち両方の上にまたがって存在する。なお、アノード6についても同様である。
【0033】
カソード3およびアノード6を構成する材料は導電性のものであって、測定溶液等と反応しないものであれば特に制限はないが、銀が好ましく用いられる。
カソードパターンおよびアノードパターンの形状に特に制限はなく、カソード3とアノード6を別の面に形成する場合、特にパターニングをせずに全面に形成するだけですますことができる。本明細書で使用する「パターン」という用語はこのような全面に形成された形状も包含するものである。いずれにおいても、多孔性シート1(多孔性シート中の電解液)に接触する部分がカソード3およびアノード6として機能する。好ましくは、カソード3とパッド5の間にリード線4の部分を設け、カソード3およびリード線4の部分の幅を細く形成する(図1(b))。この幅は、通常には、0.05〜0.2mmである。
【0034】
カソード3およびアノード6をそれぞれ別の面に形成すると(第1の態様のバイオセンサ)、デッドスペースを減らすことができ、レイアウトの点で有利な上、絶縁膜とカソードおよびアノードのパターンがより単純になり、作りやすくなる。一方、カソード3およびアノード6を同一の面に形成してもよい(第2の態様のバイオセンサ)(図2)。この場合には、裏面の絶縁層が、多孔性シートが露出しないように全面に形成されるか、または、プラスチックシートで全面が被覆される。プラスチックシートによる被覆は該シートを接着剤等で接着することによって行うことができる。必要に応じ、さらに酸素透過性材料を絶縁膜として形成してもよい。
【0035】
なお、ここで、カソードリード線4は絶縁層2と酸素透過性材料8に挟まれる形で絶縁されているが、酸素透過性材料8だけでは絶縁が不十分な場合には、リード線4の上にもう1層絶縁膜を形成することが好ましい(図3)。
【0036】
酸素透過性材料8としては、特に制限はないが、シリコーンゴムが好ましく使用される。酸素透過性材料8の層の厚さは、その種類によるが、通常、カソード3上の厚さが50〜200μmである。
【0037】
生体関連物質とは、試料中の測定物質に作用できる微生物、酵素等である。これらは、バイオセンサの用途によって適宜選択される。生体関連物質の感応部への固定は公知の方法によって行うことができ、例えば、微生物を光硬化性樹脂と混合し、感応部に塗布し、硬化させることによって固定できる。あるいは、メンブランフィルターで微生物の培養液を濾過し、乾燥させて、メンブランフィルター上に微生物を吸着固定したものを感応部に接着してもよい。なお、感応部とは、カソード3付近の酸素透過性材料8の膜上を意味し、そこで生じた生体関連物質の作用の影響が十分に、トランスデューサである酸素電極、一層具体的にはカソード3に及ぶ部位のことである。この感応部で試料中の測定物質の反応が生じ、測定物質の定量がなされる。
【0038】
電解液には特に制限はなく適宜のものが使用される。例えば、塩化カリウム水溶液が使用できる。
本発明のバイオセンサの使用にあたっては、アノード6に対し、カソード3に、例えば、−1.0Vの一定電圧を印加すればよい。これにより、カソード3表面で酸素の還元反応が起こるようになり、酸素濃度に比例した電流値が信号として得られるようになる。アノード側では主に塩化銀の形成される反応が進行し、安定な基準電位が得られる。このバイオセンサを緩衝液中に浸漬し、安定させた状態で、試料液を一定量加えると、生体関連物質が酵母等の微生物の場合には試料液中の栄養分等の測定物質を資化し、その際呼吸活性が高まり、酸素の消費量が増える。この変化は電流値の減少となって現れるので、例えば、これを指標としてBOD値を求めることができる。
【0039】
本発明のバイオセンサにおいて、カソードを形成した部分は、酸素透過膜−カソード−電解質層(電解液を含む多孔性シート)の配置になっており、酸素は、まず酸素透過膜を通過した後、電解質層に入り、電解質層側から回り込んでカソードに達し、カソードで還元される。このような構造を採用することで、小型で応答性に優れたバイオセンサを安価な材料を用いて大量一括生産することが可能になる。
【0040】
なお、典型的にはアノード6はカソード3の形成される面と反対側の面の全面にパターニングせずに形成される。しかし、カソード3に対してアノード6の面積比が大きいと、塩化銀層がなかなか形成されず、アノード電位が安定しない場合がある。この場合には、図4のようにアノード6の一部のみを露出させて、大部分を絶縁膜で覆うようにすればよい。露出する部分の面積はカソード3と同程度でよいが、アノード側の反応が律速にならないように図1(b)のAの幅を十分に取ることが好ましい。塩化銀の形成は銀の露出している部分にとどまらず絶縁膜で覆われた部分にも進行する。このため、安定化時間の短縮と長寿命化の利点を両立できる。
【0041】
上記バイオセンサの変形例として、差動型センサを作製することができる。すなわち、トランスデューサとなるべき酸素電極を2個並列的にならべ、一方の感応部に生体関連物質を固定し、他方には生体関連物質を固定しない(第3の態様のバイオセンサ)(図7)。これにより、測定溶液の溶存酸素濃度の変動の影響を減らすことができる。なお、固定に光硬化性樹脂などの担体を使用する場合には、生体関連物質のない方にも担体の層を形成しておくと、2個の感応部の特性がそろいやすくなり、センサの精度が向上する。また、トランスデューサとして2個の独立した酸素電極を使用するのではなく、1個のバイオセンサ内にカソード3を2個有し、1個のアノード6を共有する構造とすることもできる(第5の態様のバイオセンサ)(図8)。また、これらのカソードとアノードを同じ面に形成することもできる(第4および第6のバイオセンサ)。
【0042】
次に、上記に説明した本発明のバイオセンサの製造方法について説明する。なお、以下の説明においては、製造途中のバイオセンサをチップともいう。
【0043】
<2>本発明の製造方法
先ず、本発明の第1の態様の製造方法を工程毎に説明する。なお、説明の便宜のために図には1個のチップを示すが、実際には複数のチップが一括製造される。また、図1、図2、図6(a)、図7及び図8においては、図示の便宜のため、酸素透過膜8を省略している。
【0044】
(1)絶縁膜の形成
親水性の多孔性シートの両面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
【0045】
該多孔性シートの一部が露出するようにして絶縁膜を形成する方法としては、(a)多孔性シート上にマスクをした上で、絶縁膜の材料をスプレーで塗布し、乾燥する方法や、(b)絶縁膜としてテープを貼り付ける方法がある。(a)の方法の場合に使用されるマスクとしては、必ずしもスクリーン印刷に用いられるような高精度なものである必要はなく、プラスチックシートの一部を切り向いたようなもので十分である。(b)の方法の場合、テープの端部が次の工程のパターン形成において垂直に切り立った段差となり、パターンが十分に形成されないことがある。このような場合には、段差の付近のみに撥水性ポリマー(例えばシリコーンゴム)のパターンを形成しておけばよい。
【0046】
(2)カソードおよびアノードのパターンの形成
前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンを片面に、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンをその反対側の面に形成する。
【0047】
パターンの形成は、スクリーン印刷、真空蒸着、スパッタなどの種々の方法で行うことができるが、費用の面からはスクリーン印刷のような簡便な方法を用いるのが好ましい。
【0048】
(3)酸素透過膜の形成
カソードパターンの形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、アノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料またはプラスチックシートで被覆する。
【0049】
酸素透過性材料がシリコーンゴムの場合には、シリコーンゴムを塗布し、80℃の水蒸気を飽和させた雰囲気下で1時間ベーキングするという方法が例示できる。膜形成にあたり、パッドの部分には、剥離の容易なテープを貼って保護し、シリコーンゴムが硬化後、パッド部分のテープを剥がす。あるいは(1)と同様にマスクを使用してパッド部分を除いた膜形成を行う。
【0050】
この被覆によりカソード上に形成された部分が酸素透過膜として機能する。
アノードを形成した面では、酸素透過膜の機能は要求されないので、酸素透過性材料で被覆する代わりに、プラスチックシートを接着剤等で接着して被覆してもよい。
【0051】
カソード側の面とアノード側の面の被覆はどちらを先に行っても、また、同時にしてもよい。
【0052】
(4)チップの切り出し
得られた多孔性シートからチップを切り出し、前記チップの側面を酸素透過性材料で被覆する。
【0053】
多孔性シート上に一括して形成された酸素電極をはさみまたはカッターナイフなどで切り離す。この際、切断面に多孔性シートが露出するので、電解液注入口として一部を残して(3)と同様の酸素透過性材料で側面も被覆する。
【0054】
(5)生体関連物質の固定
感応部に生体関連物質を固定して生体関連物質固定層を形成する。
例えば、測定物質に適した微生物を培養し、菌体を遠心分離により分離し、分離した菌体を光硬化性樹脂等の担体と混合し、感応部(カソード付近の酸素透過性膜上)に塗布した後、紫外線を照射して硬化させる方法が好ましく使用される。BODセンサの場合には、例えば、微生物として酵母Trichosporon cutaneumが使用できる。
【0055】
なお、この工程は(4)の工程の前に一括して行ってもよい。
【0056】
(6)電解質の注入
電解液をチップの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
電解質注入口が設けてあるのでチップ全体を電解液に浸漬することにより電解液を注入できる。
【0057】
以上の工程により、本発明のバイオセンサを得ることができる。また、親水性の多孔性シートを撥水性の絶縁膜をその上に形成する前に、チップの境界となる部分の一部を切り出し除去してもよい(第2の態様の製造方法)(図6)。通常、除去せずに残る部分はパッド部分になるようにし、ここが電解質液の注入工程で電解質液注入口となる。その他の工程は、基本的に、第1の態様の製造方法と同様であるが、この場合、チップの切り出し工程において、チップを切り出した際に、断面に多孔性シートが不必要に露出しないので、チップ側面の被覆工程を省略できるという利点がある。また、プラスチックシートを用いると強度的に優れたセンサが得られる。
【0058】
また、カソードおよびアノードを同じ面に形成する場合には、上記の製造方法において、(1)〜(3)の工程を以下のように行えばよい。
(1)親水性の多孔性シートをそのまままたはチップの境となる部分の一部を切り出し除去して用い、該多孔性シートの片面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
(2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンと、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンとを絶縁膜を形成した面に形成する。
(3)カソードパターンおよびアノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、その反対側の面の全面に撥水性の絶縁膜を形成するかまたはプラスチックシートで被覆する。
【0059】
また、酸素透過性材料がシリコーンゴム等の塗布可能な酸素透過性材料であって、生体関連物質が微生物である場合には、微生物の懸濁液をメンブランフィルターにより濾過し、該微生物を該メンブランフィルター上に吸着固定した後、これを自然乾燥して得たメンブランフィルターの該微生物の吸着固定されている面を、酸素透過性材料の塗布直後かつ硬化前に酸素透過性材料上に接着することにより感応部に生体関連物質固定層を形成することができる。この場合は、シリコーンゴム等の塗布可能な酸素透過性材料の硬化条件として常温放置などの穏和な条件が採用される。メンブランフィルターは使用する微生物の細胞の大きさにあわせて適宜選択される。このようにした場合、切り出し後の生体関連物質の固定工程を行う必要がない。
【0060】
なお、複数の工程において酸素透過性材料の被覆または塗布が行われる場合、各工程で使用される酸素透過性材料は同一でも異なっていてもよい。
差動型バイオセンサも上記の製造方法を応用して製造することができる。
【0061】
【実施例】
以下、実施例を参照して本発明を説明する。なお、一枚のシート上に多数の小型バイオセンサが一括して作製されるが、便宜上、図面には1個(1チップ分)のバイオセンサを示す。
【0062】
【実施例1】
(1)絶縁膜の形成
親水性の多孔性シート1として濾紙(ワットマン社製、厚さ180μm)を用い、その両面にマスクをして、濾紙の一部を露出させた状態で、撥水性ポリマー(ユニバーサル製、プラスティディップ)をスプレーで塗布し乾燥することにより、厚さ約50μmの絶縁膜2を濾紙の両面に形成した(図1(a))。
【0063】
(2)カソードおよびアノードの形成
(1)で形成した絶縁膜を有する濾紙に、絶縁膜および濾紙の上に延在するように、カソード3、カソードリード線4およびカソード用パット5の部分を有するカソードパターンならびにアノード6およびアノード用パット7の部分を有するアノードパターンを形成した。カソードパターンおよびアノードパターンは銀から成り、それぞれスパッタで1μm厚になるように形成した(図1(b))。
【0064】
(3)酸素透過膜の形成
カソード3を形成した面にシリコーンゴム(信越化学製、KE4895)を塗布し、80℃の水蒸気を飽和させた雰囲気下で1時間ベーキングした。次いで、同様にして、アノード6を形成した面にも同じシリコーンゴムを塗布しベーキングを施した。なお、それぞれの膜形成にあたっては、測定器に接続する際のコンタクトとなるパッド5、7の部分は剥離の容易なテープを貼って、シリコーンゴムがつかないように保護した。両面のシリコーンゴムが硬化した後、上記のパッド部分のテープをはがした(図1(c))。
【0065】
(4)チップの切り離し
濾紙上に一括して形成された酸素電極をはさみまたはカッターナイフにより切り離した。この際、切断面に濾紙が露出するので、電解液注入口9を残して(3)で用いたのと同じシリコーンゴムを側面にも塗布し、硬化させた。
【0066】
(5)酵母の培養
酵母Trichosporon cutaneumをpH 7.0のBacto YM broth(DIFCO Laboratories製)培地中で30℃で18時間培養した。
【0067】
(6)菌体の分離
培養した酵母を1500 rpmで15分間遠心分離した後、リン酸緩衝液(100 mM、pH 7.0)で2回洗浄し、再度遠心分離を行った。
【0068】
(7)酵母の固定
(6)で得られた酵母と光硬化性樹脂(関西ペイント製、ENT-3400)とリン酸緩衝液を1:1:1の重量比で混ぜ、カソード3を覆うように塗布し、窒素雰囲気下で紫外線を3分間照射して樹脂を硬化させ、酵母を固定した(図1(d))。得られた酵母固定層を常温のリン酸緩衝液中に一晩浸漬した。
【0069】
(8)電解液の注入
(7)までの工程で得られたチップ全体を電解液(塩化カリウム水溶液)中に浸漬し、濾紙が露出している部分すなわち電解液注入口9から電解液をしみこませた。
【0070】
以上の工程により、BODセンサが得られた。
【0071】
【実施例2】
(1)絶縁膜の形成
親水性の多孔性シート1として濾紙(ワットマン社製、厚さ180μm)を用い、その両面に、絶縁膜2としてポリイミドテープ(住友スリーエム製、カプトンフィルムテープNo.5413(商標)、厚さ70μm)を位置合わせをした上で張り付けた。
【0072】
(2)カソードおよびアノードの形成
実施例1と同様にして、(1)で形成した絶縁膜2上に銀のカソードパターンおよびアノードパターンを形成した。
【0073】
(3)酵母の培養および吸着固定
実施例1と同様にして酵母を培養し、培養液1mlをメンブランフィルター(ミリポア製、VMWP09025、孔径0.5μm)で濾過し、さらに、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で3回洗浄した。次いで、十分に乾燥して吸着固定した。
【0074】
(4)酸素透過膜の形成および酵母の固定
カソード3を形成した面にシリコーンゴム(信越化学製、KE4895)を塗布し、その直後に、(3)で得られたメンブランフィルターを適当な形に切断し、酵母の吸着固定された面をシリコーンゴム上に貼り付け、酵母を固定した。シリコーンゴムの硬化は、水蒸気を飽和させた雰囲気下で常温で行った。メンブランフィルターを貼り付けないこと以外は同様にして、アノード6が形成された面にもシリコーンゴムを塗布し、硬化させた。なお、それぞれの膜形成にあたっては、測定器に接続する際のコンタクトを取るパッドの部分は、実施例1と同様にしてシリコーンゴムがつかないように保護した。
【0075】
(5)チップの切り離し
濾紙上に一括して形成された酸素電極をはさみまたはカッターナイフにより切り離した。実施例1と同様、電解液注入口9を残して(4)と同じシリコーンゴムを側面にも塗布した。
【0076】
(6)電解液の注入
実施例1と同様にして行った。
この方法で作成した小型BODセンサの感応部を0.1Mリン酸緩衝液中に浸漬し、標準試料を添加したときの応答を図5に示す。
【0077】
【実施例3】
(1)絶縁膜、カソードおよびアノードの形成
実施例1と同様にして、濾紙上に絶縁層2を形成し、その上にカソードパターンおよびアノードパターンを形成した。但し、パッド付近以外のチップ境界付近の部分を切り抜いた濾紙を使用した(図6(a))。
【0078】
(2)プラスチックシートの接着
アノード用パッド7の部分を露出させる形状のポリエステルシート(厚さ100μm)10の全面に接着剤(エポキシ接着剤)11をスピンコーティングし、直ちに(1)で得られた濾紙のカソード3の形成されていない方の面に接着した。
【0079】
(3)酸素透過膜形成および酵母固定
実施例2と同様にして、カソード3の形成された面に酸素透過膜となるシリコーンゴムをパッド5の部分を除いて塗布した。酵母の固定は実施例2と同様にして行った。
【0080】
(4)チップの切り離し
濾紙上に一括して形成された酸素電極をはさみまたはカッターナイフにより切り離した。チップのパッドの部分以外の境界の部分は、ポリエステルシート−接着剤−シリコーンゴムの積層構造となっており、外部の水溶液がしみ込まないようになっているため、シリコーンゴムを側面に塗布する必要はなかった(図6(b))。
【0081】
(5)電解液の注入
実施例2と同様に行った。パッドの部分の濾紙が露出している部分から電解液は注入された。
【0082】
【実施例4】
トランスデューサとなる酸素電極を2個並列に並べ、一方に酵母を固定し、他方には光硬化性樹脂とリン酸緩衝液だけで固定層を作製する他は実施例1と同様にして差動型センサを作製する。
【0083】
【実施例5】
トランスデューサとなる酸素電極を2個並列に並べ、一方に酵母を固定し、他方には酵母を吸着固定しないメンブランフィルターを用いる他は実施例2と同様にして差動型センサを作製する。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、安価な材料を用いて一括大量生産でき、しかも応答性に優れた小型のバイオセンサおよびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および2による小型バイオセンサの構造および作製方法を示す。
【図2】カソードとアノードを同一面に形成した場合のレイアウトの例を示す。
【図3】カソードリード線用絶縁層を追加した態様の断面図を示す。
【図4】アノードの一部を露出させ、大部分を絶縁膜で被覆した態様の断面図を示す。
【図5】実施例2による小型バイオセンサの応答の様子を示す。
【図6】実施例3による小型バイオセンサの構造および作成方法を示す。(a)は平面図であり、(b)は(a)のa−a’線に沿った断面図である。
【図7】差動型バイオセンサの構造の一例を示す。
【図8】差動型バイオセンサにおいてアノードを共通にした構造の一例を示す。
【符号の説明】
1 多孔性シート
2 絶縁膜
3 カソード
4 カソードリード線
5 カソード用パッド
6 アノード
7 アノード用パッド
8 酸素透過膜
9 電解液注入口
10 プラスチックシート
11 接着剤
12 生体関連物質固定層

Claims (22)

  1. 親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンが形成され、また該多孔性シートの反対側の面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンが形成され、バイオセンサの側面およびカソードの形成された面がパッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、アノードの形成された面がパッド部分を残して酸素透過性材料またはプラスチックシートで被覆され、感応部に生体関連物質固定層が形成され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされていることを特徴とする小型バイオセンサ。
  2. 親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンならびにアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンが形成され、また該多孔性シートの反対側の面は全面に撥水性の絶縁膜が形成されるかプラスチックシートで被覆されており、バイオセンサの側面ならびにカソードおよびアノードの形成された面がそれぞれのパッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、感応部に生体関連物質固定層が形成され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされていることを特徴とする小型バイオセンサ。
  3. 親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンが形成され、また該多孔性シートの反対側の面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンが形成され、バイオセンサの側面およびカソードの形成された面が
    パッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、アノードの形成された面がパッド部分を残して酸素透過性材料またはプラスチックシートで被覆され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされた構造体が2個並列的に配置されており、片方の感応部には生体関連物質固定層を形成し、他方の感応部はそのまま露出させておくかまたは前記生体関連物質固定層を形成したのと同じ担体材料のみを固定したことを特徴とする差動型小型バイオセンサ。
  4. 親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンが2つ形成され、また該多孔性シートの反対側の面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンが形成され、バイオセンサの側面およびカソードの形成された面がパッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、アノードの形成された面がパッド部分を残して酸素透過性材料またはプラスチックシートで被覆され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされ、片方の感応部には生体関連物質固定層を形成し、他方の感応部はそのまま露出させておくかまたは前記生体関連物質固定層を形成したのと同じ担体材料のみを固定したことを特徴とする差動型小型バイオセンサ。
  5. 親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンならびにアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンが形成され、また該多孔性シートの反対側の面は全面に撥水性の絶縁膜が形成されるかプラスチックシートで被覆されており、バイオセンサの側面ならびにカソードおよびアノードの形成された面がそれぞれのパッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされた構造体が2個並列的に配置されており、片方のカソード付近には生体関連物質固定層を形成し、他方のカソード付近はそのまま露出させておくか、前記生体関連物質固定層を形成したのと同じ担体材料のみを固定したことを特徴とする差動型小型バイオセンサ。
  6. 親水性の多孔性シートの片面の一部に撥水性の絶縁膜が形成され、この絶縁膜上から多孔性シート上に延在するようにカソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンが独立して2つとアノードおよびアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンとが形成され、また該多孔性シートの反対側の面は全面に撥水性の絶縁膜が形成されるかプラスチックシートで被覆されており、バイオセンサの側面ならびにカソードおよびアノードの形成された面がそれぞれのパッド部分を残して酸素透過性材料で被覆され、該親水性の多孔性シート中に電解液がしみこまされ、片方のカソード付近には生体関連物質固定層を形成し、他方のカソード付近はそのまま露出させておくか、前記生体関連物質固定層を形成したのと同じ担体材料のみを固定したことを特徴とする差動型小型バイオセンサ。
  7. 前記多孔性シートが紙である請求項1〜6のいずれか1項に記載の小型バイオセンサ。
  8. 前記のカソードおよびアノードのいずれもが銀である請求項1〜7のいずれか1項に記載の小型バイオセンサ。
  9. 前記カソードパターンは前記カソードと前記パッドの間にカソード用リード線を有し、該カソード用リード線が2層の絶縁膜に挟まれており、さらにその上を酸素透過性材料が覆っている請求項1〜8のいずれか1項に記載の小型バイオセンサ。
  10. 前記酸素透過性材料がシリコーンゴムである請求項1〜9のいずれか1項に記載の小型バイオセンサ。
  11. 前記アノードの一部分が電解液と接触し、その他の部分が絶縁膜で被覆されている請求項1〜10のいずれか1項に記載の小型バイオセンサ。
  12. 前記生体関連物質固定層が、酵母Trichosporon cutaneumを固定した層である請求項1〜11のいずれか1項に記載の小型バイオセンサ。
  13. 以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
    (1)親水性の多孔性シートの両面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
    (2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンを片面に、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンをその反対側の面に形成する。
    (3)カソードパターンの形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、アノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料またはプラスチックシートで被覆する。
    (4)得られた多孔性シートからバイオセンサを切り出し、前記バイオセンサの側面を酸素透過性材料で被覆する。
    (5)感応部に生体関連物質を固定して生体関連物質固定層を形成する。
    (6)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
  14. 以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
    (1)バイオセンサの境界となる部分の一部を切り出し除去した親水性の多孔性シートの両面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
    (2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンを片面に、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンをその反対側の面に形成する。
    (3)カソードパターンの形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、アノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いてプラスチックシートで被覆する。
    (4)得られた多孔性シートからバイオセンサを切り出す。
    (5)感応部に生体関連物質を固定して生体関連物質固定層を形成する。
    (6)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
  15. 以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
    (1)親水性の多孔性シートの片面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
    (2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンと、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンとを絶縁膜を形成した面に形成する。
    (3)カソードパターンおよびアノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、その反対側の面の全面に撥水性の絶縁膜を形成するかまたはプラスチックシートで被覆する。
    (4)得られた多孔性シートからバイオセンサを切り出し、前記バイオセンサの側面を酸素透過性材料で被覆する。
    (5)感応部に生体関連物質を固定して生体関連物質固定層を形成する。
    (6)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
  16. 以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
    (1)バイオセンサの境界となる部分の一部を切り出し除去した親水性の多孔性シートの片面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
    (2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンと、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンとを絶縁膜を形成した面に形成する。
    (3)カソードパターンおよびアノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除い
    て酸素透過性材料で被覆するとともに、その反対側の面の全面に撥水性の絶縁膜を形成するかまたはプラスチックシートで被覆する。
    (4)得られた多孔性シートからバイオセンサを切り出す。
    (5)感応部に生体関連物質を固定して生体関連物質固定層を形成する。
    (6)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
  17. 前記生体関連物質が微生物であり、該微生物を光硬化性樹脂と混合し、前記感応部に塗布した後、紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させることによって前記生体関連物質固定層を形成する請求項13〜16のいずれか1項に記載の製造方法。
  18. 以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
    (1)親水性の多孔性シートの両面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
    (2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンを片面に、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンをその反対側の面に形成する。
    (3)カソードパターンの形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、アノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料またはプラスチックシートで被覆し、その際、微生物の懸濁液をメンブランフィルターにより濾過し、該微生物を該メンブランフィルター上に吸着固定した後、これを自然乾燥して得たメンブランフィルターの該微生物の吸着固定されている面を、酸素透過性材料の塗布直後かつ硬化前に酸素透過性材料上に接着することにより感応部に生体関連物質固定層を形成する。
    (4)多孔性シートからバイオセンサを切り出し、バイオセンサの側面を酸素透過性材料で被覆する。
    (5)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
  19. 以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
    (1)バイオセンサの境界となる部分の一部を切り出し除去した親水性の多孔性シートの両面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
    (2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンを片面に、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンをその反対側の面に形成する。
    (3)カソードパターンの形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、アノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いてプラスチックシートで被覆し、その際、微生物の懸濁液をメンブランフィルターにより濾過し、該微生物を該メンブランフィルター上に吸着固定した後、これを自然乾燥して得たメンブランフィルターの該微生物の吸着固定されている面を、酸素透過性材料の塗布直後かつ硬化前に酸素透過性材料上に接着することにより感応部に生体関連物質固定層を形成する。
    (4)多孔性シートからバイオセンサを切り出す。
    (5)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
  20. 以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
    (1)親水性の多孔性シートの片面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
    (2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンと、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンとを絶縁膜を形成した面に形成する。
    (3)カソードパターンおよびアノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、その反対側の面の全面に撥水性の絶縁膜を形成するかまたはプラスチックシートで被覆し、その際、微生物の懸濁液をメンブランフィルターにより濾過し、該微生物を該メンブランフィルター上に吸着固定した後、これを自然乾燥して得たメンブランフィルターの該微生物の吸着固定されている面を、酸素透過性材料の塗布直後かつ硬化前に酸素透過性材料上に接着することにより感応部に生体関連物質固定層を形成する。
    (4)多孔性シートからバイオセンサを切り出し、前記バイオセンサの側面を酸素透過性材料で被覆する。
    (5)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
  21. 以下の工程を含む小型バイオセンサの製造方法。
    (1)バイオセンサの境界となる部分の一部を切り出し除去した親水性の多孔性シートの片面に、該多孔性シートの一部が露出するようにして撥水性の絶縁膜を形成する。
    (2)前記絶縁膜から前記多孔性シート上に延在するように、カソードおよびカソードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するカソードパターンと、アノードとアノードが外部との電気コンタクトをとるためのパッドを有するアノードパターンとを絶縁膜を形成した面に形成する。
    (3)カソードパターンおよびアノードパターンが形成された面を前記パッド部分を除いて酸素透過性材料で被覆するとともに、その反対側の面の全面に撥水性の絶縁膜を形成するかまたはプラスチックシートで被覆し、その際、微生物の懸濁液をメンブランフィルターにより濾過し、該微生物を該メンブランフィルター上に吸着固定した後、これを自然乾燥して得たメンブランフィルターの該微生物の吸着固定されている面を、酸素透過性材料の塗布直後かつ硬化前に酸素透過性材料上に接着することにより感応部に生体関連物質固定層を形成する。
    (4)多孔性シートからバイオセンサを切り出す。
    (5)電解液をバイオセンサの一部から前記多孔性シートにしみこませる。
  22. 前記酸素透過性材料がシリコーンゴムである請求項13〜21のいずれか1項に記載の製造方法。
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