【発明の詳細な説明】
固定化酵素電極
本発明は本発明者らの英国特許明細−第8712445号(公開番号第GB−A
−2,191,003号)中に開示した種類の酵素電極の改良又は修飾に関する
。
この明細書中で、改良した感度と迅速な応答時間の酵素電極を開示しているが、
これは導電性の炭素基材、さらに詳細には、酵素がその上に固定化しである不均
一多孔質表面層を有しており且つ本質的に樹脂結合した炭素又は黒鉛粒子の多孔
性マトリックス中に均一に分散させた白金族金属、たとえば白金又はパラジウム
、の微細な粒子から成っている、導電性炭素基材を包含している。好適な樹脂結
合剤は疎水性樹脂結合剤、特にふっ素樹脂、とりわけポリテトラフルオロエチレ
ンである。
不均一、多孔質表面層は、下層の導電性支持体、たとえば、金属板又は一層好ま
しくは導電性炭素紙の薄板上の樹脂結合表面層として形成せしめることが好まし
い。あるいは、多孔質表面層は、導電性繊維、たとえば、炭素繊維のフィラメン
ト状ウェブ上の樹脂結合表面層として形成せしめることができる。
あるいはまI;、不均一な多孔質の表面層は、全体的に実質的に均一に分散した
該微細な白金族金属を有する樹脂結合した炭素又は黒鉛粒子の一体的な自己支持
性の層とすることができる。
微細な白金族金属を含有する樹脂結合炭素又は黒鉛粒子層は、該炭素又は黒鉛粒
子及び該微細白金族金属を含有する均一な混合物を適当に成形することによって
形成せしめることができるけれども、微細な白金族金属を、該樹脂結合層を形成
させるための成形以前に、炭素又は黒鉛粒子の表面上に予備吸着させることが好
ましい。英国特許第1.357.494号、米国特許第4,044,193号及
び米国特許第4.166.143号又はそれらの継続的翻案である米国特許第4
.229,490号及び米国特許第4.293.396号中に詳細に開示されて
いる方法に従って製造した材料は実際に商業的に入手することができ、それ故、
燃料電池中の気体拡散電極として用いることができ、且つ米国マサチューセッツ
州のプロトチック カンパニー−オプ ニュートン ハイランズから入手するこ
とができる。
上に記し且つ過去の特許文献中に一層詳細に開示されている新規酵素電極は、湿
潤時のきわめて迅速な応答時間、高い出力電流密度、顕著な貯蔵安定性を与え且
つ低背景ノイズを与える比較的低い動作電位を必要とするにすぎないという点で
、きわめて有利であるけれども、このような酵素電極は、アルコール感応性であ
るということ、すなわち、アルコール、特にエタノールの存在においては、誤ま
った読み及び背景電流の全般的な増大を生じさせ、かくして、ある程度の量のア
ルコール(エタノール)を含有する試料中の被分析物、たとえば、グルコース、
の信頼できる定量のためには使用することができないということが見出されてい
る。
本発明の第一の局面においては、このようなアルコール感応性は、制御した酸化
処理が施してあり、それによって金属粒子の表面上に薄い酸化物膜が形成させで
ある微細な白金を、微細な白金族金属として使用することによって、抑制するこ
とができるということが見出された。これは電極基材の形成以前に、すなわち、
白金化炭素又は黒鉛粒子、すなわち微細な白金金属と炭素又は黒鉛の粉末状混合
物の成形前に行なうことができるけれども、表面酸化は、金属粒子をその場で陽
極酸化することによって、たとえば、酸素の固定の前又は後、好ましくは前に行
なうことができる分極処理を電極材料に施すことによって、一層容易に達成する
ことができる。
第二の局面において、前記の種類の酵素電極中で白金族金属を全体的又は部分的
に酸化白金によって置き換えることができることが見出された。前記のように、
固定化酵素のだめの導電性支持体は、粉末状の炭素又は黒鉛、付加的な微細な白
金族の金属を伴なうか又は伴なわない粉末状の酸化白金及び樹脂結合剤、好まし
くは疎水性樹脂結合剤、たとえばポリテトラフルオロエチレンのようなふっ素樹
脂のあらかじめ形成させた混合物を、層中に実質的に均一に分散した該酸化白金
及び、存在する場合には、該白金金属を有する樹脂結合しt:炭素又は黒鉛粒子
の自己支持性多孔質層として、又は一層好ましくは、下層の、好ましくは、たと
えば金属、導電性炭素紙又は炭素繊維布の、導電性支持体上の多孔質表面層とし
て、成形することによって、形成させることができる。しかしながら、付加的な
白金金属を伴なうか又は伴わない酸化白金を、該樹脂による結合以前に、炭素又
は黒鉛粉末粒子の表面上に吸着させることが一層好ましい。あるいは、本発明の
第一の局面に従って、炭素又は黒鉛粒子上に吸着させる前または吸着した後のい
ずれかに、制御した条件下に酸化することによって酸化物膜が表面に形成させで
ある、微細な白金金属粒子を用いることができる。
炭素粉末としては、引続く酵素の固定を容易に許す適当な炭素又は黒鉛粉末を用
いることができ、そのためには、酵素が結合し難い、比較的アミノ及び硫黄含有
基のような官能基を有する炭素粉末を用いるべきである。粒径は、3〜50nm
、一層一般的には5〜30nmの範囲とすることができる。
酸化した、例えば陽極酸化した、白金の粒子を包含させるために以下において用
いる表現である酸化白金は、任意の便宜の方式で、t;とえば、適当な液状媒体
中の懸濁液から、炭素及び黒鉛粒子上に、炭素の重量に基づいて、重量で0.1
〜20%、好ましくは0.5〜5%の酸化白金の。
負荷を与えるように、吸着させることによって、炭素粒子上に堆積させることか
できる。しかしながら、上記の範囲は臨界的というよりは実際的なものである。
約0.1%以下の酸化白金においては、出力信号が、実用的な意味で、きわめて
高感度の装置によるのでなければ測定するには低過ぎる水準まで低下する。約2
0%以上では、酸化白金のこのような高い負荷が、応答時間、感度などの点での
付加的な利益をもたらすことがほとんどなく、非経済的となる。実際に、きわめ
て高い金属負荷では感度が低下し始めることがある。
酸化白金の炭素又は黒鉛粒子上への堆積は吸着に続いて、適当な樹脂結合剤、好
ましくは、たとえばポリテトラフルオロエチレンのようなふっ素樹脂を使用して
成形することにより、本質的に炭素粉末粒子を含有する該樹脂結合した酸化物か
ら成る完全に自己支持性の多孔質成形構造物、又は一層一般的には、たとえば、
金属、炭素又は黒鉛の導電性基材に結合した樹脂結合粒子の多孔質の成形した表
面層のいずれかを形成させる。
成形した、樹脂結合白金化炭素層に対する特に好適な基材材料は、米国特許第4
.229.490号によって教示するような炭素紙、又は米国特許第4.293
.396号によって教示えるような、開放細孔炭素布である。樹脂の最高の多孔
度を保持するためには、結合剤として使用する樹脂の量は電極層に対して機械的
な一体性及び安定性を提供するために必要な最低量でなければならず、かかる層
は通常は約0.1〜0.5關よりも大きくない厚さを有しているけれども、それ
よりも大きい厚さを用いてもよい。構造的一体性、機械的強度及び多孔度につい
ての必要条件に関しては、結合樹脂の量は限定的ではなく、酸化物含有炭素粉末
の量に基づいて、低くは重量で5又は10%から多くは80%程度に至るまでの
範囲とすることができるが、より一般的には重量で30〜70%の範囲である。
導電性又は半導電性である樹脂を包含する、種々の樹脂を使用することができる
が、好適なものは合成ふっ素樹脂、特にポリテトラフルオロエチレンである。酸
化において小量であるが必須のものとしての酸素の必要性の見地から、結合剤は
酸素透過性であることが必要条件である。そのためには、結合剤はcm”の重合
体当りに少なくとも2XIQ−”cm302 (標準温度及び圧力において測定
)の常圧における酸素に対する最低溶解度を有していなければならない。
適当な結合剤及び、ポリマーハンドブック(J、ブランドラップ及びE、H,イ
ンマーゲート編)第1版(1967)、インターサイエンスから得た、それらの
既知の酸素溶解度を以下に示す:S X 10”(cm”)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE) 0.276PTFE以外のふっ素樹
脂 可変、0.2以上ポリメタクリル酸メチル 8.6
ボリスチレン 18.2(計算値)
ポリ酢酸ビニル 6.3
ポリ塩化ビニル 2・92
ポリカーボネート 0.51
ポリ(4−メチルペンテン−1) 24.3ポリイソプレン 10.3
ポリクロロプレン 7.5
本発明に従って使用する好適な酵素電極基材は、実際に、マサチューセッツ州、
ニュートンハイラップのプロトチック社によって市販されている白金化炭素電極
材料に類似し、それ故、燃料電池中の電気触媒的基体拡散電極として用いられる
が、その場合には白金成分を酸化白金で置き換えるか、又はその内の白金成分を
炭素粉末上への吸着以前番;陽極酸化する。このような材料の製造は、微細な白
金の代りに微細な酸化白金を用いるか、あるいは、炭素又は黒鉛上への白金の吸
着の前又は後番;、及び/又は該樹脂の成形の前又は後に、微細な白金を、たと
えば分極処理によって、表面酸化する以外は、米国特許第4.044.193号
、米国特許第4.166.143号、米国特許第4.293.396号及び米国
特許第4.478.696号中に詳細に記したものと同様であり、これらの特許
文献を詳細に参考とすべきである。しかしながら、さらに詳細には、15〜25
オングストローム(1,5〜2−5 nm)の範囲の粒径を有するコロイド状白
金又は酸化白金を、たとえば、ゾルのだめの核形成剤として働く粉末状炭素の存
在において、白金ゾルを“その場で”形成させることによって、粉末状炭素(粒
径50〜300オングストローム=5〜30nm)の表面上に吸着させる。次い
で白金化した炭素粒子を、導電性の支持構造物、たとえば、炭素紙のシート上に
、合成樹脂結合剤、好ましくはふっ素化炭化水素樹脂、特にポリテトラフルオロ
エチレンを用いて成形し、次いで、微細な白金の場合には、表面酸化、たとえば
分極処理によって、白金粒子上に酸化した表面を与える。
別法においては、白金又は酸化白金を含有する炭素粒子を、あらかじめ形成させ
た炭素布巾に含浸させ、やはり微細な白金の表面酸化の前又は後に、樹脂結合剤
、好ましくはポリテトラフルオロエチレンを用いて、その中に結合させる。もう
一つの別法においては、好ましくは、たとえばポリテトラフルオロエチレンのよ
うな、はり水性の樹脂で含浸した、炭素紙支持部材から成る種類の炭素紙電極を
使用し、且つその上に、たとえばスクリーン捺染によって、樹脂結合剤、好まし
くは、やはりポリテトラフルオロエチレンで結合した白金酸化物と炭素又は黒鉛
粒子の均一な混合物、あるいは、表面酸化物を有しているか又は統いて表面酸化
物を提供する微細な白金と炭素又は黒鉛の均一な混合物から成る樹脂結合触媒層
を堆積させる。
機脂結合した炭素基材の表面への酵素の固定は、種々の十分に確立された固定方
法、たとえば、カルボジイミド又はカルボニルジイミダゾール試薬を用いる共有
結合、1.6−シニトロー3.4−ジフルオ口ペンゼン(DFDNB)を用いる
共有結合、あるいはグルタルアルデヒドを用いる橋かけを用いて、行なうことが
できる。
酵素、グルコースオキシダーゼの固定のための典型的な適当なプロトコールは次
のとおりである:
A、カルボジイミド処理よ
1、を極材料の薄板から適当な寸法の電極片を切り取る。
2、電極をエタノール中に5分間浸漬してPTFE被覆した結合剤及び裏板を確
実に完全に湿潤させる。
3、電極をエタノールから取り出して、それを蒸留水で十分に洗浄してエタノー
ルを完全に除く。
4、O,1M、pH4,5の酢酸塩緩衝液中の1−シクロへキシル−3−(2−
モルホリノ)カルボジイミドp−メチルトルエンスルホナートの0゜15M溶液
5 m12(又はそれ以下)を調製して、その中に電極を室温で90分間入れる
。機械的撹拌機によるおだやかな撹拌を用いてもよい。電極が溶液の表面上に浮
遊するときは十分に湿潤しておらず、処理を処理2から繰返さねばならない。
5、電極を取り出し、それを蒸留水によって十分に洗浄する。pH5,6の酢酸
塩緩衝液中のグルコースオキシダーゼの新しく調製した溶液(5、0mg/m(
1)中に、室温において、おだやかな機械的撹拌と共に入れる。
6、酵素溶液から電極を取り出し、それを01M酢酸塩緩衝液で十分に洗う。電
極はいまや使用の準備がととのっている。
7、を極を4℃においてO,1M、pH5,6の酢酸塩緩衝液中に貯蔵する。
B、カルボジイミド処理:
1、上記地理2及び3は省略し、処理lを行なう。
2、無水ジメチルホルムアミド中のN、N’−カルボニルジイミダゾールの溶液
CC40rn/+nΩ)を調製する。
3、この溶液中に電極を、必要に応じ穏やかな撹拌下に室温で90分間入れる。
4、電極を溶液から取り出して、過剰のカルボニルジイミダゾール溶液を乾燥除
去したのち、電極をグルコースオキシダーゼの新しく調製した溶液中に90分間
入れる。
5、上記処理6及び7を行なう。
C,DFDNB処理:
1、上記A中の処理1〜3を行なう。
2、を極をほう酸ナトリウム緩衝液(0,1M%I)H8,5)中で十分に洗浄
する。
3、メタノール中の1.6−シニトロー3.4−ジフルオロベンゼンの溶液(0
,1021g15m<1)を調製して電極をその中に室温で10分間浸漬する。
4、電極を取り出し、それをほう酸塩緩衝液によって十分に洗浄したのち、それ
をグルコースオキシダーゼの溶液中に室温でさらに90分入れる。
5、上記、1M二おける処理6及び7を行なう。
固定化プロセスに対しては、異なる鎖長の二官能性試薬、たとえば、ジメチルマ
ロンイミダート又はジメチルスペルイミダートのようなジイミダートを包含する
、他の種類のカップリング剤を用いることができる。
別法においては、ある種の酵素において、特にグルコースオキシダーゼにおいて
は、酸化白金含有樹脂結合炭素粉末支持体上への、橋かけなしの、単なる吸着が
有効であることが認められている。
通常は、しかし必須ではないが、固定化酵素の表面層を適度に多孔性の、たとえ
ばポリカーボネートの、フィルム又は膜の付与によって物理的に保護するが、そ
れらのフィルム又は膜は、いうまでもなく、測定すべき酵素基質(グルコース)
に透過性でなければならない。このような膜は、センサーの応答時間の増大には
多少不利であるが、それにもかかわらず、このような膜を月いてすら、本発明の
センサーは、従来の酵素電極に匹敵するか、多くの場合に、それよりも実質的に
すぐれた、応答時間を有することができる。
前記のように、本発明は特にグルコースオキシダーゼ電極、すなわち、固定化酵
素がグルコースオキシダーゼである電極に関するものであるが、必ずとも同等の
効果を有してはいないとはいえ、他の峻化還元酵素を使用することができるとい
うことは明白である。このことは必ずしも酵素の固有の無効性によるのではなく
、他の要因によるものである。たとえば、しゅう酸オキシダーゼを用いるしゅう
酸の定量において、しゆう酸基質自体が卑電極において電気化学的酸化を受け、
かくして酸素による効果を著るしく遮蔽する。しかしながら、他の適当な酸化還
元酵素は乳酸オキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、コレステロールオキシ
ダーゼ及びその他のペルオキシド生産酵素、並びに目的基質に対してオキシダー
ゼのための酸化できる基質を生じるように作用する非オキシダーゼ及びその酸化
できる基質に対して作用して目的基質の濃度に比例する測定できる電流を生じる
オキシダーゼの両者の組合わせを包含する、固定化酵素の組合わせを包含してい
る。このような組合わせの一つは、ベーターガラクトシダーゼとグルコースオキ
シダーゼの組合わせ(ラクトースの定量に対して)、又はベーターグルカン解重
合酵素、ベーターグルコシダーゼ及びグルコースオキシダーゼの組合わせ(ベー
ターグルカンの定量のため)である。
その他の種類のセンサーの応用は、酵素又は非酵素試薬の使用、あるいは先行す
る反応において対象とする第一の基質と相互作用し、それによって生じる生成物
が一方で本発明による酵素電極に対する基質として作用する物質を包含している
プロセスを包含する。このような先行段階の多くの例は免疫化学反応の分野にお
いて認められ、且つ免疫センサーを含む、センサーの本発明の酵素電極を利用す
る、免疫センサーを包含する、センサーの構成におけるかかる反応を使用する方
法は、この分野の専門家には明白であろう。
しかしながら、本発明による電極の主な応用は、試料、特に血液、血清、血漿、
尿、汗、涙及び唾液のような臨床試料中の酸化しうる基質、特にグルコースの検
出及び/又は定量のj;めの、バイオセンサーとしてである。本発明の酸化物含
有電極のエタノールに対する比較的低い官能性が特に有利となるのは、このよう
な応用においてである。
その他の可能な、非臨床的応用は、以下のものを包含する:(a) l!!酵の
監視、
(b)工業的工程制御、
(C)環境的監視、たどえば液体及び気体の排出流及び汚染制御、(d)食品検
査、
(e)獣医分野の応用、特に前記の臨床的応用に類似する応用。
本発明による酵素電極材料を包含するバイオセンサー及びその他のセンサーに関
する限りは、他の構造要素、導線、非導電性(絶縁性)支持体又グローブなどを
包含することができ、構造中のこれらの要素は一般的なものであって、ここに詳
細に記すことは不必要である。一般であるように、電極材料が紙状の薄いシート
又はウェハである場合には、バイオセンサーは通常は、電極材料を取り付けて、
それによって電極材料を試料中に導入することができるようにするI;めの、絶
縁性支持部材又はプローブを包含する。このような場合には、電極材料の片の実
際の大きさは、数平方ミリメートル以下、又はそれよりも小さいというような、
きわめて小さなものとすることができる。電極材料との電気的接触は、多くの方
法で、たとえば、白金、銀又はその他の適当な導体の導電性接点又は端子との面
と面の接触で電極材料を取り付けることによって、行なうことができる。電極材
料が完全に自己支持性であるために十分な厚さと強さをもつものである場合は、
電極材料のだめの絶縁性支持体又は担体を省略して、導線を直接に電極材料の表
面に接続することができる。
本発明のもう一つの別の方法、すなわち、英国特許出願筒2,191゜003号
中に開示する種類の酵素電極における、微細な金属白金の“その場″酸化、にお
いては、それは、酵素の固定化の前又は後に、電極中に存在する白金粒子の表面
を陽極酸化するために有効な分極処理を導電性基材に施すことによって、達成す
ることができる。このような処理は、短時間、たとえば1〜30分にわたって、
銀/塩化銀照合電極に対して正電位に、電極基材を分極することによって、達成
することができる。
印加する電位の実際の値は限定的ではないが約+looOmV以下では、処理時
間が過大となるおそれがある。同様に、高過ぎる電位は高過ぎる電流密度をもた
らし、それに伴なって、酵素の不活性化はいうまでもなく、電極材料の損傷又は
破壊を生じるおそれがあるから、最高値は実際的な考慮によって支配される。す
べての実際的な目的に対しては、銀/塩化銀照合電極に対して測定して、+10
100O〜+2000■V、好ましくは+1200mV〜+1500mVにおけ
る分極が、申し分なく且つ適度に短い時間、すなわち、1〜30分、の処理時間
を与えるということが認められている。場合によっては、サイクル的な分極をI
&/塩化銀照合電極に対して正電位で終らせることを条件として、銀/塩化銀照
合電極に対して、たとえば、±2ボルト、好ましくは±1.5ボルトの交互する
分極サイクルを包含する、サイクル的な短い処理を用いることができる。銀/塩
化銀照合電極に対して負の分極、又は負の電位における停止は、エタノール感応
性を増大させる可能性がある。
上記の方法によって得られるエタノール感応性の低下を下記のデータによって例
証するそのために、英国特許出願筒2.191.003号中の図面の第15図に
示す種類の電池を使用して1%V/Vのエタノールの存在において白金化炭素紙
(プロトチック社から入手)の2關の円盤からの電流出力を測定した。エタノー
ルに対する感応の測定のために、電極材料を、記載のように、種々の異なる電位
において分極させて、分極の前及び後の両方で、測定を行なった:
出力電流(μA)1%V/Vエタノール200 (L5 0.15
280 0.6’ 0.3
下記のデータは、プロトチック社から取得した白金化炭素紙電極材料上に固定し
たグルコースオキシダーゼを包含する、英国特許出願筒2゜191.003号中
に開示した種類の直径2關の酵素電極を使用し、酵素の固定前に電極が陽極的に
分極させである、同特許願中に開示しであるポーラログラフイーセルを用いて、
取得しt;。さらに、0.2%V/Vエタノール溶液を使用して、同様に処理し
た同一電極についてエタノール感応性を測定した。銀/塩化銀照合電極と比較し
t:ものである、記載の電位において、3を極セル中で分極を行なった。
電流μA
非分極電極 6.25 155
+1200mVで10分 7−0 0.25+1200mVで30分 6−7
0.22+1500mVで10分 6.8 0.14このような結果は、分極処
理によって得られるエタノール感応性の実質的な低下(>12X)を示す。
酸化白金の使用を例証するために、英国特許出願筒2.191.003号中に記
載のものに類似するが炭素紙基材上に結合させる前の炭素粒子上に、白金の代り
に、予備分散させた微細な酸化白金を含有している炭素紙電極を5II1g/I
IIQのグルコースオキシダーゼを含有するpH7のりん酸塩緩衝液中に終液浸
漬した。その結果として、白金酸化物含有炭素紙電極の表面上にグルコースオキ
シダーゼが吸着された。酵素電極材料のグルコース及びエタノール感応性を、2
80mVの印加電位におし1て、電極材料の2mmの円盤を使用して、前記と同
様にして測定した:]OmMグルフース 0.2%V/V4タノール電流出力(
μA) 7.0 0−1
これらの数値は、やはり酸化白金含有樹脂結合炭素紙酸素電極を用いて得られる
、高い基質感応性と低いアルコール(エタノール)感応性を実証している。
国際調査報告
+−Iv−鴫m ^s−−+*−w= PCT/CF、6B10086B国際調
査報告
PCT/(J8E1100868
SA 24863