JP3763683B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトレンチ型誘電体分離構造を有する半導体装置に関し、特に、半導体チップに2本以上のボンディングワイヤーが接続された誘電体分離型の半導体装置で、ボンディングワイヤーのアンダーループによる特性変動を減少させ、かつ、低コストで高信頼性であるトレンチ型誘電体分離型の半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トランジスタや抵抗が、半導体基板を通して他の素子と相互干渉を持たないように、また、半導体基板へのリークが生じないように、半導体製造工程では、素子間分離工程が設けられている。この素子分離工程では、素子(例えば、ダイオードやトランジスタ)を作る領域を定め、隣り合う素子と素子とを電気的に絶縁分離を行なっている。
【0003】
素子分離構造の一つとして誘電体分離構造が用いられている。この誘電体分離構造は、酸化膜等の誘電体により素子と素子とを分離する構造であり、例えば以下に述べる光半導体スイッチにおけるフォトダイオードの素子間の分離に用いられている。
【0004】
図3は、一般的な光半導体スイッチの一例を示す等価回路図であり、図4は光半導体スイッチを実際に半導体チップで構成した構成図である。
【0005】
すなわち、発光ダイオード(LED)20と光結合されたフォトダイオード21をアレイ状に配列したフォトダィオードアレイ21Aと、フォトダイオードアレイ21Aと並列接続されたインピーダンス成分22と、フォトダイオードアレイ21Aのアノード23にゲート電極24が、カソード25にソース電極26が接続されたMOSトランジスタ27とから構成されている。
【0006】
これらの構成を有する光半導体スイッチは、LED20を点灯させることにより、フォトトダイオードアレイ21Aの両端に光起電力を発生させ、この光起電力をMOSトランジスタ27のゲート電極24とソース電極26に印加し、MOSトランジスタ27をオン状態とし、LED20を消灯することにより、フォトダイオードアレイ21Aの光起電力の発生を停止し、ゲートに充電された電荷を、インピーダンス成分22を通して放電し、MOSトランジスタ27をオフ状態とする。
【0007】
このような光半導体スイッチを実際に半導体チップでの構成は図4に示すように、フォトダイオードアレイ21Aの半導体チップとMOSトランジスタ27の半導体チップとで構成し、フォトダイオードアレイ21Aのアノード23とMOSトランジスタ27のゲート電極24、また、フォトダイオードアレイ21Aのカソード25とMOSトランジスタ27のソース電極26との双方をボンディングワイヤ28で接続している。
【0008】
図5はフオトダイオードアレイの断面図で、Si基板5aの上に半導体チップにフォトダイオード20がアレイ状に配列されて設けられ、半導体チップの周辺部29となる領域は、高抵抗のアン・ドープSiで形成されている。フォトダイオード21のアノード23とカソード25にはボンディングワイヤ28が接続されている。
【0009】
一方、図6(a)はトレンチ誘電体分離型のフオトダイオードアレイの半導体チップの断面側面図であり、図6(b)はその平面図である。すなわち、半導体チップ4aにはSi基板5a上にフォトダイオード1aが碁盤の目状に形成され配列されている。また、半導体チップ4aの周辺部7aは素子形成部と同様にSiで形成され、半導体チップ4aは全体がSi島で形成されている。従って、半導体チップ4aの周辺部7aは電気的に連続しており、また、そのSi比抵抗は素子形成部と同じ値で、通常、Si比抵抗は数十ΩCmである。
【0010】
なお、各フォトダイオード1の間には素子分離のためにポリSi(p−Si)によるトレンチアイソレーション6aが施されている。
さらに、直列に接続されたフォトダイオード1aの全体の両端であるアノード8aとカソード9aには、それぞれ図示しないMOS半導体チップのゲート電極とベース電極に接続するボンディングワイヤ10a、10bが、図示しないボンディング装置によりボンディングされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、図5で示したフォトダイオードアレイでは、半導体チップの周辺部29となる領域が高抵抗のアン・ドープSiで形成されているため、電位の異なる2本以上のボンデングワイヤ28が、それぞれフォトダィオードアレイの半導体チップのエッジにタッチした場合においても、光半導体スイッチの特性を変動させることはないが、図6(a)および(b)で示したトレンチ誘電体分離型のフオトダイオードアレイの半導体チップ4aでは、半導体チップ4aの周辺部7aがSi島の一部として形成されているため、この部分のSi比抵抗は素子形成部と同じ値になっている。
【0012】
そのため、異なるフォトダイオード1aから電位の異なる2本以上のボンディングワイヤ10a、10bが、それぞれフオトダイオードアレイの半導体チップ4aのエッジにタッチした場合、アノード8a−カソード9a(a−b)間のインピーダンスが著しく低下し、光半導体スイツチの特性を変動させるという問題が生じている。
【0013】
本発明は、これらの事情にもとづいて成されたもので、トレンチ型誘電体分離構造を有する半導体装置で、特に、半導体半導体チップに2本以上のボンディングワイヤーが接続された誘電体分離型半導体装置で、ボンディングワイヤーのアンダーループによる特性変動を減少させ、かつ、低コストで高信頼性であるトレンチ型誘電体分離型の半導体装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、半導体基板上に複数の半導体素子が形成された半導体チップと、前記半導体素子間を電気的に分離するトレンチ誘電体分離構造と、前記半導体素子と半導体チップの外部を接続する第1のボンディングワイヤと、前記半導体素子と半導体チップの外部を接続し、前記第1のボンディングワイヤと異なる電位の第2のボンディングワイヤを備え、前記半導体チップの側面と前記半導体素子との間の領域であって、前記半導体素子とトレンチ誘電体分離構造により電気的に分離されている領域において、少なくとも前記第1のボンディングワイヤが通過する領域と、前記第2のボンディングワイヤが通過する領域とは、トレンチ誘電体分離構造により電気的に分離されていることを特徴とする半導体装置が提供される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態をpn接合のフォトダイオードに適用した場合を図面を参照して説明する。
【0021】
図1(a)は本発明のフォトダイオードアレイ半導体チップの断面側面図であり、図2(b)はその平面図である。すなわち、半導体チップ4のSi基板の上に、碁盤の目状に複数のフォトダイオード1が形成され電気的に配線材11で直列に接続されている。また、各フォトダイオード1の間には素子分離のためにポリSi(p−Si)によるトレンチアイソレーション6が施されている。
トレンチアイソレーション6は、間口は狭いが深い溝(trench)をSi基板5の表面に作成し、その溝をp−SiやSiOまたはSiOと多結晶Siで埋めてしまう構造で、素子間の距離を深さ方向で持たせて、パンチスルー問題等を解決した素子の分離構造である。
【0022】
また、このトレンチアイソレーション6は、各フォトダイオード1の相互の間だけではなく、各フォトダイオード1の外側である半導体チップ4の周辺部7にも、各フォトダイオード1に対応してそれぞれp−Siでトレンチアイソレーション6処理が施されている。
【0023】
つまり、周辺部7も各フォトダイオード1毎に電気的に分離されている。従って、各フォトダイオード1に接続したボンディングワイヤ10a、10b……が各周辺部7に接触しても、電気的に別区画の箇所であるので電気的導通は防止できる。
【0024】
さらに、直列に接続されたフォトダイオード1の全体の両端であるアノード8とカソード9には、それぞれ図示しないMOS半導体チップのゲート電極とソース電極に接続するボンディングワイヤ10a、10bが、ボンディング装置によりウエッジボンディング又はステッチボンディングされている。
【0025】
なお、半導体チップ4の周辺部7のトレンチアイソレーション6は、少なくとも1本のボンディングワイヤ10a、10b……が通過する箇所毎に半導体チップ4の周辺部7が分離されている構造にアイソレーションされている。これにより電位の異なる2本以上のボンディングワイヤ10a、10b……が、アンダーループになり半導体チップ4のエッジに接触した場合でも分離領域により、電気的にも分離されるので障害が発生しない。
【0026】
図2(a)(b)は、本発明の別の実施の形態を示すもので、図2(a)は本発明のフォトダイオードアレイ半導体チップの断面側面図であり、図2(b)はその平面図である。すなわち、上述の実施の形態と同様に半導体チップ4のSi基板5上に、碁盤の目状に複数のフォトダイオード1が形成され配線材11で電気的に直列に接続されている。また、各フォトダイオード1の間には素子分離のためにp−Siによるトレンチアイソレーション6が施されている。
【0027】
また、このトレンチアイソレーション6は、各フォトダイオード1の相互の間だけではなく、各フォトダイオード1の外側である半導体チップ4の周辺部7にも施されている。すなわち、上述の実施の形態では各フォトダイオード1に対応してそれぞれP−Siでトレンチアイソレーション6処理が施されていたが、この実施の形態では、半導体チップ4の周辺部7を各フォトダイオード1に対応した部分毎に複数の分離領域に区画が形成されている。それらは、p−Siで小区画のトレンチアイソレーション6処理が施されている。
【0028】
さらに、直列に配線材11で接続されたフォトダイオード1の全体の両端であるアノード8とカソード9には、それぞれ図示しないMOS半導体チップのゲート電極とソース電極に接続するボンディングワイヤ10a、10bが、ボンディング装置によりウエッジボンディング又はステッチボンディングされている。
【0029】
この実施の形態では、半導体チップ4の周辺部7を各フォトダイオード1に対応した部分毎に複数の分離領域にしたので、4本以上の多数のボンディングワイヤ10a、10b……を用いる際に特に有効である。
【0030】
なお、上述の各実施の形態では、素子としてpn接合のフォトダイオード1について説明したが、pin接合のフォトダイオードを用いた場合も同様の作用が得られるのは言うまでもない。さらに、フォトダイオード以外の素子でも同様の作用が得られる。
【0031】
また、上述の各実施の形態のトレンチ誘電体分離型の半導体装置では、従来の異方性エッチングを用いた誘電体分離型半導体装置に比べ、半導体チップ4の面積にして約2/3程度(従来方法はp−Si分離領域が半導体チップ4の表面で40μmの幅を必要としていたが、トレンチ方式ではその幅が2μm程度となるため)実現することができる。
【0032】
また、従来は半導体チップ4の周辺部7が低比抵抗(数十ΩCm)のSi島で形成されるため、それぞれのボンディングワイヤ10a、10bがアンダーループになり半導体チップ4のエッジに接触した場合、例えば、光半導体スイッチにおいてはスイッチング特性を著しく変動させる等の問題点を引起こしてしまったが、上述の実施の形態では、半導体チップ4の周辺部7に多数のトレンチアイソレーション6を形成したので、例え、半導体チップ4の周辺部7が低比抵抗(数十ΩCm)のSi島で形成されていても、電気的に完全に分離することができる。
従って、電気的な障害が発生することがなく、光半導体スイッチの信頼性の面においても、特性変動を起こさせることが無く、半導体チップ4のシュリンクが可能になり、それによるコストダウンを達成することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明によれば、トレンチ型誘電体分離構造を有する半導体装置で、特に、半導体半導体チップに2本以上のボンディングワイヤが接続された誘電体分離型半導体装置で、ボンディングワイヤのアンダーループによる特性変動を減少させ、かつ、低コストで高信頼性であるトレンチ型誘電体分離型の半導体装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のフォトダイオードアレイ半導体チップの断面側面図、(b)はその平面図。
【図2】(a)は本発明の別のフォトダイオードアレイ半導体チップの断面側面図、(b)はその平面図。
【図3】一般的な光半導体スイッチの一例を示す等価回路図。
【図4】光半導体スイッチを半導体チップで構成した構成図。
【図5】フォトダイオードアレイの断面図。
【図6】(a)は従来のトレンチ誘電体分離型のフオトダイオードアレイの半導体チップの断面側面図であり、図6(b)はその平面図である。

Claims (7)

  1. 半導体基板上に複数の半導体素子が形成された半導体チップと、
    前記半導体素子間を電気的に分離するトレンチ誘電体分離構造と、
    前記半導体素子と半導体チップの外部を接続する第1のボンディングワイヤと、
    前記半導体素子と半導体チップの外部を接続し、前記第1のボンディングワイヤと異なる電位の第2のボンディングワイヤを備え、
    前記半導体チップの側面と前記半導体素子との間の領域であって、前記半導体素子とトレンチ誘電体分離構造により電気的に分離されている領域において、少なくとも前記第1のボンディングワイヤが通過する領域と、前記第2のボンディングワイヤが通過する領域とは、トレンチ誘電体分離構造により電気的に分離されていることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記1のボンディングワイヤが通過する領域と、前記第2のボンディングワイヤが通過する領域は、前記半導体基板の複数の半導体素子が形成された領域と同じ比抵抗であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記トレンチ誘電体分離構造は、ポリシリコン層を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
  4. 前記半導体チップの側面と前記半導体素子との間の領域であって、前記半導体素子とトレンチ誘電体分離構造により電気的に分離されている領域は、この領域と隣接する各前記半導体素子毎に複数に分離されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
  5. 前記半導体素子が、フォトダイオードであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置。
  6. 前記フォトダイオードは、複数列配置されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
  7. 前記半導体チップにおいて、前記複数の半導体素子は直列に接続されており、その両端にボンディングパッドが形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
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