JP3763242B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は商用電源を入力として放電灯を高周波点灯させる放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来例の回路図を図10に示す。この放電灯点灯装置は、交流電源に接続されたフィルタ回路(コンデンサC1、フィルタトランスT1、フィルタチョークL1、コンデンサC2)、整流回路(ダイオードD1〜D4)、インバータ回路(スイッチング素子Q1、Q2、コンデンサC3〜C5、リーケージトランスT2、ダイオードD6、駆動トランスT3、抵抗R1、R2、放電灯負荷la、ツェナーダイオードZD1〜ZD4)、平滑コンデンサC0、予熱始動回路(抵抗R15〜R17、ダイオードD12〜D16、コンデンサC9、C10、トランジスタQ3、Q4)、起動回路(抵抗R3〜R13、コンデンサC8、トリガーダイオードTD1、ダイオードD9)から構成されている。リーケージトランスT2と放電灯負荷laとコンデンサC5は共振負荷回路を構成している。インバータ回路は自励式であり、駆動トランスT3の2次側で発生した信号をスイッチング素子Q1、Q2に供給し、スイッチング素子Q1、Q2を交互にオン・オフさせるものである。以下に一連の動作を説明する。
【0003】
まず、電源投入されると、起動回路にて抵抗R3〜R12と放電灯laの各フィラメントを介してコンデンサC8を充電し、コンデンサC8の電圧Vc8がトリガーダイオードTD1のトリガー電圧を越えると、スイッチング素子Q2に駆動信号が入力され、発振開始する。発振が開始されると、コンデンサC8の電荷はスイッチング素子Q2のオン時に抵抗R13とダイオードD9を介して放電されるので、コンデンサC8の電圧Vc8はトリガーダイオードTD1のトリガー電圧以下になり、コンデンサC8から駆動信号は入力されない。
【0004】
スイッチング素子Q2がオン(スイッチング素子Q1がオフ)のときには、コンデンサC0からコンデンサC4→コンデンサC3→共振負荷回路(リーケージトランスT2、放電灯負荷la、コンデンサC5)→駆動トランスT3→スイッチング素子Q2の経路で共振電流が流れ、コンデンサC4の電圧と整流回路の出力電圧との和がコンデンサC0の電圧と釣り合うと、入力側より、ダイオードD5→コンデンサC3→共振負荷回路(リーケージトランスT2、放電灯負荷la、コンデンサC5)→駆動トランスT3→スイッチング素子Q2の経路で共振電流が流れ、入力電流が流れ込むこととなる。
【0005】
スイッチング素子Q2がオフ(スイッチング素子Q1がオン)すると、回生電流モードとなり、リーケージトランスT2から駆動トランスT3→スイッチング素子Q1の寄生ダイオード→コンデンサC0→整流回路→ダイオードD5→コンデンサC3の経路で回生電流が流れる。この時も入力電流が流れることとなる。
【0006】
スイッチング素子Q2がオフ(スイッチング素子Q1がオン)で回生電流が流れ終わると、コンデンサC3よりコンデンサC4→スイッチング素子Q1→駆動トランスT3→共振負荷回路(リーケージトランスT2、放電灯負荷la、コンデンサC5)の経路で共振電流が流れ、スイッチング素子Q2がオン時にコンデンサC4に蓄えられた電荷を放出し、コンデンサC4の電荷が0になると、コンデンサC3よりダイオードD6→スイッチング素子Q1→駆動トランスT3→共振負荷回路(リーケージトランスT2、放電灯負荷la、コンデンサC5)の経路で共振電流が流れる。
【0007】
スイッチング素子Q2がオン(スイッチング素子Q1がオフ)すると、回生電流モードとなり、リーケージトランスT2からコンデンサC3→ダイオードD6→コンデンサC0→スイッチング素子Q2の寄生ダイオード→駆動トランスT3の経路で回生電流が流れる。
【0008】
これらの一連の動作を繰り返すことにより、負荷に高周波電力を供給する。また同時に、上記動作モードの一部において、交流電源からの入力電圧に比例した入力電流を流すことにより、この電流をフィルタ回路により波形整形して、正弦波状の入力電流を得ることができる。これによって、入力力率の改善と、入力電流歪みの改善を可能としている。
【0009】
スイッチング素子Q2のゲート回路には、予熱始動回路が接続されている。発振開始すると、スイッチング素子Q2のゲート電圧を、抵抗R15→ダイオードD12→コンデンサC9→コンデンサC10の経路で積分し、抵抗R15とコンデンサC10の時定数で決まる所定の時間後にトランジスタQ3がオンすることにより、トランジスタQ4がオンして、スイッチング素子Q2のゲート信号を引き抜くものである。ここで、コンデンサC10の電荷はスイッチング素子Q2がオフ(スイッチング素子Q1がオン)のときに、駆動トランスT3の逆方向電圧により、コンデンサC10、ダイオードD13、抵抗R15、抵抗R2、駆動トランスT3の2次巻線、グランドラインの経路で放電される。コンデンサC10の電圧が0になると、ダイオードD14がオンするから、コンデンサC10の電圧は0に保持される。したがって、コンデンサC10はスイッチング素子Q2のゲート駆動信号が発生した時点から再び抵抗R15を介して充電され、コンデンサC10の電圧が所定の電圧に達すると、トランジスタQ3、Q4がオンして、スイッチング素子Q2のゲート駆動信号を強制的に引き抜く。これにより、スイッチング素子Q2は自励駆動でありながら、そのオン時間が抵抗R15とコンデンサC10の時定数回路により制限される、いわゆる自励・他制方式となっている。電源投入後の時間が経過するにつれて、徐々にコンデンサC9には電荷が蓄えられ、その直流電圧を保持するため、コンデンサC10の充電速度は徐々に遅くなり、通常点灯時には予熱始動回路は動作しなくなる。つまり、電源投入され、コンデンサC9に所定の電圧が蓄えられるまでの間、スイッチング素子Q2のオン幅は徐々に広がるスイープ方式で負荷を予熱始動制御している。
【0010】
本従来例における起動回路は、放電灯負荷laのフィラメントを介して構成されているため、放電灯負荷laが外れている場合においては、起動回路のコンデンサC8の充電経路は切れるため、インバータ回路には起動信号は入力されない。つまり、本従来例における起動回路は無負荷検出機能を兼用した構成となっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来例では、抵抗R3〜R12に放電灯負荷laの両端電圧が印加されることで比較的抵抗値の大きい抵抗を使用しなければならないため、起動回路の立ち上がりの時定数が大きくなり、起動時間が長くなる問題があった。また、2個の放電灯負荷laが直列接続されており、その接続点である中点のフィラメント外れを確実に検出するにはコンデンサC7に比べてコンデンサC8として容量の大きいものを使用する必要があった。このようなことから、さらに起動回路の立ち上がりの時定数が大きくなり、起動時間が長くなるといった問題があった。
【0012】
また、放電灯負荷laには、起動回路を構成する抵抗R3〜R12により直流バイアスが印加されるので、放電灯負荷laが低温時や風の強い場所で使用されると、管内の水銀成分に偏りが現われ、カタホレシス現象が発生するといった問題があった。
【0013】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、入力電流歪み改善機能を有するインバータ回路を用いた放電灯点灯装置において、放電灯負荷の無負荷を確実に検出しつつ、電源投入からインバータ回路の起動までの時間を短縮すること、また、放電灯負荷のカタホレシス現象の発生を抑えることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の放電灯点灯装置にあっては、上記の課題を解決するために、図1に示すように、交流電源に接続された整流回路(ダイオードD1〜D4)と、整流回路の出力側に配置されて直流電圧を充電される平滑コンデンサC0と、直流電圧を高周波電圧に変換するように交互にオン・オフされるスイッチング素子Q1、Q2の直列回路と、LC共振回路を含みスイッチングによる高周波電流の一部を交流電源入力側に帰還するように整流回路の出力に接続された負荷回路と、スイッチング素子Q1、Q2を自励駆動する手段(駆動トランスT3)とを備えるインバータ回路を用いた電源装置であって、負荷回路は2灯が直列接続された放電灯負荷laとこれら2灯の放電灯負荷laの直列回路に2次巻線を接続されたリーケージトランスT2を含み、2灯の放電灯負荷laの接続点側のフィラメントは直列接続されており、前記リーケージトランスT2の予熱用巻線は直流カット用のコンデンサC7を介して、2灯の放電灯負荷laの接続点側のフィラメントの直列接続回路に接続されており、該直列接続回路を介して構成されたインバータ回路の起動回路を備え、該直列接続回路の一端は第1の抵抗(R9,R10)を介して整流回路の正出力端子に接続されており、該直列接続回路の他端は第2の抵抗(R11,R12)を介して起動用コンデンサC8の高電位側に接続されており、該コンデンサC8の低電位側は整流回路の負出力端子に接続されており、2灯の放電灯負荷laの接続点側のフィラメントの予熱電流と非接続点側のフィラメントの予熱電流の大きさに差を設け、2灯の放電灯負荷laの接続点側のフィラメントの予熱電流は、先行予熱時には他側のフィラメントの予熱電流よりも少なく設定され、通常点灯時には他側のフィラメントの予熱電流よりも多く設定されることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の実施形態1の回路図を図1に示す。この回路は、交流電源に接続されたフィルタ回路(コンデンサC1、フィルタトランスT1、フィルタチョークL1、コンデンサC2)、整流回路(ダイオードD1〜D4)、インバータ回路(スイッチング素子Q1、Q2、コンデンサC3〜C5、リーケージトランスT2、ダイオードD6、駆動トランスT3、抵抗R1、R2、放電灯負荷la、ツェナーダイオードZD1〜ZD4)、平滑コンデンサC0、予熱始動回路(抵抗R15〜R17、ダイオードD12〜D16、コンデンサC9、C10、トランジスタQ3、Q4)、起動回路(抵抗R9〜R14、コンデンサC8、トリガーダイオードTD1、ダイオードD9)から構成されている。リーケージトランスT2と放電灯負荷laと共振用コンデンサC5は共振負荷回路を構成している。
【0016】
以下、インバータ回路の構成について説明する。整流回路(ダイオードD1〜D4のブリッジ回路)の正出力端子には、ダイオードD5のアノード・カソード間を介してダイオードD6のアノードとコンデンサC3の一端が接続されている。コンデンサC3の他端はリーケージトランスT2と駆動トランスT3の各1次巻線を介してスイッチング素子Q1とQ2の接続点に接続されている。ダイオードD6の両端には、コンデンサC4が並列接続されている。ダイオードD6のカソードと、整流回路の負出力端子の間には、スイッチング素子Q1,Q2の直列回路と平滑コンデンサC0が並列に接続されている。各スイッチング素子Q1,Q2は寄生の逆並列ダイオードを内蔵したMOSFETよりなり、そのゲート・ソース間には、駆動トランスT3の2次巻線がそれぞれ抵抗R1,R2を介して接続されると共に、過電圧防止用のツェナーダイオードZD1、ZD2の逆直列回路と、ZD3、ZD4の逆直列回路がそれぞれ並列接続されている。
【0017】
リーケージトランスT2の2次巻線出力には、2灯の放電灯laの直列回路が接続されており、2灯の放電灯laの接続点と反対側の管端のフィラメントの非電源側端子間には共振用コンデンサC5が並列接続されている。リーケージトランスT2の2次側に設けられたフィラメント予熱用の巻線は、直流カット用のコンデンサC7を介して2灯の放電灯laの接続点側の管端のフィラメントの直列回路に接続されている。
【0018】
次に、起動回路について説明する。整流回路の正出力端子と負出力端子との間には、抵抗R9、R10、2灯の放電灯laの接続点側のフィラメントの直列回路、抵抗R11、R12を介してコンデンサC8と抵抗R14の並列回路が接続されている。コンデンサC8の高電位側はトリガーダイオードTD1を介してスイッチング素子Q2のゲートに接続されると共に、抵抗R13とダイオードD9の直列回路を介してスイッチング素子Q1、Q2の接続点に接続されている。
【0019】
次に、予熱始動回路について説明する。スイッチング素子Q2のゲート・ソース間には、抵抗R15、ダイオードD12、コンデンサC9、C10の直列回路が接続されている。ダイオードD12とコンデンサC9の直列回路にはダイオードD13が逆方向に並列接続されており、コンデンサC10の両端にはダイオードD14がコンデンサC10の充電方向とは逆方向に並列接続されている。コンデンサC10の電圧は、抵抗R16を介してトランジスタQ3のベース・エミッタ間に印加されている。スイッチング素子Q2のゲート・ソース間には、さらに、トランジスタQ4とダイオードD16の直列回路が並列接続されると共に、抵抗R17とダイオードD15とトランジスタQ3の直列回路が並列接続されている。抵抗R17とダイオードD15の接続点はトランジスタQ4のベースに接続されている。
【0020】
以下、本実施形態の動作について説明する。インバータ回路は自励駆動式であり、駆動トランスT3の2次側で発生した信号をゲート抵抗R1、R2を介してそれぞれスイッチング素子Q1、Q2に供給し、スイッチング素子Q1、Q2を交互にオン・オフさせるものである。以下に一連の動作を説明する。
【0021】
スイッチング素子Q2がオン(スイッチング素子Q1がオフ)のときには、コンデンサC0からコンデンサC4→コンデンサC3→共振負荷回路(リーケージトランスT2、放電灯負荷la、コンデンサC5)→駆動トランスT3→スイッチング素子Q2の経路で共振電流が流れ、コンデンサC4の電圧と整流回路の出力電圧との和が平滑コンデンサC0の電圧と釣り合うと、入力側より、ダイオードD5→コンデンサC3→共振負荷回路(リーケージトランスT2、放電灯負荷la、コンデンサC5)→駆動トランスT3→スイッチング素子Q2の経路で共振電流が流れ、また同時に入力電流が流れ込むこととなる。
【0022】
スイッチング素子Q2がオフ(スイッチング素子Q1がオン)すると、回生電流モードとなり、リーケージトランスT2から駆動トランスT3→スイッチング素子Q1の寄生ダイオード→コンデンサC0→整流回路→ダイオードD5→コンデンサC3の経路で回生電流が流れる。この時も入力電流が流れることとなる。
【0023】
スイッチング素子Q2がオフ(スイッチング素子Q1がオン)で回生電流が流れ終わると、コンデンサC3よりコンデンサC4→スイッチング素子Q1→駆動トランスT3→共振負荷回路(リーケージトランスT2、放電灯負荷la、コンデンサC5)の経路で共振電流が流れ、スイッチング素子Q2がオン時にコンデンサC4に蓄えられた電荷を放出し、コンデンサC4の電荷が0になると、コンデンサC3よりダイオードD6→スイッチング素子Q1→駆動トランスT3→共振負荷回路(リーケージトランスT2、放電灯負荷la、コンデンサC5)の経路で共振電流が流れる。
【0024】
スイッチング素子Q2がオン(スイッチング素子Q1がオフ)すると、回生電流モードとなり、リーケージトランスT2からコンデンサC3→ダイオードD6→コンデンサC0→スイッチング素子Q2の寄生ダイオード→駆動トランスT3の経路で回生電流が流れる。
【0025】
これらの一連の動作を繰り返すことにより、負荷に高周波電力を供給する。また同時に、上記動作モードの一部において、交流電源からの入力電圧に比例した入力電流を流すことにより、この電流をフィルタ回路により波形整形して、正弦波状の入力電流を得ることができる。これによって、入力力率の改善と、入力電流歪みの改善を可能としている。
【0026】
スイッチング素子Q2のゲート回路には、予熱始動回路が接続されている。発振開始すると、スイッチング素子Q2のゲート電圧を、抵抗R15→ダイオードD12→コンデンサC9→コンデンサC10の経路で積分し、抵抗R15とコンデンサC10の時定数で決まる所定の時間後にトランジスタQ3がオンすることにより、トランジスタQ4がオンして、スイッチング素子Q2のゲート信号を引き抜くものである。ここで、コンデンサC10の電荷はスイッチング素子Q2がオフ(スイッチング素子Q1がオン)のときに、駆動トランスT3の逆方向電圧により、コンデンサC10、ダイオードD13、抵抗R15、抵抗R2、駆動トランスT3の2次巻線、グランドラインの経路で放電される。コンデンサC10の電圧が0になると、ダイオードD14がオンするから、コンデンサC10の電圧は0に保持される。したがって、コンデンサC10はスイッチング素子Q2のゲート駆動信号が発生した時点から再び抵抗R15を介して充電され、コンデンサC10の電圧が所定の電圧に達すると、トランジスタQ3、Q4がオンして、スイッチング素子Q2のゲート駆動信号を強制的に引き抜く。これにより、スイッチング素子Q2は自励駆動でありながら、そのオン時間が抵抗R15とコンデンサC10の時定数回路により制限される、いわゆる自励・他制方式となっている。電源投入後の時間が経過するにつれて、徐々にコンデンサC9には電荷が蓄えられ、その直流電圧を保持するため、コンデンサC10の充電速度は徐々に遅くなり、通常点灯時には予熱始動回路は動作しなくなる。つまり、電源投入され、コンデンサC9に所定の電圧が蓄えられるまでの間、スイッチング素子Q2のオン幅は徐々に広がるスイープ方式で負荷を予熱始動制御している。
【0027】
本実施形態においては、インバータ回路の起動回路は、直列接続された2灯の放電灯負荷laの接続点側の管端のフィラメントのみを検出する回路構成となっている。したがって、抵抗R9〜R12には整流回路の出力電圧しか印加されないので、起動時間を最適化(短縮化)できるように抵抗値を選定することが容易となる。また、フィラメントの検出は、直列接続された2灯の放電灯負荷laの接続点側のみの検出であるので、無負荷検出を確実にする設計が容易となる。一方、放電灯負荷の他側の管端のフィラメントは検出されていないが、本フィラメントが外れた場合には共振用コンデンサC5が接続されなくなるので、検出回路を設けていなくても無負荷検出が行われるものである。さらに、本実施形態では、放電灯負荷laには直流電圧が全く印加されないので、完全にカタホレシス現象の発生を防止することができる。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、電源投入からインバータ回路の起動までの時間を短縮できる効果と、カタホレシス現象を防止できる効果がある。
【0029】
(実施形態2)
本発明の実施形態2の回路図を図2に示す。本実施形態では、図1に示した実施形態1において、平滑コンデンサC0を谷埋め電源回路(平滑コンデンサC0、ダイオードD7、D8、コンデンサC6)で置き換えたものである。この谷埋め電源回路では、スイッチング素子Q2のオン時には、電源より、コンデンサC0→ダイオードD7→リーケージトランスT2→駆動トランスT3→スイッチング素子Q2の経路で電流が流れて、コンデンサC0が充電され、整流回路の出力のピーク値より低い電圧で平滑される。また、整流出力電圧がコンデンサC0の電圧より低くなる期間では、コンデンサC0よりダイオードD8を介してインバータ回路に電力供給を行う。
【0030】
本実施形態においても、負荷に高周波電力を供給しながら、交流電源からの入力電圧に比例した入力電流を流し、この電流をフィルタ回路により波形整形して、正弦波状の入力電流を得ることができ、入力力率の改善と、入力電流歪みの改善を可能としている。また、インバータの起動回路は直列接続された放電灯負荷laの接続点側のフィラメントのみを検出する回路構成となっている。したがって、実施形態1と同様に、電源投入からインバータ回路の起動までの時間を短縮できる効果と、カタホレシス現象を防止できる効果がある。
【0031】
(実施形態3)
本発明の実施形態3の回路図を図3に示す。本実施形態では、図2に示した実施形態2において、谷埋め電源回路のコンデンサC0と直列にインダクタL2を挿入したものである。また、ダイオードD7のカソード側端子が、図2ではコンデンサC3とリーケージトランスT2の接続点に接続されているのに対して、図3ではリーケージトランスT2と駆動トランスT3の接続点に接続されている点が異なる。本実施形態の谷埋め電源回路では、スイッチング素子Q2のオン時には、電源より、コンデンサC0→インダクタL2→ダイオードD7→駆動トランスT3→スイッチング素子Q2の経路で電流が流れて、コンデンサC0が充電され、整流回路の出力のピーク値より低い電圧で平滑される。また、整流出力電圧がコンデンサC0の電圧より低くなる期間では、コンデンサC0よりダイオードD8を介してインバータ回路に電力供給を行う。
【0032】
本実施形態においても、負荷に高周波電力を供給しながら、交流電源からの入力電圧に比例した入力電流を流し、この電流をフィルタ回路により波形整形して、正弦波状の入力電流を得ることができ、入力力率の改善と、入力電流歪みの改善を可能としている。また、インバータの起動回路は直列接続された放電灯負荷laの接続点側のフィラメントのみを検出する回路構成となっている。したがって、実施形態1、2と同様に、電源投入からインバータ回路の起動までの時間を短縮できる効果と、カタホレシス現象を防止できる効果がある。
【0033】
(実施形態1の設計例)
本発明の実施形態1の設計例を図4に示す。回路構成は図1と同様であり、放電灯負荷laの共振用コンデンサC5を流れるフィラメント電流If1と、予熱用巻線からコンデンサC7を介して流れるフィラメント電流If2との関係が、先行予熱時にはIf1>If2であり、通常点灯時はIf1<If2となるように設計されている。
【0034】
これにより、放電灯負荷のフィラメント断線寿命に差を持たせることができ、本設計例においては、巻線予熱方式のフィラメントがコンデンサ予熱方式のフィラメントに比べて短くなるので、断線寿命が到来したときに、確実に無負荷検出することができ、起動回路を停止させることができる。
【0035】
(実施形態2の設計例)
本発明の実施形態2の設計例を図5に示す。回路構成は図2と同様であり、放電灯負荷laの共振用コンデンサC5を流れるフィラメント電流If1と、予熱用巻線からコンデンサC7を介して流れるフィラメント電流If2との関係が、先行予熱時にはIf1>If2であり、通常点灯時はIf1<If2となるように設計されている。
【0036】
これにより、放電灯負荷のフィラメント断線寿命に差を持たせることができ、本設計例においては、巻線予熱方式のフィラメントがコンデンサ予熱方式のフィラメントに比べて短くなるので、断線寿命が到来したときに、確実に無負荷検出することができ、起動回路を停止させることができる。
【0037】
(実施形態3の設計例)
本発明の実施形態3の設計例を図6に示す。回路構成は図3と同様であり、放電灯負荷laの共振用コンデンサC5を流れるフィラメント電流If1と、予熱用巻線からコンデンサC7を介して流れるフィラメント電流If2との関係が、先行予熱時にはIf1>If2であり、通常点灯時はIf1<If2となるように設計されている。
【0038】
これにより、放電灯負荷のフィラメント断線寿命に差を持たせることができ、本設計例においては、巻線予熱方式のフィラメントがコンデンサ予熱方式のフィラメントに比べて短くなるので、断線寿命が到来したときに、確実に無負荷検出することができ、起動回路を停止させることができる。
【0039】
(実施形態4)
本発明の実施形態4の回路図を図7に示す。本実施形態は、図1に示した実施形態1において、2灯の放電灯負荷laの非接続点側のフィラメントの断線を検出するための構成を付加したものである。共振用コンデンサC5の一端は抵抗R3〜R5を介して整流回路の正出力端子に接続され、他端は抵抗R6〜R8を介して整流回路の負出力端子に接続されている。共振用コンデンサC5を介して予熱電流を供給している側のフィラメントが断線した場合には、抵抗R7とR8の接続点の電位が低下したままになるので、抵抗R24、ダイオードD10、ダイオードD14を介して予熱始動回路のコンデンサC9の電荷を放電させると共に、ダイオードD11を介してトランジスタQ4をオンさせて、スイッチング素子Q2のゲート駆動信号を引き抜き、インバータ回路の発振を停止させる。すなわち、本実施形態では、2灯の放電灯負荷laの非接続点側のフィラメントの断線を検出したときには、インバータ回路の発振を停止させ、且つ予熱始動回路をリセットすることができる。また、この回路では、図10の従来例に比べると、リーケージトランスT2の2次巻線と直列に挿入された直流カット用コンデンサC11が不要であるので、このコンデンサC11の直流電圧が放電灯laに印加されることはなく、カタホレシス現象の発生を防止することができる。
【0040】
(実施形態5)
本発明の実施形態5の回路図を図8に示す。本実施形態は、図2に示した実施形態2において、2灯の放電灯負荷laの非接続点側のフィラメントの断線を検出するための構成を付加したものである。共振用コンデンサC5の一端は抵抗R3〜R5を介して整流回路の正出力端子に接続され、他端は抵抗R6〜R8を介して整流回路の負出力端子に接続されている。共振用コンデンサC5を介して予熱電流を供給している側のフィラメントが断線した場合には、抵抗R7とR8の接続点の電位が低下したままになるので、抵抗R24、ダイオードD10、ダイオードD14を介して予熱始動回路のコンデンサC9の電荷を放電させると共に、ダイオードD11を介してトランジスタQ4をオンさせて、スイッチング素子Q2のゲート駆動信号を引き抜き、インバータ回路の発振を停止させる。すなわち、本実施形態では、2灯の放電灯負荷laの非接続点側のフィラメントの断線を検出したときには、インバータ回路の発振を停止させ、且つ予熱始動回路をリセットすることができる。また、この回路では、図10の従来例に比べると、リーケージトランスT2の2次巻線と直列に挿入された直流カット用コンデンサC11が不要であるので、このコンデンサC11の直流電圧が放電灯laに印加されることはなく、カタホレシス現象の発生を防止することができる。
【0041】
(実施形態6)
本発明の実施形態6の回路図を図9に示す。本実施形態は、図3に示した実施形態3において、2灯の放電灯負荷laの非接続点側のフィラメントの断線を検出するための構成を付加したものである。共振用コンデンサC5の一端は抵抗R3〜R5を介して整流回路の正出力端子に接続され、他端は抵抗R6〜R8を介して整流回路の負出力端子に接続されている。共振用コンデンサC5を介して予熱電流を供給している側のフィラメントが断線した場合には、抵抗R7とR8の接続点の電位が低下したままになるので、抵抗R24、ダイオードD10、ダイオードD14を介して予熱始動回路のコンデンサC9の電荷を放電させると共に、ダイオードD11を介してトランジスタQ4をオンさせて、スイッチング素子Q2のゲート駆動信号を引き抜き、インバータ回路の発振を停止させる。すなわち、本実施形態では、2灯の放電灯負荷laの非接続点側のフィラメントの断線を検出したときには、インバータ回路の発振を停止させ、且つ予熱始動回路をリセットすることができる。また、この回路では、図10の従来例に比べると、リーケージトランスT2の2次巻線と直列に挿入された直流カット用コンデンサC11が不要であるので、このコンデンサC11の直流電圧が放電灯laに印加されることはなく、カタホレシス現象の発生を防止することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、交流電源に接続された整流回路と、整流回路の出力側に配置されて直流電圧を充電される平滑コンデンサと、直流電圧を高周波電圧に変換するように交互にオン・オフされるスイッチング素子の直列回路と、LC共振回路を含みスイッチングによる高周波電流の一部を交流電源入力側に帰還するように整流回路の出力に接続された負荷回路と、スイッチング素子を自励駆動する手段とを備えるインバータ回路を用いた電源装置であって、負荷回路は2灯が直列接続された放電灯負荷とこれら2灯の放電灯負荷の直列回路に2次巻線を接続されたリーケージトランスを含み、2灯の放電灯負荷の接続点側のフィラメントは直列接続されており、前記リーケージトランスの予熱用巻線は直流カット用のコンデンサを介して、2灯の放電灯負荷の接続点側のフィラメントの直列接続回路に接続されており、該直列接続回路を介して構成されたインバータ回路の起動回路を備え、該直列接続回路の一端は第1の抵抗を介して整流回路の正出力端子に接続されており、該直列接続回路の他端は第2の抵抗を介して起動用コンデンサの高電位側に接続されており、該コンデンサの低電位側は整流回路の負出力端子に接続されているものであるから、インバータ回路の起動回路に高電圧が印加されないことにより、回路素子のインピーダンスを下げることができ、したがって、電源投入からインバータ回路の起動までの時間を短縮できるという効果がある。また、放電灯のランプ電圧に直流電圧が重畳されない構成とすることが容易であるため、カタホレシス現象を防止できるという効果がある。
【0043】
また、本発明によれば、2灯の放電灯負荷の接続点側のフィラメントと非接続点側のフィラメントの断線寿命に差が生じるように、各フィラメントの予熱電流の大きさに差を設けたから、検出している側のフィラメントの方が先に断線することにより、断線検出を確実に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1の回路図である。
【図2】 本発明の実施形態2の回路図である。
【図3】 本発明の実施形態3の回路図である。
【図4】 本発明の実施形態1の設計例を説明するための回路図である。
【図5】 本発明の実施形態2の設計例を説明するための回路図である。
【図6】 本発明の実施形態3の設計例を説明するための回路図である。
【図7】 本発明の実施形態4の回路図である。
【図8】 本発明の実施形態5の回路図である。
【図9】 本発明の実施形態6の回路図である。
【図10】 従来例の回路図である。
【符号の説明】
la 放電灯負荷
Q1 スイッチング素子
Q2 スイッチング素子
C0 平滑コンデンサ
T3 駆動トランス
Claims (4)
- 交流電源に接続された整流回路と、整流回路の出力側に配置されて直流電圧を充電される平滑コンデンサと、直流電圧を高周波電圧に変換するように交互にオン・オフされるスイッチング素子の直列回路と、LC共振回路を含みスイッチングによる高周波電流の一部を交流電源入力側に帰還するように整流回路の出力に接続された負荷回路と、スイッチング素子を自励駆動する手段とを備えるインバータ回路を用いた電源装置であって、負荷回路は2灯が直列接続された放電灯負荷とこれら2灯の放電灯負荷の直列回路に2次巻線を接続されたリーケージトランスを含み、2灯の放電灯負荷の接続点側のフィラメントは直列接続されており、前記リーケージトランスの予熱用巻線は直流カット用のコンデンサを介して、2灯の放電灯負荷の接続点側のフィラメントの直列接続回路に接続されており、該直列接続回路を介して構成されたインバータ回路の起動回路を備え、該直列接続回路の一端は第1の抵抗を介して整流回路の正出力端子に接続されており、該直列接続回路の他端は第2の抵抗を介して起動用コンデンサの高電位側に接続されており、該コンデンサの低電位側は整流回路の負出力端子に接続されており、2灯の放電灯負荷の接続点側のフィラメントの予熱電流と非接続点側のフィラメントの予熱電流の大きさに差を設け、2灯の放電灯負荷の接続点側のフィラメントの予熱電流は、先行予熱時には他側のフィラメントの予熱電流よりも少なく設定され、通常点灯時には他側のフィラメントの予熱電流よりも多く設定されることを特徴とする放電灯点灯装置。
- 少なくとも一方のスイッチング素子の駆動信号をオン時間が短縮される方向へ制限する他制手段を備えることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
- 2灯の放電灯負荷の非接続点側のフィラメントを介して構成された無負荷検出回路を備え、無負荷検出信号により少なくとも一方のスイッチング素子の駆動信号をオン時間が短縮される方向へ制限する他制手段を備えることを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。
- 放電灯負荷の予熱始動用のタイマー回路と、2灯の放電灯負荷の非接続点側のフィラメントを介して構成された無負荷検出回路とを備え、無負荷検出信号により予熱始動用のタイマー回路をリセットすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
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