JP3762877B2 - 車両の後進補助装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の後進(例えば、駐車等のための後進)を補助するための後進補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の後進補助装置は、車両の後方監視モニター装置といわれることもあり、例えば特開昭59−114139号公報に示されている。同公報に示されている車両の後方監視モニター装置においては、自車両の後方視界を撮影するカメラの映像と、自車両の後進予想進路が運転席に設けられたモニター画面に重畳して表示されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した公報の装置においては、運転席に設けられたモニター画面に、常に、カメラの映像と自車両の後進予想進路が重畳して表示されるため、運転者の意識がモニター画面に集中して、カメラの映像外の車両周辺への注意がおろそかになるおそれがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために、自車両の後方視界を撮影するカメラ、このカメラがとらえた映像を自車両の車内に設けたモニター画面に表示するカメラ映像表示手段、自車両の操舵装置によって操舵される舵角を検出する舵角検出手段、この舵角検出手段によって検出された舵角から自車両の後進の予想進路を演算する予想進路演算手段、この予想進路演算手段が演算した予想進路を前記モニター画面にカメラ映像に重畳して表示する予想進路表示手段を備えて、車両の後進を補助する後進補助装置において、自車両の後進速度を検出する車速検出手段、この車速検出手段によって検出された後進車速が設定値以上であるときに前記予想進路の前記モニター画面への重畳表示を直ちに禁止する重畳表示禁止手段を設けて、自車両の後進車速が設定値以上であるときには前記予想進路を重畳表示せず前記カメラ映像を前記モニター画面に表示すること(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0005】
この場合において、自車両の特定状態後の車両移動距離(例えば、後進開始からの車両移動距離)を累積演算する車両移動距離演算手段と、この車両移動距離演算手段によって検出された車両移動距離が設定値以上であるときに前記予想進路の前記モニター画面への重畳表示を禁止する第2重畳表示禁止手段を設けること(請求項2に係る発明)が可能である。
【0006】
また、上記した各場合(請求項1または2に係る発明)において、運転者に対して自車両周辺の安全確認の注意喚起を行う注意喚起手段を設けること(請求項3に係る発明)が可能である。この注意喚起手段は、モニター画面にカメラ映像とともに表示される注意喚起文字(請求項4に係る発明)であってもよく、また後進車速が第2設定値以上であるときに出力される注意喚起音声(請求項5に係る発明)であってもよい。
【0007】
【発明の作用・効果】
本発明による車両の後進補助装置(請求項1に係る発明)においては、自車両の後進車速が設定値未満であるとき、重畳表示禁止手段は予想進路のモニター画面への重畳表示を禁止しない。このため、モニター画面には、カメラ映像と予想進路が重畳表示されて、運転者は、モニター画面にてカメラ映像(後方視界)と予想進路を同時に確認することができ、後進による車庫入れ・縦列駐車等に際して、運転者の負担を軽減することができる。
【0008】
ところで、自車両の後進車速が設定値以上であって、運転者の意識がモニター画面に集中することが好ましくない状態のときには、重畳表示禁止手段が予想進路のモニター画面への重畳表示を直ちに禁止する。このため、モニター画面には、カメラ映像は表示されるが、予想進路は重畳表示されない。したがって、かかる状態での後進による車庫入れ・縦列駐車等に際して、運転者がモニター画面に意識を集中する可能性は低くなって、カメラの映像外の車両周辺をも注視するようになり、車両周辺全体の安全確認を行うようになる。
【0009】
また、本発明による車両の後進補助装置(請求項2に係る発明)においては、自車両の特定状態後の車両移動距離(例えば、後進開始からの車両移動距離)を累積演算する車両移動距離演算手段と、この車両移動距離演算手段によって検出された車両移動距離が設定値以上であるときに前記予想進路の前記モニター画面への重畳表示を禁止する第2重畳表示禁止手段を設けた。このため、自車両の後進移動距離が設定値以上であって、運転者の意識がモニター画面に集中することが好ましくない状態のとき、第2重畳表示禁止手段が予想進路のモニター画面への重畳表示を禁止する。したがって、このときにも、運転者がモニター画面に意識を集中する可能性は低くなって、カメラの映像外の車両周辺をも注視するようになり、車両周辺全体の安全確認を行うようになる。
【0010】
また、本発明による車両の後進補助装置(請求項3に係る発明)においては、運転者に対して自車両周辺の安全確認の注意喚起を行う注意喚起手段(例えば、請求項4に係る発明の「モニター画面にカメラ映像とともに表示される注意喚起文字」、または請求項5に係る発明の「後進車速が第2設定値以上であるときに出力される注意喚起音声」)を設けたため、これによって運転者が車両周辺全体の安全確認を行うことを注意喚起することができて、安全性を向上させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明による後進補助装置を搭載した車両を概略的に示していて、この後進補助装置は舵角センサ11、車速センサ12、カメラ13、モニター画面14、スピーカ15およびスイッチ16を備えるとともに電気制御装置20を備えている。図1に示した舵角センサ11、車速センサ12、カメラ13、モニター画面14、スピーカ15およびスイッチ16は、図2に示したように、電気制御装置20に接続されている。
【0012】
舵角センサ11は、自車両の操舵装置によって操舵される舵角を検出する舵角検出手段であり、これによって検出された舵角は電気制御装置20に出力されるようになっている。車速センサ12は、自車両の前進および後進の速度を検出する車速検出手段であり、これによって検出された車速は電気制御装置20に出力されるようになっている。カメラ13は、自車両の後方視界を撮影するものであり、その映像は電気制御装置20に出力されるようになっている。
【0013】
モニター画面14は、運転者が運転席にて容易に視認可能な位置に設けられていて、電気制御装置20から出力されるカメラ映像、予想進路、注意喚起文字等を表示可能となっている。スピーカ15は、運転席の近傍に設けられていて、電気制御装置20から出力される注意喚起音声を出力可能となっている。スイッチ16は、本発明による後進補助装置の作動・非作動を選択的に決定する切り換え手段であり、ON操作またはOFF操作に応じてON信号またはOFF信号が電気制御装置20に出力されるようになっている。
【0014】
電気制御装置20は、舵角センサ11、車速センサ12、カメラ13およびスイッチ16からの各信号を受信して、図3のフローチャートに対応したプログラムの実行(イグニッションスイッチがONである状態にてスイッチ16がON操作されることで実行される)により、モニター画面14に表示される表示内容と、スピーカ15からの音声出力を制御するようになっている。
【0015】
次に、上記のように構成した本実施形態の作動を図3のフローチャートを参照して説明する。イグニッションスイッチがONである状態でスイッチ16がON操作され、変速機のシフトレバー(図示省略)がシフトポジションRにシフトされている状態では、ステップ101にてプログラムの実行が開始されて、ステップ102にて「Yes」と判定され、ステップ103〜107が順次実行される。なお、スイッチ16がON操作されたときに、シフトレバー(図示省略)がシフトポジションRにシフトされていない状態では、ステップ101にてプログラムの実行が開始されて、ステップ102にて「No」と判定され、ステップ102が繰り返し実行される。
【0016】
ステップ103では、舵角センサ11にて検出される舵角が入力されて記憶され、車速センサ12にて検出される車両速度(車速)が入力されて記憶され、カメラ13にて撮影される映像が入力されて記憶される。ステップ104では、ステップ103にて入力されて記憶された舵角に基づいて車両が後進する際の予想進路が演算されて記憶される。ステップ105では、入力されて記憶されたカメラ13の映像をモニター画面14に表示すべく出力する。ステップ106では、「車両周辺を直接確認してください」の注意喚起文字をモニター画面14に表示すべく出力する。
【0017】
ステップ107では、ステップ103にて入力されて記憶された車速が設定値αkm/h(例えば、3km/h)以上か否かが判定され、「Yes」と判定されるとステップ109,111が実行され、「No」と判定されるとステップ108が実行される。ステップ109では、「車両周辺を直接確認してください」の注意喚起音声がスピーカ15から出力されるように出力する。
【0018】
ステップ108は、予想進路のモニター画面14への重畳表示を禁止する重畳表示禁止手段であり、このステップ108では、ステップ103にて入力されて記憶された車速が設定値βkm/h(例えば、1.5km/h)以上か否かが判定され、「Yes」と判定されるとステップ111が実行され、「No」と判定されるとステップ110が実行される。ステップ110では、ステップ104にて演算されて記憶された予想進路をモニター画面14に表示すべく出力する。ステップ111では、シフトレバー(図示省略)がシフトポジションRにシフトされているか否かが判定され、「Yes」と判定されるとステップ103に戻り、「No」と判定されるとステップ102に戻る。
【0019】
以上要するに、本実施形態においては、イグニッションスイッチがONである状態でスイッチ16がON操作されたときに、シフトレバー(図示省略)がシフトポジションRにシフトされていて、自車両の後進車速が設定値βkm/h未満であるとき、ステップ101〜108とステップ110と111が実行された後に、ステップ103〜108とステップ110と111が繰り返し実行されて、モニター画面14には図4に示したようにカメラ13の映像と「車両周辺を直接確認してください」の注意喚起文字が表示されるとともに、予想進路がカメラ映像に重畳するようにしてモニター画面14に表示される。このため、運転者は、モニター画面14にて、カメラ映像(後方視界)と予想進路を同時に確認することができ、後進による車庫入れ・縦列駐車等に際して、運転者の負担を軽減することができる。
【0020】
ところで、自車両の後進車速が設定値βkm/h以上であって、運転者の意識がモニター画面14に集中することが好ましくない状態のときには、ステップ108にて「Yes」と判定されて、ステップ110が実行されることなくステップ111が実行される。このため、予想進路のモニター画面14への表示出力が実行されなくて直ちに禁止され、モニター画面14には、図5に示したように、カメラ13の映像と「車両周辺を直接確認してください」の注意喚起文字は表示されるが、予想進路は重畳表示されない。したがって、かかる状態での後進による車庫入れ・縦列駐車等に際して、運転者がモニター画面14に意識を集中する可能性は低くなって、カメラ13の映像外の車両周辺をも注視するようになり、車両周辺全体の安全確認を行うようになる。
【0021】
また、本実施形態においては、運転者に対して自車両周辺の安全確認の注意喚起を行う「車両周辺を直接確認してください」の注意喚起文字がモニター画面14にカメラ13の映像とともに表示されるため、また後進車速が第2の設定値α(α>β)km/h以上であるときに「車両周辺を直接確認してください」の注意喚起音声が出力されるため、これらの文字や音声によって運転者が車両周辺全体の安全確認を行うことを注意喚起することができて、安全性を向上させることができる。
【0022】
上記した本実施形態においては、図3のフローチャートに対応したプログラムが実行されるようにして実施したが、これに代えて図6のフローチャートに対応したプログラムが実行されるようにして実施することも可能である。図6のフローチャートに対応したプログラムは、図3のステップ102と103間にステップ121を加え、図3のステップ104と105間にステップ122を加え、図3のステップ108と110間にステップ123を加え、図3のステップ108と111間にステップ124を加え、図3のステップ109と111間にステップ125を加えたものである。
【0023】
図6のステップ121では、後進開始(車速ゼロの状態)からの車両移動距離がゼロとされ、ステップ122では、ステップ103にて入力されて記憶された車速に基づいて車両移動距離が累積演算されて記憶され、ステップ124と125では車両移動距離がゼロとされる。また、ステップ123では、ステップ122にて累積演算されて記憶された車両移動距離が設定値γm以上か否かが判定され、「Yes」と判定されるとステップ109が実行され、「No」と判定されるとステップ110が実行される。なお、ステップ124と125にて車両移動距離をゼロとするのは、後進車速が設定値βkm/h以上になったときには車両移動距離をリセットし、後進車速が設定値βkm/h未満である状態での車両移動距離を得るためである。
【0024】
上記した図6のフローチャートに対応したプログラムが実行されるようにして実施した場合には、上記した実施形態(図3のフローチャートに対応したプログラムが実行される実施形態)の作用に加えて、以下の作用が得られる。すなわち、この実施形態では、自車両の後進開始(車速ゼロの状態)から設定値βkm/h未満の車速で後進する際の車両移動距離が設定値γm以上であって、運転者の意識がモニター画面14に集中することが好ましくない状態のとき、ステップ123にて「Yes」と判定されて、ステップ110が実行されることはない。
【0025】
このため、予想進路のモニター画面14への表示出力が実行されなくて、モニター画面14には、図5に示したように、カメラ13の映像と「車両周辺を直接確認してください」の注意喚起文字は表示されるが、予想進路は重畳表示されない。したがって、このときにも、運転者がモニター画面14に意識を集中する可能性は低くなって、カメラ13の映像外の車両周辺をも注視するようになり、車両周辺全体の安全確認を行うようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による車両の後進補助装置を搭載した車両を概略的に示す構成図である。
【図2】 図1に示した舵角センサ、車速センサ、カメラ、モニター画面、スピーカおよびスイッチと電気制御装置20との接続関係を示す構成図である。
【図3】 図1および図2に示した電気制御装置にて実行されるプログラムのフローチャートである。
【図4】 図1および図2に示したモニター画面にカメラ映像と予想進路と注意喚起文字が表示された状態の図である。
【図5】 図1および図2に示したモニター画面にカメラ映像と注意喚起文字が表示された状態の図である。
【図6】 図1および図2に示した電気制御装置にて実行可能な他のプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
11…舵角センサ、12…車速センサ、13…カメラ、14…モニター画面、15…スピーカ、16…スイッチ、20…電気制御装置、α…後進車速の第2の設定値、β…後進車速の設定値、γ…車両移動距離の設定値。
Claims (5)
- 自車両の後方視界を撮影するカメラ、このカメラがとらえた映像を自車両の車内に設けたモニター画面に表示するカメラ映像表示手段、自車両の操舵装置によって操舵される舵角を検出する舵角検出手段、この舵角検出手段によって検出された舵角から自車両の後進の予想進路を演算する予想進路演算手段、この予想進路演算手段が演算した予想進路を前記モニター画面にカメラ映像に重畳して表示する予想進路表示手段を備えて、車両の後進を補助する後進補助装置において、自車両の後進速度を検出する車速検出手段、この車速検出手段によって検出された後進車速が設定値以上であるときに前記予想進路の前記モニター画面への重畳表示を直ちに禁止する重畳表示禁止手段を設けて、自車両の後進車速が設定値以上であるときには前記予想進路を重畳表示せず前記カメラ映像を前記モニター画面に表示することを特徴とする車両の後進補助装置。
- 請求項1に記載の車両の後進補助装置において、自車両の特定状態後の車両移動距離を累積演算する車両移動距離演算手段、この車両移動距離演算手段によって検出された車両移動距離が設定値以上であるときに前記予想進路の前記モニター画面への重畳表示を禁止する第2重畳表示禁止手段を設けたことを特徴とする車両の後進補助装置。
- 請求項1または2に記載の車両の後進補助装置において、運転者に対して自車両周辺の安全確認の注意喚起を行う注意喚起手段を設けたことを特徴とする車両の後進補助装置。
- 請求項3に記載の車両の後進補助装置において、前記注意喚起手段が前記モニター画面にカメラ映像とともに表示される注意喚起文字であることを特徴とする車両の後進補助装置。
- 請求項3に記載の車両の後進補助装置において、前記注意喚起手段が注意喚起音声であり、前記車速検出手段によって検出された後進車速が第2設定値以上であるときに出力されることを特徴とする車両の後進補助装置。
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