JP3761487B2 - 有機性固形物の可溶化処理方法と装置 - Google Patents

有機性固形物の可溶化処理方法と装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機性固形物の可溶化処理に係り、特に、下水汚泥、初沈汚泥、余剰汚泥、食品残さ、動物の糞尿、動物の死骸、動植物性残さ、厨芥、バイオマスの少なくとも一つを成分として含む有機性固形物の可溶化処理方法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、廃棄物による環境負荷の増大、最終処分場の残余容量の逼迫、焼却処理に伴うダイオキシン類などの有害化学物質生成といった問題が深刻化する中、資源の有効利用が強く求められており、廃棄物のリサイクルが必要となってきている。そのような中で、下水汚泥を始めとする各種有機性固形物の資源化が大きな課題となっている。
有機性固形物を資源化する方法の一つとして、メタン発酵処理がある。メタン発酵処理は嫌気性消化菌を用いることで、有機性固形物からメタンガスとしてエネルギーを回収することが可能となり、生物処理のため消費エネルギーも少ない等の利点を持っている。
【0003】
メタン発酵は、次の3つの過程を経て、進行するとされている。
1)微生物の体外酵素によって基質中の炭水化物、脂質、タンパク質がそれぞれ糖分、脂肪酸、アミノ酸に分解・可溶化される加水分解過程、
2)加水分解過程で生成された低分子有機物質が、プロピオン酸、酪酸及び低級アルコールへと分解される酸生成過程、
3)酸生成過程で生成された有機酸やアルコールから、メタンと二酸化炭素を生成するメタン生成過程。
前記各過程の反応速度は、酸生成>メタン生成>加水分解の関係を持ち、加水分解過程が律速段階とされている〔松川康夫、環境技術、13(11)、772、1984〕。
したがって、有機性固形物のように不溶性固形物を基質としてメタン発酵を行う場合には、有機性固形物に可溶化処理(破砕、粉砕、加水分解、熱分解等の物理的もしくは化学的、あるいは物理化学的処理を施し、不溶性有機性固形物を可溶性の有機化合物に変換する処理)を施すことで、消化速度の増大や消化率及びメタン転換率の向上といった効果を期待することができる。
【0004】
このような背景から、有機性固形物の各種可溶化処理方法が提案されており、例えば、有機性汚泥をアルカリ性にすると共に有機性汚泥の温度を50〜100℃に維持する方法、余剰汚泥に湿式媒体式ミル処理を施す方法、汚泥を超音波で処理する方法等が提案されている。
一方、密閉容器内において、水の存在下で高温、高圧に保持することで、有機性固形物の可溶化処理(以下、水熱可溶化処理と呼ぶ)を行い、メタンガス発生量の増大や消化率の向上を図る方法が提案されている(王偉ら、衛生工学研究論文集、Vol.24、41、1988)。水熱可溶化処理は、有機性固形物を短時間で高効率に可溶化可能であり、酸やアルカリを少量加えて適切な条件を選定することで、有機性固形物を有機酸にまで変換することが可能である。
【0005】
しかしながら、従来の水熱可溶化処理においては、可溶化処理液が著しく着色するため、処理液を最終的に環境中に放出する際には、高度な脱色工程が必要となる問題や、着色成分により、後段の発酵工程において発酵が阻害される可能性があった。
さらに、酸やアルカリを加えて水熱可溶化処理をする場合には、金属に対する腐食性が極めて厳しくなるために、反応器材料に高価な耐食性材料が必要となり、設備の製造コストが高価にならざるを得ない等の問題も生じる。
上記問題点を解消する目的で、水熱処理と電気分解処理を併用することで、着色を抑制した有機性固形物の高効率分解処理法が提案されている。
【0006】
この高温高圧下の水媒体中で電気分解を行う方法としては、芹川等により国際出願PCT/JP98/03544号に開示された水熱電解酸化法がある。水熱電解酸化法とは、100℃以上、臨界温度以下の温度条件下にて水媒体が液相を維持できる圧力の下に、直流電流を水媒体に印可し、水熱雰囲気下において電気分解を行う技術であり、酸化能力は非常に高くほとんどの還元性物質を、投入した電気量に比例して同じように分解する。つまり、易分解性物質であっても、難分解性物質であっても一様に熱水中で分解可能となる〔Journal of Applied Electrochemistry、30、875(2000)〕。従って、水熱電解酸化法を水熱可溶化処理に用いた場合には、着色成分のみならず、有機性固形物及び有機性固形物からの可溶化物質が、炭酸ガスと水に変換されてしまい、有機性固形物を低分子化させて、微生物が取り込み易い有機物に変換することが困難であると考えられてきた。例えば、有機性汚泥を湿式酸化処理する際に、該汚泥に高温高圧条件下で直流電流を印可し、汚泥中の有機物を酸化分解処理する方法では、処理液の着色を低減するものの、可溶化成分である溶解性COD濃度も著しく低減されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、有機固形物を含んだ水媒体を高温高圧処理するに際し、着色を抑制して可溶化成分である溶解性CODを高濃度に残すことができる有機性固形物の可溶化処理方法と装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、有機性固形物を含有する水媒体を、密閉容器内において、100℃以上で前記水媒体の臨界温度未満の温度に加熱すると共に、前記水媒体が液相を維持する圧力下に保持して、前記有機性固形物を可溶化処理する方法であって、前記温度と圧力下で、前記水媒体中に直流電流を、前記有機性固形物を含有する水媒体が、可溶化処理される前に有する化学的酸素要求量に相当する酸素を、水を電気分解することで発生させるために必要となる電気量の半分以下で供給することを特徴とする有機性固形物の可溶化処理方法としたものである。
前記可溶化処理は、水媒体中に酸、アルカリ又は電解質の1又は2種を添加して行うことができる。
また、本発明では、有機性固形物を含有する水媒体を導入する密閉容器と、該密閉容器内を、100℃以上で前記水媒体の臨界温度未満の温度に加熱すると共に、前記水媒体が液相を維持する圧力下に保持する手段とを有する前記有機性固形物を可溶化処理する装置であって、前記温度と圧力下に、前記水媒体中に直流電流を、前記有機性固形物を含有する水媒体が、可溶化処理される前に有する化学的酸素要求量に相当する酸素を、水の電気分解で発生させるために必要となる電気量の半分以下で供給する手段を有することを特徴とする有機性固形物の可溶化処理装置としたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、有機性固形物を含んだ水媒体に、高温高圧処理を施して有機性固形物の可溶化処理を行うに際し、同じ高温高圧条件下にて直流電流を低電気量で供給することにより、着色成分を選択的に分解し、着色を抑制した可溶化処理を行うことが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
図1、図2に、有機性固形物のモデル物質として、1wt%トイレットペーパー含有水を反応温度(図1)及び水媒体のpH(図2)を変化させて可溶化させた場合の、懸濁物質(SS)濃度、溶解性CODcr濃度、溶解性全糖濃度、揮発性有機酸濃度及び色度の変化を示した。図1において、SS濃度及び溶解性CODcr濃度に注目すると、反応温度の上昇に伴いSS濃度は減少し、溶解性CODcr濃度は増加している。つまり、処理温度の上昇に伴い、不溶性の有機化合物が可溶化されて、溶解性の有機化合物に変換されており、特に高温条件において、可溶化率が良いことが明らかである。しかし、色度に着目すると、溶解性CODcr濃度が増加するに伴って色度も増加し、可溶化率の良い高温条件において、着色が著しいことが分かる。
【0010】
一方、図2において、SS濃度及び溶解性CODcr濃度に着目すると、pHの低下に伴いSS濃度が減少し、溶解性CODcr濃度は増加している。つまり、処理pHの下降に伴い、不溶性の有機化合物が可溶化されて溶解性の有機化合物に変換されており、特に高温条件において、可溶化率が良いことが明らかである。しかし、色度に着目すると、溶解性CODcr濃度が増加するに伴って色度も増加し、可溶化率の良い低pH条件において着色が著しいことが分かる。
これらのことから、可溶化成分である溶解性CODcr濃度が上昇するに伴い、色度が著しく増加している様子が分かる。
本発明において、水熱可溶化処理を行う際に前記電気量で直流電流を供給することにより、高温高圧条件下で有機性固形物を可溶化する際に副反応として生じる着色原因物質を低減し、処理液の色度増加を抑制することが可能となる。着色成分の低減メカニズムは、はっきりとは理解されていないが、陽極表面上での着色原因物質の直接分解や、着色原因物質の生成抑制が考えられる。
【0011】
また、水媒体中にハロゲン化物イオンが存在する場合には、下記式により陽極上で発生するハロゲン分子が、水と反応して生成する次亜ハロゲン酸により、着色原因物質や着色原因物質前駆体が分解されるものと考えられる。
2X-→X2+2e- (1)
2+H2O→HX+HXO (2)
(式中Xはハロゲン化物イオン)
また、本発明では、前記有機性固形物を含有する水媒体に、酸、アルカリ、電解質の中から選ばれる1又は2種を添加することをができる。酸又はアルカリを添加することで、可溶化効率を向上させることが可能であり、また、電解質を添加することで、直流電流を供給した際の通電電圧が低く済むので、電気分解に必要なエネルギーコストを大幅に削減可能であり、また、電気分解による色度低減効果を大きくすることができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図3は、本発明の実施形態を示す有機性固形物の可溶化処理装置の概略構成図である。図3に示した有機性固形物の可溶化装置は、有機性固形物供給ライン1、水供給ライン2、酸又はアルカリ供給ライン3(a,b,c)、電解質供給ライン4、水媒体調整タンク5、水媒体供給ライン6、高圧ポンプ7、高圧水媒体供給ライン8、温度調節部9、高温・高圧水媒体供給ライン10、可溶化反応器11、直流電流供給手段12及び排出手段13を主要構成要素とする。
有機性固形物を含有する水媒体を調整する水媒体調整部は、有機性固形物供給ライン1と、水供給ライン2と、酸又はアルカリ供給ライン3a及び電解質供給ライン4と、これらの供給ラインと接続されており、これらの供給ラインから供給された有機性固形物や水等を撹拌混合する水媒体調整タンク5を有し、有機性固形物を含有する水媒体を調整することができる。
【0013】
本発明では、有機性固形物として、特に下水汚泥、初沈汚泥、余剰汚泥、食品残さ、動物の糞尿、動物の死骸、動植物性残さ、厨芥の少なくとも一つを成分として含む有機性固形物である場合に好適に用いられる。
水媒体中の有機性固形物濃度は、1から10%が望ましい。前記範囲未満の濃度では、可溶化効率が悪く、前記範囲以上の濃度では、調整した水媒体を可溶化反応器11に供給することが困難になる。また、水媒体中の有機物濃度は、4から10%がさらに望ましい。
【0014】
酸又はアルカリ供給ライン3(a,b,c)からは、可溶化効率を向上するための酸又はアルカリが便宜に供給される。酸の投入は、前記有機性固形物の性状が、初沈汚泥やセルロース系バイオマス等のようにセルロース質成分が多い場合に好適に用いられる。一方、アルカリの投入は、上記有機性固形物の性状が、余剰汚泥や食品残さのようにタンパク質、脂質成分を多く含んでいる場合に有効である。
酸の投入によって調節される水媒体のpHは、1.0〜6.5が好ましく、特に1.0〜4.0が好ましい。一方、アルカリの投入によって調整される水媒体のpHは、7.5〜13.0が好ましく、特に9.0〜13.0が好ましい。
酸又はアルカリ供給ライン3bは、酸又はアルカリの投入を高圧ポンプ7の下流側で行うものであり、酸又はアルカリによる高圧ポンプ7の劣化を抑制する効果がある。同様に、酸供給ライン3cは、酸又はアルカリの供給を温度調節部9の下流側で行うものであり、酸又はアルカリによる高圧ポンプ及び温度調節部9の劣化を抑制する効果がある。
【0015】
電解質供給ライン4からは、便宜に電解質が供給され、電解質を投入することで電気伝導度を上昇させると共に、直流電流の供給による着色抑制を促進する効果が期待できる。前記電解質としては、ハロゲン化物塩、硫酸塩、りん酸塩等の水媒体中に容易に溶解する塩類を用いることが好ましい。特に、ハロゲン化物塩を用いる場合が好ましく、この場合のハロゲン化物イオン濃度は、50ppm〜20wt%の範囲になることが好ましい。ハロゲン化物イオンの供給源としては、食塩、岩塩、海水、塩化カリウム、臭化カリウム、臭化ナトリウムなどが好適に用いられる。
【0016】
前記水媒体を、水媒体調整部から可溶化反応器11へ供給する水媒体供給手段は、水媒体調整タンク5に接続された水媒体供給ライン6と高圧ポンプ7を有する。前記高圧ポンプ7には、一般的な高圧ポンプであるプランジャ型ポンプ、ダイヤフラム型ポンプ等が使用可能である。
高圧ポンプ7により圧送された水媒体は、高圧水媒体供給ライン8を経て温度調節部9に導入され、所定の温度に昇温する。
この温度調節部9は、一般的な熱交換器及び/又はヒーターを使用することが可能であり、熱交換器の場合には、熱源として排出部13を経て排出されてくる可溶化処理液を利用することができる。また、周辺に存在する焼却炉や燃料電池等の高温廃熱源を利用することも可能であり、ランニングコストを大幅に削減することが可能である。
【0017】
前記可溶化反応器11は、有機性固形物を含有する水媒体が100℃以上で前記水媒体の臨界温度未満の温度において、前記水媒体が、液相を維持する圧力の下に保持することにより、前記有機性固形物に加水分解反応や熱分解反応等を生じさせ可溶化させるものである。前記温度・圧力は、150℃〜350℃、1MPa〜22MPaの範囲に維持されること好ましい。前記温度・圧力より低い温度・圧力では、可溶化反応があまり進行せず、また、前記温度・圧力範囲より高い温度・圧力範囲では、有機性固形物や可溶化成分が無機化されてしまうため、可溶化効率が悪くなってしまう。可溶化させる温度・圧力範囲は、150℃〜250℃、1MPa〜6MPaが更に好ましい。
【0018】
また、直流電流供給手段12は、前記温度・圧力の下で直流電流を供給することで、熱水中の電解作用により可溶化処理液の着色を抑制するものである。
ファラデーの法則によれば、電極反応系の単位体積当りに電気量Q(C/l)を通じた時に、その単位体積当りに生成もしくは消費される物質のモル数m(mol/l)は、反応電子数をZとすると次のように表わされる。
m=Q/zF (mol/l) (1)
ここで、Fはファラデー定数〔96500(C/mol)〕である。
(1)式のモル数mを、化学的酸素要求量COD(mg/l)に置き換えると、酸素の分子量は32であるから、(1)式は次のように表わせる。
COD/32000=Q/zF (mol/l) (2)
【0019】
ここで、CODに相当する酸素が、水の電気分解により供給されると仮定すると、水の電気分解による酸素の生成反応式は、
2H2O→O2十4H+4e- (3)
であるので、反応電子数m=4となり、式(2)は次のように表わせる。
Q=zFCOD/32000
=4×96500COD/32000
=12.0625COD (C/l) (4)
ここで、1C=1As=1/3600Ahであるから、式(4)は次のように表わすことができる。
Q*=0.00335COD (Ah/l) (5)
【0020】
ここで、(5)式のCODが、前記有機性固形物を含有する水媒体が、可溶化処理される前に有する化学的酸素要求量のCOD水媒体である時のQを、理論電気量Q*と定義すると、前記直流電流を前記水媒体が、可溶化処理される前に有する化学的酸素要求量に相当する酸素を、水を電気分解することで発生させるために必要となる電気量以下で供給するということは、前記直流電流を理論電気量Q*以下で供給することとなり、また、前記直流電流は、電気量0.0001Q*〜0.5Q*で供給されることが好ましく、さらには、電気量0.001Q*〜0.3Q*で供給されることがより好ましい。
なお、ここで用いられているCOD水媒体濃度は正しくは、化合物の化学式から求められる理論的酸素要求量を用いるべきである。しかし、水媒体中の有機性固形物について、すべての化学式を同定することは困難であるので、重クロム酸カリウムを用いて求められる化学的酸素要求量(CODcr)を用いることが好ましい。また、燃焼させて酸素低減量を測定することにより求まる全酸素要求量(TOD)を用いることも同様に好ましい。
【0021】
直流電流供給手段12の実施形態例としては、図4〜図7の様な形態が考えられる。図4及び図5に示した実施形態例は、可溶化反応と直流電流供給手段12を同一の密閉容器中で行うものであり、装置の小型化を可能とする。図4に示した可溶化反応器11は、直流電流供給手段12として、直流電流を供給するための少なくとも一対の相対する陽極14及び陰極15と、直流電源16を主要構成要素とする直流電流供給装置、及び排出部13を有するものである。ここで使用される一対の電極の形状は、一般的な電極形状のものが使用でき、板型電極、多重円筒型電極、棒型などが挙げられる。図4では、例として、板型電極を示した。
【0022】
図5に示した可溶化反応器11は、直流電流供給手段12として、直流電流を供給するための陽極14及び陰極15と、直流電源16を構成要素とする直流電流供給装置、及び排出部13を有するものであり、陰極15を可溶化反応器11の内壁としたものである。前記陰極を内壁面とすることで、可溶化反応器11の防食を行うことが可能であり、可溶化処理中に可溶化反応器11が腐食される恐れがある場合には、非常に有効となる。ここで使用される陽極14の形状は、反応容器内壁と電極との間隔が何処でも均等になるようにすることが好ましく、例えば、反応容器が円筒型の場合には電極も円筒型が好ましい。
陽極14自体は、メッシュ状、棒状、板状のいずれでもよい。
陽極14の材料としては、不溶性電極であれば何でも良く、例えば、陽極の表面がルテニウム、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウムの金属元素もしくはこれらの酸化物、あるいはこれらの金属の合金で被覆されていることが好ましい。
【0023】
図6、図7に示した実施形態例は、可溶化処理と直流電流供給手段12を異なる密閉容器中で行うものであり、可溶化処理手段は、可溶化反応器11、可溶化処理液供給ライン17を構成要素とし、直流電流供給手段12は、陽極14、陰極15及び直流電源16を構成要素とする直流電流供給装置、反応容器18及び排出部13を有するものである。それぞれ、図4、図5で示した直流電流供給手段12を可溶化反応器11内で行わずに、下流側の反応容器18内で行うものである。この方法により、スラリー粒径やスラリー濃度の問題、あるいは電極構造上の問題で、可溶化と電解脱色を同時に行おうとした際に、電極間の空隙で閉塞する恐れがある場合に、効果的に可溶化処理を行うことが可能となる。
排出部13は、可溶化反応器11及び直流電流供給手段12を経た可溶化処理液を外部に排出するためのものであり、ここには図示していない冷却器、減圧弁、気液分離器などを主要構成要素とする。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
有機性固形物モデル物質(トイレットペーパー)3gを純水に分散させ150gとし、塩酸を加えてpHを1.6としたものを試料とした。雰囲気ガスにアルゴン(Ar)ガスを選び、反応温度200℃、反応圧力2.5MPa、反応時間30分にて可溶化処理を行い、可溶化処理開始から終了するまで直流電流を供給した。
直流電流を供給するに際し、円筒状の白金電極(電極面積0.27m2)を陽極に、反応容器本体を陰極として電流0.2A、電圧1.8Vで行い、供給した電気量はO.67Ah/1(0.01Q*)であった。
処理液は、茶色をした溶液と沈殿物で構成されていた。また、オートクレーブ内の腐食は見られなかった。結果を表1に示す。
【0025】
実施例2
電流0.4A〔供給電気量:1.33Ah/1(0.02Q*)〕とした以外は、実施例(1)と同条件下にて実験を行なった。処理液は、茶色をした溶液と沈殿物で構成されていた。また、オートクレーブ内の腐食は見られなかった。結果を表1に示す。
【0026】
実施例3
電流0.6A〔供給電気量:2.00Ah/1(0.03Q*)〕とした以外は、実施例(1)と同条件下にて実験を行なった。処理液は、薄い茶色をした溶液と沈殿物で構成されていた。また、オートクレーブ内の腐食は見られなかった。結果を表1に示す。
【0027】
比較例1
直流電流を供給せずに、実施例1と同じ条件で試料の可溶化処理を行なった。処理液は濃い茶色を呈していた。また、オートクレーブ内には、ところどころ腐食が進行している傾向が観測された。結果を表1に示す。
【0028】
比較例2
雰囲気ガスを酸素(O2)に変更した以外は、比較例1と同じ条件で試料を可溶化処理した。処理液は、茶色を呈していた。また、オートクレーブ内は激しく腐食が進行していた。結果を表1に示す。
【0029】
比較例3
電流12.0A(供給電気量:39.0Ah/1(0.62Q*)とした以外は、実施例(1)と同条件下にて実験を行なった。処理液は、ほぼ無色の溶液と沈殿物で構成されていた。また、オートクレーブ内の腐食は見られなかった。結果を表1に示す。
電流を供給しなかった比較例1では、可溶化は進行しているものの処理液が著しく着色していることが明らかである。これに対して、実施例1〜3では、電解電流が増加するのに伴い、処理液の色度は低減されている。
また、雰囲気ガスを酸素にした比較例2では、色度低減効果は電解に比べて小さいことが明らかである。さらに、供給電気量を0.62Q*とした比較例3においては、色度が大きく低減されるものの、可溶化成分である溶解性CODcrが分解されてしまっている。
【0030】
【表1】
Figure 0003761487
【0031】
【発明の効果】
本発明の有機性固形物の可溶化処理方法及び装置によれば、有機性固形物を含有する水媒体を、密閉容器内において100℃以上で、前記水媒体の臨界温度以下の温度に加熱し、前記水媒体が液相を維持する圧力の下に保持することにより、前記有機性固形物を可溶化する方法において、前記温度・圧力の下で直流電流を供給することで、着色を抑制した有機性固形物の高効率可溶化処理を行うことが可能となる。処理液の着色が抑制されているため、脱色コストを大幅に削減することが可能であり、また、直流電流を供給する際に、反応容器内壁を陰極とすることで防食を可能とし、装置コストが低減可能であるなど、低コストで、かつ、安全に有機性固形物を可溶化することができる。また、供給される直流電流は、低レベルのものであり、低コストに実施可能で、かつ、操作性は極めて容易であり、さらには、選択的に着色原因物質に作用するため、水媒体中に存在する可溶化された化合物を減ずることなく、高効率に可溶化処理を実施できる、等の優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機性固形物モデル物質の処理温度による濃度と色度の変化を示すグラフ。
【図2】有機性固形物モデル物質の処理pHによる濃度と色度の変化を示すグラフ。
【図3】本発明の有機性固形物の可溶化処理装置の一例を示すフロー構成図。
【図4】可溶化反応器及び直流電流供給手段の一例を示す概略構成図。
【図5】可溶化反応器及び直流電流供給手段の他の例を示す概略構成図。
【図6】可溶化反応器及び直流電流供給手段の更に他の例を示す概略構成図。
【図7】可溶化反応器及び直流電流供給手段の更に他の例を示す概略構成図。
【符号の説明】
1:有機性固形物供給ライン、2:水供給ライン、3(a,b,c):酸又はアルカリ供給ライン、4:電解質供給ライン、5:水媒体調整タンク、6:水媒体供給ライン、7:高圧ポンプ、8:高圧水媒体供給ライン、9:温度調節部、10:高温・高圧水媒体供給ライン、11:可溶化反応器、12:直流電流供給手段、13:排出部、14:陽極、15:陰極、16:直流電源、17:可溶化処理液供給ライン、18:反応容器

Claims (3)

  1. 有機性固形物を含有する水媒体を、密閉容器内において、100℃以上で前記水媒体の臨界温度未満の温度に加熱すると共に、前記水媒体が液相を維持する圧力下に保持して、前記有機性固形物を可溶化処理する方法であって、前記温度と圧力下で、前記水媒体中に直流電流を、前記有機性固形物を含有する水媒体が、可溶化処理される前に有する化学的酸素要求量に相当する酸素を、水の電気分解で発生させるために必要となる電気量の半分以下で供給することを特徴とする有機性固形物の可溶化処理方法。
  2. 前記可溶化処理は、有機性固形物を含有する水媒体中に酸、アルカリ又は電解質の中から選ばれる1又は2種を添加して行うことを特徴とする請求項1記載の有機性固形物の可溶化処理方法。
  3. 有機性固形物を含有する水媒体を導入する密閉容器と、該密閉容器内を、100℃以上で前記水媒体の臨界温度未満の温度に加熱すると共に、前記水媒体が液相を維持する圧力下に保持する手段とを有する前記有機性固形物を可溶化処理する装置であって、前記温度と圧力下に、前記水媒体中に直流電流を、前記有機性固形物を含有する水媒体が、可溶化処理される前に有する化学的酸素要求量に相当する酸素を、水の電気分解で発生させるために必要となる電気量の半分以下で供給する手段を有することを特徴とする有機性固形物の可溶化処理装置。
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