JP3761445B2 - 木製パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は擁壁の構築などに用いて好適な木製パネルに係わり、特に擁壁を成すコンクリートの表面を覆って景観を損ねない木製パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、道路沿線などの傾斜地での落石や地滑りを防止するべく、法面にコンクリートを吹き付けたりコンクリート製の擁壁を構築したりすることが一般に広く行われている。しかし、その種のコンクリート面は違和感や圧迫感があり、植物が繁茂することもなく自然の景観を損ねるという問題があった。
【0003】
そこで、コンクリート擁壁の構築方法として、コンクリート面を木製の化粧板で被覆するという工法が提案され、一般に広く採用されている。この工法はコンクリート型枠として木製の化粧板を用い、これをコンクリートの固化後に除去せずその表面上に残存させるというものである。特に、これに用いられる化粧板Wは図10に示すようその長手方向に沿って平角材tを所定の間隔に設けたものであり、その平角材の相互間にはアリ溝dが形成される。
【0004】
そして、上記の擁壁構築工法によれば、化粧板Wを水平状にして順次積み重ねて成るコンクリート型枠内にコンクリートを打設することにより、アリ溝d内に流入したコンクリートがアリほぞとして固化するために、化粧板Wをコンクリート面に一体として固定できるとする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
然し乍ら、上記のような化粧板はアリ溝が平角材の端口間に形成されることから、コンクリートと結合される部分は全体の極一部にすぎない。このため、アリほぞを成すコンクリートの部分が外圧によって根元から破断し、これによって保持される化粧板が経時的に擁壁面から剥落してしまう危険性があった。
【0006】
又、アリ溝が擁壁面に沿って上下方向に形成されるので、化粧板がコンクリート面に対して上下方向に滑りやすいという欠点があった。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的はコンクリートに強力に結合して、その表面を長期に亙って被覆することのできる自然景観の保護に有用な木製パネルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、複数の横木を積み重ねて壁面状のパネル本体とし、その各横木を竪桟で連結して成る木製パネルであって、前記竪桟はパネル本体の裏面に所定の間隔で設けられ、前記パネル本体の裏面には各横木の長手方向に沿って延びる突条と前記竪桟を嵌め込む縦割溝が形成され、前記突条はその長手方向に沿う上下両面が傾斜状を成すアリ形として各横木に一体に形成されるとともに、上下の突条の間には水平方向に延びるアリ溝が形成されることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の適用例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の好適な一例として係る木製パネルを部分的に破断して示した斜視図である。図中、1は横木であり、この横木1は水平状にして互いに上下縁を突き合わせつつ積み重ねられて壁面状のパネル本体2を構成する。
【0010】
特に、パネル本体2を構成する各横木1,・・の裏面には、その長手方向に沿って突条3が一体に形成される。突条3は、アリ形としてその上下両面3A,3Bが外方に向けて広がる傾斜状の面(アリ面)とされ、上下の突条3,3の間にはそれぞれ水平方向に延びるアリ溝4が形成される。
【0011】
一方、5は各横木1,・・を上下方向に連結する竪桟であり、この竪桟5は各横木1,・・に直交させてパネル本体2の裏面に所定の間隔で設けられる。尚、本例において、パネル本体2は横木1の三段積みとされるが、これをそれ以上の段数で構成してもよい。
【0012】
図2は係る木製パネルの正面図、図3は同背面図である。これらの図で明らかなように、各横木1,・・は上下でその全長の半分が重なるよう千鳥状に積み重ねられるとともに、竪桟5,・・は横木1,1の端面を突き合わせた継目Sの部分で左右の突条3,3の間に設けられる。
【0013】
次に、図4は横木の裏面を示す。この図で明らかなように、横木1の裏面には、その上下両側部分、左右両側部分、及び中央部分に平面部6A,6B,6Cを残して突条3が形成される。そして、図5に示すように、各横木1,・・は上下で左右両側部分の平面部6Bと中央部分の平面部6Cとが互いに向き合うよう積み重ねられて竪桟5を嵌め込むための縦割溝7を形成する。ここに、その縦割溝7に嵌め込まれた竪桟5は、図6に示すよう釘8にて横木1に固定され、上下左右の横木1,・・をパネル本体2として一体に連結する。尚、竪桟5は杉、松、桧又は樫などから成る板状の角材とされる。
【0014】
一方、横木1は図7に示すよう杉、松、桧又は樫などの丸太9を材料とし、その丸太9から同図に示す斜線の部分を切除して形成される。そして、その表面1Aは円弧状の曲面とされ、一本の全長は概ね2m〜5m(本例において4m)に設定される。但し、横木は2m〜5mの長尺のものとその半分の長さのものとを組合わして、上記のように千鳥状に積み重ねられる(図2参照)。
【0015】
又、図8で明らかなように、横木1の裏面には、それぞれ上記の如く上下両面3A,3Bが傾斜状を成して上下相互間にアリ溝4を形成する突条3が形成されるが、その上下両面3A,3Bの角度θは概ね60〜80度に設定される。
【0016】
ここで、以上のように構成される木製パネルの使用例を説明する。図9は、以上のような木製パネルPを用いて擁壁を構築した例である。10は地盤、11は地盤10上に形成したコンクリート基礎であり、この基礎11の前方にコンクリート型枠として木製パネルPが傾斜状に組み上げられ、その側方や後方にも図示せぬ型枠が組み上げられる。尚、木製パネルPは図示せぬ金具により相互に連結されるほか、その裏側が後方の型枠との間に介される図示せぬ突張り金具によって所定の勾配に保持される。因に、各木製パネルPを金具で連結せず単に積み上げるようにしてもよく、この場合も後述のように各木製パネルPの横木1,・・がコンクリートと一体化するので、施工後に各木製パネルPが崩落する心配はない。
【0017】
そして、上記のようにして組み上げた型枠内にはコンクリートCを打設し、そのコンクリートCが固化した後、前方の型枠を成す木製パネルPを残して側方と後方の図示せぬ型枠を解体し、コンクリートCの裏側に裏込割栗石Uを充填して擁壁が構築される。
【0018】
ここに、コンクリートCの表面は木製パネルPによって全面的に被覆され、各横木1の表面が美的な縞模様として壁面に表れるようになる。
【0019】
特に、木製パネルPを構成する各横木1,・・は、上下相互間のアリ溝4に流入して固化したコンクリートCにより、それぞれ全長に亙って保持されるので、コンクリートCと極めて強力に結合して一体化することになる。
【0020】
よって、コンクリートCの表面から横木1が剥落することがなく、長期に亙って趣のある壁面を維持することができる。
【0021】
以上、本発明について説明したが、本発明に係る木製パネルは道路沿線などの擁壁のみならず、堰堤、越流堰、河川護岸、又は建物などの構築に用いて、躯体などコンクリート構造物の表面を好適に被覆することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば複数の横木を竪桟で連結していることから、各横木により強靭な壁面状のパネル本体を形成することができ、しかも各横木の裏面にその長手方向に沿うアリ形の突条を形成し、上下の突条の間に水平方向に延びるアリ溝を形成していることから、そのアリ溝にコンクリートを流入せしめて、パネル本体をコンクリートと一体化することができる。
【0023】
特に、突条とその上下相互間に形成されるアリ溝とが横木の長手方向に沿って水平方向に延びることから、擁壁などを成すコンクリートの壁面に対してパネル本体が上下に滑らず、その各横木がそれぞれその全長に亙ってコンクリート表面に強力に結合するので、コンクリート表面をパネル本体で長期に亙って被覆することができる。
【0024】
この結果、擁壁その他のコンクリート構造物を木製パネルで長期に亙り良好に覆って、自然景観を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る木製パネルを部分的に破断して示した斜視図
【図2】同木製パネルの正面図
【図3】同木製パネルの背面図
【図4】横木の背面図
【図5】パネル本体を部分的に破断して示した背面図
【図6】竪桟による横木の連結部分を示した部分断面図
【図7】横木の材料と成す丸太の端面図
【図8】図4におけるX−X線拡大断面図
【図9】本発明に係る木製パネルの使用例を示した擁壁の断面概略図
【図10】従来例を示す化粧板の斜視図
【符号の説明】
P 木製パネル
1 横木
2 パネル本体
3 突条
3A,3B 突条の上下両面
4 アリ溝
5 竪桟
6A,6B,6C 平面部
7 縦割溝
8 釘
9 丸太
Claims (1)
- 複数の横木を積み重ねて壁面状のパネル本体とし、その各横木を竪桟で連結して成る木製パネルであって、前記竪桟はパネル本体の裏面に所定の間隔で設けられ、前記パネル本体の裏面には各横木の長手方向に沿って延びる突条と前記竪桟を嵌め込む縦割溝が形成され、前記突条はその長手方向に沿う上下両面が傾斜状を成すアリ形として各横木に一体に形成されるとともに、上下の突条の間には水平方向に延びるアリ溝が形成されることを特徴とする木製パネル。
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