JP3761161B2 - 複合材の特性改善方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マトリックス樹脂と強化材とを複合して形成される複合材を好適に処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機および宇宙機の機体には、繊維強化材にマトリックス樹脂を含浸した後硬化させて複合される複合材が用いられている。この複合材は、繊維強化材およびマトリックス樹脂の種類を選択するなどして、機械的強度など必要とされる所定の特性が得られるようにされている。またこのような複合材の細分化方法には、埋め立て、溶融、焼却および粉砕などがある。これらの方法のうち粉砕は、減容化することができるだけでなく、粉砕された複合材はリサイクル性に優れており、原料としての再利用が容易であり、種々の複合材に対して、粉砕して原料として利用するリサイクルシステムが実用化されている。
【0003】
特許第953560(特公昭53−35666:特開昭51−24972)のゴムの粉砕処理方法がある。このゴムの粉砕処理方法では、密閉容器内に加硫されたゴムを入れるとともに、密閉容器内に加硫されたゴムにくり返し剪断圧潰力および撹拌力を作用せしめる機構が設けられ、この機構によってゴムに前述の機械的外力を与えながら、密閉容器内にオゾンと空気の混合気体を送入して、加硫された状態にあるゴムを、オゾンと空気の混合気体の雰囲気中で、機械的外力を作用させて、加硫ゴムを粉砕している。
【0004】
また実開平5−18654のゴム廃棄物の処理装置がある。この処理装置は、密閉形のタンクと、タンク内にオゾンを発生させるオゾン発生器と、タンク内に収納したゴム廃棄物を加振する装置とよりなり、タンク内の架台上にゴム廃棄物を束ねて載置し、これらを吊り材に連結し、タンク内にオゾンを発生させた状態で、加振装置によってゴム廃棄物に振動を与える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
複合材は、マトリックス樹脂が硬化されると、マトリックス樹脂中に後から他の物質を混入させることができず、マトリックスが硬化され後に特性を変更することができず、好適な特性改善処理をすることができなかった。
【0006】
特許第953560および実開平5−18654の技術は、複合材の特性改善処理のための技術でなく、ゴムの廃棄処理のための技術であって、この処理方法をそのまま複合材の特性改善処理に適用しても特性改善処理することができない。具体的には、上述のように高比強度および高比剛性の複合材では、オゾンに曝露しながら揉むまたは振動させるようにしても、その複合材を粉砕することができない。
【0007】
本発明の目的は、複合材の特性を変更することができる複合材の特性改善方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、マトリックス樹脂と強化材とが複合される複合材に、マトリックス樹脂を劣化させる劣化処理をして、複合材の内部まで全体にわたってクラックを発生させ、
形成されたクラック内に所定の機能を与えるための充填物を充填する充填処理をすることを特徴とする複合材の特性改善方法である。
【0009】
本発明に従えば、複合材は、マトリックス樹脂を劣化させる劣化処理がされて、複合材の内部まで全体にわたってマトリックス樹脂にクラックが発生される。このように劣化処理してクラックを発生させることによって、マトリックス樹脂に充填物を充填することができる微細な空隙を形成することができる。この微細な空隙が形成された複合材が、所定の機能を与えるための充填物を、クラック内に具体的には空隙に充填する充填処理される。これによって空隙に充填する充填物を選択することによって、この充填物に応じた特性が複合材に得られる。このようにマトリックス樹脂が硬化された後の複合材のマトリックス樹脂内に充填物を充填することができ、複合材の特性を変更することができる。したがって用途に応じた要求を満たすことができるように、特性を改善することができる。
【0010】
請求項2記載の本発明は、前記劣化処理は、オゾンを含む雰囲気中に複合材を放置するオゾン曝露処理であることを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、複合材は、オゾンを含む雰囲気中に放置するオゾン曝露処理されて、マトリックス樹脂が劣化されるので、放置するだけの簡単な作業によって、複合材の全体に、むら無くほぼ均一に分散するようにクラックを発生させることができる。しかも複合材が複雑な形状であっても、むら無く劣化処理できる。したがって複合材全体に、ほぼ均一に充填物を充填することができ、ほぼ均一に特性を改善することができる。しかも充填処理は、オゾン曝露処理後、オゾンを含む雰囲気から取り出して処理することができ、充填処理に用いる装置および機器などがオゾン曝露されることがないので、その装置および機器などの取扱いが容易である。
【0012】
請求項3記載の本発明は、前記劣化処理は、オゾンを含む雰囲気中に複合材を放置するとともに、複合材に紫外線を照射するオゾンおよび紫外線曝露処理であることを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、複合材は、オゾンを含む雰囲気中に放置するとともに紫外線を照射するオゾンおよび紫外線曝露処理されて、マトリックス樹脂が劣化されるので、放置するだけの簡単な作業によって、むら無く複合材の全体に、ほぼ均一に分散するようにクラックを発生させることができる。しかも複合材が複雑な形状であっても、むら無く劣化処理できる。したがって複合材全体に、ほぼ均一に充填物を充填することができ、ほぼ均一に特性を改善することができる。しかも紫外線によって複合材の表面付近のマトリックス樹脂の分子鎖を直接切断でき、より短時間により多くのクラックを発生させることができる。さらに充填処理は、オゾン曝露処理後、オゾンを含む雰囲気から取り出して処理することができ、充填処理に用いる装置および機器などがオゾンおよび紫外線曝露されることがないので、その装置および機器などの取扱いが容易である。
【0014】
請求項4記載の本発明は、前記劣化処理は、マトリックス樹脂が変質しない温度範囲内で複合材の加熱および冷却を繰り返す熱サイクル処理であることを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、複合材は、加熱および冷却を繰り返す熱サイクル処理されてマトリックス樹脂が劣化される。この熱サイクル処理は、複合材の全体に施すことが可能であるだけでなく、局所的に施すことが可能である。したがって複合材の全体を熱サイクル処理することによって全体にほぼ均一にクラックを発生させることができ、局所的に熱サイクル処理することによって局所的にクラックを発生させることができる。このように熱サイクル処理した後、充填処理することによって、熱サイクル処理に応じて複合材の特性を改善することができ、たとえば局所的に特性を改善することができる。さらに充填処理は、熱サイクル処理後、熱サイクル処理とは別途に処理することができ、充填処理に用いる装置および機器などが加熱および冷却を繰り返されることがないので、その装置および機器などの取扱いが容易である。
【0016】
請求項5記載の本発明は、前記劣化処理は、マトリックス樹脂が変質しない温度範囲内で複合材を加熱した後に急冷する急冷処理であることを特徴とする急冷処理であることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、複合材は、加熱した後に急冷する急冷処理されてマトリックス樹脂が劣化される。この急冷処理は、複合材の全体に施すことが可能であるだけでなく、局所的に施すことが可能である。したがって複合材の全体を急冷処理することによって全体にほぼ均一にクラックを発生させることができ、局所的に急冷処理することによって局所的にクラックを発生させることができる。このように急冷処理した後、充填処理することによって、急冷処理に応じて複合材の特性を改善することができ、たとえば局所的に特性を改善することができる。さらに充填処理は、急冷処理後、急冷処理とは別途に処理することができ、充填処理に用いる装置および機器などが急冷されることがないので、その装置および機器などの取扱いが容易である。
【0018】
請求項6記載の本発明は、劣化処理した複合材に吸湿させる吸湿処理をし、破砕および粉砕処理することを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、複合材は、劣化処理後に、複合材に吸湿させる吸湿処理され、充填処理される。このように劣化処理された後、充填処理される前に、複合材は、吸湿処理されてクラック内に水が浸入する。このようにクラック内に水が浸入することによって、複合材のマトリックス樹脂の劣化をさらに促進して、クラックを進展させることができる。したがってさらに充填物の充填領域を広げることができ、特性改善を容易にすることができる。この吸湿処理は、複合材全体に施してもよく、また局所的に施してもよく、吸湿処理を施した部分のクラックを進展させることができる。
【0020】
請求項7記載の本発明は、吸湿処理した複合材に氷点以下の温度に冷却する凍結処理をし、破砕および粉砕処理することを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、複合材は、吸湿処理後に、氷点下の温度に冷却される凍結処理され、充填処理される。このように劣化処理されてかつ吸湿処理された後、充填処理される前に、複合材は、凍結処理されてクラック内に浸入した水が凍結する。このようにクラック内の水が凍結することによって、水が膨張して体積を増加させ、クラックを拡大させることができる。したがってさらに充填物の充填を容易にし、特性改善をさらに容易にすることができる。この凍結処理は、複合材全体に施してもよく、また局所的に施してもよく、凍結処理を施した部分のクラックを進展させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の複合材の特性改善方法に関連する複合材の細分化方法を示すフローチャートであり、図2は、細分化方法によって処理される複合材1の一例を示す断面図である。この細分化方法は、マトリックス樹脂2と強化材3とが複合される複合材1を、好適に細分化するための方法である。複合材1は、たとえば航空機および宇宙機の機体を構成する高比強度および高比剛性の複合材であり、たとえば強化材3にマトリックス樹脂2を含浸して硬化させて形成されている。
【0023】
強化材3は、繊維4を所定の方向に配向させて構成される繊維材である。繊維は、たとえば炭素繊維、炭化ケイ素繊維およびアルミナ繊維であってもよいし、その他の繊維であってもよい。また繊維の配向は、同一の方向に引揃えられてもよいし、同一面内で複数の方向に延びてもよいし、立体的に組織されてもよい。またマトリックス樹脂2は、熱可塑性樹脂であってもよく、たとえばビスマレイミド系樹脂、具体的にはイミド化オリゴマの付加重合型熱可塑性ビスマレイミド樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよく、たとえばエポキシ系樹脂であってもよいし、例示した樹脂以外の樹脂であってもよい。
【0024】
このような複合材1を細分化する細分化方法は、オゾン曝露処理工程と、吸湿処理工程と、凍結処理工程と、破砕および粉砕処理工程とを含む。この細分化方法に従う細分化処理は、細分化すべき複合材1が生じたときにステップa0で開始され、まずステップa1のオゾン曝露処理工程が行われる。このオゾン曝露処理は、複合材1のマトリックス樹脂2を劣化させる劣化処理であって、オゾンを含む雰囲気中に複合材1を放置してオゾンに曝露させる操作である。
【0025】
このオゾン曝露は、所定の条件下で、所定時間行われ、たとえば密閉容器に空気とオゾンとの混合気を満たし、この容器内に複合材1を放置する。密閉容器内の混合気は、たとえば常温および常圧であり、オゾン濃度が6μg/l以上120mg/l以下(5ppm以上100000ppm以下)である。常温とは、人為的に加熱および冷却しない温度であり、常圧とは、人為的に加圧および減圧しない圧力(大気圧)である。曝露時間は、たとえば24時間以上100時間以下である。
【0026】
このようなオゾン曝露処理によって、複合材1のマトリックス樹脂2に微細クラック5を発生(導入)させる。この微細なクラック5を発生させることによって、マトリックス樹脂2に微細な空隙が形成される。
【0027】
このステップa1のオゾン曝露処理後、ステップa2の吸湿処理工程に移行する。吸湿処理は、複合材1に吸湿、換言すれば水を吸収させる操作である。この吸湿処理は、所定の条件で、高湿度の雰囲気中に複合材1を放置し、または水中に複合材1を浸漬して、複合材1に吸湿させる操作である。本実施の形態では、複合材1を高湿度の空気中に複合材を放置して行われ、たとえば密閉容器に、温度90℃かつ相対湿度100%の空気を満たし、この容器内に複合材1を放置する。この容器内に放置する吸湿時間は、たとえば約24時間である。このようにして複合材1に吸湿させることによって、オゾン曝露処理によって形成されたクラック5による空隙に水を浸入させることができる。このように空隙への水の浸入によってさらにマトリックス樹脂2が劣化され、クラック5を進展させることができる。
【0028】
このステップa2の吸湿処理後、ステップa3の凍結処理工程に移行する。凍結処理は、複合材1に氷点以下の温度に冷却する操作である。たとえば吸湿した複合材1を液体窒素中に投入して浸漬する。これによって複合材1とともに、クラック5内の水が氷点下の温度に冷却されて凍結する。このようにクラック5内の水を凍結させることによって、この水が膨張して体積を増加させるので、クラック5を拡大させることができる。
【0029】
このステップa3の凍結処理後、ステップa4の破砕および粉砕処理工程に移行する。破砕および粉砕処理は、複合材に、機械的に外力を与えて、複合材1を細かく砕く操作である。この破砕および粉砕は、たとえば、一般に市販される粉砕装置を用いて行われる。粉砕装置には、破砕機、中間粉砕機および微粉砕機などがあり、これら装置は、回転刃によって細かく砕く装置、回転ハンマによって細かく砕く装置、ローラによって細かく砕く装置および媒体と一緒に撹拌して細かく砕く装置などがある。このような装置を適宜選択して用い、複合材1が破砕および粉砕され、たとえば10mm程度の大きさの小片に細分化される。このステップa4の破砕および粉砕処理が終了すると、ステップa5に移行して、複合材1の細分化処理が終了する。
【0030】
図3は、複合材の生成から廃棄までの流れを示すフローチャートである。複合材は、ステップb0で複合材成形部品の需要が生じると、ステップb1で製造され、この複合材を用いて成形部品が製造される。複合材の成形部品は、まずプリプレグを製造し、このプリプレグを裁断し、裁断したプリプレグを積層および硬化して成形するとともに、必要に応じて機械加工を施して製造される。このようにステップb1で製造された成形部品は、ステップb2において運用される。この運用中に、成形部品は、たとえば老化および外力の作用などによって破損する場合があり、修理が不可能な状態となった成形部品は、ステップb3で運用寿命に到達し、廃棄または再利用をしなければならない廃棄物の状態になる。このように運用寿命に達した成形部品を形成する複合材は、ステップb4で廃棄物としての処理が行われ、ステップb5で複合材の運用に係る処理が終了する。
【0031】
またステップb1で成形部品を製造するとき、製造されたプリプレグが裁断されることによって生じたプリプレグの端材は、ステップb6で不要品となる。この硬化前のプリプレグは、ステップb7で埋め立ておよび焼却などのうちの少なくとも処理がされて、ステップb5に移行して複合材の運用に係る処理が終了する。
【0032】
またたとえばステップb1で成形部品を製造される成形部品のうち、不良品などの運用に適さない成形部品は、ステップb8でスクラップ、したがって不要品としての扱いがされるとともに、またステップb1での成形時に生じるトリム代、したがって金型の隙間などによって生じるバリは、機械加工(トリミング)されて除去され、ステップb8で不要品となる。このような不要品としての扱いがされる成形部品および除去されたバリは、ステップb4に移行して同様に処理される。
【0033】
またステップb2の運用中に、成形部品が破損しても、修理が可能な成形部品は、ステップb9で修理され、再びステップb2に戻って再運用される。またステップb2で運用されていた成形部品が、運用寿命に達していないけれども、その成形部品が不要になる場合があり、この場合には、成形部品がステップb10でスクラップ、したがって不要品として廃棄物の扱いがされる。このようにステップb10で不要品としての扱いがされると、ステップb4に移行して同様に処理される。
【0034】
このような複合材の運用に係る一連の処理のうち、ステップb4の廃棄物処理として、図1を参照して上述した複合材の細分化方法が用いられる。換言すれば、上述の細分化方法は、複合材の廃棄物の処理方法として実施することができる。上述の細分化方法では、複合材1をたとえば粒径が数十μm以下の小片に細分化することができ、このように複合材の廃棄物を細分化することによって、たとえば原料、その他の材料として再利用するにあたっても取扱いが容易になり、再利用しやすくなり、複合材のリサイクル化を促すことができる。また廃棄物を再利用しないにしても、たとえば粒径が15cm以下の小片に細分化することが容易であり、減容化(嵩を低く)することができ、たとえば埋め立てなどの後続処理が容易になる。
【0035】
図4は、一条件下でオゾン曝露処理された複合材1を示す断面図である。図4には、図2と同様の符号を付して示す。本件発明者は、オゾン曝露処理の有用性を確認するためにオゾン曝露処理後の複合材1の内部構造を観察した。図4に示す複合材1は、炭素繊維4から成る強化材3にビスマレイミド樹脂から成るマトリックス樹脂2を含浸して形成される厚さ3mm程度の硬化後の複合材(川崎重工業製、商品番号:G400−800/5260)であり、オゾン濃度が0.12mg/l(100ppm)のオゾンと空気の混合気中に96時間放置した複合材である。
【0036】
図4に示す内部の様子から明らかなように、複合材1には、その厚み方向両側の表面6付近の外表部はもちろん、この外表部だけでなく内部にも、微細なクラック5が発生していることが確認された。複合材1では、マトリックス樹脂2と強化材3とを複合しているので、成形後の硬化されたマトリックス樹脂2には、内部応力が発生している。これによってオゾン曝露することによる作用と内部応力とによって、機械的外力を作用させなくても、オゾンを含む雰囲気中に放置するだけで、マトリックス樹脂2にクラック5を発生させることができる。しかも図4に示すように、内部においてもクラック5を発生させることが可能であり、複合材1の全体にわたってほぼ均一に、クラック5を発生させることができる。
【0037】
図5は、図4とは異なる他の条件下でオゾン曝露処理された複合材1を示す断面図であって、図5(1)はオゾン曝露処理前の断面を示し、図5(2)はオゾン曝露処理後の断面を示す。図6は、図4および図5とは異なるさらに他の条件下でオゾン曝露処理された複合材1を示す断面図であって、図6(1)はオゾン曝露処理前の断面を示し、図6(2)はオゾン曝露処理後の断面を示す。図5および図6には、図2と同様の符号を付して示す。本件発明者は、オゾン曝露処理のさらなる有用性を確認するために図4とは異なる他の2つの条件下でそれぞれオゾン曝露処理し、各複合材1の内部構造をそれぞれ観察した。
【0038】
図5に示す複合材1は、図4に示す複合材と同様の構成の複合材であり、オゾン濃度が0.06mg/l(50ppm)のオゾンと空気の混合気中に96時間放置した複合材である。また図6に示す複合材1は、炭素繊維4から成る強化材3にエポキシ樹脂から成るマトリックス樹脂2を含浸して形成される厚さ1mmの硬化後の複合材(住友精密製、商品番号:T800−6K−8H/PR500)でありオゾン濃度が0.06mg/l(50ppm)のオゾンと空気の混合気中に96時間放置した複合材である。
【0039】
図5に示す内部の様子から明らかなように、図5の複合材1を処理した条件下でも、複合材1の全体にほぼ均一にクラックが発生していることが確認された。図5のオゾン曝露処理は、図4のオゾン曝露処理に対して、オゾン濃度が異なるが、このようにオゾン濃度が異なっても、複合材1の全体にほぼ均一にクラック5を発生させることが明らかとなった。
【0040】
図6に示す内部の様子から明らかなように、図6の複合材1を処理した条件下でも、複合材1の全体にほぼ均一にクラックが発生していることが確認された。図6のオゾン曝露処理は、図5のオゾン曝露処理に対して、複合材1のマトリックス樹脂2の種類が異なるが、このようにマトリックス樹脂2が異なっても、複合材1の全体にほぼ均一にクラック5を発生させることが明らかとなった。
【0041】
図4〜図6に示した観察結果は、複合材1へのオゾン曝露の有用性の確認のために本件発明者が行った観察試験の観察結果の一例である。本件発明者は、例示した観察試験を含め、板厚が3mm程度であり、レジントランスファーモールディング(略称:RTM)成形およびオートクレーブ成形のいずれかによって成形され、マトリックス樹脂2がエポキシ樹脂およびビスマレイミド樹脂から成る複合材1を、常温および常圧であり、オゾン濃度が6μg/l以上120mg/l以下(5ppm以上100000ppm以下)のオゾンを含む雰囲気中に、24時間以上100時間以下の時間、複合材1を放置して、内部構造を観察する試験を行った。これらの試験の観察結果から、複合材1の成形方法およびマトリックス樹脂2の種類に拘らず、複合材1の全体にほぼ均一に1μm以上のクラックを発生させることができることを確認した。
【0042】
またオゾン濃度が上記範囲内にあるときには、複合材1の全体に均一にクラックを発生させることができるだけでなく、オゾン濃度を高くすると発生するクラックが多くなり、かつオゾン濃度を低くすると発生するクラックが少なくなることが確認された。またオゾン濃度が、上記範囲よりも低いとクラックが発生しにくく、上記範囲よりも高いと濃度を高くしても発生するクラックがほとんど増加せず、上記範囲内に選ぶことによって、常温および常圧下で、クラックを好適にかつ容易に発生させられることが確認された。
【0043】
また曝露時間が上記範囲内にあるときには、複合材1の全体に均一にクラックを発生させることができるだけでなく、曝露時間を長くすると発生するクラックが多くなり、かつ曝露時間を短くすると発生するクラックが少なくなることが確認された。また曝露時間が、上記範囲よりも短いとクラックが発生しにくく、上記範囲よりも長いと時間を長くしても発生するクラックがほとんど増加せず、上記範囲内に選ぶことによって、常温および常圧下で、クラックを好適にかつ容易に発生させられることが確認された。このようにオゾン曝露の条件を選択することによって、クラック5の発生のさせ方を調節することができることが確認された。
【0044】
さらに本件発明者は、オゾン曝露による複合材1の劣化評価を行った。この劣化評価は、上述のオゾン曝露の有用性の確認のための観察に用いた複合材(川崎重工製)と同様の複合材を用い、オゾン処理曝露前の複合材1と、常温および常圧のオゾン濃度が0.06mg/l(50ppm)のオゾンおよび空気の混合気中に96時間放置してオゾン曝露した複合材1とを、常温下でそれぞれ曲げ試験を行った。この曲げ試験の結果、オゾン曝露処理によって、曲げ強度が約15%低下するとともに、破壊形態が脆性的な破壊形態となり、より容易に破砕および粉砕ができることが確認された。
【0045】
上述の細分化方法によれば、複合材1は、劣化処理がされて、マトリックス樹脂2にクラック5が発生されるので、複合材1が全体として脆弱化して剪断強度が低下する。この劣化処理は、複合材をオゾンを含む雰囲気中に放置するオゾン曝露処理であり、放置するだけの簡単な作業によって、複合材1の全体に、ほぼ均一にクラック5を発生させることができ、全体的にほぼ均一に脆弱化することができる。さらにこのような劣化処理後、吸湿処理されてクラック5内に水が浸入する。このようにクラック5内に水が浸入することによって、複合材1のマトリックス樹脂2の劣化をさらに促進して、クラック5を進展させ、複合材1がさらに脆弱化される。またさらに吸湿処理後、凍結処理されてクラック5内に浸入した水が凍結する。このようにクラック5内の水が凍結することによって、水が膨張して体積を増加させ、クラック5を拡大させることができ、複合材1がさらに脆弱化される。
【0046】
このようにクラック5の発生によって脆弱化され、剪断強度が低下した状態で、複合材1が破砕および粉砕処理される。これによって複合材を容易にかつほぼ均一な微細な小片に破砕および粉砕することができ、複合材が航空機および宇宙機などに用いられる高比強度および高比剛性の複合材であっても、容易に破砕および粉砕することができ、短時間で、大きな騒音を発生することなく破砕および粉砕することができ、しかも破砕および粉砕に要するエネルギも少なく、かつ設備の摩耗も小さくなる。したがってたとえば航空機および宇宙機の機体として利用された複合材1の廃棄物を、容易に破砕および粉砕し、原料として再利用しやすくすることができる。このような細分化処理は、複合材1を、リサイクル性の高い再利用しやすい状態に処理する廃棄処理とすることができる。
【0047】
さらに破砕および粉砕処理は、オゾン曝露処理、吸湿処理および凍結処理後、これら各処理とは別途に、オゾンを含む雰囲気から取り出して処理することができ、破砕および粉砕処理に用いる装置および機器などがオゾン曝露されることがないうえ、吸湿処理および凍結処理されることがなく、破砕および粉砕のための装置および機器などの取扱いが容易である。したがって破砕および粉砕の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。破砕および粉砕処理のための装置だけでなく、オゾン曝露処理、吸湿処理および凍結処理のための装置の構造も簡単になる。
【0048】
図7は、本発明の複合材の特性改善方法に関連する複合材の他の細分化方法を示すフローチャートである。図7に示す細分化方法は、図1に示す細分化方法と類似しており、複合材1に関する符号は、同一の符号を付す。図7に示す細分化方法は、ステップc0で細分化処理が開始され、ステップc1でオゾンおよび紫外線曝露処理され、ステップc2で吸湿処理され、ステップc3で凍結処理され、ステップc4で破砕および粉砕処理され、ステップc5で細分化処理が終了する。これら各ステップc0〜c5のうち、ステップc0,c2〜c5は、図1のステップa0,a2〜a5と同一の処理である。したがって図7の細分化方法は、図1の細分化方法におけるオゾン曝露処理を、オゾンおよび紫外線曝露処理に代えた方法である。
【0049】
ステップc2のオゾンおよび紫外線曝露処理は、オゾンを含む雰囲気中に複合材1を放置するとともに、複合材1に紫外線を照射する操作である。オゾンを含む雰囲気中に複合材1を放置するオゾン曝露処理は、図1の細分化方法におけるオゾン曝露処理と同様の処理である。このオゾン曝露処理に加えて、複合材1に紫外線を照射する紫外線曝露処理をする。
【0050】
紫外線曝露は、所定の条件下、所定時間行われる。たとえば常温および常圧下で、かつ紫外線照射環境下に、複合材1を放置する。紫外線照射は、たとえば波長が253.7nmの強度が5.62mw/cm2である紫外線、または波長が184.9nmの強度が1.12mw/cm2である紫外線を、24時間以上100時間以下照射する。また紫外線照射は、例示した波長および強度の紫外線を照射するようにしてもよい。
【0051】
本件発明者は、オゾンおよび紫外線曝露処理の有用性を確認するためにオゾンおよび紫外線曝露処理後の複合材1の内部構造を観察した。上述のオゾン曝露処理における観察試験と同様の複合材1を用い、オゾン濃度が60μg/l(50ppm)のオゾンと空気の混合気中に、波長が253.7nmの強度が5.62mw/cm2である紫外線、または波長が184.9nmの強度が1.12mw/cm2である紫外線を照射しながら複合材1を24時間放置した。これらの観察結果から、上述したオゾン曝露によるクラックの発生に加えて、紫外線照射によって表面付近のマトリックス樹脂2の分子鎖を直接切断することができ、また表面マトリックス樹脂を除去することができ、より短時間により多くのクラック5を発生させられることが確認された。
【0052】
上述の細分化方法によれば、図1の細分化方法と同様に複合材を容易に細分化することができる。またオゾンおよび紫外線曝露処理によって、複合材の全体に、ほぼ均一に分散するようにクラックを発生させ、複合材を容易に細分化することができる。しかもクラックは、オゾンおよび紫外線の両方によって、より短時間により多く発生されるので、複合材を破砕および粉砕するまでの作業をより短時間にかつより容易に行うことができる。また破砕および粉砕処理に用いる装置および機器などの取扱いが容易であり、破砕および粉砕の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。破砕および粉砕処理のための装置だけでなく、オゾンおよび紫外線曝露処理のための装置の構造も簡単になる。
【0053】
図8は、本発明の複合材の特性改善方法に関連する複合材のさらに他の細分化方法を示すフローチャートである。図8に示す細分化方法は、図1に示す細分化方法と類似しており、複合材1に関する符号は、同一の符号を付す。図8に示す細分化方法は、ステップd0で細分化処理が開始され、ステップd1で熱サイクル処理され、ステップd2で吸湿処理され、ステップd3で凍結処理され、ステップd4で破砕および粉砕処理され、ステップd5で細分化処理が終了する。これら各ステップd0〜d5のうち、ステップd0,d2〜d5は、図1のステップa0,a2〜a5と同一の処理である。したがって図8の細分化方法は、図1の細分化方法におけるオゾン曝露処理を、熱サイクル処理に代えた方法である。
【0054】
ステップd2の熱サイクル処理は、マトリックス樹脂が変質しない温度範囲内で複合材1の加熱および冷却を繰り返す操作である。具体的には、温度が80℃の雰囲気、たとえば空気中に複合材を20分間放置する加熱操作と、温度が−54℃の雰囲気、たとえば空気中に複合材を20分放置する操作とを、10サイクル以上100サイクル以下程度繰返す。これによってマトリックス樹脂にクラックを発生させることができる。このようなサイクルを繰返すことによって、複合材を内部まで均一な温度に加熱および冷却する熱サイクル操作を短時間に行うことができる。また繰返しのサイクル数によって、クラックの発生量を容易に調整することができる。
【0055】
上述の細分化方法によれば、劣化処理がオゾン曝露処理であることによる効果を除いて図1の方法と同様の効果を達成し、同様に複合材1を容易に細分化することができる。また熱サイクル処理した部分に、クラック1を発生させ、この部分を細かい小片に容易に細分化することができる。このように複合材1を細分化しやすくすることができ、生成される小片の原料としての取扱いがさらに容易になり、さらに再利用しやすくすることができる。また破砕および粉砕処理に用いる装置および機器などの取扱いが容易であり、破砕および粉砕の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。破砕および粉砕処理のための装置だけでなく、熱サイクル処理のための装置の構造も簡単になる。
【0056】
図9は、本発明の複合材の特性改善方法に関連する複合材のさらに他の細分化方法を示すフローチャートである。図9に示す細分化方法は、図1に示す細分化方法と類似しており、複合材1に関する符号は、同一の符号を付す。図9に示す細分化方法は、ステップe0で細分化処理が開始され、ステップe1で急冷処理され、ステップe2で吸湿処理され、ステップe3で凍結処理され、ステップe4で破砕および粉砕処理され、ステップe5で細分化処理が終了する。これら各ステップe0〜e5のうち、ステップe0,e2〜e5は、図1のステップa0,a2〜a5と同一の処理である。したがって図9の細分化方法は、図1の細分化方法におけるオゾン曝露処理を、急冷処理に代えた方法である。
【0057】
ステップe2の急冷処理は、マトリックス樹脂が変質しない温度範囲内で複合材を加熱した後に急冷する操作である。この急冷処理は、マトリックス樹脂が変質しない程度の高温、たとえば温度80℃程度に保持したオーブン中に複合材1を所定時間、たとえば0.5時間放置し、複合材が炉内温度と等しい温度になった後、その複合材1を液体窒素中に投入し、急激に冷却する。
【0058】
上述の細分化方法によれば、劣化処理がオゾン曝露処理であることによる効果を除いて図1の方法と同様の効果を達成し、同様に複合材1を容易に細分化することができる。また急冷処理した部分に、クラック5を発生させ、この部分を細かい小片に容易に細分化することができる。このように複合材1を細分化しやすくすることができ、生成される片の原料としての取扱いがさらに容易になり、さらに再利用しやすくすることができる。また破砕および粉砕処理に用いる装置および機器などの取扱いが容易であり、破砕および粉砕の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。破砕および粉砕処理のための装置だけでなく、急冷処理のための装置の構造も簡単になる。
【0059】
図10は、本発明の実施の一形態の複合材の特性改善方法を示すフローチャートである。複合材1に関する符号は、上述の各細分化方法と同一の符号を付す。図10に示す特性改善方法は、特性を改善すべき複合材が得られた時点でステップf0で特性改善処理が開始され、ステップf1でオゾン曝露処理され、ステップf2で吸湿処理され、ステップf3で凍結処理され、ステップf4で充填処理され、ステップf5で特性改善処理が終了する。これら各ステップf0〜f5のうち、ステップf0〜f3,f5は、図1のステップa0〜a3,a5と同一の処理である。したがって図10の特性改善方法は、図1の細分化方法における破砕および粉砕処理を、充填処理に代えた方法である。
【0060】
ステップf4の充填処理は、クラック5内に所定の機能を与えるための充填物を充填する操作である。この充填物はたとえば熱可塑性合成樹脂などである。具体的には、クラック5が形成(導入)された複合材をチャンバー、したがって仕切られた空間に入れ、この空間を真空引きした後、空間内に流動状態にある充填物を供給するとともに、窒素ガスなどにより、0.5MPa(5kg重/cm2)程度に充填物を加圧する。これによって、複合材1の内部、したがってクラック内に充填物を充填することができる。上記条件で充填操作することによって、充填物が充填されずに残ってしまうクラックを無くして、全てのクラックに確実に充填物を充填することができる。またこの充填操作をするとき、複合材および充填物が変質しない温度範囲内において、複合材および充填物を加熱して、充填物の流動性を高くし、充填作業を容易にするようにしてもよい。このように充填物を充填後、加熱および/または乾燥などの操作を行い充填物を硬化させることによって、複合材と充填物とを一体化させて、特性を改善することができる。
【0061】
充填物は、複合材が変質しない温度において、液体、または溶媒に分散させる固体の状態に存在し、充填後に複合材を変質させない加熱などの操作で硬化できる物質であればよい。たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂および珪素樹脂などであってもよい。
【0062】
このような充填処理をした複合材は、充填物の特性に応じた特性改善をすることができる。たとえば、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂である複合材に、高靭性の樹脂を充填することによって、靭性を高くして、機能的特性の改善を図ることができる。
【0063】
本実施の形態の特性改善方法によれば、複合材1は、劣化処理がされて、マトリックス樹脂2にクラック5が発生され、マトリックス樹脂2に充填物を充填することができる微細な空隙を形成することができる。この劣化処理は、複合材をオゾンを含む雰囲気中に放置するオゾン曝露処理であり、放置するだけの簡単な作業によって、複合材1の全体に、ほぼ均一にクラック5を発生させることができる。さらにこのような劣化処理後、吸湿処理されてクラック5内に水が浸入する。このようにクラック5内に水が浸入することによって、複合材1のマトリックス樹脂2の劣化をさらに促進して、クラック5を進展させる。またさらに吸湿処理後、凍結処理されてクラック5内に浸入した水が凍結する。このようにクラック5内の水が凍結することによって、水が膨張して体積を増加させ、クラック5を拡大させることができる。
【0064】
このようにクラック5をさせた後、複合材1が充填処理される。これによって空隙に充填する充填物を選択することによって、この充填物に応じた特性が複合材に得られる。このようにマトリックス樹脂2が硬化された後の複合材1のマトリックス樹脂2内に充填物を充填することができ、複合材の特性を変更することができる。したがって用途に応じた要求を満たすことができるように、特性を改善することができる。このようにマトリックス樹脂2が硬化された後の複合材1の特性を改善することができるので、成形後の複合材1から成る成形品の特性を改善、たとえば強度および弾性係数などを向上することが可能であり、複合材1を用いた構造部材、たとえば航空機および宇宙機の機体などの設計および設計変更が容易になる。またたとえば既存の構造部材の特性を改善することも可能である。
【0065】
またオゾン曝露処理によってクラック5を発生させることができ、クラック5を複合材1の全体にほぼ均一に発生させることができ、複合材の全体をむら無く特性改善することができる。したがって特性むらの無い複合材の成形品を得ることができる。
【0066】
さらに充填処理は、オゾン曝露処理、吸湿処理および凍結処理後、これら各処理とは別途に、オゾンを含む雰囲気から取り出して処理することができ、充填処理に用いる装置および機器などがオゾン曝露されることがないうえ、吸湿処理および凍結処理されることがなく、充填のための装置および機器などの取扱いが容易である。したがって充填の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。充填のための装置だけでなく、オゾン曝露処理、吸湿処理および凍結処理のための装置の構造も簡単になる。
【0067】
図11は、本発明の実施の他の形態の複合材の特性改善方法を示すフローチャートである。図11に示す特性改善方法は、図10に示す特性改善方法と類似しており、複合材1に関する符号は、同一の符号を付す。図11に示す特性改善方法は、ステップg0で特性改善処理が開始され、ステップg1でオゾンおよび紫外線曝露処理され、ステップg2で吸湿処理され、ステップg3で凍結処理され、ステップg4で破砕および粉砕処理され、ステップg5で特性改善処理が終了する。これら各ステップg0〜g5のうち、ステップg0,g2〜g5は、図10のステップf0,f2〜f5と同一の処理であり、ステップg1は、図7のステップc1と同一の処理である。したがって図11の特性改善方法は、図10の特性改善方法におけるオゾン曝露処理を、オゾンおよび紫外線曝露処理に代えた方法である。
【0068】
本実施の形態の特性改善方法によれば、図10の特性改善方法と同様に複合材の特性を改善することができる。またオゾンおよび紫外線曝露処理によって、複合材の全体に、ほぼ均一に分散するようにクラックを発生させ、複合材を容易にかつ均一に特性を改善することができる。しかもクラックは、オゾンおよび紫外線の両方によって、より短時間により多く発生されるので、複合材1に充填物を充填するまでの作業をより短時間にかつより容易に行うことができる。また充填処理に用いる装置および機器などの取扱いが容易であり、充填の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。充填処理のための装置だけでなく、オゾンおよび紫外線曝露処理のための装置の構造も簡単になる。
【0069】
図12は、本発明の実施のさらに他の形態の複合材の特性改善方法を示すフローチャートである。図12に示す特性改善方法は、図10に示す特性改善方法と類似しており、複合材1に関する符号は、同一の符号を付す。図10に示す特性改善方法は、ステップh0で特性改善処理が開始され、ステップh1で熱サイクル処理され、ステップh2で吸湿処理され、ステップh3で凍結処理され、ステップh4で充填処理され、ステップh5で特性改善処理が終了する。これら各ステップh0〜h5のうち、ステップh0,h2〜h5は、図10のステップf0,f2〜f5と同一の処理であり、ステップh1は、図8のステップd1と同一の処理である。したがって図12の特性改善方法は、図10の特性改善方法におけるオゾン曝露処理を、熱サイクル処理に代えた方法である。
【0070】
本実施の形態の特性改善方法によれば、劣化処理がオゾン曝露処理であることによる効果を除いて図10の方法と同一の効果を達成し、同様に複合材1を容易に特性改善することができる。また熱サイクル処理した部分に、クラック1を発生させ、この部分の特性を容易に改善することができる。したがって必要な部分の特性が改善された複合材の成形品を得ることができる。また充填処理に用いる装置および機器などの取扱いが容易であり、充填作業の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。充填処理のための装置だけでなく、熱サイクル処理のための装置の構造も簡単になる。
【0071】
図13は、本発明の実施のさらに他の形態の複合材の特性改善方法を示すフローチャートである。図13に示す特性改善方法は、図10に示す細分化方法と類似しており、複合材1に関する符号は、同一の符号を付す。図13に示す細分化方法は、ステップi0で特性改善処理が開始され、ステップi1で急冷処理され、ステップi2で吸湿処理され、ステップi3で凍結処理され、ステップi4で充填処理され、ステップi5で特性改善処理が終了する。これら各ステップi0〜i5のうち、ステップi0,i2〜i5は、図10のステップf0,f2〜f5と同一の処理であり、ステップi1は、図9のステップe1と同一の処理である。したがって図13の特性改善方法は、図10の特性改善方法におけるオゾン曝露処理を、急冷処理に代えた方法である。
【0072】
本実施の形態の特性改善方法によれば、劣化処理がオゾン曝露処理であることによる効果を除いて図10の方法と同一の効果を達成し、同様に複合材1を容易に特性改善することができる。また急冷処理した部分に、クラック1を発生させ、この部分の特性を容易に改善することができる。したがって必要な部分の特性が改善された複合材の成形品を得ることができる。また充填処理に用いる装置および機器などの取扱いが容易であり、充填作業の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。充填処理のための装置だけでなく、急冷処理のための装置の構造も簡単になる。
【0073】
上述の各実施の形態は、本発明の例に過ぎず、構成を変更することができる。たとえば上述の各実施の形態の特性改善方法および各細分化方法において、凍結処理を省略するようにしてもよいし、また吸湿処理および凍結処理を省略するようにしてもよい。これによって処理を簡潔にすることができる。また上述の各実施の形態の特性改善方法および各細分化方法において、吸湿処理は、複合材を水中に浸漬して吸湿させるようにしてもよい。このときの浸漬条件は、たとえばクラックが発生された複合材を温度が20℃以上80℃以下程度の水中に1時間以上2時間以下程度浸漬し、クラック内に水を浸透させる。この後、上述の凍結処理によってさらにクラックが拡大される。このような吸湿処理であっても上述の吸湿処理と同様の効果が得られる。また複合材を水中に浸漬するとき、水分浸透を促進するために、クラック内を減圧させ、または水を0.5MPa(5kg重/cm2)程度加圧するようにしてもよい。
【0074】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、複合材は、クラックの発生によって、マトリックス樹脂に微細な空隙を形成することができるので、マトリックス樹脂が硬化された後の複合材のマトリックス樹脂内に充填物を充填することができ、この充填物の充填によって複合材の特性を変更することができる。このようにマトリックス樹脂が硬化された後の複合材の特性を改善することができるので、成形後の複合材から成る成形品の特性を改善、たとえば強度および弾性係数などを向上することが可能であり、複合材を用いた構造部材、たとえば航空機および宇宙機の機体などの設計および設計変更が容易になる。またたとえば既存の構造部材の特性を改善することも可能である。
【0075】
請求項2記載の本発明によれば、オゾン曝露処理によって、複合材の全体に、ほぼ均一に分散するようにクラックを発生させ、ほぼ均一に特性を改善することができる。したがって特性むらの無い複合材の成形品を得ることができる。また充填処理に用いる装置および機器などの取扱いが容易であり、充填作業の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。充填処理のための装置だけでなく、オゾン曝露処理のための装置の構造も簡単になる。
【0076】
請求項3記載の本発明によれば、オゾンおよび紫外線曝露処理によって、複合材の全体に、ほぼ均一に分散するようにクラックを発生させ、ほぼ均一に特性を改善することができる。したがって特性むらの無い複合材の成形品を得ることができる。しかもクラックは、オゾンおよび紫外線の両方によって、より短時間により多く発生されるので、複合材を破砕および粉砕するまでの作業をより短時間にかつより容易に行うことができる。また充填処理に用いる装置および機器などの取扱いが容易であり、充填作業の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。充填処理のための装置だけでなく、オゾンおよび紫外線曝露処理のための装置の構造も簡単になる。
【0077】
請求項4記載の本発明によれば、熱サイクル処理した部分に、クラックを発生させ、特性を改善することができる。したがって必要な部分の特性が改善された複合材の成形品を得ることができる。また充填処理に用いる装置および機器などの取扱いが容易であり、充填作業の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。充填処理のための装置だけでなく、熱サイクル処理のための装置の構造も簡単になる。
【0078】
請求項5記載の本発明によれば、急冷処理した部分に、クラックを発生させ、特性を改善することができる。したがって必要な部分の特性が改善された複合材の成形品を得ることができる。また充填処理に用いる装置および機器などの取扱いが容易であり、充填処理の作業性に優れているうえ、メンテナンス性および耐久性にも優れている。充填処理のための装置だけでなく、急冷処理のための装置の構造も簡単になる。
【0079】
請求項6記載の本発明によれば、複合材は、吸湿処理されてクラック内に水が浸入することによって、マトリックス樹脂の劣化をさらに促進して、クラックを進展させることができる。したがってさらに特性の改善を容易にすることができる。
【0080】
請求項7記載の本発明によれば、複合材は、吸湿処理後に凍結処理され、クラック内に浸入した水が凍結することによって、水が膨張して体積を増加させ、クラックを拡大させることができる。したがってさらに特性の改善を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合材の特性改善方法に関連する複合材の細分化方法を示すフローチャートである。
【図2】複合材1を示す断面図である。
【図3】複合材1の製造から廃棄までの流れを示すフローチャートである。
【図4】オゾン曝露処理された複合材1を示す断面図である。
【図5】オゾン曝露処理の有用性を説明するために複合材1を示す断面図である。
【図6】オゾン曝露処理の有用性を説明するために複合材1を示す断面図である。
【図7】本発明の複合材の特性改善方法に関連する複合材の他の細分化方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の複合材の特性改善方法に関連する複合材のさらに他の細分化方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の複合材の特性改善方法に関連する複合材のさらに他の細分化方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の一形態の複合材の特性改善方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の他の形態の複合材の特性改善方法を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施のさらに他の形態の複合材の特性改善方法を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施のさらに他の形態の複合材の特性改善方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 複合材
2 マトリックス樹脂
3 強化材
4 繊維
5 クラック
6 複合材の表面
Claims (7)
- マトリックス樹脂と強化材とが複合される複合材に、マトリックス樹脂を劣化させる劣化処理をして、複合材の内部まで全体にわたってクラックを発生させ、
形成されたクラック内に所定の機能を与えるための充填物を充填する充填処理をすることを特徴とする複合材の特性改善方法。 - 前記劣化処理は、オゾンを含む雰囲気中に複合材を放置するオゾン曝露処理であることを特徴とする請求項1記載の複合材の特性改善方法。
- 前記劣化処理は、オゾンを含む雰囲気中に複合材を放置するとともに、複合材に紫外線を照射するオゾンおよび紫外線曝露処理であることを特徴とする請求項1記載の複合材の特性改善方法。
- 前記劣化処理は、マトリックス樹脂が変質しない温度範囲内で複合材の加熱および冷却を繰り返す熱サイクル処理であることを特徴とする請求項1記載の複合材の特性改善方法。
- 前記劣化処理は、マトリックス樹脂が変質しない温度範囲内で複合材を加熱した後に急冷する急冷処理であることを特徴とする急冷処理であることを特徴とする請求項1記載の複合材の特性改善方法。
- 劣化処理した複合材に吸湿させる吸湿処理をし、充填処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合材の特性改善方法。
- 吸湿処理した複合材に氷点以下の温度に冷却する凍結処理をし、充填処理することを特徴とする請求項6記載の複合材の特性改善方法。
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