JP3760412B2 - 水耕栽培における害虫駆除用パネル反転式浸漬方法及びそれに使用する反転式浸漬装置 - Google Patents

水耕栽培における害虫駆除用パネル反転式浸漬方法及びそれに使用する反転式浸漬装置 Download PDF

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Description

本願発明は、培養液を入れた栽培槽内に、植物を植えたパネル(以下植物定植パネルという)を植物の葉茎部を上に、根を培養液に浸した状態に支持した水耕栽培において、植物葉茎部に付着した害虫を駆除するため、上記植物定植パネルを葉茎部を下に、根を上に向けた状態に180度反転し、その状態で葉茎部を培養液中に所要時間浸漬して害虫駆除を行い、ついで上記植物定植パネルを葉茎部を上に、根を下に向けた状態にさらに180度反転して元の水耕栽培に戻す害虫駆除用パネル反転式浸漬方法及びそれに使用するパネル反転式浸漬装置に関する。
本発明者は、さきに、水耕栽培において、植物定植パネルを葉茎部を下に、根を上にした状態に回転し及び培養液上方へ上昇させ、ついで上記植物定植パネルを降下させて葉茎部を培養液中に所要時間浸漬して害虫駆除を行い、次に上記植物定植パネルを葉茎部を上に、根を下にした状態に回転し及び培養液上方に上昇させ、ついで植物定植パネルを降下させて根が培養液に浸る元の水耕栽培に戻す、パネル反転浸漬方法と、
上記パネル反転式浸漬方法の実施に使用する装置として、上記植物定植パネルのパネル面2等分線の位置にパネル回転軸を固定し、上記回転軸を案内フレームに回転自在の状態で昇降自在に支持し、上記回転軸を所望角度回転させる回転駆動手段及び上記回転軸を上記案内フレームに沿って所望距離昇降させる昇降駆動手段を備えたパネル反転式浸漬装置を提案した(特願2003−128939)。
しかし、さきの発明を実施する場合大がかりな装置が必要となり、これを一般農家が実施するには、多額の設備費を負担しなければならない難点があった。
本願第1発明は、実施における設備費の低減化を課題とし、
本願第2発明は、上記第1発明を有効に実施することができ、かつ設備費の安価なパネル反転式浸漬装置を提供することを課題とする。
そこで、本願第1発明は、
培養液を入れた栽培槽内に、植物定植パネルを、植物の葉茎部を上に、根を培養液に浸した状態に支持した水耕栽培において、
上記植物定植パネルの一側端部を吊り上げて該植物定植パネルを傾斜させつつほぼ垂直状態に吊り、
次に、上記パネルの一側端部を吊り下すと共に、植物葉茎部の重量により上記植物定植パネルを葉茎部を下に、根を上にした状態で培養液上に転倒させて葉茎部を培養液中に浸漬させ、該浸漬を所要時間継続して害虫駆除を行い、
次に、上記植物定植パネルの一側端部を吊り上げてほぼ垂直状態に吊り、
次に、上記植物定植パネルに外力を加えて該パネルを葉茎部を上に、根を下にする方向に傾斜させると共に上記パネル一側端を吊り下して上記植物定植パネルを葉茎部を上に、根を下にした状態で培養液上に転倒させる、
水耕栽培における害虫駆除用パネル反転式浸漬方法を提案し、
本願第2発明は、
培養液を入れた栽培槽内に、植物定植パネルを、植物の葉茎部を上に、根を培養液に浸した状態に支持した水耕栽培装置において、
上記植物定植パネルの一側端部に一端を連結したロープの他端部を栽培槽の上方へ導いてロープ巻取り輪に巻取り巻戻し自在に連結すると共に、上記ロープ巻取り輪を巻取り及び巻戻し回転させる駆動手段を備え、
上記ロープにより上記植物定植パネルをほぼ垂直に吊り上げた状態で、該パネルを葉茎部を上に、根を下にする向きに傾斜させる傾斜駆動手段を備えた、
水耕栽培装置における害虫駆除用パネル反転式浸漬装置を提案する。
本願第1発明によるパネル反転式浸漬方法によれば、これを実施する場合植物定植パネルの一側端部を吊り上げたり、吊り下す装置だけでほとんど足りるようになり、設備費を少額におさえることができるようになる。
また本願第2発明によるパネル反転式浸漬装置によれば、上記第1発明を有効に実施することができると共に、ロープ巻取り巻戻し装置だけを設置すればよいから、従来装置と比較して安価に提供できるのである。
本願第1発明及び第2発明を適用する水耕栽培槽において、植物定植パネルを「栽培槽内に支持した」構成には、フロート型の上記パネルを培養液面に直接浮かべたもの、フロート型又は沈下型の上記パネルを、栽培槽側壁内面に突設したパネル受け突起により、培養液面から若干離して支持したもの、又は栽培槽側壁内面の培養液面よりやや下の位置にパネル受け突起を突設しておき、フロート型上記パネルを常時は培養液面に浮かべるか、害虫駆除時には、培養液の一部を予備タンクに移して液面を上記受け突起より若干下まで下げ、それにより上記パネルを上記受け突起に支持させ、水耕栽培に戻す時は、予備タンクから培養液を栽培槽内に戻して、上記パネルを培養液面に浮かべるものを含む。後の2者の支持構造では、上記パネルの液面から受ける表面張力が零となり、パネルの吊り上げがさらに容易となる。
上記「ロープ巻取り輪を回転させる駆動手段」には、ハンドルを手動で回すもの、モータで回すもの等が使用される。
又、上記パネルを「葉茎部を上に、根を下にする向きに傾斜させる傾斜駆動手段」には、作業員が手又は棒で押すもの、作業員がロープで引張るもの、上記棒又はロープを機械的に作動させるもの、その他種々のものがある。
便宜上本願第2発明の装置について説明する。図1、2において、横長の上面開口した箱形栽培槽(1)内に培養液(2)を入れ、その液面に、発砲スチロール矩形板からなる2枚のフロート型植物(P)…植物定植パネル(3)、(3)を隣接状態に浮かべてあり、この水耕栽培装置において、栽培槽(1)の長辺がわ一側の外側部に、3本の支持柱(4)‥を等間隔において起立し、その一端の支持柱(4)上に倍力装置(5)を、他の支持柱(4)、(4)上に軸受(6)、(6)をそれぞれ設置し、上記倍力装置(5)の出力軸(7)に接続された長い駆動軸(8)を栽培槽(1)長手方向に延長して上記軸受(6)、(6)にそれぞれ支承し、この駆動軸(8)に、上記パネル(3)、(3)の各左右両端部に対応する位置で、それぞれフランジつきロープ巻取りプーリー(9)(9)、(9)(9)を固定してある。
上記巻取りプーリー(9)…にそれぞれ一端を巻かれたロープ(10)…は、その各他端を下方へ垂下し、そして1枚のパネル(3)にロープ2本(10)、(10)の割合で、各パネル(3)、(3)の一側端部における左右両端部にそれぞれ連結してある。
上記倍力装置(5)は次のような構造である。図3において、ギャボックス(11)に出力軸(7)を貫通すると共にボックス(11)の相対する側壁に回転自在に支持させ、この出力軸(7)のボックス(11)内軸部にウォームホイル(12)を固着すると共に、該ウォームホイル(12)とかみ合うウォーム(13)の両端軸をブラケット(14)、(14)に回転自在に支持させ、このウォーム(13)の一端がわの軸(15)をボックス(11)外に延出し、延出端に手動ハンドル(16)を固定してある。
上例の装置を使用しての本願第1発明による反転式浸漬方法の実施例について説明する。図2の水耕栽培の状態において、植物(P)…の葉茎部に付着した害虫を駆除する場合は、作業員がハンドル(16)を回して各巻取りプーリー(9)…にロープ(10)…を巻取って、図4(イ)のように植物定植パネル(3)、(3)の一側端部を吊り上げてパネル(3)、(3)を徐々に傾斜させていく。この場合パネル(3)、(3)が傾斜して吊り上げられるので、液面から受ける表面張力は弱い。
パネル(3)、(3)が、同図(ロ)のように栽培槽(1)の一側端がわにほぼ垂直に吊り上げられたら、ロープ巻取りを停止する。
次に、ハンドル(16)を逆回しし、各プーリー(9)…を逆回転させて各ロープ(10)…を巻戻すと、同図(ハ)に示すように、植物の葉茎部が根より重いために、パネル(3)、(3)は葉茎部を下に、根を上にする方向に傾斜していき、そして同図(ニ)に示すようにパネル(3)、(3)は葉茎部を下に、根を上に向けた反転状態で培養液(2)面に転倒し、葉茎部は液中に浸漬される。ここで所要時間の浸漬を継続し、葉茎部に付着した害虫を死滅させる。
害虫駆除後、ハンドル(16)を回して各プーリー(9)…にロープ(10)…を巻取り、同図(ホ)のようにパネル(3)、(3)の一側端部を吊り上げてパネル(3)、(3)を傾斜させていく。
パネル(3)、(3)が、同図(ヘ)のように、栽培槽(1)の一側端がわにほぼ垂直に吊り上げられたらロープ巻取りを停止する。
次に、同図(ト)に示すように、作業員が押し棒(17)によりパネル(3)、(3)の根がわ面の他側端部を押して該パネル(3)、(3)を葉茎部を上に、根を下に向ける方向に傾斜させると共に、ハンドル(16)の逆回しにより各プーリー(9)…からロープ(10)…を巻戻していき、それにより上記パネル(3)、(3)はさらに傾斜していき、そして同図(チ)に示すようにパネル(3)、(3)は葉茎部を上に、根を下にした状態で培養液(2)面に倒伏し、元の水耕栽培の状態に戻る。
上記ハンドル(16)の回し操作において、ウォーム(13)の回転によるウォームホイル(12)の回転に倍力作用が働き、わずかなハンドル(16)回し力によって各巻取りプーリー(9)…を回転させることができる。又、ウォーム(13)によりウォームホイル(12)を所望角度回転させた後は、ウォーム(13)がウォームホイル(12)に対し制動作用を及ぼすから、各巻取りプーリー(9)…を巻取り、巻戻しの位置に保持することができる。
上記図4(ニ)の植物浸漬時において、好ましくは、上向きに露出する根に給水を行うとよい。給水方法には、栽培槽(1)の上位又は側部に散水管又は射水管を配管して根に散水又は射水するもの、含水させた保水紙、布等で根をカバーするもの、その他種々の方法がある。
本含第2発明によるパネル反転式浸漬装置を備えた水耕栽培装置の平面図である。 図1のA−A線断面図である。 (イ)倍力装置の拡大一部切欠正面図である。 (ロ)(イ)図のB−B線断面図である。 (イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)、(チ)本願第1発明の方法の工程を示す各略線断面図である。
符号の説明
1 栽培槽
2 培養液
3 植物定植パネル
P 植物
9 ロープ巻取りプーリー
10 ロープ
16 ハンドル
17 押し棒

Claims (2)

  1. 培養液を入れた栽培槽内に、植物定植パネルを、植物の葉茎部を上に、根を培養液に浸した状態に支持した水耕栽培において、
    上記植物定植パネルの一側端部を吊り上げて該植物定植パネルを傾斜させつつほぼ垂直状態に吊り、
    次に、上記パネルの一側端部を吊り下すと共に、植物葉茎部の重量により上記植物定植パネルを葉茎部を下に、根を上にした状態で培養液上に転倒させて葉茎部を培養液中に浸漬させ、該浸漬を所要時間継続して害虫駆除を行い、
    次に、上記植物定植パネルの一側端部を吊り上げてほぼ垂直状態に吊り、
    次に、上記植物定植パネルに外力を加えて該パネルを葉茎部を上に、根を下にする方向に傾斜させると共に上記パネル一側端を吊り下して上記植物定植パネルを葉茎部を上に、根を下にした状態で培養液上に転倒させる、
    水耕栽培における害虫駆除用パネル反転式浸漬方法。
  2. 培養液を入れた栽培槽内に、植物定植パネルを植物の葉茎部を上に、根を培養液に浸した状態に支持した水耕栽培装置において、
    上記植物定植パネルの一側端部に一端を連結したロープの他端部を栽培槽の上方へ導いてロープ巻取り輪に巻取り巻戻し自在に連結すると共に、上記ロープ巻取り輪を巻取り及び巻戻し回転させる駆動手段を備え、
    上記ロープにより上記植物定植パネルをほぼ垂直に吊り上げた状態で、該パネルを葉茎部を上に、根を下にする向きに傾斜させる傾斜駆動手段を備えた、
    水耕栽培装置における害虫駆除用パネル反転式浸漬装置。



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