JP3760114B2 - 自動扉の安全装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械、各種産業機械等における作業エリアと操作エリア等を遮蔽する自動扉において、自動扉の閉鎖時に作業員、異物の存在を感知して扉閉鎖動作を中止し作業員等の安全を図る様にした自動扉の安全装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる安全装置としては、種々形式のものが開発されている。
一方、近年の工作機械の稼動率アップの要請から、自動扉の作動速度が上昇している。
これらの進退スピード上昇と安全性を兼ね備えたものも開発されているが、高速の駆動力伝達、伝達断絶、伝達復活等の要請を達成する機構が複雑となる欠点を有していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、簡素な装置で、安全装置の作動時には駆動力伝達を断絶して安全性を向上させると共に、安全装置作動後における駆動力連結復活を自動化し、且つ自動扉の通常開閉時には駆動力の全てを伝達して自動扉の進退スピード上昇にも対応する様にした自動扉の安全装置を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術に基づく、複雑な機構となったり、自動扉の進退スピード上昇に対応出来ない課題に鑑み、駆動ボックスに設置された駆動シリンダーのロッドにガススプリングを取付けると共に、駆動ボックスに設置された主レールに扉体取付の第1移動体を移動自在に取付け、ガススプリングのロッドと第1移動体を連結することによって、前後扉体に作業員等が接触した時には、駆動装置の駆動力伝達経路におけるガススプリングが反発力に抗して短縮して、駆動シリンダーの駆動力が前後扉体に作用せず安全を確保し、又ガススプリングは伸び方向に反発力を有したものと成すことによって、ガススプリングが反発力で全長が変化することなく、駆動シリンダーの駆動力を第1移動体に伝達し、又安全装置が機能した後の復帰は第1移動体を移動停止で行う様にして、上記課題を解決する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
自動扉1は工作機械を設置した作業エリアと、作業員が退避し工作機械を作動させる操作エリアを遮蔽、隔離する遮蔽板の一部に取付けられるものであり、遮蔽板の所要部に設けた両エリア間の出入口に自動扉1が設置される。
尚、自動扉1を有した遮蔽板の設置対象である工作機械とは、工作機械に付随して或いは単独で設置される部品製造機械、加工機械、洗浄乾燥機械、表面処理機械、組付機械その他の各種産業機械を含み、例えば、遮蔽板は部品の洗浄機械における作業、操作エリア間に設置したり、工作機械と産業機械を遮蔽するために設置される。
【0006】
本発明に係る自動扉1は一部倍速の駆動装置2と安全装置3を装備し鉛直方向に設置され、自動扉1は全体的には図1、13、部分的には図6〜11に示す様に、平行状態で適宜な幅高さを有する矩形状の2枚の前後扉体4、4aを上下方向にスライド自在に配置し、2枚の前後扉体4、4aの基端辺側を駆動装置2の通常速移動体5、倍速移動体6に夫々取付け、必要に応じて、前後扉体4、4aの先端辺側を案内部(図示せず)に配置する。
【0007】
図6に示す様に、遮蔽板、工作機械等の所要個所に取付ける座板7の前面に駆動ボックス8を設け、該駆動ボックス8は後面壁板9及びその両側で手前側に直角状に屈曲させた側面壁板10、10a から成り、後面壁板9の手前側で駆動ボックス8の内部に駆動装置2及び安全装置3を設置すると共に、一方の側面壁板10に通常速移動体5及び倍速移動体6を貫通突出させる開口部11を設けている。
尚、駆動ボックス8の前面及び前後扉体4、4a、通常速移動体5、倍速移動体6の前面に蓋体12、保護プレート13を設けている。
【0008】
次に、上記の駆動ボックス8に内蔵する駆動装置2及び安全装置3の概略構成を基本的作用と共に説明する。
図1は自動扉1の全体構成を示す図で、(a) は正面図、(b) は(a) のHーH断面図、図2〜5は図1の部分拡大図、図6〜11は断面拡大図であり、図1、6に示す様に、駆動ボックス8の内部に駆動シリンダー14を垂設すると共に、その駆動力が伝達されると共に安全装置3の機能を有するガススプリング15が駆動シリンダー14と平行に垂設されている。
一方、これらの一側に垂設された主レール16を滑走する第1移動体17を垂設し、該第1移動体17の後端に通常速移動体5を連結すると共に、第1移動体17の前端にガススプリング15の駆動力を伝達している。
かかる構成により、駆動シリンダー14の駆動力はガススプリング15を介して第1移動体17に伝達され、該第1移動体17の通常速移動体5に取付けられた前扉体4が駆動シリンダー14の駆動スピードと同速で上昇移動する。
他方、主レール16を滑走する移動体として第1移動体17とは別途に第2移動体18を垂設し、且つ、駆動ボックス8内に特定点19、19a を固定した長円状のチェーン20を配設すると共に、第1移動体17に取付けたスプロケットホイール21、21a をチェーン20に係合し、更にチェーン20に取付けた第2移動体18に倍速移動体6を連結している。
かかる構成により、第1移動体17の移動力で、スプロケットホイール21、21a を介してチェーン20が移動することにより、チェーン20に取付けた倍速移動体6は駆動シリンダー14の駆動スピードの倍速で上昇移動する。
駆動シリンダー14と第1移動体17を連結するガススプリング15は伸び方向に反発力を有したものと成すことにより、駆動シリンダー14の駆動力はガススプリング15を介して第1移動体17に伝達し、前後扉体4、4aが前方障害物に接触した時には、第2移動体18、チェーン20、第1移動体17等を介して倍力でガススプリング15に作用し、安全装置3であるガススプリング15は反発力に抗して短縮し、駆動シリンダー14の駆動力は減殺・遮断されたり、センサー信号で作動停止される。
【0009】
以下、実施例の詳細を説明する。
図2、3、6に示す様に、後面壁板9に駆動シリンダー14両端のシリンダー取付枠22、22a を取付けて、進退するロッド23が上方向となる様に、駆動シリンダー14を上下方向である進退方向、扉開閉方向に垂設状態で取付けると共に、駆動シリンダー14のロッド23の先端に取付治具24を螺着固定している。
【0010】
図2、5に示す様に、駆動シリンダー14のロッド23先端に固定した取付治具24に進退方向に長い鉛直方向L字状の連結板25先端(一端、上端)を取付け、図3、10に示す様に、連結板25後端(他端、下端)の取付部26にガススプリング15の基端を取付けると共に、取付部26を延設して連結板 25 に第1移動体 17 側に案内部 27 を設け、該案内部27の背面に姿勢制御用の案内(第3)リニアウェイユニット28を取付け、該案内(第3)リニアウェイユニット28を第1移動体17の前面に設けた副レール29に摺動自在に嵌合取付して、連結板25、ガススプリング15を鉛直方向に円滑移動出来る様にしている。
尚、L字状の連結板25には上下方向に補強板25a を取付けている。
【0011】
図2、7に示す様に、連結板25を介して駆動シリンダー14の先端に取付けられたガススプリング15は、駆動シリンダー14と平行に垂設され、ガススプリング15の突出したロッド30の先端には横方向の連結板31を取付け、該連結板31をブロック片31a を介して第1移動体17の先端に取付けている。
安全装置3であるガススプリング15はロッド30が突出状態で取付けられると共に、ガススプリング15は伸び方向に常に反発力を有したものであり、例えば、図12に示す様に、シリンダー32内にピストン33を移動自在に内装すると共に、両ガス室34、34a 内部に高圧の窒素ガスを封入し、ピストン33に両ガス室34、34a が連通する様に、オリフィス35を穿孔すると共にロッド30を取付け、更に、シリンダー32内にオイル36を充填したものである。
かかる構成により、ピストン33の両面では受圧面積の相違により、ロッド30非存在側のガス室34に面したピストン33の一面側の圧力が高く、ロッド30を外方に押出する方向に圧力付与され、ガススプリング15は伸び方向に常に反発力を有している。
【0012】
図2〜5、7、8に示す様に、後面壁板9の前面に全長方向に亘って主レール16を取付けると共に、鉛直方向の主レール16に対向する第1移動体17の背面における上下2個所に連結ブロック37、37a を介して第1リニアウェイユニット38、38a を夫々固設し、該第1リニアウェイユニット35、35a を主レール16に摺動自在に嵌合取付している。
図3、7に示す様に、鉛直方向に配置された第1移動体17の後端には通常速移動体5を一体的に設け、側面壁板10の開口部11を貫通させて、駆動ボックス8外部へ突出させた通常速移動体5に前扉体4を取付けている。
尚、図示していないが、前後扉体4、4aの上下端位置で、第1移動体17の上下移動を停止させる緩衝ダンパーのストッパーを設けている。
【0013】
これらの構成により、駆動シリンダー14の作動、進退方向と同一方向、並列状態でガススプリング15、第1移動体17、通常速移動体5等を夫々平行状態で設置すると共に、駆動シリンダー14とガススプリング15の連結に際して後方延設した連結板25で駆動シリンダー14とガススプリング15の先端を略同一位置と成し、第1移動体17への通常速移動体5の連結位置を後端と成して、通常速移動体5を駆動シリンダー14の基端寄りに配置し、自動扉1の全長を短くしている。
【0014】
図3、5に示す様に、第1移動体17に固設すると共に、主レール16に摺動自在に取付けた下方の第1リニアウェイユニット38a の若干上方位置で、主レール16に第2リニアウェイユニット39、39a を摺動自在に嵌合取付している。
図3、5、11に示す様に、第2リニアウェイユニット39、39a には鉛直方向でやや短い第2移動体18を取付け、該第2移動体18に倍速移動体6を一体的に設けて、側面壁板10の開口部11から外部へ突出させている。
尚、第2移動体18は主レール16と第1移動体17の中間位置に配置している。
【0015】
次に、主レール16に移動自在に設けた第2移動体18の駆動方式について説明する。
図2〜5、8等に示す様に、第1移動体17を案内する上下の第1リニアウェイユニット38、38a の連結ブロック37、37a には、主レール16と駆動シリンダー14の間にスプロケットホイール21、21a を設けており、図8に示す様に、第1移動体17の連結ブロック37、37a に基軸40を固定すると共に、該基軸40にベアリング41を内装したスプロケットホイール21、21a を取付け、かかるスプロケットホイール21、21a を回転自在なアイドラースプロケットと成している。
【0016】
図2〜5に示す様に、後面壁板9の前面には、総体的にはエンドレス長円状のチェーン20を上下方向に配置し、該チェーン20の特定点19、19a を後面壁板9に固定すると共に、チェーン20の上下Uターン部を第1移動体17に回転自在に取付けたスプロケットホイール21、21a に巻回している。
特定点19、19a の固定方式としては、図2、4、6〜8に示す様に、上方のスプロケットホイール21近傍位置で、後面壁板9に前方突出状態で取付けた固定部材42、42a に上方背面側往路のチェーン20を固定している。
【0017】
図3、5、9〜11に示す様に、下方のスプロケットホイール21a 近傍位置で、特定点19、19a の反対路側に連結点43、43a を設定し、該連結点43、43a の部材は後扉体4aを取付ける第2移動体18を延設した連結部44に固着した連接板45と成し、該連接板45はチェーン20に沿った長手方向に所定長さを有する基枠46の両端を折曲し、その折曲部を基板47、47a としてチェーン20を固定する様にしている。
【0018】
尚、図示したチェーン20は通常のエンドレス状のものではなく、特定点19、19a において固定部材42、42a を、連結点43、43a において連接板45の基板47、47a を介して、分断されたチェーン20を連結して総体的にエンドレス状態と成しているが、通常のエンドレスのチェーン20に対してアタッチメントを利用して特定点19、19a 及び連結点43、43a に必要作用、必要部材を取付けても良い。
【0019】
図14〜16に示す様に、駆動シリンダー14とガススプリング15を連結する連結板25の取付部26から下方にセンサー取付枠48を延設すると共に、該センサー取付枠48にセンサー49を取付ける一方、第1移動体17に近接ドッグ50を取付けている。
尚、これらの取付位置は、ガススプリング15の前後であれば、どの位置でも良い。
【0020】
次に本発明に係る自動扉の駆動装置の作用について説明する。
図1(a) 、図13(a) において、下方に位置する時は前後扉体4、4aは同一位置であり、駆動装置2を作動させた状態では、前扉体4はストロークS分だけ上昇すると共に、後扉体4aはストローク2S分だけ上昇して図示する状態となり、後扉体4aの先端(上端)に作業員等が接触した時にはガススプリング15を短縮させ(ロッド30がシリンダー32内に入り込み)、センサー49、近接ドッグ50を設置した時には、駆動シリンダー14の作動が停止する。
【0021】
上記作用を起動源から順次説明すると、駆動シリンダー14の作動でロッド23の先端を上昇させると、ロッド23とガススプリング15を連結するL字状の連結部25も上昇し、該連結部25に固定されたガススプリング15はロッド伸張状態のまま上昇し、ロッド30先端に取付けた連結板31を介して第1移動体17が上昇し、該第1移動体17に固定された一対のスプロケットホイール21、21a も上昇する。
【0022】
この時、スプロケットホイール21、21a に巻装されたチェーン20においては、往路の特定点19、19a が駆動ボックス8に固定されているために、一対のスプロケットホイール21、21a で支承された長円状態を保持すると共に、個々の鎖は移動して全体的に上昇し、同時にスプロケットホイール21、21a が従動的に所定角度回転する。
【0023】
チェーン20の上昇変移により、チェーン20の特定点19、19a が固定されると共に、スプロケットホイール21、21a で支承されているため、特定点19、19a 側の往路と特定点19、19a 反対側の復路のチェーン20は同距離移動し、特定点19、19a の反対路におけるチェーン20の連結点43、43a はスプロケットホイール21、21a の移動ストロークSの2倍の移動ストローク2Sの距離を移動する。
【0024】
この様な駆動装置2の作動により、第1移動体17及びチェーン20の連結点43、43a がストロークS及びストローク2Sの距離で夫々移動するので、第1移動体17の通常速移動体5に取付けた前扉体4及びチェーン20の連結点43、43a 、第2移動体18、主レール16に連結した後扉体4aは1対2の比率で移動し、図示の様に同一位置から前扉体4は中間位置に、後扉体4aは前扉体4の2倍移動で上方位置に夫々移動する。
【0025】
尚、上記作用は開口部11の閉鎖時について説明したが、前後扉体4、4aが下降する時は、駆動シリンダー14を逆作動させ、その時にガススプリング15のロッド23には伸長方向に駆動力が作用するが、後述する様に、最大伸長量は規制されており、前後扉体4、4aの下降に支障は無い。
【0026】
次に、安全装置の作動について説明する。
自動扉1の閉鎖時において、作業員、異物等が前後扉体4、4aの進行位置に存在した危険、異常時に、前後扉体4、4aに作業員等が接触すると、その外力は第2移動体18、スプロケットホイール21、21a 、連結ブロック37、37a 、第1移動体17、連結板31等を介してガススプリング15のロッド30に作用する。
ロッド30に作用する短縮方向の外力は、ガススプリング15のピストン33に作用し、一方のガス室34の体積圧縮を発生すると共に、高圧ガスは一方のガス室34から他方のガス室34a へオリフィス35から通過移動して、ピストン33、ロッド30がシリンダー32内に没入移動し、ガススプリング15の全長が短くなり、安全装置3が機能する。
【0027】
センサー49、近接ドッグ50を取付けた場合には、駆動シリンダー14とセンサー49は連結部25、センサー取付枠48等を介して連結され、近接ドッグ50は前後扉体4、4aと連動する第1移動体17等に連結されているため、安全機能時には、駆動シリンダー14の作動量、連結部44の移動量は変化せずに進行することに対して、前後扉体4、4aと連動する近接ドッグ50は移動停止し、両者の対向状態は崩れて、センサー機能が発生して駆動シリンダー14の作動を停止させる。
【0028】
尚、ガススプリング15の反発力はガス圧により決定されるため、安全装置3の機能発生圧力は適宜設定可能である。
本願発明の自動扉1は水平方向にも設定可能であるが、図示の様に上下方向に設定した時は、前後扉体4、4a、第1移動体17等の重量も考慮して、ガススプリング15のガス圧を設定する。
安全装置3であるガススプリング15を装着した駆動装置2は、倍速機構を有しているため、前後扉体4、4aからの外力はガススプリング15への到達時には倍力と成り、安全機能が拡大する。
【0029】
次に、ガススプリング15におけるロッド30の伸長量(突出量)に関して説明する。
図17に示す様に、連結板25における案内部27の上下所定位置で第1移動体17にガススプリング15のロッド30の伸長量(突出量)の規制手段(上下ストッパー)を設けており、この伸長量規制手段でガススプリング15の有効ストローク(最伸状態、最縮状態から若干長を除外した通常の作動ストローク)を確保している。
下方の基端ストッパー51は第1移動体17の前面にストッパー基体52を突出固定すると共に、該ストッパー基体52に進行方向に進退調整自在な送りボルト53を設け、上方の先端ストッパー54を第1移動体17の前面に突出固定している。
基端、先端ストッパー51、54の上下位置(連結板25における案内部27の上下所定位置)はガススプリング15のロッド30の突出量、短縮量(ロッド30のシリンダー32への没入量)、有効ストロークから決定される。
そして、ガススプリング15と規制手段の作動状態関係としては、正常時は連結板25の案内部27が基端ストッパー51の送りボルト53に接触した状態となり、安全機能時は連結板25の案内部27が基端ストッパー51と先端ストッパー54の中間位置となったり、図18に示す様に、先端ストッパー54と当接した状態となる。
【0030】
ガススプリング15の駆動装置2への取付時としては、シリンダー32からロッド30を最大限引き出し、伸び方向に反発力を有した状態で、駆動装置2へガススプリング15を取付け、ガススプリング15の特性(有効ストローク)を考慮して多少短く収縮させる。
その方式としては、基端ストッパー51の送りボルト53を後退させた状態で、駆動シリンダー14側の連結板25及び第1移動体17側の連結板31にガススプリング15の上下端を取付けた後、送りボルト53を螺入進行して連結板25の案内部27に当接させ、更に、送りボルト53を進行させてロッド30に対してシリンダー32を進行させることにより、ロッド30をシリンダー32に所定量没入させ、最伸状態から伸長側の有効ストローク内に設定している。
この様に、有効ストロークを発揮する様に、ガススプリング15を短縮すると、シリンダー32内の両ガス室34、34a の窒素ガスはピストン33のオリフィス35を通過して均衡し、若干量短縮状態が通常設定状態となり、この状態においてガススプリング15は伸び方向に反発力を常に有し、案内部27と送りボルト53の当接状態で前後扉体4、4aは開閉される。
又、短縮側の有効ストローク内への設定としては、図18に示す様に、安全装置3であるガススプリング15が短縮した安全機能時に、ロッド30がシリンダー32内に完全没入しない様に、案内部27が当接する先端ストッパー54を取付けており、この先端ストッパー54の位置で最縮状態から有効ストローク内に設定している。
【0031】
安全装置3が機能する時の作用としては、一方のガス室34の高圧ガスが圧縮されると共に、一方のガス室34から他方のガス室34a へオリフィス35を通過する作用であり、安全機能時が瞬間的であれば、瞬間圧縮された高圧ガスの反発膨張で初期状態に略復帰する。
逆に、図18に示す様に、短縮側の有効ストローク位置に配置された先端ストッパー54が案内部27と当接すると共にガススプリング15が短縮状態となって安全装置3が機能し、その安全機能時間が長くなると、ガススプリング15の短縮状態において、シリンダー32内の高圧ガスはオリフィス35を通過して、両ガス室34、34a のガス圧力は均衡して、ロッド30がシリンダー32に没入していることにより、ガススプリング15の全長(ロッド30の突出量)が短くなり、その状態のままでは、前後扉体4、4aの開閉量が不十分となる。
即ち、安全機能時間が長時間でガススプリング15が短縮均衡した状態は、駆動シリンダー14が伸長してガススプリング15基端の連結板25は所定位置まで上昇することに対して、第1移動体17が途中位置まで上昇すると共に、ロッド30がシリンダー32に没入してガススプリング15は短縮状態であり、連結板25の上昇移動量に比して第1移動体17の移動量が少なく、第1移動体17と連結板25の位置は変化する。
その状態では、駆動シリンダー14を作動させても前後扉体4、4aの開閉量は不十分となるため、ガススプリング15の所定伸長量、或いは、ガススプリング15基端(連結板25)と第1移動体17(送りボルト53等)の位置関係を復帰させる必要がある。
【0032】
長時間の安全装置作動(ガススプリング15の短縮均衡)後の復帰時には、駆動シリンダー14を下降させると、連結板25及び短縮状態のガススプリング15も同時に下降すると共に第1移動体17も自重で下降し、最下端での第1移動体17の下降停止後も、駆動シリンダー14の下降動作に連動して連結板25は下降継続する。
すると、連結板25に取付けられたガススプリング15のシリンダー32が下降すると共に、下降停止した第1移動体17に取付けられたガススプリング15のロッド30は停止しているために、シリンダー32からロッド30が引き出されてガススプリング15は伸長状態となると共に、基端ストッパー51の送りボルト53に案内部27が当接し、所定時間経過後には、シリンダー32内のピストン33に設けたオリフィス35を高圧ガスが通過して両ガス室34、34a は圧力均衡して、ガススプリング15は伸長設定状態に復帰し、この状態において伸び方向に反発力を常に有する。
上記説明では、ガススプリング15の短縮状態で第1移動体17の自重で下降する例を説明したが、駆動シリンダー14の作動速度が速かったり、第1移動体17に摩擦抵抗が大きく発生した様な場合には、ガススプリング15の作動特性にもよるが、シリンダー32からロッド30が全量又は中間状態に引き出されて第1移動体17を下降させる。
【0033】
尚、安全装置3の復帰作用として、前後扉体4、4aの上下作動状態の時は上記作用となるが、前後扉体4、4aを水平作動状態とした時は次の作用となる。
駆動シリンダー14を基端側(図中、左側)に移動させると、連結板25及びガススプリング15のシリンダー32も同方向に移動し、ガススプリング15は伸び方向に反発力を有するが逆方向には反発力を有しないため、ロッド30に対してシリンダー32は移動し、連結板25の案内部27が基端ストッパー51の送りボルト53に当接すると共に、ロッド30がシリンダー32から全量突出した時にロッド30は移動開始し、これらの移動が原位置に復帰した時に、ガススプリング15は伸び方向に反発力を有することとなる。
上記説明では、ロッド30に対してシリンダー32が移動してシリンダー32の移動完了後に第1移動体17が移動する例を説明したが、ガススプリング15内におけるガスの移動に若干の時間を要するため、シリンダー32からのロッド30の伸長途中で第1移動体17が移動する場合があり、最終的に原位置に復帰した時に、ガススプリング15は伸び方向に反発力を有することとなる。
【0034】
尚、正常作動状態における前後扉体4、4aの下降時(開放時)には、駆動シリンダー14の収縮作用で、ガススプリング15のシリンダー32が引き戻されてロッド30に伸長方向の駆動力が作用するが、自重降下したり、案内部27と送りボルト53の当接規制で第1移動体17は下降移動し、ロッド30を含むガススプリング15の全長は維持されて、前後扉体4、4aは下降し、又水平方向設置時には案内部27と送りボルト53の当接で前後扉体4、4aは開放移動する。
【0035】
【発明の効果】
要するに本発明は、駆動ボックス8に設置された駆動シリンダー14のロッド23にガススプリング15を取付けると共に、駆動ボックス8に設置された主レール16に扉体4、4a取付の第1移動体17を移動自在に取付け、ガススプリング15のロッド30と第1移動体17を連結したので、前後扉体4、4aに作業員等が接触した時には、駆動装置2の駆動力伝達経路におけるガススプリング15が反発力に抗して短縮して、駆動シリンダー14の駆動力が前後扉体4、4aに作用せず安全確保を図ることが出来、又ガススプリング15は伸び方向に反発力を有したものと成したので、ガススプリング15は反発力で全長が変化することなく、駆動シリンダー14の駆動力を第1移動体17に伝達することが出来る。
【0036】
ガススプリング15が有効ストローク(最伸状態、最縮状態から若干長を除外したストローク)で作動する様に、ガススプリング15におけるロッド30の伸長量の規制手段を設けたので、ガススプリング15は有効ストロークで作動することとなり、ガススプリング15の機能を充分に発揮することが出来る。
【0037】
規制手段は、駆動シリンダー14のロッド23とガススプリング15のシリンダー32を連結板25を介して連結すると共に、該連結板25に第1移動体側 17 に案内部 27 を設け、該案内部 27 が正常時または長時間の安全機能時でガススプリング 15 の短縮時に当接する基端ストッパー51及び先端ストッパー54を第1移動体17に設けたものと成したので、ガススプリング15の伸長量の規制手段を確実に配置することが出来、又基端ストッパー51はストッパー基体52に送りボルト53を取付けて伸長側における有効ストロークに設定するものと成すと共に、先端ストッパー54は短縮側における有効ストローク位置に設置したので、送りボルト53の進退および先端ストッパー54の取付位置で有効ストロークを確保することが出来ると共に、ガススプリング15の当初取付は最伸状態および送りボルト53の進退調整により容易・
確実に行うことが出来る。
【0038】
駆動シリンダー14のロッド23にセンサー49を取付けると共に、第1移動体17に近接ドッグ50を取付けたので、安全機能時には、駆動シリンダー14の作動を停止させて安全性を向上させることが出来る。
【0039】
作動方向を上下方向としても、前後扉体4、4a、第1移動体17等の重量を勘案してガススプリング15のガス圧を適宜選択して、安全装置3の機能を確保することが出来る。
【0040】
駆動シリンダー14、ガススプリング15、主レール16を平行に設置すると共に、駆動シリンダー 14 とガススプリングの先端 15 を略同一位置と成し、駆動シリンダー14のロッド23に進退方向に長い連結板 25 の一端を取付けると共に、駆動シリンダー 14 側に延設した連結板 25 の他端にガススプリング15のシリンダー32を取付けたので、自動扉1、駆動装置2等の全長を短くしてコンパクト化を図ることが出来る。
【0041】
第1移動体17に副レール29を設けると共に、連結板25に第1移動体側 17 に案内部 27 を設け、該案内部27に副レール29を移動する案内(第3)リニアウェイユニット28を設けたので、連結板25の走行性を安定させることが出来る。
【0042】
主レール16に扉体4、4a取付の第2移動体18を移動自在に取付けると共に、駆動ボックス8に特定点19、19a を固定した長円状のチェーン20を配設し、第1移動体17に取付けたスプロケットホイール21、21a をチェーン20に係合すると共に、チェーン20に第2移動体18を取付けたので、駆動装置2は倍速装置となって、扉体4、4aの進退スピードを上昇させることが出来ると共に、安全機能時には倍力装置となり、安全機能を確実化することが出来る。
【0043】
駆動シリンダー14、ガススプリング15、主レール16を平行に、チェーン20を駆動シリンダー14と主レール16の間に、第2移動体18を主レール16と第1移動体17の間に取付けたので、自動扉1、駆動装置2等の全幅を狭くしてコンパクト化を図ることが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動扉の駆動装置の全体図で、(a) は正面図、(b) は(a) のH−H断面図である。
【図2】駆動装置上部の拡大正面図である。
【図3】駆動装置下部の拡大正面図である。
【図4】駆動装置上部の拡大側断面図である。
【図5】駆動装置下部の拡大側断面図である。
【図6】図1のA−A断面図である。
【図7】図1のB−B断面図である。
【図8】図1のC−C断面図である。
【図9】図1のD−D断面図である。
【図10】図1のE−E断面図である。
【図11】図1のF−F断面図である。
【図12】ガススプリングの一部断面正面図である。
【図13】駆動状態を説明する図である。
【図14】センサーを取付けた駆動装置の全体図で、(a) は正面図、(b) は(a) のI−I断面図である。
【図15】センサー近傍の拡大正面図である。
【図16】図14のJ−J断面図である。
【図17】ガススプリングの伸長量の規制手段を示す図である。
【図18】安全装置が機能してガススプリングが短縮した状態を示す図である。
【符号の説明】
4、4a 扉体
8 駆動ボックス
14 駆動シリンダー
15 ガススプリング
16 主レール
17 第1移動体
18 第2移動体
19、19a 特定点
20 チェーン
21、21a スプロケットホイール
23 ロッド
25 連結板
27 案内部
28 案内リニアウェイユニット
29 副レール
30 ロッド
32 シリンダー
49 センサー
50 近接ドッグ
51 基端ストッパー
52 ストッパー基体
53 送りボルト
54 先端ストッパー
Claims (9)
- 駆動ボックスに設置された駆動シリンダーのロッドにガススプリングのシリンダーを取付けると共に、駆動ボックスに設置された主レールに扉体取付の第1移動体を移動自在に取付け、ガススプリングのロッドと第1移動体を連結し、ガススプリングは伸び方向に反発力を有したものであって、駆動時は反発力で全長が変化せず、障害物接触時は反発力に抗して短縮するものと成したことを特徴とする自動扉の安全装置。
- ガススプリングが最伸状態、最縮状態から若干長を除外した有効ストロークで作動する様に、ガススプリングにおけるロッドの伸長量の規制手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の自動扉の安全装置。
- 請求項2記載の規制手段は、駆動シリンダーのロッドとガススプリングのシリンダーを連結板を介して連結すると共に、該連結板に第1移動体側に案内部を設け、該案内部が正常時または長時間の安全機能時でガススプリングの短縮時に当接する基端ストッパー及び先端ストッパーを第1移動体に設けたものと成し、基端ストッパーはストッパー基体に送りボルトを取付けて伸長側における有効ストロークに設定するものと成すと共に、先端ストッパーは短縮側における有効ストローク位置に設置したことを特徴とする自動扉の安全装置。
- 駆動シリンダーのロッドにセンサーを取付けると共に、第1移動体に近接ドッグを取付けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の自動扉の安全装置。
- 作動方向を上下方向と成したことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の自動扉の安全装置。
- 駆動シリンダー、ガススプリング、主レールを平行に設置すると共に、駆動シリンダーとガススプリングの先端を略同一位置と成し、駆動シリンダーのロッドに進退方向に長い連結板の一端を取付けると共に、駆動シリンダー側に延設した連結板の他端にガススプリングのシリンダーを取付けたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の自動扉の安全装置。
- 第1移動体に副レールを設けると共に、連結板に第1移動体側に案内部を設け、該案内部に副レールを移動する案内リニアウェイユニットを設けたことを特徴とする請求項6記載の自動扉の安全装置。
- 主レールに扉体取付の第2移動体を移動自在に取付けると共に、駆動ボックスに特定点を固定した長円状のチェーンを配設し、第1移動体に取付けたスプロケットホイールをチェーンに係合すると共に、チェーンに第2移動体を取付けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の自動扉の安全装置。
- 駆動シリンダー、ガススプリング、主レールを平行に、チェーンを駆動シリンダーと主レールの間に、第2移動体を主レールと第1移動体の間に取付けたことを特徴とする請求項8記載の自動扉の安全装置。
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