JP3758760B2 - パイプ倉庫 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイプ倉庫に係り、更に詳しくは、品種毎に多数本のパイプを自動的に搬入、収納及び搬出できるパイプ倉庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
屋内用や土中埋設用の配管として、直径、厚さ、材質などが異なる多品種の規格定寸パイプが用途別に選択使用されており、通常、各パイプの保管は、パイプ倉庫の多数配設されたパイプ棚に、品種別に集められている。
従来のパイプ倉庫として、例えば特開平6−156640号公報の「自動パイプ倉庫」などが知られている。
この従来倉庫は、両側内に、各々中央側へ下方傾斜した複数段のパイプ棚からなる左、右側パイプ棚群を配設し、各段のパイプ棚の中央側の端部に、パイプ受け用の切欠部が形成された円板状の回動板を設け、回動板をモータにより往復回動させて、切欠部に入り込んだパイプを、中央部に立設されたパイプ落下通路を介して中央下部に設けられた搬出コンベア上に落下させるものである。
なお、パイプ落下通路は、対向配置された縦長の両側壁内面に、中央へ向かって下方傾斜した多数の案内ガイドを、上、下方向へ千鳥足状に並設させた通路であり、切り出されたパイプを、順次、案内ガイドに沿って、左、右折り返しながら落下させるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来技術のパイプ倉庫では、切り出されたパイプをパイプ落下通路を通して下降させていたので、パイプ下降時に、パイプと案内ガイドとの大きな衝突音や振動が生じると共に、両者を傷つけるという問題があった。
なお、前記従来公報の明細書中には、案内ガイドの内面に防音材を貼って、落下時の騒音を小さくする方法も開示されているが、これにより騒音や振動は幾らか小さくなるものの、パイプが千鳥足配列の案内ガイドに沿って転動しながら落下するという基本的な下降形態は変わらないので、上述の課題を完全に解消することはできない。
また、パイプは軸方向に長い長尺物であるので、距離のあるパイプ落下通路を落下中に、パイプが案内ガイド上を斜めに転動し、例えば詰まり易い上段と下段の案内ガイド間に挟まってしまうという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、パイプ下降時における騒音や振動の減少、及びパイプ損傷の防止、並びに確実かつ円滑なパイプ下降の実現が図れるパイプ倉庫を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う請求項1記載のパイプ倉庫は、搬出コンベアの上方に設けられて、両側にパイプ載置用の昇降部材が昇降可能に配置されたエレベータと、該エレベータの両側方に配設されて、前記エレベータ側へ下方傾斜した複数段のパイプ棚をそれぞれ有する一対のパイプ棚群と、前記各段のパイプ棚の下端部付近に配設されて、周縁部にパイプ切り出し溝が形成された回動板及び該回動板の回動手段を有し、切り出された前記パイプを前記昇降部材に受け渡す複数のパイプ切り出し手段と、前記エレベータの下部付近の両側方に設けられて、下降してきた前記昇降部材に載置されているパイプを、前記搬出コンベアへ払い出す払い出し部材とを備え、しかも、前記各段のパイプ棚の上端部付近に、該各パイプ棚に前記所定のパイプを供給するパイプ搬入手段がそれぞれ配設され、前記各パイプ搬入手段が、前記パイプ棚の上端部付近に軸着されたパイプ受け部材と、該パイプ受け部材の受け部材回動手段とを有し、また前記パイプ受け部材の元部付近には、内側への突出高さを調整可能なパイプストッパが設けられている。
請求項2記載のパイプ倉庫は、請求項1記載のパイプ倉庫において、前記エレベータが、上、下側スプロケットと、該上、下側スプロケット間に架け渡された無端チェーンと、該無端チェーンを往復周回させるエレベータ駆動手段とを有し、前記無端チェーンの対向位置に一対の前記昇降部材が固着され、また、外側へ下方傾斜した前記各払い出し部材の下端下方に、払い出された前記パイプを、前記エレベータ下の1台の搬出コンベアに集める一対の落下シュートを配設する。
【0005】
請求項3記載のパイプ倉庫は、請求項1又は2記載のパイプ倉庫において、前記最下段のパイプ搬入手段の下方には、外方へ延びて前記各パイプ受け部材から落下したパイプを受け取る落下事故防止棚が、内、外方向へ回動可能に取付けられている。
【0006】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図1におけるパイプ倉庫の左右方向を幅(横)向といい、図2におけるパイプ倉庫の左右方向を縦方向という。
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係るパイプ倉庫10は、鋼材を組み上げて建造された棚付け用架台100を有する。前記棚付け用架台100の架台中央部には、各段のパイプ棚11A〜11E、12A〜12Eから切り出された直径の異なるパイプ13A〜13Jを下降させるエレベータ14が立設され、更に、エレベータ14の幅方向両側には、それぞれ5段棚式の左、右側パイプ棚群11、12が配備されると共に、エレベータ14の下方には、パイプ13A〜13Jを外部へ搬出するローラ式の搬出コンベア15が設けられている。以下、各構成体について詳しく説明する。
【0007】
左、右側パイプ棚群11、12は、それぞれ棚付け用架台100を構成するため、外柱16間に横架された上下5本の横梁54と、棚付け用架台100を構成する中柱17に横架された横梁19との間に架設され、かつ全体がエレベータ14側へ下方傾斜した第1〜第5段のパイプ棚11A〜11E、12A〜12Eからなる。各第1〜第5段のパイプ棚11A〜11E、12A〜12Eは、それぞれ所定間隔をあけて横配列された4本の棚枠11a〜11e、12a〜12eから構成されており、各段のパイプ棚11A〜11E、12A〜12Eの架台中央側の端部付近には、各々パイプ棚11A〜11E、12A〜12E上に並んだパイプ13A〜13Jを1本ずつ切り出すパイプ切り出し手段18A〜18Jが配設されている。次に、これらのパイプ切り出し手段18A〜18Jを、第1段のパイプ棚12Aのパイプ切り出し手段18Fを例に、具体的に説明する。
【0008】
同じく図1、図2に示すように、横梁19の架台中央側の先端面には、所定間隔をあけて配設された4個のブラケット20が固着されており、各ブラケット20上に、長尺な回動軸22を軸支した軸受21が配設されている。なお、回動軸22は2本の軸をカップリング22aにより連結したものである。回動軸22の各軸受21付近には、周縁部に1本のパイプ13Fを挿入可能なパイプ切り出し溝23が形成された円板状の回動板24が、合計4枚だけ外嵌されている。
また、回動板24の駆動手段(又は回動手段という)の一例であるロータリーアクチュエータ25は、一方の外柱16(図2右部参照)に固着されたブラケット26上に取付けられている。ロータリーアクチュエータ25は、回動軸22を略180°だけ往復回動させるものであり、その出力軸にカップリング22bを介して、回動軸22が連結されている。
ロータリーアクチュエータ25により回動軸22を180°だけ往復回動させると、各回動板24のパイプ切り出し溝23に、一連に嵌まっていた先頭のパイプ13Fが、180°の回動時にエレベータ14側へと切り出される。次に、図1〜図3を参照してエレベータ14を詳細に説明する。
【0009】
図1、図2に示すように、エレベータ14は、各段のパイプ切り出し手段18A〜18Jにより切り出されたパイプ13A〜13Jを、1本ずつ下部まで下降させるものであり、天井梁27の両端部及び中央部の3箇所からそれぞれ架台下部へ延びるH形鋼のガイドレール28を有している。ガイドレール28の下端部は、長短4本の連結梁28c〜28fを介して、パイプ倉庫10の外柱16に固定されている。
図1〜図3に示すように、天井梁27の各ガイドレール28の連結部上には、合計3個の上側スプロケット29が、4個の軸受30を介して天井梁27上に軸支された回転軸29aの所定箇所にそれぞれ固着されており、また各上側スプロケット29は、チェーン式動力伝達構造体31aを介して、3個のうちの一端の上側スプロケット29の近傍に設けられたエレベータ駆動手段の一例である電動モータ31により回転するようになっている。なお、回動軸29aは回動軸22と同様2本の軸をカップリング29cにより連結したものである。
各ガイドレール28の下端部には、短尺な回転軸32aを介して、下側スプロケット32がそれぞれ軸支されており、また対応する上、下側スプロケット29、32間には、無端チェーン33が垂直に架け渡されている。
【0010】
図3に示すように、各無端チェーン33の周回方向における対向位置には、それぞれ固定部材34を介して、各パイプ13A〜13Jを受ける昇降部材35が取付けられている。各昇降部材35は側面視してL字形の部材であり、各々先端部分の一側面に、タッチセンサであるパイプ受け取り確認センサ36が固着されている。
また、各固定部材34には、対応する昇降部材35をガイドレール28のフランジ28aに沿って円滑走行させる内、外2個ずつのガイドローラ37が軸支されており、一方の固定部材34の元部端下部に減速位置検出近接スイッチ38が設けられ、また該固定部材34の元部端上部に、ガイドレール28側の近接センサの被検出部39が設けられている。
【0011】
ガイドレール28側の近接センサの種類としては、各第1〜第5段のパイプ棚11A〜11E、12A〜12Eの高さ位置で、昇降部材35を停止させる際の第1〜第5の定位置検出近接スイッチ40A〜40Eと、ガイドレール28の下端部付近に設けられて、始動前の昇降部材35を待機させる際の待機位置検出近接スイッチ41(図1参照)と、ガイドレール28の下端部のパイプ払い出し位置検出近接スイッチ42とがあり、各近接スイッチ40A〜40E、41、42は、ガイドレール28のウェブ28bの片面に設けられた長尺なセンサ取付けレール43の各所定高さ位置に固着されている。
なお、他方の昇降部材35の待機位置は、一方の昇降部材35の待機位置とは反対側のガイドレール28の上端部付近となる。また、他方の固定部材34に減速位置検出近接スイッチ38がなくて、しかもガイドレール28に、他方の固定部材34側の昇降高さを検知する第1〜第5の定位置検出近接スイッチがないのは、2つの固定部材34が無端チェーン33の対向位置に配置されているので、一方の高さ位置が分かれば、パイプ倉庫10の制御系において、自ずと他方の位置も知れるという理由による。勿論、他方の固定部材34側に、これらの第1〜第5の定位置検出近接スイッチを取付けてもよい。
【0012】
図1、図2に示すように、連結梁28d〜28eの両端部の表、裏面には、先へ向かって下方傾斜し、かつ下降中の昇降部材35と櫛歯梳き状態になることにより、昇降部材35の上面からパイプ13A〜13Jを払い出す、合計4対の払い出し部材44の元部が片持ち支持されている。
また、エレベータ14の両側方に配設された2本の中柱17の下部と、搬出コンベア15の上縁部両側との間には、払い出し部材44を側方から包み込むように、下方へ傾斜した断面横L字形の鋼材からなる落下シュート45が横架されている。払い出し部材44により払い出されたパイプ13A〜13Jは、払い出し部材44の先端から落下シュート45に落下して転動し、搬出コンベア15へと送り込まれる。
なお、図1に示すように、払い出し部材44及び落下シュート45の傾斜角度は小さく、かつ短距離を1回だけ落下するだけなので、払い出し部材44から落下シュート45、そして搬出コンベア15にパイプ13A〜13Jが送られる際の落下音、衝撃振動及び損傷は比較的小さい。
【0013】
搬出コンベア15から外部に搬出されたパイプ13A〜13Jは、使用寸法に裁断されて後工程へ送り込まれる。その際、発生した残材は、一旦、搬出コンベア15によりパイプ倉庫10内に戻される。同じく図1、図2に示すように、搬出コンベア15の一側方(ここでは図1右側)には、床面に配設されたレール46上を走行する車輪47aが付いた手押し式の残材台車47が配備されている。そのコンベア位置において、一側方へ傾斜する図外の払い出し板を搬出コンベア15のローラ間から突出させることにより、残材台車47上に払い出す。残材が一定分量だけ溜まったら、残材台車47を外部へ引き出して取り出す。
なお、残材台車47の本体である厚肉な載置板48の上面は、パイプ13A〜13Jの転動による落下を防ぐために把手49側へ下方傾斜しており、またレール46の両端には、車輪47aが当接するストッパ50が配設されている。
【0014】
図1に示すように、棚付け用架台100の両側端付近には、第1〜第5段のパイプ棚11A〜11E、12A〜12Eに、所定のパイプ13A〜13Jを供給するパイプ搬入手段51A〜51Jが、上下5段ずつ配設されている。各段のパイプ搬入手段51A〜51Jは、それぞれ先部が内側へ屈曲した一対のパイプ受け部材52A〜52Jを有している。
左、右側のパイプ受け部材52A〜52E、52F〜52Jの長さは、それぞれ搬入するパイプ13A〜13Jの直径に合わせて、上段のものほど短くなっている。また、図4に示すように、各パイプ受け部材52A〜52Jの元部付近の側面には、一対の長孔66a及び一対のピン65を介して内側への突出高さを調整可能な正面視して菱形のパイプストッパ66が設けられている。
各パイプ受け部材52A〜52Jが上方回動される際に、パイプストッパ66により停止されていたパイプ13A〜13Jが、各パイプストッパ66を乗り上げて、対応する第1〜第5段のパイプ棚11A〜11E、12A〜12E上に飛ばされる。なお、パイプストッパ66の突出高さを調整することにより、パイプ13A〜13Jの飛移距離を、諸条件に合わせて任意に変更できる。
以下、図4、図5を参照して、各パイプ搬入手段51A〜51Jを、左側の第1段のパイプ搬入手段51Aを例に詳細に説明する。
【0015】
図4、図5に示すように、横梁54と4本の棚枠11aとの連結部付近上には、それぞれ横梁54側の端部上に軸受55を有する座板56が取付けられており、また4本のうち一端側に配置された棚枠11aの連結部付近の一側面には、平面視してコの字形のブラケット57に元部が固着されている。ブラケット57の二股部にピン58を介して、受け部材回動手段の一例である油圧シリンダ59のヘッド部が軸着されており、そのロッド59aには、回動軸53の軸受55付近に固着された操作レバー60の先端部が軸着されている。
油圧シリンダ59のロッド59aを引き込ませると、操作レバー60を介して回動軸53が回動し、これにより各パイプ受け部材52Aが、略90°だけ外側へ下方回動する。その後、天井クレーンのフックに掛止された二股状のパイプ吊り具61が下降してきて、パイプ吊り具61に両端部だけが掛止されたパイプ13A〜13Jの何れかが、パイプ受け部材52Aに受け渡される。なお、符号62は油圧シリンダ59上に設けられたパイプ受け取り検知センサである。
また、図1に示すように、架台左右側の最下段の棚枠11a、12aには、外方へ延びて上方の各パイプ受け部材52A〜52E、52F〜52Jから落下したパイプ13A〜13E、13F〜13Jを受け取る横長板状の落下事故防止棚63が、図外のブラケット及び回動軸64を介して、90°だけ架台内、外方向へ回動可能に軸着されている。落下事故防止棚63は、90°だけ下方回動したときに、その元部が、棚枠11aの下面に固着された支持板67に支持される。
【0016】
続いて、本発明の一実施の形態に係るパイプ倉庫10の動作を説明する。
まず、図4、図5を参照して、各第1〜第5段のパイプ棚11A〜11E、12A〜12Eへのパイプ13A〜13Jの搬入時の動作を説明する。
各パイプ搬入手段51A〜51Jにおいて、油圧シリンダ59のロッド59aを引き込ませて、操作レバー60を内側へ回動させることにより、パイプ受け部材52A〜52Jを回動軸53を中心にして外方へ下方回動させる。
その後、天井クレーンによりパイプ吊り具61を下降してきて、パイプ受け部材52A〜52Jに、対応するパイプ13A〜13Jを受け渡す。受け渡されたパイプ13A〜13Jは、パイプ受け部材52A〜52Jの先部の傾斜面に沿って一旦パイプストッパ66により停止される。
【0017】
それから、油圧シリンダ59のロッド59aを突出させると、パイプ受け部材52A〜52Jが、回動軸53を中心にして架台内側へ上方回動し、パイプ受け部材52A〜52Jが閉じると同時に、パイプ13A〜13Jが、パイプストッパ66を飛び越えるようにして、棚枠11a〜11e、12a〜12e上の好ましい位置まで飛移する。
このパイプ搬入時は、作業者が落下事故防止棚63を架台外側へ下方回動させておく。これにより、作業中、仮に落下してきたパイプ13A〜13Jを架台下方で受け止めることができる。なお、落下事故防止棚63の設置高さを、人間の身長より低くすれば、その危険な作業エリア内への人の立入り規制用具を兼務できる。なお、落下事故防止棚63は、例えばロータリーアクチュエータや電動モータなどを用いて、自動回動させてもよい。
【0018】
次に、図1〜図3を参照して、所定のパイプ13A〜13Jの搬出時の動作を説明する。
まず、電動モータ31によりエレベータ14を作動させて、所望のパイプ13A〜13Jが収納されている第1〜第5段のパイプ棚11A〜11E、12A〜12Eの高さ位置まで、ガイドレール28の待機位置にあった左右何れかの昇降部材35を移動させる。その高さ位置の確認は、減速位置検出近接スイッチ38により減速位置を検出してからの電動モータ31の減速後、第1〜第5の定位置検出近接スイッチ40A〜40Eにより被検出部39を検出することにより行なう。
【0019】
それから、対応するパイプ切り出し手段18A〜18Jのロータリーアクチュエータ25により、回動軸22を介して回動板24を180°回動させ、パイプ切り出し溝23に入った先頭のパイプ13A〜13Jを切り出して、待機中の昇降部材35に受け渡す。受け取りの確認は、パイプ受け取り確認センサ36により行なう。
続いて、電動モータ31により昇降部材35を払い出し部材44の下方まで下降させる。これにより、昇降部材35上のパイプ13A〜13Jが払い出し部材44により払い出され、落下シュート45を介して搬出コンベア15上に送り込まれる。それから、搬出コンベア15により外部の図示しないパイプ裁断ステージまで搬出され、所定寸法に裁断された後、残材だけが搬出コンベア15によりパイプ倉庫10内に戻されて、ローラ間から突出された払い出し板により、残材台車47上に払い出される。
【0020】
このように、パイプ切り出し手段18A〜18Jより切り出されたパイプ13A〜13Jを、昇降部材35から受け取ってエレベータ14により搬出コンベア15側へと下降させ、払い出し部材44により払い出すようにしたので、従来のパイプ落下通路から落下させるものに比べて、パイプ下降時における騒音や振動を減少できると共に、パイプ13A〜13Jの損傷を防止でき、しかも従来のように落下途中で通路に詰まることがなく、確実かつ円滑なパイプ下降の実現が図れる。
また、両側端に、各パイプ13A〜13Jを、第1〜第5段のパイプ棚11A〜11E、12A〜12Eへ供給するパイプ搬入手段51A〜51Jを配設したので、直径が異なるパイプ13A〜13Jを自動的に搬入、収納及び搬出できる。
【0021】
更に、エレベータ14として、無端チェーン33に昇降部材35を固着した縦長なチェーンコンベアを採用したので、エレベータ14の設計、パイプ倉庫10への組み付け及びメンテナンスが簡単で、比較的低コストで配備できる。
そして、エレベータ14を中心にして、左、右側パイプ棚群11、12を配設し、各第1〜第5段目のパイプ棚11A〜11E、12A〜12Eからパイプ13A〜13Jを、チェーンコンベア式のエレベータ14へ切り出すようにしたので、左、右側パイプ棚群11、12に一対のエレベータ14を配設しなくても、1台のエレベータ14により、左、右側パイプ棚群11、12からのパイプ13A〜13Jの下降ができ、設備コストをより低減できる。
また、一対の払い出し部材44によりそれぞれ外方へ払い出されたパイプ13A〜13Jを、左、右の落下シュート45を介して、エレベータ14の直下に配置された搬出コンベア15上に投下するようにしたので、各落下シュート45下に搬出コンベア15を設けなくても、1台の搬出コンベア15を有効に利用でき、設備コストを更に低減できる。
【0022】
以上、本発明の実施の形態を示したが、本発明はこれらに限定する必要はなく、要旨を逸脱しない範囲で設計変更などがあっても、本発明に含まれる。
例えば、本実施の形態では、左、右側パイプ棚群を、それぞれ5段式のパイプ棚としたが、これに限定しなくても、例えば2〜4段、6段以上のパイプ棚でもよい。そして各パイプ棚に収納されるパイプは、直径が異なるものに限定しなくても、異素材、長さが異なるものなど、品種の異なるパイプでも、全く同一のパイプでもよい。
また、本実施の形態では、回動板として円板状のものを採用したが、これに限定しなくても、例えば三角形、四角形以上の多角形、楕円形などでもよい。更に、回動板に形成されるパイプ切り出し溝の形成個数は、1つでなくても数個としてもよい。但し、その場合には、昇降部材を大型のものにする必要がある。
【0023】
本実施の形態では、エレベータとしてチェーンコンベア式のものを採用したが、これに限定しなくても、例えば送りねじ式やウインチ式など、その他どのような形式のエレベータでもよい。
本実施の形態では、中央下部内に配置されたパイプ搬出用の搬出コンベアとして、ローラコンベアを採用したが、これに限定しなくても、例えばベルトコンベアなどでもよい。
本実施の形態では、エレベータの下部両側に配設された払い出し部材により払い出されたパイプを、落下シュートを介して、搬出コンベアに投下させるようにしたが、これに限定しなくても、例えばそれぞれの払い出し部材の先端下方に搬出コンベアを配設するなどして、払い出されたパイプを、直接、搬出コンベア上に投下させるようにしてもよい。
【0024】
本実施の形態では、回動板の回動手段として、ロータリーアクチュエータを採用したが、これに限定しなくても、例えば電動モータなどの他の駆動源でもよい。
本実施の形態では、両側端の下部付近に、各パイプ受け部材から落下したパイプを受け取る落下事故防止棚を設けたが、これを省略してもよい。
【0025】
【発明の効果】
請求項1〜3記載のパイプ倉庫においては、このようにパイプ切り出し手段より切り出されたパイプを昇降部材により受け取り、それからエレベータを用いて受け取り姿勢のまま安全に下降させ、払い出し部材により払い出して、搬出コンベア上に投下するようにしたので、パイプ下降時における騒音や振動を減少でき、かつパイプの損傷を防止でき、しかも落下途中で詰まることなく、確実かつ円滑にパイプを下降できる。
また、エレベータを中央にして、左、右側パイプ棚群を配設することにより、各パイプ棚から、一対の昇降部材を無端チェーン構造体により往復昇降させるエレベータへパイプを切り出すようにしたので、左、右側パイプ棚群に1台ずつエレベータを設けなくても、1台のエレベータを有効に利用でき、設備コストをより低減できる。
そして、このパイプ倉庫においては、エレベータの両側方に複数段のパイプ搬入手段を配設したので、それぞれのパイプ棚に個別に対応するパイプを搬入できる。
また、パイプ受け部材に受け取られたパイプは、パイプ受け部材の元部付近に設けられ、かつ高さ調整可能なパイプストッパにより一旦止められ、その後、受け部材回動手段によるパイプ受け部材の内側への回動時に、パイプ棚上に投げ込まれるので、諸条件に合わせて、対応するパイプ棚上の任意位置までパイプを飛移できる。
特に、請求項2記載のパイプ倉庫においては、エレベータとして、無端チェーンに昇降部材を固着したチェーンコンベア式のものを採用したので、エレベータの設計、パイプ倉庫への組み付け及びメンテナンスが簡単で、比較的低コストで配備できる。
また、一対の払い出し部材によりそれぞれ外方へ払い出されたパイプを、左、右の落下シュートを介して、エレベータの下方に設けられた搬出コンベアに投下するようにしたので、各落下シュートの下端下方に搬出コンベアを配設しなくてもよく、設備コストを更に低減できる。
【0026】
更に、請求項3記載のパイプ倉庫においては、パイプ搬入時に、落下事故防止棚を外側へ下方回動させるようにしたので、作業中、仮に落下してきたパイプを下方で受け止めできる。また、落下事故防止棚の設置高さを、人間の身長より低くすれば、危険な作業エリア内への立入り規制ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るパイプ倉庫の正面図である。
【図2】同側断面図である。
【図3】エレベータの拡大正面図である。
【図4】パイプ搬入手段の要部拡大正面図である。
【図5】パイプ搬入手段の要部拡大平面図である。
【符号の説明】
10:パイプ倉庫、11:左側パイプ棚群、11A:第1段のパイプ棚、11B:第2段のパイプ棚、11C:第3段のパイプ棚、11D:第4段のパイプ棚、11E:第5段のパイプ棚、11a〜11e:棚枠、12 右側パイプ棚群、12A 第1段のパイプ棚、12B 第2段のパイプ棚、12C 第3段のパイプ棚、12D 第4段のパイプ棚、12E 第5段のパイプ棚、12a〜12e:棚枠、13A〜13J:パイプ、14:エレベータ、15:搬出コンベア、16:外柱、17:中柱、18A〜18J:パイプ切り出し手段、19:横梁、20:ブラケット、21:軸受、22:回動軸、22a、22b:カップリング、23:パイプ切り出し溝、24:回動板、25:ロータリーアクチュエータ(回動板の駆動手段)、26:ブラケット、27:天井梁、28:ガイドレール、28a:フランジ、28b:ウェブ、28c〜28f:連結梁、29:上側スプロケット、29a:回転軸、29c:カップリング、30:軸受、31:電動モータ(エレベータ駆動手段)、31a チェーン式動力伝達構造体、32:下側スプロケット、32a:回転軸、33:無端チェーン、34:固定部材、35:昇降部材、36:パイプ受け取り確認センサ、37:ガイドローラ、38:減速位置検出近接スイッチ、39:被検出部、40A:第1の定位置検出近接スイッチ、40B:第2の定位置検出近接スイッチ、40C:第3の定位置検出近接スイッチ、40D:第4の定位置検出近接スイッチ、40E:第5の定位置検出近接スイッチ、41:待機位置検出近接スイッチ、42:パイプ払い出し位置検出近接スイッチ、43:センサ取付けレール、44:払い出し部材、45:落下シュート、46:レール、47:残材台車、47a:車輪、48:載置板、49:把手、50:ストッパ、51A〜51J:パイプ搬入手段、52A〜52J:パイプ受け部材、53:回動軸、54:横梁、55:軸受、56:座板、57:ブラケット、58:ピン、59:油圧シリンダ(受け部材回動手段)、59a:ロッド、60:操作レバー、61:パイプ吊り具、62:パイプ受け取り検知センサ、63:落下事故防止棚、64:回動軸、65:ピン、66 パイプストッパ、66a:長孔、67:支持板、100:棚付け用架台
Claims (3)
- 搬出コンベアの上方に設けられて、両側にパイプ載置用の昇降部材が昇降可能に配置されたエレベータと、
該エレベータの両側方に配設されて、前記エレベータ側へ下方傾斜した複数段のパイプ棚をそれぞれ有する一対のパイプ棚群と、
前記各段のパイプ棚の下端部付近に配設されて、周縁部にパイプ切り出し溝が形成された回動板及び該回動板の回動手段を有し、切り出された前記パイプを前記昇降部材に受け渡す複数のパイプ切り出し手段と、
前記エレベータの下部付近の両側方に設けられて、下降してきた前記昇降部材に載置されているパイプを、前記搬出コンベアへ払い出す払い出し部材とを備え、
しかも、前記各段のパイプ棚の上端部付近に、該各パイプ棚に前記所定のパイプを供給するパイプ搬入手段がそれぞれ配設され、
前記各パイプ搬入手段が、前記パイプ棚の上端部付近に軸着されたパイプ受け部材と、該パイプ受け部材の受け部材回動手段とを有し、また前記パイプ受け部材の元部付近には、内側への突出高さを調整可能なパイプストッパが設けられていることを特徴とするパイプ倉庫。 - 前記エレベータが、上、下側スプロケットと、該上、下側スプロケット間に架け渡された無端チェーンと、該無端チェーンを往復周回させるエレベータ駆動手段とを有し、前記無端チェーンの対向位置に一対の前記昇降部材が固着され、
また、外側へ下方傾斜した前記各払い出し部材の下端下方に、払い出された前記パイプを、前記エレベータ下の1台の搬出コンベアに集める一対の落下シュートを配設したことを特徴とする請求項1記載のパイプ倉庫。 - 前記最下段のパイプ搬入手段の下方には、外方へ延びて前記各パイプ受け部材から落下したパイプを受け取る落下事故防止棚が、内、外方向へ回動可能に取付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のパイプ倉庫。
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