JP3758667B1 - イオン源 - Google Patents

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Abstract

【課題】 傍熱陰極型イオン源において、プラズマ生成効率の向上、ガスの利用効率の向上およびイオン源の長寿命化を可能にする。
【解決手段】 プラズマ生成容器4のカソード用開口20内に筒状のカソードホルダー22を、その先端がプラズマ生成容器4の内壁面5よりも外側に位置するように挿入し、カソードホルダー22内にカソード26を、その前面28が内壁面5よりも外側に位置するように保持している。カソードホルダー22内に、カソード26との間に空間をあけてその側面を取り囲む筒状の第1熱シールド36を設けており、その先端は内壁面5よりも外側に位置している。カソード26の後方にフィラメント38が設けられており、カソードホルダー22とプラズマ生成容器4との間は電気絶縁物40で塞がれている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、フィラメントによってカソードを加熱して当該カソードから、アノードを兼ねるプラズマ生成容器内に、プラズマ生成用の熱電子を放出させる構造のイオン源に関する。このようなイオン源は、傍熱陰極型イオン源とも呼ばれる。
この種の従来のイオン源は、プラズマ生成容器内に、プラズマ生成容器との間に電気絶縁用の隙間をあけて、筒状のカソードホルダーを挿入し、このカソードホルダーの先端にカソードを保持し、かつカソードホルダー内にカソードを加熱するフィラメントを配置した構造をしている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許第2995388号公報(段落0009、図6) 特開平10−134728号公報(段落0009、図7) 米国特許公開公報US2004/0061068A1(段落0021、図1)
上記イオン源においては、プラズマ生成容器内に筒状のカソードホルダーが挿入されていて、少なくとも当該カソードホルダーの体積分はプラズマの生成領域が狭くなるため、その分、プラズマ生成容器内におけるプラズマ生成用のガスの電離効率が低下してプラズマの生成効率が悪く、しかもプラズマの体積も減少し、ひいては当該イオン源から引き出すイオンビームのビーム電流を大きくするのが難しい。
また、カソードホルダーとプラズマ生成容器との間の隙間は、プラズマ生成用のガスの抜け道になるために、当該ガスの利用効率が低下する。プラズマ生成用のガスは一般的に高価であるので、当該ガスの利用効率が低下すると、イオン源の運転コストが嵩む。また、ガスが漏れ出ることによってプラズマ生成容器周辺の構造物を汚染し、イオン源の寿命を短くする。
更に、カソードはイオン源の運転時間と共に消耗するために、カソードの軸方向の長さ(即ち厚さ)は大きい方が、カソードひいてはイオン源の長寿命化の点で有利であるけれども、従来のイオン源ではカソードを長くするのは難しい。即ち、カソードを長くすると、カソードの側面からの輻射による熱損失が大きくなるので、カソードの加熱が難しくなる。しかも、カソードホルダーが高温に加熱されてそこから熱電子が放出されて、カソードホルダーとプラズマ生成容器との間で不要な放電(アーク放電)が生じて損失となると共に、プラズマ生成容器内が汚れやすくなる。
そこでこの発明は、プラズマ生成効率の向上、ガスの利用効率の向上およびイオン源の長寿命化を可能にすることを主たる目的としている。
この発明に係る第1のイオン源は、フィラメントによってカソードを加熱して当該カソードから、アノードを兼ねるプラズマ生成容器内に熱電子を放出させる構造のイオン源であって、前記プラズマ生成容器の壁面に設けられたカソード用開口と、カソードを保持する筒状のカソードホルダーであって、その先端部が前記プラズマ生成容器の外部から前記カソード用開口内に、プラズマ生成容器との間に間をあけて挿入されており、しかも当該カソードホルダーの先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードホルダーと、前記カソードホルダー内に保持されたカソードであって、その前面がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードと、前記カソードホルダー内に、カソードの側面との間に空間をあけてカソードの側面を一重以上に取り囲むように設けられた筒状の熱シールドであって、その先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置している第1熱シールドと、前記カソードホルダー内に設けられていて、前記カソードをその後面から加熱するフィラメントと、前記カソード用開口内に設けられていて、前記カソードホルダーとプラズマ生成容器との間を塞いでいる電気絶縁物と、前記カソードホルダー内にあって、フィラメントとの間に空間をあけてフィラメントの後面を少なくとも二重に覆うように設けられた第2熱シールドと、前記フィラメントの二つの脚部を囲むものであってその先端に前記第2熱シールドを支持している筒状部とを備えており、前記カソードは、その後部に雄ねじ部が形成されていて、この雄ねじ部およびそれと螺合するナットによって、前記カソードホルダー内に設けられた保持部に着脱可能に保持されていることを特徴としている。
上記第1および下記第3のイオン源によれば、カソードホルダーおよびカソードは、プラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているので、プラズマ生成容器内におけるプラズマ生成領域を広くして、プラズマ生成効率を向上させることができる。
また、カソードホルダーとプラズマ生成容器との間を電気絶縁物で塞いでいるので、プラズマ生成用のガスの漏れを防止して、ガスの利用効率を向上させることができる。
更に、第1熱シールドによって、カソードの側面からの輻射による熱損失を抑えることができるので、カソードの長さを大きくすることができる。それによって、カソードひいてはイオン源の長寿命化を図ることが可能になる。
この発明に係る第2のイオン源は、フィラメントによってカソードを加熱して当該カソードから、アノードを兼ねるプラズマ生成容器内に熱電子を放出させる構造のイオン源であって、前記プラズマ生成容器の壁面に設けられたカソード用開口と、カソードを保持する筒状のカソードホルダーであって、その先端部が前記プラズマ生成容器の外部から前記カソード用開口内に、プラズマ生成容器との間に隙間をあけて挿入されており、しかも当該カソードホルダーの先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードホルダーと、前記カソードホルダー内に保持されたカソードであって、その前面がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードと、前記カソードホルダー内に、カソードの側面との間に空間をあけてカソードの側面を一重以上に取り囲むように設けられた筒状の熱シールドであって、その先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置している第1熱シールドと、前記カソードホルダー内に設けられていて、前記カソードをその後面から加熱するフィラメントと、前記カソードホルダー内にあって、フィラメントとの間に空間をあけてフィラメントの後面を少なくとも二重に覆うように設けられた第2熱シールドと、前記フィラメントの二つの脚部を囲むものであってその先端に前記第2熱シールドを支持している筒状部とを備えており、かつ前記カソードホルダーとプラズマ生成容器との間の隙間の部分に、断面が折れ曲がった迷路構造部が形成されており、前記カソードは、その後部に雄ねじ部が形成されていて、この雄ねじ部およびそれと螺合するナットによって、前記カソードホルダー内に設けられた保持部に着脱可能に保持されていることを特徴としている。
上記第2および下記第4のイオン源によれば、上記第1のイオン源と同様の作用によって、プラズマ生成効率の向上およびイオン源の長寿命化が可能になる。
また、カソードホルダーとプラズマ生成容器との間の隙間の部分に形成されている迷路構造部によって、ガスのコンダクタンスを低下させることができるので、プラズマ生成用のガスの漏れを抑制して、ガスの利用効率を向上させることができる。
この発明に係る第3のイオン源は、フィラメントによってカソードを加熱して当該カソードから、アノードを兼ねるプラズマ生成容器内に熱電子を放出させる構造のイオン源であって、前記プラズマ生成容器の壁面に設けられたカソード用開口と、カソードを保持する筒状のカソードホルダーであって、その先端部が前記プラズマ生成容器の外部から前記カソード用開口内に、プラズマ生成容器との間に間をあけて挿入されており、しかも当該カソードホルダーの先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードホルダーと、前記カソードホルダー内に保持されたカソードであって、その前面がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードと、前記カソードホルダー内に、カソードの側面との間に空間をあけてカソードの側面を一重以上に取り囲むように設けられた筒状の熱シールドであって、その先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置している第1熱シールドと、前記カソードホルダー内に設けられていて、前記カソードをその後面から加熱するフィラメントと、前記カソード用開口内に設けられていて、前記カソードホルダーとプラズマ生成容器との間を塞いでいる電気絶縁物とを備えており、前記フィラメントは、丸棒状のフィラメント材を前記カソードの後面に沿うように曲げた形状の加熱部を有しており、しかも当該加熱部の、前記カソードの後面に対向する部分は、丸棒状のフィラメント材を平坦に加工した平坦面になっていることを特徴としている。
この発明に係る第4のイオン源は、フィラメントによってカソードを加熱して当該カソードから、アノードを兼ねるプラズマ生成容器内に熱電子を放出させる構造のイオン源であって、前記プラズマ生成容器の壁面に設けられたカソード用開口と、カソードを保持する筒状のカソードホルダーであって、その先端部が前記プラズマ生成容器の外部から前記カソード用開口内に、プラズマ生成容器との間に隙間をあけて挿入されており、しかも当該カソードホルダーの先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードホルダーと、前記カソードホルダー内に保持されたカソードであって、その前面がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードと、前記カソードホルダー内に、カソードの側面との間に空間をあけてカソードの側面を一重以上に取り囲むように設けられた筒状の熱シールドであって、その先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置している第1熱シールドと、前記カソードホルダー内に設けられていて、前記カソードをその後面から加熱するフィラメントとを備えており、かつ前記カソードホルダーとプラズマ生成容器との間の隙間の部分に、断面が折れ曲がった迷路構造部が形成されており、前記フィラメントは、丸棒状のフィラメント材を前記カソードの後面に沿うように曲げた形状の加熱部を有しており、しかも当該加熱部の、前記カソードの後面に対向する部分は、丸棒状のフィラメント材を平坦に加工した平坦面になっていることを特徴としている。
上記第3および第4のイオン源は、前記カソードホルダー内にあって、フィラメントとの間に空間をあけてフィラメントの後面を少なくとも二重に覆うように設けられた第2熱シールドと、前記フィラメントの二つの脚部を囲むものであってその先端に前記第2熱シールドを支持している筒状部とを更に備えていても良い。
請求項1に記載の発明によれば、次の効果を奏する。
(a)カソードホルダーおよびカソードは、プラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているので、プラズマ生成容器内に筒状のカソードホルダーを挿入している従来のイオン源に比べて、プラズマ生成容器内におけるプラズマ生成領域を広くして、プラズマ生成効率を向上させることができる。
(b)その結果、引き出すイオンビームのビーム電流を大きくすることが容易になる。また、ビーム電流を大きくする代わりに、あるいは大きくしつつ、プラズマ生成用の投入電力およびガス量を減少させることもできる。
(c)カソードホルダーの側面がプラズマに曝されるのを防止して、プラズマ中のイオンのスパッタによるカソードホルダーからの不純物発生を抑制することができるので、プラズマ生成容器内等が汚れにくくなり、その結果、イオン源の長寿命化を図ることができる。
(d)カソードホルダーとプラズマ生成容器との間を電気絶縁物で塞いでいるので、プラズマ生成用のガスの漏れを防止して、ガスの利用効率を向上させることができる。その結果、ガスの使用量を減らして、イオン源の運転コストを低減することができる。また、ガスが漏れ出ることによるプラズマ生成容器周辺の構造物の汚染を防止することができ、これもイオン源の長寿命化に寄与する。
(e)第1熱シールドによって、カソードの側面からの輻射による熱損失を抑えることができるので、カソードの長さを大きくすることができる。それによって、カソードひいてはイオン源の長寿命化を図ることが可能になる。
(f)少なくとも二重の第2熱シールドによって、フィラメントからの輻射による熱損失を減少させることができるので、フィラメントによるカソードの加熱効率をより高めることができる。
(g)カソードをその雄ねじ部およびナットによって着脱可能に保持しているので、カソードの消耗時等にカソードを容易に交換することができる。しかも、雄ねじ部では、嵌合等に比べて、ナットひいてはカソードホルダーに対する接触面積が小さくなるので、カソードからカソードホルダーへの伝導による熱損失を低減して、カソードの加熱効率をより高めることができる。
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明を構成する電気絶縁物の代わりに迷路構造部を設けているので、請求項1に記載の発明の上記(a)〜(c)、(e)〜(g)に示す効果と同様の効果を奏し、かつ次の効果を奏する。
(h)カソードホルダーとプラズマ生成容器との間の隙間の部分に形成されている迷路構造部によって、ガスのコンダクタンスを低下させることができるので、プラズマ生成用のガスの漏れを抑制して、ガスの利用効率を向上させることができる。その結果、ガスの使用量を減らして、イオン源の運転コストを低減することができる。また、ガスが漏れ出ることによるプラズマ生成容器周辺の構造物の汚染を抑制することができ、これもイオン源の長寿命化に寄与する。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の上記(a)〜(e)に示す効果と同様の効果を奏し、かつ次の効果を奏する。
(i)フィラメントの加熱部の、カソード後面に対向する部分が平坦面になっているので、単なる丸棒状のフィラメントに比べて、フィラメントからカソードへ向けての熱電子の放出面積が大きくなり熱電子放出量を大きくすることができる。その結果、例えば、単なる丸棒状のフィラメントと同等の熱電子放出量を得る場合は、フィラメントの温度を下げてフィラメントの寿命を長くすることができる。また、カソードとフィラメントとの間の距離を大きくすることもできるので、フィラメントやカソード周辺部材の熱膨張に対しても動作が安定になる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の上記(a)〜(c)、(e)および請求項2に記載の発明の上記(h)に示す効果と同様の効果を奏し、かつ請求項3に記載の発明の上記(i)に示す効果と同様の効果を奏する。
請求項5に記載の発明によれば、請求項3または4に記載の発明の上記効果に加えて更に、請求項1に記載の発明の上記(f)に示す効果と同様の効果を奏する。
図1は、この発明に係るイオン源の一実施形態を示す断面図である。図2は、図1中のC部の拡大図である。
このイオン源2は、フィラメント38によってカソード26を加熱して当該カソード26から、アノードを兼ねるプラズマ生成容器4内に熱電子を放出させる構造をしており、傍熱陰極型イオン源とも呼ばれる。
プラズマ生成容器4は、例えば直方体状をしていて、その内部には、例えばガス導入口8を通して、プラズマ6の生成用の所望のガス(蒸気の場合を含む)10が導入される。このガス10は、所望の元素(例えば、B、P、As 等のドーパント)を含むガスである。より具体例を挙げれば、BF3 、PH3 、AsH3 、B26 等の原料ガスを含むガスである。
プラズマ生成容器4の一つの壁面(長辺壁の一つ)には、イオンビーム14の引き出し用のイオン引出し口12が設けられている。このイオン引出し口12は、例えば、当該壁面の長手方向に細長いスリット状をしている。
プラズマ生成容器4の他の一つの壁面(短辺壁の一つ)には、カソード26を位置させるためのカソード用開口20が設けられている。カソード用開口20の正面形状は、この例では円形をしている。このカソード用開口20を有する壁面と対向する壁面の内側には、この例では、カソード26と対向させて、プラズマ6中の電子を反射させる反射電極16が、電気絶縁物18を介して保持されている。
反射電極16は、この例のようにどこにも接続せずに浮遊電位にしても良いし、カソード用の支持体50(換言すれば、アーク電源60の負極端)に接続してカソード電位にしても良い。
プラズマ生成容器4内には、この例のように、プラズマ6の生成・維持用に、プラズマ生成容器4の外部に設けられた磁石(図示省略)から、カソード26と反射電極16とを結ぶ軸に沿う磁界80を印加するようにしても良い。但し磁界80の向きは、図示とは逆でも良い。
カソード26を保持する筒状(この例では円筒状)のカソードホルダー22の先端部が、プラズマ生成容器4の外部からカソード用開口20内に、プラズマ生成容器4との間に間をあけて挿入されている。但し当該間は、この例では、電気絶縁物40によって塞がれている。このカソードホルダー22の先端は、この例では、プラズマ生成容器のカソード用開口20周りの内壁面5よりもプラズマ生成容器4外側に位置している。但し、カソードホルダー22の先端を、内壁面5と同一面に位置させても良い。このカソードホルダー22は、例えば、モリブデン(Mo )から成る。後述する保持部24、第1熱シールド36、第熱シールド44、第熱シールド46、支持体50、52およびフィラメント電流導体54も同様である。
カソードホルダー22内には、この例では柱状(より具体的には円柱状)のカソード26が、その側面とカソードホルダー22との間に空間をあけて保持されている。このカソード26の前面28は、この例では、プラズマ生成容器4のカソード用開口20周りの内壁面5よりもプラズマ生成容器4外側に位置している。但し、カソード26の前面28を、内壁面5と同一面に位置させても良い。このカソード26は、例えばタングステン(W)から成る。後述するナット34、フィラメント38も同様である。
カソード26は、この例では、その後部に雄ねじ部32が形成されていて、この雄ねじ部32およびそれと螺合するナット34によって、カソードホルダー22内の中間部に設けられた保持部24に着脱可能に保持されている。
カソードホルダー22内には、カソード26の側面との間に空間をあけてカソード26の側面を一重以上に(この例では二重に)取り囲むように、筒状(この例では円筒状)の第1熱シールド36が設けられている。各第1熱シールド36の先端は、この例では、プラズマ生成容器4のカソード用開口20周りの内壁面5よりも、プラズマ生成容器4外側に位置している。但し、各第1熱シールド36の先端は、内壁面5と同一面に位置させても良い。各第1熱シールド36は、この例では、カソードホルダー22の保持部24に、それと一体物として立設されている。
カソードホルダー22内であってカソード26の後面30の近傍には、カソード26をその後面30から加熱するフィラメント38が設けられている。このフィラメント38のより具体例は後述する。
プラズマ生成容器4のカソード用開口20内には、カソードホルダー22とプラズマ生成容器4との間を塞いでいる電気絶縁物40が設けられている。この電気絶縁物40は、例えば、窒化ホウ素(BN)から成る。後述する熱絶縁物48も同様である。
電気絶縁物40は、この例では、プラズマ生成容器4内側に位置していてカソード26の先端部を環状に取り囲む部分に、断面が折れ曲がった迷路構造部42を有している。迷路構造部42は、より具体的には、図2に示すように、鉤状に折れ曲がった隙間43を、内周側および外周側に有している。
更にこの例では、カソードホルダー22内に、フィラメント38との間に空間をあけてフィラメント38の側面を一重以上に(この例では一重に)取り囲むように、筒状(この例では円筒状)の第熱シールド44が設けられている。この第熱シールド44は、この例では、カソードホルダー22の保持部24に、それと一体物として立設されている。
更にこの例では、カソードホルダー22内に、フィラメント38との間に空間をあけてフィラメント38の後面を一重以上に(この例では二重に)覆うように、第熱シールド46が設けられている。第熱シールド46は、この例では、筒状部47の先端に、それと一体で設けられている。筒状部47は、図1、図4、図5を総合すれば分かるように、フィラメント38の二つの脚部70(または76)を囲んでいる。
カソードホルダー22は支持体50によって、フィラメント38はその二つの脚部70(または76)を介して二つのフィラメント電流導体54によって(いずれも一方のみが図に表れている)、第熱シールド46は筒状部47および支持体52を介して一方のフィラメント電流導体54によって、それぞれ所定の位置に支持されている。
フィラメント38の両端、より具体的にはその二つの脚部70(または76)間には、フィラメント38を加熱するフィラメント電源56が接続されている。フィラメント38の一端と第3熱シールド46とは、支持体52および筒状部47を介して同電位にされている。フィラメント電源56は、図示例のように直流電源でも良いし、交流電源でも良い。
フィラメント38とカソード26との間には、フィラメント38から放出された熱電子をカソード26に向けて加速して、当該熱電子の衝撃によってカソード26を加熱する直流の加熱電源58が、カソードホルダー22等を介して、かつカソード26を正極側にして接続されている。
カソード26とプラズマ生成容器4との間には、カソード26から放出された熱電子を加速して、プラズマ生成容器4内に導入されたガス10を電離させると共にプラズマ生成容器4内でアーク放電を生じさせて、プラズマ6を生成する直流のアーク電源60が、プラズマ生成容器4を正極側にして接続されている。
上記イオン源2においては、フィラメント38によってカソード26を加熱してカソード26からプラズマ生成容器4内に熱電子を放出させて、当該熱電子を用いてプラズマ生成容器4内でアーク放電を生じさせて、プラズマ生成容器4内に導入されたガス10を電離させてプラズマ6を生成し、このプラズマ6から、イオン引出し口12を通して、電界の作用で、イオンビーム14を引き出すことができる。なお、イオン引出し口12の出口側近傍には、通常は、イオンビーム14の引き出し用の引出し電極が設けられる。
このイオン源2によれば、カソードホルダー22およびカソード26は、プラズマ生成容器4のカソード用開口20周りの内壁面5と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器4外側に位置しているので、プラズマ生成容器内に筒状のカソードホルダーを挿入している従来のイオン源に比べて、プラズマ生成容器4内におけるプラズマ生成領域の体積を増加させて、プラズマ生成効率を向上させることができる。換言すれば、カソードホルダー22の側面がプラズマ6に曝されるのを防止して、カソードホルダー22の側面との接触によるプラズマ6の損失面積を減少させることができるので、プラズマ生成効率を向上させることができる。
その結果、当該イオン源2から引き出すイオンビーム14のビーム電流を大きくすることが容易になる。また、ビーム電流を大きくする代わりに、あるいは大きくしつつ、プラズマ生成用の投入電力およびガス量を減少させることもできる。
また、カソードホルダー22の側面がプラズマ6に曝されるのを防止して、プラズマ6中のイオンのスパッタによるカソードホルダー22からの不純物発生を抑制することができるので、プラズマ生成容器4内等が汚れにくくなり、その結果、イオン源2の長寿命化を図ることができる。
また、カソードホルダー22とプラズマ生成容器4との間を電気絶縁物40で塞いでいるので、プラズマ生成用のガス10の漏れを防止して、ガス10の利用効率を向上させることができる。その結果、ガス10の使用量を減らして、イオン源2の運転コストを低減することができる。また、ガス10が漏れ出ることによるプラズマ生成容器周辺の構造物、例えば支持体50やフィラメント電流導体54を支持する碍子(図示省略)の汚染を防止することができ、これもイオン源2の長寿命化に寄与する。
更に、第1熱シールド36によって、カソード26の側面からの輻射による熱損失を抑えることができるので、カソード26の軸方向の長さを大きくすることができる。それによって、カソード26ひいてはイオン源2の長寿命化を図ることが可能になる。例えば、従来のイオン源では、カソードの厚さはせいぜい5〜8mm程度が限度であったけれども、このイオン源2ではカソード26の長さを例えば10〜15mm程度にすることも可能である。
更にこの実施形態では、電気絶縁物40が迷路構造部42を有しているので沿面距離が長くなり、当該電気絶縁物40の表面に導電性の不純物が付着して導電性の膜が形成されても、当該膜によってカソードホルダー22とプラズマ生成容器4との間で電気的短絡が発生しにくくなる。その結果、イオン源2のより長寿命化を図ることができる。
更に、第熱シールド44によって、フィラメント38からの輻射による熱損失を減少させることができるので、フィラメント38によるカソード26の加熱効率をより高めることができる。
また、第熱シールド46によって、フィラメント38からの輻射による熱損失を減少させることができるので、フィラメント38によるカソード26の加熱効率をより高めることができる。
また、カソード26をその雄ねじ部32およびナット34によって着脱可能に保持しているので、カソード26の消耗時等にカソード26を容易に交換することができる。しかも、雄ねじ部32では、線接触状態となって、嵌合等に比べて、ナット34ひいてはカソードホルダー22(より具体的にはその保持部24)に対する接触面積が小さくなるので、カソード26からカソードホルダー22への伝導による熱損失を低減して、カソード26の加熱効率をより高めることができる。
フィラメント38は、例えば図4に示す例のように、平板状でしかもカソード26の後面30に沿うように曲げられた形状の加熱部68を有するものとしても良い。加熱部68の両端は、二つの脚部70につながっている。
このようなフィラメント38を用いると、丸棒状のフィラメントに比べて、フィラメント38からカソード26へ向けての熱電子の放出面積が大きくなり熱電子放出量を大きくすることができる。その結果、例えば、丸棒状のフィラメントと同等の熱電子放出量を得る場合、フィラメント38の温度を下げてフィラメント38の寿命を長くすることができる。また、カソード26とフィラメント38との間の距離を大きくすることもできるので、フィラメント38やカソード26の周辺部材の熱膨張に対しても動作が安定になる。
フィラメント38は、例えば図5、図6に示す例のように、丸棒状のフィラメント材をカソード26の後面30に沿うように曲げた形状の加熱部72を有しており、しかも当該加熱部72は丸棒状のフィラメント材を平坦に加工(例えば切削加工)した平坦面74を有していて、当該平坦面74がカソード26の後面30に対向しているものとしても良い。即ち、加熱部72の部分であって、カソード26の後面に対向する部分は、平坦面74になっている。加熱部72の両端は二つの脚部76につながっている。
単なる丸棒状のフィラメントだと、その円形断面の一端付近しかカソード26の後面30に近接させることができずその他の部分とカソード間の電界は弱くなるので熱電子放出量が少ないのに対して、上記のようなフィラメント38を用いると、その平坦面74をカソード26の後面30に近づけて配置することができるので、単なる丸棒状のフィラメントに比べて、フィラメント38からカソード26へ向けての熱電子の放出面積が大きくなり熱電子放出量を大きくすることができる。その結果、例えば、単なる丸棒状のフィラメントと同等の熱電子放出量を得る場合、フィラメント38の温度を下げてフィラメント38の寿命を長くすることができる。また、カソード26とフィラメント38との間の距離を大きくすることもできるので、フィラメント38やカソード26の周辺部材の熱膨張に対しても動作が安定になる。
再び図1を参照して、この実施形態のように、カソードホルダー22の外周面であってプラズマ生成容器4外に位置する部分を覆う熱絶縁物48を設けておいても良い。この例では、電気絶縁物40から支持体50にかけてのカソードホルダー22の外周面の全面を熱絶縁物48で覆っている。この熱絶縁物48は、熱遮蔽物または保温材と呼ぶこともできる。図3に示す熱絶縁物48も同様である。この熱絶縁物48は、例えば、窒化ホウ素(BN)から成る。
このような熱絶縁物48を設けておくと、当該熱絶縁物48によって、カソードホルダー22からの輻射熱を減少させることができるので、カソード26の加熱効率をより高めることができると共に、カソードホルダー22の周辺部材、例えば支持体50等を余分に加熱せずに済み、当該周辺部材の熱膨張が減少して、カソード26とフィラメント38間の機械的な精度が維持され、フィラメント38からの熱電子放出がより安定する。
カソードホルダー22とプラズマ生成容器4との間を上記のような電気絶縁物40で塞ぐ代わりに、図3に示す実施形態のように、カソードホルダー22とプラズマ生成容器4との間の隙間62の部分に、断面が例えばジグザク状に折れ曲がった迷路構造部64を形成しておいても良い。図3の例では、カソードホルダー22の先端部の外周面に、カソードホルダー22とは別の迷路形成部材66を取り付けることによって迷路構造部64を形成しているけれども、カソードホルダー22の先端部自身を迷路形成部材66と同様の形状にして迷路構造部64を形成しても良い。
カソードホルダー22とプラズマ生成容器4との間の隙間の部分を、単に真っ直ぐな隙間にするのではなく、上記のような迷路構造部64を形成することによって、隙間62の部分におけるガスのコンダクタンスを低下させることができるので、プラズマ生成用のガス10の漏れを抑制して、ガス10の利用効率を向上させることができる。その結果、ガス10の使用量を減らして、イオン源2の運転コストを低減することができる。また、ガス10が漏れ出ることによるプラズマ生成容器周辺の構造物の汚染を抑制することができ、これもイオン源2の長寿命化に寄与する。
上記迷路構造部64を形成するカソードホルダー22側の迷路形成部材66を、電気絶縁物(例えば窒化ホウ素)で形成しておいても良い。そのようにすると、迷路構造部64の隙間62に導電性の不純物が付着して導電性の膜が形成され、更に当該膜が剥がれて薄片(フレーク)が形成されても、それによってカソードホルダー22とプラズマ生成容器4との間で電気的短絡が発生するのを防止することができる。その結果、イオン源2のより長寿命化を図ることができる。
図3に示す例のように、迷路形成部材66と熱絶縁物48とを、電気絶縁物および熱絶縁物を兼ねる材質、例えば窒化ホウ素(BN)から成る一体物で形成しても良い。あるいは、迷路形成部材66の内のフランジ部67と熱絶縁物48とを上記材質から成る一体物で形成しても良い。
この発明に係るイオン源の一実施形態を示す断面図である。 図1中のC部の拡大図である。 カソード周りの他の例を示す断面図である。 フィラメントの一例を示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図である。 フィラメントの他の例を示す図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図である。 図5に示すフィラメントの線D−Dに沿う拡大断面図である。
符号の説明
2 イオン源
4 プラズマ生成容器
5 内壁面
20 カソード用開口
22 カソードホルダー
26 カソード
32 雄ねじ部
34 ナット
36 第1熱シールド
38 フィラメント
40 電気絶縁物
42 迷路構造部
44 第熱シールド
46 第熱シールド
48 熱絶縁物
62 隙間
64 迷路構造部
68 加熱部
72 加熱部

Claims (5)

  1. フィラメントによってカソードを加熱して当該カソードから、アノードを兼ねるプラズマ生成容器内に熱電子を放出させる構造のイオン源であって、
    前記プラズマ生成容器の壁面に設けられたカソード用開口と、
    カソードを保持する筒状のカソードホルダーであって、その先端部が前記プラズマ生成容器の外部から前記カソード用開口内に、プラズマ生成容器との間に間をあけて挿入されており、しかも当該カソードホルダーの先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードホルダーと、
    前記カソードホルダー内に保持されたカソードであって、その前面がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードと、
    前記カソードホルダー内に、カソードの側面との間に空間をあけてカソードの側面を一重以上に取り囲むように設けられた筒状の熱シールドであって、その先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置している第1熱シールドと、
    前記カソードホルダー内に設けられていて、前記カソードをその後面から加熱するフィラメントと、
    前記カソード用開口内に設けられていて、前記カソードホルダーとプラズマ生成容器との間を塞いでいる電気絶縁物と
    前記カソードホルダー内にあって、フィラメントとの間に空間をあけてフィラメントの後面を少なくとも二重に覆うように設けられた第2熱シールドと、
    前記フィラメントの二つの脚部を囲むものであってその先端に前記第2熱シールドを支持している筒状部とを備えており、
    前記カソードは、その後部に雄ねじ部が形成されていて、この雄ねじ部およびそれと螺合するナットによって、前記カソードホルダー内に設けられた保持部に着脱可能に保持されていることを特徴とするイオン源。
  2. フィラメントによってカソードを加熱して当該カソードから、アノードを兼ねるプラズマ生成容器内に熱電子を放出させる構造のイオン源であって、
    前記プラズマ生成容器の壁面に設けられたカソード用開口と、
    カソードを保持する筒状のカソードホルダーであって、その先端部が前記プラズマ生成容器の外部から前記カソード用開口内に、プラズマ生成容器との間に隙間をあけて挿入されており、しかも当該カソードホルダーの先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードホルダーと、
    前記カソードホルダー内に保持されたカソードであって、その前面がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードと、
    前記カソードホルダー内に、カソードの側面との間に空間をあけてカソードの側面を一重以上に取り囲むように設けられた筒状の熱シールドであって、その先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置している第1熱シールドと、
    前記カソードホルダー内に設けられていて、前記カソードをその後面から加熱するフィラメントと
    前記カソードホルダー内にあって、フィラメントとの間に空間をあけてフィラメントの後面を少なくとも二重に覆うように設けられた第2熱シールドと、
    前記フィラメントの二つの脚部を囲むものであってその先端に前記第2熱シールドを支持している筒状部とを備えており、
    かつ前記カソードホルダーとプラズマ生成容器との間の隙間の部分に、断面が折れ曲がった迷路構造部が形成されており、
    前記カソードは、その後部に雄ねじ部が形成されていて、この雄ねじ部およびそれと螺合するナットによって、前記カソードホルダー内に設けられた保持部に着脱可能に保持されていることを特徴とするイオン源。
  3. フィラメントによってカソードを加熱して当該カソードから、アノードを兼ねるプラズマ生成容器内に熱電子を放出させる構造のイオン源であって、
    前記プラズマ生成容器の壁面に設けられたカソード用開口と、
    カソードを保持する筒状のカソードホルダーであって、その先端部が前記プラズマ生成容器の外部から前記カソード用開口内に、プラズマ生成容器との間に間をあけて挿入されており、しかも当該カソードホルダーの先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードホルダーと、
    前記カソードホルダー内に保持されたカソードであって、その前面がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードと、
    前記カソードホルダー内に、カソードの側面との間に空間をあけてカソードの側面を一重以上に取り囲むように設けられた筒状の熱シールドであって、その先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置している第1熱シールドと、
    前記カソードホルダー内に設けられていて、前記カソードをその後面から加熱するフィラメントと、
    前記カソード用開口内に設けられていて、前記カソードホルダーとプラズマ生成容器との間を塞いでいる電気絶縁物とを備えており、
    前記フィラメントは、丸棒状のフィラメント材を前記カソードの後面に沿うように曲げた形状の加熱部を有しており、しかも当該加熱部の、前記カソードの後面に対向する部分は、丸棒状のフィラメント材を平坦に加工した平坦面になっていることを特徴とするイオン源。
  4. フィラメントによってカソードを加熱して当該カソードから、アノードを兼ねるプラズマ生成容器内に熱電子を放出させる構造のイオン源であって、
    前記プラズマ生成容器の壁面に設けられたカソード用開口と、
    カソードを保持する筒状のカソードホルダーであって、その先端部が前記プラズマ生成容器の外部から前記カソード用開口内に、プラズマ生成容器との間に隙間をあけて挿入されており、しかも当該カソードホルダーの先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードホルダーと、
    前記カソードホルダー内に保持されたカソードであって、その前面がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置しているカソードと、
    前記カソードホルダー内に、カソードの側面との間に空間をあけてカソードの側面を一重以上に取り囲むように設けられた筒状の熱シールドであって、その先端がプラズマ生成容器のカソード用開口周りの内壁面と同一面またはそれよりもプラズマ生成容器外側に位置している第1熱シールドと、
    前記カソードホルダー内に設けられていて、前記カソードをその後面から加熱するフィラメントとを備えており、
    かつ前記カソードホルダーとプラズマ生成容器との間の隙間の部分に、断面が折れ曲がった迷路構造部が形成されており、
    前記フィラメントは、丸棒状のフィラメント材を前記カソードの後面に沿うように曲げた形状の加熱部を有しており、しかも当該加熱部の、前記カソードの後面に対向する部分は、丸棒状のフィラメント材を平坦に加工した平坦面になっていることを特徴とするイオン源。
  5. 前記カソードホルダー内にあって、フィラメントとの間に空間をあけてフィラメントの後面を少なくとも二重に覆うように設けられた第2熱シールドと、
    前記フィラメントの二つの脚部を囲むものであってその先端に前記第2熱シールドを支持している筒状部とを更に備えている請求項3または4記載のイオン源。
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