JPH07262946A - イオン源 - Google Patents

イオン源

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Publication number
JPH07262946A
JPH07262946A JP6050535A JP5053594A JPH07262946A JP H07262946 A JPH07262946 A JP H07262946A JP 6050535 A JP6050535 A JP 6050535A JP 5053594 A JP5053594 A JP 5053594A JP H07262946 A JPH07262946 A JP H07262946A
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JP
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ion
ion source
source according
magnetic flux
gas
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Application number
JP6050535A
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English (en)
Inventor
Takahisa Nagayama
貴久 永山
Naomitsu Fujishita
直光 藤下
Kazuo Yoshida
和夫 吉田
Katsuhisa Kitano
勝久 北野
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 PIG型多価イオン源において、大電流の多
価イオン電流を引き出すことのできる、長寿命で信頼性
の高いイオン源を提供する。さらに、複数の多価イオン
または大きく異なる条件のイオンをビーム輸送系に入射
可能とする。 【構成】 カソード1のまわりに磁性材料22を配置し
て、磁束がカソードからイオン生成部16に向けて集束
するように構成し、また、放電部(両端)とイオン生成
部との間に電界を印加してプラズマからの電子も利用
し、イオン生成部の電流密度をあげ多量の多価イオンを
生成できる構成とした。更に、イオン源内の圧力を制御
できるよう、アノード10、カソード間のギャップから
のガスの流出機構、不活性ガスの導入機構及びイオンビ
ームの引出し条件が異なる場合でも確実にビームをビー
ム輸送系に入射できるイオン源の駆動、制御系を設け
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、複数の多価イオンを
利用した装置、例えば癌治療装置等に使用される重粒子
線加速装置や、半導体製造に用いられる高エネルギーイ
オン注入装置に用いられるPIGイオン源に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】図36は例えば特開平4-106843号公報や
H.Schulte,W.Jacoby and B.H.Wolf著作による文献IEEE
Trans. on Nucl.Sci.NS-23,2,1042(1976) に記載された
従来のPIGイオン源を示す断面図である。図において
1はフィラメント電源、2はフィラメント、3はボンバ
ード電源、4はコイル、5は磁極、6はヨーク、7はカ
ソード、7aはカソード支持部、8は熱シールドで、カ
ソード7、カソード支持部7a、熱シールド8は同電位
でカソード部と総称する。9は放電電源である。10〜12
はアノードで同一部材、同一電位であるが、それぞれの
場所に応じて、放電部15はアノードA10、絞り部はアノ
ードB11、イオン生成部16はアノードC12でその形状
からチムニー部と呼ばれる。13は反射電極、14はガス
供給パイプ、15は放電部、16はイオン生成部、17は引き
出し電極、18は引き出し電源、19はイオン取り出し口、
20はイオンビーム、21はイオンビームを利用する所定の
位置に運ぶビーム輸送系である。
【0003】次に動作について説明する。まず、フィラ
メント電源1により供給される電流で加熱されたフィラ
メント2から、ボンバード電源3の印加する電界により
熱電子が引き出され、磁束発生手段(例えばコイル4、
磁極5、ヨーク6)によって生成された磁束に沿ってカ
ソード7に達する。
【0004】引き出された熱電子は、電界により加速さ
れ、カソード7に衝突し、カソード7を加熱する。この
ときボンバード電源3の加熱電力を小さく抑えかつ、カ
ソード7の温度を2000℃以上の高温に加熱するために、
カソード7の周辺に熱シールド8を設置している。
【0005】一方、加熱されたカソード7から、カソー
ド7とアノードA(放電部)10の間に放電電源9によっ
て印加された電界によって熱電子が引き出される。この
熱電子はアノードB(絞り部)11、アノードC(チムニ
ー部)12を通過して反射電極13に跳ね返され、カソード
7−反射電極13間を往復する。この過程で電子がアノー
ドに逃げるのを防ぐために、通常磁束発生手段により数
1000ガウスの磁束が印加される。
【0006】この電子によって、ガス供給パイプ14を介
して放電部15に供給されたガスが電離され、放電部15で
アーク放電が起こる。この放電の一部がガスの流れに従
ってイオン生成部16まで延びてイオン生成部16のガスが
高密度のプラズマとなり、多価イオンが発生し、引き出
し電極17に引き出し電源18によって印加された電位に
よって、イオンビーム20がアノードC(チムニー部)12
に設けられたイオン取り出し口19から引き出される。な
お、放電部は、放電開始、維持の電圧に相当するようイ
オン生成部と比べて圧力が高くなるように設定するた
め、通常ガスは放電部側から導入される。
【0007】この際、イオン生成部16のガスの量が少な
い方が、イオン生成部16の多価イオンの割合を高くでき
る。しかし、放電部15のガスの量が少ないと、放電が起
こりにくく、また、放電が起こっても不安定となり、プ
ラズマを維持するのが難しくなる。このため、アノード
B(絞り部)11を設け、前記イオン生成部16のガスの量
が放電部15のガスの量より少なくなるように構成してい
る。
【0008】図37は、引き出されたイオンビーム20の軌
道についての説明図である。図は、図36の磁束に垂直な
面の断面図で、イオンビーム取り出し口を含む面であ
る。イオンビーム20は、前記磁束によって曲げられ、各
イオン固有の軌道を通って、以後のビーム輸送系21に入
射する。一方、イオン源の動作条件を変化させるため
に、磁束密度を変化させると、ビーム軌道も変化し、ビ
ーム輸送系21にビームが入らなくなる。このため、従来
は各イオン種にあわせて予め設定した磁束密度で使用す
るか、引き出し電源18の電圧を変化させ、ビーム軌道を
調整している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のイオン源では以
上の様な構成で多価イオンを生成している。そのためこ
の構成で多価イオン生成量を上げるには、イオン生成部
を通過する電子の量即ちカソードからの電子放出電流密
度を上げればよい。電子放出電流密度を上げる方法に
は、カソードの面積を増加させる方法とカソードの温度
を上げる方法の2つがある。
【0010】まず、カソードの温度が一定の条件でカソ
ードの面積を増加させる方法について説明する。イオン
生成部に到達できる電子は、アノードB(絞り部)の開
口と同面積のカソード表面から放出される電子のみとな
る。これは、アノード−反射電極間で電子を往復させる
際に電子がアノードに逃げないように印加される磁束が
軸に平行に走っており、磁束に拘束された、電子は径方
向に移動できないためである。このため、イオン生成部
を通過する電子の量を増やすために、カソードの面積を
増やしても、アノードB(絞り部)の面積を増やさなけ
れば実効的な電子の量は増加しない。一方で、アノード
B(絞り部)の開口面積を増やすと、放電部とイオン生
成部との間のガスの量に差がつかなくなり、全体として
は多価イオンの生成量が下がってしまうという問題があ
った。
【0011】次に、電子放出電流密度を上げるためにカ
ソードの温度を上げるという方法について説明する。通
常の使用条件において、既にカソード上面の温度は溶融
点寸前まで上がっており、カソード加熱電力を上げてカ
ソード温度を上げることは難しい。アノード下面(電子
放出面)の温度を上げるためには、アノード側面、及び
下面からの熱放射を抑えて、カソード全体の温度をより
均一にする必要があるが、従来、カソード下面には熱シ
ールドが設置されておらず、側面の熱シールドも一重の
ために、十分にカソード下面の温度が高くならないとい
う問題があった。
【0012】また、従来のイオン源では放電部に供給し
たガスが、アノードとカソードの間のギャップから流出
し、周辺の圧力が高くなる。そのため、イオンビームの
輸送に必要な高真空を保ち、効率よくイオンを取り出す
ためには、高価な大排気量の真空ポンプが必要となると
いう問題があった。
【0013】また、イオン生成部に入射する電子は、高
々カソードから引き出される熱電子である。さらに多量
の電子を引き出すために、放電部のプラズマ中の電子の
利用が考えられるが、放電部の電子のエネルギは小さ
く、多価イオン生成のためのエネルギとしては不十分で
あった。
【0014】さらに、多価イオンの存在密度は、イオン
が壁面と衝突して失われるため、中心の方が存在密度が
高い。しかし、イオン取り出し口の位置は、通常アノー
ドB(絞り部)の内面の延長面上に設けており、効率的
なイオンの取りだし方をしていなかった。
【0015】一方、複数の多価イオンを利用するため
に、イオン種を変化させたり、磁束密度の条件を変化さ
せる場合、引き出されたイオンビームをビーム輸送系に
入射させるためには、引き出し電圧を変化させてビーム
軌道を調整する必要がある。しかし、引き出し電圧を大
きくする場合には引き出し電極とイオン源との間の耐電
圧が問題となり、十分に大きい引き出し電圧をとること
ができない。一方、引き出し電圧が小さくなりすぎる
と、イオン生成部から十分なイオンを引き出すことが出
来なくなる。このため、引き出し電圧だけではイオンビ
ームの軌道を調整できる範囲が限定され、大きく異なる
条件のイオンビームはビーム輸送系に入射することがで
きないという問題を生ずる。
【0016】この発明は前記のような問題点を解消する
ためになされたもので、大電流の多価イオンを得ること
ができるイオン源、また放電部が反応性ガスにより腐食
されない等長寿命で信頼性の高いイオン源を提供するこ
とを目的とする。さらに複数の多価イオンまたは大きく
異なる条件のイオンをビーム輸送系に入射可能な制御性
のよい信頼性の高いイオン源を提供することを目的とす
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係るイ
オン源は、イオン生成部で磁束を収束させる手段を備え
たものである。
【0018】請求項2の発明に係るイオン源は、請求項
1の磁束を収束させる手段が少なくとも2個以上あるこ
とを規定したものである。
【0019】請求項3の発明に係るイオン源は、請求項
1の磁束を収束させる手段として、放電部の周辺に高透
磁率部材を備えたものである。
【0020】請求項4の発明に係るイオン源は、請求項
3のイオン源に用いた高透磁率部材によって囲まれる放
電空間の、磁束に垂直な断面の一部が小さくなるような
高透磁率部材を用いることを規定したものである。
【0021】請求項5の発明に係るイオン源は、請求項
3または4のイオン源に用いた高透磁率部材の磁束に平
行な断面積が変化することを規定したものである。
【0022】請求項6の発明に係るイオン源は、請求項
3〜5のイオン源に磁束誘導部材を備えたものである。
【0023】請求項7の発明に係るイオン源は、請求項
6の磁束誘導部材が磁束発生手段の一部であることを規
定したものである。
【0024】請求項8の発明に係るイオン源は、請求項
3〜7のイオン源に高透磁率部材の冷却手段を備えたも
のである。
【0025】請求項9の発明に係るイオン源は、請求項
1または2のイオン源のイオン取り出し口の周辺に高透
磁率部材を備えたものである。
【0026】請求項10の発明に係るイオン源は、請求
項1のイオン源の放電部内に放電部の熱伝導を抑制する
手段を2重に備えたものである。
【0027】請求項11の発明に係るイオン源は、請求
項10の熱伝導を抑制する手段が放電部内に設けられた
隔壁であることを規定したものである。
【0028】請求項12の発明に係るイオン源は、請求
項11の隔壁の一部がカソードの一部を取り囲むように
配置されたことを規定するものである。
【0029】請求項13の発明に係るイオン源は、請求
項1のイオン源のカソードとアノードとの間のギャップ
を櫛状に構成したものである。
【0030】請求項14の発明に係るイオン源は、請求
項13の櫛状のギャップにおいて、磁束に平行な方向の
ギャップ間隔が磁束に垂直な方向のギャップ間隔よりも
短いことを規定したものである。
【0031】請求項15の発明に係るイオン源は、請求
項1のイオン源のカソードとアノードの間にガス遮断物
を配置したものである。
【0032】請求項16の発明に係るイオン源は、請求
項15のガス遮断物に導電性物質が付着するのを防止す
る手段を設けたものである。
【0033】請求項17の発明に係るイオン源は、請求
項16の導電性物質が付着するのを防止する手段がガス
遮断物の放電部側に設けた溝であることを規定したもの
である。
【0034】請求項18の発明に係るイオン源は、請求
項16のガス遮断物に導電性物質が付着するのを防止す
る手段が、ガス遮断物の放電部側に設けたカバーである
ことを規定したものである。
【0035】請求項19の発明に係るイオン源は、イオ
ン生成部に圧力を制御する手段を備えたものである。
【0036】請求項20の発明に係るイオン源は、請求
項19の圧力制御手段が、イオン取り出し口とは独立に
設けられた少なくとも1個以上の開口部によることを規
定したものである。
【0037】請求項21の発明に係るイオン源は、請求
項19の圧力制御手段が、ガス供給手段であることを規
定したものである。
【0038】請求項22の発明に係るイオン源は、請求
項21のガス供給手段が、それぞれ独立に制御された複
数個の供給手段であることを規定したものである。
【0039】請求項23の発明に係るイオン源は、請求
項21または22のイオン源において、放電部とイオン
生成部とでガスの供給を独立に制御することを規定した
ものである。
【0040】請求項24の発明に係るイオン源は、請求
項22または23のイオン源においてガスの種類または
ガスの供給量によりガスの供給を独立に制御することを
規定したものである。
【0041】請求項25の発明に係るイオン源は、放電
部のアノードとイオン生成部のアノードを独立に形成
し、それらの間に電位差を設けたものである。
【0042】請求項26の発明に係るイオン源は、請求
項25の電位差をもたせる手段として放電部のアノード
とイオン生成部のアノードの間に抵抗を配置したことを
規定したものである。
【0043】請求項27の発明に係るイオン源は、請求
項25の電位差をもたせる手段として放電部とイオン生
成部で電離度の異なるガスを供給することを規定したも
のである。
【0044】請求項28の発明に係るイオン源は、請求
項27の放電部に供給するガスとして不活性ガスを用い
ることを規定したものである。
【0045】請求項29の発明に係るイオン源は、請求
項25のイオン源の放電部にガスを供給する手段の一部
を絶縁物で構成し、該絶縁部内を通過するガス流を横切
るように磁界を発生させる手段を備えたものである。
【0046】請求項30の発明に係るイオン源は、請求
項29の磁界を発生させる手段が永久磁石とそれに接続
された磁性部材からなることを規定したものである。
【0047】請求項31の発明に係るイオン源は、イオ
ン生成部に設けられたイオン取り出し口の位置をカソー
ドの磁束に垂直かつ放電部に面している面および、放電
部とイオン生成部との間をつなぐ空間の磁束に垂直な面
よりも内側に規定したものである。
【0048】請求項32の発明に係るイオン源は、イオ
ン源の駆動機構を備えたものである。
【0049】請求項33の発明に係るイオン源は、イオ
ンビームが通過する軌道上に、開口部を有する板を配置
し、該板に流れ込む電流が最小になるように、請求項3
2の駆動機構により、イオン源の位置を制御するもので
ある。
【0050】請求項34の発明に係るイオン源は、請求
項33の開口部を有する板を少なくとも2枚以上配置し
たことを規定したものである。
【0051】請求項35の発明に係るイオン源は、請求
項32〜34のイオン源において、ビーム軌道上の点と
イオン引き出し口との間のビーム軌跡長がほぼ一定にな
るようにイオン源の位置を制御することを規定したもの
である。
【0052】
【作用】この発明の請求項1に係るイオン源は、イオン
生成部で磁束を収束させる手段を備えたので磁束に拘束
されている電子も、イオン生成部に収束されるので、イ
オン生成部により多量の電子を送り込むことができ、多
価イオンの発生量を増加即ち大電流多価イオンを発生さ
せることができる。
【0053】この発明の請求項2に係るイオン源は、請
求項1の磁束を収束させる手段を複数備えたので、より
効率良く電子が収束され、イオン生成部により多量の電
子を送り込むことができ、多価イオンの発生量を増加即
ち大電流多価イオンを発生させることができる。
【0054】この発明の請求項3に係るイオン源は、放
電部の周辺に高透磁率部材を配置したので、カソードか
らイオン生成部方向にかけられた磁束を吸収するように
作用する。このため、放電部の磁束密度は、小さくな
る。イオン生成部の周辺には、高透磁率部材がないた
め、磁束密度は高透磁率部材がない場合とほとんど変わ
らない。その結果、磁束は放電部からイオン生成部にか
けて収束されることになり、それに伴ってカソード下面
から放出される電子も収束され、イオン生成部により多
量の電子を送り込むことができ、多価イオンの発生量を
増加即ち大電流多価イオンを発生させることができる。
【0055】この発明の請求項4、5に係わるイオン源
は、放電部の周辺に配置した高透磁率部材の磁束に平行
な断面形状を変化させたので、磁束の吸収による放電部
とイオン生成部の間の磁束密度差をさらに大きくするこ
とができ、イオン生成部へ多量の電子を送り込むように
作用する。
【0056】この発明の請求項6、7に係わるイオン源
は、放電部の周辺に配置した高透磁率部材へ磁束を誘導
するための磁束誘導部材を配置したので、磁束を効率よ
く誘導するように作用する。また、磁束誘導部材が磁束
発生手段の一部であるため放電空間での磁束密度の設計
が容易となり、磁束をより効率よく誘導するように作用
する。
【0057】この発明の請求項8に係わるイオン源は、
高透磁率部材を冷却する手段を備えたので、カソードか
らの輻射熱等の加熱によっても磁性が失われることなく
機能を維持するよう作用する。
【0058】この発明の請求項9に係わるイオン源は、
イオン取り出し口の周辺に高透磁率部材を配置したの
で、電子やイオンのような荷電粒子の閉じ込め効率の高
いミラー型磁場が構成され多価イオン生成率が向上する
よう作用する。
【0059】この発明の請求項10〜12に係わるイオ
ン源は、放電部内に放電部の熱伝導を抑制する手段を設
けたので、カソード側面や下面からの熱放射が抑制さ
れ、カソードを高温に維持できるよう作用する。また、
放電部内に独立して隔壁を設けて、熱伝導を抑制する手
段としたので、カソードからの熱伝導を効率良く遮断で
きる。さらに、この隔壁の一部がカソードの一部を取り
囲むように配置されたので、カソードの周辺は従来から
の熱シールドと併せて2重の熱シールドが形成され、カ
ソードからの熱放射が抑制され、高温を維持するよう作
用する。
【0060】この発明の請求項13、14に係わるイオ
ン源は、カソードとアノードとの間のギャップを櫛状に
構成したので、ギャップにおけるガスの流出を防止し、
真空度を維持、即ち圧力変動を押えることに多価イオン
を安定して発生させるように作用する。さらに、ギャッ
プの間隔を磁束に略平行な方向を略垂直な方向より短く
構成することで、ガス流路を細く、長く構成し、より効
率的にガスの流出を抑制するように作用する。
【0061】この発明の請求項15〜18に係わるイオ
ン源は、カソードとアノードの間のギャップにガス遮断
物を配置したので、カソードとアノードの間のギャップ
からのガスの流出を抑制するよう作用する。また、絶縁
物の放電部側に溝を設けるているので、放電部からスパ
ッタ等によって生成される導電性粒子の付着による絶縁
破壊を抑制するよう作用する。さらに、障壁を配置した
ので、導電性粒子の付着による絶縁破壊を一層抑制する
よう作用する。
【0062】この発明の請求項19〜24に係わるイオ
ン源は、イオン生成部に圧力を制御する手段を設けたの
で、例えば、磁束に沿って移動する電子のイオン生成部
への到達量電子の量を増加させるため、アノードB(絞
り部)の開口面積を広げてイオン生成部のガス量が多く
なってもイオン生成に必要な圧力が維持できるようガス
抜き作用を有する。イオン生成部は、ガスがたまりやす
い管状の構造のため、ガス抜きのための開口部から、排
気系へガスを抜き、イオン生成部内を引圧しやすくする
ため、微量な制御が可能となる。また、イオン生成部へ
流れ込むガス量が減少しても、多価イオン生成に有効な
ガスをイオン生成に最適な圧力で供給できるように作用
する。さらに、ガス供給手段がそれぞれ独立に、また、
放電部とイオン生成部とで独立にガス種やガス流量が制
御されるので、例えば、電離度や腐食性等の特性により
ガスの供給場所、即ち放電部かイオン生成部か、とガス
流量が制御され、イオン生成効率が向上するように作用
する。
【0063】この発明の請求項25〜28に係るイオン
源は、放電部のアノードとイオン生成部のアノードを独
立に設け、さらにこれらの間に電位差を設けたので、放
電部で生成されたプラズマからも電子を引き出すことが
できる。そのため、電子を加速し、多価イオン生成に十
分なエネルギーを与えることにより、イオン生成量を増
加させるよう作用する。また、電位差を設ける手段とし
て、抵抗を用いたので、簡便な構成で効率良く、電位差
を発生させることができ、さらに、放電部とイオン生成
部で電離エネルギの異なるガスを供給する方法を用いた
ので、さらに電位差を大きくすることができ、効率良く
イオン生成量を増加させることができる。また、放電部
には不活性ガスを用いたので、低エネルギで電離しやす
く、イオン源の構成金属との反応を抑制するよう作用す
る。
【0064】この発明の請求項29、30に係わるイオ
ン源は、放電部にガスを供給する手段の一部を絶縁物で
構成し、絶縁部内を通過するガス流を横切るように磁界
を発生させる手段を備えたので、放電部のアノードとイ
オン生成部のアノードに電位差を設けることによって、
イオン生成部のアノードとガス供給部がチャンバを介
し、同電位となり、これによりイオン生成部とガス供給
部との間に発生する異常放電またそれに伴う絶縁破壊
を、電子の移動を磁束で拘束して電流が流れないように
することで抑制でき、任意のガス流量即ち任意のガス圧
力で放電部にガスが供給できるように作用する。さらに
絶縁部内を通過するガス流を横切るように磁界を発生さ
せる手段として、永久磁石とそれに接続された磁性部材
からなるため、簡便な構成で効率良く、異常放電を抑制
するように作用する。
【0065】この発明の請求項31に係るイオン源は、
イオン取り出し口をイオン生成部の中心軸に近いところ
に設けたので、多価イオン密度の高い位置でのイオンの
引き出しが可能となり、より多量の多価イオンを取り出
せるように作用する。
【0066】この発明の請求項32〜35に係わるイオ
ン源は、駆動機構を備えたので、生成条件が大きく異な
るイオンビーム、即ち軌道の異なるイオンビームであっ
ても所望のビーム輸送系に入射するよう作用する。ま
た、ビーム輸送系の入口に開口部を有する板を配置した
ので、開口部を通過しないビーム電流をモニタすること
ができ、このビーム電流を最小にするようイオン源の位
置を制御し、イオンビームがビーム輸送系に入射するよ
うに作用する。さらに、ビーム輸送系の入口に開口部を
有する板を複数枚連続して配置したので、それぞれの開
口部を通過しないビーム電流をモニタし、それぞれのビ
ーム電流が最小になるようにイオン源の位置を制御する
ことで、イオンビームの入射角度を制御するよう作用す
る。さらに、ビーム輸送系の入口とイオン取り出し口と
の間のビーム軌跡長が、ほぼ同一となるようなイオン源
の位置を制御したので、イオンビームの広がりまで考慮
した最適なイオンビームの入射角度が一意的に決るよう
作用する。
【0067】
【実施例】
実施例1.以下、請求項1、3の発明の一実施例を図を
用いて説明する。図1は、この発明のイオン源の構成を
示す図で、図中には便宜上請求項1、3、6、8、1
0、11、12、15の発明の要素を含んでいる。図に
おいて、1〜21は上記従来構成図の箇所と同様であるた
め、その説明を省略する。22は高透磁率部材、24は磁
束、25は水管、27は放電室壁、28はカバー、29は封止リ
ングである。図2は、この発明によるイオン源の構成を
示す原理図で、磁束分布を示すための図で、23は磁束で
ある。この実施例では、電磁軟鉄で作られた磁束吸収リ
ング22が図1中の放電室の周囲、従来例ではアノードA
10の内部に相当する部分に、または放電室壁27の外側に
配置されている。電磁軟鉄の比透磁率は数1000、飽和磁
束密度は約1.5Tである。本発明の装置の主要部品の内
チャンバ材、放電室等金属性の部材はステンレスもしく
は高融点金属、銅等の非磁性材で形成されており、その
比透磁率はほぼ1である。
【0068】次に動作について説明する。まず図2中
(a)において、カソード7から引き出された電子が、磁
束吸収リング22によって曲げられた磁束に沿って収束さ
れ、イオン生成部16に達する。この動作を図中(b)、(c)
について説明する。(b)に示されるように、磁束吸収リ
ング22がない場合の磁束は、磁極5の間をほぼ平行に走
っている。これに磁束吸収リング22を入れた場合の磁束
の変化を(c)に示す。図に示されるように、磁束吸収リ
ング22の比透磁率が高いことから磁束23が磁束吸収リン
グ22に吸収されることにより、磁束吸収リング22に囲ま
れた空間の磁束密度は小さくなり、磁束吸収リング22を
通過した磁束は中央部(イオン生成部16)で絞られる。
このため、磁束に沿って移動するカソード7から引き出
された電子もイオン生成部16に絞られ、電流密度が高く
なり、より多くの多価イオンが生成される。
【0069】図3は、磁束吸収リング22の断面を示した
ものである。上記実施例において高透磁率部材は磁束吸
収リング22と称される、例えば(a)に示されるようなリ
ング状であるものについての例を示したが、リング状で
ある必要はなく、(b)に示されるように半割りにした
り、図2(c)に示されるように多角形形状を分割して組
立を容易にするよう構成してもよい。なお、本実施例で
は電磁軟鉄を用いた例について示したが、本例のように
他の装置構成部品よりも比透磁率が一桁以上大きいよう
な材料で、本例のようにできるだけ飽和磁束密度の大き
な材料であればよい。例えば、他の鉄系の材料であれば
この条件はほぼ満たす。
【0070】実施例2.以下、請求項1、3、4の発明
の一実施例を図を用いて説明する。図4は、この発明に
よるイオン源の構成の一部の原理を示すもので、図1中
の放電室周辺を示したものである。(a)、(b)は、実施例
1で用いた磁束吸収リング22により形成される、放電空
間の磁束に垂直な断面の一部が小さくなるように磁束吸
収リング22の断面形状を構成した実施例である。(a)の
構成においては、磁束吸収リング22から出て来る磁束が
より中心軸に近いところから出て来るため、アノードB
(絞り部)11で局所的に磁束密度が高くなり、実施例1
の場合よりさらに、カソード7から引き出された電子も
イオン生成部16に絞られ、電流密度が高くなり、より多
くの多価イオンが生成される。また、(b)の構成は、磁
極に対向する側の断面積が大きいため、磁極からの磁束
をより吸収する作用があり、放電部15とイオン生成部16
(図示せず)との磁束密度の差を大きくすることができ
るため、より多くの多価イオンが生成される。また、実
施例1の場合と同様、磁束吸収リング22はリング状でな
くてもよく、また、分割されていてもよい。
【0071】実施例3.以下、請求項1、3〜5の発明
の一実施例を図を用いて説明する。図5は、この発明に
よるイオン源の構成の一部の原理を示したもので、実施
例1の図1、2で用いた磁束吸収リング22の断面積が軸
方向で変化するよう構成した実施例である。(a)におい
て、上方の広い面からより多くの磁束を吸収して、下方
の狭い面から放出することにより、アノードB(絞り
部)11で局所的に磁束密度が高くなる。さらに、広い面
で磁束が吸収され、上方の磁束密度が下方より小さくな
り、磁束密度が最も小さい面をリングの中央より上方に
もって来ることができる。このため、カソード7を短く
構成することができ、カソードからの放熱が小さくな
り、カソードの温度が上がるため、カソードからの放出
電子の量が多くなる。また、実施例1の場合と同様、磁
束吸収リング22はリング状でなくてもよく、また、分割
されていてもよい。さらに、図中(b)に示されるよう
に、磁束に平行な方向に分割されていてもよい。
【0072】実施例4.以下、請求項1、3〜6の発明
の一実施例を図を用いて説明する。図6は、この発明に
よるイオン源の構成の一部を示したもので、図1中の放
電部周辺の構成原理図である。図において24は磁束誘導
部材である。磁束誘導部材は実施例1〜3の高透磁率部
材22に用いたのと同じ電磁鋳鉄等、高透磁率で飽和磁束
密度の高い材質がよい。図中(a)では、磁束誘導部材24
を磁極5の近くに配置し、予めある程度磁束を集めるこ
とによって、磁束吸収リング22の磁束吸収効率を高め、
リング内部の磁束密度を小さくすることができる。(b)
では、(a)の実施例の磁束誘導部材24の磁束収集効率を
さらに高めたものである。十分な厚みを持つ飽和磁束密
度の高い材料を用いれば、この構成で、放電部15の磁束
密度を0近くまで落とすことも可能である。しかし、放
電部15といえども、安定な放電を行うためにある程度の
磁束は必要(電子の閉じ込めが必要)であるから、(a)
と(b)との中間の形状の磁束誘導部材24を用いるか、磁
束誘導部材24の厚みを薄くして磁束を飽和させ、漏れ磁
束を増やして用いる必要がある。本実施例では実施例1
の高透磁率部材22に磁束誘導部材24を付加した例につい
て示したが、図中(c)、(d)のように、実施例2、3に示
される高透磁率部材22に磁束誘導部材24を付加するとさ
らに磁束密度を制御することが可能であることはいうま
でもない。
【0073】実施例5.以下、請求項1、3〜7の発明
の一実施例を図を用いて説明する。図7は、この発明に
よるイオン源の構成の一部を示したもので、実施例4に
用いた磁束誘導部材24として、磁極5自身を加工して磁
束誘導部材24とした例である。これらの磁束誘導部材24
を用いると、放電部15の磁束密度を下げてイオン生成部
16への磁束の収束率を高める以外にも、コイル電流はほ
ぼ磁極5間ギャップに比例するため、磁極5間ギャップ
を小さくして、同等の磁束密度を得るためのコイル電流
を小さくできる。なお、実施例4と同様、実施例2、3
に示される高透磁率部材22に磁束誘導部材24を付加す
るとさらに磁束密度を制御することが可能であることは
いうまでもない。
【0074】実施例6.以下、請求項1、3〜8の発明
の一実施例を図を用いて説明する。図8は、この発明に
よるイオン源の構成の一部を示したもので、図1中の放
電部周辺の構成原理図である。図において、25は水管で
ある。図中(a)、(b)、(c)、(d)は、磁束吸収リング22に
冷却手段を備えた多様な実施例を示している。(a)は、
磁束吸収リング22を冷却された部材(非磁性材料)には
め込むか、もしくはロウ付けした構造である。この構造
は製作は簡単だが、カソード7からの熱輻射によってリ
ングが加熱され、十分な冷却効果が獲られない場合もあ
るため、カソードの熱輻射が遮断できる構造のもの、あ
るいはカソード温度が比較的低いものには適している。
(b)、(c)はリングを冷却された部材で覆った例を示して
いる。製作コストは(a)の例よりも上がるが、冷却効果
は向上する。(d)は磁束吸収リング22を流体で直冷する
構造を示している。このような構成では、流体に水を用
いる場合には、磁束吸収リング22の錆を防ぐために、リ
ングを磁性を持つステンレスのような防錆材料で構成す
るほうがよい。また、メッキや防錆加工を施してもよ
い。もしくは、電磁軟鉄の特性を劣化させることのない
流体を用いてもよい。なお、実施例1〜4に示されるよ
うに高透磁率部材22の形状を変えたり、高透磁率部材22
に磁束誘導部材24を付加したりするとさらに磁束密度を
制御することが可能であることはいうまでもない。
【0075】実施例7.以下、請求項1、2、9の発明
の一実施例を図を用いて説明する。図9は、この発明に
よるイオン源の構成を示した図で、図1中の放電部とイ
オン生成部の構成原理図である。図において、26はイオ
ン生成部16の中央付近に配置した高透磁率部材である。
図中(b)は(a)中のA−A’断面を示しているが、ここで
は、高透磁率部材はコの字型の電磁軟鉄で作られた磁性
板が用いられている。この図に示されるように中央に磁
性板26を配置すると、中央付近の磁束密度が小さくな
り、磁束吸収リング22と磁性板26との間の磁束密度が高
いために、ミラー型の磁場配位が形成され、中央付近で
生成された荷電粒子が磁束密度の高い部位で反射される
ために、イオンの閉じ込め効率が上がり、多価イオン生
成効率が高くなる。なお、実施例1〜6で示されたイオ
ン源の構成に図9のように高透磁率部材をイオン生成部
16の中央付近に配置することによりさらに多価イオン生
成効率が高くなることはいうまでもない。
【0076】実施例8.以下、請求項1、10、11の
発明の一実施例を図を用いて説明する。図10は、この発
明によるイオン源のうち放電部の構成を示した図で、図
1中の一部の構成原理図である。図において、27は放電
部15の熱伝導を抑制するための隔壁で、この実施例で
は、高融点金属(タングステン、モリブデン、タンタル
等)で作られた放電室壁が用いられている。28はフィラ
メント2の破損を防止するためのカバーである。次に動
作について説明する。フィラメント2から引き出される
電子によってカソード7上面に加えられた熱は、カソー
ド7を伝わってカソード7下面(電子放出面)に達す
る。この過程で、カソード7側面から輻射によって熱が
失われる。これを少なくするため、通常熱シールド8が
設けられている。一方カソード7下面からも輻射によっ
て熱が失われる。カソード7上面とカソード7下面の温
度差は、これらの失われる熱量にほぼ比例するため、カ
ソード7上面の温度がほぼ融点付近の場合、隔壁27によ
り、これらの熱輻射を抑え、カソード7下面の温度下降
を抑制することができた。
【0077】本実施例においては、カソード7下面に面
する放電室壁27を別の部材で構成しているため、熱伝導
が小さく、カソード7下面に対する熱シールドとして用
いることにより、カソード7下面からの熱放射を抑えて
いる。この際、放電室壁27の支点の面積を減らした方が
伝熱が小さくなるため、支点を点接触、あるいは線接触
にすると、さらに放電室壁27の伝熱を抑えることが出来
る。
【0078】実施例9.以下、請求項1、10〜12の
発明の一実施例を図を用いて説明する。図11は、この発
明によるイオン源のうち放電部の構成を示した図で、図
1中の一部の構成原理図である。図11は実施例8の隔壁
27の一部をカソード7の周辺に伸ばしたものである。図
に示されるように、放電室壁27の一部を熱シールド8の
裏側まで延ばし、二重の熱シールドを構成することによ
り、熱シールドの効果を高め、カソード7の温度をより
一様にすることで、カソード7下面の温度下降を抑制す
ることができた。
【0079】実施例10.以下、請求項1、13、14
の発明の一実施例を図を用いて説明する。図12は、この
発明によるイオン源のうち放電部の構成を示した図で、
図1中の一部の構成原理図である。図のように、カソー
ド支持部7aとアノ−ドA10の間のギャップを櫛状に構成
している。さらに、磁束が上下方向に走っているため、
左右方向には放電が起きない。このため、左右方向のギ
ャップを上下方向に比べて小さく構成することで、ガス
の流出を効果的に抑えることができる。
【0080】実施例11.以下、請求項1、15の発明
の一実施例を図を用いて説明する。図13は、この発明に
よるイオン源のうち放電部の構成を示した図で、図1中
の一部の構成原理図である。図において、29はカソード
7aとアノードの間のギャップに挟み込まれた絶縁物、こ
こではアルミナで作られた封止リング29が用いられてい
る。封止リング29がない場合には、放電部15に供給され
たガスはカソード7aとアノード間のギャップを通じてフ
ィラメント2周辺に流入し、高温のフィラメント2と、
ガスが反応してフィラメント2の寿命を縮めるという問
題を生ずる。封止リング45を設けることにより、真空チ
ャンバへのガスの流出を抑制して真空ポンプの負担を小
さくするとともに、フィラメントの長寿命化につなが
る。
【0081】実施例12.以下、請求項1、15〜17
の発明の一実施例を図を用いて説明する。図14は、この
発明によるイオン源に用いた絶縁物の断面図である。こ
こでは実施例11のアルミナ製封止リング29を流用した。
図中(a)においては、封止リング29の放電部15側に溝を
設け、表面を導電性の被膜が覆いにくいように構成して
いる。また、(b)においては、溝をL字形に曲げて、放
電部15側から全ての溝の内部の全ての面が見えないよう
に構成することによって、導電性の被膜に覆われるのを
抑止している。
【0082】図14中(c)、(d)は、絶縁物の封止リング29
の溝加工を一体で行うことが難しい場合に、複数の部品
に分けて、構成した例を示す。図において、部品間の接
平面がL字形になっているのは、この部品が外れないよ
うにするためである。
【0083】実施例13.以下、請求項1、15、1
6、18の発明の一実施例を図を用いて説明する。図15
は、この発明によるイオン源のうち放電部の構成を示し
た図で、図1中の一部の構成原理図である。図におい
て、30は封止リング29の前面に設けられた障壁で、ここ
では熱シールド8の周囲に配置した部品を加工して流用
している。この実施例ではリング状の突起が用いられて
いる。このようなリング状の突起30を設けることで、封
止リング29に導電性の被膜が付着するのを防止できる。
【0084】実施例14.以下、請求項1、15、1
6、18の発明の別の実施例を図を用いて説明する。図
16は、この発明によるイオン源のうち放電部の構成を示
した図で、図1中の一部構成原理図である。図のように
実施例8、9で用いた放電室壁27の一部を、封止リング
29の前面に設ける障壁として利用してもよいし、別途障
壁を形成してもよい。実施例13と同様、この障壁により
導電性物質の付着を抑制することができる。
【0085】実施例15.以下、請求項19、20の発
明の一実施例を図を用いて説明する。図17は、この発明
のイオン源の構成を示す図で、図中には便宜上、図1の
請求項1、3、6、8、10の発明の要素に請求項19
〜22の発明の要素を加えた例となっている。図におい
て、31はイオン生成部16のガスの量を減らすためのガス
抜き開口、32はメッシュ、35はガス供給パイプ、39は調
整バルブである。図18は、この発明によるイオン源の一
部の構成を示した摸式図である。図中(a)に示すように
アノードC(チムニー部)12の両端にガス抜き開口31を
設けることによって、イオン生成部16におけるガスの量
の分布をより均一にすることができる。また、ガス抜き
開口31が大きすぎて、イオンがガス抜き開口31から漏れ
て来る場合には、ガス抜き開口31にメッシュ32を設けれ
ばよい。また、(b)に示されるようにガス抜き開口31全
体を目の細かいメッシュ32にすることで、ガス分布の均
一化とイオンの漏洩防止を同時に実施することができ
る。
【0086】実施例16.以下、請求項19、20の発
明の別の実施例を図を用いて説明する。図19は、この発
明によるイオン源の構成を示した図で、図17中の一部構
成原理図で図において、33はガス抜き開口31を開閉する
ための蓋、34は該蓋を駆動するためのステーである。こ
の両者によって、ガス抜き開口31の面積を可変にする機
構を構成している。図に示されるようにアノードC(チ
ムニー部)12の背面(イオン引き出し口の設けられてい
る面に対向する面)に設けられたガス抜き開口31に対し
て、ステー34により支持された蓋33が移動することによ
って、ガス抜き開口31の面積が変化し、それに従ってイ
オン生成部16のガスの量も変化し、イオン生成部の圧力
を制御する。このような機構を設けることで、異なる価
数のイオン種を生成する場合に、イオン生成部16のガス
の量を変化させる必要が生じた場合でも、真空を破るこ
となくイオン生成条件を変化させることができる。即
ち、より大きな価数のイオンを生成する場合、イオン生
成部16の圧力をより低くしなくてはならないが、ガス抜
き開口31を大きく開いてより引圧にし、ガス圧を変化さ
せることでより多価のイオンを得ることができる。上記
実施例ではアノードC(チムニー部)12の背面にガス抜
き開口が設けられた例について示したが、設置する場所
は背面に限ることなく、側面に分散して設けたり、イオ
ン生成部の圧力が制御しやすく、ガス濃度が均一化しや
すい場所であればよい。
【0087】実施例17.以下、請求項19、21の発
明の一実施例を図を用いて説明する。図20は、この発明
によるイオン源の構成を示した図で、図17中の一部構成
原理図である。図中(b)は、(a)のA−A’断面図であ
る。(a)、(b)では、説明のために中央ガス供給パイプ35
をイオン取り出し口19に対向する面に取り付けている
が、このように取り付けると、ガスのほとんどはイオン
取り出し口19から真空中に逃げ、イオン生成部16のガス
の量を変化させることができないが、(c)に示されるよ
うに、イオン取り出し口19に対向しない面に取り付ける
とイオン生成部内の圧力を制御しやすくなる。また、ガ
ス供給パイプの取り付け位置は、イオン生成部16内の圧
力制御が容易で、ガス濃度の均一化が図れる場所であれ
ば、本実施例のように図中A−A’の位置でなくてもよ
い。
【0088】実施例18.以下、請求項19、21の発
明の別の実施例を図を用いて説明する。図21は、ガス導
入パイプを備えたイオン源の別の実施例を示す背面断面
図(a)と側面断面図(b)で、各々図20の(c)においてBー
B’断面、CーC’断面であり、図17中の一部構成原理
図である。図において、36はじゃま板、37はパイプ拡張
部である。この実施例では中央ガス供給パイプ35から供
給されたガスはじゃま板36に当たって拡散し、パイプ拡
張部37でひろげられてイオン生成部16に達する。このた
め、イオン生成部16のガスの量の分布をほぼ均一にする
ことができる。
【0089】実施例19.以下、請求項19、21、2
2の発明の一実施例を図を用いて説明する。図22は、こ
の発明によるイオン源の構成を示した摸式図で、図17中
の一部構成原理図である。図において、38はガス供給パ
イプ35を複数連結したガス供給パイプ、39は調整バルブ
である。このように、イオン生成部へのガス供給手段を
複数設けてやれば、ガスをイオン生成部16にほぼ均等に
配分することが可能であり、ガス圧力を容易に制御可能
である。さらに、図中(b)で示されるように、各々のパ
イプのガスの流量をコントロールする調整バルブ39を設
けると、さらに一層イオン生成部16のガスの分布を均一
に保ち圧力を制御可能なことはいうまでもない。
【0090】実施例20.以下、請求項19、21〜2
4の発明の一実施例を図を用いて説明する。図23は、こ
の発明によるイオン源の構成を示した図で、図17中の一
部構成原理図である。図のようにイオン生成部の複数の
ガス供給パイプ38は調整バルブ39が独立のため、独立に
ガス種類と流量を制御することが可能である。このよう
に構成したイオン源において、放電部のガス供給パイプ
14からアルゴン等の不活性ガスを導入し、イオン生成部
のガス供給パイプ38から二酸化炭素等の目的の多価イオ
ンを生成する材料ガスを導入することにより、多価イオ
ンの種類と量をガス種や圧力により制御することができ
た。また、高温に加熱されたカソードを配置する放電部
に不活性ガスを導入することができ、カソードの高温腐
食を抑制することができた。
【0091】実施例21.以下、請求項25の発明の一
実施例を図を用いて説明する。図24は、この発明のイオ
ン源の構成を示す図で、図中には便宜上、図1、17に記
載の請求項1、3、6、8、10、19〜22の発明の要
素に請求項25、29の発明の要素を加えた例である。
図において、40は放電部15とイオン生成部16との間に電
位差を設けるための上部アノード電源、41は絶縁リン
グ、44は金属パイプ、45は絶縁パイプである。図25は、
この発明によるイオン源の構成を示す模式図である。図
において、42はプラズマである。この構成において、電
子がカソード7から放電電源10がカソード7に印加する
電位Vc(通常数100V)と上部アノード電源40がアノー
ドA(放電部)9に印加する電位Vmとの電位差Vs=V
c−Vmによって引き出される。この電子は、ガス供給口
から供給されたガスと作用して、放電部15にプラズマ42
を形成すると共に、アノードA(放電部)10とアノード
C(チムニー部)12との間の電位差Vm(通常数kV)
によってさらに加速され、イオン生成部16に入射し、多
価イオンを生成する。一方、形成されたプラズマ42から
も電子がアノードA(放電部)9とアノードC(チムニ
ー部)12との間の電位差Vmによって引き出され、イオ
ン生成部16に入射する。このため、イオン生成部16に入
射する電子は、上部アノード電源40がない場合に比べて
大きくなり、それにともなって多価イオンの生成量も多
くなる。
【0092】実施例22.以下、請求項25、26の発
明の一実施例を図を用いて説明する。図26は、この発明
によるイオン源の構成を示す図で、図24中の一部構成原
理図である。図において、43は抵抗である。この構成に
おいては、アノードAに流れ込む電流I(A)によって
R(Ω)の抵抗50の両端に生ずる電位IR(V)が、
上記上部アノード電源47の印加する電位Vmと同様の
働きをする。このような構成では、上部アノード電源40
が不用となり、装置を安価に構成できる。
【0093】実施例23.以下、請求項25〜28の発
明の一実施例を説明する。図25または図26において、放
電部に電離エネルギの低い不活性ガスを導入し、イオン
生成部に多価イオンとして所望の原料ガスを導入するこ
とで、Vsが小さくとも不活性ガスを電離できるため、
同じVcに対して、Vsと比べてさらにVmを大きくする
ことができる。即ち、ガス供給パイプ14を介して、放電
部15にアルゴンやキセノン等の不活性ガスを導入し、ガ
ス供給パイプ31を介して、二酸化炭素等の材料ガスを導
入することによって、相対的にVmを大きく構成する。
一個の電子が多価イオンを生成できる個数はVmが大き
いほど大きくなるため、このような構成をとれば、より
多量の多価イオンを得ることができる。さらに、放電部
に不活性ガスを用いることで、フィラメント等放電部を
構成する部品の腐食を抑制することができる。
【0094】実施例24.以下、請求項25、29の発
明の一実施例を図を用いて説明する。図27は、この発明
によるイオン源のうち放電部へのガス供給パイプの構成
を示した図で、図24中の一部構成原理図である。図にお
いて、46はガス中の放電を抑止するための磁界を発生さ
せるためのU字形磁石である。(b)は(a)のA−A’断面
構成図である。図において、U字形磁石46がない場合に
は、金属パイプ44間に印加された電界により、パイプ内
に放電が発生し、それによって生じるプラズマを通じて
金属パイプ44間に電流が流れ、絶縁が破壊される。しか
し、絶縁パイプ45部に磁束を印加することにより、電子
の移動が妨げられ、放電が抑止される。なお、本発明に
おけるイオン源においては、イオン源動作のために磁束
が加えられているため、ガス供給パイプに発生させる磁
束の方向がイオン源動作のための磁束と同じ場合、又、
イオン源動作のための磁束の影響を十分受けることがで
きる場合は、これを利用しても同様の効果が得られる。
【0095】実施例25.以下、請求項25、29、3
0の発明の一実施例を図を用いて説明する。図28は、こ
の発明によるイオン源のうち放電部へのガス供給パイプ
の断面構成図で、図24中の一部構成原理図である。図に
おいて、47は棒状磁石、48は環状ヨーク、49は対向磁極
である。(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ多様な実施例
を示したもので、例えば、(a)の構成において、棒状磁
石47によって生成された磁束は環状ヨーク48を介して対
向磁極49に流れ込み、対向磁極49と棒状磁極47との間に
磁束を形成する。この磁束密度が高いほうが、放電の抑
止力は大きくなる。一方磁束密度は磁極間のギャップに
ほぼ比例する。この図のように環状ヨーク48を用いて磁
極(N極)を反対の磁極(S極)の近くまでもって来る
ことで、ギャップ間の磁束密度を高めることができる。
【0096】図28中(b)は上記構成の対向磁極49に溝を
設け、絶縁管に固定できるようにした実施例である。こ
の場合、絶縁管にはめ込むときに支障がある場合は、
(c)に示されるように対向磁極49、もしくは環状ヨーク4
8を分割してネジなどで接続するか、(d)に示されるよう
に対向磁石の一部に切れ目を設け、はめ込み時にこの切
れ目を広げてはめ込むような構成を用いてもよい。
【0097】実施例26.以下、請求項31の発明の一
実施例を図を用いて説明する。図29は、この発明のイオ
ン源の構成を示す図で、図1、17、24に記載の請求項
1、3、6、8、10、11、12、15、19〜2
2、25、29の発明の要素にさらに請求項31を加え
た例を示したものである。図において、イオン取り出し
口19がイオン生成部16の内部まで入り込んでいる。図30
は、この発明によるイオン源の構成を示した図である。
図において、50は電子流、Scは放電部に配置したカソ
ードの放電部に面している面、Ssは磁束の断面で最小
のものである。図中(b)は(a)中のA−A’断面を示した
ものである。16aはイオン生成部の周辺の多価イオン密
度の低い場所を、16bはイオン生成部の中心付近の多価
イオン密度の高い場所を示す。イオン生成部16において
生成された多価イオンは、壁面に衝突して失われるた
め、多価イオン密度は(b)中に示されるように、周辺部
で小さくなるようなイオンの分布を呈する。このため、
より中心軸に近いところにイオン取り出し口19を設ける
ことにより、多量の多価イオンを引き出すことができ
る。この際、引き出し電極17を中心軸に近づける長さ
は、磁束に拘束されるイオンのラーマ半径から概算でき
る。ラーマ半径rは次式で与えられる。 r=Muv/qB v=√(2qV/Mu) M:質量数 u:原子質量単位(1.66×10-27kg) v:粒子の磁束に垂直な速度(m/s) q:電荷(素電荷×価数)(1.60×10-19C) B:磁束密度(T) V:粒子のエネルギー(eV) ここで、代表的な条件として、イオン種をヘリウム(質
量数4)の2価イオン、プラズマエネルギを5eV、磁
束密度Bを0.5Tとして計算するとr=0.92mm
となる。r以内に壁があると、イオンが衝突するため、
rより離れた位置に壁を設けなくてはならない。この例
では0.92mmということになる。しかし、プラズマ
のエネルギには分布があるため、これを考慮すると、こ
の例においても少なくとも壁面から約0.5mm以内に
生成されたイオンは、磁束による閉じこめが十分ではな
く、壁面に衝突して消滅する。このため、イオン取り出
し口19を0.5mm以上中心軸側に近づけると多価イオ
ンの存在確率の高い分布箇所からイオンを引き出すこと
ができるようになり、引き出し電流が多くなる。図中
(c)に、A−A’断面における、放電部に配置したカソ
ードの放電部に面している面Scと、磁束の最小断面Ss
の投影図を示す。Sci、SsiはそれぞれSc、Ssの投影
面である。多価イオンの存在確率の高い分布箇所は壁面
への衝突による消滅の影響が少ない、少なくともこのS
ci、Ssiの重なり部より内側となる。
【0098】実施例27.以下、請求項32、33の発
明の一実施例を図を用いて説明する。図31は、この発明
によるイオン源の構成を示す図である。図において、51
は回転台、52は回転モータ、53は回転制御回路、54はイ
オンビーム20の通過する所定点に設けられた開口であ
り、この実施例ではスリットが用いられている。55は金
属板A、56は金属板B、57は電流計A、58は電流計Bで
ある。図32は、図31中のイオン源の回転角θと電流計
A,Bで計測されるイオン電流の関係を示したものであ
る。図31において、引き出し電極17とイオン源の間に印
加された電圧によって引き出されたイオンは磁束によっ
て曲げられ、スリット54に達する、スリット54を通過し
たビームは後段のビーム輸送系21に入射される。しか
し、磁界や、イオン種、引き出し電圧等の条件が異なる
とビーム軌道は変わる。この場合でも図に示されるよう
にイオン源を回転させれば、スリット54を通過させるこ
とができる。なお、この実施例では、回転中心をイオン
引き出し口に合わせている。
【0099】ビームがスリット54を通過するようにイオ
ン源の回転角を制御するために、スリット54を構成する
金属板A55と金属板B56とに流れ込むイオン電流をモニ
ターすれば、自動的にイオン源の回転角θを求めること
ができる。まず金属板A55と金属板B56が一体になって
いて、流れ込む電流が区別できない場合について説明す
る。この場合イオン源の回転角とスリット54に流れ込む
電流との関係は図32に示されるような関係となる。求め
る回転角はイオン電流が最小値をとる位置なので、回転
原点からビーム電流をモニターしながらイオン源を回転
させ、ビーム電流が増加に転じる点を検出し、そこで回
転を止める。
【0100】次に、金属板A55と金属板B56が分かれて
いる場合の制御方法を説明する。金属板A55に入る電流
IAと金属板B56に入る電流IBを比較し、IA>IBなら
図31のp方向にイオン源を回転させ、IB>IAならq方
向に回転させる。IA=IBとなる位置でイオン源の回転
を止める。この場合には、初期のイオン源の回転角を選
ばないという利点がある。
【0101】上記実施例では、イオン源の移動が回転の
場合について記述したが、任意の移動であってよい。
【0102】実施例28.以下、請求項32〜35の発
明の一実施例を図を用いて説明する。図33は、この発明
によるイオン源の構成を示す図である。図において、59
は移動台、60はレール、61は移動モータ、62は回転移動
制御回路、63はイオンビーム20の通過する所定点に設け
られたもう一つの開口であり、この実施例では後段スリ
ットが用いられている。64は金属板C、65は金属板D、
66は電流計C、67は電流計Dである。この実施例におい
ては、図に示されるように、イオンビーム20の軌道が異
なる場合でも、スリット54を通過するビームの位置と入
射角を揃えるように、イオン源を回転、移動させる。図
34は、イオン源の移動量と後段のスリット63を通過する
際の電流計C、Dに計測されるイオン電流の関係を示し
たものである。
【0103】本実施例においても、ビームがスリット5
4、後段スリット62を共に通過させるために、金属板A5
5、金属板B56、金属板C64、金属板D65に流れ込むイ
オン電流をモニターすれば、自動的にイオン源の回転角
と移動量を求めることができる。スリット54を通過させ
るように制御する方法については、実施例27と同様であ
る。スリット54と、後段スリット63を共に通過させる方
法について、まず金属板C64と金属板D65が一体になっ
ていて、流れ込む電流が区別できない場合について説明
する。ビームがスリット54を通過する条件でイオン源の
位置と後段スリット63に流れ込むイオン電流との関係
は、図34に示されるような関係となる。求める位置はイ
オン電流が最小値をとる位置なので、移動原点からスリ
ット54を通るようにイオン源の回転角を合わせながらイ
オン源を移動させ、後段スリット63に流れ込む電流が増
加に転じる点を検出し、そこで移動を止めればよい。
【0104】次に金属板C64と金属板D65が分かれてい
る場合の制御方法を説明する。まずイオン源をビームが
スリット54を通るように回転させる。その条件で、金属
板C64に入る電流ICと金属板D65に入る電流IDを比較
し、IC>IDならば、図33のs方向に移動させ、IC<
IDならば、図のt方向に移動させる。IC=IDとなる
位置で移動を止める。このような制御では、各地点で回
転角を調整する必要があるために、連続移動して調整を
行うことができない。金属板が分かれている場合には、
最初に測定点を粗くとって移動させ、行き過ぎたらより
細かく位置を合わせていくという制御が可能となるの
で、分かれていない場合と比較して、制御にかかる時間
が短くなる。このため、少なくとも金属板A55と金属板
B56は分かれていることが望ましい。
【0105】次に、イオン源が移動するレール60の位置
について説明する。このレール60の軌跡は、利用する全
ての条件における、スリット54と後段スリット63を通る
イオンビーム20の全ての軌跡と交わるような、任意の直
線、もしくは曲線を選ぶことができる。一方、イオンビ
ーム20は、引き出し口からの距離にほぼ比例して一定の
割合で広がっていく。ビーム輸送系21に入射させるビー
ムとしては、この広がりも一定の方が望ましい。このた
め、予め磁束密度分布の条件によって計算されるビーム
の軌跡に従って、ビーム輸送系21の入口または第1に通
過するスリットとイオン取り出し口19との間のビーム軌
跡長が、ほぼ同一となるようにレール60を配置するのが
望ましい。図35はダイポールが作る磁界中を、条件の異
なるイオンビーム20が通過する際の軌跡の計算結果を示
したものである。図において、集束点を中心に、種々の
磁束密度に対するイオンビームの軌跡を示したもので、
軌跡の長さ全て等しい。すなわち、これらの軌跡は図29
のp点で入射位置、及び角度が等しくなり、かつ全軌跡
長が等しくなるように配置されている。この図に示され
るように、軌跡の長さが等しくなるようにレール60を引
くと一般に曲線状のレール60となる。しかし、実用上曲
線状のレールを作ることが困難な場合は、図35に示され
る様な近似された直線でレール60を引けば、軌跡の長さ
がほぼ等しくなるような設定が可能である。
【0106】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、イオン生成部で磁束を収束させるようにしたので、
多価イオンの発生量を増加即ち大電流多価イオンを発生
させることができ、イオン源の大容量化を図ることがで
きる。
【0107】以上のように、請求項2の発明によれば、
イオン生成部で磁束を収束させる手段を少なくとも2つ
以上設けたので、請求項1よりさらに効率よくイオン源
の大容量化を図ることができる。
【0108】以上のように、請求項3〜5の発明によれ
ば、放電部の周辺に高透磁率部材を配置したので、請求
項1の発明を安価に実現することができる。
【0109】以上のように、請求項6、7の発明によれ
ば、放電部の周辺に配置した高透磁率部材へ磁束を誘導
するための磁束誘導部材を配置したので、より安価で、
請求項3〜5の効果をより効率よく達成することが可能
となる。
【0110】以上のように、請求項8の発明によれば、
高透磁率部材を冷却する手段を備えたので、高透磁率部
材の磁性が失われることなく機能を維持するよう、イオ
ン源の高品質化を可能にする。
【0111】以上のように、請求項9の発明によれば、
イオン取り出し口の周辺に高透磁率部材を配置したの
で、請求項3〜8の効果をより効率よく達成することが
可能となる。
【0112】以上のように、請求項10〜12の発明に
よれば、放電部内に放電部の熱伝導を抑制する手段を設
けたので、カソードを高温に維持でき、安定してイオン
生成部への電子の供給が可能となり、イオン源の高信頼
化が可能となる。
【0113】以上のように、請求項13、14の発明に
よれば、カソードとアノードとの間のギャップを櫛状に
構成したので、高価なポンプを用いることなく、放電部
の真空度を維持でき、多価イオンの安定生成が可能とな
り、イオン源の高信頼化が可能となる。
【0114】以上のように、請求項15〜18の発明に
よれば、カソードとアノードの間のギャップにガス遮断
物を配置したので、高価なポンプを用いることなく、放
電部の真空度を維持でき、多価イオンの安定生成が可能
となり、イオン源の高信頼化が可能となる。
【0115】以上のように、請求項19〜24の発明に
よれば、イオン生成部に圧力を制御する手段を設けたの
で、多価イオンの生成が制御よく行うことができ、イオ
ン源の高信頼化が可能となる。
【0116】以上のように、請求項25〜28の発明に
よれば、カソードとアノードの間に電位差を設け、放電
部で生成されたプラズマからも電子を引き出すことがで
きたので、イオン源の大容量化が可能となる。
【0117】以上のように、請求項25、29、30の
発明によれば、放電部にガスを供給する手段の一部を絶
縁物で構成し、絶縁部内を通過するガス流を横切るよう
に磁界を発生させる手段を備えたので、放電部あるいは
アノード(絞り部、チムニー部)との電位差により発生
する異常放電またそれに伴う絶縁破壊を抑制することが
でき、イオン源の高信頼化、長寿命化が可能となる。
【0118】以上のように、請求項31の発明によれ
ば、イオン取り出し口をイオン生成部の中心軸に近いと
ころに設けたので、より多量の多価イオンを取り出せる
ようになり、イオン源の大容量化を図ることができる。
【0119】以上のように、請求項32〜35の発明に
よれば、駆動機構を備え、生成条件が大きく異なるイオ
ンビーム、即ち軌道の異なるイオンビームであっても所
望のビーム輸送系に入射するようしたので、イオン源の
高信頼化が可能となる。
【0120】以上の請求項23または27、28のよう
に、放電部に不活性ガスを導入することができるので、
カソードをはじめとする放電部内の部品の消耗が少なく
なり、イオン源の長寿命化、高信頼化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1〜14によるイオン源の
構成を示す図である。
【図2】 この発明の実施例1によるイオン源の一部の
構成を示す原理図である。
【図3】 この発明の実施例1に用いた磁束吸収リング
の断面図である。
【図4】 この発明の実施例2によるイオン源の一部で
あるカソードの周辺部の構成を示す原理図である。
【図5】 この発明の実施例3によるイオン源の一部で
あるカソードの周辺部の構成を示す原理図である。
【図6】 この発明の実施例4によるイオン源の一部で
あるカソードの周辺部の構成を示す原理図である。
【図7】 この発明の実施例5によるイオン源の一部で
あるカソードの周辺部の構成を示す原理図である。
【図8】 この発明の実施例6によるイオン源の一部の
構成を示す原理図である。
【図9】 この発明の実施例7によるイオン源の構成を
示す図である。(a)はイオン源の断面を、(b)は(a)中の
A−A’断面を示す原理図である。
【図10】 この発明の実施例8によるイオン源の一部
である放電部の構成を示す原理図である。
【図11】 この発明の実施例9によるイオン源の一部
である放電部の構成を示す原理図である。
【図12】 この発明の実施例10によるイオン源の一
部である放電部の構成を示す原理図である。
【図13】 この発明の実施例11によるイオン源の一
部である放電部の構成を示す原理図である。
【図14】 この発明の実施例12によるイオン源の一
部であるアノードとカソードのギャップに設けられた封
止リングの構成を示す断面図である。
【図15】 この発明の実施例13によるイオン源の一
部である放電部の構成を示す原理図である。
【図16】 この発明の実施例14によるイオン源の一
部である放電部の構成を示す原理図である。
【図17】 この発明の実施例15〜20によるイオン
源の構成を示す図である。
【図18】 この発明の実施例15によるイオン源の構
成を示す原理図である。
【図19】 この発明の実施例16によるイオン源の構
成を示す原理図である。
【図20】 この発明の実施例17によるイオン源の構
成を示す図である。(b)、(c)は(a)中のA−A’断面を
示す図である。
【図21】 この発明の実施例18によるイオン源の構
成を示す断面図である。
【図22】 この発明の実施例19によるイオン源の構
成を示す原理図である。
【図23】 この発明の実施例20によるイオン源の構
成を示す原理図である。
【図24】 この発明の実施例21〜25によるイオン
源の構成を示す図である。
【図25】 この発明の実施例21によるイオン源の構
成を示す原理図である。
【図26】 この発明の実施例22によるイオン源の構
成を示す原理図である。
【図27】 この発明の実施例24によるイオン源の一
部の構成を示す図である。(a)は、放電部へガスを供給
するためのガスパイプの断面構成図、(b)は(a)中A−
A’の断面を示した図である。
【図28】 この発明の実施例25によるイオン源の一
部の構成を示す図である。(a)〜(d)は、それぞれ、絶縁
パイプに加える磁束の生成手段として、永久磁石と永久
磁石に磁気的に接続された磁性部材を用いる例を示す断
面図である。
【図29】 この発明の実施例26によるイオン源の構
成を示す原理図である。
【図30】 この発明の実施例26によるイオン源の構
成を示す原理図である。(b)は(a)中A−A’の断面を示
したもの、(c)は(a)中A−A’の断面へのカソード面
と、磁束の最小断面を投影したものである。
【図31】 この発明の実施例27によるイオン源の構
成を示す図である。
【図32】 イオン源の回転角とスリットに流れ込む電
流との関係を示した説明図である。
【図33】 この発明の実施例28によるイオン源の構
成を示す図である。
【図34】 イオン源の位置と後段スリットに流れ込む
イオン電流との関係を示した説明図である。
【図35】 ダイポールが作る磁界中を、条件の異なる
イオンビームが通過する際の軌跡の計算結果を示した説
明図である。
【図36】 従来のイオン源の例を示す断面図である。
【図37】 従来のイオンビームの軌道を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1 フィラメント電源(高周波)、 2 フィラメン
ト、 3 ボンバード電源、 4 コイル、 5 磁
極、 6 ヨーク、 7 カソード、 7a カソード
支持部、 8 熱シールド、 9 放電電源、 10
アノードA(放電部)、 11 アノードB(絞り
部)、 12 アノードC(チムニー部)、 13 反
射電極、 14 ガス供給パイプ、 15 放電部、
16 イオン生成部、 16a イオン生成部のうち多
価イオン密度の低い場所、 16b イオン生成部のう
ち多価イオン密度の高い場所、 17 引き出し電極、
18 引き出し電源、 19 イオン取り出し口、
20 イオンビーム、 21 ビーム輸送系、 22
磁束吸収リング、 23 磁束、 24 磁束誘導部
材、25 水管、 26 磁性板、 27 放電室壁、
28 カバー、 29 封止リング、 30 リング
状の突起、 31 ガス抜き開口、 32 メッシュ、
33 蓋、 34 ステー、 35 ガス供給パイ
プ、 36 じゃま板 37 パイプ拡張部、 38 ガス供給パイプを複数連
結したガス供給パイプ 39 調整バルブ、 40 上部アノード電源、 41
絶縁リング、 42プラズマ、 43 抵抗、 44
金属パイプ、 45 絶縁パイプ、 46U字形磁
石、 47 棒状磁石、 48 環状ヨーク、 49
対向磁極、 50 電子流、 51 回転台、 52
回転モータ、 53 回転制御回路、54 スリット、
55 金属板A、 56 金属板B、 57 電流計
A、58 電流計B、 59 移動台、 60 レー
ル、 61 移動モータ、 62 回転移動制御回路、
63 後段スリット、 64 金属板C、 65 金
属板D、 66 電流計C、 67 電流計D
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北野 勝久 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社生産技術研究所内

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】供給されたガスを放電部で発生した電子に
    よりプラズマ化し、多価イオンを発生させるイオン生成
    部、磁束により電子の閉じ込めを行う手段、発生した多
    価イオンを取り出すための手段を有するイオン源におい
    て、イオン生成部で磁束を収束させる手段を備えたこと
    を特徴とするイオン源。
  2. 【請求項2】イオン生成部で磁束を収束させる手段を、
    少なくとも2つ以上有することを特徴とする特許請求の
    範囲第1項記載のイオン源。
  3. 【請求項3】イオン生成部で磁束を収束させる手段が、
    放電部の周辺に配置された高透磁率部材を含むことを特
    徴とする特許請求の範囲第1項に記載のイオン源。
  4. 【請求項4】放電部を取り囲むように高透磁率部材を配
    置し、かつ該高透磁率部材に取り囲まれた放電空間の磁
    束に垂直な断面の一部が小さくなるように配置したこと
    を特徴とする特許請求の範囲第3項記載のイオン源。
  5. 【請求項5】高透磁率部材の断面積が磁束に平行な方向
    で変化することを特徴とする特許請求の範囲第3または
    4項のいずれか1項に記載のイオン源。
  6. 【請求項6】磁束により電子の閉じ込めを行う手段によ
    って生成された磁束を、上記高透磁率部材に誘導する高
    透磁率材料からなる磁束誘導部材を備えたことを特徴と
    する特許請求の範囲第3〜5項のいずれか1項に記載の
    イオン源。
  7. 【請求項7】磁束誘導部材が磁束により電子の閉じ込め
    を行う手段の1部であることを特徴とする特許請求の範
    囲第6項記載のイオン源。
  8. 【請求項8】高透磁率部材の冷却手段を備えたことを特
    徴とする特許請求の範囲第3〜7項のいずれか1項に記
    載のイオン源。
  9. 【請求項9】イオン取り出し口の周辺に高透磁率部材を
    備えたことを特徴とする特許請求の範囲第1または2項
    のいずれか1項に記載のイオン源。
  10. 【請求項10】放電部内に熱伝導を抑制する手段を2重
    に備えたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の
    イオン源。
  11. 【請求項11】熱伝導を抑制する手段が放電部内に設け
    られた隔壁であることを特徴とする特許請求の範囲第1
    0項記載のイオン源。
  12. 【請求項12】隔壁の一部が放電部のカソードの一部を
    取り囲むように配置されたことを特徴とする特許請求の
    範囲第11項記載のイオン源。
  13. 【請求項13】放電部に配置したカソードとアノードと
    の間のギャップを櫛状に構成することを特徴とする特許
    請求の範囲第1項記載のイオン源。
  14. 【請求項14】櫛状のギャップにおいて、磁束に平行な
    方向のギャップ間隔が磁束に垂直な方向のギャップ間隔
    より短いことを特徴とする請求項13記載のイオン源。
  15. 【請求項15】放電部のカソードとアノードとの間にガ
    ス遮断物を配置したことを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載のイオン源。
  16. 【請求項16】ガス遮断物に導電性物質が付着すること
    を防止する手段を設けたことを特徴とする特許請求の範
    囲15項記載のイオン源。
  17. 【請求項17】ガス遮断物に導電性物質が付着すること
    を防止する手段がガス遮断物の放電部側に設けた溝であ
    ることを特徴とする特許請求の範囲16項記載のイオン
    源。
  18. 【請求項18】ガス遮断物に導電性物質が付着すること
    を防止する手段がガス遮断物の放電部側に設けられたカ
    バーであることを特徴とする特許請求の範囲16項記載
    のイオン源。
  19. 【請求項19】供給されたガスを放電部で発生した電子
    によりプラズマ化し、多価イオンを発生させるイオン生
    成部、磁束により電子の閉じ込めを行う手段、発生した
    多価イオンを取り出すための手段を有するイオン源にお
    いて、多価イオンを発生させるイオン生成部に圧力を制
    御する手段を備えたことを特徴とするイオン源。
  20. 【請求項20】イオン生成部の圧力制御手段が、イオン
    取り出し口とは独立に設けられた少なくとも1個以上の
    開口部によることを特徴とする特許請求の範囲第19項
    記載のイオン源。
  21. 【請求項21】イオン生成部の圧力制御手段が、ガス供
    給手段であることを特徴とする特許請求の範囲第19項
    記載のイオン源。
  22. 【請求項22】ガス供給手段がそれぞれ独立に制御され
    た複数個の供給手段からなることを特徴とする特許請求
    の範囲第21項記載のイオン源。
  23. 【請求項23】ガスをプラズマ化する放電部とイオン生
    成部とでガスの供給を独立に制御することを特徴とする
    特許請求の範囲第21または22項のいずれかに記載の
    イオン源。
  24. 【請求項24】ガスの種類またはガスの供給量により圧
    力を制御することを特徴とする特許請求の範囲第22ま
    たは23項に記載のイオン源。
  25. 【請求項25】供給されたガスを放電部で発生した電子
    によりプラズマ化し、多価イオンを発生させるイオン生
    成部、磁束により電子の閉じ込めを行う手段、発生した
    多価イオンを取り出すための手段を有するイオン源にお
    いて、放電部に配置した第1のアノードと多価イオンを
    発生させるイオン生成部に配置された第2のアノードと
    の間に電位差を設けたことを特徴とするイオン源。
  26. 【請求項26】電位差をもたせる手段として、放電部の
    第1のアノードとイオン生成部の第2のアノードとの間
    に抵抗を設置したことを特徴とする請求項25記載のイ
    オン源。
  27. 【請求項27】電位差をもたせる手段として、放電部と
    多価イオン生成部で電離度の異なるガスを供給すること
    を特徴とする請求項25項に記載のイオン源。
  28. 【請求項28】放電部に供給するガスとして不活性ガス
    を用いることを特徴とする請求項第27項に記載のイオ
    ン源。
  29. 【請求項29】ガス供給部の一部を絶縁物で構成し、該
    絶縁部内を通過するガス流を横切るように磁束を発生さ
    せる手段を備えたことを特徴とする特許請求の範囲第2
    5項に記載のイオン源。
  30. 【請求項30】磁界を発生させる手段が、永久磁石とそ
    れに接続された磁性部材からなることを特徴とした特許
    請求の範囲第29項記載のイオン源。
  31. 【請求項31】供給されたガスを放電部で発生した電子
    によりプラズマ化し、多価イオンを発生させるイオン生
    成部、磁束により電子の閉じ込めを行う手段、発生した
    多価イオンを取り出すための手段を有するイオン源にお
    いて、イオン取り出し口をイオン生成部の内壁より、イ
    オン生成部の中心軸に近付けて設けたことを特徴とする
    イオン源。
  32. 【請求項32】イオン生成部で生成されたイオンを、イ
    オン取り出し口から取り出し、該イオン取り出し口の前
    面に配置したイオン引き出し用の電極により引き出さ
    れ、イオンビームにして利用するイオン源において、イ
    オン源の駆動機構を備えたことを特徴とするイオン源。
  33. 【請求項33】イオンビームが通過する軌道上に、開口
    部を有する板を配置し、該板に流れ込む電流が最小にな
    るように、イオン源の位置を駆動することを特徴とする
    請求項32記載のイオン源。
  34. 【請求項34】開口部を有する板が複数であることを特
    徴とする特許請求の範囲第33項記載のイオン源。
  35. 【請求項35】ビーム軌道上の板の開口部通過点とイオ
    ン引き出し口との間のビーム軌跡長がほぼ一定になるよ
    うにイオン源の位置を制御することを特徴とする特許請
    求の範囲第33〜34項のいずれか1項に記載のイオン
    源。
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