JP3758459B2 - 記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばドットインパクトプリンタ等の記録装置に係り、特に紙送りローラ近傍にフラップを有した記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、斜め上方に配置された給紙装置からのカットシートを紙送りローラを経て記録部に供給する一方、上記給紙装置の略真下に配置されたトラクタを用いて連続シートを記録部に供給する機能を有し、カットシートまたは連続シートのいずれにも印刷できる機能を備えた記録装置が知られている。
【0003】
この種のものでは、図9に示すように、紙送りローラ71近傍にフラップ74を備えている。このフラップ74は、給紙装置CSFを用いてカットシートKが供給されるときには、シート案内76よりも上方へ突出して当該カットシートKを印字ヘッド75を含む記録部72に案内し、上記トラクタ73を用いて連続シート(不図示)が供給されるときには、シート案内76よりも下方へ後退して、当該シート搬送経路から外れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した従来の記録装置では、給紙装置CSFを用いてカットシートKが搬送される場合、下記の不都合が発生する。
【0005】
すなわち、フラップ74の上面74Aが直線的に傾斜しているため、例えば、図10に示すように、シート搬送時にカットシートKが紙送りローラ71に接触して、そこに図示のように巻き込まれ、紙送りローラ71にカットシートKが接触する接触角度θが大きくなるという問題がある。
【0006】
この接触角度θが大きくなると、例えばカットシートKが複写シートである場合、内側のシートK1と外側のシートK2間に層間ずれが発生するという問題がある。すなわち、紙送りローラ71の半径r、紙送りローラ71とシートKとの接触角度θ、シートの厚さtとした場合、内側のシートK1と外側のシートK2間の経路差ΔLは式(1)のようになる。
【0007】
ΔL=(r+t)θ−rθ=tθ…(1)
複写シートの枚数が多くなればなるほどtが大きくなるため、経路差ΔLが累積して大きな層間ずれとなり、外側のシートが早く進む。外側のシートが早く進むと、記録部においてシートに記録される文字等に位置ずれが発生し、正確な位置への印字ができなくなるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、給紙装置からのカットシートを紙送りローラを経て記録部に供給する場合、紙送りローラにカットシートが接触する接触角度θを抑制した記録装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、給紙装置からのカットシートを紙送りローラを経て記録部に供給する一方、上記給紙装置の略真下に配置された連続シート搬送装置を用いて上記カットシートの搬送方向と同一方向へ搬送して連続シートを記録部に供給する機能を有した記録装置において、上記紙送りローラ近傍に上記カットシートが供給されるときには突出し上記連続シートが供給されるときには後退するフラップを設け、このフラップの形状は、突出時において上記カットシートを上記紙送りローラのニップ部における接線に沿って略直線的に上記紙送りローラに導くように形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明では、フラップの形状が、上記カットシートを上記紙送りローラのニップ部における接線に沿って略直線的に上記紙送りローラに導くように形成されているため、シートに層間ずれが発生することがない。従って、記録部においてシートに記録される文字等に位置ずれが発生することがなく、正確な位置への印字が可能になる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、フラップが、その突出時において、上記紙送りローラのニップ部における接線に沿って略水平に延びる水平案内面を有したことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載のものにおいて、カットシートが複写シートであり、上記水平案内面が複写シートの層間ずれを防止可能な長さに設定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明では、上記フラップに水平案内面を有しているため、給紙装置からのカットシートを紙送りローラのニップ部における接線に沿って紙送りローラに導くことができ、当該複写シートに層間ずれが発生することがない。
【0015】
従って、記録部において、複写シートに記録される文字等に位置ずれが発生することがなく、正確な位置への印字が可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る記録装置の一実施形態が適用されたドットインパクトプリンタを示す斜視図である。このプリンタ10は、多数の記録ワイヤをインクリボン(共に図示せず)を介してシートに打ち付けてドットを記録することにより、文字を含む画像を印刷する形式のプリンタである。
【0018】
このプリンタ10は、記録装置本体としてのプリンタ本体11と、このプリンタ本体11の前方側に設置されてカットシートKを手差し可能に構成されたシート供給ガイド43と、上記プリンタ本体11の後方側に設置されてカットシートKを記録部に自動供給する給紙装置CSFとを有する。
【0019】
図2は、この給紙装置CSFを取り外したプリンタ本体11を示す。給紙装置CSFの略真下には連続シートを記録部に供給するプッシュトラクタユニット(連続シート搬送装置)12が配置されている。
【0020】
上記シートには、所定長さに切断された上記カットシートKと、複数枚が連接された連続シートとがある。カットシートKとしては、例えば単票紙、複写紙又はOHP(オーバヘッドプロジェクタ)シート等のカットフィルムがあり、連続シートとしては連続紙がある。
【0021】
上記プリンタ本体11は、記録機構部としての記録ヘッド及びキャリッジを備えるが、ここでは図示を省略する。
【0022】
図3は、プリンタ本体11のシート搬送機構部を示す。このシート搬送機構部30は、上記したプッシュトラクタユニット12に連なる紙送りローラ13と、プラテン20と、搬送ローラユニット21とを有して構成される。なお、記録機構部としての記録ヘッド及びキャリッジは、プラテン20の上方を当該プラテン20の軸方向に走査して移動される。
【0023】
図4は、プッシュトラクタユニット12を含むシート搬送機構部30の断面図である。上記したプッシュトラクタユニット12は、連続シート(例えば連続紙)を、プラテン20を備えた上記シート搬送機構部へ供給するものであり、左右一対のトラクタ28(図3)を有する。
【0024】
これらのトラクタ28は、トラクタ駆動軸29に回転一体且つ軸方向摺動自在に軸支されたトラクタ駆動プーリ(不図示)と、トラクタガイド軸30に回転自在且つ軸方向に摺動自在に軸支されたトラクタ従動プーリ(不図示)とにトラクタベルト31が巻き掛けられ、シート押え蓋32を備えて構成される。
【0025】
一対のトラクタ28間の距離は、搬送すべき連続シート(連続紙)の幅寸法に応じて調整可能とされる。また、トラクタベルト31の全外周に突設された複数本のピン(不図示)が、連続シートの幅方向両側に穿設されたピン孔(不図示)に係合可能とされる。
【0026】
上記シート搬送機構部30は、上述したように、搬送ローラユニット21と、プラテン20と、紙送りローラ13とで構成される。この紙送りローラ13は、図5に示すように、駆動ローラ軸40に固定された駆動ローラ41と、従動ローラ軸42にフリー回転自在に取り付けられた従動ローラ43とからなり、各ローラ41,43が対をなしてシートを搬送するよう構成される。
【0027】
搬送ローラユニット21とプラテン20と紙送りローラ13とは、図4に示すように、駆動輪列部34により時計方向または反時計方向に回転駆動される。また、プッシュトラクタユニット12のトラクタベルト31は、同様に駆動輪列部34により反時計方向に駆動される。
【0028】
上記従動ローラ軸42は、図6に示すように、従動ローラホルダ44の上部溝44Aに嵌合し、この従動ローラホルダ44によって支持されている。この従動ローラホルダ44は、圧縮ばね45のばね力によって、常に上方へ付勢されている。この状態では、圧縮ばね45のばね力によって上記従動ローラ43が上記駆動ローラ41に圧接している。
【0029】
この従動ローラホルダ44の上部溝44Aの近傍にはピン50が固定され、このピン50にはフラップ51の長孔51Aが係合している。このフラップ51の一端には、上記従動ローラ軸42が嵌合する上方を開口したU字状溝51Bが形成され、このフラップ51の他端は、図6に示す状態において、シート案内53よりも上方に突出している。
【0030】
このフラップ51の下面51Cと従動ローラホルダ44の下部片44B間には引っ張りばね52が張設され、この引っ張りばね52のばね力によって、フラップ51はピン50を支点に時計方向へ付勢されている。
【0031】
上記従動ローラホルダ44には下方を開口したU字状溝44Cが形成され、この溝44Cにはレリース軸46が嵌合している。
【0032】
このレリース軸46は、図5に示すように、その軸端46Aが図中右方へ延出し、この図中右方へ延出した軸端46Aには、図4に示すように、ピニオン47が連結されている。このピニオン47はラック48に噛み合い、このラック48の基体48Aは図中左方へ延出して、レリースレバー49に連結されている。このレリースレバー49が、矢印A,Bの方向へ移動した場合、ラック48が同一方向へ移動し、ピニオン47を介してレリース軸46が回動する。
【0033】
このレリース軸46の軸部にはカム(不図示)が形成され、このレリース軸46が連続シート位置に回動した場合、図7に示すように、上記カムの作用によって、従動ローラホルダ44が、ばね45のばね力に抗して下方へ押し下げられる。これが押し下げられた場合、従動ローラホルダ44の下部片44Bの位置が下がるため、引っ張りばね52に引っ張られて、フラップ51が時計方向へ回動し、このフラップ51はシート案内53よりも下方に後退する。
【0034】
この状態では、引っ張りばね52のばね力によって、上記従動ローラ43が上記駆動ローラ41に圧接するものの、引っ張りばね52のばね力は弱く設定されるため、上記従動ローラ43による圧接力は弱い。
【0035】
上記レリース軸46の軸部には、図6または図7に示すように、断面形状が略Y字状となる部分46Bが設けられる。この部分46Bには窪み部46Cが形成され、上記したようにレリース軸46が回動すると、窪み部46Cの位置が、図6または図7に示すように変位する。
【0036】
他方、上記フラップ51の下面51Cには、下方に一体的に延びる垂下部51Dが形成され、このフラップ51の垂下部51Dの下端には、図6に示す状態において、レリース軸46の部分46Bの規制部46Dに当接可能なストッパ51Eが一体形成されている。
【0037】
これによれば、図6に示す状態において、フラップ51を時計方向へ回動させる力が作用した場合、ストッパ51Eが規制部46Dに当接し、それ以上のフラップ51の回動が阻止される。
【0038】
単票紙又は複写紙等のカットシートKが供給される場合、レリースレバー49がカットシート位置に移動され、上記のように、従動ローラホルダ44が、圧縮ばね45のばね力によって付勢され、従動ローラ43が駆動ローラ41に圧接し、フラップ51がシート案内53より上方へ突出する。
【0039】
この状態で、いわゆる手差し供給の場合、カットシートKは、プリンタ本体11の前方側から手動供給された後、搬送ローラユニット21とプラテン20と紙送りローラ13の時計方向の回転(シート供給モータは逆転)により、プリンタ本体11の前方から後方へ向かって、図4の矢印Bで示す方向に搬送され、また、搬送ローラユニット21とプラテン20と紙送りローラ13の反時計方向の回転(シート供給モータは正転)により、プリンタ本体11の後方から前方へ向かって矢印A方向に搬送されて、プラテン20に対向した印字ヘッド69を含む記録部に供給される。
【0040】
カットシートKが、図4の矢印Bで示す方向に搬送される場合、搬送方向前方に、プッシュトラクタユニット12が位置する。しかし、この場合、図6に示すように、フラップ51がシート案内53よりも上方へ突出しているため、このフラップ51に案内されて、カットシートKが、プッシュトラクタユニット12に衝突せず、その上に乗り上げるように搬送される。
【0041】
また、カットシートKが厚紙等の場合、このカットシートKの剛性によって、フラップ51を時計方向に回動させる力が発生する。この場合、上記のように、ストッパ51Eが規制部46Dに当接し、それ以上のフラップ51の回動が阻止されるため、フラップ51の突出位置が保持される。
【0042】
給紙装置CSFを用いた自動供給の場合、図8に示すように、給紙装置CSFの補助ローラ65を経て矢印C方向へカットシートKが供給され、このカットシートKが、搬送ローラユニット21とプラテン20と紙送りローラ13の反時計方向の回転(シート供給モータは正転)により、プリンタ本体11の後方から前方へ向かって図4の矢印A方向に搬送されて、プラテン20に対向した印字ヘッド69を含む記録部に供給される。
【0043】
他方、連続紙等の連続シートが供給される場合、レリースレバー49が連続シート位置に移動され、図7に示すように、従動ローラホルダ44が下方へ押し下げられ、フラップ51がシート案内53よりも下方へ後退する。
【0044】
連続紙等の連続シートRは、プッシュトラクタ12によってプリンタ本体11の後方側から矢印D方向(図4の矢印A方向)に供給された後、紙送りローラ13と搬送ローラユニット21とにより同方向(図4の矢印A方向)に搬送されて、プラテン20に対向した印字ヘッド69を含む記録部に供給される。
【0045】
本実施形態では、図8に示すように、上記給紙装置CSFを用いたカットシートKの自動供給の場合、紙送りローラ13に対してカットシートKが略直線的に導かれるように、フラップ51の形状が規定される。
【0046】
すなわち、上記フラップ51の上面が、カットシートKを紙送りローラ13に対して略直線的に導くための略水平に延びる水平案内面51Fを有し、この水平案内面51Fに連続して突出面51Gを有して構成されている。
【0047】
なお、この突出面51Gは、上述したように、カットシートKが、図4の矢印Bで示す方向に搬送される場合、当該カットシートKを、図6に示すように、上方へ跳ね上げて、プッシュトラクタユニット12に衝突させずに、その上を乗り上げるように搬送するために機能する。
【0048】
例えば、上記カットシートKが複写シートである場合、図10に示すように、カットシートKが紙送りローラ13の駆動ローラ41に巻き付くように供給されると、当該複写シートに層間ずれが発生し、内側のシートに比べて、外側のシートが早く進み、プリンタ本体11の記録部において、各複写シートに記録される文字等に位置ずれが発生する。
【0049】
本実施形態では、上記フラップ51の上面に水平案内面51Fを有しているため、給紙装置CSFからのカットシートKを紙送りローラ13に対して略直線的に導くことができ、当該複写シートに層間ずれが発生することがない。
【0050】
従って、複写シートからなるカットシートKを供給した場合、内側のシートに比べて、外側のシートが早く進むようなことがなく、プリンタ本体11の記録部において、各複写シートに記録される文字等に位置ずれが発生することがなく、正確な位置への印字が可能になる。
【0051】
このことから見ると、水平案内面51Fの長さは、紙送りローラ13を経て複写シートを搬送するときに、当該複写シートに発生が予測される層間ずれを防止可能な長さに設定することが望ましい。
【0052】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0053】
【発明の効果】
本発明では、フラップの形状が、突出時において上記カットシートを上記紙送りローラのニップ部における接線に沿って略直線的に上記紙送りローラに導くように形成されているため、当該シートに層間ずれが発生することがない。従って、記録部においてシートに記録される文字等に位置ずれが発生することがなく、正確な位置への印字が可能になる。
【0054】
また、本発明では、フラップに水平案内面を有しているため、給紙装置からのカットシートを紙送りローラのニップ部における接線に沿って紙送りローラに導くことができ、当該複写シートに層間ずれが発生することがない。
【0055】
従って、記録部において、複写シートに記録される文字等に位置ずれが発生することがなく、正確な位置への印字が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施の形態が適用されたドットインパクトプリンタのプリンタ本体を示す斜視図である。
【図2】給紙装置CSFを取り外したプリンタ本体を示す斜視図である。
【図3】プリンタ本体のシート搬送機構部を示す斜視図である。
【図4】図3の断面図である。
【図5】紙送りローラを示す斜視図である。
【図6】シート搬送機構部を示す拡大断面図である。
【図7】シート搬送機構部を示す拡大断面図である。
【図8】シート搬送機構部を示す拡大断面図である。
【図9】従来のシート搬送機構部を示す拡大断面図である。
【図10】複写シートの層間ずれを説明する図である。
【符号の説明】
10 プリンタ(記録装置)
11 プリンタ本体
13 紙送りローラ
20 プラテン
21 搬送ローラユニット
51 フラップ
53 シート案内
51F 水平案内面
51G 突出面
CSF 給紙装置
K カットシート
Claims (3)
- 給紙装置からのカットシートを紙送りローラを経て記録部に供給する一方、上記給紙装置の略真下に配置された連続シート搬送装置を用いて上記カットシートの搬送方向と同一方向へ搬送して連続シートを記録部に供給する機能を有した記録装置において、
上記紙送りローラ近傍に上記カットシートが供給されるときには突出し上記連続シートが供給されるときには後退するフラップを設け、このフラップの形状は、突出時において上記カットシートを上記紙送りローラのニップ部における接線に沿って略直線的に上記紙送りローラに導くように形成されていることを特徴とする記録装置。 - 上記フラップが、その突出時において、上記紙送りローラのニップ部における接線に沿って略水平に延びる水平案内面を有したことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
- 上記カットシートが複写シートであり、上記水平案内面が複写シートの層間ずれを防止可能な長さに設定されていることを特徴とする請求項2記載の記録装置。
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