JP3758288B2 - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク流路のアクチュエータ基板に形成された電極に保護膜を形成したインクジェットヘッドおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリ装置等の通信装置やパーソナルコンピュータ等の情報処理装置は、通常、文字や図形からなるデータを視覚情報として記録するように、これらのデータを用紙に記録可能な記録装置を有している。この記録装置には、インパクト方式や感熱方式、インクジェット方式等の各種の印字方式が採用されているが、近年においては、静粛性に優れていると共に各種材質の用紙に印字可能なインクジェット方式を採用したインクジェット記録装置が注目されている。
【0003】
上記のインクジェット記録装置は、用紙に文字や図形を印字するように、用紙に対してインク滴を噴出する多数のノズルを有したインクジェットヘッドを有している。インクジェットヘッドは、通常、ノズルに連通されたインク流路の側壁を分極処理した圧電材料で構成すると共に側壁面に電極を形成することにより構成されており、電極を介して駆動電界を側壁に印加することにより側壁を屈曲させてインク流路の容積を変化させることによって、インク圧力を増減させてインク流路に対するインクの排出(噴出)と供給とを行うようになっている。この際、インク流路の側壁面に形成された電極がインクに接触すると、電極がインクにより腐食して早期に損耗するため、従来は、電極とインクとが接触しないように、電極の表面に保護膜が形成されている。具体的には、電極に有機物からなる下地層を形成することにより電極表面の面粗さを平滑化した後、この下地層に耐インク性の大きな無機物からなる表面層を形成することによって、電極に保護膜が強固に結び付くように形成されている。
【0004】
このように2層の保護膜を形成するのは以下の理由による。電極に無機物の保護膜を直接形成すると、下地の圧電材料に特有の凹凸や、その上に形成された電極にも凹凸があって、その凹凸のシャドー効果により、空孔部分には成膜できず、電極を完全に保護できないという問題があった。そして電極が露出していると、駆動時に付加される電圧により電流が流れ電極が腐食し、インクの噴出ができなくなったり、インク中の水分によっても腐食が促進されるといった問題がある。また、保護膜を有機物だけで形成した場合、上記のような凹凸部の皮膜が可能となるが、有機物の膜は空気中の水分を吸収し、マイクロウオーターとして膜中に水分を保持してしまうため、この水分が電極に達し、電極の腐食を誘引するいった問題があった。さらには絶縁耐圧も無機物に比べて2桁低く、長期にわたり使用していると、経時変化や外界からの刺激により電気的絶縁破壊を起こし易く、インク噴出ができなくなるという問題があるためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のように、有機物からなる下地層に無機物からなる表面層を形成した構成では、線膨張係数等の物性値が有機物の下地層と無機物の表面層とで大きく異なるため、インクジェットヘッドの製造時やインク滴の噴出時において急激な温度変化等があると、下地層と表面層とに大きなストレスが生じることによって、例えば表面層にクラックが発生する等の保護膜に損傷が生じ易いものとなる。
【0006】
従って、本発明は、インクジェットヘッドの製造時やインク滴の噴出時において急激な温度変化等があっても、保護膜に損傷が生じ難いインクジェットヘッドを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
【0009】
請求項1の発明は、分極された圧電材料からなりインク流路が形成されたアクチュエータ基板に形成された電極をインクから保護するように、該電極に保護膜を形成したインクジェットヘッドの製造方法であって、分極された圧電材料からなる前記アクチュエータ基板の電極に有機物からなる下地層を形成する第1工程と、前記アクチュエータ基板の分極特性を低下させない所定の温度範囲で、TEOSガスからなる原料ガスと、不活性ガス及び水素のうちの1種類又は複数種類の組み合わせからなるガスとを反応させることによって、前記原料ガスから生成される二酸化珪素と同じ原料ガスから生成される有機物とを含む中間層を前記下地層に形成する第2工程と、前記ガスを酸素ガスに切り換えて、前記所定の温度範囲で、前記原料ガスと酸素ガスとを反応させることによって、二酸化珪素からなる表面層を前記中間層に形成する第3工程とを有したことを特徴としている。
【0010】
これにより、中間層が表面層よりも小さな含有率で無機物である二酸化珪素を含むため、線膨張係数等の物性値が有機物の下地層と二酸化珪素の表面層との中間の値を示すことになる。従って、インクジェットヘッドの製造時において、下地層と表面層とに物性上の相違から大きなストレスが生じても、このストレスを中間層が吸収することによって、ストレスによる保護膜の損傷を低減させることができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、前記アクチュエータ基板を130℃〜220℃に加熱しながら、前記第2工程および前記第3工程における中間層および表面層の形成を化学蒸着法により行うことを特徴としている。これにより、圧電材料の分極特定を低下させない範囲で良好な膜質を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1ないし図6に基づいて以下に説明する。本実施の形態に係るインクジェットヘッドは、図2に示すように、アクチュエータ基板2とプレート部材4とノズルプレート6とマニホールド部材7とを有している。アクチュエータ基板2は、チタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)のセラミックス材料からなる圧電材料で形成されており、一方面にダイヤモンドブレード等により切削加工された複数のインク溝14およびダミーインク溝15が形成されている。
【0013】
上記のインク溝14は、アクチュエータ基板2の前方端から後方端にかけて所定深度で形成されている。一方、ダミーインク溝15は、アクチュエータ基板2の前方端から後方端側の近傍まで所定深度で形成された後、後方端においてアクチュエータ基板2の上面と面一となるように立ち上げられて形成されている。そして、これらのインク溝14およびダミーインク溝15は、アクチュエータ基板2の裏面方向27に分極処理された側壁20を介して交互に形成されており、側壁20の壁面上部には、裏面方向27に対して直交方向に電界を印加するように電極22が蒸着やメッキにより形成されている。
【0014】
上記のアクチュエータ基板2の一方面には、セラミックス材料や樹脂材料からなる平板状のプレート部材4がエポキシ系の接着剤を用いて接合されている。プレート部材4は、図4に示すように、接着層24を介して側壁20の上面に液密状態に密接されており、インク溝14の上面を覆うことによりインク流路となるインク室10を形成させていると共に、図3に示すように、ダミーインク溝15を覆うことによりダミーインク室11を形成させている。そして、このようにインク室10およびダミーインク室11を形成するアクチュエータ基板2およびプレート部材4の前方端には、ノズルプレート6が上述のエポキシ系の接着剤を用いて接合されている。
【0015】
上記のノズルプレート6は、インク室10に対応した位置にノズル30が形成されており、ノズル30は、インク室10の容積が減少されてインク室10内のインクが加圧されたときに、インクを外部へ噴出させるようになっている。尚、ノズルプレート6は、ポリアルキレンや(例えばエチレン)テレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース等のプラスチックにより形成されている。
【0016】
一方、アクチュエータ基板2およびプレート部材4の後方端側には、マニホールド部材7が接合されている。マニホールド部材7の中心部には、インク供給口31が形成されており、図示しないインクタンクからインクが供給されるようになっている。そして、マニホールド部材7は、全インク室10に連通した共通インク室9を形成しており、インク室10が容積を拡大したときに、このインク室10にインクを供給するようになっている。
【0017】
上記のようにしてインクが供給されるインク室10の壁面には、図1に示すように、保護膜16が形成されている。保護膜16は、電極22を覆うように形成された有機物からなる下地層17と、インクに接触するように設けられた無機物からなる表面層18とを有している。下地層17と表面層18との間には、線膨張係数等の物性値が有機物の下地層と無機物の表面層との中間の値を示すように、無機物を表面層18よりも小さな含有率で含む中間層19が設けられている。そして、この中間層19は、インクジェットヘッドの製造時やインク滴の噴出時において、下地層17と表面層18とに物性上の相違から大きなストレスが生じても、このストレスを吸収することによって、ストレスによる損傷を低減させるようになっている。
【0018】
上記の下地層17は、エポキシ系樹脂やシリコン樹脂、フッ素樹脂、芳香族ポリアミド、付加重合型ポリイミド、フタル酸樹脂等をスピンコート処理することにより形成されていたり、ポリキシリレン樹脂等を化学気相処理することにより形成されている。また、表面層18は、二酸化珪素(SiO2 )や酸化シリコン、酸化バナジウム、酸化ニオブ等の酸化物や、酸化物および窒化物の混合物を化学蒸着法(CVD)やゾルゲル法、真空蒸着、スパッタリングにより成膜することで形成されている。また、中間層19は、表面層18を形成する酸化物や混合物からなる無機物を表面層18以下の濃度で含むように、例えばシリコンを含む原料ガスと前記下地層に対してエッチングの少ないガスとを例えば化学蒸着法(CVD)において反応させることにより形成されている。
【0019】
上記の構成において、インクジェットヘッドの製造方法および動作について説明する。尚、下地層17の有機物にエポキシ系樹脂を使用し、表面層18および中間層19の無機物に二酸化珪素(SiO2 )を使用するものとする。
【0020】
本実施形態においては、アクチュエータ基板2としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いているため、機械加工により形成された溝表面、即ち、側壁20の表面は、加工時にPZT粒子の粒界破壊および粒内破壊が生じるため、表面粗さRaにして3ほどの凹凸が存在する他、ブレードの歯跡も存在するなど、平滑性があまり良くない。従って、このようなアクチュエータ基板2の側壁20の壁面に形成された電極22は、形成方法にもよるが、下地のアクチュエータ基板2の凹凸をほぼ模倣する形で形成される。
【0021】
これにより、先ず、エポキシ系樹脂をスピンコート、キュアにより側壁20全体を覆うようにして有機膜の下地層17を形成する。このとき、エポキシ系樹脂の塗布溶液の粘度、硬化剤の種類、回転スピード、キュア温度等を選択することにより前述のアクチュエータ基板2に起因する凹凸が埋め込まれることによって、なだらかなうねりは存在するものの、平滑な下地層17が有機物の連続膜により形成される(第1工程)。
【0022】
次に、下地層17上に無機物を含んだ中間層19をCVD法により真空成膜する。即ち、図5に示すように、CVD装置のチャンバー71内にアクチュエータ基板2を搬入し、ヒータ70を接合されたワークトレイ74に載置する。そして、ヒータ70およびワークトレイ74を昇降することによって、アクチュエータ基板2をシャワー電極72から所定距離となるように位置決めする。この後、ヒータ70に通電することによりワークトレイ74を介してアクチュエータ基板2を加熱すると共に、チャンバー71内を真空引きする。アクチュエータ基板2が130℃〜220℃の温度範囲およびチャンバー71内が所定の真空度に到達したときに、TEOS(正珪酸エチル“Si(OC2 H5 )4 ”)原料ガスとArガスとをチャンバー71内に供給する。そして、両ガスを反応させることによって、二酸化珪素(SiO2 )からなる無機物と有機物とを含む中間層19を下地層17に形成させる(第2工程)。尚、中間層19を成膜する工程において、Arガスに代えて、He、Ne等の不活性ガスおよびH2 など下地層17に対しエッチング(腐食)の少ないガスを1種類または複数組み合わせて用いることができる。
【0023】
この後、中間層19の形成が完了すると、Arガスの供給を停止する一方、O2 ガスの供給を開始し、TEOS原料ガスとO2 ガスとを反応させる。そして、略100%の二酸化珪素(SiO2 )からなる無機物を中間層19上に成膜させることによって、表面層18を形成する(第3工程)。
【0024】
上記のようにして保護膜16の形成が完了すると、アクチュエータ基板2をCVD装置のチャンバー71内から取り出し、図2に示すように、アクチュエータ基板2の一方面全体にエポキシ系樹脂からなる接着剤を塗布する。そして、アクチュエータ基板2上にプレート部材4を重ね合わせて接合した後、アクチュエータ基板2およびプレート部材4の両端に接着剤を塗布してノズルプレート6およびマニホールド部材7をそれぞれ押し付けて接合する。この後、電極22に接続された図示しない電極パターンにフレキシブル基板を接続し、図示しない制御部材からの駆動信号を各電極22に印加可能にしたインクジェットヘッドに組み立てる。
【0025】
上記のインクジェットヘッドは、インクジェット記録装置に組み付けられる。そして、図6に示すように、与えられた印字データに従って、例えば特定の印字チャンネルに対応するインク室10Bが選択されると、制御部材からインク室10Bの電極22B・22Cに対して駆動電圧が出力されると共に、このインク室10Bの両側に位置するダミーインク室11A・11Cの電極22A・22Dが接地されてGND電位とされる。そして、インク室10Bの側壁20A・20Bにおいて、ダミーインク室11A・11C側からインク室10B方向に向かう駆動電界がそれぞれ発生することによって、分極された側壁20A・20Bが圧電厚みすべり効果により互いに接近するように屈曲する。従って、インク室10Bが両側壁20A・20Bの屈曲により容積を減少させることから、インク室10B内のインクが加圧されることによりノズル30からインク滴として噴出することになる。
【0026】
この後、駆動電圧が停止されると、側壁20A・20Bが屈曲前の状態に復帰することによって、インク室10B内のインク圧力が低下する。これにより、共通インク室9のインクがインク室10B内に供給され、インク滴の噴出量に相等するインクが補充されることによって、次回のインク滴の噴出に備えられる。
【0027】
以上のように、本実施形態のインクジェットヘッドは、図1に示すように、インク室10(インク流路)のアクチュエータ基板2に形成された電極22をインクから保護するように、該電極22に保護膜16を形成したものであり、保護膜16は、電極22に形成され、有機物からなる下地層17と、インクに接触するように設けられ、二酸化珪素(SiO2 )等の無機物からなる表面層18と、下地層17と表面層18との間に設けられ、無機物を下地層17よりも小さな含有率で含む中間層19とを有する構成にされている。
【0028】
これにより、中間層19が表面層18よりも小さな含有率で無機物を含むため、線膨張係数等の物性値が有機物の下地層17と無機物の表面層18との中間の値を示すことになる。従って、インクジェットヘッドの製造時やインク滴の噴出時において、下地層17と表面層18とに物性上の相違から大きなストレスが生じても、このストレスを中間層19が吸収することによって、ストレスによる保護膜16の損傷を低減させることができるようになっている。
【0029】
また、上記のインクジェットヘッドの製造方法であって、アクチュエータ基板2の電極22に有機物からなる下地層17を形成する第1工程と、シリコンを含むTEOS等の原料ガスとArガス等の下地層17に対してエッチングの少ないガスとを反応させることによって、二酸化珪素(SiO2 )を含む中間層19を下地層17に形成する第2工程と、原料ガスと酸素とを反応させることによって、二酸化珪素(SiO2 )からなる表面層18を中間層19に形成する第3工程とを有した構成にされている。尚、原料ガスとしては、TEOSの他、モノシラン(SiH4 )を用いることができる。
【0030】
これにより、中間層19が表面層18よりも小さな含有率で無機物である二酸化珪素(SiO2 )を含むため、線膨張係数等の物性値が有機物の下地層17と二酸化珪素の表面層18との中間の値を示すことになる。従って、インクジェットヘッドの製造時において、下地層17と表面層18とに物性上の相違から大きなストレスが生じても、このストレスを中間層19が吸収することによって、ストレスによる損傷を低減させることができるようになっている。
【0031】
また、アクチュエータ基板2が分極されたチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)等の圧電材料からなり、アクチュエータ基板2を130℃〜220℃に加熱しながら、第2工程および第3工程における中間層19および表面層18の形成を化学蒸着法により行う構成にされている。上記220℃を越えると圧電材料の分極特性の劣化が徐々に進行し、インクジェットヘッドの性能に影響を与えるようになる。上記本実施形態では、圧電材料の分極特性を低下させない範囲で良好な膜質を得ることができるようになっている。尚、圧電材料には、チタン酸鉛系(PT)のセラミックス材料を用いることもできる。
【0032】
上記の実施形態では、側壁20の上半分に電極22を形成しているが、側壁の全高さにわたって電極を形成しても良い。この場合、側壁を上下に積層した複数の圧電材料で形成し、各層の分極方向を相互に反対方向にする。また、各層間に電極を挟持し、側壁の側面に露出する電極の端面を保護膜16で覆うこともできる。その他、インク流路のインクを加熱してその上記圧力でインクを噴出するもの等、各種のインクジェットヘッドにおいて、インク流路に露出する電極を覆う保護膜に、本発明は適用することができる。
【0033】
【発明の効果】
【0034】
【0035】
請求項1の発明は、分極された圧電材料からなりインク流路が形成されたアクチュエータ基板に形成された電極をインクから保護するように、該電極に保護膜を形成したインクジェットヘッドの製造方法であって、分極された圧電材料からなる前記アクチュエータ基板の電極に有機物からなる下地層を形成する第1工程と、前記アクチュエータ基板の分極特性を低下させない所定の温度範囲で、TEOSガスからなる原料ガスと、不活性ガス及び水素のうちの1種類又は複数種類の組み合わせからなるガスとを反応させることによって、前記原料ガスから生成される二酸化珪素と同じ原料ガスから生成される有機物とを含む中間層を前記下地層に形成する第2工程と、前記ガスを酸素ガスに切り換えて、前記所定の温度範囲で、前記原料ガスと酸素ガスとを反応させることによって、二酸化珪素からなる表面層を前記中間層に形成する第3工程とを有した構成である。
【0036】
これにより、中間層が表面層よりも小さな含有率で無機物である二酸化珪素を含むため、線膨張係数等の物性値が有機物の下地層と二酸化珪素の表面層との中間の値を示すことになる。従って、インクジェットヘッドの製造時において、下地層と表面層とに物性上の相違から大きなストレスが生じても、このストレスを中間層が吸収することによって、ストレスによる保護膜の損傷を低減させることができるという効果を奏する。
【0037】
請求項2の発明は、請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法であって、前記アクチュエータ基板を130℃〜220℃に加熱しながら、前記第2工程および前記第3工程における中間層および表面層の形成を化学蒸着法により行う構成である。これにより、圧電材料の分極特性を低下させない範囲で良好な膜質を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 保護膜の形成状態を示す説明図である。
【図2】 インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図3】 インクジェットヘッドの縦断面図である。
【図4】 インクジェットヘッドの縦断面図である。
【図5】 CVD装置の概略構成図である。
【図6】 インク室の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
2 アクチュエータ基板
4 プレート部材
6 ノズルプレート
7 マニホールド部材
9 共通インク室
10 インク室
11 ダミーインク室
14 インク溝
15 ダミーインク溝
16 保護膜
17 下地層
18 表面層
19 中間層
20 側壁
22 電極
30 ノズル
31 インク供給口
Claims (2)
- 分極された圧電材料からなりインク流路が形成されたアクチュエータ基板に形成された電極をインクから保護するように、該電極に保護膜を形成したインクジェットヘッドの製造方法であって、
分極された圧電材料からなる前記アクチュエータ基板の電極に有機物からなる下地層を形成する第1工程と、
前記アクチュエータ基板の分極特性を低下させない所定の温度範囲で、TEOSガスからなる原料ガスと、不活性ガス及び水素のうちの1種類又は複数種類の組み合わせからなるガスとを反応させることによって、前記原料ガスから生成される二酸化珪素と同じ原料ガスから生成される有機物とを含む中間層を前記下地層に形成する第2工程と、
前記ガスを酸素ガスに切り換えて、前記所定の温度範囲で、前記原料ガスと酸素ガスとを反応させることによって、二酸化珪素からなる表面層を前記中間層に形成する第3工程と
を有したことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。 - 前記アクチュエータ基板を130℃〜220℃に加熱しながら、前記第2工程および前記第3工程における中間層および表面層の形成を化学蒸着法により行うことを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法。
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