JP3757781B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクカートリッジから供給されたインクをインク滴として吐出する記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録装置の記録ヘッドは、インクをインク滴として吐出するヘッド本体と、このヘッド本体に供給するインクを貯留するインクカートリッジとを備えている。そして、上記記録ヘッドにインク供給針が設けられるとともに、インクカートリッジにインク供給口が設けられ、上記インク供給口に挿入されたインク供給針を介してヘッド本体にインクが補給されるように構成されている。
【0003】
より詳しく説明すると、上記記録ヘッドは、例えば、図10に示すように、ヘッドホルダ50の下面に、印字信号に対応してインク滴を吐出するヘッド本体51が取り付けられ、上記ヘッドホルダ50の上部には、インクカートリッジ52が収容されるカートリッジケース62が設けられている。上記インクカートリッジ52は、その下面に、位置決め突部63が形成されるとともに、この位置決め突部63の下面に、インク供給口54が形成されている。このインク供給口54の開口は、インクカートリッジ52が装着されるまでは、フィルム64で封止されている。
【0004】
一方、上記ヘッドホルダ50の上面には、上記位置決め突部63が嵌合する凹部61が形成され、この凹部61に、インク供給針53が立設されている。この例は、4色のインクを用いて印刷する装置であり、インク供給針53は、各色ごとに4本設けられている。なお、図10は、インクカートリッジ52が装着される前の状態を示している。
【0005】
上記インク供給針53の先端部は、図11に示すように、インク供給口54のフィルム64を容易に突き破れるように円錐状に形成されている。そして、先端の傾斜面58の部分に、上下に貫通するインク誘導孔56が穿設されている。そして、インク供給針53の内部には、上記インク誘導孔56に連通する第1インク流路55が形成され、ヘッドホルダ50には、インク供給針53の第1インク流路55内に誘導されたインクをヘッド本体51に供給する第2インク流路67が形成されている。そして、上記第2インク流路67の入り口部分には、インクカートリッジ52から供給されたインクをろ過するフィルタ59が設けられている。
【0006】
上記記録ヘッドでは、インクカートリッジ52を装着する際、インク供給針53の先端が、インクカートリッジ52のインク供給口54を封止するフィルム64を突き破り、インク供給口54内にインク供給針53が挿通される。そして、インク供給針53のインク誘導孔56および第1および第2インク流路55,67を通って、インクカートリッジ52内のインクがヘッド本体51に供給されるようになっている。
【0007】
上記第1および第2インク流路55,67は、フィルタ59の面積を確保して異物捕捉量を多くするとともに圧力損失を小さくするため、フィルタ59の近傍で断面積が大きくなるようにフィルタ59に向かって広がっており、この部分にフィルタ室60が形成されている。また、上記第2インク流路67は、インクカートリッジ52よりも幅寸法が小さいヘッド本体51にインクを導くため、中央のヘッド本体51に向かって斜めに延びるように設けられている(図10参照)。
【0008】
上記記録ヘッドは、インクカートリッジ52とともにキャリッジ(図示せず)に搭載され、上記キャリッジにより記録用紙の幅方向に往復動してヘッド本体51に設けられたノズル開口からインク滴を吐出して印刷を行い、印刷で消費されたインクは、インクカートリッジ52からインク供給針53を介してヘッド本体51に供給される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記記録ヘッドでは、フィルタ室60が広がっているため、その部分でのインクの流速が小さくなり、第1インク流路55内を流れてきた気泡がフィルタ室60の上部空間に留まりやすい。このようなフィルタ室60の上部空間に留まった気泡は、定期的な強制吸引(クリーニング)により吸引除去することが行なわれている。しかしながら、上記記録ヘッドでは、フィルタ室60の上部空間が広がっているため、この部分に留まった気泡が成長して大きくなりやすい。フィルタ室60の上部空間の気泡が大きく成長すると、定期クリーニングでは吸引除去できなくなり、印字中にフィルタ59を通り抜けてヘッド本体51に達し、ノズルダウンを引き起こして印字できなくなるおそれがある。
【0010】
また、フィルタ59が流路67の上流端に設けられているため、流路67内に異物が混入すると、フィルタ59で捕捉できずにヘッド本体51に流入し、印字トラブル等が発生するおそれがある。
【0011】
しかも、上記記録ヘッドでは、インクカートリッジ52よりも幅寸法が小さいヘッド本体51にインクを導くため、流路67がヘッド本体51に向かって斜めに延びるように形成されている。このように、流路67を斜めに形成させているため、記録ヘッド自体の高さ寸法を小さくすることにも限界があり、近年のインクジェット式記録ヘッドに求められている小型化への要求に応えられるものではない。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、フィルタ室の気泡の成長を防止し、印字トラブルの発生を未然に防ぎうるインクジェット式記録装置の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット式記録装置は、インク滴を吐出するヘッド本体と、上記ヘッド本体に供給されるインクが貯留されたインクカートリッジと、上記インクカートリッジのインクをヘッド本体に導く流路とを備え、上記流路のいずれかの箇所に、ヘッド本体に供給されるインクをろ過するフィルタが設けられたフィルタ室が形成され、上記フィルタ室のフィルタより上流側の空間に、実質的にインクが流れる方向に延びる壁部が設けられ、上記壁部によりフィルタ室のフィルタより上流側の空間が複数に分割されていることを要旨とする。
【0014】
すなわち、本発明のインクジェット式記録装置は、インクカートリッジのインクをヘッド本体に導く流路を備え、上記流路のいずれかの箇所に、ヘッド本体に供給されるインクをろ過するフィルタが設けられたフィルタ室が形成され、上記フィルタ室のフィルタより上流側の空間に、実質的にインクが流れる方向に延びる壁部が設けられ、上記壁部によりフィルタ室のフィルタより上流側の空間が複数に分割されている。このため、フィルタ室のフィルタより上流側の空間に気泡が留まったとしても、上記気泡は壁部に遮られるとともに、仕切られた小さな空間より大きくなれない。したがって、上記空間に留まる気泡は、強制吸引で除去できる程度の大きさで止まり、定期クリーニング等で除去されやすいため、従来のように印字中にフィルタを通り抜けてノズルダウンを引き起こすようなことがほとんどなくなり、印字トラブルの発生を未然に防ぐことができる。
【0016】
本発明のインクジェット式記録装置において、上記フィルタ室のインクが流れる方向に直交する方向での断面積が、流路のインクが流れる方向に直交する方向での断面積より大きくなるよう設定されている場合には、フィルタ面積を大きくとって異物の捕捉量を確保することができる。また、フィルタ室でのインクの流速が低下しやすく、フィルタ室の上流側の空間に気泡が留まりやすいため、上記空間の気泡の成長を防止する本発明の効果が顕著で効果的である。
【0017】
本発明のインクジェット式記録装置において、上記フィルタのフィルタ面が、実質的に重力方向と交差する方向に配置されている場合や、フィルタを通過するインクが実質的に重力方向に向かって流れるものである場合には、フィルタの上流側の空間がフィルタの上側に位置し、フィルタの上流側に気泡を捉えて下流側に気泡が残りにくくなる。
【0018】
本発明のインクジェット式記録装置において、フィルタ室のフィルタより上流側の空間が上窄まり状に形成されている場合には、壁部で仕切られた空間も上部にいくほど狭くなり、気泡がそれだけ成長しにくくなって印字トラブルの発生を確実に防ぐことができる。
【0019】
本発明のインクジェット式記録装置において、フィルタ室のフィルタより上流側の空間のうち、窄まった上側の部分が、壁部が形成されない空間になっている場合には、窄まった上側の部分でのインクの流れを遮りにくい。
【0020】
本発明のインクジェット式記録装置において、上記流路は上記インクカートリッジに差し込まれるインク供給針の内部に形成された第1連通路と、第1連通路とヘッド本体内に形成された第2連通路とを連通する連通流路からなり、上記第2連通路近傍に上記フィルタ室が設けられている場合には、フィルタを通過したインクは、ほとんど流路を通ることなく直接ヘッド本体に供給されるため、フィルタを通過した後にヘッド本体に供給されるインクにほとんど異物が混入しなくなる。したがって、例えば、流路を複数の部品を接合することにより形成したとしても、接合部等から混入した異物を確実に除去したインクをヘッド本体に供給することができ、設計や工程の自由度が高くなり、生産性や歩留まりの向上に有利なものとなる。
【0021】
本発明のインクジェット式記録装置において、上記連通流路が実質的に水平方向に延びるように設けられている場合には、記録ヘッドの高さ方向の寸法が小さくなり、装置の小型化に有利となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0023】
図1および図2は、本発明が適用されるインクジェット式記録装置の周辺構造の一例を示す図である。この装置は、インクカートリッジ2が搭載されるとともに記録ヘッド1が取り付けられたキャリッジ3を備えている。
【0024】
上記キャリッジ3は、タイミングベルト4を介してステッピングモータ5に接続され、ガイドバー6に案内されて記録紙7の紙幅方向(主走査方向)に往復移動するようになっている。上記キャリッジ3は、図2に示すように、上部に開放する箱型を呈し、記録紙7と対向する面(この例では下面)に、記録ヘッド1が露呈するよう取り付けられるとともに、インクカートリッジ2が収容されるようになっている。そして、上記キャリッジ3の上端部には、インクカートリッジ2が収容された状態でインクカートリッジ2の上部を押さえるとともにキャリッジ3の開放された上部を覆う蓋部材25が取り付けられている。
【0025】
そして、上記記録ヘッド1にインクカートリッジ2からインクが供給され、キャリッジ3を移動させながら記録紙7上面にインク滴を吐出させて記録紙7に画像や文字をドットマトリックスにより印刷するようになっている。図1において、8は印刷休止中に記録ヘッド1のノズル開口を封止することによりノズル開口の乾燥をできるだけ防ぐキャップ、9は記録ヘッド1のノズル面をワイピングするワイパー部材である。また、図2において、26はガイドバー6が挿通されるガイド穴である。
【0026】
図3は、上記記録ヘッド1に用いるヘッド本体10の基本構造の一例を示す。このヘッド本体10は、ノズル開口11と圧力発生室12が形成された流路ユニット13と、圧電振動子14が収容されたヘッドケース15とが接合されて構成されている。
【0027】
上記流路ユニット13は、ノズル開口11が穿設されたノズルプレート16と、圧力発生室12と共通のインク室17ならびにこれらを連通させるインク供給路18とに対応する空間が形成された流路形成板19と、上記圧力発生室12の開口を塞ぐ振動板20とが積層されて形成されている。
【0028】
上記圧電振動子14は、駆動信号の入力により、充電状態で長手方向に収縮し、充電状態から放電する過程で長手方向に伸長する、いわゆる縦振動モードの振動子である。上記圧電振動子14は、その先端が圧力発生室12の一部を形成する振動板20の島部20Aに固着された状態で他端が基台21に固定されている。
【0029】
また、上記ヘッドケース15には、インク室17に対応する部分に、振動板20を介してインク室17内の圧力変動を緩和するダンパ室23が形成されている。上記ダンパ室23は、大気連通路42を介して大気開放されている。
【0030】
上記ヘッド本体10では、上記圧電振動子14の収縮・伸長を受けて圧力発生室12が膨張・収縮し、圧力発生室12の圧力変動によりインクの吸引とインク滴の吐出とが行われるようになっている。
【0031】
図4および図5は、上記ヘッド本体10が用いられた記録ヘッド1を示す図である。上記記録ヘッド1は、インクカートリッジ2に差し込まれてインクの供給を受ける複数(この例では6つ)のインク供給針27と、上記インク供給針27が立設される上側流路板28と、上記各インク供給針27に連通する流路30が形成された下側流路板29と、上記各流路30を流下したインクをろ過するフィルタ31を取り付けるフィルタ穴32が形成されたフィルタ板33と、ヘッド本体10とを備えている。
【0032】
図において、35は後述するインク補給管24の開口部に取り付けられるパッキンである。また、34は回路基板であり、22は上記回路基板からヘッド本体10に駆動信号等を入力するフレキシブルケーブルである。
【0033】
より詳しく説明すると、上記記録ヘッド1は、図6に示すように、下側流路板29の上面に溝が形成され、この溝が上側流路板28で塞がれて水平方向に延びる流路30が形成されている。また、インク供給針27の内部には、インクカートリッジ2と流路30とを連通させるインク流路(第1連通路)41が形成されている。さらに、ヘッド本体10には、上記流路30とヘッド本体10を連通させてヘッド本体10にインクを補給するインク補給管(第2連通路)24が形成されている。
【0034】
そして、下側流路板29のインク補給管24に対応する位置に上窄まり状の空間が形成されるとともに、フィルタ板33のフィルタ穴32の中心部に下窄まり状の空間が形成され、これら両空間がフィルタ室43になっている。上記フィルタ室43には、フィルタ31がそのフィルタ面が上下方向を向くように配置され、フィルタ31を通過するインクが上方から下方に向かって流れるようになっている。このようにすることにより、フィルタ31の上流側に気泡を捉えて下流側に気泡が残りにくくなる。
【0035】
上記フィルタ室43の上部空間には、上方から下方に向かうインクの流れに沿って延びる壁部40が形成され、フィルタ室43の上部空間が複数に仕切られている。この例では、図7(図6矢印A−A視)に示すように、十文字に放射状に配置された4つの壁部40によって上記空間は4分割されている。
【0036】
上記フィルタ室43は、下側流路板29の上窄まり状の空間と、フィルタ板33の下窄まり状の空間とから形成され、インクが流れる方向に直交する方向での断面積が流路30よりも大きくなっているため、フィルタ31面積を大きくとって異物の捕捉量を確保することができる。
【0037】
さらに、上記記録装置では、キャリッジ3の底面部に、記録ヘッド1のヘッド本体10を記録紙7に対面するように露呈させる開口部37が形成されている。また、上記ヘッド本体10には、ヘッドケース15の上端外周部に、横方向に延びるフランジ部36が一体的に形成されている。そして、上記記録ヘッド1をキャリッジ3に取り付け、上記開口部37からヘッド本体1のノズル面を露呈させた状態で、上記フランジ部36が、開口部37のノズル面と反対側を覆い、記録ヘッド1と開口部37の隙間を閉塞するようになっている。
【0038】
上記記録装置では、フィルタ室43の上流側空間に気泡が留まったとしても、上記気泡は壁部40に遮られて一定以上の大きさに成長しにくくなる。したがって、上記空間に留まる気泡は、強制吸引で除去できる程度の大きさで止まり、定期クリーニング等で除去されやすい。このため、従来のように印字中にフィルタを通り抜けてノズルダウンを引き起こすようなことがほとんどなくなり、印字トラブルの発生を未然に防ぐことができる。また、フィルタ室43の上流側空間が上窄まり状に形成されているため、壁部40で仕切られた空間も上部ほど狭くなり、気泡がそれだけ成長しにくくなって印字トラブルの発生を確実に防ぐことができる。
【0039】
上記フィルタ室43は、インクが流れる方向に直交する方向での断面積が流路30よりも大きくなっているため、フィルタ室43でのインクの流速が低下しやすく、フィルタ室43の上流側の空間に気泡が留まりやすいため、上記空間の気泡の成長を防止する本発明の効果が顕著で効果的である。
【0040】
また、上記記録装置では、流路30が水平方向に延びるように設けられているため、記録ヘッド1の高さ方向の寸法が小さくなり、装置の小型化に有利となる。しかも、上記記録装置では、流路30の下流端にフィルタ室43が設けられているため、フィルタ31を通過したインクは、ほとんど流路30を通ることなく直接ヘッド本体10に供給されるため、フィルタ31を通過した後にヘッド本体10に供給されるインクにほとんど異物が混入しなくなる。したがって、例えば、流路30を複数の部品を接合することにより形成したとしても、接合部等から混入した異物を確実に除去したインクをヘッド本体10に供給することができ、設計や工程の自由度が高くなり、生産性や歩留まりの向上に有利なものとなる。
【0041】
さらに、上記記録装置では、記録ヘッド1と開口部37の隙間が閉塞されているため、小さなインク滴を吐出したりワイピングで飛沫が飛んだりしてインクミストが生じたとしても、インクミストは、フランジ部材36や蓋部材25に遮られ、記録ヘッド1の上側に回り込むことがほとんどなくなる。したがって、比較的単純な構造で回路基板34へのインクの付着が防止され、発煙や発火等の事故の発生を未然に防ぐことができる。
【0042】
しかも、上記記録装置では、上記フランジ部材36を開口部37のノズル面と反対側に存在させて開口部37を覆うようにしたため、インクカートリッジ2をフランジ部材36を介してキャリッジ3に支える構造となり、構造的な無駄が生じないうえ、キャリッジ3移動時等のインクカートリッジ2の安定性が向上する。しかも、上記記録装置では、上記フランジ部材36が、記録ヘッド1のヘッドケース15と一体的に形成されているため、部品点数が少なくてすみ、コスト面等で有利である。
【0043】
図8は、本発明の第2の実施の形態を示す。この記録装置では、放射状に配設された6枚の壁部40を備え、フィルタ室43の上流側空間が6分割されている。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この装置でも上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0044】
図9は、本発明の第3の実施の形態を示す。この記録装置では、フィルタ室43のフィルタ31より上流側の空間のうち、窄まった上側の部分が、壁部が形成されない空間39になっている。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この装置では、窄まった上側の部分でのインクの流れを遮りにくい。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0045】
なお、上記各実施の形態では、本発明を、流路30が水平に延び、フィルタ31が流路30の下流端に位置した記録装置に適用した例を示したが、これに限定するものではなく、流路30が斜めに延びた記録装置や、フィルタ31が流路30の上流端に位置した記録装置に適用することもできる。また、上記各実施の形態では、本発明を、フィルタ31のフィルタ面が上下方向を向き、壁部40が放射状に配置された記録装置に適用した例を示したが、これに限定するものではなく、フィルタ31のフィルタ面が横方向を向いた記録装置や、壁部40が格子状等に配置された記録装置に適用することもできる。これらの場合にも同様の作用効果を奏する。
【0046】
また、上記各実施の形態では、圧力発生室12を加圧する素子として縦振動モードの圧電振動子14を用いたヘッド本体10を備えた装置を示したが、これに限定するものではなく、たわみ振動モードの圧電振動子を用いたヘッド本体が搭載された記録装置に適用することもできるし、圧力発生室12を加圧する素子として内部のインクを加熱気化させる発熱素子を用いたヘッド本体が搭載された記録装置に適用することも可能である。これらの場合にも同様の作用効果を奏する。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明のインクジェット式記録装置によれば、フィルタ室のフィルタより上流側の空間に気泡が留まったとしても、上記気泡は壁部に遮られて一定以上の大きさに成長しにくくなる。したがって、上記空間に留まる気泡は、強制吸引で除去できる程度の大きさで止まり、定期クリーニング等で除去されやすいため、従来のように印字中にフィルタを通り抜けてノズルダウンを引き起こすようなことがほとんどなくなり、印字トラブルの発生を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット式記録装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】上記インクジェット式記録装置の要部を示す分解斜視図である。
【図3】上記インクジェット式記録装置に用いるヘッド本体を示す断面図である。
【図4】上記インクジェット式記録装置に用いる記録ヘッドを示す分解斜視図である。
【図5】上記記録装置の断面図である。
【図6】上記記録ヘッドの要部拡大断面図である。
【図7】上記記録ヘッドのA−A断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態のインクジェット式記録装置のA−A断面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態のインクジェット式記録装置の要部拡大断面図である。
【図10】従来例のインクジェット式記録ヘッドを示す断面図である。
【図11】上記従来例のインクジェット式記録ヘッドの要部を示す図である。
【符号の説明】
10 ヘッド本体
30 流路
31 フィルタ
40 壁部
43フィルタ室
Claims (8)
- インク滴を吐出するヘッド本体と、上記ヘッド本体に供給されるインクが貯留されたインクカートリッジと、上記インクカートリッジのインクをヘッド本体に導く流路とを備え、上記流路のいずれかの箇所に、ヘッド本体に供給されるインクをろ過するフィルタが設けられたフィルタ室が形成され、上記フィルタ室のフィルタより上流側の空間に、実質的にインクが流れる方向に延びる壁部が設けられ、
上記壁部によりフィルタ室のフィルタより上流側の空間が複数に分割されていることを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 上記フィルタ室のインクが流れる方向に直交する方向での断面積が、流路のインクが流れる方向に直交する方向での断面積より大きくなるよう設定されている請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
- 上記フィルタのフィルタ面が、実質的に重力方向と交差する方向に配置されている請求項1または2記載のインクジェット式記録装置。
- フィルタを通過するインクが実質的に重力方向に向かって流れるものである請求項3記載のインクジェット式記録装置。
- フィルタ室のフィルタより上流側の空間が上窄まり状に形成されている請求項3または4記載のインクジェット式記録装置。
- フィルタ室のフィルタより上流側の空間のうち、窄まった上側の部分が、壁部が形成されない空間になっている請求項5記載のインクジェット式記録装置。
- 上記流路は上記インクカートリッジに差し込まれるインク供給針の内部に形成された第1連通路と、第1連通路とヘッド本体内に形成された第2連通路とを連通する連通流路からなり、上記第2連通路近傍に上記フィルタ室が設けられている請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
- 上記連通流路が実質的に水平方向に延びるように設けられている請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット式記録装置。
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