JP3757559B2 - コリオリ質量流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐ノイズ特性が良好で、消費電力が少なく、高精度で、温度特性が良好で、小型化が図り得るコリオリ質量流量計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来より一般に使用されている従来例の構成説明図で、例えば、特開平6−109512号の従来例に示されている。
図において、1はフランジ2に、両端が取付けられた振動チューブである。
【0003】
フランジ2は管路Aへ振動チューブ1を取付けるためのものである。
3は振動チューブ1の中央部に設けられた励振器である。
4,5は振動チューブ1の両側にそれぞれ設けられた振動検出センサである。
6は、振動チューブ1の両端が固定されるハウジングである。
【0004】
以上の構成において、振動チューブ1に測定流体が流され、励振器3が駆動される。励振器3の振動方向の角速度『ω』、測定流体の流速『V』(以下『』で囲まれた記号はベクトル量を表す。)とすると、
【0005】
Fc=―2m『ω』×『V』
のコリオリ力が働く、コリオリ力に比例した振動の振幅を測定すれば、質量流量が測定出来る。
【0006】
図6は従来より一般に使用されている他の従来例の構成説明図である。
本従来例では、更に、ノイズを低減し、信号を大きくとるために、振動チューブ1を2管式にし、ノイズを打消すようにしたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様な装置においては、図5従来例では、振動チューブ1は近似的に両端固定条件で振動するが、限られた大きさの流量計では、どうしても固定部は完全な固定端にならず、わずかに振動してしまう。
【0008】
これでは、振動が管路Aに伝わり、上下流端のわずかな固定条件の相違、例えば溶接強度等により、対象性が崩れ、零点やスパンが変動し易い。
更に、励振に大きなエネルギーを必要とする。
【0009】
検出器ハウジング6のセンサ取付位置と、振動チューブ1の相対距離(運動)を測定することになるので、振動ノイズ、応力、温度変化等で、ハウジング6や振動チューブ1が振動したり、変形した場合に、振動測定データに誤差が生じてしまう。
すなわち、これらの環境変化や外的要因に対し、弱く、精度の悪いコリオリ流量計になりがちである。
【0010】
一方、図6従来例では、2本の振動チューブ1が互いに反対方向に振動することで、分岐部で力が打ち消しあって、図7,8に示す如く、音叉の原理により振動が外に漏れにくい構造となつている。
しかし、分岐点の無い振動チューブ1本の構造は取れなくなる。
【0011】
本発明は、この問題点を解決するものである。
本発明の目的は、耐ノイズ特性が良好で、消費電力が少なく、高精度で、温度特性が良好で、小型化が図り得るコリオリ質量流量計を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は、
(1)振動チューブ内に測定流体が流れ、該測定流体の流れと前記振動チューブの角振動によって生じるコリオリ力により、該振動チューブを変形振動させるコリオリ質量流量計において、前記測定流体が流れる振動チューブと、該振動チューブの振動の節となる個所に一端が固着され該振動チューブの軸に垂直に設けられた少なくとも1個の補償振動体と、該補償振動体の他端に一端が直接固着され他端が前記振動チューブに固着され前記振動チューブと前記補償振動体とを励振する励振器と、前記振動チューブの振動を検出する振動検出センサとを具備したことを特徴とするコリオリ質量流量計。
(2)前記振動チューブの管軸方向に対し対称に設けられた2個の前記補償振動体を具備したことを特徴とする請求項1記載のコリオリ質量流量計。
を構成したものである。
【0013】
【作用】
以上の構成において、振動チューブに測定流体が流され、励振器が駆動されると、コリオリ力が働く、このコリオリ力に比例した振動の振幅を測定すれば、質量流量が測定出来る。
【0014】
而して、振動チューブと補償振動体との、振動系の振動の節となる場所で、振動チューブと補償振動体とを、流量計ハウジングと接続させることで、振動チューブと補償振動体からなる振動系の振動を、内部に閉じこめることができる。
以下、実施例に基づき詳細に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例の要部構成説明図である。
図において、図5と同一記号の構成は同一機能を表わす。
以下、図5と相違部分のみ説明する。
【0016】
11は、測定流体が流れる直管状の振動チューブである。この場合は、丸パイプが使用されている。
12は、振動チューブ11の両端が固定されるハウジングである。
【0017】
13は、振動チューブ11の振動の節となる個所に一端14が接続され、振動チューブ11の軸に垂直に設けられた少なくとも1個の補償振動体である。
この場合は、振動チューブ11の両端側に2個設けられている。
【0018】
15は、補償振動体13と振動チューブ11との間に設けられ、振動チューブ11と補償振動体13とを励振する励振器である。
16は、振動チューブ11とハウジング12との間に設けられ、振動チューブ11とハウジング12との相対振動を検出する振動検出センサである。
【0019】
以上の構成において、振動チューブ11に測定流体が流され、励振器15が駆動されると、コリオリ力が働く、このコリオリ力に比例した振動チューブ11の振動の振幅を測定すれば、質量流量が測定出来る。
【0020】
而して、振動チューブ11と補償振動体13との、振動系の振動の節となる場所で、振動チューブ11と補償振動体13とを、流量計ハウジング12と接続させることで、振動チューブ11と補償振動体13からなる振動系の振動を、内部に閉じこめることができる。
【0021】
すなわち、図2に示す如く、X,Y,Z軸方向を決めると、
励振器15により、振動チューブ11と、補償振動体13は、図に示したようにそれらの一端14付近を中心に互いに逆方向のモーメントを発生させるように振動し、そしてその結合点は、振動の節になる。
【0022】
励振器15によって振動チューブ11は振動し、振動チューブ11の内部に測定流体が流れると、コリオリの力が発生し、振動チューブ11の振動の状態が変化する。
それを振動検出センサ16で測定し、質量流量を求める。通常は、上流側センサと下流側センサの位相差を求めて、質量流量を演算する。
【0023】
この結果、振動チューブ11と補償振動体13との、振動系の振動の節となる場所で、振動チューブ11と補償振動体13とを、流量計ハウジング12と接続させることで、振動チューブ11と補償振動体12からなる振動系の振動を、内部に閉じこめることができる。
従って、内部振動系の振動が外部と絶縁されているので、
【0024】
(1)内部振動系は高Q値を実現でき、外部ノイズが加わってもその影響が相対的に少なく、振動が安定なので、外部振動ノイズに強いコリオリ質量流量計が得られる。
【0025】
(2)少ないエネルギで安定した励振を実現できるので、低消費電流のコリオリ質量流量計が得られる。
【0026】
(3)外部への振動エネルギの散逸量が変化したり、上下流で散逸量のバランスが崩れると、内部の振動系に影響が及び、ゼロ点やスパンが変動してしまう。
本発明では、常に、内部に振動が閉じこもっているのでその心配がなく、高精度なコリオリ質量流量計が得られる。
【0027】
(4)温度変化に対して安定なコリオリ質量流量計が得られる。
(a)測定流体に温度変化があった場合、その影響を受けやすいフランジ2近傍で、補償振動体13は連結されているので、振動チューブ11と補償振動体13との温度差が生じにくい。
(b)補償振動体13は、片持ち構造なので、温度変化により熱膨張をしても、装置に過度の応力が加わらない。
【0028】
(5)小型化が容易なコリオリ質量流量計が得られる。
補償振動体13は、質量付加により小さく短く構成できるので、非常にコンパクトに構成でき、小さなコリオリ質量流量計が実現できる。
従って、コスト削減、信頼性向上にも繋がる。
【0029】
図3は本発明の他の実施例の要部構成説明図である。
本実施例においては、2個の前記補償振動体13が、振動チューブ11の両側に対称に設けられたものである。
【0030】
2個の前記補償振動体13が、対称に振動するので、一端14を厳密に振動の節にすることができる。
この結果、厳密に、振動の節となる場所で、振動チューブ11が固定されるので、振動絶縁がより完全になるコリオリ質量流量計が得られる。
【0031】
従って、内部振動系の振動が外部と厳密に絶縁されているので、
(1)内部振動系は高Q値を実現でき、より外部振動ノイズに強いコリオリ質量流量計が得られる。
【0032】
(2)少ないエネルギで安定した励振を実現できるので、より低消費電流のコリオリ質量流量計が得られる。
(3)常に、内部に振動が閉じこもっているので、より高精度なコリオリ質量流量計が得られる。
【0033】
なお、前述の実施例においては、低次の振動モード形状で振動させた場合について説明したが、これに限ることはなく、図4に示す如く、高次の振動モード形状で振動させても良い。
【0034】
また、振動系が非共振状態の場合でも良い。
また、前述の実施例においては、振動チューブ11は丸パイプと説明したが、これに限ることはなく、種々な形状で良い。要するに、振動チューブ11内を測定流体が流れれば良い。
【0035】
また、前述の実施例においては、振動チューブ11は直管状と説明したが、これに限ることはなく、曲り管でも良い。要するに、振動チューブ11内を測定流体が流れれば良い。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1によれば、
振動チューブと補償振動体との、振動系の振動の節となる場所で、振動チューブと補償振動体とを、流量計ハウジングと接続させることで、振動チューブと補償振動体からなる振動系の振動を、内部に閉じこめることができる。
【0037】
従って、内部振動系の振動が外部と絶縁されているので、
(1)内部振動系は高Q値を実現でき、外部ノイズが加わってもその影響が相対的に少なく、振動が安定なので、外部振動ノイズに強いコリオリ質量流量計が得られる。
【0038】
(2)少ないエネルギで安定した励振を実現できるので、低消費電流のコリオリ質量流量計が得られる。
【0039】
(3)外部への振動エネルギの散逸量が変化したり、上下流で散逸量のバランスが崩れると、内部の振動系に影響が及び、ゼロ点やスパンが変動してしまう。
本発明では、常に、内部に振動が閉じこもっているのでその心配がなく、高精度なコリオリ質量流量計が得られる。
【0040】
(4)温度変化に対して安定なコリオリ質量流量計が得られる。
(a)測定流体に温度変化があった場合、その影響を受けやすいフランジ近 傍で、補償振動体は連結されているので、振動チューブと補償振動体との温度差が生じにくい。
【0041】
(b)補償振動体は、片持ち構造なので、温度変化により熱膨張をしても、装置に過度の応力が加わらない。
【0042】
(5)小型化が容易なコリオリ質量流量計が得られる。
補償振動体は、質量付加により小さく短く構成できるので、非常にコンパクトに構成でき、小さなコリオリ質量流量計が実現できる。
従って、コスト削減、信頼性向上にも繋がる。
【0043】
本発明の請求項2によれば、内部振動系の振動が外部と厳密に絶縁されているので、
(1)内部振動系は高Q値を実現でき、より外部振動ノイズに強いコリオリ質量流量計が得られる。
【0044】
(2)少ないエネルギで安定した励振を実現できるので、より低消費電流のコリオリ質量流量計が得られる。
(3)常に、内部に振動が閉じこもっているので、より高精度なコリオリ質量流量計が得られる。
【0045】
従って、本発明によれば、耐ノイズ特性が良好で、消費電力が少なく、高精度で、温度特性が良好で、小型化が図り得るコリオリ質量流量計を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部構成説明図である。
【図2】図1の動作説明図である。
【図3】本発明の他の実施例の要部動作説明図である。
【図4】本発明の他の実施例の要部動作説明図である。
【図5】従来より一般に使用されている従来例の構成説明図である。
【図6】従来より一般に使用されている他の従来例の構成説明図である。
【図7】図6の動作説明図である。
【図8】図6の動作説明図である。
【符号の説明】
2 フランジ
11 振動チューブ
12 ハウジング
13 補償振動体
14 一端
15 励振器
16 振動検出センサ
Claims (2)
- 振動チューブ内に測定流体が流れ、該測定流体の流れと前記振動チューブの角振動によって生じるコリオリ力により、該振動チューブを変形振動させるコリオリ質量流量計において、
前記測定流体が流れる振動チューブと、
該振動チューブの振動の節となる個所に一端が固着され該振動チューブの軸に垂直に設けられた少なくとも1個の補償振動体と、
該補償振動体の他端に一端が直接固着され他端が前記振動チューブに固着され前記振動チューブと前記補償振動体とを励振する励振器と、
前記振動チューブの振動を検出する振動検出センサと
を具備したことを特徴とするコリオリ質量流量計。 - 前記振動チューブの管軸方向に対し対称に設けられた2個の前記補償振動体を具備したこと
を特徴とする請求項1記載のコリオリ質量流量計。
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JP20271397A JP3757559B2 (ja) | 1997-07-29 | 1997-07-29 | コリオリ質量流量計 |
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JPH1144564A JPH1144564A (ja) | 1999-02-16 |
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- 1997-07-29 JP JP20271397A patent/JP3757559B2/ja not_active Expired - Fee Related
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