JP3757491B2 - 光学的装置又は素子、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フルオロカーボン層が被覆されている光学的装置又は素子、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フルオロカーボンは、各種の製品の表面加工にとって有用な物質であり、その用途範囲は極めて広い。
【0003】
例えば、陰極線管(CRT)においては、ガラスパネル(フェースプレート)を保護するためにその表面に、硬質層(ハードコート)を施し、更にこの上にSiO2 等の反射防止膜(AR膜)を形成しているが、この反射防止膜上にフルオロカーボン膜をトップコートとして形成すると、光透過性を保持しつつ表面の洗浄性や耐久性を向上させ得るものと期待される。
【0004】
このようなフルオロカーボンのトップコート層は、耐熱性、耐薬品性が高く、また、撥水性、撥油性をも併せ持つので、洗浄性に優れており、かつ、引っ掻きやこすり等に対しての機械的耐久性にも優れている。
【0005】
これらの特性は、フッ素原子のサイズが小さく、あらゆる原子の中で電気陰性度が最も大きく、分子内の炭素原子−フッ素原子の結合が強固であり、表面エネルギーが小さいという、フルオロカーボン特有の性質に由来している。
【0006】
フルオロカーボン層を成膜するための一般的な方法は、プラズマCVD(PECVD)法である。しかし、この方法の最大の欠点は、装置が高価であり、反応ガスの使用により装置の占有スペースが大きくなることである。プラズマCVD法に代えて、より安価な成膜方法としてはRFスパッタ法が挙げられる。
【0007】
しかし、いずれの方法でも、成膜されたフルオロカーボン層は、下地である光学膜(反射防止膜)やガラス等に対する接着力が弱く、表面の洗浄や擦りによって簡単に剥離されてしまい、トップコート層として使用に耐えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、表面洗浄性に優れ、剥離し難くて機械的耐久性にも優れたフルオロカーボン層が被覆されている光学的装置又は素子、及び、その製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、陰極線管等の光学装置にフルオロカーボン層をトップコートとして形成した構造において、特定の材質からなる接着層を下地層上に設けることによって、光学的特性を劣化させずに、下地層から剥離しにくく、機械的耐久性及び洗浄性に優れたフルオロカーボン層が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
即ち、本発明は、本体上に、ケイ素からなる接着層を介してフルオロカーボン層が被覆されている光学的装置又は素子(以下、本発明の光学的装置又は素子と称する。)に係るものである。
【0013】
ここで、上記の「光学的装置又は素子」とは、光ビームの透過、出射及び入射が可能であり、光ビームによる情報を伝達、出力及び入力できる装置及び素子を意味し、例えば、陰極線管(CRT:ブラウン管等)、光学レンズ、光学プリズムを始めとする種々の装置又は素子を包含するものである。また、上記の「本体」とは、光学的装置及び素子において、被覆構造を構成する接着層及びフルオロカーボン層を除く部分であって、上述した光学膜を有するか或いは有しない基体(ガラス等)を含むものである。また、この被覆構造は、下地層を含んでいてもよい概念であり、その下地層下に別の層が存在していてよいが、下地層が単独に存在していてもよく、いずれの場合も本発明の範囲に包含される。
【0014】
本発明の光学的装置又は素子においては、フルオロカーボン層の接着層を構成するケイ素は、純度が高いことが望ましいが、他の成分又は不純物が多少含有されていてもよい。
【0015】
更に、本発明は、本発明の光学的装置又は素子を製造するに際し、物理的成膜法によって、前記接着層及び前記フルオロカーボン層をそれぞれ形成する、光学的装置又は素子の製造方法も提供するものである。
【0016】
上記の物理的成膜法とは、いわゆるPVD法であって、主として物理的な現象や変化を利用して薄膜を形成する薄膜形成技術であり、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等が挙げられ、本発明における前記接着層及びフルオロカーボン層の形成には、スパッタ法、特に、RF(高周波)プラズマスパッタ法が好ましく、真空蒸着法も使用できる。
【0017】
図1は、本発明の光学的装置又は素子を例示するものである。即ち、二酸化ケイ素、石英ガラス、ケイ素(以下、シリコン又はSiと記すこともある。)等からなる下地層(基体)8(例えば陰極線管のフェースプレート)上に、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなるプラスチックフィルム層6が接着剤層7によって接着され、このプラスチックフィルム層6上には機械的強度(硬さ)を高めるためのハードコート層5、更に薄膜(例えば、帯電防止又は電磁シールド用の二酸化スズ膜)層4及び薄膜(反射防止用の二酸化ケイ素等)層3からなる光学膜9が設けられており、この上に、被覆構造であるSi接着層2−フルオロカーボン層1が設けられている。
【0018】
本発明の、光学的装置又は素子に上記のフルオロカーボン層を設けることの第一の特徴は、表面の汚染の洗浄が容易になることである。
【0019】
フルオロカーボン層の表面エネルギーは非常に小さいので、その表面にゴミが付着したり汚染されたりすることはほとんどない。
【0020】
フルオロカーボン層を形成しない場合、光学膜等の表面には、拭き取り洗浄をする際に残留物がスジ状の跡を作る。これに対して、表面にフルオロカーボン層が被覆されている構造では、表面エネルギーが低下しているため、上記残留物は小さい玉状になり、スジ状のものよりも見えにくくなり、拭き取りが容易となる。
【0021】
ここで、上記の表面エネルギーは、極性のある液体(例えば、純水)や非極性の液体(例えば、二ヨウ化メチレン又はジヨードメタン:CH2 I2 )を表面上に滴下し、その液滴の端部が表面となす角度を測定することによって分かる。
【0022】
この接触角を測定するには、例えば図2に示すように、試料を成膜室から取り出した直後に、フルオロカーボン層等のトップコート層1Aの表面上に、例えば、直径約1.5mmの球状の滴下の粒となるように注射針等を用いて純水(又は、二ヨウ化メチレン)を滴下し、この液滴10の端部がトップコート層表面となす角度α(即ち、接触角)を真横から、光学顕微鏡で計測する。
【0023】
汚染物が付着し難くするためには、その接触角が大きいこと(即ち、表面エネルギーが小さいこと)が望ましい。また、表面エネルギーを十分に小さくするには、フルオロカーボン層の厚みを数nmとすれば十分である。
【0024】
一般的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の純水に対する接触角は119°であり、二ヨウ化メチレンに対する接触角は93°であって、十分な大きさを示すので、非常に優れた撥水性、撥油性を示す。
【0025】
本発明においては、フルオロカーボン層の純水に対する接触角は100°以上であることが好ましい。また、フルオロカーボン層の二ヨウ化メチレンに対する接触角は85°以上であることが好ましい。
【0026】
本発明の被覆構造、光学的装置又は素子に上記のフルオロカーボン層を設けることの第二の特徴は、機械的な引っ掻き等に対して、優れた機械的耐久性が得られることにある。
【0027】
フルオロカーボン層の表面の摩擦は非常に小さいため、引っ掻き等に対して機械的耐久性があり、スチールウール等で表面を擦ってもこの効果が顕著に保持される。この結果、フルオロカーボン層で被覆した光学膜、特に反射防止膜(AR膜)はフルオロカーボン層のない反射防止膜に比べて、より耐久性に優れたものとなる。
【0028】
この引っ掻き等に対する機械的耐久性もフルオロカーボン層の表面エネルギーに依存しており、純水や二ヨウ化メチレンに対する接触角が大きいほど、機械的耐久性に優れているということができる。
【0029】
ここで、反射防止膜(AR膜)は、光学膜の一種であり、下地層上に設けることによって外光又は内光の光ビームの反射率を減少させる膜(層)であり、屈折率が下地層の屈折率より小さい透明の膜である。図1に例示したように、この反射防止膜9は、下層4に二酸化スズ(SnO2 )及び上層3に二酸化ケイ素(SiO2 )の2層からなっている。
【0030】
また、反射防止膜のSi系接着層(上記したケイ素からなる接着層)側の(即ち、接着層に接する)境界層(例えば、SiO2)上に、Si系接着層を設けずに直接に上記のフルオロカーボン層を設けると、このフルオロカーボン層は簡単に剥離してしまう。
【0031】
この剥離テストの方法は、半径30mmの球状物にしたアルコール(特に、エタノール)含浸の布によって、2Kg重の力で20回往復してラビングするものである。この試験においては、フルオロカーボン層が外観的に変化しないものがよい。
【0032】
ケイ素の接着層を用いると、物理的成膜法によって形成されたフルオロカーボン層は上記の試験にパスすることができ、このフルオロカーボン層における硬さ、密着性は一般的な使用に耐えられると言うことができる。
【0033】
この密着性は、活性なケイ素の接着層とフルオロカーボン層との間、特に、フッ素原子を有する炭素原子とシリコン原子との間に、化学的な結合が生じていると考えられ、この結合によって、フルオロカーボン層が剥離しにくくなる。
【0034】
なお、チタンは接着剤として使用可能である旨の文献(Chin-An Chang et al.,American Chemical Society 1990, Chapter 30) があるが、チタンは接着性には優れるものの、これを接着層に用いた場合、フルオロカーボン層の表面の付着液に対する接触角を小さくする作用があり、撥水性、撥油性等の洗浄性に悪影響を及ぼす等の欠点がある。本発明者は、この接触角と接着性の双方を満たす接着層はケイ素のみであることを見出したのである。
【0035】
代表的なフルオロカーボンの一種であるバルク状のテフロン(ポリテトラフルオロエチレン)は、上述の剥離テストにパスするほどは硬くないが、物理的成膜法である特にスパッタ法によって形成されたテフロンのモース硬度は、約4.5と十分に大きい。この剥離テストにパスするためには、モース硬度が3〜4であることが必要であるが、物理的成膜法によって形成されたテフロンは、剥離テストに耐えうる十分な硬さは持っている。
【0036】
さらに、本発明の光学的装置又は素子の上述した製造方法によって成膜されたフルオロカーボン層は、高温や高湿度の下でも保存性に優れていなければならない。つまり、長時間、高温や高湿度下に保存しても、光学特性、洗浄性、機械的耐久性、耐剥離性等の特性が、劣化しないことが必要である。
【0037】
本発明の光学的装置又は素子におけるフルオロカーボン層の構成成分としては、従来公知のフルオロカーボンを使用できるが、特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)又はこれらの混合物を使用することが好ましい。
【0038】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、
一般式:
(但し、nは任意の自然数であって重合度を表す。)
で表されるフッ素樹脂であり、例えば、アルゴフロン(Montedison社製)、フルオン(ICI 社製) 、Halon TFE (Allied Chemical 社製)、ホスタフロン(Hoechst 社製)、ポリフロン(ダイキン工業社製)、ソレフロン(Produits Chimiques Ugine Kuhlman社製)、テフロンTFE(DuPont社製)、テフロンJ(三井デュポン社製)等が挙げられる。
【0039】
また、パーフルオロポリエーテル(PFPE)は、
一般式:
(但し、mは任意の自然数であって重合度を表す。)
で表されるフッ素樹脂であり、例えばテフロンPFA(DuPont社製)、テフロンPFA−J(三井デュポン社製)等が挙げられる。
【0040】
この他にも使用可能なパーフルオロポリエーテルとしては、例えば、
(但し、p、q、r、kは1以上の整数を表す。)
が挙げられる。
【0041】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とパーフルオロポリエーテル(PFPE)との混合物を用いる場合には、配合比がほぼ1:1(PTFE:PFPE)がよい。
【0042】
本発明の光学的装置又は素子に使用できるフッ素樹脂(フルオロカーボン)としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)以外にも従来公知のフッ素樹脂を用いることができる。
【0043】
例えば、上記のテフロンPFA以外の四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA);ネオフロン(ダイキン工業社製)、テフロンFEP(三井デュポン社製)等の四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂(FEP);アフロンCOP(旭硝子社製)、テフゼル(三井デュポン社製)等の四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(ETFE);ヘーラー(Allied Chemical 社製)等の三フッ化塩化エチレン−エチレン共重合樹脂(ECTFE);ダイフロン(ダイキン工業社製)、Kel-F (3M社製)、Aclon CTFE(Allied Chemical 社製)、Voltalef(Produits Chimiques Ugine Kuhlman社製)等の三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE);Dulite(DuPont社製)、Dyflor(Dynamite Novel社製)、Foraflon(Produits Chimiquies Ugine Kuhlman 社製)、KFポリマー(呉羽化学社製)、カイナー(Pennwalt Chemicals社製)、Solef (Solvay社製)等のフッ化ビニリデン樹脂(PVdF);Tedler(DuPont社製)等のフッ化ビニル樹脂(VDF);等が挙げられる。
【0044】
本発明の光学的装置又は素子において、Si系接着層の厚みは10nm以下であることが好ましい。これは、接着層の厚みが10nmを超えると、光透過性等の光学特性の変化が生じてしまうからである。
【0045】
本発明の光学的装置又は素子において、フルオロカーボン層の厚みは10nm以下であることが好ましい。さらに、この下限は1nmであることが好ましい。
【0046】
これは、フルオロカーボン層の厚みが10nmを超えると、やはり光透過性等の光学特性の変化が生じてしまうからである。なお、この厚みは0.5nm未満であると、フルオロカーボン層の洗浄性及び機械的耐久性が劣化してしまうので、1nm以上がよく、1〜5nmがさらに好ましい。
【0047】
本発明の光学的装置又は素子における下地層としては、光学膜を使用することが好ましい。ここで、光学膜とは、光学的装置又は素子に、その光学的特性(例えば反射防止能)を向上させるために設けられる膜である。
【0048】
こうした光学膜として主なものには、反射防止膜が挙げられる。反射防止膜としては、二酸化ケイ素及び二酸化スズの積層構造膜、ARコーティングされたポリエチレンテレフタレート(PET)の膜等が挙げられる。但し、ARコーティングとは、反射防止のためのコーティングを施すことである。
【0049】
光学膜の内、Si系接着層に接する境界層は二酸化ケイ素からなっていることが、下地層に対するフルオロカーボン層の接着性を大きく向上させる点で好ましい。
【0050】
さらに、上述の光学膜と光学的装置又は素子の本体との間には、樹脂層(下層)及び硬質層(上層:ハードコート層)が設けられている積層構造であってもよい。
【0051】
この樹脂層としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)の他、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等、従来公知の樹脂を使用することができる。
【0052】
硬質(ハードコート)層は、光学的装置又は素子の機械的強度を保つために設けられる層であって、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やSiO2 等の無機物を含む樹脂等、従来公知の硬質樹脂を使用することができる。
【0053】
また、本発明の光学的装置又は素子において、下地層として、石英ガラス、シリコン等を使用できる。この場合、上記の光学膜は下地層に接して設けられることになる。
【0054】
例えば、石英ガラスを下地とする場合、この石英ガラスは上述したと同様に、例えば陰極線管のフェースプレートであってよい。また、シリコンを下地として用いたものには、発光ダイオードや太陽電池等の半導体装置や素子の構成材料があり、この半導体装置や素子の表面の保護、クリーニングのために、光ビームの入出射の窓上に被覆構造を設けることができる。
【0055】
本発明の光学的装置又は素子を製造するに際し、物理的成膜法によってSi系接着層及びフルオロカーボン層をそれぞれ順次形成するが、この物理的成膜法としては、図6及び図7に概略的に示すRF(高周波)プラズマスパッタ法を使用することが好ましい。こうした物理的成膜法は、プラズマCVD法に比べてずっと安価に実施できる。
【0056】
図6において、電源30として高周波電源を用い、図1の下地37(プラスチックフィルム6−ハードコート層5−光学膜9の積層体)を設置した回転可能なパレット29(以下、回転パレットと称する。)と、ターゲット35を設置したターゲット板28とが互いに対向して配置されており、回転パレット29は下地37がターゲット35上を移動するように矢印Dの方向に回転する。
【0057】
ターゲット板28の内部はターゲット35、36を、回転パレット29の内部は下地37をそれぞれ適宜冷却できるように、冷却水31a及び31bが流れるジャケット構造となっている。但し、仮想線で示される別のターゲット36は、一体型のターゲットを用いる場合には設けられない。
【0058】
このRF(高周波)プラズマスパッタ装置には、真空チャンバー21、排気口23、圧力ゲージ27、アルゴンガス33を導くガス導入管22、アルゴンガス33以外のガスを導くガス導入管26が設けられている。
【0059】
回転パレット29に対向して設けられているターゲット板28は、図7に示したようにターゲットが設置されており、図7(A)は、1つのターゲットを2つの領域(例えば半円形)に分割し、それぞれの領域中にSi系接着層用のSiターゲット35とフルオロカーボン層用のフルオロカーボンターゲット36とを設けた一体型のターゲットであり、また図7(B)は、別々のターゲットに接着層用のターゲット35とフルオロカーボン層用のフルオロカーボンターゲット36とを分離して設けた分割型のターゲットである。
【0060】
これら両者ともに、回転パレット29が回転するにしたがって、接着層用ターゲット35、フルオロカーボン層用ターゲット36の順に下地を移動させ、それぞれの位置において、RFプラズマスパッタによりSi系接着層とフルロオカーボン層とが順次積層されるようになっている。
【0061】
図7(A)のような一体型のターゲットにおいては、接着層の成膜終了とフルオロカーボン層の成膜開始との間の時間差(この時間を「停滞時間」と称する。)がない。また、この方式においては、接着層用の材料とフルオロカーボン層用の材料とが、かなりの割合で混合して成膜されることになる。
【0062】
これに対して、図7(B)のような分割型のターゲットにおいては、接着層の形成とフルオロカーボン層の形成との間に0.1〜0.5秒程度の停滞時間が生じる。また、この方式においては、接着層用の材料とフルオロカーボン層用の材料とは、ほとんど混合しない。
【0063】
本発明に使用する接着層用のターゲット材料としてのケイ素は、反応性が高いために、チャンバー21内の残留ガスと容易に反応してケイ素自体の反応性を失い易い。従って、停滞時間は長すぎることは望ましくはなく、1分以内であることが好ましい。即ち、接着層の成膜直後から1分以内にフルオロカーボン層を成膜することが好ましい(但し、真空度は1×10-6Torrとする。)。
【0064】
また、接着層及びフルオロカーボン層の物理的成膜方法としては、上述したRF(高周波)プラズマスパッタ法が望ましいが、これ以外のスパッタ法、更には真空蒸着法を使用できる。
【0065】
この真空蒸着法においては、フルオロカーボン層としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層を形成する場合、その蒸発源の温度を450℃以上にすることが望ましい。即ち、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の融点が約327℃であることも考慮すると、450℃以上とすれば十分である。ケイ素からなる接着層を形成する際には、蒸発源の温度をさらに高温にすればよい。また、蒸着時の真空度は1mTorrオーダーであればよい。
【0066】
上述した成膜方法の他に、図8に示すようなフローで本発明に基づく被覆構造、光学的装置又は素子を連続した工程で製造することもできる。
【0067】
この装置においては、仕切り板51で仕切られた各チャンバーがあり、各チャンバーには、図示しない排気口、真空ポンプ、及び、アルゴンガス、酸素ガス、フルオロカーボンガス等のガス導入口、冷却水導入口、高周波電源又は直流電源がある。
【0068】
図8においては、図中の時計回り方向に定速回転する送りロール41と、図中の時計回り方向に定速回転する巻取りロール42とが設けられ、送りロール41から巻取りロール42にプラスチック層(ベース)50a、50bが順次走行するようになされている。このプラスチック層50aは図1の層6に相当するものであり、プラスチック層50bはその上に図1の層5、4、3が順次成膜されたものであってよい(但し、層5は予めプラスチック層50a上に成膜されたものを走行させてもよい)。
【0069】
送りロール41から巻取りロール42側にプラスチック層50a、50bが走行する中途部には、上記各ロールよりも大径となされた、冷却キャン44a、44bが設けられている。この冷却キャン44a、44bは、プラスチック層50a、50bを図中の下方に引き出すように設けられ、図中の反時計回り方向に回転する構成とされる。
【0070】
なお、送りロール41、巻取りロール42、及び冷却キャン44a、44bはそれぞれ、プラスチック層50a、50bの幅とほぼ同じ長さからなる円筒状をなすものであり、また、冷却キャン44a、44bの内部には図示しない冷却装置が設けられ、プラスチック層50a、50bのスパッタ時の温度上昇による変形等を抑制し得るようになされている。
【0071】
従って、プラスチック層50a、50bは、送りロール41から順次送り出され、更に冷却キャン44a、44bの周面を通過し、巻取りロール42に巻き取られていく。なお、送りロール41から冷却キャン44a、44bを経て、巻取りロール42へプラスチック層を所定のテンション下で搬送するためのガイドロール43がそれぞれ配設されている。そして、各チャンバー内には、各ターゲットが冷却キャンと対向するように、カソード電極板上に設置されている。
【0072】
図8は、図1に示す積層構造物を製造する装置を要部について示すものであり、電極板45上にはハードコート5用のターゲット60、電極板46上には例えば二酸化スズ4用のターゲット61、電極板47上には二酸化ケイ素3用のターゲット62、電極板48上には接着層2用のターゲット35、電極板49上にはフルオロカーボン層1用のターゲット36が配されている。そして、各位置においてターゲット60、61、62ではDCスパッタを、ターゲット35、36ではRFプラズマスパッタを順次行うことにより、図1に示した如き各層を積層することができる。
【0073】
なお、図8に示すような装置においては、積層する層の数により、適宜チャンバーの数を増減できる。
【0074】
本発明の光学的装置又は素子を製造するに際し、物理的成膜装置(例えば、RFプラズマスパッタ装置、真空蒸着装置)中にフルオロカーボンガス及び/又は酸素ガスを導入し、これらのガスの存在下で成膜することが好ましい。
【0075】
導入するフルオロカーボンガスとしては、CF4 、C2 F6 等のパーフルオロカーボンガスが好ましい。即ち、スパッタされたフルオロカーボンターゲットはフッ素原子を失い易いので、導入するフルオロカーボンガスが、スパッタされたフルオロカーボンの失われたフッ素原子の補充を行い、フッ素原子の含有量を保持する。
【0076】
また、酸素ガスの導入は、接着層及びフルオロカーボン層の透明度を酸素ドーピングによって高く保つためである。光学的装置又は素子では、それらの層による光ビームの吸収が光学的装置又は素子の性能を大きく左右するからである。
【0077】
導入するガス(上述のフルオロカーボンガス及びアルゴンガスを含む)の全量に対して約1容量%以上の酸素ガスを加えることにより、フルオロカーボン層の透明度が向上することになる。これは、フルオロカーボン層中の過剰な炭素原子が一酸化炭素として取り除かれることによるものと考えられる。酸素ガスを導入しないと、フルオロカーボン層は、光ビームを高い割合で吸収してしまうことがある。
【0078】
さらに、本発明の光学的装置又は素子を製造するに際し、接着層及びフルオロカーボン層の物理的成膜中に発生するプラズマによる荷電粒子が堆積膜を衝撃(ボンバード)するのを防止することが好ましい。即ち、このボンバードは、フルオロカーボン層の二重結合やクロスリンクを作る原因であり、その表面エネルギーを大きくして接触角を低下させるものと考えられるが、これを防止することによって、表面エネルギーを下げ、接触角を大きくすることができる。
【0079】
物理的成膜法では、プラズマとともに荷電粒子が発生するが、特に、RFプラズマスパッタ法ではプラズマによる荷電粒子の発生量が多いので、この荷電粒子による堆積膜の衝撃(ボンバード)を防止することが必要である。しかしながら、極めて短時間、ボンバードすることによって、基板の表面が滑らかになることもあり、このボンバードを適切に制御することも必要である。
【0080】
このプラズマによる荷電粒子が堆積膜を衝撃(ボンバード)するのを防止する方法として、磁石の作用下で、或いは、電気的にバイアスされたスクリーンを利用する方法がある。これは、磁気又は電界を利用して、ボンバードの原因である荷電粒子の飛来を阻止するものである。
【0081】
また、本発明の被覆構造、光学的装置又は素子を製造するに際し、反射防止膜等の下地層は、DC(直流)スパッタ法によって成膜することもできるが、接着層及びフルオロカーボン層と同様に、RFプラズマスパッタ法又は真空蒸着法等を用いて成膜することもできる。
【0082】
この場合、DC(直流)スパッタ装置に接着層及びフルオロカーボン層のスパッタ装置のカソードを設ける場所があれば、このスパッタ装置を追加して設けることは容易であり、他の成膜チャンバーやフィルム搬送装置等を新たに設置するのに要するコストを削減することができる。
【0083】
図3は、本発明に基づく光学的装置又は素子の製造方法によって成膜されたフルオロカーボン層(即ち、フッ素樹脂層)の例(A)、及び、好ましくないフルオロカーボン層(即ち、フッ素樹脂層)の例(B)、(C)である。
【0084】
即ち、図3(A)に示すように、純粋なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は単結合のみで形成され、これが好ましい構造である。これに対して、発生するプラズマをスパッタが行われている領域にうまく閉じ込めることができない時(上記したボンバード)は、図3(B)及び(C)に示すように、フルオロカーボンガスからフッ素原子が失われ、二重結合をもつフルオロカーボン及び/又は枝分かれしたフルオロカーボンのようになり、これらのフルオロカーボン層の表面は、表面エネルギーが高くなるので、純水(又は、二ヨウ化メチレン)に対する接触角が小さくなってしまう。
【0085】
従って、本発明に基づく光学的装置又は素子を製造するに際し、プラズマをスパッタが行われている領域に閉じ込めることが好ましい。
【0086】
図1は、本発明の光学的装置又は素子の一例である。
【0087】
この図1においては、二酸化ケイ素、石英ガラス、シリコン等からなる下地層8上に、紫外線硬化型樹脂又は粘着剤からなる接着剤層7を介してポリエチレンテレフタレート(PET)等からなるプラスチックフィルム層6が接着されている。このプラスチックフィルム層6は、図6や図8で示した如き成膜装置によって、その上にはハードコート層5(これは予めフィルム層6に一体化されたものであってよい。)、薄膜(例えば、二酸化スズ膜)層4及び薄膜(二酸化ケイ素等)層3からなる光学層9、Si系接着層2及びフルオロカーボン層1が順次積層された積層体としてなされている。そして、この積層体が下地層8上に接着されている。
【0088】
図4は、本発明の光学的装置又は素子の具体例である。
【0089】
図4(A)は、陰極線管(ブラウン管)11のフェースプレート8上に、接着層7、プラスチック層6、ハードコート層5、光学膜9(薄膜4と3の積層体)、Si系接着層2、フルオロカーボンのトップコート層1を順次設けたものである。図4(B)は、陰極線管(ブラウン管)11のフェースプレート8上に接着層7、プラスチック層6及びハードコート層5を介しないで直接に、光学膜9、Si系接着層2、フルオロカーボンのトップコート層1を順次設けたものである。
【0090】
図4(C)は、光学レンズ12上に、光学膜9としての薄膜4及び二酸化ケイ素層、Si系接着層2、フルオロカーボンのトップコート層1を順次設けたものである。
【0091】
図5は、本発明を適用した光学的装置(電気光学素子)の一例であり、図1の構造とは、光学膜9においてSiO2層3を透明導電層(SnO2又はITO)4a、4bによって挟着し、これらを接地して帯電防止性を高めている点が主として異なっている。
【0092】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0093】
各サンプルとその作製
後記の表1に示す各例は図4に示した如き光学的装置において、フルオロカーボン層(トップコート用のターゲット材)として、サンプルF03〜F113はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、サンプル114はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とパーフルオロポリエーテル(PFPE)との混合物(但し、混合比は、1:1)をそれぞれ用いたものである。
【0094】
これらの各例におけるフルオロカーボン層の性質及び結果をその成膜条件毎に後記の表1に記載した。但し、各例のサンプル番号の「F」は、本発明に基づくフルオロカーボン層及び接着層のみが下地上に設けられているサンプルを示し、「A」は、フルオロカーボン層及び接着層が下地上の反射防止層上に施されているサンプルを示す。
【0095】
また、本例の光学的装置又は素子の製造に使用した装置は、図6に示した如きRFプラズマスパッタ装置である。このRFプラズマは、タングステンのフィラメントに電気を通すことによって発生するものである。
【0096】
このRFプラズマスパッタ装置は、図7(A)、(B)に示した回転パレット29のいずれかを有するものであり、この回転パレット上に下地を固定し、これを回転させることによって順次、水冷された導電性バッキングプレート上に配置された接着層用、フルオロカーボン層用のターゲットをスパッタし、下地上にSi系接着層及びフルオロカーボン層を成膜する。
【0097】
但し、この装置においては、特に表1中に「その他」の欄が記載されている例以外は、接着層のスパッタ電力は2KWである。また、上述の停滞時間についても、分割型ターゲットを用いている場合、「その他」の欄に記載されている以外は、約0.1〜0.5秒である。一体型のターゲットを用いている場合は0秒である。
【0098】
本例で使用したRFプラズマスパッタ装置は、MRC社製のR&Dスパッタ装置である。
【0099】
表1の各欄について
以下に、後記の表1の各欄について説明する。
【0100】
「H2 O接触角」及び「CH2 I2 接触角」は、Kyowa Interface Science 社製のCA−Dを測定機器として用い、以下に述べる条件下で成膜されたフルオロカーボン層の表面に対する純水及び/又は二ヨウ化メチレンの接触角を測定した。但し、上記の接触角とは、図2に示したように、その角度が大きいほど、洗浄性、機械的耐久性に優れていると言える。
【0101】
「剥離テスト」とは、上述したように、半径30mmの球状物にしたエタノール含浸の布によって、2Kg重の力で20回往復してラビングした場合の外観的な変化を調べたものである。「○」は、このテストで何ら外観的な変化を生じなかったものであり、「×」は、外観的な変化を生じたものである。
【0102】
「下地」は、各例に使用した下地層の材質を表し、「Si」はシリコン、「SiO2 」は石英ガラス、「PET」はARコーティングされたポリエチレンテレフタレート、「BK7」はBK7ガラス(ホウケイ酸ガラス:Borosilicate Glass)を示す。
【0103】
「接着剤」は、フルオロカーボン層の接着に用いた接着剤の種類を表し、「Ti」は接着剤の主成分として、チタンを用いたことを示し、同様に、「Si」はケイ素、「Zr」はジルコニウム、「SiO2 」は二酸化ケイ素、「Si/テフロン」はケイ素とテフロンの混合物(但し、テフロンはポリテトラフルオロエチレンである。)を表す。
【0104】
「接着剤成膜時間」は、接着層の成膜(堆積)時間を、分:秒で示す。成膜速度は約30nm/minである。
【0105】
「フルオロカーボン成膜時間」は、フルオロカーボンの成膜(堆積)時間を、分:秒で示す。蒸着速度は約20nm/minである。
【0106】
「スパッタ時間」は、接着剤ターゲット及びフルオロカーボンターゲットをスパッタする総時間を分:秒で示す。ここで、「接着剤成膜時間」と「フルオロカーボン成膜時間」との和が「スパッタ時間」と一致しないのは、スパッタ中でもターゲットをシャッタで覆っておく時間(即ち、停滞時間)があるためである。
【0107】
「ターゲット温度」は、フルオロカーボンターゲットの中央部に設けた温度計でスパッタ終了時の温度をフルオロカーボンターゲットについてを測定したものである。ターゲットの温度は均一ではないので、この温度は近似の値である。但し、「c」は、冷却水で冷却しながら温度をほぼ室温に保ったものであり、「h」は、約50°前後に保ったものである。また、「m」は、長時間のスパッタやアーク放電のためにフルオロカーボンターゲットが溶解したことを示す。
【0108】
「スパッタ電力」は、フルオロカーボンターゲットをスパッタする際のRF(高周波)電力値を示し、単位はKWである。接着層用のターゲットのスパッタ電力は1.3KWである。
【0109】
「スパッタ圧力」は、スパッタ中でのチャンバー内の圧力を示す。但し、スパッタ中のフルオロカーボンターゲットから発生するガスのため、実際の圧力は表に示す圧力よりもやや高めになる。
【0110】
「ドーピング材料/量(sccm又は%)」において、「ドーピング材料」は、フルオロカーボン層の蒸着の際、ドーピングした材料を示す。「量(sccm又は%)」は、この材料が気体の時(例えば、O2 及びN2 )は、全ての気体に対するドーピングガスの容量(単位:sccm)を示し、この材料が固体の時(例えば、Si)は、ドーパントをターゲットの前面に取り付けて同時にスパッタするが、スパッタされるターゲットを覆うドーパント領域の割合(%)で示す。但し、この欄中のPCTFEとは、三フッ化塩化エチレン樹脂(3M社製)であり、Krytox(DuPont社製)とは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とパーフルオロポリエーテル(PFPE)の1:1の混合物である。
【0111】
「成膜方法」は、接着層及びフルオロカーボン層の成膜に使用した方法を示し、「S」は、接着層用ターゲットとフルオロカーボン層用ターゲットとを別々のチャンバーに設けて(即ち、図8の如きターゲット)それぞれをスパッタした場合、「O.T.」は、接着層用ターゲットとフルオロカーボン層用ターゲットとを一箇所に設けて(即ち、図7(A)の一体型のターゲット)スパッタした場合、また「T.T.」は、一つのチャンバー内で接着層用ターゲットとフルオロカーボン層用ターゲットとを別々に設けて(即ち、図7(B)の分割型のターゲット)スパッタした場合である。
【0112】
「プラズマの閉じ込め」は、発生したプラズマがスパッタ空間(領域)に閉じ込められている程度を示す。閉じ込め程度が高い方から順に「非常に良好」、「良好」、「中」、「弱」、「非常に弱」と5段階に分けて示す。
【0113】
その他の条件
「その他」は、接着層用ターゲット、フルオロカーボン層用ターゲットをそれぞれスパッタする際の特別な条件を示し、以下にそれぞれの内容について記載する。
【0114】
「a1」は、RF(高周波)エッチングした後、1分間空気にさらしたものである。但し、高周波エッチングとは、下地を清浄化するために行う。
【0115】
「a2」は、アルゴンガスをプラズマの発生時に用いた後、このアルゴンガスを止めたものである(自動スパッタ方式)。
【0116】
「a3」は、フルオロカーボンのスパッタを始める前に、プラズマ中にサンプルを導入してプレスパッタを行ったものである(シャッタでフルオロカーボンの成膜を防いでおく)。
【0117】
「a4」は、下地上に、アースした銅のシャッタを設けたものである。
【0118】
「a5」は、成膜前及び成膜中に下地を約100℃に加熱したものである。
【0119】
「a6」は、スパッタ材の飛翔距離を長くするために、パレットを用いないで、チャンバーの壁部に下地を配したものである。
【0120】
「a7」は、カプトンテープ(Kapton Tape:ポリイミド系の耐熱性の高いテープ)のアーク放電及び過熱により生じた炭素の汚れがあったものである。
【0121】
「a8」は、スパッタ雰囲気中に、アルゴンガスを使用しないものである。
【0122】
「a9」は、アーク放電を少なくするため、水冷されたターゲットにアルミニウムテープを設けたものである。
【0123】
「a10」は、プラズマスパッタの生じる領域に、導入管によって、ドーピングガスを直接導入したものである。
【0124】
「a11」は、真空吸引を長時間行ってチャンバー内を十分に真空状態にしたものである。この時のチャンバー内の圧力は1×10-6mTorrである。
【0125】
「a12」は、フルオロカーボンターゲットを十分に洗浄し、このターゲットの後方側でアーク放電が生じないようにしたものである。
【0126】
「a13」は、フルオロカーボンターゲットの後方側で、アーク放電が多数生じたものである。
【0127】
「a14」は、フルオロカーボンターゲットが溶解したものである。
【0128】
「a15」は、ケイ素を主とする接着層を成膜する際、スパッタ電力を0.2KWにしたものである。
【0129】
「a16」は、ケイ素を主とする接着層を成膜する際、スパッタ電力を0.6KWにしたものである。
【0130】
「a17」は、プラズマを発生させた状態での停滞時間を10秒としたものである。
【0131】
「a18」は、プラズマを発生させた状態での停滞時間を1分としたものである。
【0132】
「a19」は、プラズマが発生していない状態での停滞時間を1分30秒としたものである。
【0133】
「a20」は、プラズマが発生していない状態での停滞時間を10分としたものである。
【0134】
「a21」は、プラズマが発生していない状態での停滞時間を3分としたものである。
【0135】
「b1」は、水冷されたターゲット板に両面テープでフルオロカーボンターゲットを熱接着したものである。
【0136】
「b2」は、金属パレットに下地を熱的に結合したものである。
【0137】
「b3」は、真空吸引を長時間行ってチャンバー内を十分に真空状態にしたものである。この時のチャンバー内の圧力は1×10-6mTorrである。
【0138】
「b4」は、パレットを回転させるものである。
【0139】
「b5」は、スパッタ雰囲気中に、アルゴンガスを使用しないものである。
【0140】
「b6」は、プラズマを低入射角で導く(とじ込める)ために、下地の下部に磁石を設けたものである。
【0141】
「b7」は、アルゴンガスをプラズマの発生時に用いた後、このアルゴンガスを止めたものである(自動スパッタ方式)。
【0142】
「b8」は、下地上に、アースした銅のシャッタを設けたものである。
【0143】
「b9」は、スパッタ材の飛翔距離を長くするために、パレットを用いないで、チャンバーの壁部にサンプルを設けたものである。
【0144】
「b10」は、1つのターゲット(即ち、上述の一体型ターゲット)から接着層用材料をスパッタし、その近傍にドーピング材料を配したものである。
【0145】
「b11」は、異なる2つのターゲット(即ち、上述の分割型のターゲット)から接着層用材料をスパッタし、その近傍にドーピング材料を配したものである。
【0146】
「b12」は、アーク放電を少なくするため、水冷されたターゲットにアルミニウムテープを設けたものである。
【0147】
「b13」は、プラズマスパッタの生じる領域に、導入管によって、ドーピングガスを直接導入したものである。
【0148】
「b14」は、カプトンテープ(Kapton Tape:ポリイミド系の耐熱性の高いテープ)のアーク放電及び過熱により生じた炭素の汚れがあったものである。
【0149】
「b15」は、水冷されたターゲット板上にをネジ止めによりフルオロカーボンターゲットを固定したものである。
【0150】
「b16」は、ターゲット温度93℃、スパッタ電力0.4KWで5時間フルオロカーボンターゲットをスパッタした後、グリース状のフルオロカーボンによってフルオロカーボンターゲットを設けたものである。
【0151】
「b17」は、プラズマを発生させた状態での停滞時間を10秒としたものである。
【0152】
「b18」は、プラズマを発生させた状態での停滞時間を1分としたものである。
【0153】
「b19」は、プラズマが発生していない状態での停滞時間を1分30秒としたものである。
【0154】
「b20」は、プラズマが発生していない状態での停滞時間を10分としたものである。
【0155】
「b21」は、プラズマが発生していない状態での停滞時間を3分としたものである。
【0156】
「b22」は、フルオロカーボンのスパッタ時にCF3 I(100sccm)を導入したものである。
【0157】
「b23」は、フルオロカーボンターゲットの後方側で、アーク放電が多数生じたものである。
【0158】
また、その他の条件として、サンプルF03〜F15では、厚さ1mm又は2mmのフルオロカーボンターゲットを用い、サンプルF16以降では、厚さ5mmのフルオロカーボンターゲットを用いてターゲット材中での伝熱を向上させたものである。
【0159】
さらに、サンプルF14までは、自動的にRF(高周波)電力を変化させ、サンプルF15以降では手動でRF(高周波)電力を変化させた。
【0160】
サンプルA92以降は、フルオロカーボンターゲットの紙やすりによるラビング後にその汚れを取り除いてクリーンにしたサンプルである。
【0161】
サンプルF81以降は、水冷されたアルミニウムターゲット板にフルオロカーボンターゲットをネジ止めし、これにより、カーリング、過熱、アーク放電等からフルオロカーボンターゲットを保護することができる。
【0162】
サンプルF93以降は、水冷されたアルミニウムターゲット板にフルオロカーボンターゲットを熱的に結合するために、グリース状のフルオロカーボンを用いたものあり、これによって一定の制御された温度で成膜(堆積)の時間を長くできる。ここで、グリース状のフルオロカーボンとは、商品名Krytox(DuPont社製)であって、固体状のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と液体状のパーフルオロポリエーテル(PFPE)とを重量比1:1で混合したものである。
【0163】
各サンプル作製の目的
また、各例は、その目的別に6つのグループに分けることができる。
【0164】
まず第一に、F03〜F29のサンプルの主な目的は、フルオロカーボン層(トップコート)の純水(又は、二ヨウ化メチレン)に対する接触角を、様々な条件下で調べることである。
【0165】
第二に、F30〜F72及びF112〜F114のサンプルの主な目的は、接着層の剥離の程度を、様々な条件下で調べることである。
【0166】
第三に、A85〜A95のサンプルの主な目的は、洗浄性、機械的耐久性及び接着性を保持し、光学的な特性を、様々な条件下で調べることである。
【0167】
第四に、F73〜F92のサンプルの主な目的は、ターゲット温度による効果を調べることである。
【0168】
第五に、F93〜F98のサンプルの主な目的は、フルオロカーボン層の厚み(厚みはフルオロカーボンの成膜時間によって決定される。)による効果を調べることである。
【0169】
第六に、F107〜F111のサンプルの主な目的は、停滞時間による効果を調べることである。
【0170】
【表1】
【0171】
【表2】
【0172】
【表3】
【0173】
【表4】
【0174】
【表5】
【0175】
【表6】
【0176】
【表7】
【0177】
【表8】
【0178】
【表9】
【0179】
【表10】
【0180】
【表11】
【0181】
【表12】
【0182】
【表13】
【0183】
【表14】
【0184】
【表15】
【0185】
<結果の評価>
表1より、トップコートとしてのフルオロカーボン層は、純水又はジヨードメタン(二ヨウ化メチレン)の接触角が概して大きいが、洗浄性及び機械的耐久性に更に優れたフルオロカーボン層は、接触角が水について100°以上がよく、これは以下に示す条件で成膜すれば可能である。
【0186】
・スパッタ圧力が高いこと。
・プラズマの閉じ込め状態がよいこと。
・フルオロカーボン層の成膜時間が適度な範囲であること。
【0187】
また、表1より、スパッタ温度(ターゲット温度)は高いほどよいと言えるが、チャンバー内のアーク放電の量、ターゲットの溶解、接着層とフルオロカーボン層の成膜時間の違い等にも相関関係があるので、一概に、スパッタ温度が高いほどよいとは言えない。
【0188】
さらに、フルオロカーボン層の成膜時間が短すぎる場合(例えば、スパッタ電力1.2KWで、成膜時間4秒未満)及び成膜時間が長すぎる場合(例えば、スパッタ電力1.2KWで、成膜時間5分以上)は、小さな接触角しか得られない傾向がある。
【0189】
これは、フルオロカーボン層が接着層を覆うのに、ある程度の厚みが必要であることと、フルオロカーボン層が厚すぎると、フルオロカーボン層の構造が変化してしまうこととによるものと考えられる。また、フルオロカーボン層が厚すぎる(特に10nmを超える)と、光学的特性を劣化させ易い。
【0190】
また、フルオロカーボン層が薄すぎると、フルオロカーボン層の機械的耐久性や洗浄性等の特徴が失われ易い。
【0191】
表1より、フルオロカーボン層の接着性(耐剥離性)は、特に、下地には依存しないが、接着層としてSiを用いることによって向上することが分かる。また、ドーピングガスとしてCF3 Iを用いると、SiO2 表面がSi−CF3 化し、トップコートの接着力を向上させ得るものと期待される。
【0192】
停滞時間については、1×10-6Torrの圧力下では、1分以内であることが好ましい。図8に示した装置を用いる場合は、ケイ素接着層成膜用チャンバーをフルオロカーボン層成膜用チャンバーの直前に配置することで、上述の条件を容易に満たすことができる。
【0193】
また、ドーピング材料は、含有しないほうが好ましく、純粋なフルオロカーボンを成膜する場合が、接触角が優れることが分かる。しかしながら、例えば、ドーピング材料としてシリコンを用いた場合は、接触角が必ずしも小さくなることはなく、実際に、ケイ素からなる接着層用材料の近傍にごく少量のシリコンを配置してスパッタを行ったサンプルは、優れた(大きい)接触角を得ている。
【0194】
以上の結果から、例えば、ターゲット温度が室温付近(つまり、冷却水によって冷却されている。)であり、スパッタ電力は1.2KW、スパッタ圧力は14mTorrで、ドーピング材料を含まず、フルオロカーボン層の成膜時間は10秒で、プラズマの閉じ込めが適度の場合である条件が適したものである。
【0195】
また、上述のように、接触角を優れたものにするためには、プラズマの閉じ込めが重要な要素である。これは、プラズマの閉じ込めが、フルオロカーボンをスパッタする際に、このフルオロカーボンからフッ素原子が失われるのを防いでいるためである。
【0196】
また、本発明に基づく積層構造では、トップコート層のモース硬度は4.5以上(ビッカース硬度で300以上)となった。
【0197】
また、接着層用原料としてチタンやジルコニウムは接着性には優れるものの、ケイ素に比べて接触角が小さくなっている。
【0198】
保存性試験
次に、上記の各例による光学的装置又は素子のフルオロカーボン層(トップコート)について、保存性試験を行った。この保存性試験は、フルオロカーボン層について、(1)成膜直後、(2)脱イオン水(純水)で洗浄した後、(3)48時間、相対湿度100%、温度50℃下に保存した後、(4)上述の剥離テストの後、の4回に分けて、純水及び二ヨウ化メチレンの接触角を測定したものである。この結果は下記の表2に示す。但し、使用したサンプルは、A96である。
【0199】
【0200】
<結果の評価>
これより、成膜直後から、脱イオン水(純水)で洗浄した後、及び48時間相対湿度100%、温度50℃下に保存しておいた後でも、100°以上と優れた接触角を保持することが分かる。但し、剥離テストの後は、この剥離テストでフルオロカーボン層表面にキズが生じ、純水及び二ヨウ化メチレンの接触角が減少したものと考えられる。
【0201】
各材料の接触角
さらに、テフロンTFE、シリコーン、ポリプロピレン、ポリエチレン、テフロンFEP、金、炭化チタン、テフロンPFA、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、炭化ケイ素、BK7ガラスを様々な形状にして、純水の接触角を測定した。この結果は下記の表3に示す。
【0202】
【0203】
このように、本発明に基づくSi接着層を使用し、フルオロカーボントップコート層として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いると、他の材質のものよりも接触角が向上することが分かる。なお、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、及びPTFEとの混合物や、テフロンFEP、テフロンPFA等のフルオロカーボンも使用することができる。
【0204】
また、図1に示した構造に用いるトップコート材として、荷重が小さくて鋭いものによるスクラッチ(シャープペン硬度)について、シャープペン硬度は表面状態に影響されることから、3M社のFC−722(フルオロカーボン系)の層を設けた。これは液体材料であり、溶媒で希釈して使用し、コーティングした。
【0205】
このトップコート層の膜厚は数10Åと非常に薄いが、経時劣化し難く、また反射率(波長変化も含む。)等の光学的な影響は小さく(反射波長のシフト5nm程度)、無視できるレベルであった。そして、このトップコート層の特徴として、表面張力が小さく(フッ素系の特徴であって、十分に乾燥すれば、30dynes/cm以下となる。)、また滑りが良いので汚れが付き難く、拭き取り易い。また、シャープペン硬度は、表面が平滑で滑りが良いことから、150g程度(このトップコート層を設けないときは50g)まで改善された。鉛筆硬度では3Hであった。
【0206】
従って、このトップコート層を設けることによっても、膜の光学特性、機械的強度の両方を確保することができるようになった。
【0207】
以上、本発明を実施例について説明したが、上述した実施例は本発明の技術的思想に基づいて更に変形が可能である。
【0208】
例えば、上述した被覆構造の積層構造体の層構成や材質、形状等は種々変更でき、特にSi系接着層で接着されるトップコート材は上述したもの以外の種々のフルオロカーボンが使用可能である。
【0209】
また、下地についても、光学特性向上のためには反射防止膜をはじめ、光透過性材料、帯電防止性材料等の種々の膜を設けることができるし、適用可能な光学装置又は素子も種々の光学系、更には光源装置、光情報処理装置が挙げられる。
【0210】
各層の成膜方法は、その種類毎に適切な方法を採用でき、スパッタ法、真空蒸着法、コーティング法等を適切に組み合わせることができる。
【0211】
【発明の作用効果】
本発明によれば、ケイ素からなる接着層を介して、本体上にフルオロカーボン層を設けているので、洗浄性及び機械的強度に優れるばかりでなく、フルオロカーボン層が剥離しにくい光学的装置又は素子を提供できる。
【0212】
また、本発明の製造方法によれば、物理的成膜法を用いて接着層及びフルオロカーボン層を形成するので、上記の優れた光学的装置又は素子を低コストに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による光学的装置又は素子の要部断面図である。
【図2】同、光学的装置又は素子のフルオロカーボントップコート層に対する純水(又は、二ヨウ化メチレン)の接触角を示した断面図である。
【図3】(A)は、本発明に基づくフルオロカーボン樹脂の一部分の構造式であり、(B)及び(C)は、フルオロカーボンがフッ素原子を失って生成された別のフルオロカーボン樹脂の一部分の構造式である。
【図4】(A)及び(B)は、本発明の実施例による光学的装置(陰極線管)の概略断面図であり、(C)は、同光学的素子(光学レンズ)の断面図である。
【図5】本発明の他の実施例による光学的装置又は素子の要部断面図である。
【図6】本発明に基づく光学的装置又は素子を製造するに際して使用できるRFプラズマスパッタ装置の概略断面図である。
【図7】同RFプラズマスパッタ装置に使用される回転式パレット部分の二例の概略平面図である。
【図8】本発明に基づく光学的装置又は素子を製造するに際して使用できる連続式RFプラズマスパッタ装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1…フルオロカーボン層、2…主としてケイ素からなる接着層、
3…例えば、二酸化ケイ素からなる薄膜層、
4…例えば、二酸化スズからなる薄膜層、5…ハードコート層、
6…プラスチックフィルム層、7…接着剤層、8…基体、9…光学膜、
10…液滴、11…陰極線管(ブラウン管)、12…光学レンズ、
21…真空チャンバー、22…アルゴンガス導入管、23…排気口、
26…ガス導入管、
28、45、46、47、48、49…ターゲット板(バッキングプレート)
29…回転プレート、30…電源、31a、31b…冷却水、
33…アルゴンガス、34…排気ガス、
35、36、60、61、62…ターゲット、37…下地、
41…送りロール、42…巻取りロール、43…ガイドロール、
44a、44b…冷却キャン、50a、50b…プラスチック層(ベース)、
51…仕切り板
Claims (32)
- 本体上に、ケイ素からなる接着層を介してフルオロカーボン層が被覆されている光学的装置又は素子。
- 下地層上にフルオロカーボン層が接着されている、請求項1に記載した光学的装置又は素子。
- フルオロカーボン層が、ポリテトラフルオロエチレン及び/又はパーフルオロポリエーテルによって形成されている、請求項1に記載した光学的装置又は素子。
- 接着層の厚みが10nm以下である、請求項1に記載した光学的装置又は素子。
- フルオロカーボン層の厚みが10nm以下である、請求項1に記載した光学的装置又は素子。
- アルコールを含浸した布によって20回往復してラビングした際に、フルオロカーボン層の表面が外観的に変化しない、請求項1に記載した光学的装置又は素子。
- フルオロカーボン層に対する水の接触角が100°以上である、請求項1に記載した光学的装置又は素子。
- 下地層が光学膜からなる、請求項2に記載した光学的装置又は素子。
- 光学膜の内、接着層が接する境界層が二酸化ケイ素によって形成される、請求項8に記載した光学的装置又は素子。
- 光学膜が反射防止膜である、請求項9に記載した光学的装置又は素子。
- 光学膜が本体上に設けられている、請求項9に記載した光学的装置又は素子。
- 光学膜と本体との間に、樹脂層及び硬質層が積層して設けられている、請求項11に記載した光学的装置又は素子。
- 下地層が石英ガラス又はケイ素製の本体からなる、請求項2に記載した光学的装置又は素子。
- 本体上に、ケイ素からなる接着層を介してフルオロカーボン層が被覆されている光学的装置又は素子を製造するに際し、物理的成膜法によって、前記接着層及び前記フルオロカーボン層をそれぞれ形成する、光学的装置又は素子の製造方法。
- 物理的成膜法としてRF(高周波)プラズマスパッタ法を適用する、請求項14に記載した製造方法。
- 接着層用及びフルオロカーボン層用のターゲットを回転体上に配置する、請求項15に記載した製造方法。
- 真空蒸着法によって、接着層及びフルオロカーボン層をそれぞれ形成する、請求項14に記載した製造方法。
- 接着層の成膜直後にフルオロカーボン層を成膜する、請求項14に記載した製造方法。
- 接着層を成膜した後、1分以内にフルオロカーボン層を成膜する、請求項18に記載した製造方法。
- フルオロカーボンガス及び/又は酸素ガスを含む雰囲気中で成膜する、請求項14に記載した製造方法。
- 成膜中に、プラズマによる荷電粒子が堆積膜を衝撃することを防止する、請求項14に記載した製造方法。
- 磁石の作用下で、又は、電気的にバイアスされたスクリーンを用いて、プラズマが堆積膜を衝撃するのを防止する、請求項21に記載した製造方法。
- ポリテトラフルオロエチレン及び/又はパーフルオロポリエーテルによって、フルオロカーボン層を形成する、請求項14に記載した製造方法。
- 接着層の厚みを10nm以下とする、請求項14に記載した製造方法。
- フルオロカーボン層の厚みを10nm以下とする、請求項14に記載した製造方法。
- DC(直流)スパッタ法によって下地層を形成し、この上にフルオロカーボン層を形成する、請求項14に記載した製造方法。
- フルオロカーボン層の下地層として光学膜を形成する、請求項14に記載した製造方法。
- 光学膜の内、接着層と接する境界層を二酸化ケイ素によって形成する、請求項27に記載した製造方法。
- 光学膜として反射防止膜を形成する、請求項28に記載した製造方法。
- 光学膜を光学的装置又は素子の本体上に設ける、請求項28に記載した製造方法。
- 光学膜と光学的装置又は素子の本体との間に、樹脂層及び硬質層を積層して設ける、請求項30に記載した製造方法。
- フルオロカーボン層の下地層を石英ガラス又はケイ素製の本体とする、請求項14に記載した製造方法。
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