JP3757185B2 - 連結車両のアンテナ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電車や地下鉄などの連結接続される連結車両間のアンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電車や地下鉄の車両内での通信には、ケーブル等を用いて有線接続された表示部にビデオデータや天気予報、コマーシャルなどの情報を表示するものがある。このような表示情報を連結された複数の車両においても同様に表示するため、複数の車両間を渡る制御信号線の一部を車両間通信線として送受信を行うものもあるがやはり有線接続での通信である。
列車内での情報を表示する従来例として、特開2001−63580「列車内情報提供システム」があり、これは列車内の広範囲にわたって情報提供を行うことのできる列車内情報提供システムを提供する技術が開示されている。しかしながら、連結された車両間での通信を行うことはできないという問題点がある。
【0003】
ここで、これから新たに製作する新車両であれば車両間に新たに光ファイバーの通信ラインを確保して大容量の通信線を実現することも可能であるが、実際には既に稼働してる車両の方が遙かに多く、新たに車両の改造を加えて大容量信号ラインを敷設する事は困難なものがある。
そこで、光ファイバーを配設せずに光空間伝送を行うことが考えられる。その従来例として、特開平6−350535「連結車両間光空間伝送方式」があり、複数の車両(客車)が連結された列車の操作室から各車両に設置された多数の音響機器、ビデオ受像機(AV機器)にオ−ディオ信号、ビデオ信号を送って音楽、画像のサ−ビスを行うことのできる技術が開示されている。しかしながら、各車両の連結部の端面に光送受信機を対向させて配置する必要があり、端面にある光送受信部分の汚れ等により送受信そのものに影響を及ぼす可能性があって問題点である。
【0004】
つぎに、車両間を無線通信により情報の伝送を行う従来例としては、特開平8−8805「電磁通信リンク使用の列車回線システム」があり、車両間に自由空間を介する無線リンクを含む通信リンクを提供するものである。これは、伝送データを多重化して送信し、受信車両側では多重分離するもので、その際の送受の各アンテナ部分のシールド手段についての技術が開示されている。しかしながら、車両毎に多重と多重分離を行う必要があり、そのため伝送情報が多くなった際に変復調部の負荷が大きくなってしまい、通信効率が悪くなるという可能性があって問題点である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
車両間通信にあっては通信アンテナが必要である。通信形式が光の場合は光学アンテナ、電波の場合は電波(RF)アンテナが必要となる。光学アンテナは光の性質上その通信系路に移動する乗客等の障害物があると、通信障害が発生するため、天井等の高い部分などへの設置が必要である。電波アンテナは光学アンテナに比べてその通信系路上での移動する乗客等の障害物による通信障害は少ない。一方、電波アンテナでは、電波の反射の問題がある。対向する面から反射電波を受けて、一種のマルチパスが出現し、エコー等の発生となり、光学アンテナとは別の意味での通信障害が発生する。
また、アンテナを車両の特徴に合致するような部位の車両に不可欠な構成要素、例えば手摺りなどへの取り付けの工夫が要求される。
【0006】
本発明の目的は、こうしたマルチパスを減少させ又は、車両の構成要素にうまく合致可能なアンテナ装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、各車内毎に無線装置が搭載された連結車両の連結部の対向配置部位にある一方の手摺りの内部に埋め込んだ、連結する一方の車両の無線装置に接続される第1のアンテナと、対向配置部位にある他方の手摺りの内部に埋め込んだ、連結する他方の車両の無線装置に接続される第2のアンテナとを備えることを特徴とする連結車両のアンテナ装置を開示する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図12は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの構成ブロック図である。サーバ車両1と、それに連結される複数の従属車両2(従属車両#1、従属車両#2、…、従属車両#n)から構成される。また、サーバ車両1の外部通信アンテナ3を介して無線通信される無線基地局4が駅や線路付近等の外部に設置され、この無線基地局4は、通信回線9を介して総合情報センタ5と接続される。総合情報センタ5は、情報提供のためのデータベース8やコンピュータ(図示せず)を持ち、更に通信回線との接続をインタネット回線7や公衆回線、専用回線6等の各種回線を介して行っており、これらにより情報の提供をしたり、情報の提供を受けたりする。
【0013】
サーバ車両1と従属車両2とは、車両内部の通信システムがほとんど同一構成であって、大きな違いはサーバ車両1がサーバ(制御装置)15を持つ点及び外部設置の基地局4との通信のための外部通信用アンテナ3を持つ点、並びにそのアンテナ3を通じての車両1と基地局4との通信を行う通信装置10を持つ点である。
各サーバ車両1と従属車両2との共通する同一構成部分は、車内用アンテナ19、座席設置の無線操作端末23、車内用通信装置18、車両間データ伝送路20A、車両間通信装置13である。更に、車両間の通信は、車両間通信装置13を用いて無線にて行っている。
その他に、車両1、2内では、乗客が持つ携帯無線端末(携帯電話)14、車内販売員用端末21、車掌用端末22がその携帯者と共に移動する。これらの端末14、21、22は、いずれも車内用アンテナ19や車両接続部に設置(図示せず)されているアンテナ等を通じて、車両のどこの場所からも通信が可能になっている。座席端末23は、当然に車内用アンテナ19を通じて通信を行う。
サーバ車両1は、自車内及び下流のすべての従属車両2(#1〜#n)との通信及びアンテナ22を介しての通信を行う。この通信は、
(1)、センタ24からの提供情報の受信そしてその自車内及び下流従属車両(同報通信情報であればすべての車両、個別情報であればその該当車両)への配信,
(2)、下流従属車及び自車内からの提供情報及び各種の要求の収集、及びそれらのセンタ24への送信,こうした要求に応じたセンタ24からの提供情報の受信そして各車両への配信,
の如きものである。この他に要求や情報の中には、センタ24との通信が不要なものもあり、それらを選別あるいは編集又は回答という形で、車掌用端末22や販売員端末21、座席端末26に送ったりする送信、並びにそれに伴う受信等の通信も行う。
【0014】
これらの通信の総合管理や通信管理を行うものがサーバ2である。サーバ29は例えばコンピュータで構成されており、上記通信の補助的管理として、多重化された搬送波を送受信し、車両内の各種無線端末への宛先へのデータ送信や、車両内からの各種無線端末からの収集したデータを当該データの送信先を付した状態として纏めて送信する、といった周波数の割り当て作業や、同じ周波数帯の中に複数の送信データを多重化する作業等を行う。従属車両2においては、このサーバから割り当てられた周波数に従って各車両にデータを無線送信しつつ次の車両へとデータを渡し、または各車両内の自端末より受信したデータを収集してサーバ車両側の従属車両にデータを渡す、という作業を行う。
【0015】
次に車両間通信について述べる。サーバ車両1が従属車両2(#1〜#n)からの提供情報や要求を取り込み収集する。従属車両間及びサーバ車両1との間では、下記の如き通信系路をなす。
(1)、従属車両からサーバ車両1への系路。
#n→#n−1→…→#2→#1→サーバ車両1
(2)、サーバ車両1から従属車両への系路。
サーバ車両1→#1→#2→…→#n−1→#n
(3)、従って、(1)で#nで要求Rn、#1で要求R1が発生した場合の各車両を経由しての流れは以下となる。
#n(R1)→#n−1(R1)→…→#2(R1)→#1(R1、R2)→サーバ車両(R1、R2)
一方、(2)でサーバ車両1が同報情報I、#1への情報I1、#n−1への情報In−1を、配信する場合には以下となる。
サーバ車両1(I、I1、In−1)(センタ24からの同報通信であれば、Iへの取り込み)→#1(I、I1、In−1)(I、I1の取り込み)→#2(I、In−1)(Iへの取り込み)→…→#n−1(I、In−1)(I、In−1の取り込み)→#n(I)(Iの取り込み)
以上の車両間の系路は、車両内、車両間とで分けると以下の如き構成要素間の接続形成によって達成する。
(1)、従属車両内の場合。
例えば#n内の座席端末23との通話にあっては、座席端末23−アンテナ19−車内用通信装置18−車両間通信装置13、
となる。これは、他のすべての車両#n−1〜#1でも同じである。
(2)、サーバ車両内の場合。
座席端末23−アンテナ19−車内用通信装置18−サーバ15、
となる。
(3)、車両間の場合。
例えば#1とサーバ車両1との間にあっては以下の如くなる。
i、#1が下流の従属車両#2等との窓口としての車両間通信例。
#1内の車両間通信装置13(a)−#1内のデータ伝送路20A−#1内の車両間通信装置13(b)⇔サーバ内車両間通信装置13(c)−サーバ内データ伝送路20A−サーバ15、
ii、#1内の座席端末とサーバ車両1との通信例。
#1内の座席端末23−#1内のアンテナ19−#1内の車内用通信装置18→#1内の車両間通信装置13(b)⇔サーバ内データ伝送路20A−サーバ15、
iii、#1とサーバ車両1との例で説明したが、従属車両間でも同様な系路接続となる。
【0016】
通信系路が、下流から上流へ、及び上流から下流への、いわゆる直列系路で行っていると共に互いに各車両毎の情報や要求がまとまった形で伝送されるが故に、車両毎に情報の区別が必要となる。そのためのやり方として、ベースバンド帯を区分して、各区分毎に車両を割り当てるやり方、中間周波の周波数を区分して各区分毎に車両を割り当てるやり方、車両コードをつけて伝送するやり方等がある。
また、通信形式としてはアナログ形式、ディジタル形式のいずれも採用可能である。そして、こうした形式の違いによって、通信装置10、18、13も構成が異なってくる。
【0017】
センタ5の提供情報は、データベース8に格納されている。提供情報には、
発車時刻、到達時刻、トイレ位置、料金、販売案内、周辺の観光情報、予約状況、交通案内、事故情報等
がある。また、メディアからの提供情報もある。更に、情報の配信には、同報転送の如く、たれ流しであって且つ全乗客へ提供するもの、乗客から要求に応じた個別提供情報もある。車内販売の品目等の情報はセンタ5からは必ずしも必要はなく、サーバ15内の車内データベースやメモリ等、又は販売端末のメモリからの例もある。携帯端末14は、車内通信系路を使用する必要はないが、アンテナ19を介してセンタ5と交信できるようにしておくと、利用の幅が広がる。
座席端末23は、各座席毎に設けられており、販売品の呼び出し要求や乗り継ぎ路線の電車時刻の提供要求等の入力及びセンタやサーバからの応答や提供情報の受信表示として使う。スピーカやマイク装着しておくことで、音声入出力も可能とした。
【0018】
この無線通信システムによれば、外部の無線基地局4より受信したデータを外部通信アンテナ19を介してサーバ車両1、従属車両2(#1〜#n)、と次々に配信することができ、また、逆に各車両内より車内用アンテナ19を介して受信したデータを従属車両#n、…従属車両#1、サーバ車両1、と次々にデータを纏めながら収集し、外部通信用アンテナ19を介して無線基地局4へ送信することができる。かくして車両内の座席に配置された座席用端末23や、車掌用端末22、車内販売員用端末21、車内に持ち込まれた携帯無線端末14、等の各種無線端末装置と車両外部との無線通信及びサーバ車両との無線通信が可能となる。
次に各車両間の無線通信の具体的な実施の形態について詳述する。
【0019】
図1に本発明の実施に係る無線通信システムの第1の形態を示す。
この例は、ベースバンド帯で通信を行う例である。ベースバンド帯を分割し、各区分毎に各車両への区分の割り当てを行った。これを図19に示す。ベースバンド帯とその分割区分B0…B5と車両との関係は以下の如く割り当てる。B5は室内用であって全車両共通で使用する。
サーバ車両1…B0
従属車両#1…B1
従属車両#2…B2
:
従属車両#n…B4
かくして、従属車両#nからのデータはBnで送られ、#n−1では合成されてBn+B(n−1)となり、#n−2では、合成されてBn+B(n−1)+B(n−2)となり、以下上流へ次々にベースバンド区分が付加されて送られてゆく。サーバ車両1では、ベースバンド帯全体の領域での受信が行われる。逆にセンタからのデータの場合には、各ベースバンド帯の区分である車両対応に区分されて送られ、各車両は自己の区分に従ってその自己対応のデータの取り込みを行う。
【0020】
サーバ車両1は、サーバ15、客室用モデム35、客室用RF36、客室用アンテナ42,車両間用モデム37、車両間用RF(無線装置)38、車両間アンテナ43、車外用モデム39、車外用RF40、外部通信アンテナ3、結合器41、を持つ。
ここで、モデム35、RF36、アンテナ42が図12の通信装置12に相当し、モデム37、RF38、アンテナ43が図12の通信装置13に相当し、モデム39、RF40、が図12の通信装置10に相当する。結合器41はサーバ15とモデム35、37とを方向的に結合する。
従属車両2(#1〜#n)のすべては同一構成であり、図1では#1のみについて記号表示をしている。車両#1は、客室内モデム27、客室内RF26、客室内アンテナ11、車両間用モデム31、33、車両間用RF30、32、車両間アンテナ28、29、結合器35、を持つ。
ここで、モデム27、RF26が図12の通信装置18に相当し、モデム31、RF30、アンテナ28が図12の通信装置17に相当し、モデム33、RF32、アンテナ29が図12の通信装置20に相当する。結合器34は、モデム27、31、33とを方向的に結合する。
サーバ車両1の車内アンテナ42、及び従属車両2の車内アンテナ11は、いずれもその車内の座席端末23との間の無線通信を行っており、RFからアンテナ11を通じて座席端末23へ、座席端末23からアンテナ42、11を通じて対応するRFへの通信系路により通信が行われる。
【0021】
この構成による通信制御は以下となる。
従属車両#1で生起したデータ(例えば客室内端末23からのベースバンドデータ)や要求、或いは応答(以下、データと呼ぶ)は、RF26、モデム27、結合器34、モデム31、RF30、アンテナ28を介してサーバ車両1へと送られ、更にサーバ車両1から従属車両#1の客室へのデータは、その逆の系路で客室の端末23に送られる。一方、従属車両#1の後継車両、例えば#2の客室の端末23からのデータは、同車両内の該当モデム31、30、28を介して車両#1へと送られ、車両#1内のアンテナ29、RF32、モデム33、結合器32、モデム31、RF30、アンテナ28を介してサーバ車両1へと送られる。同様に、サーバ車両1からの従属車両#2の同客席端末へも、上記と逆の系路で送られる。
一方、複数の従属車両から次々にデータ等が送られる場合には、それらは次々に合成付加されながら上流の車両へと送られ、サーバ車両1へと入力する。一方、逆にサーバ車両1からの複数の従属車両2へのデータ等は、一連のデータ等となって下流へと送られ、各対応する従属車両2が自己のデータを取り込み、更に下流へのデータ等があれば、そのデータはその下流へと送られる。
こうしたデータの流れは、すべてモデム23、31、37、39を介して行われる。更に、方向の分離や出の取り込みのタイミングは、結合器41、34が行う。
【0022】
通信系路の確立について述べる。図1に示すように、各車両間の通信は無線電波によって行う。この場合の通信系路は、サーバ車両と従属車両#iとの間の系路と、サーバ車両と従属車両内の該当端末との間の系路と、がある。系路がオンラインでつながるシステムにあっては、上記互いに対応する部位間での系路の確率によって無線系路を形成する。オフライイン的なつながりであれば、つながりの必要なタイミングにのみ無線系路を形成する。また、無線系路の確率に当たって、アンサーバック形式をとるか否かはシステムによって任意に設定する。
複数の従属車両のデータをまとめた一連のデータ等とは、カスケードにつながった形式もあれば、時分割や周波数分割で多重化された形式もある。
RF36、38、40、26、30、32は、通信装置であって、それぞれの設置個所に応じて定めた周波数を使う。モデム35、37、39、27、31、32は、こうしたRFの周波数に関する変復調を行う。
【0023】
各従属車両2(従属車両#1〜#n)とサーバ車両1との間にあっては、下流(従属)から上流(サーバ)、上流(サーバ)から従属への通信系路で通信が行われる。下流から上流(サーバ)へにあっては次々に要求や提供情報を付加しながら、一連のデータとして上流(サーバ)へ送られ、その逆ではそれぞれの車両が自己の情報を次々に取り込む。このように、下流から上流への通信にあっては、各車両内において送信されるデータは順番に付加加算されて、サーバ車両1の車両間アンテナ43、車両間用RF43を通り、車両間用MODEM37を通って、ベースバンドデータに戻される。さらにサーバ車両内においても、客室が有る場合と同様に客室内アンテナ42、客室用RF36、客室用MODEM35を経由してベースバンドデータに戻される。車両間を渡ってきたベースバンドデータとサーバ車両内のベースバンドデータも方向的に結合される結合器41を通しベースバンドデータが合成され、1つのベースバンドデータとしてサーバ15に接続され、そこで適宜データ処理される。
サーバ15で処理されたデータの内容によっては外部との通信を行なう為に、車外用MODEM39、車外用RF40、外部通信アンテナ3を経由して外部にある外部基地局4と無線通信が確立される。また、センタからのデータの送信を受けてのサーバ車両から下流へ向かう従属車両へのデータの配信は上述と逆の関係となる。なお、車両間で使用される無線電波の周波数電力にはある特定の条件があるが後述する。
【0024】
図5に本発明の実施に係る無線通信システムの第1の形態を応用した実施例を示す。本実施例はサーバーが搭載されるサーバ車両1と、それに連結される従属車両2(#1〜#n)から構成される。
この構成による通信制御について、まず従属車両#nの車内客室を例にとって説明する。従属車両#nの客室内の無線通信用の周波数で電波を送受信する客室内アンテナとそのアンテナと無線電力を変換する客室用RF26−1〜RF26−mがあり、そのRFは元のベースバンドデータとして変復調する客室用MODEM27−1〜客室用MODEM27−mが接続される。
客室用MODEM27−1〜27−mと従属される下流車両のための車両間用MODEM33と方向的に結合される結合器34を通しベースバンドデータが合成され、1つのベースバンドデータとして今度は車両間用MODEM31、車両間RF30、その電力を無線電波として空中に送受信する車両間アンテナ28を介して従属先の車両#n−1へとデータを送信する。
従属車両#n−1では、従属車両#nの車両間用RF32、MODEM33に相当する部位で受信し、従属車両#nの結合器34、MODEM31、RF30、アンテナ28に相当する部位を介して上流車両へとそのデータを送る。
【0025】
このような通信制御を、下流の従属車両#nから上流の従属車両へそしてサーバ車両1へと繰り返し行うことで各車両内において送受信されるデータは順番に加算されて、サーバ車両の車両間アンテナ43、車両間用RF38と通り、車両間用MODEM37を通って、ベースバンドデータに戻される。さらにサーバ車両内においても客室が有る場合と同様に客室内アンテナ42、客室用RF36、客室用MODEM35を経由してベースバンドデータに戻される。車両間を渡ってきたベースバンドデータとサーバ車両内のベースバンドデータも方向的に結合される結合器41を通しベースバンドデータが合成され、1つのベースバンドデータとしてサーバーに接続され、そこで適宜データ処理される。
サーバーで処理されたデータの内容によっては外部との通信を行なう為に、車外用MODEM、車外用RF、外部通信アンテナを経由して外部にある外部基地局と無線通信が確立される。一方、センタからのデータの送信を受けてのサーバ車両から下流へ向かう従属車両へのデータの配信は上述と逆の関係となる。
【0026】
ベースバンド帯の割り当てとそれによる通信とを図19、図20で説明する。図20は各従属車両内の構成を示す。この図で結合器34は、分配器34−1と方向性結合器34−2とより成る。
従属車両の各車両はベースバンド信号全体のうちの、各々異なるベースバンド信号が割当てられる。例えば、従属車両#1は図19のB1の帯域が割当てられ、従属車両#2はB2が割当てられる。このように、車両間用モデムは車両毎に帯域割当てが個別に設定される。客室用モデムは全車両共、共通のものとする。
(1)、従属車両の上り(サーバ車両方向)の信号処理
従属車両内の端末23からの受信は客室内アンテナ11と客室用RF26を介して行われる。各端末23からのデータはベースバンド信号の帯域B5により行われ、このB5を客室用モデムにて予め設定されている帯域B1に割当てて(ずらして)方向性結合器へ送出される。
一方、サーバ車両の反対方向の車両間アンテナ29と車両間用RF32を介して、下流の従属車両から送信されたデータは、ベースバンド信号全体であり、そのうち、従属車両#2の帯域B2、従属車両#3の帯域B3、には、それぞれの車両内の端末からのデータが含まれており、ベースバンド信号全体として車両間用モデム33から方向性結合器34−2に送出される。
方向性結合器34−2では、前述した客室用モデム27からの帯域B1と車両間用モデム33からのベースバンド信号全体とを、サーバ車両方向の車両間用モデム31に出力する。
この車両間用モデム31では、前記のベースバンド信号全体中に帯域B1のデータを追加して、ベースバンド信号全体を車両間用RF30と車両間アンテナ28を介してサーバ車両1に送信する。そうすると、サーバ車両1はベースバンド信号全体を受信し、このベースバンド信号全体の中には、各従属車両(#1〜#4)のデータが各帯域(B1〜B4)に含まれたデータとなる。
(2)、従属車両の下り(サーバ車両と反対方向)の信号処理
サーバ車両1からのデータはサーバ車両方向の車両間アンテナ28と車両間用RF30を介してベースバンド信号全体として車両間用モデム31に入力される。そして分配器34−1に送出され、客室用モデム27と車両間用モデム33に同様のデータ(ベースバンド信号全体)が送出される。
下りのデータは、(データ量が多いため)帯域B0〜B4に適当に含まれるものとなるが、客室用モデム27は端末23との送受信に用いるベースバンド信号帯域B5にデータを割当てて(B0〜B4のデータを圧縮して)室内の各端末23への送信を行う。
前記分配器34−1より送出されて、サーバ車両の反対方向の車両間用モデム33では、車両間用RF32と車両間アンテナ29を介して下流の従属車両へベースバンド信号全体を送信する。これらの上り下りの信号は時分割(TDM)動作にて各モデムが行う(特に図示せず)。
【0027】
図21はサーバ車両の構成を示す。結合器41は分配器41−1、方向性結合器41−2より成る。
(1)、サーバ車両の上りの信号処理
サーバ車両内の端末23からの受信は客室内アンテナ42と客室用RF36を介して行われる。各端末23からのデータはベースバンド信号の帯域B5により行われ、このB5を客室用モデム35にて予め設定されている帯域B0に割当てて(ずらして)方向性結合器41−2へ送出される。
一方、車両間アンテナ43と車両間用RF38を介して、従属車両#1から送信されたデータは、ベースバンド信号全体であり、そのうち、従属車両#1の帯域B1、従属車両#2の帯域B2、従属車両#3の帯域B3、には、それぞれの車両内の端末からのデータが含まれており、ベースバンド信号全体として車両間用モデム38から方向性結合器41−2に送出される。
方向性結合器41−2では、前述した客室用モデム35からの帯域B0と車両間用モデム37からのベースバンド信号全体とを、サーバ15に出力する。
このサーバ15では、前記のベースバンド信号全体中に帯域B0のデータを追加して、ベースバンド信号全体よりデータを復調し、ビットデータ形式のデータとして各種の制御を実行する。また、車外との通信を行う必要の有るデータについては、車外用モデム39にデータを送出する。
車外用モデム39は、予め設定してある車外用通信帯域のベースバンド信号帯域にデータを割当てて(図示せず)、車外用RF40、外部通信アンテナ3を介して外部基地局4へ送信する。なお、この車外用通信帯域のベースバンド信号帯域が図19にベースバンド信号全体と同様であっても構わない。
(2)、サーバ車両の下りの信号処理
外部基地局4からのデータは外部通信アンテナ3と車外用RF40を介して車外用モデム39に入力される。
この入力されたデータをサーバ15に入力し、車内に配信すべきデータはサーバ15より図19のベースバンド信号全体として分配器41−1に送出される。分配器41−1は、客室用モデム35と車両間用モデム37を介して同様のデータ(ベースバンド信号全体)を客室用モデムRF36、車両間用RF38に送る。下りのデータは、帯域B0〜B4に適当に含まれるものとなるが、客室用モデム35は端末23との送受信に用いるベースバンド信号帯域B5にデータを割当てて(B0〜B4のデータを圧縮して)室内の各端末23への送信を行う。車両間用モデムでは、車両間用RF38と車両間アンテナ43を介して従属車両#1へベースバンド信号全体を送信する。
【0028】
上述したように第1の実施の形態やそれを応用した実施例によると、閉空間内にある無線通信機と通信する手段と、被従属接続される無線通信機と通信する手段と、それぞれを一旦ベースバンド周波数データに変復調し、ベースバンド周波数データ同士で結合分離を行う方向性結合器と、それを再び他の従属される無線通信機と通信する手段とを備え、従属接続する側と被従属接続する側でデータを多重化して再び従属する側のデータに組込む機能と、その多重化した全データを送受信制御する制御装置とを備えたことを特徴としており、これにより従属接続される無線通信機と通信する手段各々にRF周波数が周波数帯域が重ならないようにデータ群を配置されて閉空間内にある無線通信機と通信する手段まで伝送し、該伝送されたRF周波数のデータ群を多重化する制御を行うことができる。
【0029】
図2に本発明の実施に係る無線通信システムの第2の形態を示す。これは中間周波数で車輌を区別した例である。この形態においては、前述した図1の客室用モデム、車両間用モデム、車外用モデムを用いずに、RF信号を中間周波数変換(IF変換)することで同様の無線通信を確立するものである。中間周波数の車両割り当て例を図21に示す。図21で中間周波数I0をサーバ車両1、I1を車両#1、I2を車両#2、I3を車両#3、I4を車両#4、I5を室内用に割り当てる。I5は全車両の室内共通である。一方、ベースバンド信号の車両割り当ては行わない。各従属車両は同様な構成なので、車両#1で説明する。
先ず従属車両#1の車内客室では、客室内の無線通信用の周波数で電波を送受信する客室内アンテナ11とそのアンテナと無線電力を変換する客室用RF26があり、そのRF26は客室内IF変換器52でIF周波数に変換される。また、さらに連結される車両との無線通信用に車両間アンテナ28、29とそのアンテナと無線電力を変換する車両間RF30、32、車両間用IF変換器53を持つ。
客室用RF26と車両用MODEM30、32と方向的に結合される結合器34を通しIF周波数に変換されたデータが合成され、お互いに異なる周波数帯域のIF周波数のまま合成される。次に1つのIF周波数の信号群として接続先である車両に無線データ群として周波数変換する車両間RF、さらにその電力を無線電波として空中に送受信する車両間アンテナ28を通して無線通信を確立する。
【0030】
各従属車両2#1〜#nは、前項の通信制御を下流の従属車両から上流の従属車両へ、更にサーバ車両1への方向に繰り返し行うことで各車両内において送受信されるデータは順番に加算され、且つ、周波数が重ならない様に並び、サーバ車両1の車両間アンテナ42、車両間用RF38と通り、もう1度IF周波数に変換される。
同時にサーバ車両1内でも客室が有る場合同様に客室内アンテナ42、客室用RF36、客室用IF50を経由して車両間IF周波数データ群とサーバ車両内の客室内のIF周波数データ群と方向的に結合器41で結合され、1つのデータ群としてサーバー用MODEMでベースバンドデータに戻される。そのデータは1つのベースバンドデータとしてサーバ15に接続され、そこで適宜データ処理される。一方、上流から下流への通信は上述と逆の関係となる。なお、車両間で使用される無線電波の周波数電力にはある特定の条件があるが後述する。
【0031】
図6に本発明の実施に係る無線通信システムの第2の形態を応用した実施例を示す。本実施例は、サーバーが搭載されるサーバ車両1と、それに連結される従属車両2(#1〜#n)から構成される。各従属車両#1〜#nは同様の内部ブロックより成る。従属車両#nの事例で説明する。
従属車両#nの車内客室では、客室内の無線通信用の周波数で電波を送受信する客室内アンテナ11とそのアンテナと無線電力を変換する客室用RF26−1〜26−mがあり、その各RFは客室内IF52−1〜52−m変換器でIF周波数に変換される。
また、従属車両#nにはさらに連結される従属車両との無線通信用に車両間アンテナ28、29とそのアンテナと無線電力を変換する車両間RF30、32があり、そのRFは車両間用IF変換器53でIF周波数に変換されるものであるが、本実施例での従属車両#nは最後尾車両(または、最前部車両)であるため、RF32は使用されないこととなる。
客室用RF26−1〜26−nとさらに従属される車両用RF30、32と方向的に結合される結合器34を通しIF周波数に変換されたデータが合成され、お互い同じ帯域に成らないようにIF周波数のまま合成される。合成された波形が図中の「合成された波形A」である。次に1つのIF周波数の信号群として今度は上流の車両#n−1(図示せず)へ、無線データ群として周波数変換する車両間RF30、さらにその電力を無線電波として空中に送受信する車両間アンテナ28を介して送信される。
【0032】
この繰り返しで従属車両#n〜#1まで各車両で送受信されるデータは順番にA→A+B→A+B+C加算されて周波数的に重ならない様に並び、サーバのある車両の車両間アンテナ、車両間用RFと通り、もう一度IF変換器でIF周波数に変換される。
同時にサーバ車両1内でも客室が有る場合同様に客室内アンテナ、客室用RF、各客室用IFを経由して車両間IF周波数データ群とサーバ車両内の客室内のIF周波数データ群と方向的に結合器41で結合されA+B+C+Dとなり、1つのデータ群としてサーバ用MODEMでベースバンドデータに戻される。そのデータは1つのベースバンドデータとしてサーバに接続され、そこで適宜データ処理される。サーバで処理されたデータの内容によっては外部との通信も行なう為に、車外用MODEM、車外用RF、外部通信アンテナを経由して外部にある外部基地局と通信を行なう様に構成されている。
【0033】
次に、図23、24を用いて上流から下流、下流から上流へのデータの流れについて説明する。図23は従属車両、図24はサーバ車両データの構成で、結合器34、41が共に分配器34−1、41−1、方向性結合器34−2、41−2より成る例である。これらの構成では、通常、IFによる信号処理は、各端末のデータを一旦、中間周波数信号(IF信号)に落とし、これをベースバンド信号に変換して送信データとする。また、この送信データを受信する場合、ベースバンド信号にて受信し、IF信号に変換して各種のデータ処理を行う、というものである。
【0034】
従属車両の各車両はIF信号全体のうちの、各々異なるIF信号が割当てられる。例えば、図22に示したように、従属車両1は図BのI1の帯域が割当てられ、従属車両2はI2が割当てられる。すなわち、車両間用モデムは車両毎に帯域割当てが個別に設定される。また、客室用モデムは全車両共、共通なI5としている。
【0035】
図23を用いて従属車両1の場合を説明する。
(1)、従属車両の上り(サーバ車両方向)の信号処理
従属車両内の端末23からの受信は客室内アンテナ11と客室用RF26を介して行われる。各端末23からのデータはベースバンド信号から中間周波数信号であるIF信号の帯域I5に変換されて、このI5を客室用IF52にて予め設定されている帯域I1に割当てて(ずらして)方向性結合器34−2へ送出される。
一方、サーバ車両の反対方向の車両間アンテナ29と車両間用RF32を介して、従属車両2から送信されたデータは、IF信号全体より変換されたベースバンド信号であり、そのうち、下流の従属車両#2の帯域I2、従属車両#3の帯域I3、には、それぞれの車両内の端末23からのデータが含まれており、IF信号全体として車両間用RF32から方向性結合器34−2に送出される。方向性結合器34−2では、前述した客室用IF52からの帯域I1と車両間用IF53からのIF信号全体中に帯域I1のデータを追加して、IF信号全体を車両間用RF30と車両間アンテナ28を介してサーバ車両に送信する。そうすると、サーバ車両はIF信号全体を受信する。このIF信号全体には、各従属車両(従属車両#1〜#n)のデータが各帯域(I1〜I3)に含まれたデータとなる。
【0036】
(2)、従属車両の下り(サーバ車両と反対方向)の信号処理
サーバ車両からのデータはサーバ車両方向の車両間アンテナ28と車両間用RF30を介して車両間用IF53に入力され、ベースバンド信号から中間周波数信号であるIF信号全体に変換される。そして分配器34−1に送出され、客室用IF52と両間用RF32に同様のデータ(IF信号全体)が分配送出される。下りのデータは、(データ量が多いため)帯域I0〜I4に適当に含まれるものとなるが、客室用には52は端末との送受信に用いるIF信号帯域I5にデータを割当てて(I0〜I4のデータを圧縮して)、それをベースバンド信号に変換して室内の各端末への送信を行う。前記分配器34−1より送出されて、サーバ車両の反対方向の車両間用すは32では、車両間アンテナ29を介して下流の従属車両へIF信号全体を含んだデータをベースバンド信号に変換して送信する。
これらの上り下りの信号は時分割(TDM)動作にて各モデムが行う(特に図示せず)。次にサーバ車両の場合を説明する。
【0037】
(1)、サーバ車両の上りの信号処理
サーバ車両内の端末23からの受信は客室内アンテナ42と客室用RF36を介して行われる。IF50は、各端末からのデータをベースバンド信号から中間周波数信号であるIF信号の帯域I5に変換し、このI5を客室用モデムにて予め設定されている帯域I0に割当てて(ずらして)方向性結合器41−2へ送出される。
一方、車両間アンテナ43と車両間用RF40を介して、従属車両#1から送信されたデータは、IF信号全体より変換されたベースバンド信号であり、そのうち、従属車両#1の帯域I1、従属車両#2の帯域I2、従属車両#3の帯域I3、には、それぞれの車両内の端末からのデータが含まれており、IF信号全体としてから方向性結合器41−2に送出される。
方向性結合器41−2では、前述した客室用IF50からの帯域I0と車両間用IF51からのIF信号全体とを、サーバ15(制御装置)に出力する。このサーバ15では、前記のIF信号全体中に帯域I0のデータを追加して、IF信号全体よりデータを復調し、ビットデータ形式のデータとして各種の制御を実行する。また、車外との通信を行う必要の有るデータについては、車外用モデム29にデータを送出する。車外用モデム29は、予め設定してある車外用通信帯域のIF信号帯域にデータを割当ててベースバンド信号に変換して(図示せず)、車外用RF、外部通信アンテナを介して外部基地局へ送信する。なお、この車外用通信帯域のIF信号帯域が図BのIF信号全体と同様であっても構わない。
【0038】
(2)、サーバ車両の下りの信号処理
外部基地局4からのデータは外部通信アンテナ3と車外用RF40を介して車外用モデム29に入力される。この入力されたデータはサーバ15に入力し、車内に配信すべきデータはサーバ15よりIF信号全体として分配器41−1に送出される。
分配器41−1は、客室用IF52と車両間用IF53に同様のデータ(IF信号全体)を送出する。下りのデータは、帯域I0〜I4に適当に含まれるものとなるが、客室用IFは端末との送受信に用いるIF信号帯域I5にデータを割当てて(I0〜I4のデータを圧縮して)室内の各端末への送信を行う。車両間用IFでは、車両間用RFと車両間アンテナを介して従属車両#1へIF信号全体をベースバンド信号に変換して送信する。
【0039】
上述したように第2の実施の形態やそれを応用した実施例によると、閉空間内にある無線通信機と通信する手段と、被従属接続される無線通信機と通信する手段と、それぞれを一旦IF中間周波数に変換し、IF中間周波数同士で結合分離させる方向性結合器とを備え、それを再び他の従属される無線通信機と通信する手段と、従属接続する側と被従属接続する側でIF中間周波数上で重複しない周波数上で管理し再び従属する側の重複しない周波数上に組込む機能と、その重複しない周波数群を全周波数群一括にデータを送受信制御する制御装置を備えたことを特徴としており、これにより従属接続される無線通信機と通信する手段各々にIF周波数が周波数帯域が重ならないようにデータ群を配置されて閉空間内にある無線通信機と通信する手段まで伝送し、該伝送されたIF周波数のデータ群を多重化する制御を行うことができる。
【0040】
図3は、本発明の実施に係る無線通信システムの第3の形態を示す。
この形態においては、前述した図1の別例であって、図1が車両間の通信を隣り合う車両間同士でアンテナを介して行ったものであるのに対し、線路上等に施設した漏洩通信線60を介して行っている点である。
この実施例は、車両間通信を漏洩通信線60で行っていることから、図1に比して、以下の省略が可能となる。
従属車両…上流用アンテナ28と下流用アンテナ29との2つが必要であったが、1個(例えばアンテナ29のみ)でよい。RF30、32を1つのRF(例えば32のみ)とし、MODEM31、33を1つのMODEM(例えば33のみ)とし、結合記34を省略できる。
サーバ車両…サーバ車両は図2のものと構成は変わらない。車両間通信は、直下の従属車両#1とのみ行うことから、図2と変わりないのである。
電車や地下鉄の線路付近にはLCXのような漏洩通信線(これをアンテナとも呼ぶ)が敷設されていることが多く、図3においてはこの漏洩通信アンテナをその車両が通過しているエリアだけローカルに使用し、各従属車両が直接サーバ車両と無線通信を確立するものである。動作は図2の例から容易に理解できよう。一般にLCX等の漏洩通信アンテナはその特性上、非常に結合損失が大きいため、小さな無線電力では遠くまで到達させる事が出来ないが、近傍の距離ならば小さな無線電力でも無線通信が確立されるという特性がある。これにより、同一線路上に複数の電車が存在していても干渉を起こすことなく利用できる。本形態ではこの漏洩通信アンテナを用いて無線通信を確立したものである。
【0041】
図7は、図3対応の具体例である。この具体例は、座席対応にRF01〜04、MODEM01〜04とした例であり、それに伴って、結合器34aを設けた。結合器34aは分配と方向結合とを行うものであり、動作については容易に理解できよう。
【0042】
図4は、図2対応の実施の態様であり、図3と同様に漏洩通信線60を用いた例である。この実施の態様では図2に比して次の違いがある。動作については特別な説明は要しないであろう。
従属車両…アンテナ28と29のうちの一方のみ(例えば29のみ)でよく、IF53、RF30、結合記34を省略できた。
サーバ車両…図2と同じ構成である。
【0043】
図8は、図4対応の具体例である。この具体例は、客席対応にRF01〜04、IF1〜4、RF01〜04を設け、それに伴って結合器34bを設けたものであり、特に動作の説明は不要であろう。
【0044】
車両間アンテナについて述べる。
車両間アンテナとは、連結する2つの車両間の連結部に設けた対向する2つのアンテナを云う。この2つのアンテナは、連結する2つの車両の連結端部の互いの対向部位に設ける。対向部位には、車両端部の壁面と壁面、壁面と床面、床面と床面、等がある。
更に、連結部には転倒防止や走行容易化するための手摺りが設けられており、この対向する手摺り相互に、それぞれアンテナを設置する例がある。手摺りには、内部に埋め込む例や把手部等に装着する例等がある。
更に、車両間アンテナの通信には、相手のアンテナ付近からの反射による通信障害がある。これを防ぐために、その反射が付近で生じにくいような部位にアンテナを設置したりすることが好ましい。
以下、幾つかの実施形態を説明する。
【0045】
次に車両間で使用される無線電波の周波数電力に関する特定の条件について詳述する。
図10に本発明の実施に係る近接して設けた2つの無線機101と102とによる、狭空間における無線通信の模式図を示す。互いに無線機101と102とは、スペーサ120,121で仕切られて閉空間にあるものとする。
一般に無線通信では送受信するアンテナ102、103同士は約1m以上離して送受信する。これは1m以内の近傍電磁界内に入るとマクスウェルの電磁方程式が成立し難いためと受信アンテナの干渉でアンテナが意図した無線通信が確立され難いためである。しかしながら、この約1m以内での無線通信でも通信しようとする波長λが1λ以上であると通信が確立されることが知られている。
【0046】
λに関する関係式は
【数1】
ここで、本発明に係る車両間での無線通信を行う場合、一般的な車両間の距離を仮に約0.5mとして、上記式1に当てはめると、
【数2】
となり、即ち、600MHz以上の周波数で有れば約0.5mの車両間の通信は出来る事になる。
【0047】
図9は、本発明の実施に係る漏洩アンテナを車両間アンテナとして使用したときの無線通信の模式図を示す。図9(1)は車両と漏洩アンテナとの無線通信を示す車両上面図、図9(2)は車両側面図、である。
各車両に搭載された車両間アンテナである漏洩アンテナ110〜113の場合、隣接した漏洩アンテナ同士(即ち110と111、112と113)が密着に近い状態になる。ここでその距離を仮に7cmとすると、
【数3】
となり、4.3GHz以上の周波数を使うと隣接した車両104と105間での通信が確立される。なお、図中では車両の上部に設置されたパンタグラフ106と送電線107が接触することにより車両に電力を取り込むこととなるが、送電線107からの磁界は、車両間の漏洩アンテナ110〜113との距離があるために影響を与え難いことがわかる(漏洩アンテナと送電線間距離>>漏洩アンテナ同士間距離)。
【0048】
図11は、本発明の実施に係る車両間の無線通信の模式図を示す。
ここで、図11は、車両の連結部位の近傍であって且つ車両の外壁Mよりもやや内側に漏洩アンテナを用いた車両間アンテナを設置した例とする。この場合、他の連結部で同じ周波数を用いてもその物理的な位置からお互いの連結部の無線通信に干渉は生じない。特に電車や地下鉄の長さを仮に約25mとした場合、車両間アンテナに漏洩アンテナを使用するとその結合損失の大きさから2m程度も離れるとそれ以降は電磁波は距離の二乗に反比例して減衰するために、他の連結部からの干渉が問題にならないくらい減衰することが判る。
尚、車両の外壁Mより奥まった部位にアンテナ100、101及び102、103を設置した場合、漏洩アンテナのような空中線電力が微弱なものばかりでなく、通常のアンテナでも微弱な電力による無線通信を行う場合は、車両の長さ、外壁の遮断効果により、同じ周波数を繰り返し使用出来る利点がある。
また、アンテナ同士近傍に配置する場合c=λfの関係式に従う一定以上の周波数で通信出来ることが判る。
【0049】
上述した図9、図10、図11の説明により、閉空間にある無線通信機と別の閉空間にある無線通信機との間の空間を無線通信する手段にあっては、
【数4】
が成立する、通信無線1波長分という狭いアンテナ距離間での無線通信を可能にする無線搬送波を使っての無線通信方式を採用する。
【0050】
例えば、無線LANの周波数は、規格「IEEE802.11.a」の場合は5GHzを使用してるので、上記式3に示すような間隔で通信することができ、「IEEE802.11.b」や「IEEE802.11.g」等の規格の場合では2.4GHzを使用してるので12cmの距離を離せば通信することができる。
また、車両間アンテナを対向させてその距離が確保出来ないような場合は、図9に示した漏洩アンテナを、連結される車両同士斜め方向にたすきがけの配置とすることで通信を行うことができる。
さらに、図11に示すとおり、連結部位の近傍にアンテナ設置すると車両の外壁からやや隠れる位置に配置することで、他の連結部で同じ周波数を用いてもその物理的な位置関係からお互いの連結部の無線通信にはほとんど干渉を与えない。
【0051】
このことは、前述したように第1乃至第4の実施の形態やそれを応用した実施例によると、閉空間にある無線通信機と従属される閉空間にある無線通信機との間の空間を無線通信する無線通信方法であって、
光速=通信無線1波長×通信無線周波数
が成立する通信無線1波長分という狭いアンテナ距離間での無線通信を行う無線搬送波をであることを特徴としており、閉空間同士が近接している場合の無線通信を行うことができる。
【0052】
ここで、車両間の無線通信のためのアンテナを車両内に配置する具体的な技術について説明する。
図14は、本発明に係る車両内に設置される手摺の外観図を示し、図14(1)は手摺130の上下部133の内側にアンテナ131を設置した外観図、図14(2)は手摺130の上下部134の外側にアンテナを設置した外観図、図14(3)は電波を通す材質の手摺135の内部にアンテナ136が組み込まれて設置した外観図、である。
車両内の連結部分の付近には、転倒や転落防止用の手摺が設置されている。この手摺に小型のアンテナを設置することで、車両間の無線通信を可能とすることができる。そこで、図14(1)には、手摺130の内側上下に小型アンテナ131を付け、アンテナカバー132を付けることで車両間のアンテナとした。このような手摺130を、連結する車両側にも設置し、それぞれ無線機に接続することで車両間の通信が出来る。図14(2)には、手摺130の上下部134の外側に小型アンテナ131を付け、アンテナカバー132を付けることで車両間のアンテナとした。図14(2)は、特に小型アンテナの放射位置を自由に設定できるので手摺そのものが電波の進路を妨害せずに自由な角度で電波を放射することができる。図14(3)は、手摺135の取っ手部分がプラスチック樹脂、または、グラスファイバー等の電波を通す材料であり、手摺135の内部に、ダイポールアンテナやホイップアンテナ等のアンテナ136を組み込んだ。アンテナが目立たなくできる利点を持つ。なお、この場合、手摺(内蔵アンテナ)と手摺を取り付ける壁面(金属面)との距離を1/4λ以上間隔を開けることがより望ましい。
【0053】
図15は、本発明の実施に係るアンテナ内蔵手摺130、135を車両間アンテナとする無線通信の第1の実施例を示す。図15(1)は車両連結部にアンテナ内蔵手摺を設置した場合の車両上面図、図15(2)は車両側面図、である。例えば、前述した図14(1)のアンテナ手摺130を使用して、電波の通過方向を車両と並行になるようにアンテナの放射角度を設定する。図15(1)に示すように車両上面図では、手摺は連結部の両方の車両の左右に設置される。よって、前後方向の電波の領域となる。左または右の対抗するアンテナは上り通信の対、または、下り通信の対、として異なる周波数帯を用いることができる。図15(2)に示すように車両側面図では、上または下のアンテナを上り通信の対、下り通信の対、として異なる周波数帯を用いることもできる。これらの左右、上下を組合わせることで、同じ周波数帯を使用したダイバーシチ動作を行うアンテナとすることもできる。
【0054】
図16は、本発明の実施に係るアンテナ内蔵手摺130、135を車両間アンテナとする無線通信の第2の実施例を示す。図16(1)は車両連結部にアンテナ内蔵手摺を設置した場合の車両上面図、図16(2)は車両側面図、である。例えば、前述した図14(2)のアンテナ手摺130を使用して、アンテナの放射角度を任意に設定する。図16(1)に示すように車両上面図では、手摺は連結部の両方の車両の左右に設置され、おのおのθ2の成す角度方向へ電波を放出する。すると車両壁面に反射した反射波もθ2の角度で反射を繰り返しアンテナから遠のいていく。すると反射波は元の発射されたアンテナには戻ってくる確率が少なく、よって定在波になる確率が減り、車両間の良好な通信路が確立される。
また、左または右の対抗するアンテナは上り通信の対、または、下り通信の対、として異なる周波数帯を用いることができる。図16(2)に示すように車両側面図では、上または下のアンテナを上り通信の対、下り通信の対、として異なる周波数帯を用いることもできる。これらの左右、上下を組合わせることで、同じ周波数帯を使用したダイバーシチ動作を行うアンテナとすることもできる。
【0055】
図17は、本発明の実施に係るアンテナ内蔵手摺130、135を車両間アンテナとする無線通信の第3の実施例を示し、図17(1)は車両連結部にアンテナ内蔵手摺を設置した場合の車両上面図、図17(2)は車両側面図、である。例えば、前述した図14(3)のアンテナ手摺135を使用する。図17(1)に示すように車両上面図では、手摺は連結部の両方の車両の左右に設置される。よって、アンテナが内部に組み込まれた手摺により、前後方向の2つの電波の領域となるが、同一の周波数帯の電波を送受信することにより、電界強度が強くなるため、干渉等に強く通信不能となることが少なくなる。図17(2)に示すように車両側面図においても上下2つの電波の領域が重なり、同様に電界強度を向上させることができる。
【0056】
図18は、本発明の実施に係るアンテナ内蔵手摺130、135を車両間アンテナとする無線通信の第4の実施例を示す。図18(1)は車両連結部の天井側にアンテナ内蔵手摺を設置した場合の車両上面図、図18(2)は車両側面図、である。
この場合、車両連結部付近の天井付近(通路の上部)に手摺を設置した場合の実施例であり、前述した図14のようなアンテナ手摺では、電波の通過方向はアンテナの放射角度に障害物が無いため自由に設定することが出来る。図18(1)に示すように車両上面図では、手摺は各車両の連結部の天井付近に設置され、おのおのθ2の成す角度方向へ電波を放出する。すると車両壁面に反射した反射波もθ2の角度で反射を繰り返しアンテナから遠のいていく。すると反射波は元の発射されたアンテナには戻ってくる確率が少なく、よって定在波になる確率が減り、車両間の良好な通信路が確立される。図18(2)に示すように車両側面図では、連結部の天井付近を電波の通過領域としていることがわかる。なお、この実施例の場合、天井付近に設置されるアンテナであるため、手摺と一体化しなくとも小型のアンテナを設置することができる。
このように、図16や図18に示すような場合、対抗するアンテナを車両壁面から成す角θ2を持って電波を放射することで、その反射波が定在波として悪影響を起こすことが少なくなる。
【0057】
つぎに各車両内の無線通信の具体的な実施の形態について説明する。
図13に本発明の実施の形態に係る車両内の概略図を示す。図13(1)は車両を横方向から見た側断面図、図13(2)は車両の内部より見た斜視図、である。
車両内アンテナとして、天井付近に漏洩アンテナ140を設置した。この漏洩アンテナ140は任意の周波数の波長に合致する距離間隔毎にケーブルに切り込みがあって、その切り込み部分より無線電波の送受信を行うものである。
例えば新幹線等の車両の場合は、車幅が広く、また、座席141の数も多いため図13(2)に示すように天井付近に2本の漏洩アンテナを配設することで、車両内の座席141に設けられた座席用端末や携帯無線端末等の無線端末が多い場合も漏洩アンテナとの送受信を可能とすることができる。
また、車両には通常両側壁面に窓が設置されており、その窓部分については、車両筐体である金属部分に比べて電波の反射は少ない。そこで、天井付近に設置するアンテナは、窓の中心方向の指向性を持つアンテナとすることにより、アンテナより放射された電波の反射を少なくすることができ、従って、遅延波の発生を減少させることができる。
【0058】
サーバ車両1、従属車両について述べる。
(1)、上記実施例等を通じてサーバ車両とは、最前列の車両としたが、最後尾の車両、途中(例えば中間)車両とする例もある。最後尾か最前列かはあくまで列車無線システム上でのサーバの配置位置や外部アンテナの設置位置をどうするかで定まるものであって、どちらも採用可能である。
(2)、サーバ車両を途中の車両とした場合には、(1)での選択理由と同様な理由の他に、更なるシステム上の変更が必要となる。例えば中間の車両Tiをサーバ車両とした場合、その下流の車両Tn〜Ti−1とTiとの関係は上記各実施例と同様なシステム構成となる。一方、上流の車両Ti+1〜T1との関係は、車両配置としては車両T1が最前列(最上流)となるが、システム的にはT1〜Ti+1からみて車両Tiがサーバ車両(上流車両)となり、この関係のもとで、上記各実施例のシステムが適用できる。即ち、Tiにとっては、自己より下流側に1つの従属車両系路が形成され、自己より上流側にもう1つの従属車両系路が形成されることになる。
(3)、サーバ車両、従属車両という表現の他に、上流、下流という表現も上記実施例等で用いたが、上記(1)、(2)の如き観点のもとに、解釈すべきである。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、手摺り等を利用しての車両間通信が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に係る無線通信システムの第1の形態を示す。
【図2】本発明の実施に係る無線通信システムの第2の形態を示す。
【図3】本発明の実施に係る無線通信システムの第3の形態を示す。
【図4】本発明の実施に係る無線通信システムの第4の形態を示す。
【図5】本発明の実施に係る無線通信システムの第1の形態を応用した実施例を示す。
【図6】本発明の実施に係る無線通信システムの第2の形態を応用した実施例を示す。
【図7】本発明の実施に係る無線通信システムの第3の形態を応用した実施例を示す。
【図8】本発明の実施に係る無線通信システムの第4の形態を応用した実施例を示す。
【図9】本発明の実施に係る漏洩通信線と車両間アンテナとの無線通信の模式図を示し、(1)は車両と漏洩通信線との無線通信を示す車両上面図、(2)は車両側面図、である。
【図10】本発明の実施に係る狭空間における無線通信の模式図を示す。
【図11】本発明の実施に係る車両間の無線通信の模式図を示す。
【図12】本発明の実施の形態に係る無線通信システムの構成ブロック図を示す。
【図13】本発明の実施の形態に係る車両内の概略図を示し、(1)は車両を横方向から見た側断面図、(2)は車両の内部より見た斜視図、である。
【図14】本発明に係る車両内に設置される手摺の外観図を示し、(1)は手摺上下部の内側にアンテナを設置した外観図、(2)は手摺上下部の外側にアンテナを設置した外観図、(3)は電波を通す材質の手摺の内部にアンテナが組み込まれて設置した外観図、である。
【図15】本発明の実施に係るアンテナ内蔵手摺を車両間アンテナとする無線通信の第1の実施例を示し、(1)は車両連結部にアンテナ内蔵手摺を設置した場合の車両上面図、(2)は車両側面図、である。
【図16】本発明の実施に係るアンテナ内蔵手摺を車両間アンテナとする無線通信の第2の実施例を示し、(1)は車両連結部にアンテナ内蔵手摺を設置した場合の車両上面図、(2)は車両側面図、である。
【図17】本発明の実施に係るアンテナ内蔵手摺を車両間アンテナとする無線通信の第3の実施例を示し、(1)は車両連結部にアンテナ内蔵手摺を設置した場合の車両上面図、(2)は車両側面図、である。
【図18】本発明の実施に係るアンテナ内蔵手摺を車両間アンテナとする無線通信の第4の実施例を示し、(1)は車両連結部の天井側にアンテナ内蔵手摺を設置した場合の車両上面図、(2)は車両側面図、である。
【図19】ベースバンド帯区分を車両毎に割り当てる説明図である。
【図20】ベースバンド帯区分での従属車両の通信系の具体例図である。
【図21】ベースバンド帯区分でのサーバ車両の通信系具体例図である。
【図22】中間周波区分を車両毎に割り当てる説明図である。
【図23】中間周波区分での従属車両の通信系具体例図である。
【図24】中間周波区分でのサーバ車両の通信系具体例図である。
【符号の説明】
1 サーバ車両(#1〜#n)
4 外部基地
2 従属車両(#1〜#n)
15 サーバ(制御装置)
23 座席端末
Claims (1)
- 各車内毎に無線装置が搭載された連結車両の連結部の対向配置部位にある一方の手摺りの内部に埋め込んだ、連結する一方の車両の無線装置に接続される第1のアンテナと、対向配置部位にある他方の手摺りの内部に埋め込んだ、連結する他方の車両の無線装置に接続される第2のアンテナとを備えることを特徴とする連結車両のアンテナ装置。
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