JP3755998B2 - 冷凍空調装置およびその運転方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷蔵庫、空調機等のような冷媒を用いてそれを凝縮して蒸発させることにより低温または高温を発生する装置(以下、総称して「冷凍空調装置」と呼ぶ)の冷媒配管内壁(特に凝縮器の配管の内壁)、熱交換器冷媒回路内等におけるスラッジ付着を抑制することに関し、冷凍空調装置の運転信頼性の向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の冷凍空調装置の冷媒回路のフローシートの一例を図11(a)に示す。図において、1は圧縮機、2は凝縮器、3は絞り要素(例えばノズル、ニードルバルブ等)、4は蒸発器、5はスラッジを捕捉するスラッジ分離器であり、この回路内を冷媒が蒸発/凝縮を繰り返して循環し、それによって、低温または高温を発生させる。スラッジ分離器5は、例えば、細かい金網などを内蔵したフィルタ、例えば特開平9−145203号公報に開示された冷媒と接触する表面に金属加工油の皮膜を形成したスラッジキャッチャー等で構成される。
【0003】
次に、冷媒の流れを図によって説明する。図11(a)中、矢印が冷媒の流れを示す。圧縮機1で高温高圧まで圧縮された冷媒ガスは凝縮器2に流入し、空気等と熱交換して液化し、高温高圧の冷媒液となる。冷媒液は、絞り要素3によって減圧されて低温低圧の気液二相状態の冷媒となり、蒸発器4に流入後、空気と熱交換してガス化して低温を発生し、その後、圧縮機1へ戻る。冷凍機油(または潤滑油)は、圧縮機1から高温高圧の冷媒ガスと共に吐出され、凝縮器2において液化した冷媒液中へ一部溶解しながら冷媒と共に移動し、絞り要素3、蒸発器4へ流入する。蒸発器4において、冷凍機油はガス化する冷媒液から一部分離されて冷媒液および冷媒ガスと共に移動し、最終的に冷媒ガスと共に圧縮機1へ戻される。
【0004】
凝縮器2における冷凍機油の冷媒液への溶解特性は、冷媒と冷凍機油の組み合わせに応じた相互溶解特性により決まる。例えば、ハイドロクロロフルオロカーボン系の冷媒の代わりに最近用いられてきたハイドロフルオロカーボン系の冷媒と鉱油、ハード型アルキルベンゼン油等の合成油からなる冷凍機油の組み合わせでは、相互溶解度が低下する。即ち、相互溶解度が低下するほど、凝縮器2内で冷凍機油が全て冷媒液に溶解する位置が下流側に移動する。
【0005】
一般に、冷凍機油の劣化は、温度が高いほど進行が早く、例えば圧縮機1内の摩擦熱で高温になる摺動部で多く生じる。また、冷凍機油中に添加される添加剤も同様に熱劣化する。そのような劣化物は、一般にスラッジと呼ばれ、冷媒および冷凍機油中に浮遊または溶解して存在する。ポリエステル油、ポリエーテル油等は、熱安定性および水分や空気に対する化学安定性が低く、このような油を用いる場合、スラッジの発生が多くなる。これらのスラッジは、圧縮機1から冷媒ガスおよび冷凍機油と共に吐出され、凝縮器2、絞り要素3へと流入する。絞り要素3は流路断面積が小さい毛細管、ニードル弁等で構成されるためスラッジによる流路閉塞を起こし易い。ニードル弁の場合は、流路断面積が大きく変化するため流れに淀みが発生し、スラッジが付着しやすい状況となる。このような状況になると、流路抵抗が増大して冷媒の循環量が低下し、冷凍能力が低下する。このため、スラッジ分離器5でスラッジを捕捉し、絞り要素3へのスラッジ流出を防止している。
【0006】
次に、スラッジが配管内壁に付着する過程を説明する。図11(b)は、凝縮器2における冷媒液、冷凍機油およびスラッジの挙動を模式的に示したグラフである。グラフにおいて、横軸は凝縮器2の冷媒配管内の位置を表し、図中、A点は凝縮器入口、B点は凝縮器出口である。縦軸は冷凍機油またはスラッジの冷媒液に対する流量割合である。線10および11は、それぞれ冷凍機油およびスラッジの冷媒液に対する飽和濃度、曲線12および13は、それぞれ冷凍機油およびスラッジの冷媒液に対する流量割合を示す。
【0007】
従って、矢印で示す差14および15は、それぞれ冷媒液に未溶解の冷凍機油およびスラッジの冷媒液に対する流量割合を意味し、またC点(全ての冷凍機油が冷媒液に溶解する点)における矢印で示す差16は、冷媒液に対するスラッジの析出割合である、即ち、16に対応する量のスラッジが析出する。尚、10〜16を用いて説明しているスラッジは、冷凍機油に溶解性を有するスラッジである。
【0008】
凝縮器入口(A点)において、圧縮機から吐出された冷媒ガスと冷凍機油が流入する。冷凍機油中には、浮遊した固形スラッジや溶解したスラッジが含まれている。冷凍機油は、一般的に、その固有の物性故に冷媒配管の壁との相互作用が強く、特にスラッジおよび冷媒液より強く、その結果、冷媒配管内壁に沿って流動する傾向にある。
【0009】
圧縮された冷媒ガスは、凝縮器中で凝縮を開始して冷媒液相を生成する。冷媒ガスが冷媒液に相変化するに従って、冷媒液の割合が増加し、この冷媒液に冷凍機油およびスラッジが溶解していく。従って、冷凍機油およびスラッジの冷媒液に対する流量割合12および13が共に急激に低下していく。この時、冷凍機油およびスラッジは共に冷媒液に溶解するが、以下のように飽和濃度より多い分だけは、未溶解の状態で残る:
(冷凍機油)
(未溶解冷凍機油量14)=(冷凍機油量12)−(冷凍機油飽和濃度10)
(スラッジ)
(未溶解スラッジ量15)=(スラッジ量13)−(スラッジ飽和濃度11)。
【0010】
更に、
(冷凍機油の飽和濃度10)>(スラッジの飽和濃度11)、
即ち、冷凍機油と比較してスラッジが冷媒液にそれほど溶解し得ず、また、
(未溶解冷凍機油量14)<(未溶解スラッジ量15)、
即ち、冷媒液に溶解せずに析出し得る量は、冷凍機油よりスラッジの方が多い場合、冷媒液とは独立して存在する冷凍機油相(即ち、冷凍機油に溶解しきれないで別の液相として存在する冷凍機油相)中でスラッジは高濃度で濃縮された状態で溶解している。
【0011】
しなしながら、全ての冷凍機油が冷媒液に溶解する点(C点)に達すると、冷凍機油相は独立して存在し得ず、それに溶解していたスラッジは、冷媒液に対するスラッジ析出割合16だけ析出し、微細な固形状あるいは高粘度液状の析出スラッジとなり冷媒配管の内壁面に残されて付着する。この時、析出スラッジのバインダー作用により、周りに浮遊している固形スラッジも巻き込まれて付着する。以上の現象を繰り返すことにより、冷凍機油中に溶解していたスラッジが配管内壁に付着して、大きなスラッジに成長して最終的に流路閉塞をもたらし得る。また、非常に大きく成長したスラッジは、冷媒液の流れの剪断力により剥離され、大きな粒子となって浮遊して流れることも有り得る。
【0012】
冷媒液に対して上述のような飽和濃度の関係を持つスラッジは多く、例えば冷凍機油に添加される添加剤の熱劣化に由来するスラッジはその一例である。このスラッジの場合、劣化が進行するほど、高粘度液状、固形状となり、冷媒液に対する飽和濃度も減少する。
【0013】
更に、冷凍機油中から析出するスラッジが少しでも存在すると、そのバインダー作用により浮遊する固形スラッジを巻き込み、また、析出後にスラッジが内壁に付着すると、機器の運転時間が経過すると共に大きな付着物に成長する。
【0014】
尚、先に説明したように挙動する固形スラッジおよび油中に溶解するスラッジは、圧縮機から吐出されるスラッジに限らず、冷媒配管材料との反応による反応生成物およびゴミは固形スラッジとして、また、残存加工油等は油中に溶解するスラッジとして、同様な挙動をすると考えられる。
【0015】
以上のように、冷凍機油中から析出するスラッジは大きな付着物(またはスラッジ成長物)に成長し、最終的には流路閉塞を招き得る。また、大きく成長したスラッジが剥離して生成する剥離粒子によるスラッジ分離器の目詰まりにより、流路抵抗が増大して冷媒の循環量が低下し、冷凍能力が低下する。即ち、スラッジ分離器を使用しても、その目詰まりが比較的早い時期に生じることになる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上述のような問題点を解消するためになされたもので、冷蔵庫、空調機等の冷凍空調装置を構成する冷媒配管内にスラッジが付着することを抑制し、それによって、冷凍空調装置の運転信頼性を向上することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明は、第1の要旨の1つの態様において、圧縮機、凝縮器、絞り要素および蒸発器により構成された冷媒回路を備えた冷凍空調装置において、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、凝縮器内を流れる冷凍機油の量が、凝縮器内を流れる冷媒液に溶解し得る冷凍機油の量(即ち、飽和量)より多くなるようにする、冷凍機油を追加する制御手段を有することを特徴とする冷凍空調装置を提供する。
【0018】
更に、この発明は、第1の要旨の別の態様において、圧縮機、凝縮器、絞り要素および蒸発器により構成された冷媒回路を備えた冷凍空調装置の運転方法を提供し、この方法は、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、凝縮器内を流れる冷凍機油の量が、凝縮器内を流れる冷媒液に溶解し得る冷凍機油の量より多くなるように制御することを特徴とする。
【0019】
この発明は、第2の要旨の1つの態様において、圧縮機、凝縮器、絞り要素および蒸発器により構成された冷媒回路を備えた冷凍空調装置において、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、凝縮器内を流れる冷凍機油の量が、冷媒液に溶解し得る冷凍機油の量より一時的に多くなるようにする、冷凍機油の追加の制御手段を有することを特徴とする冷凍空調装置を提供する。
【0020】
更に、この発明は、第2の要旨の別の態様において、圧縮機、凝縮器、絞り要素および蒸発器により構成された冷媒回路を備えた冷凍空調装置の運転方法を提供し、この方法は、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、冷凍機油の追加の制御手段を用いて、凝縮器内を流れる冷凍機油の量が冷媒液に溶解し得る冷凍機油の量より一時的に多くなるようにすることを特徴とする。
【0021】
そのような制御手段として、圧縮機と凝縮器との間に、冷凍機油を溜める油溜容器を設け、油溜容器に含まれる冷凍機油は、凝縮器の入口または途中に接続した油注入管およびその注入管の途中に設けられた弁を介して凝縮器に追加される。この追加は、弁の開閉を制御するコントローラにより実施する。この油溜容器は、独立した容器ではなく、圧縮機の高圧空間内に冷凍機油を溜める油溜部であってもよい。
【0022】
この発明の第2の要旨において使用する別の制御手段として、回転機により駆動される圧縮機であって、回転機が常用回転数を超えた場合に単位冷媒流量当たりの冷凍機油の吐出量が増加する油吐出特性を有する圧縮機を使用し、圧縮機の回転数を調整する回転数調整手段および回転数調整手段を制御するコントローラを用いて冷凍機油の追加を制御する。
【0023】
この発明は、第3の要旨の1つの態様において、圧縮機、凝縮器、絞り要素および蒸発器により構成された冷媒回路を備えた冷凍空調装置において、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、凝縮器を第1凝縮器と第2凝縮器で構成し、それらの間に液溜容器を備え、この液溜容器は、凝縮器において凝縮して生成する冷媒液に冷凍機油が実質的に全て溶解する部位またはその近傍に存在することを特徴とする冷凍空調装置を提供する。尚、ここで、「近傍」とは、冷凍機油が実質的に全て溶解する丁度その部位にある必要がないことを意味し、冷凍空調装置の運転に差し支えない範囲でその部位からずれていてもよいことを意図する。
【0024】
この発明は、第3の要旨の別の態様において、圧縮機、凝縮器、絞り要素および蒸発器により構成された冷媒回路を備えた冷凍空調装置の運転方法を提供し、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、凝縮器を第1凝縮器と第2凝縮器で構成し、それらの間に液溜容器を備え、第1凝縮器から液溜容器に供給されるストリームは、冷媒液相とは別に独立した冷凍機油相を含み、液溜容器において冷凍機油相が実質的に全て冷媒液に溶解するように、第1凝縮器および第2凝縮器の凝縮量を調節することを特徴とする。
【0025】
尚、この冷凍空調装置およびその運転方法において、ハイドロフルオロカーボン系の冷媒と鉱油、ハード型アルキルベンゼン油等の合成油からなる冷凍機油の組み合わせを使用するのが特に好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
この発明において、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用いる。常套の冷凍空調装置において使用されている冷凍機油は、通常そのような溶解特性を有するので、常套の冷凍機油をこの発明においても使用できる。特に好ましい組み合わせとして、ハイドロフルオロカーボン系の冷媒と鉱油、ハード型アルキルベンゼン油等の合成油から成る冷凍機油を例示できる。
【0027】
また、この発明において、冷凍空調装置は、先に説明し、また、以下に詳細に説明する凝縮器に関連するこの発明の特徴を除いては、冷蔵庫、空調機等に使用されている冷凍機のような常套の冷凍空調装置に用いられているものであってよい。
【0028】
この発明の第1の要旨においては、凝縮器において、独立した冷凍機油の液相(即ち、冷媒液の相とは別の液相)が凝縮器の入口から出口まで常に存在することになる。凝縮器において冷凍機油の独立した液相が存在する場合、冷媒液に溶解し切れないスラッジは、存在する冷凍機油相に溶解することができ、スラッジの析出が防止される。更に、冷凍機油相にスラッジが溶解しきれずに析出する場合であっても、先に説明したように、冷凍機油相は配管内壁に沿って移動する傾向があるので、配管内壁は冷凍機油相によりコーティングされることになり、析出したスラッジは配管内壁に付着しにくいことになる。
【0029】
この発明の第2の要旨においては、凝縮器において、一時的に独立した冷凍機油相が存在することになる。この場合、先と同様に、独立した相としての冷凍機油相は、配管内壁に沿って流れるので、配管内壁に付着したスラッジを溶解させ、また、剥離させることができる。
【0030】
この発明の第3の要旨においては、凝縮器の途中に設けた液溜容器において、少なくとも冷媒液に溶解しきれない量に実質的に等しい量のスラッジを析出させ、その後は、スラッジが実質的に析出しないようになる。その結果、液溜容器より下流の凝縮器においては、液溜において析出したスラッジが冷媒液に溶解することがあっても、新たなスラッジの析出は実質的に防止される。
【0031】
次に添付図面を参照して、この発明を更に詳細に説明する。
実施の形態1.
この発明の第1の要旨の実施の形態について図1を参照して説明する。図1(a)は、本発明の冷凍空調装置の冷媒回路の模式的フローシートである。図1(a)のフローシートは、図11(a)と実質的に同様であり(即ち、1は圧縮機、2は凝縮器、3は絞り要素、4は蒸発器である)、実質的に同じ要素には同じ符号を付している(他のフローシートにおいても同様である)。尚、スラッジ分離機は図1(a)では示していないが、必要に応じて設けても設けなくてもよい(他の態様においても同様である)。
【0032】
また、図1(b)には、図1(a)に示す態様の凝縮器2における冷媒液、冷凍機油およびスラッジの挙動を説明したグラフを示すが、このグラフの見方は、基本的には先に図11(b)を参照した説明と同様であるので、同じ内容については説明を省略する。但し、この態様では、グラフから明らかなように、凝縮器中の冷凍機油の流量条件は、冷媒液に対して、
(冷凍機油の流量割合12)>(冷凍機油の飽和濃度10)
となるように制御されている。
【0033】
次に、図1(a)に示す態様の動作について説明する。冷媒、冷凍機油、スラッジの流れについては、凝縮器2内で起こる動作のみ説明し、その他の部分では、図11を参照した説明と実質的に同様であるため説明を省略する(他の態様についても同様である)。
【0034】
凝縮器入口(A点)において、圧縮機から吐出された冷媒ガスと冷凍機油が流入する。冷凍機油中には、浮遊した固形スラッジおよび溶解したスラッジが含まれている。尚、上述のように、一般的に冷凍機油は冷媒配管内壁に沿って流動し易い。
【0035】
凝縮器2において、入口(A点)から出口(B点)に向かって冷媒ガスが冷媒液に相変化するにつれて、凝縮器中の冷媒液の量が増え、従って、冷媒液の割合が増加する。その結果、冷凍機油およびスラッジの冷媒液に対する流量割合(曲線12および13)が共に低下する。この時、冷凍機油およびスラッジは共に冷媒液に溶解していくが、飽和量より多い分に相当する冷凍機油およびスラッジ(14および15)だけが冷媒液に溶解せずに残る。
【0036】
この実施の形態においては、冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)>(冷凍機油の飽和濃度10)
となるように制御されているため、凝縮器出口(B点)においても、
(冷媒液に未溶解の冷凍機油の流量割合14、12−10)>0
となる。従って、凝縮器全体にわたって冷凍機油相が未溶解のまま冷媒配管の内壁面に沿って独立した液相として存在して移動していく状態が維持される。
【0037】
その結果、凝縮器出口(B点)において
(冷却液に未溶解のスラッジの流量割合15)>0
であっても、即ち、冷媒液に未溶解のままであり、冷媒配管の内壁面に残され得るようなスラッジが存在するとしても、内壁面を冷凍機油相が冷媒液に未溶解のまま、即ち、独立した液相として流動しているため、スラッジは内壁面に付着しないで、冷凍機油と共に絞り要素3に流入する。また、冷凍機油に溶解し得るスラッジは、少なくとも一部分が独立した液相として存在する冷凍機油相に溶解できる。
【0038】
このように、この態様では、スラッジの付着が防止され、また、独立した冷凍機油相中にスラッジが溶解することにより、析出するスラッジの量が減少する。従って、従来例のように、全ての冷凍機油が冷媒液に溶解し、油中に溶解していたスラッジが冷媒配管の内壁面上で析出して微細な固形状あるいは高粘度液状の析出スラッジが付着したり、同時に周りに浮遊している固形スラッジも巻き込んで大きな付着物に成長することもない。
【0039】
尚、上述のように冷媒配管の内壁面に付着しないで挙動する固形スラッジおよび冷凍機油中に溶解するスラッジは、圧縮機から吐出されるスラッジに限らず、冷媒配管材料との反応による反応生成物およびゴミは固形スラッジとして、また、残存加工油等は冷凍機油中に溶解するスラッジとしてとして、同様な挙動をすると考えられる。
【0040】
従って、従来例のように、凝縮器において冷媒の配管内壁面でスラッジが大きく成長して流路抵抗が増大し、冷媒の循環量の低下により冷凍能力が低下することは抑制され、長期に亘り、安定した冷凍空調装置の運転を行うことができる。更に、凝縮器2と絞り要素3との間に細かい金網を内蔵したフィルタなどからなるスラッジ分離器を備えた場合でも、大きく成長したスラッジ粒子が配管内壁から剥離して、それによりフィルターが急速に目詰まりを起こすことは大きく減少し、長期にわたる運転信頼性を確保することができる。
【0041】
実施の形態2.
この発明の第2の要旨の実施の形態について説明する。図2は、本発明の冷凍空調装置の冷媒回路の模式的フローシートである。図2のフローシートは、図1(a)と実質的に同様であり(即ち、1は圧縮機、2は凝縮器、3は絞り要素、4は蒸発器である)、同じ要素には同じ符号を付している。異なる点は、凝縮器2を流れる冷凍機油の冷媒液に対する流量割合を、一時的に冷凍機油の冷媒液に対する飽和濃度以上とする制御手段22を有する点である。
【0042】
冷媒の基本的な流れについては実施の形態1と同様あるため、説明を省略する。ここでは、図2およびその運転フローチャートである図3を参照しながら、制御手段22の制御動作を説明する。
【0043】
最初に、ステップ31において圧縮機1の運転開始命令を出し、冷凍空調装置の常用の運転条件で運転を開始する。即ち、図11(b)を参照して説明した、従来例の冷凍空調装置と同様の運転を実施する。換言すれば、凝縮器では、冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)<(冷凍機油の飽和濃度10)
となる状態が生じる運転を実施する。この運転では、先に説明したように、冷凍機油中に溶解していたスラッジが析出して、配管内壁に付着していく傾向がある。
【0044】
次に、装置の運転を開始して時間ΔT1後に、ステップ32において、制御手段22によって冷凍機油を凝縮器に追加して、冷凍機油の冷媒液に対する流量割合を増加させる。ここで、凝縮器中の冷凍機油の流量条件は、冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)>(冷凍機油の飽和濃度10)
となるようにする。この場合、凝縮器内において冷媒液に溶解しきれない冷凍機油が存在するため、この冷凍液は、独立した液相として凝縮器において存在し、配管内壁に沿って移動する。従って、この運転では、配管内壁にスラッジが既に付着している場合、そのスラッジが独立した冷凍機油相に溶解したり、スラッジが剥離する傾向にある。
【0045】
その後、ステップ33において、冷凍機油を追加してから時間ΔT2後に、冷凍機油の流量条件を元に戻す。従って、凝縮器内では、冷凍機油の独立した液相が存在しないようになる。
【0046】
上述の時間ΔT1およびΔT2は、以下のように選択するのが好ましい:
常用の運転条件では、従来例と同様、冷凍機油中に溶解するスラッジは濃縮され、全ての冷凍機油が冷媒液に溶解する冷媒配管の内壁面で析出し微細な固形状あるいは高粘度液状に付着する傾向にある。スラッジの過度の析出および付着・成長は、冷凍空調装置の運転に支障をきたすので、スラッジが大きく成長する前に、付着・成長したスラッジを除去する必要がある。
【0047】
そこで、凝縮器に冷凍機油を追加することによって、一時的に冷凍機油の流量条件を冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)>(冷凍機油の飽和濃度10)
とすれば、凝縮器の配管内壁に付着した析出スラッジは冷凍機油に再溶出すると共に容易に剥離させることができる。従って、時間ΔT1とは、析出スラッジがある程度の大きさまで成長するまでの時間であり、時間ΔT2とは、その析出して成長したスラッジを冷凍機油相に再溶出・剥離できるまでの時間である。即ち、冷凍空調装置の運転に支障が出ない程度まで、時間ΔT1の間、スラッジの付着を許容し、その後、時間ΔT2をかけて付着したスラッジを除去する。
【0048】
制御手段22により凝縮器に追加する冷凍機油の量は、発生するスラッジの種類および量、存在する冷媒の種類および量、既に存在する冷凍機油の種類および量等に応じて、当業者が適当に選択できる。例えば、トライ・アンド・エラー法によって、独立した冷凍機油相が存在するように加える冷凍機油の量を決定することができる。
【0049】
尚、一時的に増えた冷凍機油は、時間ΔT2経過後に、回収するのが好ましく、一般的に冷凍空調装置において用いられる方法で実施してよい。例えば、圧縮機の下流に設けた適当な容器に気液分離機、例えばデミスター、ミストセパレータなどによって回収することができる。また、この気液分離機により回収して容器に溜められた冷凍機油を、ΔT1およびΔT2に基づくコントローラからの命令によって、弁を介して凝縮器に追加し、冷凍機油を再使用できる。
【0050】
ステップ34において、システムからの圧縮機停止指令が出るまで、以上の動作を繰り返す。圧縮機停止命令が出ると、ステップ35では、冷凍機油の冷媒液に対する流量割合を増加させ、冷凍機油の流量条件を再び、冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)>(冷凍機油の飽和濃度10)
として、独立した冷凍機油の液相を再度存在させて、先の説明と同様に、凝縮器配管内壁に付着したスラッジを溶解または除去した後、ステップ36において、圧縮機を停止する。
【0051】
このようにすると、凝縮器2の冷媒配管の内壁面においてスラッジが大きく成長することがないため、流路抵抗が増大して冷媒循環量の低下による冷凍能力の低下がなく、長期に亘り安定した運転を行うことができる。また、冷凍機油の流量割合をスラッジの成長を抑制するのに必要な量だけ一時的に増加すれば良いため効率の良い運転ができる。更に、圧縮機停止前に冷凍機油の流量割合を増加して析出スラッジを確実に除去するため、再起動時の安定した運転が確保され、装置の運転信頼性を向上することができる。
【0052】
尚、この実施の形態では、凝縮器における冷凍機油の流量条件を、冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)>(冷凍機油の飽和濃度10)
とすることにより付着したスラッジを剥離させるため、冷媒に対して溶解性が実質的に無いか、あるいは微弱の溶解性がある冷凍機油において特に有効であるが、冷媒に対して溶解性がある冷凍機油についても、相互に無制限に溶解しない限り(即ち、冷媒液と冷凍機油との間の相互溶解度に限りがある限り)、一時的に大量の冷凍機油を追加して、冷凍機油の冷媒液に対する流量割合を増加させてスラッジを剥離させることができ、スラッジの付着を抑制することができる。
【0053】
実施の形態3.
次に、より具体的な制御手段22を有する第3の実施の形態について説明する。図4は、実施の形態3による冷凍空調装置のフローシートを示す。図において、41は圧縮機1と凝縮器2の途中に設けられた油溜容器(予め、冷凍機油が入れられている)、42は一方を油溜容器41の底部に、他方を凝縮器2の途中に接続した油注入管、43は油注入管の途中に設けられた弁、44は弁43を開閉するように制御信号を送るコントローラであり、これら41、42、43および44が上述の制御手段22を構成する。その他の部分は、実施の形態2と実質的に同様であるので、説明を省略する。尚、圧縮機1から凝縮器への冷媒および冷凍機油(既に存在する冷凍機油)は、油溜容器41を経由して直接凝縮器2の入口に供給される。
【0054】
冷媒の基本的な流れについては、実施の形態1と同様のため、ここでは主に制御手段22の制御内容について、図5の冷凍空調装置の制御動作を示すフローチャート図により説明する。
【0055】
最初に、ステップ51において圧縮機1の運転開始命令を出し、冷凍空調装置の運転を実施の形態2と同様に開始する。ステップ52において、圧縮機1の運転開始後、時間ΔT1後に、弁43を開き、油溜容器41内に予め入れてある冷凍機油を凝縮器2に注入する。ここで、油の注入量は、冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)>(冷凍機油の飽和濃度10)
となるようにする。弁43を開いた後、ステップ53において、時間ΔT2後に、弁43を閉める。この実施の形態においても、圧縮機の下流にて上述のように、冷凍機油を回収し、それを凝縮器に加える。時間ΔT1およびΔT2については、実施の形態2と同様のため説明を省略する。
【0056】
ステップ54において、システムからの圧縮機停止指令が出るまで、上述の動作を繰り返す。ステップ55では、弁43を開け、冷凍機油の流量条件を再び、凝縮器において、冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)>(冷凍機油の飽和濃度10)
とし、ステップ56において、圧縮機を停止する。
【0057】
このようにして、先に説明した実施の形態2を具体的に実施でき、同様の効果を達成できる。
尚、油注入管42を凝縮器2に接続する場所は、凝縮器2の入口であっても同様の作用、効果が得られる。特に効果が大きいのは、凝縮器においてスラッジが析出しはじめる箇所に接続するのが好ましく、一般的には、C点に対応する箇所、またはそれより少し上流側であるのが特に好ましい。
【0058】
実施の形態4.
次に第4の実施の形態について説明する。図6は、実施の形態4による冷凍空調装置の模式的フローシートであり、油溜容器41を圧縮機1の高圧空間内に設けたこと以外、実施の形態3と同様である。従って、この装置の運転およびそれによる作用は、実施の形態3の場合と実質的に同様であるので、説明を省略する。本実施の形態においても、実施の形態3と同様の効果を達成できるが、それに加えて、油溜容器を圧縮機と一体化することによって、冷凍空調装置が簡素化される。
【0059】
実施の形態5.
次に、実施の形態5について説明する。図7(a)は、実施の形態5による冷凍空調装置の模式的フローシートを示す。61は圧縮機1の回転数を調整する回転数調整手段、62は圧縮機1の回転数を増減させるように回転数調整手段に指令信号を送るコントローラである。また、圧縮機1は、電動モータなどの回転機により駆動され、図7(b)に模式的に示すように、その常用回転数を超えた回転数において、単位冷媒流量当たりの冷凍機油の吐出量が増加する油吐出特性を有している。その他は、実施の形態2と同様のため、説明を省略する。即ち、この態様では、冷凍機油の追加を制御する手段22として、回転数調整手段61およびコントローラ62を有する。
【0060】
次に、冷媒の基本的な流れについては、実施の形態1と同様のため、ここでは主に制御手段22の制御内容について、図8の冷凍空調装置の制御動作を示すフローチャート図により説明する。
【0061】
最初に、ステップ71において圧縮機1の運転開始命令を出す。この命令により、冷凍空調装置の運転を実施の形態2と同様に開始する。ステップ72において、圧縮機1の運転開始後、時間ΔT1後に、圧縮機1の回転数を増加させる。圧縮機1は上述のように油吐出特性を有しているため、単位冷媒流量当たりの冷凍機油の吐出量が増加する。ここで、回転数は、凝縮器における冷凍機油の流量条件が、冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)>(冷凍機油の飽和濃度10)
となるように冷凍機油の量を一時的に増やす。
【0062】
圧縮機1の回転数を増加させて時間ΔT2が経過すると、ステップ73において圧縮機1の回転数を元に戻す。時間ΔT1および時間ΔT2については、実施の形態2と同様のため説明を省略する。
【0063】
ステップ74において、システムからの圧縮機停止指令が出るまで以上の動作を繰り返す。ステップ75では、圧縮機1の回転数を増加させ、冷凍機油の流量条件を再び、凝縮器において、冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)>(冷凍機油の飽和濃度10)とし、ステップ76において、圧縮機を停止する。
【0064】
このように、本実施の形態においても、実施の形態3と同様の効果を達成できるが、それに加えて、付属配管部品が不要のため装置が簡素化される、という効果も得られる。
【0065】
実施の形態6.
次に実施の形態6について説明する。図9は、実施の形態6による冷凍空調装置の模式的フローシートを示す。図において、81は第1凝縮器、82は第2凝縮器、83は第1凝縮器81と第2凝縮器82の間に設けられた液溜容器である。
【0066】
ここで、第1凝縮器81と第2凝縮器82における熱交換量の比率は、液溜容器83に流入する冷媒液および冷凍機油を含むストリームの流量条件が、凝縮器において、冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)>(冷凍機油の飽和濃度10)
となるように設定されている。即ち、独立した冷凍機油の液相の存在が維持されるように、凝縮する冷媒液の量がコントロールされている。換言すれば、冷凍空調装置の仕様から全体としての冷媒液の凝縮量が決まり、また、冷媒液と冷凍機油との間の上記溶解度の関係から、第1凝縮器における凝縮量が決まり、従って、残りを第2凝縮器にて凝縮させる。勿論、凝縮量の代わりに、あるいはそれに加えて、液溜容器の位置をずらしてもよい。更に、液溜容器83では、冷凍機油が実質的に全部冷媒液に溶解するようになっている。
【0067】
また、図10は、液溜容器83の模式的な詳細図であり、図において、91は液溜容器、92は、その一端が液溜容器91に貯溜された冷媒液内に挿入させた流入管、93は冷媒ガスを流出する冷媒ガス流出管、94は冷媒液を流出する冷媒液流出管、95は冷媒ガス、96は冷媒液、97は冷凍機油である。図示するように、第1凝縮器81からは、冷媒液相、冷凍機油相および冷媒ガスを含むストリームが液溜容器91に流入する。尚、装置のその他の要素に関しては、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
【0068】
次に動作について説明する。第1凝縮器81、第2凝縮器82、および液溜容器83(または91)で起こる動作のみ説明し、その他は従来例と同様のため説明を省略する。第1凝縮器81から第2凝縮器82までの冷媒液、冷凍機油およびスラッジの挙動を、従来の動作を説明した図11(b)を用いて説明する。
【0069】
凝縮器における冷凍機油の流量条件が、冷媒液に対して
(冷凍機油の流量割合12)<(冷凍機油の飽和濃度10)
の場合、冷媒液の凝縮量が増えるにつれて、独立の相として存在する冷凍機油の量が減少し、C点において全ての冷凍機油が冷媒液に溶解する。この場合、冷凍機油中に溶解していたスラッジは、16に対応する量で析出し、本来であれば、冷媒配管の内壁面に残されて付着することになる。
【0070】
しかしながら、この実施の形態の場合、C点に液溜容器83が設けられているため、独立した冷凍機油相が存在する第1凝縮器81では、スラッジの析出が実質的に抑制され、独立した冷凍機油相が存在しないC点に位置する液溜容器83に貯溜された冷媒液中でスラッジが析出する。この析出量は、16に相当し、従って、凝縮器中において析出し得る量に実質的に等しく、これ以上のスラッジは凝縮器82においては実質的に析出しない。更に、このように冷媒液中で析出したスラッジは微細な粒子状となりやすいため、冷媒配管の内壁面で大きく成長してスラッジが付着することが少ない。その結果、凝縮器の配管の内壁には新たなスラッジが析出することがなく、また、既に生成したスラッジも付着しにくい。
【0071】
また、冷凍機油が冷媒液に溶解する速度に対して、冷媒が凝縮して冷媒液の流量が増加する速度が大きい場合でも、例えば図10に示すように、気液二相状態の冷媒および冷凍機油を含むストリームを、流入管92より液溜容器91に貯溜された冷媒液中へ流出させて冷凍機油と冷媒液との接触面積を増加させ、冷凍機油の冷媒液中への溶解を促進させることにより、冷凍機油を液溜容器83内で冷媒液に完全に溶解させることができるため、微細な粒子状にスラッジを析出させることができる。
【0072】
このようにすると、スラッジが大きく成長して流路抵抗が増大して冷媒の循環量が低下することによる冷凍能力の低下はなく、長期に亘り安定した運転を行うことができる。また、凝縮器2と絞り要素3の間に細かい金網を内蔵したフィルタなどからなるスラッジ分離器を備えた場合でも、析出したスラッジは微細な粒子状であるため、フィルターの目詰まりを起こすことなく、運転信頼性を確保することができる。
【0073】
【発明の効果】
この発明は、第1の要旨では、冷凍空調装置またはその運転方法において、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、凝縮器内を流れる冷凍機油の量が、凝縮器内を流れる冷媒液に溶解し得る冷凍機油の量(即ち、飽和量)より多いことに特徴がある。このような特徴によって、冷凍機油相が冷媒液に溶解せずに存在することになって、凝縮器の冷媒配管の内壁面上で、油中に溶解のスラッジが内壁面上で析出してその析出スラッジがバインダー作用により固形スラッジなどを巻き込んで大きく成長することがない。また、存在する冷凍機油相にスラッジを溶解させることができる。このため、流路抵抗が増大して冷媒の循環量の低下による冷凍能力の低下はなく、長期に亘り安定した運転を行うことができる。
【0074】
この発明は、第2の要旨では、冷凍空調装置またはその運転方法において、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、制御手段によって、凝縮器内を流れる冷凍機油の量が冷媒液に溶解し得る冷凍機油の量より一時的に多くなるようにすることに特徴があり、そのような制御手段は、圧縮機と凝縮器との間または圧縮機の高圧空間部に設けた油溜容器、およびそれから冷凍機油を凝縮器にコントロールして追加する手段であっても、あるいは、回転機により駆動し、その回転数に応じて冷凍機油を凝縮機に追加する圧縮機、ならびに回転機の回転数を調節する手段およびそのコントローラであってもよい。
【0075】
このような特徴によって、冷凍機油の冷媒液に対する流量割合を一時的に冷凍機油の冷媒液に対する飽和濃度以上にして、凝縮器の配管内壁に付着したスラッジが大きく成長する前に、スラッジを冷凍機油に再溶出させて除去できるため、冷凍機油の流量割合をスラッジの成長を抑制するのに必要な量だけ一時的に増加すれば良いため効率の良い運転ができる。特に、油溜容器または回転機の回転数に応じて冷凍機油を追加する場合、冷凍機油の追加が簡単であるので、スラッジを除去する目的を容易に達成することができる。その結果、冷媒回路が簡素化でき、小型化かつ高信頼性化を得ることができる。
【0076】
この発明は、第3の要旨では、冷凍空調装置またはその運転装置において、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、凝縮器を第1凝縮器と第2凝縮器で構成し、それらの間に液溜容器を備え、この液溜容器は、凝縮器において凝縮して生成する冷媒液に冷凍機油が実質的に全て溶解する部位またはその近傍に存在し、その結果、第1凝縮器から液溜容器に供給されるストリームは独立した冷凍機油相を含み、液溜容器において冷凍機油相が冷媒液に溶解するように、第1凝縮器および第2凝縮器の凝縮量を調節することを特徴とする。このような特徴によって、冷凍機油を液溜容器内で冷媒液に完全に溶解させることができるため、冷凍機油中で微細な粒子状にスラッジを析出させることができ、冷媒配管の内壁面上でスラッジが析出して大きく成長することがなく、またフィルターの目詰まりを起こすこともなく、長期に亘り安定した運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)この発明の実施の形態1の冷凍空調装置のフローシートである。
(b)この発明の実施の形態1の冷凍空調装置における冷媒配管内の冷媒液、冷凍機油およびスラッジの挙動の説明図である。
【図2】 この発明の実施の形態2の冷凍空調装置のフローシートである。
【図3】 この発明の実施の形態2の冷凍システムの制御動作を示すフローチャートである。
【図4】 この発明の実施の形態3の冷凍空調装置のフローシートである。
【図5】 この発明の実施の形態3の冷凍システムの制御動作を示すフローチャートである。
【図6】 この発明の実施の形態4の冷凍空調装置のフローシートである。
【図7】 (a)この発明の実施の形態5の冷凍空調装置のフローシートである。
(b)この発明の実施の形態5における圧縮機の回転数と単位流量当たりの冷凍機油の吐出量の関係図である。
【図8】 この発明の実施の形態5の冷凍システムの制御動作を示すフローチャートである。
【図9】 この発明の実施の形態6の冷凍空調装置のフローシートである。
【図10】 この発明の実施の形態6の液溜容器の構造を模式的に示す図である。
【図11】 (a)従来の冷凍空調装置のフローシートである。
(b)従来の冷凍空調装置における冷媒配管内の冷媒液、冷凍機油およびスラッジの挙動の説明図である。
【符号の説明】
1 圧縮機、 2 凝縮器、 3 絞り要素、 4 蒸発器、
5 スラッジ分離器、 10 冷凍機油の冷媒液に対する飽和濃度、
11 スラッジの冷媒液に対する飽和濃度、
12 冷凍機油の冷媒液に対する流量割合、
13 スラッジの冷媒液に対する流量割合、
14 冷媒液に未溶解の冷凍機油の冷媒液に対する流量割合、
15 冷媒液に未溶解のスラッジの冷媒液に対する流量割合、
16 冷媒液に対するスラッジの析出割合、 21 冷媒回路、
22 制御手段、 41 油溜容器、 42 油注入管、 43 弁、
44 コントローラ、 61 回転数調整手段、 62 コントローラ、
81 第1凝縮器、 82 第2凝縮器、 83 液溜容器、 91 容器、
92 流入管、 93 冷媒ガス流出管、 94 冷媒液流出管、
95 冷媒ガス、 96 冷媒液、 97 冷凍機油。

Claims (10)

  1. 圧縮機、凝縮器、絞り要素および蒸発器により構成された冷媒回路を備えた冷凍空調装置において、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、凝縮器内を流れる冷凍機油の量が、凝縮器内を流れる冷媒液に溶解し得る冷凍機油の量より多くなるようにする、冷凍機油を追加する制御手段を有することを特徴とする冷凍空調装置。
  2. 圧縮機、凝縮器、絞り要素および蒸発器により構成された冷媒回路を備えた冷凍空調装置において、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、凝縮器内を流れる冷凍機油の量が、冷媒液に溶解し得る冷凍機油の量より一時的に多くなるようにする、冷凍機油を追加する制御手段を有することを特徴とする冷凍空調装置。
  3. 制御手段として、圧縮機と凝縮器との間に設けた冷凍機油を溜める油溜容器、油溜容器に含まれる冷凍機油を凝縮器の入口または途中に追加する油注入管、注入管の途中に設けられた弁および弁の開閉を指示するコントローラを有する請求項2に記載の冷凍空調装置。
  4. 油溜容器は、圧縮機の高圧空間内に冷凍機油を溜める油溜部である請求項3に記載の冷凍空調装置。
  5. 制御手段として、回転機により駆動される圧縮機であって、回転機が常用回転数を超えた場合に単位冷媒流量当たりの冷凍機油の吐出量が増加する油吐出特性を有する圧縮機、圧縮機の回転数を調整する回転数調整手段および回転数調整手段を制御するコントローラを有する請求項2に記載の冷凍空調装置。
  6. 圧縮機、凝縮器、絞り要素および蒸発器により構成された冷媒回路を備えた冷凍空調装置において、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、凝縮器を第1凝縮器と第2凝縮器で構成し、それらの間に液溜容器を備え、この液溜容器は、凝縮器において凝縮して生成する冷媒液に冷凍機油が実質的に全て溶解する部位またはその近傍に存在することを特徴とする冷凍空調装置。
  7. 冷媒がハイドロフルオロカーボン系であり、冷凍機油がハード型アルキルベンゼンである請求項1〜6のいずれかに記載の冷凍空調装置。
  8. 圧縮機、凝縮器、絞り要素および蒸発器により構成された冷媒回路を備えた冷凍空調装置の運転方法であって、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、冷凍機油の追加の制御手段を用いて、凝縮器内を流れる冷凍機油の量が、冷媒液に溶解し得る冷凍機油の量より一時的に多くなるように運転することを特徴とする冷凍空調装置の運転方法。
  9. 圧縮機、凝縮器、絞り要素および蒸発器により構成された冷媒回路を備えた冷凍空調装置の運転方法であって、冷媒液に対して限られた溶解度を有する油を冷凍機油として用い、凝縮器を第1凝縮器と第2凝縮器で構成し、それらの間に液溜容器を備え、第1凝縮器から液溜容器に供給されるストリームは、冷媒液とは別に独立した冷凍機油相を含み、かつ、液溜容器において冷凍機油相が実質的に全て冷媒液に溶解するように、第1凝縮器および第2凝縮器の凝縮量を調節することを特徴とする冷凍空調装置の運転方法。
  10. 冷媒がハイドロフルオロカーボン系であり、冷凍機油がハード型アルキルベンゼンである請求項8または9に記載の冷凍空調装置の運転方法。
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